JP6432763B2 - 滑り免震機構 - Google Patents

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本発明は、建物や精密機器等の免震対象を滑動自在に支持するための滑り免震機構に関する。
従来、建物や精密機器等の免震対象の地震等による被害を防止(抑止)するための免震構造として、積層ゴムや滑り支承が多用されている。しかしながら、積層ゴムは免震性能に優れる反面、コスト、過大な変形への対応などの点で適用が困難なケースもある。また、滑り支承は低コストで過大変形にも十分に対応できるが、地震後などに残留変位が生じてしまうという欠点がある。さらに、両者を併用して建物の免震層の変位や残留変位を抑制することも検討、実用化されているが、この場合においても両者のクリープや軸伸縮量の差異を処理する点で課題が残されている。
一方、滑り支承として、例えば図7に示す滑り振り子型免震機構(FPS:Friction Pendulum System)1が提案されている。この滑り振り子型免震機構1は、免震対象の上部構造体2と下部構造体3にそれぞれ固定される上沓4と下沓5の摺動面6、7をいずれも球面とし、これら球面の間に可動子8の摺動部材を介装して構成されている。これにより、軸力(支持荷重)に依存せずに摺動面6、7の球面半径を振り子長さとした周期が免震層の固有周期となり、且つ摺動面6、7が球面であることで原位置への復元機能が具備される。
しかしながら、この滑り振り子型免震機構においても、摺動面が球面であることから原位置の近傍の勾配がほとんどないため、原位置の近傍部分での復元力が小さく、ある程度の残留変位が生じてしまう。このため、比較的軸力が小さい小規模な建物に適用可能であるが、この場合においても摺動面としての球面の曲率を大きくして上下方向に大きく湾曲するような球面とする必要があり、固有周期を長周期化するほどに外形寸法、特に上下方向の所要寸法が大きくなってしまう。
これに対し、本願の出願人は、図8及び図9に示すように、上部構造体2の底部に固定される上沓10と、下部構造体3の上部に固定される下沓11と、上沓10及び下沓11の間に介装される摺動子12からなる滑り免震機構13について、既に特許出願している(特許文献1参照)。
この滑り免震機構13においては、摺動子12が上沓10に対して水平の一方向(X−X)にのみ摺動可能に保持され、且つ下沓11に対して一方向(X−X)に直交する水平の他方向(Y−Y)にのみ摺動可能に保持されている。また、摺動子12と上沓10の互いに当接する摺動面14、15が一方向(X−X)に沿って逆V形に傾斜する上部傾斜面として形成され、且つ摺動子12と下沓11の互いに当接する摺動面16、17が他方向(Y−Y)に沿ってV形に傾斜する下部傾斜面として形成されている。また、摺動子12の上下の摺動面14、16は摩擦抵抗が小さくなるように低摩擦係数の滑り材を貼設するなどして形成されている。
さらに、本願の出願人は、摺動子が上沓に対して水平一方向にのみ摺動可能に保持されるとともに下沓に対して水平他方向にのみ摺動可能に保持され、摺動子と上沓の互いに当接する摺動面を、いずれも水平一方向に沿い且つ水平面に対して互いに逆方向に同角度ずつ傾斜して水平他方向に並設配置した同一面積の第1上部傾斜面と第2上部傾斜面を備えて形成し、摺動子と下沓との摺動面を、いずれも水平他方向に沿い且つ水平面に対して互いに逆方向に同角度ずつ傾斜して水平一方向に並設配置した同一面積の第1下部傾斜面と第2下部傾斜面を備えて形成してなる滑り免震機構についても、既に特許出願している(特願2012−274754)。
そして、これらの滑り免震機構においては、摺動子を上沓および下沓に対して水平2方向に摺動させるための上下の摺動面を水平面に対して傾斜する傾斜面としたことにより、自ずと復元力が得られて残留変位を抑制することができる。
特開2013−130216号公報
しかしながら、上記の滑り免震機構においては、図8、図9、図10に示すように、傾斜方向(X−X、Y−Y)のみに摺動子12が移動できるように上下の沓10、11の両側部側に移動拘束部(ガイド部)18が設けられている。また、この移動拘束部18は、摺動子12や上下の沓10、11の本体部分に当たることから上下の沓10、11の長さ方向の全長にわたって設けられている。
そして、このような移動拘束部18を備えて構成することにより、材料費や製作手間が嵩み、滑り免震機構が高コストになる。
また、図10に示すように、摺動子12と上下の沓10、11の間(摺動子12と移動拘束部18の間)には隙間t1が必要であり、この隙間t1によって摺動子12が水平方向に回動する。そして、摺動子12の回動が生じることで、滑り材に対し上部構造体1からの軸力が均一に作用しなくなり、滑り材の縁端部などに応力集中が生じて局部的に潰れなどの損傷(図10中の符号S)が発生するおそれがあった。
また、摺動子12が水平回転するため、摺動子12の側面が移動拘束部18に接触し、これに伴い摩擦力が大きくなって免震効果の低下を招くおそれもある。さらに、摺動子12が回動することで、滑り免震機構の実性能が理論値(設計)と合わなくなってしまう。また、摺動子12の回転角度の応答が地震動によって変化し、この回動をコントロールすることができない。このため、回動を評価して設計することも難しい。
また、摩擦抵抗は摺動子12の上下面に貼り付けた滑り材と上下沓10、11の滑り板との間の摺動で生じる摩擦力によっている。そして、滑り材と滑り板の組み合わせを一般的な樹脂系材料と金属材料にした場合、摩擦係数を概ね0.01〜0.15の範囲内に設定することができる。なお、クリアランス(摺動許容量)に余裕があり、且つ風荷重等の考慮が必要ない場合は、摩擦係数を極力小さく設定して応答加速度を抑制することが有効である。
しかしながら、例えば建物屋上の設備機器などを免震化する場合、低摩擦材料が高価である上に、設置場所が周囲の配管類と干渉するなどして十分にクリアランスを確保できないことが多い。また、風荷重に対して摺動を避ける必要があり、かつ応答加速度のクライテイリアが建屋の内部ほどシビアでないことが多い。そして、このようなケースでは0.2〜0.3程度の高い摩擦係数を確保することが合理的であるが、一般的な滑り材と滑り板の組み合わせでこの摩擦係数を安定的に実現することが難しい。
本発明は、上記事情に鑑み、鋼材量、重量の削減、高摩擦係数化、側面摩擦の安定化を図ることが可能な滑り免震機構を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の滑り免震機構は、上部構造体の底部に固定される上沓と、下部構造体の上部に固定される下沓と、前記上沓と前記下沓の間に介装される摺動子からなる滑り免震機構において、前記摺動子は、上面側の両側部側にそれぞれ、上方に突出する上側側部ガイドを設け、下面側の両側部側にそれぞれ、下方に突出する下側側部ガイドを設けて形成され、一対の上側側部ガイドの間に前記上沓を係合させ、一対の下側側部ガイドの間に前記下沓を係合させて前記上沓と前記下沓の間に介装され、且つ、前記上側側部ガイドの内面と前記上沓の側面の間、及び前記下側側部ガイドの内面と前記下沓の側面の間にそれぞれ、前記上側側部ガイドと前記下側側部ガイドの内面側から順に弾性体、滑り材が設けられており、前記摺動子は、前記上側側部ガイドと前記下側側部ガイドにそれぞれ、内面から外面に貫通するボルト挿通孔が形成され、前記ボルト挿通孔に挿通して設けられる取付ボルトと、前記上側側部ガイドと前記下側側部ガイドの外面側に配される前記取付ボルトの一端側に螺着される係止ナットと、前記取付ボルトの他端に固着した取付プレートとを備え、前記取付プレートの前記上沓と前記下沓の側面側を向く一面に前記滑り材を固着し、前記取付プレートと前記上側側部ガイドと前記下側側部ガイドの間に前記弾性体が挟持されていることを特徴とする。
さらに、本発明の滑り免震機構においては、一つの前記取付プレートに少なくとも二つの取付ボルトを固着して構成されていることがより望ましい。
また、本発明の滑り免震機構においては、前記取付プレートの上端側又は下端側に、前記上沓又は前記下沓に上下方向に係止される鉤部が設けられていることがさらに望ましい。
本発明の滑り免震機構においては、従来の滑り免震機構のように上下の沓の両側部側に移動拘束部を設けることなく、摺動子に一対の上側側部ガイドと一対の下側側部ガイドを設けることで、上下の沓に対して摺動子を一方向、他方向に摺動自在に保持することが可能になる。
これにより、構成を簡素化することができ、製作費、材料費等のコストダウン、製作手間の削減を図ることが可能になる。また、このように構成することで従来よりも重量を減少させることも可能になる。
また、上下の沓の側面に設けた滑り板と摺動子の側部ガイドに設けた滑り材の間で摺動を生じさせるようにし、且つ、摺動子の側部ガイドの内面と滑り材の間に弾性体を介設することにより、弾性体の弾性力によって摺動子側の滑り材を上下の沓側に常時押し付けた状態にすることができる。
これにより、摺動に対して一定の摩擦抵抗力を生じさせることができ、この側面摩擦を積極的に利用することで大きな摩擦係数の実現が可能になる。
また、弾性体が摺動子の左右両側に設けられているため、摺動子が直交方向の力を受けながら変位する場合に、その直交方向力で片側の弾性体がさらに圧縮し側面摩擦抵抗力が増加し、反対側の弾性体は圧縮が緩和されて抵抗力も減少する。すなわち、側面摩擦力の総和が常に一定となるため、支承の直交方向の挙動にかかわらず、側面摩擦力を安定させることが可能になる。
よって、本発明の滑り免震機構によれば、鋼材量、重量の削減、高摩擦係数化、側面摩擦の安定化を図ることが可能になる。これにより、滑り免震機構の適用範囲を大幅に拡大することができる。
本発明の一実施形態に係る滑り免震機構を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る滑り免震機構を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る滑り免震機構を示す側面図である。 図3のP部を拡大した図である。 本発明の一実施形態に係る滑り免震機構の変更例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る滑り免震機構の試設計の履歴ループを示す図である。 滑り振り子型免震機構を示す側断面図である。 従来の滑り免震機構を示す斜視図である。 従来の滑り免震機構を示す(a)平面図、(b)側断面図、(c)側断面図である。 従来の滑り免震機構の滑り材(摺動面)の損傷状況の一例を示す平面図である。
以下、図1から図6を参照し、本発明の一実施形態に係る滑り免震機構について説明する。ここで、本実施形態は、免震対象物である上部構造体をその支持構造物である下部構造体に対して水平各方向(X−X、Y−Y)に滑動自在に支持する免震機構に関するものである。
そして、本実施形態の滑り免震機構20は、図1から図3に示すように、上部構造体の底部に固定される上沓21と、下部構造体の上部に固定される下沓22と、それら上沓21及び下沓22の間に介装される摺動子23とを備えて構成されている。
具体的に、本実施形態において、上沓21と下沓22は、例えば、断面矩形の横長のブロック状の略同一形状、同一寸法の部材であり、長さ方向を互いに直交する向きに配しつつ、すなわち、上沓21がその長さ方向を水平の一方向(X−X)に向け、下沓22がその長さ方向を一方向(X−X)に直交する水平の他方向(Y−Y)に向けつつ、上下方向に間隔をあけて対向配置されている。また、上沓21と下沓22は、この状態で、且つ互いの交差部分で摺動子23を介装した状態で、上部構造体の底部、下部構造体の上部にそれぞれ固定されている。
さらに、上沓21と摺動子23は、互いに当接する摺動面24、25、すなわち互いに当接して係合する上沓21の下面と摺動子23の上面(上部側の摺動面)がそれぞれ、一方向(X−X)に沿って逆V形に傾斜する上部傾斜面として形成されている。
また、下沓22と摺動子23は、互いに当接する摺動面26、27、すなわち互いに当接して係合する下沓22の上面と摺動子23の下面(下部側の摺動面)がそれぞれ、他方向(Y−Y)に沿ってV形に傾斜する下部傾斜面として形成されている。
ここで、本実施形態では、摺動子23の上面と下面にそれぞれ、例えばテフロン(登録商標)などの滑り材28が一体に貼設するなどして設けられ、この滑り材28によって摩擦抵抗を低減した(低摩擦係数の)上部側の摺動面25と下部側の摺動面27が形成されている。
また、上沓21と下沓22の摺動面24、26にも滑り板(滑り材)28が固着されている。
一方、本実施形態の滑り免震機構20において、摺動子23は、上面側、且つ水平の一方向(X−X)(上沓21の長さ方向)に沿う一対の側部側にそれぞれ、上方に突出する一対の上側側部ガイド30が設けられ、下面側、且つ水平の他方向(Y−Y)(下沓22の長さ方向)に沿う一対の側部側にそれぞれ、下方に突出する一対の下側側部ガイド31が設けられている。また、本実施形態では、一対の上側側部ガイド30が水平の一方向(X−X)に、一対の下側側部ガイド31が水平の他方向(Y−Y)にそれぞれ延設されている。
そして、本実施形態の滑り免震機構20では、一対の上側側部ガイド30の間に上沓21を係合させ、一対の下側側部ガイド31の間に下沓22を係合させて、摺動子23が上沓21と下沓22の間に介設されている。
さらに、図4(図1から図3)に示すように、上沓21の側面32と対向する一対の上側側部ガイド30の内面33、下沓22の側面34と対向する一対の下側側部ガイド31の内面35にはそれぞれ、ゴムなどの弾性体36と取付プレート37と滑り材28とがこの順で積層配置されている。また、滑り材28は上沓21の側面32側、下沓22の側面34側を向く取付プレート37の一面に一体に固着されている。
さらに、上側側部ガイド30、下側側部ガイド31にそれぞれ、外面から内面に貫通する貫通孔40が形成され、一端を取付プレート37の他面に固着し、弾性体36を貫通しつつ貫通孔40に挿通して取付ボルト41が設けられ、上側側部ガイド30の外面側、下側側部ガイド31の外面側にそれぞれ突出した取付ボルト41の他端側に係止ナット42が螺着されている。
これにより、弾性体36の弾性変形(伸縮)、取付ボルト41の貫通孔40を通じた進退によって、取付プレート37ひいては滑り材28が変位可能とされている。
なお、本実施形態では、係止ナット42を操作して圧縮力を付与した状態で弾性体36が介装されている。
また、上沓21の両側面32、下沓22の両側面34には、取付プレート37に固着した滑り材28と対向するように(本実施形態では面接触するように)、滑り板(滑り材)28が固着されている。
上記構成からなる本実施形態の滑り免震機構20においては、摺動子23の上部側と下部側の側部ガイド30、31をそれぞれ上沓21と下沓22に係合させ、摺動子23が上沓21と下沓22の間に介装されている。これにより、摺動子23が水平の一方向(X−X)と他方向(Y−Y)に摺動自在に保持されている。
ここで、本実施形態の滑り免震機構20は、図5に示すように、取付プレート37の上端側又は下端側に、上沓21又は下沓22に上下方向に係止される鉤部43を引抜抵抗機構として設けるようにしてもよい。
したがって、本実施形態の滑り免震機構20においては、従来の滑り免震機構13のように上下の沓の両側部側に移動拘束部18を設けることなく、摺動子23に一対の上側側部ガイド30と一対の下側側部ガイド31を設けることで、上下の沓21、22に対して摺動子23を一方向(X−X)、他方向(Y−Y)に摺動自在に保持することが可能になる。
これにより、構成を簡素化することができ、製作費、材料費等のコストダウン、製作手間の削減を図ることが可能になる。また、このように構成することで従来よりも重量を減少させることも可能になる。
また、上下の沓21、22の側面32、34に設けた滑り板28と摺動子23の側部ガイド30、31に取り付けた滑り材28の間で摺動を生じさせるようにし、且つ、摺動子23の側部ガイド30、31の内面33、35と滑り材28の間に弾性体36を介設することにより、弾性体36の弾性力によって摺動子23側の滑り材28を上下の沓21、22側の滑り板28に常時押し付けた状態を維持にすることができる。
これにより、摺動に対して一定の摩擦抵抗力を生じさせることができ、この側面摩擦を積極的に利用することで大きな摩擦係数の実現が可能になる。なお、このような側面摩擦の利用は、一般的な弾性滑り支承、剛滑り支承等の平面滑り系のデバイスでは実現しない機構である。
また、弾性体36が摺動子23の左右両側に設けられているため、摺動子23が直交方向の力を受けながら変位する場合に、その直交方向力で片側の弾性体36がさらに圧縮し側面摩擦抵抗力が増加する。この一方で、反対側の弾性体36は圧縮が緩和されて抵抗力も減少する。すなわち、側面摩擦力の総和が常に一定となるため、支承の直交方向の挙動にかかわらず、側面摩擦力を安定させることが可能になる。
なお、このように側面摩擦力が鉛直方向の力に対しても抵抗することで、その抵抗力の範囲内において引抜抵抗機構(鉤部43など)を備えて滑り免震機構20を構成することが可能になる。
また、本実施形態の滑り免震機構20においては、施工時に、弾性体を圧縮させるように係止ナット42を操作することで、左右両側の滑り材28の間のクリアランスを大きく確保することができる。これにより、上下の沓21、22と摺動子23を落とし込みによって容易に組み立てることができる。
なお、図5のP部拡大図に示したように、引抜防止のための引抜抵抗機構(鉤部43)を設けた場合においても、係止ナット42を操作することで上下の沓21、22と摺動子23をスライドではなく落とし込みによって容易に組み立てることが可能である。
また、組み立てが完了した時点で係止ナット42を緩めることで、弾性体36に所定の圧縮力を導入した状態にし、好適に摺動子23と上下の沓21、22が摺動可能な状態にすることができる。
さらに、取付ボルト41と取付プレート37を剛接合し、取付ボルト41を摺動子23の摺動方向(図4のP部拡大図の奥行き方向)に2本以上配置しておけば、側面摩擦力に対して取付ボルト41と取付プレート37がラーメンを形成して抵抗するため、弾性体36の過大な水平力の負担を回避することができる。
よって、本実施形態の滑り免震機構20によれば、鋼材量、重量の削減、高摩擦係数化、側面摩擦の安定化を図ることが可能になる。また、引抜抵抗機構を具備することもできる。これにより、滑り免震機構20の適用範囲を大幅に拡大することができ、特に屋外に設置する設備機器類に対して有効な免震化の方策となり得る。
[実施例]
ここで、本実施形態の滑り免震機構20の具体的な実施例について説明する。
まず、免震対象は、幅5.0m×奥行き2.5m×高さ2.5m、重量10ton程度の屋上キュービクルとした。架台分(0.05ton/m)を合わせ、単位面積当たりの重量wは、w=10/(5.0×2.5)+0.05=0.85ton/mとなる。
この屋上キュービクルを免震化するために、幅方向に約2.5m間隔(幅方向に3列、奥行き方向に2列)で配置した6台の滑り免震機構20で支持するものとした。これにより、幅方向中央の滑り免震機構20の負担荷重Wは、W=0.85×2.5×1.25=2.66tonとなる。
滑り材28、滑り板28は、摩擦係数μ=0.15(摺動面、側面とも)となるようにした。また、弾性体36は、防振ゴムなどの建築用ゴム材料を適用し、許容面圧σ=1.0N/mm、弾性係数E=10.0N/mmとした。
[全体摩擦係数の算出]
次に、全体摩擦係数の算出結果について説明する。
まず、自重分(底面摩擦力分)の抵抗力Fbは、Fb=Wμ=2.66×0.15=0.40tonとなる。
次に、弾性体36の寸法は高さ60×長さ120(×厚さ50)(mm)とすると、片面許容軸力Nは、N=60×120×1.0=7200Nとなる。両面では、14.4kNとなる。
したがって、側面摩擦分の抵抗力Fsは、Fs=14.4×0.15=2.16kN=0.22tonとなる。
よって、全体の見掛けの摩擦係数μtは、μt=(0.40+0.22)/2.66=0.23となる。これにより、摩擦係数μ=0.15からμt=0.23まで上昇させることができることが確認された。
なお、弾性体36の縮み量δは、δ=Nt/(AE)=7200×50/(60×120×10)=5.0mm(片面、常時)となる。
[直交方向力に対する検証]
次に、直交方向に生じる軸力は最大でW×μt=2.66×0.23=0.61ton=5996Nとなる。この値は常時予圧の7200Nより小さい。これにより、直交方向力が作用した場合にも反対側の弾性体36が完全に解放されて側面滑り材28と側面滑り板28が離れることがなく、圧縮される側と合わせて一定の側面摩擦力が維持されることが確認された。
[取付ボルト、取付プレートの設計]
取付ボルト41は摺動子23の摺動方向に2本配置し、取付プレート37と合わせてラーメン構造を形成する。片側の側面摩擦抵抗は、7200N×0.15=1080N(0.11ton)であり、取付ボルト41の長さは弾性体36の厚さと同じ50mmとする。1080Nを2本の取付ボルト41で負担すると、曲げモーメントMは、M=50×1080/2=27000N・mmとなる。
そして、取付ボルト41にSS400を使用する場合、reqZ=M/fb=27000/235=115mmとなる。円形断面の断面係数Zは、Z=πD/32であるから、取付ボルト41の直径は、reqD=(115×32/π)1/3=10.5mm(→φ12)とすればよい。
取付プレート37の有効幅を取付ボルトの径の2倍と仮定し、厚さ6mm、SS400の取付プレート37を用いた場合、Z=12×2×6/6=144mm>115mm・・・OKとなる。
[傾斜角の設定と履歴ループ]
傾斜による復元力の目標を0.2μtとすると(0.2×0.23=0.046)、復元力P=W・tanθ=0.046Wからθ=tan−10.046=2.63°となる。この設計による履歴ループは図6に示す通りである。
なお、引抜きに対しては、0.22ton/2.66ton=0.08Gまで引抜抵抗機構(鉤部)なしで対処可能である。
以上、本発明に係る滑り免震機構の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1 従来の滑り振り子型免震機構
2 上部構造体
3 下部構造体
4 従来の上沓
5 従来の下沓
6 摺動面
7 摺動面
8 可動子
10 従来の上沓
11 従来の下沓
12 従来の摺動子
13 従来の滑り免震機構
14 摺動面
15 摺動面
16 摺動面
17 摺動面
18 移動拘束部(ガイド部)
20 滑り免震機構
21 上沓
22 下沓
23 摺動子
24 摺動面
25 摺動面
26 摺動面
27 摺動面
28 滑り材、滑り板
30 上側側部ガイド
31 下側側部ガイド
32 上沓の側面
33 上沓の内面
34 下沓の側面
35 下沓の内面
36 弾性体
37 取付プレート
40 貫通孔
41 取付ボルト
42 係止ナット

Claims (3)

  1. 上部構造体の底部に固定される上沓と、下部構造体の上部に固定される下沓と、前記上沓と前記下沓の間に介装される摺動子からなる滑り免震機構において、
    前記摺動子は、上面側の両側部側にそれぞれ、上方に突出する上側側部ガイドを設け、下面側の両側部側にそれぞれ、下方に突出する下側側部ガイドを設けて形成され、一対の上側側部ガイドの間に前記上沓を係合させ、一対の下側側部ガイドの間に前記下沓を係合させて前記上沓と前記下沓の間に介装され、
    且つ、前記上側側部ガイドの内面と前記上沓の側面の間、及び前記下側側部ガイドの内面と前記下沓の側面の間にそれぞれ、前記上側側部ガイドと前記下側側部ガイドの内面側から順に弾性体、滑り材が設けられており、
    前記摺動子は、前記上側側部ガイドと前記下側側部ガイドにそれぞれ、内面から外面に貫通するボルト挿通孔が形成され、
    前記ボルト挿通孔に挿通して設けられる取付ボルトと、
    前記上側側部ガイドと前記下側側部ガイドの外面側に配される前記取付ボルトの一端側に螺着される係止ナットと、
    前記取付ボルトの他端に固着した取付プレートとを備え、
    前記取付プレートの前記上沓と前記下沓の側面側を向く一面に前記滑り材を固着し、
    前記取付プレートと前記上側側部ガイドと前記下側側部ガイドの間に前記弾性体が挟持されていることを特徴とする滑り免震機構。
  2. 請求項記載の滑り免震機構において、
    一つの前記取付プレートに少なくとも二つの取付ボルトを固着して構成されていることを特徴とする滑り免震機構。
  3. 請求項または請求項に記載の滑り免震機構において、
    前記取付プレートの上端側又は下端側に、前記上沓又は前記下沓に上下方向に係止される鉤部が設けられていることを特徴とする滑り免震機構。
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