JP5148405B2 - ガスメータ - Google Patents

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Description

本発明は、超音波を伝播させてガスの流量を計測するガスメータに関する。
ガスメータは、例えば超音波の伝播時間または伝播速度がガス(流体)の流速に応じて変化することを利用して、流路途中に備えた計測管(測定配管)内を流れるガスに超音波を伝播させてガスの流量を計測する。従来では、圧力損失の低減を図りながらも流量係数の変動を小さくするため、計測管を5層以上に区画して中央層よりも下側で且つ最下層よりも上側の範囲に超音波センサの中心を配置する技術の一例が開示されている(例えば特許文献1を参照)。
ところで、計測対象となるガスは水分を含む場合があり、ガス管とガスメータとで温度差が大きいときはガスメータ内で結露することがある。結露した水がガスメータ内で計測管を浸すまでにあふれると、計測管の断面積に基づいて算出される流量は水の滞留量が増すにつれて誤差も多くなる。特に特許文献1の超音波センサは低い位置に設置されるので、誤差が表れやすい。従来では、ガスに含まれる水分を除去しながらガスの流量を計測する技術の一例が開示されている(例えば特許文献2を参照)。
特開2007−263874号公報 特開2006−292380号公報
特許文献2に記載されたガスメータの計測管は、同心円状に配置した内管と外管の二重構造とし、内管の外側壁と外管の内側壁との間に親水性材料を充填し、親水性材料に吸水させた水を排水管から排出する構成としている。この構成では、二重構造としたり、親水性材料や排水管が必要になるのでコスト高になる。
また、親水性材料は単に充填しているだけであるので、吸水可能な水量を上回った分が排出されるに過ぎない。また、動力手段(例えばポンプ)を用いて排水管から水を積極的に排出してはいないので、ガスメータ内に滞留した水は少しずつしか減らない。その一方、急激に水の滞留量が増すような場合には排水が追いつかず、計測管内にあふれてしまう。したがって、ガスの流量を正確に計測できないばかりか、保安機能(例えば空焚き防止機能やガス漏洩防止機能等)にも影響を及ぼす。
本発明はこのような点に鑑みてなしたものであり、コストを抑えながらも、内部に水が滞留したことを早期に検出して報知するガスメータを提供することを目的とする。
(1)課題を解決するための手段(以下では単に「解決手段」と呼ぶ。)1は、請求項1に記載した通りである。
解決手段1によれば、流量算出手段で算出したガスの瞬時流量が許容流量範囲を超えて変化することの条件(第1条件)を満たすと、ガスの流路に水が滞留したことを報知する。所定部位に水滴が付着すること等が要因となって増幅率を大きくする必要があったり、滞留した水等が要因となってガスの瞬時流量が大きく変化するためである。こうして第1報知手段が水の滞留を報知するので、早期に水抜き等の応急措置を取ることができ、保安機能への影響を抑えることができる。また、二重構造の内管と外管や親水性材料等が不要であるので、コストを抑えられる。
(2)解決手段2は、請求項2に記載した通りである。
解決手段2によれば、第1報知手段は増幅率制御手段で制御した増幅率が基準増幅率以上になることの条件(第2条件)を満たすと、ガスの流路に水が滞留したことを報知する。解決手段1と同様にして第1報知手段が水の滞留を報知するので、早期に水抜き等の応急措置を取ることができ、保安機能への影響を抑えることができる。また、二重構造の内管と外管や親水性材料等が不要であるので、コストを抑えられる。
本発明によれば、コストを抑えながらも、ガスメータ内(具体的にはガスの流路)に水が滞留したことを早期に検出して報知することができる。
本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、本発明に係るガスメータの外観例について、図1には正面図を表し、図2には平面図(上面図)を表す。図3はガスメータの構成例を分解斜視図で表す。図4は図2のIV−IV線矢視の断面図を表す。図5は流量と流量係数との関係をグラフ図で表す。
まずガスメータ10の外観例について、図1および図2を参照しながら簡単に説明する。図1および図2において、ほぼ矩形の箱状に形成されたガスメータ10は、正面パネル部材16を正面側に備え付ける。正面パネル部材16には、復帰ボタン18,表示器20,LED21等が設けられる。復帰ボタン18は、異常検出によって作動した遮断弁34(図3を参照)を復帰させ、遮断状態から流通状態に戻す。表示器20には例えば液晶表示器やLED表示器等が用いられ、計測したガスの流量の積算値,自己診断結果,その他の情報を表示する。LED21は、ガスの流路に水が滞留しているか否かの判断処理結果に従って表示形態(点灯や点滅等)が異なる。こうしてガスの流路に水が滞留したことを報知可能な点で、LED21は後述する制御基板26と合わせて第1報知手段,第2報知手段に相当する。
ガスメータ10は、図3に表すように、流路部材22を中心に正面パネル部材16、制御基板26、電源パック28、圧力センサ30、超音波伝播手段32(すなわち一対の超音波送受信センサ32a,32b)、整流板36,38、計測管40、底面パネル部材42などを有する。流路部材22は例えばアルミダイカスト等で一体形成され、ガスメータ10の外観には上面および左右両側面に表われる。この流路部材22は、流入口12と流出口14とが同一面(本例では上面)に配置された筒状のほぼU字型の流路を構成する。すなわち他の部材(例えば正面パネル部材16や、後述する背面パネル部材24および底面パネル部材42等)と合わせて、流入口12から流入し、流出口14から流出するガスの流路がほぼU字型になる。
ところで、筒状のほぼU字型の全体を流路部材のみで一体成形した場合には、部品や部材(以下では単に「部品等」と呼ぶ。)を筒内に取り付けたり、あるいは取り外すことが困難になる。そこで、上記流路部材22は底辺部を開口させて一体成形を行い、この底辺部(すなわち開口部)から部品等を取り付けた後、底面パネル部材42で蓋をする構成とした(図3,図4を参照)。このような構成としたので、ガスの流路を筒状のほぼU字型としながらも、筒内に部品等の取り付けたり取り外すことが容易になる。
上述のように構成された流路部材22に対して、種々の部品等を取り付ける。図3には各部品等の取付方向を矢印でそれぞれ表す。正面側(図面左側)から流路部材22に取り付けるのは、正面パネル部材16、制御基板26、電源パック28、圧力センサ30、超音波送受信センサ32a等である。制御基板26は後述するCPUや記憶手段等を備え、ガスメータ10全体の制御を司る。制御例としては、受信側の超音波送受信センサから出力される受信信号に基づいて計測管40内を流れるガスの流量(瞬時流量を含む)を算出し(流量算出手段に相当する)、当該算出量を表示器20に表示する。別の制御例としては、圧力センサ30等から出力される検出信号に基づいて種々の異常判定を行い、異常を判定した場合は遮断弁34に駆動信号を出力して流路を遮断する(すなわち遮断状態にする)。他の制御例としては、後述するように流路部材22内に水が滞留しているか否かを判断する処理を行う。
電源パック28は、制御基板26や他の電子部品を駆動させるための電力源として用いる。この電源パック28は、流路部材22のほぼ中央部に設けられた空間部Kに取り付けられる。圧力センサ30は種々の異常を検出するために利用され、流路内のガスの圧力を検出して検出信号を出力する。この圧力センサ30は、流路部材22のほぼU字型の流路における正面側に設けられた専用の取り付け穴に取り付けられる。超音波送受信センサ32aは、超音波伝播手段32の一方側を構成する。
背面側(図面右側)から流路部材22に取り付けるのは、遮断弁34、超音波送受信センサ32b、背面パネル部材24等である。遮断弁34は、異常を検出した場合に流路を閉じて(遮断して)、流出口14にガスが流れないようにする。この遮断弁34は、流路部材22のほぼU字型の流路における背面側に設けられた専用の取り付け穴に取り付けられる。超音波送受信センサ32bは、超音波伝播手段32の他方側を構成する。背面パネル部材24は、ガスメータ10の背面側に備え付けられる。
底面側(図面下側)から流路部材22に取り付けるのは、整流板36,38、計測管40、底面パネル部材42等である。図4に表すように、整流板36は流入口12から流入したガスの流れをある程度整えて計測管40の流入口に導く。この整流板36は通路穴36bなどを有する。通路穴36bは、計測管40の流入口形状に合わせて、例えばほぼ長方形状にあけられている。整流板38は計測管40の流出口から流出したガスの流れをある程度整えて流出口14に導く。この整流板38は通路穴38bなどを有する。通路穴38bは通路穴36bと同じ形状であけられている。
計測管40をガスの流路内に配置するべく、本例では流路部材22の中央下部と底面パネル部材42の凸部42aとで挟みつけるように取り付ける。当該計測管40の入口または出口には、ゴミ等が侵入するのを防止するために網状部材で覆う場合がある。計測管40はガスの通過断面がほぼ矩形となる筒状に形成され、管内には整流板群44が設けられている。整流板群44は計測管40内を流れるガスを整流する部材であって、複数枚の整流板を平行かつ多層に構成している。底面パネル部材42はガスメータ10の底面側に備え付けられ、図3と図4に表すように中央部に大きな凸部42aを有する。
超音波伝播手段32(すなわち超音波送受信センサ32a,32b)について簡単に説明する。図3に表すように、超音波送受信センサ32a,32bは、ガスメータ10内における上流側と下流側の所定個所に対向させて配置するとともに、ガスの流れ方向に対して所定の角度「θ」をなして設ける。超音波送受信センサ32a,32bの中心(鉛直方向位置)は、例えば整流板群44の中央付近から最下位の整流板までの範囲内に位置するように配置する。いずれか一方の超音波送受信センサから超音波を出力し、他方の超音波送受信センサで受信して伝播時間を計測する。上流側から下流側への伝播と、下流側から上流側への伝播との双方を行って、ガスの流速および流量を求める。上述した機能によれば、送信側の超音波送受信センサは「送信器」に相当し、受信側の超音波送受信センサは「受信器」に相当する。
ここで、超音波の音速を「C」とし、超音波送受信センサ32a,32bの相互間距離を「L」とし、超音波の伝播時間を「T1」「T2」とすると、ガスの流速「U」は下記式で算出される。算出した流速「U」に対して計測管40の断面積および流量係数を積算すると、ガスの流量が算出される。流量係数はガスの流量を補正する係数である。なお、算出は後述する制御基板26(具体的にはCPU100)において行う。
U=(L/2cosθ)×{(1/T1)−(1/T2)}
上記算出はいつでも行うことができるが、ガスの流路に滞留する水の脈動によって計測精度(計測性能)が低下するのを防止するために、脈動の大きさに応じて計測モードを切り替えて算出を行うのが望ましい。計測モードには、ガスの流量が許容流量範囲に収まるときに第1のサンプリングレートで行う通常モードと、ガスの流量が許容流量範囲を超えて変化するときに第2のサンプリングレートで行う脈動モードとがある。第2のサンプリングレートは第1のサンプリングレートよりも細かくし、変化に追従できるようにする。こうしたモードの切り替えを行うモード切替手段は制御基板26において実現する。
上述のように構成したガスメータ10では整流板36,38を備えたことにより、図4に表す矢印D2,D4のようなガスの流れになる。すなわち矢印D2で表すように、流路部材22から通路穴36bを通って計測管40の流入口に流れ込むようになる。よって計測管40に当たる等の流れが抑制されるので、ガスの流れをある程度整えられる。また矢印D4で表すように、計測管40の流出口から流れ出たガスは拡散せずに、そのまま通路穴38bを通って流路部材22に向かうようになる。よって流出口からの拡散する等の流れが抑制されるので、ガスの流れをある程度整えられる。こうした整流によって、整流板群44で整流されるガスは整流板36,38が無い場合に比べて、より層流になる。よって乱流のガスが少なくなるので、超音波伝播手段32による超音波の伝播時間をより正確に計測でき、ひいてはガスの流量等を算出する際の精度が向上する。
次に、制御基板26の構成例を図5に表す。制御基板26はCPU100を中心に構成され、バス112を介して後述する各回路や素子が接続されている。ROM116およびRAM114は記憶手段に相当する。ROM116には、ガスメータ10全体の制御を司る制御プログラムやデータ(例えば基準増幅率,許容流量範囲,基準流量,許容圧力範囲等)などを記憶する。RAM114には、CPU100の処理結果(例えば増幅率)などを記憶する。ROM116およびRAM114に用いる素子の種類は問わず、一方または双方をCPU100に内蔵してもよい。
切替回路104は、CPU100から伝達される切替信号に従って入出力切替器102を切り替える。この入出力切替器102は、上流側の超音波送受信センサ32aから超音波を発信させて下流側の超音波送受信センサ32bで受信する動作と、下流側の超音波送受信センサ32bから超音波を発信させて上流側の超音波送受信センサ32aで受信する動作とを切り替える。
出力回路106は、CPU100から伝達される発信信号に従って超音波の送信信号を出力する。この送信信号は入出力切替器102を経由して一方の超音波送受信センサに伝達され、超音波が送信される。入力回路108は、他方の超音波送受信センサで受信した受信信号を内部処理可能な信号形式に変換したうえでCPU100に伝達する。
本例では、受信した受信信号を増幅率に従って増幅する増幅回路を入力回路108に備えており、増幅率の変更はCPU100から行うことができる。なお同様にして、送信しようとする送信信号を増幅率に従って増幅する増幅回路を出力回路106に備えてもよく、増幅率の変更をCPU100から行えるように構成してもよい。すなわち、超音波の送信または受信にかかる信号の一方または双方について増幅率を変更可能に構成されていればよい。ここで、CPU100および増幅回路は「増幅率制御手段」に相当する。
増幅率の変更例について、図6を参照しながら説明する。当該図6に表す例は、入力回路108の増幅率を所定値に設定したときに超音波の送受信を複数回行って、受信した超音波の振幅が最大であった場合の波形と、受信した超音波の波形の振幅が最小であった場合の波形とを重ねて表している。比較電圧は一定値に固定している。CPU100は受信信号における「3波,4波,5波」の振幅が比較電圧を越えるように、増幅率を自動的に調整する(上記増幅率制御手段に相当する)。こうして得られる増幅率はRAM114に記憶しておく。なお、増幅率の調整方法は周知の技術であるので、説明を省略する。
図5に戻って、出力回路118はCPU100から伝達される開閉信号に従って遮断弁34を開閉する駆動信号に変換して出力する。出力回路120は、CPU100から伝達される出力信号に従って表示器20に表示する表示信号に変換して出力する。出力回路122は、CPU100から伝達される出力信号に従ってLED21に表示する表示信号に変換して出力する。入力回路110は、圧力センサ30から出力された検出信号(検出値)を内部処理可能な信号形式に変換したうえでCPU100に伝達する。検出値はCPU100によってガスの圧力値に換算される。
なお図示しないが、表示形式(例えばガスの積算量や流量など)の切り替えや、自己診断の実行などを指示する入力スイッチを備えてもよい。この場合には、入力スイッチから出力された信号をCPU100に伝達するように構成する。
次に、上述した制御基板26で実行される制御例であって、ガスの流路に水が滞留しているか否かを判断する判断処理について説明する。この判断処理は3つのケースが挙げられ、各ケースについて以下に記載する。
〔ケースA;増幅率とガスの流量〕
ケースAは、CPU100で算出したガスの流量(特に瞬時流量)がROM116に記憶された許容流量範囲を超えて変化することの条件(第1条件)のみ、あるいは当該第1条件に加えてRAM114に記憶された増幅率がROM116に記憶された基準増幅率以上になることの条件(第2条件)を満たすか否かで判断する。いずれか一方のパターンを満たしたとき、CPU100はLED21を点滅等させて報知する。報知を的確に行うため、パターンごとに実験等を行って、最適な基準増幅率の値や許容流量範囲の区域をROM116に記憶するのが望ましい。
例えば、意図的にガスに水分を含めて、ガスの流路で水が滞留するように設定した実験例を図7に表す。当該図7では、左縦軸に瞬時流量を表し、右縦軸に増幅率を表し、横軸に水の滞留量(実験では経過時間)を表す。仮に基準増幅率を「Gs」に設定し、許容流量範囲を「Fr(上下方向の二目盛り分)」に設定する。この仮定の下では、水の滞留量Vbに達すると上記条件を満たすので、CPU100はLED21で点滅等させて報知する。本例の滞留量Vbは、図4に表す計測管40の下側部分(6分の1程度の高さ)を浸す量である。なお、第1条件のみで判断する場合には上記「Fr」の範囲を広げて(または狭めて)設定してもよい。また第1条件に第2条件を加えて判断する場合には上記「Gs」の値よりも大きく(または小さく)設定してもよい。
増幅率が大きくなるのは、所定部位(例えば計測管40の入口または出口を覆った網状部材等)に水滴が付着すること等が要因となる。ガスの瞬時流量が許容流量範囲を超えて大きく変化するのは、滞留した水が脈動を生じること等が要因となる。LED21が点滅等で水の滞留を報知するので、早期に水抜き等の応急措置を取ることができ、保安機能への影響を抑えることができる。
〔ケースB;ガスの流量と圧力〕
ケースBは、CPU100で算出したガスの流量がROM116に記憶された基準流量以上になること(第3条件)と、圧力センサ30で検出したガスの圧力が許容圧力範囲を超えて変化すること(第4条件)のうちで一方または双方の条件を満たすか否かで判断する。三つのパターンのいずれかを満たしたとき、CPU100はLED21を点滅等させて報知する。報知を的確に行うため、パターンごとに実験等を行って、最適な基準流量の値や許容圧力範囲の区域をROM116に記憶するのが望ましい。
例えば、ケースAと同様に意図的にガスに水分を含めて、ガスの流路で水が滞留するように設定した実験例を図8に表す。当該図8では、左縦軸にガスの圧力を表し、横軸に水の滞留量(実験では経過時間)を表す。ただし、ガスの流量変化については図示を省略している。仮に許容圧力範囲を「Pr(上下方向の半目盛り分)」に設定する。この仮定の下では、水の滞留量Vbに達すると上記条件を満たすので、CPU100はLED21で点滅等させて報知する。本例の滞留量Vbは、図4に表す計測管40の約半分を浸す量である。なお、第4条件のみで判断する場合には上記「Pr」の範囲を広げて(または狭めて)設定してもよい。また、第3条件のみで判断する場合における流量の値を大きく(または小さく)設定してもよい。
ガスの流量が大きくなるのは、ガスの使用(消費)が多くなること等が要因となる。ガスの圧力が許容圧力範囲を超えて大きく変化するのは、水の滞留量が増すにつれて、バブリング現象の影響を受けて圧力の変動幅が大きくなること等が要因となる。したがって、許容圧力範囲はバブリング現象の有無で設定するのが望ましい。LED21が点滅等で水の滞留を報知するので、早期に水抜き等の応急措置を取ることができ、保安機能への影響を抑えることができる。
〔ケースC;増幅率(またはガスの流量)と計測モード〕
ケースCは、RAM114に記憶された増幅率がROM116に記憶された基準増幅率以上になること(第5条件)と、モード切替手段によって切り替えられた脈動モードが単位時間あたりに所定割合(例えば70%等)を超えること(第6条件)のうちで一方または双方の条件を満たすか否かで判断する。三つのパターンのいずれかを満たしたとき、CPU100はLED21を点滅等させて報知する。報知を的確に行うため、パターンごとに実験等を行って、最適な基準増幅率や所定割合の各値をROM116に記憶するのが望ましい。
例えば、ケースAと同様に意図的にガスに水分を含めて、ガスの流路で水が滞留するように設定した実験例を図9に表す。当該図9は、左縦軸に瞬時流量を表し、右縦軸に増幅率を表し、横軸に水の滞留量(実験では経過時間)を表す。ケースAと同様に基準増幅率の「Gs」と、許容流量範囲の「Fr(上下方向の半目盛り分)」とを設定する。この仮定の下では、水の滞留量Vbに達すると上記条件を満たすので、CPU100はLED21で点滅等させて報知する。こうしてLED21が点滅等で水の滞留を報知するので、早期に水抜き等の応急措置を取ることができ、保安機能への影響を抑えることができる。本例の滞留量Vbは、ケースAと同様に図4に表す計測管40の下側部分(6分の1程度の高さ)を浸す量である。
〔その他のケース〕
上述したケースA,B,Cはそれぞれ個別に判断するほか、二以上のケースを組み合わせて判断してもよい。例えば、ケースAとケースBの組み合わせ、ケースAとケースCの組み合わせ、ケースBとケースCの組み合わせ、ケースA,B,Cの全部などが該当する。すなわちガスメータ10が設置される環境(例えば地域,気温,湿度等)、計測対象となるガスの種類などに応じて最適な条件やケースを選択する。こうすることで、水の滞留をより的確に報知することができる。
また、ガスが流れないときに計測する値(流量がない場合)と、ガスが流れるときに計測する値(流量がある場合)との差を表す変動値が許容範囲を超えるか否かを判断してもよい。例えば、ケースA,BではCPU100で算出したガスの流量(瞬時流量を含む)が許容流量範囲を超えて変化するか否かを判断するが、流量変動が許容範囲を超えるか否かを判断してもよい。流量変動は、ガスが流れないときに計測する流量と、ガスが流れるときに計測する流量との差を表す。同様にケースBでは圧力センサ30で検出したガスの圧力が許容圧力範囲を超えて変化するか否かを判断するが、圧力変動が許容範囲を超えるか否かを判断してもよい。圧力変動は、ガスが流れないときに計測する圧力と、ガスが流れるときに計測する圧力との差を表す。いずれの場合も大きな変動があった場合にはガスの流路に水が滞留していることが多いので、LED21で報知する。
〔水以外の物体を検出するケース〕
上述したケースA,B,Cおよびその他のケースはいずれもガスの流路に滞留した水を検出してLED21により報知するが、ガスの流路に存在するダストや他の物体等を検出してLED21により報知することも可能である。
例えばダストが所定部位(例えば超音波送受信センサ32a,32bやガスの流路に備えたメッシュなど)に付着すると、増幅率やガスの瞬時流量等がケースA,B,Cと同様に変化するが、圧力はほとんど(あるいは全く)変化しない。すなわち水の滞留とは検出態様が異なる。ケースA,B,Cと同様にLED21を表示して報知してもよいが、水の滞留とは異なる検出態様である場合にはLED21の表示形態を変えて報知するのが望ましい。例えば、水の滞留かダストの付着かで発光色を異ならせる表示形態や、水の滞留なら点灯してダストの付着なら点滅する表示形態などが該当する。ダストの付着に限らず、他の物体が存在する場合も同様である。こうしてLED21の表示形態を変えれば、水の滞留なのか、ダストの付着なのか、他の物体が存在するのかを一目で判断できるので、すぐに対応する適切な応急措置を取れる。いずれにせよガスメータ10におけるガスの流路を点検する必要がある点で、LED21は要点検事態の発生を報知することができる。
上述した実施の形態によれば、以下に表す各効果を得ることができる。
(1)制御基板26(流量算出手段)で算出したガスの瞬時流量が許容流量範囲「Fr」を超えて変化することの条件(第1条件)を満たすと、LED21によってガスの流路に水が滞留したことを報知した(ケースA;図7を参照)。こうしてLED21が水の滞留を報知するので、早期に水抜き等の応急措置を取ることができ、保安機能への影響を抑えることができる。また、二重構造の内管と外管や親水性材料等が不要であるので、コストを抑えられる。
(2)(1)の第1条件に加えて、制御基板26(増幅率制御手段)で制御した増幅率が基準増幅率「Gs」以上になることの条件(第2条件)を満たすと、LED21によってガスの流路に水が滞留したことを報知した(ケースA;図7を参照)。この場合も(1)と同様に、早期に水抜き等の応急措置を取ることができ、保安機能への影響を抑えることができ、コストを抑えられる。
(3)上述した(1)の第1条件および(2)の第2条件のうちで一方または双方を満たし、さらに制御基板26(流量算出手段)で算出したガスの流量が基準流量以上になること(第3条件)と、圧力センサ30で検出したガスの圧力が許容圧力範囲「Pr」を超えて変化すること(第4条件)のうちで一方または双方の条件を満たすと、LED21で報知した。流量算出手段および圧力センサ30が必要となるものの、条件を重畳させることでガスの流路に水が滞留したことをより的確に報知することができる。
(4)制御基板26(流量算出手段)で算出したガスの流量が基準流量以上になること(第3条件)と、圧力センサ30で検出したガスの圧力が許容圧力範囲「Pr」を超えて変化すること(第4条件)のうちで一方または双方の条件を満たすと、LED21によってガスの流路に水が滞留したことを報知した(ケースB;図8を参照)。こうしてLED21が水の滞留を報知するので、早期に水抜き等の応急措置を取ることができ、保安機能への影響を抑えることができる。また、二重構造の内管と外管や親水性材料等が不要であるので、コストを抑えられる。
(5)制御基板26(増幅率制御手段)で制御した増幅率が基準増幅率「Gs」以上になることと、制御基板26(モード切替手段)によって切り替えられた脈動モードが単位時間あたりに所定割合を超えることのうちで一方または双方の条件を満たすと、LED21によってガスの流路に水が滞留したことを報知した(ケースC;図9を参照)。こうしてLED21が水の滞留を報知するので、早期に水抜き等の応急措置を取ることができ、保安機能への影響を抑えることができる。また、二重構造の内管と外管や親水性材料等が不要であるので、コストを抑えられる。
なおケースCは、CPU100で算出したガスの流量がROM116に記憶された基準流量以上になることとモード切替手段によって切り替えられた脈動モードが単位時間あたりに所定割合を超えることのうちで一方または双方の条件を満たすか否かで判断してもよい。この判断に従った場合でも同様の作用効果が得られる。
〔他の実施の形態〕
以上では本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明は当該形態に何ら限定されるものではない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。例えば、次に示す各形態を実現してもよい。
(1)上述した実施の形態では、ガスの流路に水が滞留しているか否かを判断する判断処理は3つのケースで行った(図7〜図9を参照)。この形態に代えて、他の判断要素を組み合わせてガスの流路に水が滞留しているか否かを判断してもよい。すなわち、RAM114に記憶された増幅率がROM116に記憶された基準増幅率以上になること(判断要素1)、CPU100で算出したガスの流量がROM116に記憶された許容流量範囲を超えて変化すること(判断要素2)、CPU100で算出したガスの流量がROM116に記憶された基準流量以上になること(判断要素3)、圧力センサ30で検出したガスの圧力が許容圧力範囲を超えて変化すること(判断要素4)、モード切替手段によって切り替えられた脈動モードが単位時間あたりに所定割合を超えること(判断要素5)のうちで、ケースA,B,Cにない判断要素の組み合わせで判断を行うように構成する。この構成であっても、ガスの流路に水が滞留しているか否かを的確に判断できる。
(2)上述した実施の形態では、第1報知手段,第2報知手段としてLED21を適用した(図1を参照)。この形態に代えて、表示器20を適用してもよく、他の報知手段(例えばランプ,スピーカ,発信装置等)を適用してもよい。いずれの報知手段にせよ、ガスの流路に水が滞留したことを認識させることができる。
(3)上述した実施の形態では、流入口12と流出口14とを上面に配置にしてほぼU字型の流路を構成した(図1を参照)。この形態に代えて、流入口12と流出口14とを底面に配置して逆U字型の流路を構成したり、流入口12と流出口14とを側面に配置して⊂(または⊃)字型の流路を構成してもよい。いずれの構成にせよ、ガスの流路に水が滞留する限り、上述した実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
(4)上述した実施の形態では、増幅率を変化させて制御を行う増幅率制御手段(具体的には制御基板26におけるCPU100および増幅回路)を備えたガスメータ10に適用した(図5を参照)。この形態に代えて、一定値の増幅率で信号を増幅する増幅率制御手段を備えたガスメータ10に適用してもよい。この場合、例えば受信振幅が所定値より小さくなると、ガスの流路に水が滞留したとしてLED21で報知すればよい。したがって、上述した実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
ガスメータの外観例を表す正面図である。 ガスメータの外観例を表す平面図である。 ガスメータの構成例を説明する分解斜視図である。 図2のIV−IV線矢視の断面図である。 制御基板を中心とした構成例を表すブロック図である。 超音波送受信センサが受信した超音波の波形例を表す図である。 ケースAによる判断例を表す図である。 ケースBによる判断例を表す図である。 ケースCによる判断例を表す図である。
符号の説明
10 ガスメータ
12 流入口
14 流出口
16 正面パネル部材
18 復帰ボタン
20 表示器
21 LED(第1報知手段,第2報知手段)
22 流路部材
24 背面パネル部材
26 制御基板(流量算出手段,第1報知手段,第2報知手段)
28 電源パック
30 圧力センサ
32 超音波伝播手段
32a,32b 超音波送受信センサ(送信器,受信器)
34 遮断弁
36,38 整流板
36b,38b 通路穴
40 計測管
42 底面パネル部材
42a 凸部
44 整流板群
100 CPU
102 入出力切替器
104 切替回路
106,118,120,122 出力回路
108,110 入力回路
112 バス
114 RAM(記憶手段)
116 ROM(記憶手段)
K 空間部

Claims (2)

  1. 流入口から流出口に至るガスの流路としてほぼU字型の筒状に形成された流路部材と、
    前記流路部材で形成されるガスの流路内に配置され、ガスの通過断面がほぼ矩形となるように形成された計測管と、
    前記計測管における上流側と下流側とに設けた送信器と受信器との間で超音波を伝播させる超音波伝播手段と、
    前記超音波伝播手段における超音波の送受信に基づいて、前記計測管内を流れるガスの流量を算出する流量算出手段とを備えたガスメータであって、
    前記流量算出手段で算出したガスの瞬時流量が許容流量範囲を超えて変化することの条件を満たすと、前記ガスの流路に水が滞留したことを報知する第1報知手段とを有するガスメータ。
  2. 請求項1に記載したガスメータであって、
    送信器から超音波を送信する際の増幅率と、受信器で超音波を受信する際の増幅率とのうちで一方または双方を制御する増幅率制御手段を有し、
    第1報知手段は、さらに前記増幅率制御手段で制御した増幅率が基準増幅率以上になることの条件を満たすと、ガスの流路に水が滞留したことを報知するガスメータ。
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