JP5148134B2 - 高架橋柱の最大応答部材角測定装置及び高架橋柱の損傷レベルの評価方法 - Google Patents
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Description
一方、柱端部に生じる最大応答部材角と損傷レベルの関係は概ね把握されている(下記非特許文献1および3参照)ため、最大応答部材角を効率的に測定することが出来れば、地震時の柱の損傷レベルを早期に評価することが可能となり、被災後の復旧作業の効率化や、「ダウンタイム」の減少が期待できる。
財団法人鉄道総合技術研究所編:鉄道標準〔耐震設計〕 橋梁及び高架橋耐震照査の手引き、研友社,2006 財団法人鉄道総合技術研究所編:鉄道構造物等設計標準・同解説(耐震設計),丸善,1999 下見成明,松井義昌、新川秀一、中泉義政:「最大ひずみ記憶センサーを用いた橋梁の診断技術」,「耐震補強・補修技術,耐震診断技術に関するシンポジウム」講演論文集,Vol.3,pp.143−150,1999
〔1〕高架橋柱の最大応答部材角測定装置において、基礎に構築される高架橋柱と、この高架橋柱の下部に位置し、この高架橋柱に沿って固定される測定棒と、前記高架橋柱に支持されて水平方向に延びる固定材と、この固定材の移動に伴って移動可能であり、この固定材の移動後に前記測定棒に係合保持される移動材を具備し、前記固定材の移動量で高架橋柱の最大応答部材角を測定することを特徴とする。
〔5〕上記〔1〕〜〔4〕の何れか一項に記載の高架橋柱の最大応答部材角測定装置において、前記固定材を前記高架橋柱の両側に配置することを特徴とする。
〔6〕上記〔1〕〜〔4〕の何れか一項に記載の高架橋柱の最大応答部材角測定装置において、前記固定材を前記高架橋柱の四方に配置することを特徴とする。
〔8〕高架橋柱の最大応答部材角測定方法において、基礎に構築される高架橋柱の下部に位置し、この高架橋柱に沿って固定される測定棒と、前記高架橋柱に支持されて水平方向に延びる固定材と、この固定材の移動に伴って移動可能であり、該固定材の移動後に前記測定棒に係合保持される移動材を配置し、前記測定棒に対して移動する前記固定材の移動量に基づいて前記高架橋柱の最大応答部材角を測定し、前記高架橋柱の損傷レベルを評価することを特徴とする。
(1)無電源方式の機械的センサーを用いることにより簡便に高架橋柱の最大変形量の測定、つまり最大応答部材角又は最大応答部材の垂直方向への変位量の測定を実施することができる。
(2)目視による損傷の把握が困難な鋼板巻き補強を含むRC高架橋柱の最大応答部材角を測定することができる。
図1は本発明の第1実施例を示す高架橋柱の最大応答部材角測定装置による最大応答部材角の計測状態を示す模式図、図2は図1における機械的センサーの詳細な構成図である。
これらの図において、1は基礎、2は高架橋柱、3はその高架橋柱2を補強するために巻立てられた鋼板、4は鋼板3から水平方向に延びる固定材、5は基礎1に植設された高架橋柱2の下部に位置し、この高架橋柱2に沿って固定される測定棒、6は測定棒5に係合し、固定材4を挟むように配置される移動材である。また、測定棒5の円周面にはラチェット爪5Aが形成されており、ある一方向への移動材6の移動を許容するが、その反対方向への移動材6の移動は阻止するようにしている。
図1(a)は高架橋柱2が直立している初期状態を示している。そこで、地震が発生して、例えば、図1(b)に示すように、高架橋柱2が+側に最大に変形(傾斜)する。すると、固定材4は時計周り方向に傾斜して、高架橋柱2の左側では、測定棒5に係合している上側の移動材6が上方へ移動し、その最大に変形した位置に上側の移動材6は保持される。高架橋柱2の右側では、測定棒5に係合している下側の移動材6が下方へ移動し、その最大に変形した位置に下側の移動材6は保持される。また、図1(c)に示すように、高架橋柱2が−側に最大に変形(傾斜)する。すると、固定材4は反時計周り方向に傾斜して、高架橋柱2の左側では、測定棒5に係合している下側の移動材6が下方へ移動し、その最大に変形した位置に下側の移動材6は保持される。高架橋柱2の右側では、測定棒5に係合している上側の移動材6が上方へ移動し、その最大に変形した位置に上側の移動材6は保持される。
図3は本発明の第1実施例の第1の変形例を示す高架橋柱の最大応答部材角測定装置による最大変形量の計測状態を示す模式図、図4は図3における機械的センサーの詳細な構成図である。
これらの図において、11は基礎、12は高架橋柱、13はその高架橋柱12を補強するために巻立てられた鋼板、14は鋼板13から水平方向に延びる固定材、15は基礎11に植設された高架橋柱12の下部に位置し、この高架橋柱12に沿って固定される測定棒、16は測定棒15に係合し、固定材14を挟むように配置される移動材である。ここでも、測定棒15の円周面にはラチェット爪15Aが形成されており、ある一方向への移動材16の移動を許容するが、その反対方向への移動材16の移動は阻止するようにしている。
図5は本発明の第1実施例の第2の変形例を示す高架橋柱の最大応答部材角測定装置による最大変形量の計測状態を示す模式図、図6は図5における機械的センサーの詳細な構成図である。
これらの図において、21は基礎もしくは上層梁、22は高架橋柱、23はその高架橋柱22を補強するために巻立てられた鋼板、24は鋼板23から水平方向に延びる固定材、25は基礎21に植設された高架橋柱22の下部に位置し、この高架橋柱22に沿って固定される測定棒、26は測定棒25に係合し、固定材24を挟むように配置される移動材である。ここでも、測定棒25の円周面にはラチェット爪25Aが形成されており、ある一方向への移動材26の移動を許容するが、その反対方向への移動材26の移動は阻止するようにしている。
図7は本発明の第2実施例を示す高架橋柱の最大変形量測定装置(最大応答部材垂直方向への変位量測定装置)による最大変形量の計測状態を示す模式図、図8は図7における機械的センサーの詳細な構成図である。
図7(a)は高架橋柱32が垂直方向へ変位していない初期状態を示している。そこで、例えば、図7(b)に示すように、高架橋柱32に残留変形が生じると、固定材34は下又は上へ移動して、移動材36を移動させることになる。すなわち、高架橋柱32に残留変形が生じて垂直方向の下方に移動材36が移動すると、左右の移動材36の下方への移動により左右の下側の移動材36は下方へ移動する。また、高架橋柱32に残留変形が生じて垂直方向の上方に移動材36が移動すると、左右の移動材36の上方への移動により左右の上側の移動材36は上方へ移動する。いずれの移動材36も高架橋柱32の最大変形位置で保持される。
この変形例では、高架橋柱32の鋼板33に固定される固定材34には測定棒41を挟む移動材42を配置するようにしている。ここで、例えば、固定材34はU字形状にして、移動材42が一体化されるが、固定材34は測定棒41には接触しないように配置されている。ここでも、測定棒41と移動材42との係合面にはラチェット爪41Aが形成されており、ある一方向への移動材42の移動を許容するが、その反対方向への移動材42の移動は阻止するようにしている。
なお、上記した各実施例の固定材の高架橋柱への取り付けは、図示しないが鋼板に巻き付けられるバンドと一体になった固定材とするようにしてもよいし、鋼板に溶接により固定するようにしてもよい。
本発明の装置から計測データを伝送する無線LAN方式もしくはRF−ID方式の伝送システムと、この伝送システムから計測データを取込み、図10(非特許文献3参照)を参考にして、高架橋柱の損傷のレベルの評価を行う評価システムを具備することも可能である。
2,12,22,32 高架橋柱
3,13,23,33 鋼板
4,14,24,34 固定材
5,15,25,35,41 測定棒
6,16,26,36,42 移動材
5A,15A,25A,35A,41A ラチェット爪
Claims (9)
- (a)基礎に構築される高架橋柱と、
(b)該高架橋柱の下部に位置し、該高架橋柱に沿って固定される測定棒と、
(c)前記高架橋柱に支持されて水平方向に延びる固定材と、
(d)該固定材の移動に伴って移動可能であり、該固定材の移動後に前記測定棒に係合保持される移動材を具備し、前記固定材の移動量で高架橋柱の最大応答部材角を測定することを特徴とする高架橋柱の最大応答部材角測定装置。 - (a)基礎に構築される高架橋柱と、
(b)該高架橋柱の下部に位置し、該高架橋柱に沿って固定される測定棒と、
(c)前記高架橋柱に支持されて水平方向に延びる固定材と、
(d)該固定材の移動に伴って移動可能であり、該固定材の移動後に前記測定棒に係合保持される移動材を具備し、前記固定材の移動量で高架橋柱の最大応答部材の垂直方向の変位量を測定することを特徴とする高架橋柱の最大応答部材角測定装置。 - (a)基礎に構築される高架橋柱と、
(b)該高架橋柱の下部に位置し、該高架橋柱に沿って固定される測定棒と、
(c)前記高架橋柱に支持されて水平方向に延びる固定材と、
(d)該固定材の移動に伴って移動可能であり、該固定材の移動後に前記測定棒に係合保持される移動材を具備し、前記測定棒と前記移動材とは一方向に係合するラチェット爪を有することを特徴とする高架橋柱の最大応答部材角測定装置。 - 請求項3記載の高架橋柱の最大応答部材角測定装置において、前記ラチェット爪が前記測定棒に形成されて、移動量を示す目盛を兼ねることを特徴とする高架橋柱の最大応答部材角測定装置。
- 請求項1〜4の何れか一項に記載の高架橋柱の最大応答部材角測定装置において、前記固定材を前記高架橋柱の両側に配置することを特徴とする高架橋柱の最大応答部材角測定装置。
- 請求項1〜4の何れか一項に記載の高架橋柱の最大応答部材角測定装置において、前記固定材を前記高架橋柱の四方に配置することを特徴とする高架橋柱の最大応答部材角測定装置。
- 請求項1〜6の何れか一項に記載の高架橋柱の最大応答部材角測定装置において、前記高架橋柱は鋼板巻立て、連続繊維巻立て、プレキャスト部材巻立て補強などの補強柱全般を含むことを特徴とする高架橋柱の最大応答部材角測定装置。
- (a)基礎に構築される高架橋柱の下部に位置し、該高架橋柱に沿って固定される測定棒と、前記高架橋柱に支持されて水平方向に延びる固定材と、該固定材の移動に伴って移動可能であり、該固定材の移動後に前記測定棒に係合保持される移動材を配置し、
(b)前記測定棒に対して移動する前記固定材の移動量に基づいて前記高架橋柱の最大応答部材角を測定し、前記高架橋柱の損傷レベルを評価することを特徴とする高架橋柱の最大応答部材角測定方法。 - (a)基礎に構築される高架橋柱の下部に位置し、該高架橋柱に沿って固定される測定棒と、前記高架橋柱に支持されて水平方向に延びる固定材と、該固定材の移動に伴って移動可能であり、該固定材の移動後に前記測定棒に係合保持される移動材を配置し、
(b)前記測定棒に対して移動する前記固定材の移動量に基づいて前記高架橋柱の最大応答部材の垂直方向の変位量を測定し、前記高架橋柱の損傷レベルを評価することを特徴とする高架橋柱の最大応答部材角測定方法。
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