JP5147928B2 - 回転電機および電気自動車 - Google Patents

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Description

本発明は、回転電機、およびその回転電機を備えた電気自動車に関する。
電気自動車やハイブリッド自動車に用いられる駆動用モータには大出力が求められるため、強力なエネルギーを保持する希土類の焼結磁石を用いた永久磁石式モータが一般に用いられている。駆動用モータには、永久磁石モータの内でも、低速大トルク、かつ、広範囲な回転速度領域という要求を満たすことができる埋込み磁石式モータが利用されている。
ところで、モータのトルク脈動は、騒音や振動の原因となり、特に、電気自動車では低速側におけるトルク脈動が乗り心地を悪化させるという問題がある。従来のモータでは、コギングトルク低減のために、永久磁石の配置に関しスキューを施す対策が一般的に採用されている。また永久磁石の配置をスキューさせるのではなく、特許文献1に記載されている回転電機では、コギングトルク低減のために、埋め込んでいる磁石の外周側すなわち磁極片の外周面に溝を設け、この溝を回転軸方向に沿ってみた場合に回転方向に於いてずらして形成する方法を提案している。
特開2005−176424号公報
回転電機のトルク脈動の発生には、回転子内に設けられた永久磁石が発生する磁束が固定子を通り再び回転子に戻る磁気回路に起因するコギングトルクと、固定子電流が発生する回転磁束に起因するものとが有る。上記特許文献1は上述のコギングトルクを低減する技術である。
本発明は、上述の固定子電流により発生する回転磁束に起因する脈動を低減するものである。
上述の特許文献1に記載の方法により本発明が解決しようとする固定子電流によるトルク脈動を低減しようとすると、コギングトルクを適切に低減することが非常に難しくなる。すなわち、特許文献1に記載の方法はコギングトルク低減であるが、この考えを更に固定子電流に起因するトルク脈動の低減に応用しようとすると、もともとのコギングトルクの低減が適切に行えない問題がある。
一般に提案されているトルク脈動低減技術は、コギングトルクと固定子電流に起因するトルク脈動の両方に同じような影響を与え、結果的に上記両方のトルク脈動の低減を図るには両方の影響を考慮して対応することが必要となり、両方を簡単に解決することが困難であった。
発明者らは、コギングトルクへの影響が少ない構成あるいは方法で固定子電流に起因するトルク脈動を低減できれば、トルク脈動全体の低減、そのための調整がより容易となると考えた。例えばコギングトルクを低減し、それに加え固定子電流に起因するトルク脈動を低減できればトルク脈動全体を低減することが容易となる。
本発明の目的はコギングトルクへの影響が少ない方法あるいは構成で、固定子電流に起因するトルク脈動を低減できる技術を提供することである。
本発明による回転電機は、短節巻で巻回された固定子巻線を有する固定子と、周方向に配設された複数の磁石、および、該複数の磁石の各極間に磁気的補助突極部が形成された複数の分割コアを軸方向に積層した回転子コアを有し、固定子に対して回転自在に配設された回転子と、をえている。そして、各分割コアに形成された前記複数の磁気的補助突極部の各々には、該磁気的補助突極部の突極中心を通るq軸から周方向にずれた位置に、回転子の軸方向に沿って磁気的空隙が設けられ、磁気的空隙のq軸からのずれ量を複数の分割コア毎に設定するとともに、複数の分割コアの前記ずれ量のそれぞれを、回転子の通電時トルク脈動に含まれる12次のトルク脈動が低減されるように設定した。このような構成とすることで通電時のトルク脈動の低減を図ることができる
本発明によれば、固定子巻線に供給される固定子電流に関係して発生するトルク脈動を、コギングトルクへの影響が少ない方法あるいは構造で低減することができる。
本発明の一実施の形態の回転電機を搭載したハイブリッド型電気自動車の概略構成を示す図である。 電力変換装置600の回路図を示す図である。 本実施の形態の回転電機の断面図である。 固定子230の外観を示す斜視図である。 固定子鉄心252を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は分解斜視図である。 固定子230および回転子250の断面を示す図であり、(a)はコア301の部分を通るA−A断面図、(b)はコア302の部分を通るB−B断面図である。 永久磁石254bの付近を拡大して示した図であり、(a)はA−A断面の場合を示し、(b)はB−B断面の場合を示す。 リラクタンストルクを説明する図である。 非通電時の磁束分布を示す図である。 悲通電時の特性を示す図であり、(a)はコギングトルクの波形を示し、(b)は有機電圧の波形を示す。 通電時のA−A断面における磁束分布を示す図である。 通電時のB−B断面における磁束分布を示す図である。 通電時のトルク脈動の波形を示す図である。 コギングトルク低減を説明する図であり、固定子232と回転子250の一部を示す断面図である。 磁石極弧度τm/τpの比とコギングトルクとの関係を示す図である。 磁石極弧度τm/τpおよび磁石穴極弧度τg/τpを変化させた場合の最大トルクを示すである。 スキューが施された回転子250の斜視図であり、(a)は回転子250を軸方向に2つに分割する場合を示し、(b)は回転子250を軸方向に3つに分割する場合を示す。 積み上げてスキューさせる方法を示す図であり、4種類の方法を(a)〜(d)に示す。 連続的なスキューを示す図であり、(a)はスキュー方向を途中で逆転する場合を示し、(b)一方向にスキューさせる場合を示す。 表面磁石タイプの回転子250の断面図である。 集中巻きの場合の固定子232,回転子250を示す断面図である。 第2の実施の形態における回転子250の断面図であり、(a)はA−A断面に対応し、(b)はB−B断面に対応する。 第2の実施の形態における回転子250の他の例を示す断面図であり、(a)はA−A断面に対応し、(b)はB−B断面に対応する。 一対の永久磁石254をV字形状に配置した回転子250を示す断面図である。 第3の実施の形態における回転子250を示す断面図であり、(a)はA−A断面に相当し、(b)はB−B断面に相当する。 ハウジング234内に冷却用の油403を有する回転電機の断面図である。 第4の実施の形態を示す回転子鉄心252の外観図である。 第4の実施の形態のコア301の部分断面図である。 第4の実施の形態のコア302の部分断面図である。 第4の実施の形態のさらに部分的に異なるコア301の部分断面図である。 第4の実施の形態のさらに部分的に異なるコア302の部分断面図である。 図31に示すコア301の部分説明図である。
以下に説明する実施の形態では、上述の発明の目的に対する課題の解決のみならず、それ以外の課題をも解決することができる。上述の発明の目的と重なる部分もあるが、以下の実施の形態が解決する代表的な課題と課題解決に関係する基本的な構成を次に説明する。
〔自動車用駆動回転電機としての良好なトルク特性〕
自動車駆動用回転電機は、回転開始状態あるいは低速回転領域で大きなトルク出力が要求される。さらに、回転電機の高速回転域においてもトルク出力が要求される。例えば6000rpm以上でのトルク出力は当然であり、10000rpm以上でのトルク出力が望まれており、12000rpmで電動機として使用できれば自動車駆動がより好ましい状況となる。
回転開始状態を含む低速回転領域でのトルク出力を永久磁石による磁石トルクにより発生しようとすると、磁石の使用量が多くなる。更にまた高速回転域で上記永久磁石が発生する磁束に基づいて誘起される誘起電圧が高くなり、電源電圧を非常に高くしないと電力を回転電機に供給することが困難となる。すなわち電源電圧をむやみに高めることが困難なため、比較的高速回転域、例えば6000rpm以上でのトルク出力が困難となる。
以下に説明する実施の形態では、上記永久磁石の軸をd軸とした場合のq軸の磁気抵抗を小さくし、大きなリラクタンストルクを発生する構造としている。要求トルクを磁石トルクとリラクタンストルクの両方のトルクで満たす構造としているので、磁石トルクの割合を少なくできる。例えば、要求トルクの30%から50%程度あるいはそれ以上の55%程度をリラクタンストルクが受け持つことができれば、その分磁石トルクを減少させることができ永久磁石の量を少なくできる。高速回転時の永久磁石による誘起電圧を低減でき、高速回転においてもインバータからの電力供給が容易となり、高速回転での回転トルクの発生が可能となる。以下の実施形態の回転電機はリラクタンストルクを効率良く発生できる構造となっており、低速回転領域で大きな回転トルクが得られるだけでなく、上述の高速回転域でも回転トルク出力が可能となる。
車両を駆動できる領域が広がることで、例えばハイブリッド車両の場合、エンジンが受け持つ回転領域を狭くした車の運転が可能となり、車の燃費の向上に繋がる。さらに永久磁石量の低減は回転電機の無負荷損失を低減でき、車両走行の効率向上に繋がる。
〔小型化〕
車両用駆動回転電機においては、上記のトルク特性の他に回転電機の体積の小型が望ましい。以下の実施の形態では回転子の磁極数が8極以上となっており、小型高出力の点で優れている。また回転子の磁極数が8極以上となっていることで、固定子に生じる磁気回路が固定子鉄心の回転子寄りに形成される傾向となり、固定子鉄心の半径方向の長さを短くできる効果がある。このことから固定子の半径方向の長さ、すなわち回転軸に垂直な断
面での中心軸を通る径方向の寸法が小さくなる効果がある。
〔脈動低減〕
上述の発明の効果および発明が解決しようとする課題でトルク脈動の低減について記載したが、下記の実施の形態が解決するトルク脈動の低減について更に具体的に説明する。下記の実施の形態ではコギングトルクの低減と固定子電流に起因するトルク脈動の低減とのそれぞれを低減できる。以下それぞれについて説明する。
(1)コギングトルクの低減
回転子鉄心に永久磁石を内蔵した構造では永久磁石の回転方向端部(周方向端部と記載する場合有り)で、回転子と固定子との間のギャップの回転方向における磁束密度が急激に変化する傾向があり、コギングトルクの原因となる。以下の実施の形態では、永久磁石により形成される回転子磁極(界磁極)の端部に対応する永久磁石の端部に磁気的空隙257を設けており、この磁気的空隙257により、上述した回転子と固定子との間のギャプにおける回転方向での磁束密度の急激な変化を低減できる効果がある。この磁気的空隙257によりコギングトルクを低減できる効果がある。
(2)固定子電流に起因する脈動の低減
以下の実施の形態ではq軸の磁気回路を形成する補助磁極(補助突極部259)に磁気的空隙258を形成し、回転軸方向沿って見た場合に、該磁気的空隙258の位置が回転方向に変化している構造を有している。このような構造を有することで固定子電流に起因する脈動を低減することができる。
(3)コギングトルクに影響を与えない構造による、固定子電流に起因する脈動の低減
従来行われているトルク脈動の低減技術は、コギングトルクと固定子電流に起因する脈動との両方に影響を与える。コギングトルクを低減しようとすると固定子電流に起因する脈動の低減効果が不十分であったり、その逆であったりする。このため両方のトルク脈動が低減できそうな条件を、実験を繰り返すことで見付けることが必要であった。すなわち固定子電流に起因する脈動の低減に最適な条件を見付けても、その条件がコギングトルク低減の好ましい条件かどうかが疑問であり、好ましくない条件となることも多々あった。従って、両方のトルク脈動を低減できる条件を見つけ出すことがたいへん難しかった。また好ましい条件が見付ったとしても、上記好ましい条件は色々な要因で変わるため、新たな回転電機がデザインされるたびに、上記実験を繰り返すことが必要となる。上述の(2)に記載の解決策はコギングトルクへの影響が非常に少ないので、固定子電流に起因する脈動の低減についての条件を調整した場合に、その調整内容によりコギングトルクの状態が悪化する可能性が少ない。このため、トルク脈動の低減がたいへん容易となる効果がある。
〔回転電機の効率向上〕
さらに、以下に説明する実施の形態では磁気ブリッジ部を長くできるので、永久磁石の漏洩磁束を低減でき効率向上に繋がる。また、磁気ブリッジ部を界磁極両端に設けた磁気的空隙257あるいは溝282に沿って形成できるので、応力の集中を防ぐことができ、結果として磁束断面積を小さくでき、効率向上に繋がる。
〔生産性の向上〕
以下に示す実施の形態の形状は珪素鋼板をパンチングにより生産できるので、生産性に優れている。また以下に説明するコア301とコア302とは対象形状であり、パンチング成形された珪素鋼板を裏返すことで他方のコアとして使用できる。結果的に生産するコアの種類を少なくでき、生産性が向上する。
また、以下に示す実施の形態では、回転子の軸方向に沿って挿入された磁石が周方向にずれて配置されていない、または周方向にずれている箇所が少ないため、磁化作業が容易になり、生産性が向上する。後述のように永久磁石は磁化した後に回転子鉄心に埋め込んでも良いし、磁化する前に回転子鉄心に挿入してその後に強力な磁界を与えて磁化するようにしても良いが、後者の方が磁石挿入の際に磁石の吸引力によって挿入作業が妨げられず、またごみなどの付着が低減できるので、より生産性が向上する。このような磁化方法をとった場合、磁石が軸方向に分割されて互いに周方向にずれていると、磁化性能向上の
ため分割されている磁石ごとに磁化した方が良い場合がある。以下に示す実施の形態では磁石が軸方向に分割されていない、または分割数が少ないため、磁化作業の回数が低減でき、生産性が向上する。また、軸方向に伸びている磁石を一度に磁化する場合、磁石が軸方向に分割されて互いに周方向にずれている場合に比較して、磁化装置との距離の大きさの違いなどの影響による磁化のムラが生じにくく、磁石性能の向上、及び生産性の向上といった効果が得られる。
以下、図を参照して発明を実施するための最良の形態について説明する。本発明による回転電機は、以下に説明するように、非通電時におけるコギングトルクと通電時におけるトルク脈動とをそれぞれ抑えることができ、小型、低コスト、低トルク脈動が実現できる。そのため、例えば、電気自動車の走行用モータとして好適であり、低振動、低騒音で乗り心地の良い電気自動車を提供することができる。本発明による回転電機は、回転電機のみによって走行する純粋な電気自動車や、エンジンと回転電機の双方によって駆動されるハイブリッド型の電気自動車にも適用できるが、以下ではハイブリッド型の電気自動車を例に説明する。
―第1の実施の形態―
図1は、本発明の一実施の形態の回転電機を搭載したハイブリッド型電気自動車の概略構成を示す図である。車両100には、エンジン120と第1の回転電機200と第2の回転電機202とバッテリ180とが搭載されている。バッテリ180は、回転電機200,202による駆動力が必要な場合には回転電機200,202を駆動するための電力変換装置(インバータ装置)600に直流電力を供給し、電力変換装置600は直流電力を交流電力に変換して回転電機200、202にそれぞれ供給する。一方回生走行時には回転電機200,202が車両の運動エネルギーに基づいて交流電力を発生し、前記電力変換装置600に供給する。前記電力変換装置600は交流電力を直流電力に変換し、バッテリ810に供給する。また、図示していないが、車両には低電圧電力(例えば、14ボルト系電力)を供給するバッテリが搭載されており、以下に説明する制御回路に定電圧の直流電力を供給する。
エンジン120および回転電機200,202による回転トルクは、変速機130とデファレンシャルギア132を介して前輪110に伝達される。変速機130は変速機制御装置134により制御され、エンジン120はエンジン制御装置124により制御される。バッテリ180は、バッテリ制御装置184により制御される。変速機制御装置134、エンジン制御装置124、バッテリ制御装置184、電力変換装置600および統合制御装置170は、通信回線174によって接続されている。
統合制御装置170は、統合制御装置170より下位の制御装置である、変速機制御装置134,エンジン制御装置124,電力変換装置600およびバッテリ制御装置184から、それぞれの状態を表す情報を、通信回線174を介して受け取る。統合制御装置170は、これらの情報に基づき各制御装置の制御指令を演算する。演算された制御指令は通信回線174を介してそれぞれの制御装置へ送信される。
高電圧のバッテリ180はリチウムイオン電池あるいはニッケル水素電池などの2次電池で構成され、250ボルトから600ボルト、あるいはそれ以上の高電圧の直流電力を出力する。バッテリ制御装置184は、バッテリ180の放電状況やバッテリ180を構成する各単位セル電池の状態を、通信回線174を介して統合制御装置170に出力する。
統合制御装置170は、バッテリ制御装置184からの情報に基づいてバッテリ180の充電が必要と判断すると、電力変換装置600に発電運転の指示を出す。また、統合制
御装置170は、主に、エンジン120および回転電機200,202の出力トルクの管理、エンジン120の出力トルクと回転電機200,202の出力トルクとの総合トルクやトルク分配比の演算処理、その演算処理結果に基づく変速機制御装置134,エンジン制御装置124および電力変換装置600への制御指令の送信を行う。電力変換装置600は、統合制御装置170からのトルク指令に基づき、指令通りのトルク出力あるいは発電電力が発生するように回転電機200,202を制御する。
電力変換装置600には回転電機200,202を運転するためにインバータを構成するパワー半導体が設けられている。電力変換装置600は、統合制御装置170からの指令に基づきパワー半導体のスイッチング動作を制御する。このようなパワー半導体のスイッチング動作により、回転電機200,202が電動機としてあるいは発電機として運転される。
回転電機200,202を電動機として運転する場合は、高電圧のバッテリ180からの直流電力が電力変換装置600のインバータの直流端子に供給される。電力変換装置600は、パワー半導体のスイッチング動作を制御することにより、供給された直流電力を3相交流電力に変換し回転電機200,202に供給する。一方、回転電機200,202を発電機として運転する場合には、回転電機200,202の回転子が外部から加えられる回転トルクで回転駆動され、回転電機200,202の固定子巻線に3相交流電力が発生する。発生した3相交流電力は電力変換装置600で直流電力に変換され、その直流電力が高電圧のバッテリ180に供給されることにより充電が行われる。
なお、回転電機200と回転電機202はそれぞれ独立して制御される。例えば回転電機200が電動機として運転される場合に、回転電機202は電動機として運転できるし、発電機としても運転できる。また運転停止状態とすることも可能である。当然ではあるがこの逆も可能である。回転電機200と回転電機202をどのようなモードで運転するかは統合制御装置170が決定し、電力変換装置600に指令する。この指令に基づき電力変換装置600は電動機の運転モードあるいは発電機の運転モードあるいは運転休止モードの状態となる。
図2は、図1の電力変換装置600の回路図を概念的に示す。電力変換装置600には、回転電機200のための第1のインバータ装置と、回転電機202のための第2のインバータ装置とが設けられている。第1のインバータ装置は、パワーモジュール610と、パワーモジュール610の各パワー半導体21のスイッチング動作を制御する第1の駆動回路652と、回転電機200の電流を検知する電流センサ660とを備えている。駆動回路652は駆動回路基板650に設けられている。一方、第2のインバータ装置は、パワーモジュール620と、パワーモジュール620における各パワー半導体21のスイッチング動作を制御する第2の駆動回路656と、回転電機202の電流を検知する電流センサ662とを備えている。駆動回路656は駆動回路基板654に設けられている。制御回路基板646に設けられた制御回路648、コンデンサモジュール630およびコネクタ基板642に実装された送受信回路644は、第1のインバータ装置と第2のインバータ装置とで共通に使用される。
パワーモジュール610,620は、それぞれ対応する駆動回路652,656から出力された駆動信号によって動作する。パワーモジュール610,620は、それぞれバッテリ180から供給された直流電力を三相交流電力に変換し、その電力を対応する回転電機200,202の電機子巻線である固定子巻線に供給する。また、パワーモジュール610,620は、回転電機200,202の固定子巻線に誘起された交流電力を直流に変換し、高電圧バッテリ180に供給する。
パワーモジュール610,620は図2に記載のごとく3相ブリッジ回路を備えており、3相に対応した直列回路が、それぞれバッテリ180の正極側と負極側との間に電気的に並列に接続されている。各直列回路は上アームを構成するパワー半導体21と下アームを構成するパワー半導体21とを備え、それらのパワー半導体21は直列に接続されている。パワーモジュール610とパワーモジュール620とは、図2に示す如く回路構成がほぼ同じであり、ここではパワーモジュール610で代表して説明する。
本実施の形態では、スイッチング用パワー半導体素子としてIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)21を用いている。IGBT21は、コレクタ電極,エミッタ電極及びゲート電極の3つの電極を備えている。IGBT21のコレクタ電極とエミッタ電極との間にはダイオード38が電気的に接続されている。ダイオード38は、カソード電極及びアノード電極の2つの電極を備えており、IGBT21のエミッタ電極からコレクタ電極に向かう方向が順方向となるように、カソード電極がIGBT21のコレクタ電極に、アノード電極がIGBT21のエミッタ電極にそれぞれ電気的に接続されている。
なお、スイッチング用パワー半導体素子として、MOSFET(金属酸化物半導体型電界効果トランジスタ)を用いてもよい。MOSFETは、ドレイン電極,ソース電極及びゲート電極の3つの電極を備えている。MOSFETの場合には、ソース電極とドレイン電極との間に、ドレイン電極からソース電極に向かう方向が順方向となる寄生ダイオードを備えているので、図2のダイオード38を設ける必要がない。
各相のアームは、IGBT21のソース電極とIGBT21のドレイン電極とが電気的に直列に接続されて構成されている。尚、本実施の形態では、各相の各上下アームのIGBTを1つしか図示していないが、制御する電流容量が大きいので、実際には複数のIGBTが電気的に並列に接続されて構成されている。以下では、説明を簡単にするため、1個のパワー半導体として説明する。
図2に示す例では、各相の各上下アームはそれぞれ3個のIGBTによって構成されている。各相の各上アームのIGBT21のドレイン電極はバッテリ180の正極側に、各相の各下アームのIGBT21のソース電極はバッテリ180の負極側にそれぞれ電気的に接続されている。各相の各アームの中点(上アーム側IGBTのソース電極と下アーム側のIGBTのドレイン電極との接続部分)は、対応する回転電機200,202の対応する相の電機子巻線(固定子巻線)に電気的に接続されている。
駆動回路652,656は、対応するインバータ装置610,620を制御するための駆動部を構成しており、制御回路648から出力された制御信号に基づいて、IGBT21を駆動させるための駆動信号を発生する。それぞれの駆動回路652,656で発生した駆動信号は、対応するパワーモジュール610,620の各パワー半導体素子のゲートにそれぞれ出力される。駆動回路652,656には、各相の各上下アームのゲートに供給する駆動信号を発生する集積回路がそれぞれ6個設けられており、6個の集積回路を1ブロックとして構成されている。
制御回路648は各インバータ装置610,620の制御部を構成しており、複数のスイッチング用パワー半導体素子を動作(オン・オフ)させるための制御信号(制御値)を演算するマイクロコンピュータによって構成されている。制御回路648には、上位制御装置からのトルク指令信号(トルク指令値)、電流センサ660,662のセンサ出力、回転電機200,202に搭載された回転センサのセンサ出力が入力される。制御回路648はそれらの入力信号に基づいて制御値を演算し、駆動回路652,656にスイッチングタイミングを制御するための制御信号を出力する。
コネクタ基板642に実装された送受信回路644は、電力変換装置600と外部の制御装置との間を電気的に接続するためのもので、図1の通信回線174を介して他の装置と情報の送受信を行う。コンデンサモジュール630は、IGBT21のスイッチング動作によって生じる直流電圧の変動を抑制するための平滑回路を構成するもので、第1のパワーモジュール610や第2のパワーモジュール620における直流側の端子に電気的に並列に接続されている。
図3は、図1の回転電機200あるいは回転電機202の断面図を示す。回転電機200と回転電機202とはほぼ同じ構造であり、以下では回転電機200の構造を代表例として説明する。尚、以下に示す構造は、回転電機200,202の双方に採用されている必要は無く、少なくとも一方に採用されていても良い。
ハウジング212の内部には固定子230が保持されており、固定子230は固定子鉄心232と固定子巻線238とを備えている。固定子鉄心232の内側には、回転子250が空隙222を介して回転可能に保持されている。回転子250は回転子鉄心252と永久磁石254とを備えており、回転子鉄心252はシャフト218に固定されている。ハウジング212は軸受216が設けられた一対のエンドブラケット214を有しており、シャフト218はこれらの軸受216により回転自在に保持されている。固定子鉄心232は、厚さ0.2ミリメータから0.35ミリメータの磁性鋼板、例えば珪素鋼板を多数積層して作られる。薄い鋼板を積層する構造とすることで渦電流の発生を抑え、鉄損を低減できる。本実施の形態の如く高速回転域まで使用される回転電機では鉄損の低減が重要である。
図4は、固定子230の概観を示す図である。固定子230に設けられた固定子巻線238は、コイル233を分布巻することにより構成されている。分布巻の固定子巻線238により形成される磁界は、磁束分布が正弦波状に近い。そのため、分布巻の固定子230を採用する回転電機はリラクタンストルクが得やすく、電気自動車などのモータ特性を得るのに適している。本実施の形態では主に分布巻方式の固定子巻線を備えた固定子を例に説明するが、やや電気的な特性が悪くなるが、集中巻方式の固定子巻線であっても使用可能である。
図3に示すように、シャフト218には、回転子250の極の位置を検出する回転子位置センサ224と回転子250の回転速度を検出する回転速度センサ226とが設けられている。これらのセンサ224,226からの出力は、図2に示す制御回路648に取り込まれる。制御回路648は、取り込まれた出力に基づいて制御信号を駆動回路653に出力する。駆動回路653は、その制御信号に基づく駆動信号をパワーモジュール610に出力する。パワーモジュール610は、制御信号に基づきスイッチング動作を行い、バッテリ180から供給される直流電力を3相交流電力に変換する。この3相交流電力は図3、4に示す固定子巻線238に供給され、回転磁界が固定子230に発生する。3相交流電流の周波数は回転速度センサ226の検出値に基づいて制御され、3相交流電流の回転子250に対する位相は回転子位置センサ224の検出値に基づいて制御される。
図5(a)は、回転子250の回転子鉄心252を示す斜視図である。回転子鉄心252は、図5(b)に示すような3つのコア301,302,301から成る。コア302の軸方向長さH2は、コア301の軸方向長さH1のほぼ2倍に設定されている。図6は固定子230および回転子250の断面を示す図であり、(a)はコア301の部分を通るA−A断面図(図3参照)であり、(b)はコア302の部分を通るB−B断面図(図3参照)である。なお、図6では、ハウジング212、シャフト218および固定子巻線238の記載を省略した。なお、回転子鉄心252は、上述の固定子鉄心と同様、厚さ0.2ミリメータから0.35ミリメータの磁性鋼板、例えば珪素鋼板を多数積層して作ら
れている。薄い鋼板を積層する構造とすることで渦電流の発生を抑え、鉄損を低減できる。本実施の形態の如く高速回転域まで使用される回転電機では鉄損の低減が重要である。
固定子鉄心232の内周側には、多数のスロット24とティース236とが全周に渡って均等に配置されており、コイル233が図4に示したように巻かれている。この実施の形態ではスロット数が72であるが他の数であっても良い。尚、図6では、スロットおよびティースの全てに符号を付すことはせず、代表して一部のティースとスロットにのみに符号を付した。スロット24内にはスロット絶縁(図示省略)が設けられ、固定子巻線238を構成するu相〜w相の複数の相巻線が装着されている。上述したように、本実施例では、固定子巻線238の巻き方として分布巻を採用している。
分布巻とは、複数のスロット24を跨いで離間した2つのスロットに相巻線が収納されるように、相巻線が固定子鉄心232に巻かれる巻線方式である。本実施例では、巻線方式として分布巻を採用しているので、弱め界磁制御やリラクタンストルクを活用して、低回転速度だけでなく高回転速度までの広い回転数範囲についての制御が可能である。上述したようにリラクタンストルクを利用することで、磁石の発生磁束に基づく磁石トルクを減らすことが可能であり、永久磁石量を少なくすることが可能である。この結果磁石が発生する磁束量が少なくなり、回転に伴い固定子巻線に発生する誘起電圧が小さくなる。固定子巻線238に発生する誘起電圧が大きいと電力変換装置600から回転電機200や202に印加する電圧と上記誘起電圧との差が小さくなり、電力変換装置600からの交流電流の供給が困難となる。この実施の形態ではリラクタンストルクを利用することで固定子巻線238に発生する誘起電圧を小さくでき、高速回転領域でも電力変換装置600から固定子巻線238への交流電流の供給が可能となり、回転電機での回転トルクの発生が可能となる。
回転子鉄心252の各コア301,302には、図6に示す磁石断面、すなわち回転軸に垂直な面での磁石の断面が略長方形あるいは略扇形の磁石を挿入するための穴310が図5に示すごとく回転子の全周に渡って等間隔に形成されている。その各穴310には永久磁石254が埋め込まれ接着剤などで固定されている。穴310の円周方向の幅は、永久磁石254の円周方向の幅よりも大きく設定されており、永久磁石254の両側には磁気的空隙257が形成されている。この磁気的空隙257は接着剤を埋め込んでも良いし、整形樹脂で永久磁石254と一体に固めても良い。もちろん空隙であっても良い。永久磁石254は回転子250の界磁極として作用する。この実施の形態では1個の永久磁石で1磁極を形成しているが、複数の永久磁石で1磁極を形成するようにしても良い。上記複数の永久磁石は回転方向に配置されても良いし、径方向に重ねて配置しも良い。上記複数の永久磁石は各磁極単位で同極性の磁束を発生することが必要であり、固定子との対向関係において同じ方向に磁化されていることが必要である。1磁極あたりの磁石数を増やすことは総磁束量を増加させることとなり、磁石トルクを増大することが可能となる。
永久磁石254の磁化方向は径方向を向いており、界磁極毎に磁化方向の向きが反転している。すなわち、永久磁石254aの固定子側面がN極、軸側の面がS極であったとすれば、隣の永久磁石254bの固定子側面はS極、軸側の面はN極となっている。そして、これらの永久磁石254a,254bが円周方向に交互に配置されている。本実施の形態では、各永久磁石254は等間隔に12個配置されており、回転子250は12極になっている。
永久磁石254は、磁化した後に回転子鉄心252に埋め込んでも良いし、磁化する前に回転子鉄心252に挿入した後に強力な磁界を与えて磁化するようにしても良い。磁化後の永久磁石254は強力な磁石であり、回転子250に永久磁石254を固定する前に磁石を着磁すると、永久磁石254の固定時に回転子鉄心252との間に強力な吸引力が
生じ、この吸引力が作業の妨げとなる。また強力な吸引力により、永久磁石254に鉄粉などのごみが付着する恐れがある。そのため、永久磁石254を回転子鉄心252の穴310に挿入し、固定した後に磁化する方が、回転電機の生産性が向上する。
永久磁石254には、ネオジウム系,サマリウム系の焼結磁石やフェライト磁石,ネオジウム系のボンド磁石などを用いることができる。特にネオジウム系の永久磁石は磁力が強く、高トルクを発生する車両駆動用回転電機に適している、永久磁石254の残留磁束密度はほぼ0.4〜1.3T程度が望ましい。
図7(a)は、図6(a)に示した断面図の永久磁石254b付近を拡大して示したものである。固定子鉄心252のコア301には、永久磁石254の両側の磁気的空隙257の他に、回転子250の表面に磁気的空隙258aを構成する溝が設けられている。磁気的空隙257はコギングトルク低減のために設けられたものであり、磁気的空隙258aは通電時のトルク脈動を低減するために設けられたものである。磁気的空隙258aは,磁石間の中心軸であるq軸に対して右側にずれて配置されている。
一方、図7(b)は、図6(b)に示した断面図の永久磁石254b付近を拡大して示したものである。図7(b)に示すコア302の場合には、磁気的空隙258aの代わりに磁気的空隙258bが形成されている。磁気的空隙258bは、q軸に対して左側にずれて配置されている。図6,7から分かるように、コア301とコア302の断面形状は、磁気的空隙258a,258bの位置が異なるだけでその他の部分は同一である。
ここでは、磁気的空隙258a,258bはq軸に対して対称な位置および形状となっている。すなわち、コア301を構成する薄板形状の珪素鋼板(電磁鋼板)を裏返して積層することで、コア302が形成される。これにより、型費が少なくて済むので、製作コストを削減することができる。また、各コア301,302の穴310の周方向位置は、ずれることなく一致している。その結果、各穴310に装着される各永久磁石254は軸方向に分割されることなく、一体に各コア301,302を貫通している。もちろん、複数に分割された永久磁石254を、穴310の軸方向に積層するように設けても構わない。
3相交流電流により回転磁界が固定子230に発生すると、この回転磁界が回転子250の永久磁石254a,254bに作用して磁石トルクが生じる。さらに、回転子250には、この磁石トルクに加えてリラクタンストルクが作用する。
図8はリラクタンストルクを説明する図である。一般に、磁束が磁石中心を通る軸をd軸,磁束が磁石の極間から極間へ流れる軸をq軸と呼ぶ。このとき、界磁極間にある鉄心部分を補助突極部259と呼ぶ。回転子250に設けられた永久磁石254の透磁率は空気とほぼ同じであるため,固定子側から見た場合、d軸部は磁気的に凹んでおり,q軸部は磁気的に凸になっている。そのため、q軸部の鉄心部分は突極と呼ばれる。リラクタンストルクは,このd軸とq軸の磁束の通り易さの差,すなわち,突極比によって生じる。
このように、本実施の形態の回転電機は、磁石トルクと、補助突極リラクタンストルクの両方を利用する回転電機である。そして、磁石トルクとリラクタンストルクのそれぞれからトルク脈動が発生する。トルク脈動には通電しない場合に発生する脈動成分と通電によって発生する脈動成分があり、通電しない場合に発生する脈動成分は一般的にコギングトルクと呼ばれている。従来、トルク脈動を低減する方法として述べられている方法はほとんどがコギングトルクの低減のみに言及したものであるが、実際に回転電機を負荷状態で使う場合には,コギングトルクと通電時の脈動成分が合わさったトルク脈動が発生する。
このような回転電機のトルク脈動を低減する方法として述べられている方法は、ほとんどがコギングトルクの低減のみに言及し、通電によって発生するトルク脈動に関しては述べられていない場合が多い。しかし、回転電機の騒音は、無負荷時ではなく負荷時に生じることが多い。つまり,回転電機の低騒音化には負荷時のトルク脈動を低減することが大事であり,コギングトルクだけの対策では不十分である。
次に、本実施の形態におけるトルク脈動の低減方法について説明する。
(磁石トルク)
最初に、磁石トルクについて説明する。図9は、固定子巻線338に電流を流さない場合の磁束、すなわち、永久磁石254による磁束の分布のシミュレーション結果を示したものであり、A−A断面について示したものである。非通電時には,永久磁石254の磁束は磁石端部を短絡している。そのため、q軸の磁束を通す補助突極部259には永久磁石254が発生する磁束はほとんど通らない。また,磁石端部の磁気的空隙257から少しずれた位置に設けられた磁気的空隙258aの部分にも,磁束が殆ど通らないことがわかる。固定子232を通る磁束は、永久磁石254の固定子側の鉄心部分を通ってティース236へと至っている。
B−B断面に関しても同様の磁束分布となり、q軸の磁束を通す補助突極部259には磁束は全く通らず、磁気的空隙258bの部分にも磁束がほとんど通らない。このため、磁気的空隙258a,258bは、コンギングトルクに関係する非通電時の磁束にほとんど影響を与えないので、磁気的空隙258a,258bはコギングトルクには影響を与えないことがわかる。
図10の(a)は実測されたコギングトルクの波形を示したものであり、(b)は回転子250が回転したときに固定子側に発生する誘起電圧の波形を示したものである。横軸は回転子の回転角度であり、電気角で示している。ラインL11は磁気的空隙258を設けない回転子の場合を示し、ラインL12は磁気的空隙258aを設けた回転子の場合を、L13は磁気的空隙258bを設けた回転子の場合を示す。図10(b)の結果から、磁気的空隙258a,258bの有無は、コギングトルクに殆ど影響が無いことが確認できる。
また,誘起電圧は、回転する回転子250の磁石磁束が固定子巻線238と鎖交することにより発生する電圧であるが、図10(b)に示すように誘起電圧の波形も磁気的空隙258a,258bの有無に殆ど影響されず正弦波状になっている。誘起電圧は図9に示した磁石の磁束の反映であり、誘起電圧がほとんど変化していないということは、磁気的空隙258a,258bは磁石磁束に対してほとんど影響を与えていないことになる。
(リラクタンストルク)
次に、磁気的空隙258a,258bのリラクタンストルクへの影響について説明する。図11および図12は通電時の磁束を示したものであり、図11はA−A断面の場合を示し、図12はB−B断面の場合を示す。本実施の形態の回転電機は1極あたり6スロットあるモータであって,固定子鉄心232のスロット24に設けられている固定子巻線238のコイル233は、スロット深さ方向に対して2層に分かれている。スロット底側に配置されたコイル233は、隣のスロットを1スロットと数えると、1スロットから5スロットまでを跨いで6スロット離れたスロット24の回転子側に挿入される短節巻である。短節巻は固定子起磁力の高調波を少なくでき、かつ、コイルエンドが短く、銅損が少なくなることが特長である。また、この高調波低減の巻き方によって、三相モータに特有な6次のトルク脈動を少なくすることができ、ほぼ12次の成分だけが残る。
図11,12を見ると、q軸に多くの磁束が流れており、磁気的空隙258a,258bの部分に多くの磁束が流れていることが分かる。これは、固定子230の電流が、q軸に磁束を作るためである。従って,補助突極部にある磁気的空隙258a,258bは,通電時に磁気的な影響を与えることとなる。
図13は、トルク脈動の大きさを単位軸長あたりに換算して示したものである。ラインL21は磁気的空隙258を形成しない場合を示し、ラインL22は磁気的空隙258aを形成した場合を、ラインL23は磁気的空隙258bを形成した場合を示す。また、ラインL24は、図5に示す回転子鉄心252を有する回転子250を採用する本実施の形態の場合のトルク脈動を示す。上述したように、本実施の形態の回転電機は12次のトルク脈動成分、すなわち電気角で30deg周期の成分が支配的であるが、図13からも、1
2次成分が支配的であって6次成分はほとんど無いことがわかる。
また、磁気的空隙258を形成しない場合のトルク脈動に対して、磁気的空隙258aを形成した場合も、磁気的空隙258bを形成した場合も、トルク脈動の波形が変化していることがわかる。これは、通電時の磁束が、磁気的空隙258a,258bの影響を受けていることを示している。さらに、磁気的空隙258aを形成した場合の波形と、磁気的空隙258bを形成した場合の波形とは、位相がほぼ正反対になっている。図5に示したように、回転子250を構成するコア301とコア302の軸長はほぼ1:2に設定されているため、回転子全体が受ける合計のトルク脈動L24は、ラインL22とラインL23で示されるトルク脈動の平均となる。合計のトルク脈動L24は、磁気的空隙258を設けなかった場合に比べて小さくなっていることが分かる。
このように,本実施の形態では、上述したような磁気的空隙258a,258bを設けたことにより、通電時のトルク脈動を低減することができる。なお、このような効果を得るためには、磁気的空隙258を構成する溝の幅角度(周方向角度)を、補助突極の周方向角度の半分以下に設定するのが好ましい。
さらに、磁気的空隙を設けない場合に比べてトルクが下がらないという特徴も有している。従来、トルク脈動低減のために行われているスキューという構造の場合には、スキューすることでトルクが下がってしまい、小型化の妨げになるという欠点があった。しかし、本実施の形態では、コギンギングトルクと独立して、リラクタンストルクのトルク脈動だけを低減することができるだけでなく、トルクそのものが下がらないという利点を有している。これは,もともとの溝無しロータの場合のトルク脈動が、12次成分が支配的だったためで、これは、ステータ巻線を短節巻にしていたことも功を奏している。
(コギングトルクの低減)
上述したように、磁気的空隙258a,258bの形成は非通電時のコギングトルクに対して影響を与えない。そのため、従来行われているようなコギングトルクの低減方法を適用することで、通電時トルク脈動の低減とは別個にコギングトルクの低減を図ることができる。本実施の形態では、以下のような構成とすることでコギングトルクの低減を図るようにしている。
図14,15は、コギングトルクの低減方法を説明するための図である。図14は、回転子250と固定子鉄心232の一部を示す断面図である。図14において、τpは永久
磁石254の極ピッチ、τmは永久磁石254の幅角度である。また、τgは永久磁石254とその両側に設けられた磁気的空隙257とをあわせた角度、すなわち、図5に示した穴310の幅角度である。これらの角度の比τm/τp、τg/τpを調節することで、コギングトルクを小さくすることができる。本実施の形態では、τm/τpを磁石極弧度、τg
/τpを磁石穴極弧度と呼ぶことにする。
図15は、磁石極弧度τm/τpの比とコギングトルクとの関係を示す図である。なお、図15に示した結果は、τm=τgとした場合である。図15において、縦軸はコギングトルクの振幅を表し、横軸は回転子250の電気角で示した回転角を表している。脈動の振幅の大きさは、比τm/τpの大きさによって変化しており、τm=τgの場合、τm/τpを0.75程度に選ぶとコギングトルクを小さくすることができる。また、図10に示した磁気的空隙258によってコギングトルクが変わらない傾向は,図15の磁石幅と極ピッチの比τm/τpがいかなるところでも同じように適用できる。そのため、上記条件のもとで回転子250の形状を図5,6に示すような形状とすることで、コギングトルクと通電時のトルク脈動の両方を小さくすることができる。
図14に示した例では、τm/τp=0.55、τg/τp=0.7としている。この場合、非通電時のコギングトルクと通電時のトルク脈動とを同時に小さくする最適な値になる。なお,本実施例では磁石形状は扇形であるが,これを矩形の磁石とした場合にも若干最適値が変わるが,発明として同じであることは言うまでもない。
(リラクタンストルクの効率的利用)
図15に示す例では、τm=τgとして説明したが、補助突極部259の効果であるリラクタンストルクを効率よく利用するためには、磁石穴極弧度τg/τpを0.5〜0.9程度、より好ましくは0.7〜0.8程度に設定するのが良い。
図16は磁石極弧度τm/τpおよび磁石穴極弧度τg/τpを変化させた場合の最大トルクの計算例である。横軸は,磁石穴極弧度τg/τpを示しており、この値が0.7ということは、極間ピッチに対する補助突極部259の比が0.3であることを示している。ここで、磁石幅τmは磁石穴の開き角τgよりも大きくできないので、τg≧τmとなる。τm
が増えると永久磁石254の幅が増えるから、トルクが増える。一方,τmが一定の場合
、τgには最適値があり、τg/τpが0.7〜0.8程度において最大トルクが最も大き
くなる。これは、補助突極部259の大きさには適当な値があり、それよりもτgを大き
くしすぎたり、小さくしすぎたりするとリラクタンストルクが小さくなってしまうためである。τmが0.75よりも大きい場合には、なるべく補助突極部259が大きくなるように
、τm=τgが望ましいことになる。
このように、τg/τpを0.7〜0.8程度としたときにリラクタンストルクを最も効率よく利用することができ、永久磁石254を小さくすることができる。永久磁石254に希土類の焼結磁石を用いる場合、磁石は他の材料に比べてきわめて高価なので,磁石量を最も効果的に使うことが求められる。また、永久磁石254が小さくなることから、永久磁石254の磁束による誘起電圧を小さくすることができ、回転電機をより高速に回転させることができる。そのため、電気自動車には、本実施の形態のようなリラクタンストルクを利用した回転電機を電気自動車の駆動用回転電機として使用することで、好ましい特性が得られる。
(磁気的空隙258のずらし方に関する説明)
上述した実施の形態の説明では、磁気的空隙258を異なる二つの位置に配置することにより、すなわち、位置の異なる磁気的空隙258a,258bを設けることにより、通電時のトルク脈動を低減するようにした。ここでは、トルク脈動の低減が図れるような磁気的空隙258のずらし方について説明する。
従来から、トルク脈動低減対策として磁石をスキューさせる構造が知られているが、発明者らの検討によれば、磁気的空隙258のずらし方についてはこのスキューの考え方を適用できることが分った。まず、磁石のスキューについて説明する。図17はスキューが
施された回転子250の概念を説明する斜視図であり、(a)は回転子250を軸方向に2つに分割する場合を示し、(b)は回転子250を軸方向に3つに分割する場合を示す。なお、図17では、概念図として永久磁石254が回転子表面に設けられているように例示しているが、回転子内部に永久磁石が埋めこられる回転子についても同様に考えることができる。θはスキューの角度を示しており、図17(b)に示す例では、両端のコアに対して中央のコアが角度θだけスキューしている。
スキューのさせ方は種々あるが、図17のように積み上げてスキューさせる方法について、図18に示す4種類について説明する。図18では(a)〜(d)のいずれの場合も、回転子鉄心252を軸方向厚さの等しい8つのコアに分割している。図18の(a)から(c)に示すように2段でスキューする場合、通常、スキューの角度θは電気角で15degまたは30degとなるように設定する。なお、機械的なスキュー角度θを設定する場合、スキュー角度θに対応する電気角で位相ずらしを考える必要があり、以下では、電気角で説明する。
スキューの角度θを電気角で15degまたは30degとなるように設定する理由は、三相モータでは、通常、電気周波数に対して6次および12次のトルク脈動があり、このトルク脈動を低減するためには、このような角度でスキューさせる必要がある。例えば、6次のトルク脈動、すなわち電気角で60deg周期のトルク脈動の1次成分とすると、トルク
脈動の周期の半周期は電気角で30degとなる。そのため、分割したコアをスキューさせ
る際に、スキューしているコアの角度θが電気角の30degに相当する場合には、互いに
ずれている2つのコアの各々に発生する60deg周期のトルク脈動を1次成分は互いに逆
位相となり、脈動を打ち消し合うように作用する。その結果、合計のトルク脈動が低減される。
このように、回転子250の分割されたコアを上述したように電気角で30degずらす
ことにより、トルク脈動の1次成分を小さくすることができる。同様に、3次成分の場合には、1周期は電気角で20degなので、電気角の30degは1.5周期に相当する。同様に、5次成分の場合には電気角の30degは2.5周期に相当する。そのため、1次成分
の場合と同様にトルク脈動がほぼ打ち消されて、合計のトルク脈動が低減される。7次以上の奇数次の場合も同様であり、電気角で30degだけスキューさせることにより、トル
ク脈動の奇数次を低減することができる。
しかし、電気角で30degずらすと、トルク脈動の2次,4次,等の偶数次の成分は周
期が一致して、逆に振幅が増えることになる。そのため、トルク脈動の1次成分に対して2次成分が小さい場合には、電気角で30degのずらしはトルク脈動低減に効果がある。
逆に、トルク脈動の1次成分が小さくて2次成分の方が大きい場合には、電気角で15degずらすスキューの方がトルク脈動低減に有効である。例えば、2次成分の場合には電気
角60degは2周期に相当するので、電気角15degのずらしは0.5周期の位相ずらしに対応し、トルク脈動が互いに打ち消し合う。
図18の(a)〜(c)に示す例では2段階にスキューさせたが、図18(d)に示す例では、3段階でスキューさせるようにした。なお、永久磁石254は、スキューしていないブロック内においては軸方向に分割されていない構成でも良いし、複数に分割する構成でも構わない。図18(d)に示す例では、隣同士のコアのずれ角度を電気角で10degまたは20degとするようにした。6次のトルク脈動、すなわち電気角で60deg周期の
トルク脈動を1次成分とすると、電気角で10degまたは20degずらすことは、1次成分では1/6周期または1/3周期ずらすことになる。1/3周期ずらすスキューの方法では,トルク脈動の3n次成分が残るが、それ以外の成分は消える。このため,一般に逆相にする前述の方法よりもトルク脈動が小さくなる。
図18の(a)〜(c)に示す例では、モータ駆動時に軸方向に加振力が加わるが、図18(d)に示す方法では軸方向に加振力が発生しない。そのため、回転電機の外部に振動を与えることが少なく、静粛な回転電気となる。この場合も,トルク脈動の1次成分が小さく2次だけが支配的な場合には、20degではなく、10degのスキューで良い。図18の(a)〜(d)のいずれの場合も、同一ずれ角を有するコアの合計の軸方向厚さは、ずれ角度によらず全て等しくなっている。同一ずれ角を有するコアの合計の軸方向厚さが、ずれ角度によらず全て等しくなっていれば、コアのずらし方は図18の(a)〜(d)に限らずどのような組み合わせでも良い。
以上の説明は、理解し易いように、固定子鉄心、すなわち永久磁石254をスキューさせて、三相モータの6次のトルク脈動を低減させる方法を用いての説明であった。発明者らは磁気的空隙258を用いて固定子電流が作る回転磁界に起因する脈動を、上述の磁石によるスキューの対応策の考え方(図18参照)を導入して対応できることを確認した。
例えば、前述した図5に示すコア301,302の組み合わせは、図18(a)に対応して考えても、基本的な部分においては対応可能であることが発明者の検討により分った。つまり、磁気的空隙258a,258bが形成されたコア301,302の発生するトルク脈動の周期と振幅とを図13に示すように実際に調べ、各コアによるトルク脈動が逆位相、または、1/3周期ずれるような配置を見つけ、合計のトルク脈動が低減されるようにコア301,302を配置すれば良い。
さらに、磁石を軸方向に分割する従来の段スキューと、補助突極部259に上述した磁気的空隙258を設けて、その磁気的空隙258をずらす擬似的なスキューとを併用してもよい。例えば、永久磁石254を電気角で30degずらし、電気的に60deg周期のトルク脈動の1次成分を消し、磁気的空隙258の擬似的なスキューで2次成分である30deg周期のトルク脈動を消すように構成する。
また、上述した実施の形態では、回転子鉄心252に珪素鋼板を形成するための型が1種類で済むように、図18に示すように階段状にずらすスキュー構造としたが、図19の(a),(b)のように磁気的空隙258の位置を連続的にずらすようなスキュー構造としても良い。60degは奇数次成分を低減する場合で、30degは偶数次成分を低減する場合である。いずれの場合も、脈動の周期が0から1周期まで連続的に変化するように、磁気的空隙258をずらしている。
図20は、本実施の形態を表面磁石タイプの回転子に適用した場合を示す。磁石254(254a,254b)の回転子鉄心252への固定方法としては、接着剤で固着する方法でも良いし、回転子表面にテープ状のものを巻いて保持するようにしても良い。永久磁石254間には補助突極部259が設けられており、補助突極部259の中心(q軸)に対してずれた位置に、磁気的空隙258aとして溝が形成されている。図20は回転子のA−A断面を示したものであり、上述した実施の形態と同様に、B−B断面の場合には、磁気的空隙258aと対称な位置に磁気的空隙(溝)258bが形成されている。
なお、図20に示す例では補助突極部に溝を設けたが,補助突極自体を左右非対称にしてもよい。また、永久磁石254の断面形状において、固定子鉄心側を円弧状としているが、直線状としても良い。従来、このような表面磁石型モータの場合,永久磁石254の外周側の曲率半径でトルク脈動の低減を図るが、そのような構造に本実施の形態の磁気的空隙258を設けることで、より高次のトルク脈動を小さくすることが可能となる。
図21は、図20に示す例の固定子巻線238を集中巻にした場合を示す。本実施の形
態におけるトルク脈動は回転子250の形状に依存するものなので、固定子側の巻線方式が異なる集中巻の場合も、上述した場合と同様にトルク脈動の低減を図ることができる。
(効果の説明)
上述した本実施の形態の回転電機は、次のような作用効果を奏する。
(1)補助突極部259に磁気的空隙258a,258bを設け、図13のように各磁気的空隙258a,258bにより生じる通電時のトルク脈動が互いに打ち消されるように、磁気的空隙258aと磁気的空隙258bをずらして配置した。その結果、通電時における回転電機のトルク脈動の低減を図ることができる。特に、通電時のトルク脈動を低減できる本実施の形態の回転電機を電気自動車等の車両走行用モータとして適用した場合、低速加速時の振動や騒音を低減することができ、乗り心地がよく、静粛性の高い電気自動車を提供することができる。
(2)図9に示すように、非通電時には、磁気的空隙258は磁石磁束に対して影響を殆ど与えない。そのため、永久磁石254の磁束に起因するコギングトルクの低減対策と、通電時のトルク脈動の低減対策とを独立して個別に行うことができる。その結果、コギングトルクが小さく、かつ、通電時のトルクが大きくなるような磁石トルクの最適化と、通電時のトルク脈動の低減との両立を図ることができる。従来は、トルクが最大となるように磁石を構成してから、コギングトルクが小さくなるようにスキュー等を施していたので、それによってトルク(磁石トルク)が小さくなる欠点があったが、本実施の形態ではトルク脈動低減に伴うトルク低下を避けることができる。
(3)上述したように、トルク脈動低減に伴う磁石トルクの低下を防止できるので、磁石を極力小さくすることができ、回転電機の小型化およびコスト低減を図ることができる。(4)補助突極部259に設けられた磁気的空隙258a,258bの位置をずらすことで、通電時のトルク脈動の低減を図るようにしているので、従来のスキュー構造のように永久磁石254を軸方向に関して複数に分割したり、着磁をスキューさせたりする必要がない。永久磁石254には、例えばネオジウム系に代表される希土類磁石が用いられるが、希土類磁石では磁石整形を研磨加工で行うため、製造誤差の精度を上げることはコスト増に直結する。そのため、磁石を軸方向に分割する必要のない本実施の形態によれば、回転電機の低コスト化を図ることができる。また、磁石公差の積み上げで性能ばらつきが増えたり,歩留まりが悪くなったりするという心配がない。このように、本実施の形態によれば、回転電機の生産性および生産コストの低減を図ることができる。
(5)磁気空隙257により界磁極の磁束の漏洩を低減でき、回転電機の効率が向上する。磁気的空隙257はコギングトルクの低減作用をすることを上述した。他の効果として磁気的空隙257が永久磁石の漏洩を低減する効果を有する。図9を用いて説明する。永久磁石254aや254bは、固定子230側がN/S極で回転子の中心側が逆磁極S/Nである。補助突極部259を介して永久磁石254の磁極間を短絡する磁気回路が生じる可能性がある。短絡する磁束は磁石トルクに寄与しないこととなり、回転電機の効率が低下する。磁気的空隙257を設けることで、磁気的空隙257と回転子外周との間の狭い磁気通路(磁気ブリッジ部)を回転方向に沿って(周方向に)長く形成することができる。図9に示す如く磁気的空隙257を設けることで磁気ブリッジ部を形成することができ、漏れ磁束を低減できる。また磁気ブリッジ部の磁気回路の断面積が小さいので、磁気飽和状態となり、磁気ブリッジ部を通る磁束量を低減することができ、回転電機の効率が向上する。また磁気ブリッジ部を通る磁束量を低減できるので、磁気的空隙258によるコギングトルクへの影響が非常に小さくなる。磁気的空隙257は色々な形状が可能であり、曲線を有する形状とすることができる。この形状は、機械的な応力の集中を避ける形状で機械的応力の集中が少ないため、断面積を小さくでき、漏れ磁束を低減することに繋がる。
―第2の実施の形態―
図22〜24は、本発明の第2の実施の形態を説明する図である。図22は、回転子2
50の断面図であり、(a)は図6(a)に示したA−A断面に対応し、(b)は図6(b)に示すB−B断面に対応する。すなわち、第2の実施の形態の場合も、固定子鉄心252は図5に示すような3つのコアから構成され、図22(a)はコア301の断面を、図22(b)はコア302の断面を示す。上述した図6に示す例では、磁気的空隙258を回転子鉄心252の表面に溝として形成したが、第2の実施の形態では、回転子鉄心252の内部に形成するようにした。
永久磁石245(254a,254b)の断面形状は矩形であって、永久磁石245(254a,254b)により作られる界磁界の片側に接するように磁気的空隙258が設けられている。図22(a)では、永久磁石254の円周方向の一方の側に接するように磁気的空隙258aが設けられ、図22(b)では永久磁石254の円周方向の他方の側に接するように磁気的空隙258bが設けられている。この場合も,永久磁石254はd軸中心にあり、磁気的空隙258aは補助突極部259の中心(q軸)に対して永久磁石254a側にずれて配置されており、磁気的空隙258bはq軸に対して永久磁石254b側にずれて配置されている。
第2の実施の形態の場合も、コア301の部分とコア302の部分とでは異なるトルク脈動が発生し、それらが相殺し合うように作用することでトルク脈動を低減することができる。また、第1の実施の形態と同様に、磁気的空隙258は補助突極部259の部分に形成されているため、コギングトルクにはほとんど影響を与えることはない。すなわち、磁気的空隙258を設けることで、コギングトルクの脈動低減に影響を抑え、ほぼ独立して通電時トルク脈動の低減を図ることができる。また、断面形状が矩形の永久磁石254を用いることにより、磁石の加工コストを下げることができる。
図23に示す例は、図22に示した回転子250を改良したものである。図22に示した例では、永久磁石254の側面の一方は回転子鉄心252に接していて、側面の他方は磁気的空隙258に接している。そのため、磁気的空隙258に接している側では、磁石磁束の短絡部が磁気的空隙258の側にずれることから、磁石中心と磁石の磁束中心がずれてしまうことになる。そこで、図23に示す例では、永久磁石254と磁気的空隙258との間に固定子鉄心252より成るブリッジ部260を設けるようにした。このようにすると、磁気的空隙側においてもブリッジ部260に磁束が短絡し、永久磁石254の他方の側と同じように磁束が漏れることになる。従って,永久磁石254の両側で磁束が短絡する経路は同様となり、磁気的空隙258のコギングトルクや誘起電圧への影響をより小さくすることができる。
図24は、第2の実施の形態の他の例を示す図であり、回転子250の各極に複数の永久磁石245を設けた場合を示す。なお、各界磁極を構成する永久磁石254aと254bあるいはコギングの低減や漏れ磁束低減のための磁気的空隙257、あるいは固定子電流が作る回転磁界に起因する脈動を低減するための磁気的空隙258bを除く回転子250の構造、固定子およびセンサを含む回転電機全体の構造は先に説明した構造と同じであり、基本的な作用効果も同じである。図24に示す例では、各界磁極を形成するための永久磁石を、V字形状に配置した複数の永久磁石254(この実施の形態では2個)で構成している。図23の断面図は、図6(b)に示すB−B断面に対応しており、一対の永久磁石254aおよび一対の永久磁石254bは、それぞれ図6(b)に示した永久磁石254aおよび254bに対応している。V字形状に配置した永久磁石254aで作られた磁極とそれに隣接するV字形状の永久磁石254bで作られる磁極との間の鉄心部分が補助突極部259として作用し、補助突極部259の中心にq軸が位置している。
断面形状が矩形の永久磁石254の円周方向両端には、図6に示す回転子250の場合と同様にコギング対策用の磁気的空隙257がそれぞれ設けられている。図24に示す回
転子250の場合も磁気的空隙258bは回転子鉄心252の内部に設けられており、該補助突極部259の中心に設けたq軸に対して回転方向(周方向)の一方側(左側)にずれて配置されている。なお、磁気的空隙258bによるトルク脈動を抑える効果は、磁気的空隙258bが回転子鉄心252の表面に近い方が高い。該補助突極部259の中心に設けたq軸に対して回転方向の一方側(左側)にずれて磁気的空隙258b配置した回転子鉄心と、図示していないが、該補助突極部259の中心に設けたq軸に対して回転方向の他方側(右側)にずれて磁気的空隙258a配置した回転子鉄心とを図18や図19で説明の如く回転軸に沿って配置することにより、お互いの回転子鉄心に生じる脈動が相殺され、脈動を低減することができる。
図24に示す例では、補助突極部259を広くとり、リラクタンストルクをより効果的に活用できる構造としている。永久磁石254が収められる磁石穴の形状は、永久磁石254の磁束が鉄心内を回り込まないようにブリッジ部260を細くしている。ここでは、磁気的空隙258bを回転子鉄心252の鉄心内に設けたが、第1の実施の形態のように、回転子鉄心252の表面に凹部(溝)を設けて磁気的空隙258bとしても良い。なお、A−A断面の構造は、磁気的空隙258aがq軸に対して対称な位置に設けられる点を除いては、図24のB−B断面図と同様なので、上述の通り、図示および説明を省略する。
V字磁石構造は2重に重ねるなどの実施例もあるが,補助突極部259に磁気的空隙258をq軸に対してずらして配置することによるトルク脈動が減るという効果は,永久磁石254の配置形状にかかわらず同じであることはいうまでもない。なお、図24では、磁気的空隙257に隣接して磁気的空隙258aを設けたが、第1の実施の形態のような溝を設けても良いし、磁気的空隙257と磁気的空隙258aとを一体にしても良い。
―第3の実施の形態―
図25は第3の実施の形態における回転子250を示すであり、(a)は図6(a)に示すA−A断面図に相当する断面図であり、(b)は図6(b)に示すB−B断面図に相当する断面図である。図25に示す例では、磁気的空隙を1極あたり2種類設けた。すなわち、補助突極部259にある磁気的空隙258の他に,磁石部外周側の鉄心部分にも磁気的空隙251を一対設けた。磁気的空隙251は永久磁石の中心を通るd軸に関して対称に設けられている。もちろん事態省に設けても構わない。磁気的空隙251は、主にコギングトルク低減用に設けられたものであり、そのため磁石磁束の通過する磁石部外周側の鉄心部分に設けられている。このような構成とすることで、1次と2次のトルク脈動をそれぞれ低減させたり、コギングトルクと通電時のトルク脈動をそれぞれ低減させたりすることが可能となる。
ところで、磁気的空隙258として回転子鉄心252の表面に溝を形成している回転子250の場合には、この溝を通して冷却を図ることができる。図26に示すように回転電機200はハウジング234内に封じられており、この中には冷却用の油403が、回転子250に少しかかる程度に満たされている。油403は,冷却用ポンプ402で循環させ,ラジエータ401によって冷却される。回転子250には,溝257があるので,図5に示す軸中心にあるコア302に油が浸透することができる。さらに、図24に示すような斜めの溝(磁気的空隙258)があると、回転子250が回転することで、この油がロータの内部に入ってき,回転子250の軸中心部分も冷却することができる。ネオジウム系磁石は耐熱温度が200℃程度と低く,高温で減磁してしまうことが小型化設計の一つの課題になっている。そのため,このような冷却経路を設けることは,ハイブリッド車や電気自動車モータの小型化のために有効である。なお、補助突極部259に形成する磁気的空隙258を2種類以上としても良い。それにより、トルク脈動低減の自由度が増し、より詳細に脈動低減を行うことができる。
上述したように、本実施形態では、補助突極部259で発生するリラクタンストルクを利用した埋込み磁石型の回転電機において、その補助突極部259の中心であるq軸に対してずれた位置に磁気的空隙258を設けたコアを、積層方向にずらして積み上げてロータを構成することによって、コギングトルクの脈動低減とは別個に、通電時トルク脈動を低減することができる。その結果、このような回転電機を電気自動車やハイブリッド自動車の走行用モータに適用することで、低速加速時の振動および騒音が小さく、乗り心地と静粛性の向上を図ることができる。
―第4の実施の形態―
図27乃至図32を用いて第4の実施の形態を説明する。図27は、回転子鉄心252の部分外観図である。回転子鉄心252、磁気的空隙(切欠き)258を補助突極部259の中心に対して回転方向の一方側に形成したコア301と、磁気的空隙(切欠き)258を補助突極部259の中心に対して回転方向の他方側に形成したコア302とからなる。図5に示した如く、コア301に対しコア302の回転子方向の長さは約2倍である。但しこの構造に限るものではなく、コアの形状およびその組合せは、先に図17から図19での説明のとおりである。コア301とコア302に挿入されている永久磁石254aおよび254bは略同じ回転位置で略同じ形状であり、一体形状の永久磁石254を挿入しても良いし、コア301とコア302に関係なく分割しても良い。永久磁石254を挿入する穴および磁気的空隙257もまたコア301とコア302において略同じ形状および同じ回転位置であり、回転軸方向に連続して形成されている。
この実施の形態では各界磁極は1個の永久磁石254を有するが、図24で説明した如く各界磁極が複数個の永久磁石254を有していても良い。隣接する界磁極間には補助突極部259が設けられているが、界磁極間と補助突極部259との間にはさらに、上述の磁気的空隙257と磁気ブリッジ部272と溝282とが設けられている。各永久磁石254の固定子側鉄心は磁極片部262として作用し、永久磁石254aの発生する磁束は永久磁石254aの固定子側に形成された磁極片部262から固定子に導かれ、永久磁石254bの固定子側に形成された磁極片部262を介して固定子から永久磁石254bに導かれる。上記永久磁石254aと永久磁石254bとは既に説明の如く、逆極性に磁化されている。
各界磁極間と補助突極部259との間に設けられた各磁気ブリッジ部272は、磁極片部262から補助突極部259へ漏洩する磁束を少なくする働きや、磁極片部262から各永久磁石254の反対側(回転軸側)の磁極に漏洩する磁束を少なくする働きをする。すなわち、各磁気ブリッジ部272が磁気的飽和となると磁気抵抗が非常に大きくなり、通過する磁束が制限される。さらに、この実施の形態では溝282を設けることにより、磁気ブリッジ部272が長くさらにバネの特性を備えるので、遠心力に起因する応力の集中を抑える形状を成している。溝282はその溝奥部284が太くさらに円弧形状に近い曲面を有する形状を成しているので応力の集中が抑えられる。
固定子および回転子の回転軸に垂直な面の断面図の一部を図28と図29に、あるいは図30から図32に示す。図28および図29に対して図30から図32は磁気的空隙257や磁気ブリッジ部272さらに溝282が少し異なる形状をしているが、基本概念は同じである。図28および図30さらに図32は、コア301に用いる回転子のコアの構造を示しており、図29および図31はコア302に用いる回転子のコアの構造を示している。図28乃至図32の基本構成は図27で説明のとおりである。これらの図で、永久磁石254の補助突極部259側には、磁気的空隙257がそれぞれ設けられている。該磁気的空隙257が回転子の回転方向に延びることで、磁気的空隙257と回転子表面との間に磁気ブリッジ部272が形成され、この部分を介して磁気ブリッジ部272は磁極
片部262と繋がっている。磁気的空隙257が回転子250の外周に沿って回転方向に延びることで、固定子230と回転子250との間の空隙における回転方向(周方向)の磁束密度の急激な変化を和らげる作用を成し、コギングトルクを低減する作用をする。
磁気ブリッジ部272の補助突極部259側に溝282が形成され、磁気的空隙257と溝282との間に径方向を向く磁気ブリッジ部272が形成される。但しこれらの実施の形態では回転軸を通り径方向に延びる法線L1に対して前記径方向を向く磁気ブリッジ部272の外周側は線L2の方向を向いている。磁気的空隙257の半径方向の長さは、永久磁石254の半径方向の長さより短い。磁気ブリッジ部272は、この磁気的空隙257の補助突極部259側の形状に沿って磁気ブリッジ部272の向きが変わり線L3の方向を向く。ここで、線L2の方向は、回転子の中心に向かうに従って永久磁石254から補助突極部259に向く方向である。すなわち、線L1に対し線L2は回転子の中心に向かうにしたがって回転方向に広がる方向である。また、線L3の方向は、回転子の中心に向かうにしたがって補助突極部259から永久磁石254に向く方向である。すなわち、線L1に対し線L3は回転子の中心に向かうにしたがって回転方向に関し狭くなる方向である。従って、磁気ブリッジ部272は、線L1に関してみると線L2方向から回転方向において反対側を向く関係にあるL3の方向に変わる。
このような形状を磁気ブリッジ部272が成しているので、永久磁石254および磁極片部262の質量に対する遠心力がブリッジ部272の一部に集中するのを防止し、高速回転まで耐えられる効果を奏する。逆の見方をすると、磁気ブリッジ部272の磁気的な断面積を小さくでき、漏洩磁束を低減でき磁気的な特性を改善できる。溝282の溝奥部284は磁気的空隙257より回転軸方向において深く形成され、さらに溝奥部284は周方向(回転方向)に沿って膨らんでいるので、上述のような磁気ブリッジ部272の線L2の方向から線L3の方向への変化が容易となる。また、合せて溝奥部284での応力の集中を防止できる。
さらに、磁気的空隙258は図28や図29では比較的小さい切欠きとなっているが、図30から図32では比較的大きな切欠きとなっている。図28から図32では、回転子や固定子およびスロットの寸法やその他の構成の寸法関係を正確に記載している。永久磁石254の回転方向の角度θmに対し、溝282で挟まれた補助突極部259の回転方向の角度θaは、θa/θm≒0.5で、磁気的空隙(切欠き)258の回転方向の角度θcは、θc/θm≒0.5である。この関係は一例である。0.75>θa/θm>0.25が望ましく、θcが固定子の各スロットの回転子側の開口より大きく、0.7>θc/θmの条件が望ましく、さらに0.5>θc/θmの条件が最適である。また、磁気的空隙258の半径方向の深さは、永久磁石254の径方向の幅の半分以下である。
図27から図32に記載の実施の形態では、先に説明の実施の形態が有する作用効果を備えている。すなわち、補助突極部259の固定子側外周に形成された磁気的空隙258により、固定子電流が発生する回転磁界に起因する脈動を低減できる。磁気的空隙258と永久磁石254との間には溝282があり、永久磁石254の発生する磁束の磁気的空隙258を通る磁束量が非常に少なくなり、磁気的空隙258の形状がコギングトルクに及ぼす影響がたいへん少なくなる。本実施の形態では溝282に加え磁気的空隙257が存在するので、磁気的空隙258の形状がコギングトルクに及ぼす影響が非常に小さい。このことにより、コギングトルクに及ぼす影響が非常に小さい上記のような解決策で、固定子電流に起因する脈動を低減できる。
上記回転子250の各界磁極の補助突極部259側に設けている磁気的空隙257は、さらにコギングトルクを低減するという効果を奏する。
磁気ブリッジ部272を磁気的空隙257に沿って形成している。磁気的空隙257の補助突極部259側の形状を曲線の組合せあるいは曲線と直線の組合せで作ることができるので、磁気ブリッジ部272の磁気的空隙257側形状を曲線形状とすることができ、応力の集中を防ぐことができる。また磁気的空隙257と溝282との間に磁気ブリッジ部272を形成する構造としているので、応力の集中を防止でき、高速回転時の永久磁石254や磁極片部262に発生する大きな遠心力に耐えるのに適した形状に磁気ブリッジ部272を形成することができる。
なお、上述したそれぞれの実施の形態では、車両駆動用のモータを例に説明したが、本発明は、車両駆動用回転電機としての適用は最適であるが、これに限らず種々のモータにも適用することができる。さらに、モータに限らず、オルタネータのような発電機などの種々の回転電機に適用が可能である。また、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
24:スロット、100:車両、180:バッテリ、200,202:回転電機、212,234:ハウジング、230:固定子、232:固定子鉄心、236:ティース、238:固定子巻線、250:回転子、252:回転子鉄心、254:永久磁石、257,258:磁気的空隙、259:補助突極、260:ブリッジ部、301,302:コア、310:穴、600:電力変換装置、403:油

Claims (14)

  1. 短節巻で巻回された固定子巻線を有する固定子と、
    周方向に配設された複数の磁石、および、複数の磁石の極間に磁気的補助突極部が形成された複数の分割コアを軸方向に積層した回転子コアを有し、前記固定子に対して回転自在に配設された回転子と、を備え、
    前記各分割コアに形成された前記複数の磁気的補助突極部の各々には、該磁気的補助突極部の突極中心を通るq軸から周方向にずれた位置に、前記回転子の軸方向に沿って磁気的空隙設けられ
    前記磁気的空隙のq軸からのずれ量を前記複数の分割コア毎に設定するとともに、前記複数の分割コアの前記ずれ量のそれぞれを、前記回転子の通電時トルク脈動に含まれる12次のトルク脈動が低減されるように設定したことを特徴とする回転電機。
  2. 請求項1に記載の回転電機において、
    前記複数の分割コアは、前記磁気的空隙の前記q軸からのずれ量が互いに異なる第1の分割コアと第2の分割コアとを含み、
    前記第1の分割コアに生じる通電時トルク脈動と前記第2の分割コアに生じる通電時トルク脈動との間の位相差が電気角で15度となるように、前記第1の分割コアの前記磁気的空隙のずれ量と前記第2の分割コアの磁気的空隙のずれ量との差を設定したことを特徴とする回転電機。
  3. 請求項1に記載の回転電機において、
    前記複数の分割コアは、前記磁気的空隙の前記q軸からのずれ量が所定量ずつ異なる第1、第2および第3の分割コアを含み、
    前記第1の分割コアに生じる通電時トルク脈動に対する前記第2の分割コアに生じる通電時トルク脈動の位相差、および、前記第2の分割コアに生じる通電時トルク脈動に対する前記第3の分割コアに生じる通電時トルク脈動の位相差が、それぞれ電気角で10度または20度となるように、
    前記第1、第2および第3の分割コアの前記磁気的空隙のずれ量をそれぞれ設定したことを特徴とする回転電機。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転電機において、
    前記複数種類の磁気的空隙が設けられた各回転子コア部分の軸方向寸法を同一としたことを特徴とする回転電機。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転電機において、
    前記磁気的空隙は、前記回転コアの表面に形成した凹部または前記回転コア内部に形成された穴であることを特徴とする回転電機。
  6. 請求項に記載の回転電機において、
    前記凹部の周方向角度は、補助突極部の周方向角度の半分以下に設定されていることを特徴とする回転電機。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の回転電機において、
    前記複数の磁石は、磁化方向が前記回転子コアの径方向であって、磁化方向の向きが交互に逆向きになるように周方向に配置されていることを特徴とする回転電機。
  8. 請求項に記載の回転電機において、
    前記磁石の各々は、磁化の向きがほぼ等しい複数の磁石からなる磁石群を構成していることを特徴とする回転電機。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の回転電機において、
    前記回転子コアは、前記磁気的空隙を形成する穴または切り欠きが形成された電磁鋼板を積層して成ることを特徴とする回転電機。
  10. 請求項に記載の回転電機において、
    前記電磁鋼板の表裏を逆に積層することにより、周方向位置が異なる2種類の前記磁気的空隙を回転子コアに形成したことを特徴とする回転電機。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の回転電機において、
    前記磁石の周方向配置を軸方向位置に対応して周方向にずらすスキュー構造としたことを特徴とする回転電機。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の回転電機において、
    前記固定子巻線は、分布巻で巻回されていることを特徴とする回転電機。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の回転電機において、
    前記固定子、前記回転子および冷却油を収容したケーシングを備え、
    前記回転子の回転子コアに形成された磁気的空隙の一部が前記冷却油内に浸っていることを特徴とする回転電機。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の回転電機と、
    直流電力を供給するバッテリと、
    前記バッテリの直流電力を交流電力に変換して前記回転電機に供給する変換装置とを備え、
    前記回転電機の駆動力により走行を行うことを特徴とする電気自動車。
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