JP5147696B2 - 可溶型lox−1に対するモノクローナル抗体 - Google Patents

可溶型lox−1に対するモノクローナル抗体 Download PDF

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Description

本発明は、酸化低比重リポタンパク(以下、「酸化LDL」という)の受容体であるレクチン様酸化低比重リポタンパク質受容体−1(Lectin-like oxidized low density lipoprotein receptor-1)(以下、「LOX−1」という)の一部が開裂して生じる可溶型分子(以下、「可溶型LOX−1」という)に特異的親和性を有して結合するモノクローナル抗体、および当該抗体を産生するハイブリドーマに関する。さらに本発明は、当該モノクローナル抗体の用途に関する。
不安定狭心症から急性心筋梗塞、さらにはこれらに合併する心臓性突然死までの一連の病態は包括的に急性冠症候群(ACS)と呼ばれる。いずれも心臓に栄養を供給する冠動脈の動脈硬化により生じた粥腫(プラーク)が崩壊し、これに血栓が付着した結果、冠動脈の狭窄や閉塞が生じて発症するとされる。現代社会において、急性冠症候群は増加の一途をたどっているが、その大部分は何の前兆もなく突然に発症するため、救命できず突然死の経過をたどることも多い。また、たとえ速やかに病院に収容された場合でも、救命のために緊急心臓手術、緊急経皮経管冠動脈血管形成術(PCI)等が必要になることも多く、その医療経済上の負担は計り知れない。
急性冠症候群の発症は、粥状動脈硬化プラークの破綻あるいは糜爛に続発して生じる閉塞性の血栓形成に起因することが近年明らかになってきた(非特許文献1)。プラークの破綻、糜爛には血管壁内での催炎症反応、酸化ストレスが重要な役割を担うことが示されてきたが、中でも酸化変性を受けたLDL(低比重リポタンパク質)により惹起された、プロテアーゼ活性の増加及びアポトーシス(細胞死)を中心とする血管壁の機能障害がその主要な原因として知られている。LOX−1は、この酸化LDLの受容体タンパク質として同定されたものである(非特許文献2)。このLOX−1は、生体内において通常、膜タンパク質として細胞表面に発現しているが、プロテアーゼの作用により膜貫通部近傍の細胞外ドメインにて切断されて可溶型(soluble)LOX−1として血中に遊離することが知られている(非特許文献3)。また急性冠症候群の急性期においては、この可溶型LOX−1の血中濃度が著明に上昇することから、急性冠症候群の一次的診断マーカーとしての可能性が報告されている(非特許文献4)。
そのため、血中に存在する可溶型LOX−1の量を早期の段階で正確に定量できれば、急性冠症候群(ACS)を未然に防止することができるといえる。一方、LOX−1に対する抗体についての報告はあるが、いずれも一般的な記載に止まっており、上記の目的にかなうELISAなどの免疫化学的測定系に使用できる高い親和性を有するモノクローナル抗体は、報告されていないのが現状である(特許文献1〜3)。
Medical Tribune, 1999, Vol. 32, No.31, p.6 Nature, 1997, Vol.386, p.73-77 Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. , 2000, 20(3), p.715-720 Circulation, 2005, 112(6), p.812-818 特開平9−98787号公報 特開2000−109435号公報 特表2002−510710号公報
本発明の目的は、ヒト酸化LDL受容体であるLOX−1の可溶型分子である、ヒト可溶型LOX−1を特異的に認識して結合するモノクローナル抗体、特にヒト可溶型LOX−1との解離定数が1×10−9(M)以下の、ヒト可溶型LOX−1に対して高い親和性を有するモノクローナル抗体を提供することである。また、本発明は、当該モノクローナル抗体の用途、例えば当該抗体が有するヒト可溶型LOX−1に対する特異的親和性および結合性を利用した免疫学的試薬(例えば、ヒト可溶型LOX−1の特異的結合試薬または特異的検出試薬)、及び当該試薬を利用したヒト可溶型LOX−1の特異的かつ高感度な検出法を提供することを目的とする。
さらに本発明は、血中に存在するヒト可溶型LOX−1を検出または定量することによって、心筋梗塞に代表される急性冠症候群を診断する方法、ならびに急性冠症候群の治療薬やその候補薬の薬効を評価する方法を提供することを目的とする。
急性冠症候群の診断や急性冠症候群に対する被験薬物の薬効評価は、上記モノクローナル抗体を用いて血中に存在するヒト可溶型LOX−1を検出または定量することにより、従来法よりも容易且つ早期に行うことが可能になる。ゆえに、本発明は、かかる急性冠症候群の診断や薬効評価におけるモノクローナル抗体の用途を提供することをも目的とする、
上記課題を解決すべく、本発明者らは鋭意研究を行ったところ、ヒトLOX−1細胞外ドメイとの結合を指標として調製したハイブリドーマから産生されたモノクローナル抗体が、ヒト可溶型LOX−1に対して、解離定数が1×10−9(M)以下と極めて高い親和性を有していることを見出し、さらに、これらのモノクローナル抗体を用いたサンドイッチELISA法によれば、急性冠症候群の病態を反映する血中の可溶型LOX−1の存在を高感度に検出測定することができることを確認した。これらの知見から、本発明にかかるモノクローナル抗体を使用した検査キットを用いれば、急性冠症候群の高精度な診断が可能になること、また急性冠症候群に対する被験薬の薬効が高い精度で評価できることを確信した。
本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、下記の態様を含む:
(I)モノクローナル抗体
(I-1)ヒト可溶型LOX−1に特異的に結合する性質を有する、モノクローナル抗体もしくはその一部、またはこれらの標識物。
(I-2)ヒト可溶型LOX−1との解離定数(Kd)が、1×10−9(M)以下であることを特徴とする、(I-1)に記載するモノクローナル抗体もしくはその一部、またはこれらの標識物。
(I-3)下記の工程を含む方法で調製されるハイブリドーマにより産生される、(I-1)または(I-2)に記載するモノクローナル抗体もしくはその一部、またはこれらの標識物:
(1)非ヒト動物に、原核細胞由来のヒトLOX−1細胞外ドメインを免疫する工程、
(2)当該動物から抗体産生細胞を回収する工程、
(3)当該抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合する工程、
(4)上記工程で得られた融合細胞のなかから、前記ヒトLOX−1細胞外ドメインと反応するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択する工程、および
(5)当該選択したハイブリドーマのなかから、真核細胞由来のヒトLOX−1細胞外ドメインと反応するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択する工程。
(I-4)ハイブリドーマ「Mouse−Mouse hybridoma sLOX−11A7」(受託番号:FERM BP−10645)、または「Mouse−Mouse hybridoma sLOX−1 6B11」(受託番号:FERM BP−10646)により産生されるモノクローナル抗体もしくはヒト可溶型LOX−1に特異的に結合するその一部、またはこれらの標識物。
(I-5)モノクローナル抗体の一部が、ヒト可溶型LOX−1に特異的に結合するモノクローナル抗体のFab’断片である、(I-1)〜(I-4)のいずれかに記載するモノクローナル抗体もしくはその一部、またはこれらの標識物。
(II)モノクローナル抗体もしくはその一部、またはこれらの標識物の用途
上記のモノクローナル抗体またはその一部は、血液などの体液に存在するヒト可溶型LOX−1の高感度検出に有効に利用でき、急性冠症候群の診断に応用することが可能である。また、これらのモノクローナル抗体またはその一部は、急性冠症候群の治療薬または治療候補薬の薬効評価に有効に利用することができる。よって、本発明には下記の態様が含まれる。
(II-1)急性冠症候群の診断に使用される、(I-1)〜(I-5)のいずれかに記載するモノクローナル抗体もしくはその一部、またはこれらの標識物。
(II-2)(I-1)〜(I-5)のいずれかに記載するモノクローナル抗体もしくはその一部、またはこれらの標識物を用いて、ヒト体液中の可溶性LOX−1を測定する工程を有する、急性冠症候群の診断方法。
(II-3)急性冠症候群の治療薬または治療候補薬の薬効評価に使用される、(I-1)〜(I-5)のいずれかに記載するモノクローナル抗体もしくはその一部、またはこれらの標識物。
(II-4)急性冠症候群の治療薬または治療候補薬が投与されたヒトの体液を対象として、(I-1)〜(I-5)のいずれかに記載するモノクローナル抗体もしくはその一部、またはこれらの標識物を用いて、当該ヒト体液中の可溶性LOX−1を測定する工程を有する、急性冠症候群の治療薬または治療候補薬の薬効の評価方法。
(III)ハイブリド−マおよびその調製方法
(III-1)(I-1)〜(I-5)のいずれかに記載するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
(III-2)ヒトLOX−1細胞外ドメインの可溶性画分とCHO細胞由来可溶型LOX−1との競合的結合をスクリーニングの指標として調製される(III-1)記載のハイブリドーマ。
(III-3)「Mouse−Mouse hybridoma sLOX−1 1A7」(受託番号:FERM BP−10645)、または「Mouse−Mouse hybridoma sLOX−1 6B11」(受託番号:FERM BP−10646)である、(II-1)または(II-2)に記載するハイブリドーマ。
(III-4)下記の工程を含む、(III-1)に記載するハイブリドーマの調製方法。
(1)非ヒト動物に、原核細胞由来のヒトLOX−1細胞外ドメインを免疫する工程、
(2)当該非ヒト動物から抗体産生細胞を回収する工程、
(3)当該抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合する工程、
(4)上記で得られた融合細胞のなかから、前記ヒトLOX−1細胞外ドメインと反応するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択する工程、および
(5)当該選択したハイブリドーマのなかから、真核細胞由来のヒトLOX−1細胞外ドメインと反応するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択する工程。
(III-5)(III-4)に記載される方法によって調製されたハイブリドーマ。
(III-6)(III-4)に記載される方法によって調製される(III-1)〜(III-3)のいずれかに記載されるハイブリドーマ。
(IV)ヒト可溶型LOX−1検出用試薬キットおよびその用途
(IV-1)(I-1)〜(I-5)のいずれかに記載のモノクローナル抗体もしくはその一部、またはこれらの標識物を、ヒト可溶型LOX−1に対する特異的結合試薬またはヒト可溶型LOX−1の特異的検出試薬として含む、ヒト可溶型LOX−1検出用試薬キット。
(IV-2)急性冠症候群診断キットである、(IV-1)に記載する試薬キット。
なお、当該試薬キットは、「(I-1)〜(I-5)のいずれかに記載のモノクローナル抗体もしくはその一部、またはこれらの標識物を含む、急性冠症候群診断キット。」と言い換えることができる。
(V)ヒト可溶型LOX−1の特異的検出方法
(V-1)(I-1)〜(I-5)のいずれかに記載のモノクローナル抗体もしくはその一部、またはこれらの標識物を、ヒト可溶型LOX−1に対する特異的結合試薬または特異的検出試薬として用いる工程を有する、ヒト可溶型LOX−1の特異的検出方法。
急性冠症候群の病態に関連して血液中の可溶型LOX−1量が増加することから、上記検出方法を利用することにより、被験者について急性冠症候群の病態の有無やその程度を診断することが可能となる。
本発明のモノクローナル抗体は、ヒト可溶型LOX−1を特異的に認識し、高い親和性でもって結合するため、当該ヒト可溶型LOX−1の特異的検出及び特異的結合に有用である。かかる本発明のモノクローナル抗体、その一部またはこれらの標識物(またはこれらのいずれかを含むヒト可溶型LOX−1検出試薬)並びにそれを利用したヒト可溶型LOX−1の特異的検出法によれば、生体組織または生体試料における可溶型LOX−1の発現分布や存在を免疫化学的に調べることができ、可溶型LOX−1の生理学的作用並びに意義をより詳細に解明することが可能となる。また、本発明のモノクローナル抗体、その一部またはこれらの標識物(またはこれらのいずれかを含むヒト可溶型LOX−1検出試薬)並びにそれを利用したヒト可溶型LOX−1の特異的検出法によれば、LOX−1の発現(発現亢進、発現不全/減少)に関連して生じる種々の疾患や病態を、免疫化学的または免疫組織学的に診断することが可能となる。これらの疾患または病態としては、LOX−1の発現亢進を伴う(または発現亢進に起因する)疾患または病態、例えば動脈硬化およびそれがより進展した病態である例えば心血管疾患(虚血性心疾患、心不全)、すなわち急性冠症候群を例示することができる。
特に、実施例に示すように、本発明のモノクローナル抗体を2種類組みあわせて用いた2サイトサンドイッチELISAによれば、ヒト血清1mLあたり約0.1ng/mLの定量限界でもって、ヒト可溶型LOX−1の血中濃度を測定することができる。かかる測定感度は、従来の測定方法の約10倍に相当する。
I.モノクローナル抗体、及びその製造方法
以下、本発明で用いられる各種用語の意味を明らかにすることにより、本発明のモノクローナル抗体、およびその製造方法を詳細に説明する。
本発明において「LOX−1」とは、哺乳動物に由来する酸化LDL(Oxdized low density lipoprotein)の受容体である。ここで哺乳動物としては、ヒト、ウシ、ヤギ、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、及びモルモット等を挙げることができるが、好ましくは既報に記載されるヒト、ウシ、ウサギ、ラットまたはマウスの酸化LDL受容体(Oxdized low density lipoprotein receptor)である(Nature, Vol.386, p.73-77, 1997;脂質生化学研究、Vol. 39, p.83-84, 1997; 特開平9−98787号公報;GenBank Accession No.BAA81912;Biochem. J., Vol.330 (Pt.3), p.1417-1422, 1998)。具体的には、配列番号1に記載されるアミノ酸配列を有するヒトLOX−1を挙げることができる。
かかるLOX−1は、糖鎖が付加された約50kDaのII型膜タンパク質でN末より細胞内ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞外ドメインからなり、さらに当該細胞外ドメインは、ネックドメインとレクチン様ドメインの2つのドメインからなる(計4つのドメイン)。このうちレクチン様ドメインが酸化LDLの認識部位として働いている(沢村達也、臨床検査、Vol.45, No.3, p297)。ヒトLOX−1(配列番号1)の場合、具体的には、そのアミノ酸1−36領域が細胞内ドメイン、アミノ酸37−57領域が膜貫通ドメイン、アミノ酸58−273領域が細胞外ドメインに相当する。
本発明において「LOX−1細胞外ドメイン」とは、前述するLOX−1の全構造のうち「細胞外ドメイン」の全部またはその一部を意味する。具体的には、膜貫通タンパクであるLOX−1において、細胞膜の外界側に存在する部分構造(部分領域)の全部または一部を意味する。換言すれば、「LOX−1細胞外ドメイン」とは、膜内に取り込まれている膜貫通ドメイン及び当該ドメインに引き続いて細胞質内に存在する細胞内ドメインを除いた領域の全部または一部を意味する。ヒトLOX−1(配列番号1)の場合、前述するように、そのアミノ酸配列の58−273の領域が「LOX−1細胞外ドメイン」の全部に相当する。
「ヒトLOX−1細胞外ドメインの一部」とは「LOX−1細胞外ドメイン」の一部をさし、ヒトLOX−1のアミノ酸配列(配列番号1)の85−273領域(配列番号2)の他、「可溶型LOX−1」など可溶性を示す部分領域を挙げることができる。
本発明において「可溶型LOX−1」とは、膜中に存在するLOX−1の一部(普通は「細胞外ドメイン」の一部)が切断されて(解離して)血中に放出(分泌)された、LOX−1の一部を意味する。
より具体的には、ヒト可溶型LOX−1とはヒトLOX−1の細胞外ドメインの一部からなる可溶型レセプターのことである。ヒトLOX−1細胞外ドメインの一部に相当する可溶型レセプター分子の例としては、ヒトLOX−1のアミノ酸配列(配列番号1)の88−273領域(配列番号3)からなる分子、または当該アミノ酸配列(配列番号1)の92−273領域(配列番号4)からなる分子を例示することができる。またヒトLOX−1細胞外ドメインの一部に相当する分子には、ヒトLOX−1細胞外ドメインのN端側に位置するペプチドが含まれる。当該ペプチドとして、具体的には、可溶型分子のアミノ酸配列(配列番号3)の1−10領域に相当するペプチド(配列番号5)、および可溶型分子のアミノ酸配列(配列番号4)の1−10領域に相当するペプチド(配列番号6)を例示することができる。なお、これらのペプチドは、ヒトLOX−1のアミノ酸配列(配列番号1)のそれぞれ88−97領域および92−101領域に相当する。
本発明が対象とする「モノクローナル抗体」とは、前述するヒト可溶型LOX−1に特異的に結合するモノクローナル抗体である。ヒト血液中には、LOX−1の一部が開裂して生成する配列番号3または4で示されるアミノ酸配列を有する可溶型LOX−1が存在しており、その量は急性冠症候群の進展に伴って増加することから、当該可溶型LOX−1は急性冠症候群、具体的は動脈硬化やそれ起因して発症する虚血性心疾患の病態を反映する診断指標となり得ると考えられている(林田ら、Circulation、2005,112(6)、p.812-818)。
よって本発明が対象とする「モノクローナル抗体」は、好適には、配列番号3または4で示されるアミノ酸配列を有するヒト可溶型LOX−1に対して高い親和性を有する抗体である。
かかるヒト可溶型LOX−1に対して特異的結合性を有する本発明の「モノクローナル抗体」は、ヒトLOX−1細胞外ドメインの一部(天然体、組換体、合成物、細胞培養上清を含む)を免疫原として用いて調製することができる。具体的には、まずヒトLOX−1細胞外ドメインの一部を免疫原として、また必要に応じてフロイントアジュバントとともに、非ヒト哺乳動物、好ましくは、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ロバ、ウマあるいはウシ(ヒト抗体産生トランスジェニックマウスのような他の動物由来の抗体を産生するように作出されたトランスジェニック動物を含む)、より好ましくはマウス、ラット、ハムスター、モルモットまたはウサギの皮下内、筋肉内、静脈内、フッドパッド内あるいは腹腔内に1乃至数回注射することにより免疫感作を施す。通常、初回免疫から約1〜21日毎に1〜4回免疫を行って、最終免疫より約1〜10日後に免疫感作された該非ヒト哺乳動物から抗体産生細胞を取得することができる。免疫を施す回数及び時間的インターバルは、使用する免疫原の性質などにより、適宜変更することができる。
なお、標準物質、免疫原(ハプテン)及びスクリーニングに、使用される「ヒトLOX−1細胞外ドメインの一部」としては、例えば下記のものを例示することができる。なお、いずれもヒトLOX−1細胞外ドメインの一部を高濃度で含むものであればよく、画分であってもよい。
(イ)ヒトLOX−1を細胞表面に発現する細胞もしくは細胞表面に発現するように人工的に樹立した細胞株、またはヒトLOX−1を細胞表面に発現するように遺伝子組換え技術を用いて作成した遺伝子組換え細胞を培養して得た培養上清、または当該培養上清から精製されたヒト可溶型LOX−1;
(ロ)ヒトLOX−1細胞外ドメインの部分領域をタンパク質として発現するように遺伝子組換え技術を用いて作成された遺伝子組換え細胞を培養して得た培養上清もしくは当該培養上清から精製されたヒトLOX−1細胞外ドメインの部分領域;または
(ハ)化学的に合成されたヒトLOX−1細胞外ドメインのN末端領域。
具体的には(イ)のヒト可溶型LOX−1としては、例えば、細胞の培養液中に分泌されるヒト可溶型LOX−1を挙げることができる。これは細胞の培養液中に分泌される可溶型LOX−1が、天然のヒト可溶型LOX−1に最も近いからである。当該ヒト可溶型LOX−1は、実施例1(2)に記載する方法のように、遺伝子工学的に調製することができる(特開2002−17353号公報など参照)。
また(ロ)のヒトLOX−1細胞外ドメインの部分領域としては、ヒトLOX−1細胞外ドメイン(配列番号1のアミノ酸配列58−273領域)の一部(例えば、配列番号2)を挙げることができる。当該部分領域は、実施例1(1)に記載する方法のように、遺伝子工学的に調製することができる。
さらに(ハ)のヒトLOX−1細胞外ドメインのN末端領域としては、配列番号5または6に記載するアミノ酸配列を有するペプチドを挙げることができる。当該ペプチドは、ハプテンとして使用する場合は、ウシ血清アルブミン(BSA)などの高分子とコンジュゲートさせる必要がある。
本発明で使用される免疫原として、好ましくは、(ロ)の大腸菌など原核細胞由来のヒトLOX−1細胞外ドメインの部分領域である。
モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマの調製は、ケーラー及びミルシュタインらの方法(Nature, 1975, Vol.256, p.495-497)、及びそれに準じた方法に従って行うことができる。即ち、前述の如く免疫感作された非ヒト哺乳動物から取得される脾臓、リンパ節、骨髄あるいは扁桃等、好ましくは脾臓に含まれる抗体産生細胞と、好ましくはマウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギまたはヒト等の哺乳動物、より好ましくはマウス、ラットまたはヒト由来の自己抗体産生能のないミエローマ細胞を細胞融合させることによってハイブリドーマを調製することができる。
細胞融合に用いられるミエローマ細胞としては、例えばマウス由来ミエローマP3/X63−AG8.653(653)、P3/NSI/1−Ag4−1(NS−1)、P3/X63−Ag8.U1(P3U1)、SP2/0−Ag14(Sp2/O、Sp2)、PAI、F0あるいはBW5147、ラット由来ミエローマ210RCY3−Ag.2.3、ヒト由来ミエローマU−266AR1、GM1500−6TG−A1−2、UC729−6、CEM−AGR、D1R11あるいはCEM−T15を使用することができる。
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマクローンのスクリーニングは、まず、ハイブリドーマを、例えばマイクロタイタープレート中で培養し、増殖が見られたウェルの培養上清の、前述する非ヒト動物への免疫感作に用いた免疫原(上記(イ)〜(ハ)のいずれか。好ましくは(ロ)の方法で調製した原核細胞由来のヒトLOX−1細胞外ドメインの一部)に対する反応性を、RIAやELISA等の免疫測定法によって測定し、当該免疫原に対して特異的親和性を示すモノクローナル抗体を産生するクローンを選択することによって行う。この方法において、通常は、免疫原を固相化し、そこに結合する培養上清中の抗体を、酵素で標識した第二抗体で検出するという、非競合法ELISAが用いられる。しかしながらこの非競合法は非特異的な結合も検出するため、特異的な結合をする抗体のみを検出することが難しい。さらに、一般にタンパクを大腸菌などの原核生物の細胞で発現させたとき、その立体構造は天然のものとは異なる。大腸菌で発現させたヒトLOX−1細胞外ドメインの一部についても、多くは沈殿物となる。このため、免疫原としてその沈殿と上清の懸濁液が用いられるが、この場合、産生する抗体も天然のヒト可溶型LOX−1とは異なる沈殿等の変性タンパクと結合するものが多く含まれることが予想される。
そこで本発明者らは、下記の(1)および(2)のスクリーニングを段階的に行い、その結果、天然型のヒト可溶型LOX−1と極めて高い親和性をもって結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択した。
(1)固相化した第二抗体に、ハイブリドーマの培養上清中の抗体を結合させ、これに、まず原核細胞に由来するヒトLOX−1細胞外ドメインの一部を添加し、ビオチンで標識したヒト可溶性LOX−1と競合反応させて、原核細胞に由来するヒトLOX−1細胞外ドメインの一部と反応する抗体を産生するハイブリドーマを選択する。
(2)上記で選択されたハイブリドーマの培養上清を用いて、この中に含まれる抗体を、固相化した第二抗体に結合させ、これに、真核細胞に由来するヒトLOX−1細胞外ドメインの一部とビオチンで標識したヒト可溶性LOX−1を競合反応させて、真核細胞由来のヒトLOX−1細胞外ドメインの一部と反応する抗体を産生するハイブリドーマを選択する。
ハイブリドーマからのモノクローナル抗体の製造は、ハイブリドーマをインビトロで培養するか、またはマウス、ラット、モルモット、ハムスターまたはウサギ等の非ヒト哺乳動物、好ましくはマウスまたはラット、より好ましくはマウスの腹水中等で培養し、得られた培養上清、または哺乳動物の腹水から単離することにより行うことができる。インビトロで培養する場合には、培養する細胞種の特性、試験研究の目的及び培養方法等の種々条件に合わせて、ハイブリドーマを増殖、維持及び保存させ、培養上清中にモノクローナル抗体を産生させるために用いられるような既知栄養培地あるいは既知の基本培地から誘導調製されるあらゆる栄養培地を用いて実施することが可能である。
基本培地としては、例えば、Ham’F12培地、MCDB153培地あるいは低カルシウムMEM培地等の低カルシウム培地及びMCDB104培地、MEM培地、D−MEM培地、RPMI1640培地、ASF104培地あるいはRD培地等の高カルシウム培地等が挙げられ、該基本培地は、目的に応じて、例えば血清、ホルモン、サイトカイン及び/または種々無機あるいは有機物質等を含有することができる。モノクローナル抗体の単離、精製は、上述の培養上清あるいは腹水を、飽和硫酸アンモニウム、イオン交換クロマトグラフィー(DEAEまたはDE52等)、抗イムノグロブリンカラムあるいはプロテインAカラム等のアフィニティカラムクロマトグラフィーに供すること等により行うことができる。
本発明のモノクローナル抗体は、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、IgM、IgA(IgA1、IgA2)、IgDあるいはIgEのいずれのアイソタイプを有するモノクローナル抗体であることができる。好ましくはIgG(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、より好ましくはIgG1またはIgG2であり、特に好ましくはIgG1である。
本発明において「モノクローナル抗体の一部」とは、前述する本発明のモノクローナル抗体の一部であって、当該モノクローナル抗体と同様にヒト可溶型LOX−1に特異的に結合性を有する領域を意味する(以下、これを単に「抗体断片」ともいう)。
かかる抗体断片としては、具体的には、前述するヒト可溶型LOX−1に対して特異的結合性を有する、Fab (fragment of antigen binding)、F(ab')、Fab'、一本鎖抗体 single chain Fv; 以下、「scFv」と表記する)、2量化体V領域断片 (以下、Diabodyと表記する)、ジスルフィド安定化抗体(disulfide stabilized Fv; 以下、「dsFv」と表記する)、dAd(single domain antibody)、CDRを含むペプチド等を挙げることができる(エキスパート・オピニオン・オン・テラピューティック・パテンツ、第6巻、第5号、第441〜456頁、1996年)。
Fabは、H鎖のN末端側約半分とL鎖全体で構成される、分子量約5万の抗原結合活性を有する抗体断片である。当該Fabは、IgGのヒンジ領域で2本のH鎖を架橋している2つのジスルフィド結合 (S−S結合) の上部のペプチド部分を、酵素パパインで分解することによって調製することができ、本発明で使用されるFabも、上記本発明のモノクローナル抗体をパパイン処理して得ることができる。または、上記本発明のモノクローナル抗体のFabをコードするDNAを動物細胞用発現ベクターに挿入し、該ベクターを動物細胞に導入して発現させることによってもFabを製造することができる。
F(ab')は、2つのFab’領域がヒンジ部分で結合して構成される、分子量約10万の抗原結合活性を有する抗体断片である。当該F(ab')は、IgGのヒンジ領域の2個のS−S結合の下部を酵素ペプシンで分解することによって調製することができ、本発明で使用されるF(ab')も、上記本発明のモノクローナル抗体をペプシン処理して得ることができる。または、当該モノクローナル抗体のF(ab')をコードするDNAを動物細胞用発現ベクターに挿入し、該ベクターを動物細胞に導入して発現させることによってもF(ab')を製造することができる。
Fab'は、上記F(ab')のヒンジ間のS−S結合を切断した分子量約5万の抗原結合活性を有する抗体断片である。本発明で使用されるFab'は、上記本発明のモノクローナル抗体のF(ab')を還元剤ジチオスレイトール処理して得ることができる。または、当該モノクローナル抗体のFab'をコードするDNAを動物細胞用発現ベクターに挿入し、該ベクターを動物細胞に導入して発現させることによってもFab'を製造することができる。
scFvは、一本のVHと一本のVLとを適当なペプチドリンカー (以下、Pと表記する) を用いて連結した、VH−P−VLないしはVL−P−VHポリペプチドで、抗原結合活性を有する抗体断片である。本発明で使用されるscFvに含まれるVHおよびVLは、上記本発明のモノクローナル抗体のものであればよい。本発明で使用されるscFvは、本発明のモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマよりVHおよびVLをコードするcDNAを取得し、scFv発現ベクターを構築し、大腸菌、酵母、あるいは動物細胞に導入して発現させることによって製造することができる。
dsFvは、VHおよびVL中のそれぞれ1アミノ酸残基をシステイン残基に置換したポリペプチドを、S−S結合を介して結合させたものをいう。システイン残基に置換するアミノ酸残基はReiterらにより示された方法 (Protein Engineering、7、697 (1994)) に従って、抗体の立体構造予測に基づいて選択することができる。本発明で使用されるdsFvに含まれるVHあるいはVLは、本発明のモノクローナル抗体のものであればよい。本発明で使用されるdsFvは、本発明のモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマよりVHおよびVLをコードするcDNAを取得し、適当な発現ベクターに挿入してdsFv発現ベクターを構築し、該発現ベクターを大腸菌、酵母、あるいは動物細胞に導入し、発現させることにより製造することができる。
Diabodyは、抗原結合特異性の同じまたは異なるscFvが2量体を形成した抗体断片で、同じ抗原に対する2価の抗原結合活性または異なる抗原に対する特異的な抗原結合活性を有する抗体断片である。例えば、本発明のモノクローナル抗体に特異的に反応する2価のDiabodyは、本発明のモノクローナル抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを取得し、3〜10残基のペプチドリンカーを有するscFvをコードするDNAを構築し、該DNAを動物細胞用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを動物細胞に導入してDiabodyを発現させることにより、製造することができる。
CDRを含むペプチドは、VHまたはVLのCDRの少なくとも1領域以上を含んで構成される。複数のCDRは、直接または適当なペプチドリンカーを介して結合させることができる。本発明で使用されるCDRを含むペプチドは、本発明のモノクローナル抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを取得した後、CDRをコードするDNAを構築し、該DNAを動物細胞用発現ベクターに挿入し、該ベクターを動物細胞に導入して発現させることにより、製造することができる。また、CDRを含むペプチドは、Fmoc法 (フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法 (t−ブチルオキシカルボニル法) 等の化学合成法によって製造することもできる。
「モノクローナル抗体の一部」として好ましくは、本発明のモノクローナル抗体(IgG)をペプシン処理して得られるF(ab’)を挙げることができる。
モノクローナル抗体またはその一部の抗原に対する親和性を表す指標として用いられる解離定数(Kd)は、種々の方法に従って解析することができる.たとえば、各種標識剤で標識した抗原を用いたScatchard法や、市販の測定キットであるBiacoreシステム(アマシャムファルマシア社製)または類似のキットを用いて、当該キットに添付された取扱い説明書及び実験操作方法に従って容易に解析することができる。これらの方法を用いて求められるKd値はM(モル)なる単位で表される。試験されたモノクローナル抗体は、解離定数(Kd値)が小さいほど強い親和性を有していることを示す。
本発明が対象とするモノクローナル抗体またはその一部には、ヒト可溶型LOX−1との解離定数(Kd)が、1×10−9(M)以下、好ましくは5×10−10(M)以下、より好ましくは2×10−10(M)以下である、ヒト可溶型LOX−1に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体またはその一部が含まれる。
本発明が対象とするモノクローナル抗体およびその一部は、解離定数が1×10−9(M)以下と、ヒト可溶型LOX−1に対する親和性が非常に高いことから、従来では達成できなかった、ヒト可溶型LOX−1の高感度の検出及び定量が可能である。特に、本発明のモノクローナル抗体によれば、健常人においては血清中の可溶型LOX−1の濃度が大変低く、従来の測定方法では正確な測定はできなかったという問題を、克服することができる。
一方、類似の免疫原を用いたモノクローナル抗体の報告がなされているものの(WO01/64862)、治療を目的としたヒト型抗体であり、開示されているいずれのモノクローナル抗体も解離定数は1×10−8(M)より大きい値を示している。この程度の解離定数では、健常人もしくは慢性期のような血清中の可溶型LOX−1の濃度が低い被験者を測定する場合において、感度の面から診断マーカーとしての目的は達成できないと考えられる(実施例5(9)参照)。
本発明が対象とするモノクローナル抗体のうち、より好適なものとしては、実施例で示すように、ハイブリドーマ6B11または1A7から産生されるモノクローナル抗体を挙げることができる。
これらのハイブリドーマ6B11および1A7から産生される各モノクローナル抗体の「解離定数(Kd)」を下記に示す。
Figure 0005147696
当該ハイブリドーマ6B11および1A7については、それぞれ「Mouse−Mouse hybridoma sLOX−1 1A7」および「Mouse−Mouse hybridoma sLOX−1 6B11」として、2006年7月26日付けで、日本国茨城県つくば市東1丁目1番1 中央第6に住所を有する独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに、国際寄託されている。各ハイブリドーマの受領番号および受託番号は、下記の通りである。
Figure 0005147696
II.可溶型LOX−1検出用試薬キットおよびそれを用いた可溶型LOX−1の特異的検出方法
前述する本発明のモノクローナル抗体およびその一部(抗体断片)は、ヒト可溶型LOX−1と高い親和性をもって特異的に結合する。
このため、本発明のモノクローナル抗体またはその抗体断片によれば、免疫測定法を利用して、ヒト可溶型LOX−1を選択的且つ特異的に検出することができる。よって、本発明のモノクローナル抗体またはその抗体断片は、ヒト可溶型LOX−1の組織局在性やその発現の程度を調べたり、被験試料中に存在し得るヒト可溶型LOX−1を検出したり定量するための免疫学的試薬(例えば、免疫電気泳動用試薬や免疫測定用試薬など)として有効に使用することができる。すなわち、前述する本発明のモノクローナル抗体またはその抗体断片は、免疫電気泳動法または免疫測定法を利用してヒト可溶型LOX−1を検出し測定するにあたって、ヒト可溶型LOX−1に対する特異的結合試薬または特異的検出試薬(免疫学的試薬)として有効に使用することができる。ここで、免疫測定法の例としては、直接または間接の競合アッセイまたは非競合アッセイ(例えば、サンドイッチ法等)挙げることができる。また、免疫電気泳動法または免疫測定法には、ウエスタンブロット法、蛍光抗体法、免疫酵素抗体法(ELISA)、放射性物質標識免疫抗体法(RIA法)、免疫組織染色法や免疫細胞染色法などの免疫組織化学染色法(ABC法、CSA法など)、免疫沈降法などが含まれる(単クローン抗体実験マニュアル、講談社サイエンティフィック(1987);続生化学実験講座5、免疫生化学研究会(東京化学同人(1986)など)。
本発明は、ヒト可溶型LOX−1を免疫電気泳動法または免疫測定法を利用して特異的に検出または測定するための試薬キットを提供する。当該本発明は、被験試料中のヒト可溶型LOX−1の存在またはその量を、抗原−抗体反応を利用して検出測定するための試薬キットであり、前述する本発明のモノクローナル抗体またはその抗体断片を、ヒト可溶型LOX−1に対する特異的結合試薬成分または特異的検出試薬成分として含むことを特徴とするものである。また、本発明のモノクローナル抗体またはその抗体断片に代えて、ヒト可溶型LOX−1に対する特異的結合を有するその一部(抗体断片)を用いることもできる。
本発明のモノクローナル抗体またはその一部(抗体断片)は、免疫測定用の試薬として、そのままで使用されても、また固体支持体に結合した形態で使用することもできる。ここでこれらのモノクローナル抗体または抗体断片を結合させる固体支持体としては、当業界で周知のものを任意に使用することができ、例えばガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然/変性セルロース、ポリアクリルアミド、寒天およびマグネタイトなどを挙げることができる。なお、これらの固体支持体には、反応トレイのウェル、試験管、ポリスチレンビーズ、マグネチックビーズ、ニトロセルロースストリップ、膜、ラテックス粒子等が含まれる。これらの固体支持体へのモノクローナル抗体または抗体断片の結合方法も公知であり、本発明もまた当該公知の方法を適用することができる。
また本発明のモノクローナル抗体及びその抗体断片は、免疫電気泳動用及び免疫測定用などの免疫学的試薬として、そのままでもよいし、また任意の標識剤で標識された標識物の形態で使用することもできる。本発明で使用可能な標識剤としては、モノクローナル抗体への結合標識剤として当業界で公知の酵素〔例えばアルカリホスファターゼ(ALP)、ペルオキシダーゼ(HRP)等〕、放射性同位体(例えば、125I、H、14C等)、蛍光性化合物〔例えばフルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(RITC)等〕、化学発光性化合物、及び生物発光性化合物等を広く挙げることができる。なお、これらを標識剤として使用する免疫測定法は、エンザイムイムノアッセイ(EIA)、エンザイムイムノメトリックアッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光イムノアッセイ、発光イムノアッセイ等と称されている。
好ましくは、酵素を標識剤として使用する免疫測定法(EIA、ELISA)であり、具体的には酵素としてアルカリホスファターゼ(ALP)、検出用の発色基質として化学発光基質APS−5(phosphoric acid mono-[(4-chloro-phenylsulfanyl)-(10-methyl-10H-acridin-9-ylidene)-methyl] ester disodium salt(Lumigen APS-5,オリエンタル酵母))を用いたELISA法や酵素としてペルオキシダーゼ(HRP)、検出用の発色基質として比色基質テトラメチルベンジジンを用いたELISA法を挙げることができる。
本発明が提供する好適なヒト可溶型LOX−1検出用試薬キットは、ヒト可溶型LOX−1に特異的に結合する2つのモノクローナル抗体を用いたサンドイッチELISA用の試薬キットである。当該試薬キットには、少なくとも、固体支持体に固定化されてなる本発明のモノクローナル抗体またはその断片、前述する標識剤で標識されてなる本発明のモノクローナル抗体またはその断片、および当該標識剤と反応して発色、発蛍光または発光する基質が含まれる。この場合、標識剤として、好ましくは前述する酵素、特にアルカリホスファターゼ(ALP)を挙げることができ、また基質として好ましくはAPS−5を挙げることができる。かかるサンドイッチELISAによれば、より高い感度で可溶型LOX−1を検出することができる。
尚、これらの標識剤による標識方法や間接的な標識化による修飾方法、並びにそれらの検出方法等は、自体公知の方法に従って行うことができる(「単クローン抗体」岩崎辰夫他著、講談社サイエンティフィク、1984年;「酵素免疫測定法」第2版、石川栄治 他著、医学書院、1982年等)。
本発明の試薬キットには、上記本発明のモノクローナル抗体、その抗体断片またはこれら標識物のほか、免疫電気泳動法または免疫測定法などその用途に応じて、更に適当な反応液、希釈液、洗浄液、ヒト可溶型LOX−1の標準液、転写溶液、泳動溶液、反応停止液、抗体検出試薬、標識活性測定試薬、染色液、反応プレート、ニトロセルロースフィルター、ポリアクリルアミドゲル等が含まれていてもよい。なお、ここで抗体検出試薬としては、本発明のモノクローナル抗体と結合する二次抗体、例えば放射性物質や酵素などで標識した抗IgG抗体やプロテインA等を挙げることができる。
本発明のモノクローナル抗体、抗体断片またはこれらの標識物を結合または検出試薬として含む上記試薬キットを利用することにより、一般の免疫電気泳動法及び免疫測定法に従い、ヒト可溶型LOX−1を簡便に、特異的にかつ高感度に検出及び測定することができる。
ゆえに本発明は、さらに、本発明のモノクローナル抗体、抗体断片またはこれらの標識物をヒト可溶型LOX−1に対する特異的結合試薬または特異的検出試薬として用いることを特徴とするヒト可溶型LOX−1の特異的測定方法を提供する。
本発明の測定方法は、前述する本発明のモノクローナル抗体、抗体断片またはこれらの標識物をヒト可溶型LOX−1に対する特異的結合試薬または特異的検出試薬として使用することを必須とするものであって、その限りにおいて、他の基本的操作等は特に制限されることなく、通常の免疫電気泳動法または免疫測定法における慣用の方法を広く採用することができる。故に、本発明のモノクローナル抗体、抗体断片またはこれらの標識物を利用した抗原−抗体反応、及び生じた抗原−抗体結合物と抗体検出試薬との反応条件も特に制限されず、通常の免疫反応における条件が採用される。通常、45℃以下、好ましくは約4〜40℃、より好ましくは25〜40℃程度の温度条件下、pHが約5〜9程度の下で、約0.5〜40時間、好ましくは1〜20時間程度放置するかもしくはインキュベーションする方法を挙げることができる。
本発明が提供する好適なヒト可溶型LOX−1の測定法は、ヒト可溶型LOX−1に特異的に結合する2つのモノクローナル抗体を用いたサンドイッチELISA法である(2サイトサンドイッチELISA法)。当該方法は、ヒト可溶型LOX−1に特異的に結合する本発明のモノクローナル抗体またはその抗体断片が固定化された固体支持体(固相化抗体)に、被験試料およびヒト可溶型LOX−1の標準液(抗原)を結合させ、次いで標識剤で標識した本発明のモノクローナル抗体またはその抗体断片(標識抗体)を反応させて、固相化抗体−抗原(ヒト可溶型LOX−1)−標識抗体のサンドイッチ型複合体を形成させ、斯くして形成された複合体を、その標識剤と基質との反応による発光に基づいて検出または定量するというものである。
本発明のモノクローナル抗体、その抗体断片およびこれらの標識物は、ヒト可溶型LOX−1を特異的に認識して高い親和性で結合するため、当該抗体を含む上記試薬キットを利用したヒト可溶型LOX−1測定法は、被験試料(例えば、血液、尿等)や各種組織中のヒト可溶型LOX−1の特異的検出や定量、ヒト可溶型LOX−1発現組織の分布測定、及びアフィニティを利用したヒト可溶型LOX−1の精製に利用されるほか、ヒトLOX−1の発現の増加を伴う(またはヒトLOX−1発現の増加に起因する)種々の疾患の免疫化学的及び免疫組織学的診断に有用である。
従来の技術の欄で述べるように、LOX−1は酸化LDL受容体として機能しており、動脈硬化病変における粥腫の形成には、血管内膜に集簇したマクロファージにおける酸化LDL受容体(LOX−1)を介した取り込みによるコレステロールエステルの細胞内蓄積が、主要な役割を占めることが知られている。また実際に動脈硬化の初期病変を覆う血管内皮細胞と進行した動脈硬化プラークの内膜平滑筋細胞とマクロファージにはLOX−1の発現が増強されていることが示されている。このように、酸化LDL受容体(LOX−1)を介した酸化LDLの取り込みは、血管内皮細胞における機能障害のみならず、血管平滑筋細胞の機能障害やマクロファージの泡沫細胞化にも関与し、粥状動脈硬化の進展に深くかかわっている。さらに、LOX−1は、その一部が細胞外ドメインの膜近傍部位にて切断され、血液中で可溶型分子(可溶型LOX−1)として存在することが示されている。このように、可溶型LOX−1の血中濃度は、in vivo細胞におけるLOX−1発現の程度を反映するため、急性冠症候群の病態を反映する診断マーカーとして注目されており、これを測定することによって、急性冠症候群の早期診断が可能であると考えられている(Medical Tribune, 1999, Vol.32, No.31, p6;Circulation, 2005, 112(6), p.812-818)。
ゆえに、上記本発明のモノクローナル抗体、その抗体断片またはこれらの標識物を含む試薬キットを利用したヒト可溶型LOX−1測定法によれば、被験者の血液中のヒト可溶型LOX−1を測定することにより、当該被験者について急性冠症候群のリスクの程度を診断することができる。特に、急性冠症候群の再発のリスクの程度の診断にも有効である(WO 2007/072896)。
また上記するように、ヒト可溶型LOX−1の血中濃度は、急性冠症候群の病態を反映するバイオマーカーとなることから、当該濃度を指標とすることで、急性冠症候群に対する被験薬の薬効を評価することが可能である。具体的には、本発明のモノクローナル抗体、その抗体断片またはこれらの標識物を含む試薬キットを利用したヒト可溶型LOX−1測定法によれば、例えば、急性冠症候群の臨床試験にあたって、被験者に対する治験薬の薬効を、当該被験者の血液中のヒト可溶型LOX−1を測定することにより、容易に判断することができる。また、上記ヒト可溶型LOX−1測定法によれば、急性冠症候群の患者に対する被験薬の治療効果を、当該被験者の血液中のヒト可溶型LOX−1を測定することにより、容易に判断することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 [標準物質の調製]
標準物質として、下記に示すように(1)ヒトLOX−1細胞外ドメイン、および(2) CHO細胞由来の可溶型LOX−1を調製した。
(1)LOX−1細胞外ドメインタンパク
ヒトLOX−1細胞外ドメインの一部をコードする配列(配列番号2)をpQEベクター(キアゲン)に組み込んでプラスミド(pQE−hLOX−1)を作製し、これを大腸菌(高速形質転換大腸菌DH5α、(株)ニッポンジーン製)に導入した。この大腸菌をアンピシリンナトリウム100μg/mL及び硫酸カナマイシン25μg/mLを含むLB(Luria−Bertani)培地50mLで一晩培養してスターターを作り、これを1Lの培地に移した後、0.5 mol/L IPTG(Isopropyl β−D−Thiogalactoside)を添加して4時間培養した。
培地を遠心分離(8,000min−1、10分間)し、集菌した大腸菌をProtease inhibitor cocktail(シグマ製)0.5mL及びリゾチーム20mgを含む緩衝液A(1 mM EDTAを含む0.05 Mトリス塩酸緩衝液、pH8.0)10 mLに懸濁し氷冷下で1時間放置した。次いで、超音波処理(1分間で10回)で破砕し、遠心(9000min−1、15分間)して沈殿を集めた。この不溶性画分を緩衝液B(8M尿素、0.1M NaHPO・2HOを含む0.01Mトリス塩酸緩衝液、pH8.0)8mLで可溶化し、これにNi−NTA agaroseゲル(キアゲン製)8mLを加え室温で1時間混合した。次に、ゲルを空カラム(1.1 id x 13cm)に移し、20mmol/Lイミダゾールを含む緩衝液Bで十分洗浄した後、250mmol/Lイミダゾールを含む緩衝液BでLOX−1細胞外ドメインタンパク(sLOX−1−D)を溶出させた。このタンパク溶出画分を0.05mol/Lリン酸塩緩衝液(pH9.0)に対して透析した。透析時に加える尿素濃度を4、2、1、および0 mol/Lと段階的に薄めてタンパクのリフォールディングを行った。
透析により全成分の90%以上が沈殿し、最終的に得られたヒトLOX−1細胞外ドメインタンパク可溶画分(以下、「sLOX−1−D」という)は2.4 mg/15 mLであった。得られたsLOX−1−DをSDS−PAGEでチェックしたところ、ほぼ1バンドで、ほぼ単一のsLOX−1−Dであることが確認された。
(2)CHO細胞由来の可溶型LOX−1
ヒトLOX−1発現CHO細胞の培養液中に分泌されるsLOX−1が、天然のヒト可溶型LOX−1に最も近いと考えられる。そこで、ヒトLOX−1をコードするcDNAをpVP22/myc−hisベクター(インビトロジェン製)に組み込んでpVP22/myc−his−LOX−1を作製し、これをCHO細胞にトランスフェクトして、stable cell(ヒトLOX−1(C−myc−Hisタグ付き)発現CHO細胞)をつくった。このヒトLOX−1(C−myc−Hisタグ付き)発現CHO細胞を20mLの培養液(10 vol %FCS(Fetal Calf Serum)及び 0.04g/dL G−418を含む Ham’s F−12培地)を入れた培養フラスコ(80cm)で培養(37℃、5%CO)し、その培養細胞から次の方法に従って継代を行った。
まず、培養のフラスコを3〜4日ごとに培地交換して細胞が集密状態になったとき、トリプシン−EDTA処理を行い、集めた細胞を数個の培養フラスコに移して継代培養した。また、細胞は一方を凍結保管し、他方を拡大培養に用いた。拡大培養には、細胞約5×10個を入れた3層培養フラスコ(500cm、培養液150mL)中で37℃、4〜6日間、さらに無血清の培養液に交換して2日間培養した後、その培養上清を限外ろ過(0.22μm filter) し、10倍濃縮のProtease Inhibitor Cocktailを 0.33mLを加えて凍結保存した。
このLOX−1(C−myc−Hisタグ付き)発現CHO細胞培養上清を集めて、硫安塩析・透析・濃縮後、Ni−NTA agarose(キアゲン)カラムを用いてアフィニティ精製した。Ni−NTAagaroseカラムからの溶出時にイミダゾール濃度を5、10、20、50及び100mmol/Lと細かく変えて洗浄し、及び250mmol/Lのイミダゾールを用いて目的のタンパク(CHO細胞由来sLOX−1)を溶出採取した。
実施例2 [TR−FIA法、並びにそれを使用した抗体価及びアフィニティの測定]
抗体のスクリーニング法としてTR−FIA(time−resolved fluoroimmunoassay)法を構築した。当該方法は、第二抗体固相化プレートに被験抗体試料を加え、そこにビオチン標識した抗原(ビオチン標識sLOX−1−D)を結合させて複合体を生成させ、生成した複合物(第二抗体−抗sLOX−1抗体−ビオチン標識sLOX−1−D)を、ユウロピウム(Eu)標識アビジン(またはEu標識ストレプトアビジン)で標識して、時間分解蛍光法により検出することを原理とするものである(図1参照)。
当該反応系に、実施例1(1)または(2)で調製した標準物質(sLOX−1−DまたはCHO細胞由来sLOX−1)を添加して、ビオチン標識sLOX−1−Dと競合させて、被験抗体試料とビオチン標識sLOX−1−Dとの結合を阻害することにより、被験抗体試料の上記各標準物質(sLOX−1−DまたはCHO細胞由来sLOX−1)に対するアフィニティを測定することができる。
(1)sLOX−1−Dのビオチン化(ビオチン標識sLOX−1−Dの調製)
実施例1(1)で調製したヒトLOX−1細胞外ドメインタンパク(sLOX−1−D)をビオチン化試薬(sulfo−NHS−LC−biotin、ピアス製)を用いてビオチン化した。すなわち、マニュアルに従って下記の方法を行った。
(i)sLOX−1−D 0.06 mg(3×10−9mole)を反応バッファー(0.1 mol/Lリン酸塩バッファー、pH7.4)0.25 mLに溶解し、そこにsulfo−NHS−LC−biotin(ピアス製)0.025 mg (4.5×10−8mole)を溶解した反応バッファー0.025 mLを加える。
(ii)室温で 2時間、撹拌し反応を行なう。
(iii)反応後、ゲルろ過(PD−10、アマシャム製)により目的物(ビオチン標識sLOX−1−D)を分取後、濃縮する。
(2)第二抗体固相化プレートの調製
第二抗体として、ヤギ抗マウスIgG血清(シバヤギ)からMAPS−IIキット(バイオラッド製)により精製して得られたIgG画分 (15.8mg/mL)を用いた。当該IgG画分を用時、固相化バッファー(0.05g/dL窒化ナトリウム含有0.05 mol/Lトリスバッファー、pH7.8)にて10μg/mLに調製し、マイクロタイタープレート(マキシソープフルオロ、ヌンク)の各ウェルに100μLずつ分注した。室温で一晩以上静置した後、ブロッキングバッファー(20g/dLシュークロース及びブロックエース(1包4g、雪印乳業)を精製水100mLと固相化バッファー 100 mLを加え溶解したもの)で2回洗浄し、さらにブロッキングバッファー200μLを加えて5時間以上静置した。ブロッキングバッファーを吸引し、このプレートを減圧下室温で乾燥して第二抗体固相化ドライプレート(4℃保管)とした。
(3)抗体量(抗体価)の測定方法
(2)で調製した第二抗体固相化プレートを洗浄液(0.01g/dL Tween 20及び0.05g/dL窒化ナトリウムを含む生理食塩液)で2回洗浄した後、各ウェルに被験抗体試料の希釈液50μL、および標識抗原混液(ビオチン標識sLOX−1−DとEu標識ストレプトアビジンの等量混合物)100μLを加え、4℃で16時間インキュベーションし、3回洗浄する。次いで増強試薬150μL(フタル酸水素カリウム1.39g、酢酸6.0g、TOPO(tri−n−octylphosphine oxide) 19.3 mg、NFA(2−naphthoyltrifluoroacetone) 4.59 mg及びTriton X−100 1.0gを精製水で1 Lとしたもの)を加え、固相に固定化されたユウロピウム(Eu)の時間分解蛍光強度をマルチラベルカウンタ(1420アルボSX、ワラック製)により測定する。斯くして、蛍光強度が100000カウントを与える被験抗体の希釈倍数から、被験抗体試料の抗体価を求めることができる。
なお、本測定で試薬の調製等に用いるアッセイバッファーとしては、0.5g/dL BSA、0.05g/dL窒化ナトリウム、0.98mg/dL DTPA、Tween 80 0.1g及び0.9g/dL塩化ナトリウムを含む0.05mol/Lトリスバッファー (pH 7.4)を挙げることができる。
(4)抗体のヒト可溶型LOX−1に対するアフィニティの評価方法(阻害曲線)
(2)で調製した第二抗体固相化プレートのウェルに、被験抗体試料の希釈液50μL、ヒト可溶型LOX−1の標準物質(sLOX−1−DまたはCHO細胞由来sLOX−1)溶液50μL、標識抗原混液(ビオチン標識sLOX−1−DとEu標識ストレプトアビジンの等量混合物)50μLを加えた後、4℃で一晩インキュベーションし、3回洗浄する。次いで増強試薬150μLを加え、固相に固定化されたユウロピウム(Eu)の時間分解蛍光強度をマルチラベルカウンタ(1420アルボSX、ワラック製)により測定する。配合する標準物質の濃度を段階的に変えて被験抗体試料とビオチン標識sLOX−1−Dとの結合を測定し、標準物質(sLOX−1−DまたはCHO細胞由来sLOX−1)の濃度に応じて阻害曲線を作成する。阻害曲線データのスキャッチャード解析により、被験抗体のヒト可溶型LOX−1に対するアフィニティ(解離定数、Kd)を求めることができる。
実施例3 [モノクローナル抗体の作製]
(1)免疫原
免疫原として実施例1(1)で調製したsLOX−1−D(沈殿を含む懸濁液)、およびヒトLOX−1細胞外ドメインのN端側に位置する配列番号5および6に示すアミノ酸配列からなるペプチド(ペプチド1、ペプチド2)をハプテンとした。これは、実施例1(2)のCHO細胞由来sLOX−1の培養液中の含量は大腸菌などに比べて非常に少なく、また培養液中の夾雑物が多いため、このsLOX−1を免疫原として使用するには、必要量を確保するのが困難だからである。上記のハプテンとウシ血清アルブミン(BSA、シグマ製)のコンジュゲートを免疫原として用いた。
各ペプチドのC端には架橋試薬との結合のため、Cysを導入した。BSAに架橋試薬N−(ε-マレイミドカプロキシ)スクシニイミド エステル(sulfo−EMCS、ピアス製)を用いてマレイミド基を導入し、これと上記のSH基含有ペプチドフラグメントを反応させてハプテン−BSAコンジュゲートを得た。すなわちBSA27mg(4×10−7mole)を反応バッファー(0.05mol/Lリン酸塩バッファー、pH7.0)1 mL に溶解し、そこにsulfo−EMCS8.21 mg(2×10−5mole)を溶解した反応バッファー0.2mLを加えた。室温で90分間、撹拌し反応した。反応後、反応液全量についてゲルろ過カラム(PD−10、アマシャム製)を用いたゲルろ過を行ってマレイミド化BSAを分取した。
マレイミド基導入BSA溶液2mL(全体の1/2量)に、反応バッファー0.5 mLに溶解した配列番号5に示すペプチド1(但しC端にcys導入、8.68 mg、6.8 × 10−6 mole)を加え、室温で1.5 時間攪拌した後、4℃で一夜反応した。精製水に対して透析後、凍結乾燥した(ペプチド1−BSA)。
また、配列番号6に示すペプチド2(Cys付き)の8.33 mg(6.6×10−6 mole)について、マレイミド基導入BSA溶液2mLを用いて同様に反応を行った(ペプチド2−BSA)。
(2)免疫
免疫動物としてはA/Jマウス(6〜8週齢、雌、10〜20g(体重)日本エスエルシーより入手)を用いた。A/Jマウスは20匹用い、4匹ずつ5群〔1−1群(No.1101〜1104)、2−1群(No.2101〜2104)、3−1群(No.3101〜3104)、4−1群(No.4101〜4104)および5−1群(No.5101〜5104)〕に分けた。免疫原(sLOX−1−D、ペプチド1−BSA、およびペプチド2−BSA)を生理食塩液に溶解し、等量のフロイント完全アジュバント(ディフコ)を加えて乳化させた。このエマルジョンの約100μg/100μLを表3に示すように、各マウスの腹腔内に3週間隔で4回投与した。
Figure 0005147696
3〜4回感作した後に採取した抗血清を被験抗体試料として、実施例2で説明するTR−FIA法を行うことにより、各抗血清の抗体価を調べた。1−1群(No.1101〜1104)、2−1群(No.2101〜2104)、3−1群(No.3101〜3104)のマウスから得られた抗血清の抗体価を表4に示す。
Figure 0005147696
これらの結果から、sLOX−1−Dで免疫して得られた抗血清の抗体価(蛍光強度が100000cpsにおける希釈倍数)はそれぞれ10万以上であり、2〜3回免疫でほぼプラトーに達することがわかった。また抗体価から、いずれの群のマウスの脾臓細胞も細胞融合に使用可能であると判断された。
さらに、この中から以下の方法によりマウスの選択を行った。具体的には、実施例2(4)のTR−FIA法により、抗血清(3回感作した後に採取したもの)を被験抗体試料として、まず免疫原として使用したsLOX−1−Dに対するアフィニティを調べた。次いで、sLOX−1−Dに対してアフィニティが高かった抗血清を被験抗体試料として、CHO細胞由来sLOX−1に対するアフィニティを調べた。図2に、1-1群のマウスについて調べた結合阻害曲線を示す。いずれのマウスも免疫原であるsLOX−1−Dとは50%阻害濃度は低く(ウェルあたり2〜3ng)値は近似しているが、CHO細胞由来sLOX−1についてはマウスにより差があるが結合阻害を示している。また、ペプチド2をハプテンとするBSAコンジュゲートを免疫したマウスの抗血清では、ペプチド2との反応性は高かったが、CHO細胞由来のsLOX−1とは結合阻害を示さなかった。このことからペプチド2ハプテンを免疫したマウスについては細胞融合を行わなかった。
(3)細胞融合
上記のようにして 抗血清が、免疫原として使用したsLOX−1−DおよびCHO細胞由来sLOX−1のいずれに対してもアフィニティの高かったマウス(No. 1103、No. 2101、No. 4103、No.5101)から、脾臓細胞を採取し、ミエローマ細胞との細胞融合を行った。ミエローマ細胞としてはP3U1細胞(P3−X63.Ag8.U1細胞の社内継代系)を選んだ。使用前に、液体窒素中で保管してあるミエローマ細胞を解凍後、ミエローマ継代用培地(RPMI−HEPES:RPMI 1640 450 mLに1mol/L HEPES(pH6.8)5 mL、OPK溶液(オキサル酢酸 7.5 mg/mL、 ピルビン酸Na 7.5 mg/mL、 カナマイシン5mg/mL)10 mL及びFBS (Fetal Bovine Serum)50 mLを加えたもの)を用いて7〜10 日間継代培養して細胞融合に供した。
細胞融合3日前に追加免疫した当該マウスの脾臓をエーテル麻酔下にて摘出し、RPMI−HEPES(RPMI1640 225 mL及び1mol/LHEPES (pH 6.8) 2.5 mL) で洗浄後、メッシュ上で処理を行って脾臓細胞の浮遊液を調製した。この脾臓細胞約1×10cellとP3U1ミエローマ細胞約2×10cellを混和し、遠沈して上清を除去した後37℃に保って800μLの50g/dLポリエチレングリコール4000 (PEG4000)(ガスクロマトグラフ用、メルク) を振り混ぜながら1分間で添加し、さらに1.5分間撹拌した。続いて1mLのRPMI−HEPESを1分間内に攪拌しながら滴下するのを2回繰り返し、更に30秒間内に1mLのRPMI−HEPESを攪拌しながら滴下するのを2回繰り返した.次いで6 mLのRPMI−HEPESを2分間かけて攪拌しながら追加し、最後に12mLのHEPES−RPMIを加えた。
RPMI−HEPESに懸濁している細胞を遠心し、上清を完全に除いた後、HAT培地(RPMI1640 350 mL、 NCTC109(GIBCO)50 mL、 OPK溶液10 mL、NEAA(non−essential amino acids、 GIBCO) 5 mL、1 mol/L HEPES(pH6.8)5 mL、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)5 mL、FCS100 mL及び10 vol% BM−Condimed H1(ロシュアプライドサイエンス)を含む培地)170 mLに懸濁させ、培養用96ウェルマイクロプレート約9枚(878ウェル)に分注して(1.1×10cell/0.19 mL/well)、5%炭酸ガス培養器内で37℃にて培養した。各細胞融合の詳しい条件を表5に示す。
Figure 0005147696
PEG4000を用いた細胞融合の結果、融合効率はほぼ100%でウェルあたり数個
〜10数個のコロニーが認められた。
(4)HAT培地による融合細胞の選別
融合細胞を培養して5日目に、37℃に加温したHAT培地0.1 mLを各ウェルに追加した。位相差顕微鏡を用いて、毎日ハイブリドーマの成長を観察しウェル全体の1〜5%にハイブリドーマが増殖したら、各ウェルの培養上清を0.1 mLずつサンプリングした。これを被験抗体試料として、実施例2で説明するTR−FIA法を行って、抗体価が高いものの中から、さらにアフィニティ及び細胞増殖の強いものを選んで下記のクローニングに供した。
(5)クローニング(限界希釈法)
クローニングを行なうウェルのハイブリドーマをパスツールピペットではがして、24穴の培養プレートに移動・拡大した。一部を計数して約50cell/mL になるようにHT培地(RPMI1640 350 mL、 NCTC10950 mL、 OPK溶液10 mL、NEAA 5 mL、1 mol/L HEPES(pH 6.8)5 mL、 HT(ヒポキサンチン、チミジン) 5 mL、FBS 100 mL及び10vol%BM−Condimed H1を含む培地)で倍々希釈した(8段階)。この0.2 mL(細胞数にして0.1〜10 cell/well)を培養プレートに分注した。3〜6日後に位相差顕微鏡にて観察し、各ウェルの細胞数をチェックした。ハイブリドーマがある程度増殖したら、ウェルあたり約2個以下のものについて培養上清を被験抗体試料として、TR−FIA法を用いてスクリーニングを行い、抗体価・アフィニティ及び増殖性のよいものの中で、単クローンであるウェルを選んだ(一次クローニング)。選んだウェルは速やかに再度クローニング(二次クローニング)を行い、一次クローニングと同様にTR−FIA法を用いてスクリーニングをして目的の抗体を選んだ。単クローンになっていないものについては再度クローニング(三次クローニング)を行った。確立したクローンは、継代を繰り返しながら、徐々に大きな培養フラスコへ移し、約5〜10×10cell/mLの濃度に調製して、セラムチューブに0.5 mLずつ分注(約5本)し、液体窒素中に保管した。このときの培養上清を分取して、抗体価をチェックした。なお、確立したハイブリドーマは凍結後、確認のため再び、培養を行い細胞の増殖性及び抗体価をチェックした。
sLOX−1−Dを免疫したマウス(No. 1103)から得られたハイブリドーマは,細胞融合の10日目にスクリーニングし、計11個の陽性ウェル(>100000cps)を検出した。その中で増殖の良い5ウェルについて限界希釈法にて一次クローニングを行い、ほぼ単クローンと思われる10ウェルを得た。さらに、二次クローニングを行い、その10日目にスクリーニングして、単クローンと思われる3ウェルを得た。これらは、いずれも6B11のクローンから得られたものであった。
また、マウス(No. 5101)から同様に作製したハイブリドーマでは、計48個の陽性ウェルが検出された。その中でsLOX−1−Dに対してアフィニティの強い9ウェルについて一次クローニングを行った。クローニング後の10日目にスクリーニングし、抗体価及びアフィニティが良好でシングルに近いものを選んで二次クローニングを行った。その結果、計8クローン(1G2、2E4、2E5、2G11、3E12、7G1、1B8、1A7)が得られた。
さらに、ペプチド1をハプテンとするBSAコンジュゲートを3回免疫した後のA/Jマウス(No. 2101)から得られたハイブリドーマについても2回のクローニングにより、クローン(5C11)を確立した。同様にして、マウス(No. 4103)から、2回のスクリーニング及びクローニングによりクローン(4D1)を確立した
以上のクローニング結果を表6に示す。
Figure 0005147696
(6)モノクローナル抗体の採取(培養上清及び腹水)
(5)で調製したハイブリドーマのうち、LOX−1の細胞外ドメインタンパク(sLOX−1−D)ならびにLOX−1の細胞外ドメインのN端ペプチドであるペプチド1のBSAコンジュゲートを免疫原として調製した11種類のハイブリドーマ(1G2、2E4、2E5、2G11、3E12、7G1、1B8、1A7、6B11、5C11、4D1)を大量培養して、無血清培地に置き換えその培養上清を集めることによりモノクローナル抗体を採取した。
また、上記のハイブリドーマのうちLOX−1の細胞外ドメインタンパク(sLOX−1−D)を免疫原として調製したハイブリドーマ(1G2、2G11、6B11および1A7)ならびにペプチド1をハプテンとして調製したハイブリドーマ(5C11、4D1)を、あらかじめプリスタン1mLで処理したマウス(Balb/c及びBalb/c nu(ヌードマウス))腹腔に約2〜3×10cellずつ接種した。なお、ハイブリドーマは液体窒素での凍結状態から解凍し、7〜10日間拡大培養した後にマウスに腹腔内投与した。このマウスを観察し腹部が膨れてきたマウス(投与後8〜17日)についてエーテル麻酔下にて死亡させた後、腹腔内の腹水を採取した。各ハイブリドーマを接種したマウスから1匹につき1.2〜4.9mLの腹水を取得し、抗体価を測定した(表7)。
Figure 0005147696
(7)モノクローナル抗体の精製
(6)で調製したハイブリドーマの培養上清及びマウス腹水に含まれるモノクローナル抗体を、プロテインAアフィニティカラム(アフィゲルプロテインAMAPS−IIキット、バイオラッド)に供して、IgGに精製した。具体的には、まず、空カラムに約1mLのプロテインA固定化ビーズのゲル(懸濁液にして約1.5〜2mL)を充填し、結合バッファー(キットに添付)10mLで洗浄してプロテインAアフィニティカラムを作成した。ハイブリドーマの培養上清またはマウス腹水0.5mLと結合バッファー0.5〜1mL と混合し、遠心分離して調製した上清を、上記で作成したプロテインAアフィニティカラムに供して、まず20mLの結合バッファーを流して保持されないものを洗浄除去し、次に溶出バッファー(キットに添付)30mLを用いてIgGを脱離・溶出させた。溶出バッファーに代えた後、最初にでてくるタンパクピークをIgG溶液として採取した。溶出バッファーは酸性(pH3.0)なので、溶出してきたIgGを1mol/Lトリスバッファー(pH9.0)で直ちに中和した。得られたIgG溶液はリン酸緩衝生理食塩液(PBS)にて透析した後、凍結保管した。この結果、ハイブリドーマの培養上清の一部(30〜40mL)から100〜700μgのIgGが得られた。
得られたモノクローナル抗体(IgG)のアイソタイプをMAb−BASED MOUSEIg ISOTYPING KIT(PHARMINGEN)により決定した。その結果、11種類(6B11、1G2、2E4、2E5、2G11、3E12、7G1、1A7、1B8、5C11、4D1)のうち9種類がIgG1で残りがIgG2aとIgG2bであった(表8)。また、これらのモノクローナル抗体の解離定数(Kd)の一部を以下に示す(表9)。なお、上述のKdの各々の値は、ヒトLOX−1細胞外ドメインの一部(配列番号2)に対するものであるが、ヒト可溶型LOX−1(配列番号3及び4)とアミノ酸配列の差異は非常に少ないため、ヒト可溶型LOX−1に対するKdもほぼ同等と考えられる。
Figure 0005147696
Figure 0005147696
実施例4 モノクローナル抗体の組み合わせ
実施例3で得られた11種類のモノクローナル抗体(培養上清のIgG画分)のうち1B8抗体を除く10種類を、実施例2(1)で説明する方法に従ってビオチン標識した。これらの10種のビオチン標識抗体と上記11種類のモノクローナル抗体とを、実施例2(2)の方法に従って固相化したプレートを用いて2サイトサンドイッチELISAを構築し、110通りの抗体の組み合わせについて、sLOX−1−DとCHO細胞由来sLOX−1を標準物質としたときのELISA標準曲線を調べた。
ペプチド1(配列番号5で示されるポリペプチドの末端に結合用のシステインを付加したもの)にBSAをコンジュゲートさせたペプチド1−BSAを免疫原として実施例3に従って調製した抗体(4D1抗体及び5C11抗体)を固相にしたとき、ブランクは高いものの、どのビオチン標識モノクローナル抗体(6B11、1G2、2E4、2E5、2G11、3E12、7G1、1A7、1B8)との組み合わせのELISAにおいても良好なレスポンスを示した(表10)。
Figure 0005147696
このことからsLOX−1−Dを免疫して得られた9種類のモノクローナル抗体(6B11、1G2、2E4、2E5、2G11、3E12、7G1、1A7、1B8)は、sLOX−1N端ペプチドに対する抗体と同時に結合をしていることを示しsLOX−1のN端(ネオエピトープ)とは異なる部位を認識していることがわかった。
sLOX−1−Dを免疫して得られた抗体同士(6B11、1G2、2E4、2E5、2G11、3E12、7G1、1A7、1B8)では、1A7抗体と6B11抗体との組み合わせでのみ強いレスポンスを示し、これ以外の抗体はどれも認識部位が近接している可能性が示唆された(表10)。
なお、上記で得られたモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマのうち、ハイブリドーマ1A7および6B11についてはハイブリドーマの表示「Mouse−Mousehybridoma sLOX−1 1A7」及び「Mouse−Mousehybridoma sLOX−1 6B11」として、2006年7月26日付けで、日本国茨城県つくば市東1丁目1番1中央第6に住所を有する独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに、国際寄託した。各ハイブリドーマの受領番号および受託番号は、下記の通りである:
Figure 0005147696
実施例5 [化学発光ELISA]
(1)モノクローナル抗体の断片化方法
モノクローナル抗体(IgG)の0.02mol/L酢酸バッファー溶液(pH4.0)0.25mlにペプシン(シグマ)希釈液(50μg/mL)50μLを加え攪拌後、37℃で3時間反応する。反応終了後、ゲルろ過HPLCシステム(島津LC−6A、カラム:TSK−gelG3000SWXL、6.8×300mm、溶離液:0.2mol/L塩化ナトリウムを含む0.1mol/Lリン酸塩バッファー、pH7.0、流速:0.5mL/min、検出:280nm)により、保持時間約18分のF(ab’)画分(分子量約9.2万)を分取した。
分取したF(ab')画分を遠心限外ろ過(YM−30、セントリコン)で濃縮後、0.32 mgをバッファーA(5 mmol/L EDTAを含む0.1 mol/Lリン酸塩バッファー、pH6.0)0.25mLに0.1mol/L 2−メルカプトエチルアミン0.025mLを加えて37℃で90分間還元した。反応終了後、ゲルろ過HPLCシステムにより保持時間約20分のFab’の画分(分子量約4.6万)を採取した。分取したFab’画分は遠心限外ろ過(YM−30)で濃縮した。
(2)アルカリホスファターゼによる抗体の標識方法
アルカリホスファターゼ(ALP、ウシ小腸由来、キッコーマン)1mgを0.1mol/Lリン酸塩バッファー(pH7.0)0.2mLに溶解し、精製水0.05mLに溶解したN−(8−maleimidocapryloxy)sulfosuccinimide、 sodium salt(sulfo−HMCS、同仁化学)0.1mgを加えて、室温で2時間反応させる。反応終了後、PD−10カラム(溶離液:バッファーA)で精製後、その高分子画分を遠心限外ろ過(YM−10、セントリコン)で濃縮し、マレイミド化ALPとした。
(1)で調製したモノクローナル抗体のFab’を 0.13 mg含むバッファーA 0.25mLに、上記マレイミド化ALP溶液0.026mL(0.128mg)を加えて攪拌後、室温で16時間反応させた。反応終了後、反応液0.15mLをゲルろ過HPLCシステム(溶離液:0.2 mol/L塩化ナトリウムを含む0.1mol/Lリン酸塩バッファー、pH7.0)にて分離・精製し(保持時間約15分)、ALP標識抗体(ALP標識Fab’)とした。
(3)ALP標識モノクローナル抗体(1G2、2G11、6B11)の至適量の検討
培養上清あるいは腹水から得られた3種類のモノクローナル抗体(1G2、2G11、6B11)のIgG画分(1G2:2.0 mg、2G11:1.9 mg及び6B11:1.3 mg)を、上記(1)および(2)の方法に従って、ペプシン処理後還元してFab’とし、マレイミド化ALPと反応させて、ゲルろ過HPLCにより、3種類のFab’−ALPコンジュゲート(酵素標識抗体)を分取した。得られた酵素標識抗体はそれぞれ0.41 mg、0.42 mg及び0.29 mgであった。
得られた3種類の酵素標識抗体(1G2、2G11及び6B11)の評価を、3種類の固相抗体(5C11、4D1、1A7)を用いて調べた。その結果、どの酵素標識抗体(1G2、2G11及び6B11)も3種類の固相抗体(5C11、4D1、1A7)に対して良好なレスポンスを示し、作製した酵素標識抗体がいずれもELISAに使用できることがわかった。なお、酵素標識抗体のウェルあたりの使用量は1G2では170ng/mL、2G11では150ng/mL及び6B11では190ng/mLのものを100μL使用することとした。
(4)化学発光ELISAによるヒト血清試料の測定方法
モノクローナル抗体IgG(1A7のIgG)の固相化バッファー希釈液100μL(1μg/100μL)を用いて、実施例2(2)項に述べた第二抗体固相化プレート作製方法に準じて操作して、抗体固相化ドライプレートを作製した。
この抗体固相化プレートを洗浄液(0.01g/dL Tween20及び0.05g/dL窒化ナトリウムを含む生理食塩液)で2回洗浄した後、各ウェルにsLOX−1−D標準溶液あるいはCHO細胞由来sLOX−1精製液100μL(ヒト血清試料測定のときはアッセイバッファー100μLに試料10μL)を加えて、5時間静置した。3回洗浄後、ALP標識抗体溶液(6B11のFab’−ALPコンジュゲート)100μLを加えた。室温で一晩インキュベーションし、4回洗浄後、固相に化学発光基質溶液(100μL)を加え、直ちに各ウェルの発光強度をマルチラベルカウンタ−により測定した。発光基質にはLumigenAPS−5(オリエンタル酵母)を用いた。なお、固相化抗体とALP標識抗体の組み合わせとして、1A7−6B11(固相化抗体−ALP標識抗体)を用いた。
なお、試薬の調製等に用いるアッセイバッファーには、0.5g/dL BSA、0.05 g/dL窒化ナトリウム、 0.01g/dL Tween 80、1mmol/L塩化マグネシウム、0.1 mmol/L塩化亜鉛及び0.9g/dL塩化ナトリウムを含む0.05 mol/Lトリスバッファー(pH 7.4)を用いた。
(5)ELISA系の選択
実施例5(4)項に従って、3種類の酵素標識抗体(1G2、2G11及び6B11)と、モノクローナル抗体1A7、5C11及び4D1のIgGを固相化(1μg/0.1 mL)したプレートを用いて、LOX−1細胞外ドメインタンパクを標準物質とした化学発光2サイトサンドイッチELISAの標準曲線(0.24−250 pg/well)を作成した。いずれの組み合わせも高いレスポンスを示し、特に固相化抗体と標識抗体(Fab’−ALPコンジュゲート)の組み合わせがそれぞれ1A7−6B11、5C11−1G2、4D1−2G11のとき高感度な標準曲線が得られた。その中でもややブランクは高いが最もレスポンスの高いものは1A7−6B11の組み合わせであった(推定検出限界0.24pg/well(約6amol/well))。
CHO細胞由来sLOX−1を標準物質とした化学発光2サイトサンドイッチELISAの標準曲線でも、1A7−6B11の組み合わせはペプチド1に対する抗体を固相に使用した5C11−1G2、4D1−2G11と比べて100倍程度感度が良いことがわかった(図3)。
(6)血清成分のELISAに及ぼす影響
ヒト血清(ボランティア5人分の血清をプールしたもの)、ウサギ血漿及び牛胎児血清を1/1〜1/64まで希釈し、その50μL(血清量として0.78〜50μL/well)を上記の3種類のアッセイ系を用いて測定した。1A7−6B11(固相化抗体−ALP標識抗体)のELISA系において、動物血清ではほとんどレスポンスはなかったが、ヒト血清では血清量に応じてレスポンスを示し、0.78〜12.5μLの範囲で希釈直線性が見られた。これらの結果は、この測定系が、ヒト血清中のヒトsLOX−1を特異的に測定することができることを示している(図4)。
また、ヒト血清のサンプリング量が10μL以下では血清成分の影響はきわめて小さいと推定されたことから、血清のサンプリング量は10μLとし、標準溶液はヒト血清を含まないアッセイバッファーで調製することとした。
(7)マウスγグロブリンのELISAに及ぼす影響
血中に抗マウス抗体(human anti−mouse antibody、HAMA)を持つヒトが無視できない割合で存在することが知られており、マウス抗体を使用するELISAにおいてこれらのヒトの血液試料は異常高値を示す。この妨害はアッセイバッファーにあらかじめマウスγグロブリン(IgG)を添加することにより抑えることができ、本ELISAにおいてもマウスγグロブリンをアッセイバッファーに添加してその影響を除くこととした。ELISA標準曲線に及ぼすマウスγグロブリン濃度の影響を調べたところ、20μg/mLまでならほとんど影響せず、アッセイバッファーには10μg/mLのマウスγグロブリンを添加することとした。なお、ここで使用したボランティア5人の血清中にHAMAは存在しなかった。図5にマウスγグロブリンを含むアッセイバッファーで作成したELISA標準曲線を示す。
(8)プレバリデーションと定量限界の推定
sLOX−1濃度の低いボランティア血清(No. 3)にsLOX−1−Dを0.100〜12.8 ng/mL(1〜128pg/well)の濃度に添加した試料を用いてプレバリデーションを行った。表12に示すように、0.100〜6.40 ng/mLの範囲における実験内の精度・真度は良好であった(1.7〜15.7%及び−10.5〜+14.4%)。同濃度範囲における実験間の精度・真度も良好であった(5.3〜12.3%及び−8.3〜+7.5%)。一方、高濃度(12.8ng/mL)ではやや真度が悪いが、標準曲線のポイントと回帰計算方法を見直すことで改善できると思われた。これらの結果から、定量限界は約0.1ng/mLと推定された。ポリクローナル抗体を用いたELISA(定量限界:1ng/mL)よりも10倍の感度向上を達成できた。
本ELISAの第一及び第二反応の時間(それぞれ5時間及び一晩)はポリクローナル抗体仕様のものに合わせたが、モノクローナル抗体を用いていることから反応時間を短縮できる可能性があり、第一反応を4時間、第二反応を1時間としたときの実験内の精度・真度を調べたところ、表13に示すように問題のない結果が得られた(それぞれ2.3〜14.7%及び−14.1〜16.0%)。
Figure 0005147696
Figure 0005147696
(9)血清中sLOX−1の測定
本アッセイ系を用いて健常ボランティア5人から得た血清中のsLOX−1濃度(sLOX−1−Dを標準物質としたときのイムノリアクティビティ)を測定した。表14に示すように健常ヒト血清のsLOX−1の値は0.15〜0.57ng/mLで、本ELISAにより従来の方法(ポリクローナル抗体仕様のELISA)では測定できなかった健常ヒト血清中のsLOX−1の測定が可能であった。なお、この測定結果からは性別あるいは年齢との関連は認められなかった。
Figure 0005147696
健常人のsLOX-1の血中平均濃度は0.35 ng/mLであることからその分子量を考慮すると、血清中のモル濃度は2×10−11 M程度となり、これを10倍に希釈して測定に供することから測定時のモル濃度は2×10−12 M程度と計算される。一方,本発明のモノクローナル抗体のような高親和性(Kd=1×10−10 M以下)抗体の0.1%がsLOX-1と結合しているときのs LOX-1の総濃度は2×10−12 M程度と見積もられる。このように高親和性モノクローナル抗体を用いることにより健常人の血清中のsLOX-1の濃度を測定でき、正確な診断が可能となる。
本発明のモノクローナル抗体のスクリーニングに用いた2サイトサンドイッチELISAの概略図を示す。 sLOX−1−Dを免疫して作成したA/Jマウス〔No.1101(丸マーク)、No.1102(三角マーク)、No.1103(四角マーク)、No.1104(菱形マーク)〕の抗血清を用いて、標準物質sLOX−1−D(黒マーク)およびCHO細胞由来sLOX−1(白抜きマーク)を阻害物質としてTR−FIA法を行った結果を阻害曲線として描いたグラフである(実施例3)。縦軸は各濃度(B)の蛍光強度のゼロの濃度(B)の蛍光強度に対するパーセントを、横軸はLOX−1細胞外ドメインタンパク質(SLOX−1−D)濃度あるいはLOX−1発現CHO細胞からの可溶型LOX−1(sLOX−1)の推定濃度(ng/well)を示す。 固相化抗体−標識抗体として、1A7−6B11(●)、5C11−1G2(▲)、4D1−2G11(■)を用いた2サイトサンドイッチELISAの標準曲線を示す。図Aは、標準物質としてsLOX−1−Dを用いて行ったELISAの標準曲線、図Bは、標準物質としてCHO細胞由来sLOX−1を用いて行ったELISAの標準曲線を示す(実施例5(4))。縦軸は蛍光強度(cps)を、横軸は各標準物質の添加濃度(pg/well)を示す。 固相化抗体−標識抗体として、1A7−6B11を用いた2サイトサンドイッチELISAの各血清(ヒト血清◆、正常家兎血清▲)に対するレスポンスを示す(実施例5(6))。縦軸は蛍光強度(cps)を、横軸は血清の添加量(μl)を示す。 固相化1A7抗体−標識6B11抗体を用いた2サイトサンドイッチELISAの標準曲線を示す。図Aはlog−logプロット、図Bはsemi−logプロットを示す。縦軸は蛍光強度(cps)を、横軸は標準物質(sLOX−1−D)の添加濃度(pg/well)を示す。添加したγグロブリンの濃度は0μg/mL(○)、5μg/mL (●)、10μg/mL (◆)、20μg/mL (■)である。
配列番号5は、可溶型分子(配列番号3)のアミノ酸配列の1−10の領域に相当するペプチドのアミノ酸配列を示す。ヒトLOX−1(配列番号1)のアミノ酸配列の88−97領域に相当する。
配列番号6は、可溶型分子(配列番号4)のアミノ酸配列の1−10の領域に相当するペプチドのアミノ酸配列を示す。ヒトLOX−1(配列番号1)のアミノ酸配列の92−101の領域に相当する。

Claims (7)

  1. 「Mouse−Mouse hybridoma sLOX−1 1A7」(受託番号:FERM BP−10645)、または「Mouse−Mouse hybridoma sLOX−1 6B11」(受託番号:FERM BP−10646)により産生される、モノクローナル抗体もしくはその一部、またはこれらの標識物。
  2. 請求項に記載するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
  3. 「Mouse−Mouse hybridoma sLOX−1 1A7」(受託番号:FERM BP−10645)、または「Mouse−Mouse hybridoma sLOX−1 6B11」(受託番号:FERM BP−10646)である、請求項記載のハイブリドーマ。
  4. 請求項に記載のモノクローナル抗体もしくはその一部、またはこれらの標識物を含む、ヒト可溶型LOX−1検出用試薬キット。
  5. 急性冠症候群診断キットである請求項に記載する試薬キット。
  6. 請求項に記載のモノクローナル抗体もしくはその一部、またはこれらの標識物を、ヒト可溶型LOX−1に対する特異的結合試薬または特異的検出試薬として用いる工程を有する、ヒト可溶型LOX−1の特異的検出方法。
  7. 急性冠症候群の治療薬または治療候補薬が投与されたヒトから得た体液を対象として、請求項に記載のモノクローナル抗体もしくはその一部、またはこれらの標識物を用いて、当該体液中の可溶性LOX−1を測定する工程を有する、急性冠症候群の治療薬または治療候補薬の薬効の評価方法。
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