JP5146876B2 - Rfidアンテナ装置、rfidタグ及びrfidタグ機能付きの携帯電子端末 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、RFIDアンテナとICタグ等を搭載して、外部のリーダ/ライタ装置との間で非接触の通信を行うことができるRFIDタグ機能付きの携帯電子端末が開示されている。従来のこの種の携帯電子端末は、図12に示すように、下部筐体7に設けられた電池蓋付きの図示せぬ電池パック収納部内に、ICタグ等が搭載された図示せぬ印刷基板と、ICタグに接続されたループ状のRFIDアンテナ8と、RFIDアンテナ8の中空部分に対向して配置された金属製の図示せぬ電池パックとが収納又は配置される構成となっている。しかしながら、このような構成では、携帯電子端末とリーダ/ライタ装置2との間での非接触通信中に発生する磁力線により、電池パックの金属部に渦電流が発生し、通信性能が劣化する虞があるため、これを防止するために、下部筐体7には、電池パックの面の大きさと略同等の大きさの磁性シート9が、RFIDアンテナ8の中空部分を介して、電池パックと略重なる態様で、電池蓋の内面側に貼り付けられている。
しかしながら、渦電流防止目的の磁性シート9を備えるRDIFタグ構成では、通信可能領域(距離的通信限界A)内であっても、RFIDアンテナ8とRWアンテナ3とが接近し過ぎると、携帯電子端末側のRFID機能が応答しているにも関わらず、リーダ/ライタ装置2側がその応答を受信できなくなる、いわゆる通信不可領域(NULL)Bが出現又は顕在化し、通信不可領域Bを超えて、さらに接近すると、再び、通信が可能になる、という局部的近接通信障害が起こり得ることが、実験やシミュレーション等で確認されている。
しかしながら、近年、携帯電子端末の技術開発は、軽量化薄型化の方向に進んでいる。この種の軽量化薄型化は、筐体の薄肉化、搭載部品の薄厚化、クリアランスの狭小化によって達成されるので、携帯電子端末の軽量薄型化が進むと、携帯電子端末側のRFIDアンテナとリーダ/ライタ装置側のRWアンテナとが、通常の利用姿態でも、通信不可領域にまで接近して、局部的近接通信障害に直面する場面が増加することが予想される。このような局部的近接通信障害が多発すると、円滑な処理を妨げ、ユーザに不快感を与えることになるので、不都合である。
このような通信不可領域Bが出現するのは、磁性シート9が、RWアンテナ3に近接し過ぎると、アンテナの結合度(RWアンテナ3側のインダクタンス)を高め、近接通信系の共振周波数が、RWアンテナ3単独の共振周波数からずれてしまうためである、と考えられる。
また、携帯電子機器の機種により、金属部品の配列や形状等、筐体内部構造が異なるため、近接通信の劣化を防止するためには、機種ごとに異なる形状・大きさに切欠かれた磁性シートを用意しなければならず、あるいは、筐体内における金属部品の配列や位置を変更しなければならず、携帯電子機器開発における設計の自由度を狭めるので、不都合である。さらに、携帯電子機器が、交通乗車券や電子マネー等として幅広く利用できるようにするために、RFIDタグ機能の汎用化が進められており、そのためにも、RFIDアンテナ装置の送信特性の改善及び渦電流ノイズの一層の低減化が望まれている。
加えて、2アンテナ重合領域に対応する磁性シート部分が、全部又は部分的に削除されると、リーダ/ライタ装置側の第2のアンテナは、削除部分と重なる金属の電磁的影響力が現われることによるインダクタンス低減効果により、さらに、第2のアンテナ側のインダクタンスの増加を抑えることができる。つまり、磁性シートが第2のアンテナに近接することによる第2のアンテナ側のインダクタンスの増加が、磁性シートの削除によるインダクタンスの減少分と、削除部分と重なる金属によるインダクタンスの減少分とで抑えられるので、共振周波数の大きなずれを抑えることができ、局部的近接通信障害を惹き起こす通信不可領域(NULL)を一段と確実に排除できる。
それゆえ、携帯電子端末の薄型構造に起因する、とくに、リーダ/ライタ装置側の読み取り特性の劣化を防止することができる。それゆえ、各種のRFIDシステムに適用でき、交通乗車券や電子マネー等として多様かつ広範に活用できる。
この構成によれば、通信の妨げとなる渦電流ノイズと通信不可領域との両方を排除できる。それゆえ、リーダ/ライタ装置2側の読み取り特性の劣化を防止することができる。また、磁性シート12の削除部分に対応して、どのような金属部品が配置されようとも、削除部分に対応する金属部品とRWアンテナ3との間には、RFIDアンテナ11が介在しているので、当該金属部品とRWアンテナ3との間で磁気的相互作用が働くことはなく、それゆえ、携帯電子機器開発における設計の自由度を向上させることもできる。
図1は、この発明の第1の実施形態であるRFIDタグ機能付きの携帯電話機に実装されるRFIDアンテナ装置とリーダ/ライタ装置の概略構成を分解して示す斜視図、図2は、同RFIDアンテナ装置の構成を示す平面図であると共に、RFIDシステムを利用する際に、同RFIDアンテナ装置とリーダ/ライタ装置側のRWアンテナとが重なった状態を示す図、また、図3は、同RFIDアンテナ装置の構成を示す断面図である。
また、図4は、表側から見た同携帯電話機の表側外観構成を示す斜視図、図5は、裏側から見た同携帯電話機の外観構成を示す斜視図、また、図6は、裏蓋が取り外されて一部内部構造が見える同携帯電話機の外観構成を示す斜視図である。
まず、図4乃至図6を参照して、装置全体の概略構成について説明する。この形態の携帯電話機14は、これらの図に示すように、上部筐体15と下部筐体16とがヒンジ部17を介して折畳み自在に結合されて全体として薄型に構成されている。
上部筐体15には、表示パネル18や図示せぬスピーカ等が搭載されている。また、下部筐体16には、カメラ部19、図示せぬマイクロホン、キー操作部、制御部及び無線部等が搭載されていて、図示せぬ電池パックも収納されている。上記下部筐体16は、カメラ部19、電池パック、及び主回路基板(マザーボード)等のプリント配線基板20等を収納装着するためのフロントケース21と、カメラ窓19a付きのリアカバー22と、電池パック交換用の開閉蓋23とから構成されている。
この実施形態では、磁性シート12は、RFIDアンテナ11の外周形状に合わせて概略矩形に裁断されていて、次述する切欠き部13、13、…の部位を除けば、RFIDアンテナ11を確実に被覆できるように、RFIDアンテナ11の外径寸法と同等か幾分大き目の外形寸法に形成されている。
上記構成の携帯電話機14を用いて、例えば、コンビニストアや駅の自動改札機等で、RFIDシステムを利用する際には、リアカバー22の外表面に付された位置合せマークM(図5)を頼りに、RFIDアンテナ11(RFIDアンテナ装置10)を(コンビニストアや駅の自動改札機等に設置されている)リーダ/ライタ装置2のRWアンテナ3(図1)に近づける。
RFIDアンテナ11が、通信可能領域A内(図12参照)に進入すると、相対向するリーダ/ライタ装置2側のRWアンテナ3が発する、例えば、13.56MHz帯の電磁波を受け、この電磁波により、RFIDアンテナ11に電流が誘起されて、RFIDアンテナ11に接続されたICチップ(ICタグ)20aが動作する。ICチップ20aは、RWアンテナ3から放射される電磁波によって同時に伝えられるコントロールボード6からの各種コマンドを受信、解析、処理して、メモリからデータを読み取り、あるいは、メモリ内のデータを書替え、この処理結果に基づいて、RWアンテナ3から受け取る電磁波を変調(負荷変調)することで、RFIDアンテナ11からリーダ/ライタ装置2側のRWアンテナ3に応答する。
同図(a)は、通信可能領域A(図12参照)内にあって、通信飛距離B(図12に示す通信不可領域Bに相当する近接距離)の外にある携帯電話機14からの応答波形、同図(b)は、通信飛距離Bまで接近した携帯電話機14からの応答波形、また、同図(c)は、携帯電話機14が通信飛距離Bを超えて、さらに、リーダ/ライタ装置2(RWアンテナ3)に接近したときの応答波形を示している。
図7から明らかなように、通信飛距離Bの外側と内側とで位相反転はなくなり、この結果、通信不可(NULL)が解消されていることが判る。
それゆえ、RWアンテナ3側のインダクタンス低減効果が大となる分、磁性シート12の切欠き面積を小さく設定でき、RFIDアンテナ11を構成する金属ループ線25、25、…によって、後方に配置された金属部材の電磁的影響力を排除することができるので、渦電流ノイズを一段と確実に防止できる。
また、磁性シート12の切欠き部13、13、…に対応して、どのような金属部材が配置されようとも、切欠き部13、13、…に対応する金属部材とRWアンテナ3との間には、RFIDアンテナ11が介在しているので、当該金属部材とRWアンテナ3との間で磁気的相互作用が働くことはなく、それゆえ、携帯電話機開発における設計の自由度を向上させることもできる。
一般に、RFIDシステムを利用する際、矩形のRFIDアンテナ11と矩形のリーダ/ライタ装置2側のRWアンテナ3とが相互に交差して重なり合う、いわゆる2アンテナ重合領域は、図2に示すように、RFIDアンテナ11上で4箇所発生する。第1の実施形態で述べた理由により、これら4箇所の2アンテナ重合領域に対応する磁性シートの各部位が、最適の切欠き候補部位となり得る。上述の第1の実施形態では、2アンテナ重合領域に対応する磁性シートの部位が全て切り取られて、4箇所の部位に切欠き部13、13、…を形成するようにしたが、切欠き部の個数は、必ずしも、切欠き候補部位の全てを切り欠くことは要件とされない。形状寸法・素材・巻き数等により、アンテナや磁性シートの特性は変化するので、これらの特性に応じて、あるいは、実験結果に基づいて、切欠き部の個数を決めることができる。
上述の第1の実施形態では、図2に示すように、2アンテナ重合領域に対応する磁性シートの各部位(切欠き候補部位)の全面積を切り取り、切欠き部13、13、…を形成するようにしたが、必ずしも、切欠き候補部位の全面積が、切り取られる必要はなく、部分的な切欠きであっても良い。形状寸法・素材・巻き数等により、アンテナや磁性シートの特性は変化するので、これらの特性に応じて、あるいは、実験結果に基づいて、各切欠き候補部位の全体に対する切欠き率を決めることができる。
例えば、この第3の実施形態では、磁性シート12b内の切欠き候補部位の全面積のうち、略半分の面積が切り欠かれて切欠き部13b、13bが設けられている。
この第4の実施形態では、図10に示すように、RFIDアンテナが、外周側に配置された第1のRFIDアンテナ11aと、内周側に配置された第2のRFIDアンテナ11bとの2重アンテナとして構成されている。第1のRFIDアンテナ11aと第2のRFIDアンテナ11bとは、所定幅の間隙Wによって離隔されて配置されている。それゆえ、この第4の実施形態では、第1のRFIDアンテナ11a部分と第2のRFIDアンテナ11b部分と間隙W部分とが、切欠き部13、13、…と部分的に重なる構成となっている。上記間隙Wから、渦電流に起因する電磁ノイズにより、第1及び第2のRFIDアンテナ11a、11bが影響を受けるにしても、互いに逆方向に影響を受けるため、アンテナ全体としては、影響が相殺されて、電磁障害を防止することができる。
3 RWアンテナ(第2のアンテナ)
10 RFIDアンテナ装置
11、11a、11b RFIDアンテナ(第1のアンテナ)
12、12a、12b 磁性シート
13、13a、13b 切欠き部(磁性シートの削除部分)
14 携帯電話機(携帯電子端末)
20a ICチップ
Claims (15)
- 薄型でループ状の第1のアンテナと、該第1のアンテナの一面を該第1のアンテナの実体部分を構成するループ線まで含めて覆う磁性シートとを備え、RFIDシステムを利用する際、前記第1のアンテナをリーダ/ライタ装置が備えるループ状の第2のアンテナに近づけて、前記リーダ/ライタ装置と非接触の通信を行うためのRFIDアンテナ装置であって、
前記磁性シートは、前記第1のアンテナの実体部分である前記ループ線を覆う領域のうち、前記利用の際に、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとのループ線同士が交差して相互に重なる領域が、全部又は部分的に削除されていることを特徴とするRFIDアンテナ装置。 - 薄型でループ状の第1のアンテナと、該第1のアンテナの背面を該第1のアンテナの実体部分を構成するループ線まで含めて覆う磁性シートとを備え、RFIDシステムを利用する際、前記第1のアンテナをリーダ/ライタ装置が備えるループ状の第2のアンテナに近づけて、前記リーダ/ライタ装置と非接触の通信を行うためのRFIDアンテナ装置であって、
前記磁性シートは、前記第1のアンテナの実体部分である前記ループ線を覆う領域のうち、前記利用の際に、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとのループ線同士が交差して相互に重なる領域及びその近傍が、全部又は部分的に削除されていることを特徴とするRFIDアンテナ装置。 - 前記磁性シートは、前記削除部分を含めると、前記第1のアンテナの外径寸法と同等以上の外形寸法に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のRFIDアンテナ装置。
- 前記RFIDアンテナ装置が、カード型構成に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のRFIDアンテナ装置。
- 前記RFIDアンテナ装置が、FeliCaカード構成に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のRFIDアンテナ装置。
- RFIDシステムを構成するリーダ/ライタ装置からのコマンドを解析し、処理し、応答するためのICチップと、該ICチップに接続された薄型でループ状の第1のアンテナと、該第1のアンテナの一面を該第1のアンテナの実体部分を構成するループ線まで含めて覆う磁性シートとを備え、
前記RFIDシステムを利用する際、前記第1のアンテナをリーダ/ライタ装置が備えるループ状の第2のアンテナに近づけて、前記リーダ/ライタ装置と非接触でデータ通信を行うためのRFIDタグであって、
前記磁性シートは、前記第1のアンテナの実体部分である前記ループ線を覆う領域のうち、前記利用の際に、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとのループ線同士が交差して相互に重なる領域が、削除されていることを特徴とするRFIDタグ。 - RFIDシステムを構成するリーダ/ライタ装置からのコマンドを解析し、処理し、応答するためのICチップと、該ICチップに接続された薄型でループ状の第1のアンテナと、該第1のアンテナの背面を該第1のアンテナの実体部分を構成するループ線まで含めて覆う磁性シートとを備え、
前記RFIDシステムを利用する際、前記第1のアンテナをリーダ/ライタ装置が備えるループ状の第2のアンテナに近づけて、前記リーダ/ライタ装置と非接触でデータ通信を行うためのRFIDタグであって、
前記磁性シートは、前記第1のアンテナの実体部分である前記ループ線を覆う領域のうち、前記利用の際に、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとのループ線同士が交差して相互に重なる領域及びその近傍が、全部又は部分的に削除されていることを特徴とするRFIDタグ。 - 前記磁性シートは、前記削除部分を含めると、前記第1のアンテナの外径寸法と同等以上の外形寸法に形成されていることを特徴とする請求項6又は7記載のRFIDタグ。
- 前記RFIDタグが、カード型構成に形成されていることを特徴とする請求項6又は7記載のRFIDタグ。
- 前記RFIDタグが、FeliCaカード構成に形成されていることを特徴とする請求項6又は7記載のRFIDタグ。
- RFIDシステムを構成するリーダ/ライタ装置からのコマンドを解析し、処理し、応答するためのICチップと、該ICチップに接続された薄型でループ状の第1のアンテナと、該第1のアンテナの一面を該第1のアンテナの実体部分を構成するループ線まで含めて覆う態様で、内部回路基板と前記第1のアンテナとの間に介挿された磁性シートとを備えてなると共に、
前記RFIDシステムを利用する際、前記第1のアンテナをリーダ/ライタ装置が備えるループ状の第2のアンテナに近づけて、前記リーダ/ライタ装置と非接触でデータ通信を行うためのRFIDタグ機能付きの携帯電子端末であって、
前記磁性シートは、前記第1のアンテナの実体部分である前記ループ線を覆う領域のうち、前記利用の際に、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとのループ線同士が交差して相互に重なる領域が、全部又は部分的に削除されていることを特徴とするRFIDタグ機能付きの携帯電子端末。 - RFIDシステムを構成するリーダ/ライタ装置からのコマンドを解析し、処理し、応答するためのICチップと、該ICチップに接続された薄型でループ状の第1のアンテナと、該第1のアンテナの背面を該第1のアンテナの実体部分を構成するループ線まで含めて覆う態様で、内部回路基板と前記第1のアンテナとの間に介挿された磁性シートとを備えてなると共に、
前記RFIDシステムを利用する際、前記第1のアンテナをリーダ/ライタ装置が備えるループ状の第2のアンテナに近づけて、前記リーダ/ライタ装置と非接触でデータ通信を行うためのRFIDタグ機能付きの携帯電子端末であって、
前記磁性シートは、前記第1のアンテナの実体部分である前記ループ線を覆う領域のうち、前記利用の際に、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとのループ線同士が交差して相互に重なる領域及びその近傍が、全部又は部分的に削除されていることを特徴とするRFIDタグ機能付きの携帯電子端末。 - 前記磁性シートは、前記削除部分を含めると、前記第1のアンテナの外径寸法と同等以上の外形寸法に形成されていることを特徴とする請求項11又は12記載のRFIDタグ機能付きの携帯電子端末。
- 端末筐体の内面に前記第1のアンテナが貼着され、かつ、該第1のアンテナの背面に前記磁性シートが貼着されることで、前記内部回路基板に前記磁性シートが対向配置されていることを特徴とする請求項13記載のRFIDタグ機能付きの携帯電子端末。
- 前記携帯電子端末が、RFIDタグ機能付きの携帯電話機であることを特徴とする請求項11又は12記載のRFIDタグ機能付きの携帯電子端末。
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