JP5146763B2 - 建物の浮き上がりを利用した耐震構造 - Google Patents

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本発明は、建物の浮き上がりを利用した耐震構造に関する。
従来、地震時の耐震安全性を実現する建物の架構として、建物を剛強に造った耐震架構、基礎ないし建物中間に免震層を設けた免震架構、建物内部にエネルギーを吸収するデバイスを設けた制震架構などが提案され実用化されている。
こうした中、地震時にロッキング振動に伴う建物の脚部の浮き上がりを許容して、建物に作用する地震力を低減するようにした架構が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
また、図4に示すように、ロッキングボールによる免震装置が知られている(例えば、非特許文献1参照)。この装置は、建物2の下部に建物重量Wを支持する略楕円形状のロッキングボール4を複数個設け、建物基部6から建物2に伝達される地震動をロッキングボール4の回転変形で低減するものであり、ロッキングボール4には、変形量aと建物重量WによるモーメントWaが作用する。
特開2001−336300号公報 特開2002−276192号公報 Kiyoo Matsushita and Masanori Izumi,Studies on Mechanisms to Decrease Earthquake Forces Applied to Buildings,Proceedings of the 4thWCEE,Vol II,1969.(松下清夫と和泉正哲のロッキングボール) 秋山宏、建築物の耐震極限設計 第2版、東京大学出版会1987.9
ところで、上記の建物の架構の耐震性は、全てエネルギーにより評価することができ、地震時の建物への総エネルギー入力をEとし、建物が限界状態に達するまでに吸収できるエネルギーをWpとすれば、架構の耐震性は以下の(1)式により評価することができる(例えば、上記の非特許文献2参照)。
Wp>E …(1)
耐震設計では、いかなる構造体であっても上記(1)式中のWpをいかに効率よく高めるかに帰着される。そこで、このWpを効率よく高め、建物の架構の耐震性を向上させることができる耐震構造の開発が望まれていた。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、建物が吸収できるエネルギーを効率よく高め、建物の耐震性を向上させることができる建物の浮き上がりを利用した耐震構造を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る建物の浮き上がりを利用した耐震構造は、建物を支持する支持部材を備える耐震構造であって、前記支持部材の鉛直断面形状は三角形であり、前記三角形の上方の頂点部は、建物の下部に回転自在に接合される一方、前記三角形の底面部は、建物の下の基部に接離可能に配置され、地震による所定以上の水平力が作用したときに、前記支持部材の底面部における一方の頂点部を支点として他方の頂点部が建物とともに前記基部から浮き上がるように回動することを特徴とする。
また、本発明の請求項2に係る建物の浮き上がりを利用した耐震構造は、上述した請求項1において、前記支持部材を円錐体としたことを特徴とする。
また、本発明の請求項3に係る建物の浮き上がりを利用した耐震構造は、上述した請求項1または請求項2において、前記支持部材を水平方向に間隔をあけて複数個設けたことを特徴とする。
また、本発明の請求項4に係る建物の浮き上がりを利用した耐震構造は、上述した請求項1〜3のいずれか一つにおいて、前記支持部材が浮き上がる際に前記支持部材に対して制動力を与えるダンパーを設けたことを特徴とする。
また、本発明の請求項5に係る建物の浮き上がりを利用した耐震構造は、上述した請求項1〜4のいずれか一つにおいて、予め設定した最大浮き上がり量を超えないように、前記支持部材の浮き上がり量を制御するフェールセーフ手段を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、建物を支持する支持部材を備える耐震構造であって、前記支持部材の鉛直断面形状は三角形であり、前記三角形の上方の頂点部は、建物の下部に回転自在に接合される一方、前記三角形の底面部は、建物の下の基部に接離可能に配置され、地震による所定以上の水平力が作用したときに、前記支持部材の底面部における一方の頂点部を支点として他方の頂点部が建物とともに前記基部から浮き上がるように回動するので、地震による入力エネルギーの少なくとも一部は、支持部材の浮き上がりを介した建物全体の浮き上がりによって消費される。このため、建物が吸収できるエネルギーは効率よく高められる。したがって、建物の層間変形や建物各部で生じる応力を低下させ、建物の耐震性を向上させることができる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明に係る建物の浮き上がりを利用した耐震構造の好適な実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明に係る建物の浮き上がりを利用した耐震構造の一例を示す側断面図であり、(a)は平常時の側断面図、(b)は地震時に水平力が作用して建物の一部が浮き上がった状況を示す側断面図である。
図1(a)に示すように、本発明に係る建物の浮き上がりを利用した耐震構造10(以下、「耐震構造10」という。)は、建物2の下部12に、建物2を回転自在に支持する二等辺三角形状断面の支持部材14を水平方向に間隔をあけて複数個備える。
支持部材14の上方の頂点部16は、建物下部12に回転自在に接合してあり、三角形の底面となる支持部材14の底面部18は、建物基部6上に接離可能に配置してある。なお、支持部材14は、図1では鉛直断面の形状が三角形である場合について説明しているが、地震による水平力が二軸であることを考慮すると円錐体状であることが好ましい。また、製作上の簡便さ等の理由で多角錐体状にしても、もちろん良い。
図1(b)に示すように、地震が発生すると、図示しない地盤を介して建物基部6が振動する。建物基部6上に接離可能に配置された支持部材14は、建物基部6の振動による水平力で底面部18における一方の頂点部20を支点として、他方の頂点部22が建物基部6から浮き上がるように回動する。この結果、建物2は支持部材14の上方の頂点部16を介して斜め上方に浮き上がる。
こうすることで、地震による入力エネルギーの少なくとも一部は、支持部材14の浮き上がりを介した建物2全体の浮き上がりによって消費される。このため、本発明の耐震構造10によれば、建物2が吸収できるエネルギーは効率よく高められ、建物2の層間変形や建物2の各部で生じる応力を低下させ、建物2の耐震性を向上させることができる。
なお、上記の実施の形態において、浮き上がりが過大となって建物2が不安定になることを回避するため、図2に示すように、支持部材14の底面部18に上下変位可能な制振ダンパー24を設け、支持部材14が浮き上がる際に支持部材14に対して制動力を付与することによって支持部材14の浮き上がりをコントロールしてもよい。また、このダンパー24の代わりに、所定の剛性を有するバネを設けることもできる。さらに、予め設定した最大浮き上がり量を超えないように、支持部材14の浮き上がり量を制御するフェールセーフ手段としてチェーン等(不図示)を設けてもよい。
次に、本発明の効果について解析的に説明する。
まず、建物2への入力エネルギーEは、エネルギー入力の等価速度VEを用いて以下の(2)式により表すことができる(例えば、非特許文献2参照)。
E=m・VE 2/2 …(2)
ここに、m:建物2の総質量
一方、建物2が浮き上がることによって生じるポテンシャルエネルギーEpは、以下の(3)式で表すことができる。
Ep=m・g・h …(3)
ここに、g:重力加速度、h:建物2の浮き上がり量
上記の(2)式と(3)式とが等価とすれば、エネルギー入力と建物2の浮き上がり量の関係が求まる。
m・g・h=m・VE 2/2 …(4)式
これをhについて解くと、(5)式が得られる。
h=VE 2/(2g) …(5)式
なお、実際には、建物2への入力エネルギーは、建物2の1回の浮き上がりによって全て消費されるのではなく、繰り返しによる浮き上がりや、建物2の水平振動や元々の粘性減衰によっても消費される。建物2の浮き上がりによるエネルギー消費の割合は設計事項であるので、建物2の耐震設計において適宜所望の割合に設定すればよい。
また、図2に示すように、支持部材14が回転することによって生じる水平変位と浮き上がり変位(鉛直変位)は、幾何学的な関係から以下の(6−1)および(6−2)式によって求めることができる。
δ=S(sin(γ+θ)−sin(γ)) …(6−1)式
δ=S(cos(γ)−sin(γ+θ)) …(6−2)式
ここに、S:支持部材14の辺長、γ:支持部材14の底角、θ:浮き上がり角、
δ:浮き上がりによって生じる頂点部16の水平変位、δ:頂点部16の鉛直変位
ところで、本発明の耐震構造10においては、所定値以上の水平力が作用しなければ建物2は浮き上がらない。図3に示すように、支持部材14の頂点部16に建物の重量Wが載荷し、地震による水平力Qが作用する場合を考える。底面部18の頂点部20周りのモーメントの釣り合いを考慮すると、建物2の浮き上がりが生じるためには、以下の(7)式を満たす必要がある。
Q・S・sin(γ)>W・S・cos(γ) …(7)式
上記の(7)式を変形して、
Q/W>1/tan(γ) …(8)式
ここで、上記の(8)式の左辺(Q/W)はベースシヤー係数である。つまり、支持部材14の底角γによって、浮き上がりを生じるベースシヤー係数を自由に設定することができる。例えば、所定の小規模の地震時には浮き上がらずに通常の建物として振る舞う一方で、ベースシヤー係数を超える規模の地震時には浮き上がりによってエネルギーを消費するような一種のフェールセーフ機能を耐震構造10に具備させることも底角γの設定如何により可能である。
以上説明したように、本発明によれば、建物を支持する支持部材を備える耐震構造であって、前記支持部材の鉛直断面形状は三角形であり、前記三角形の上方の頂点部は、建物の下部に回転自在に接合される一方、前記三角形の底面部は、建物の下の基部に接離可能に配置され、地震による所定以上の水平力が作用したときに、前記支持部材の底面部における一方の頂点部を支点として他方の頂点部が建物とともに前記基部から浮き上がるように回動するので、地震による入力エネルギーの少なくとも一部は、支持部材の浮き上がりを介した建物全体の浮き上がりによって消費される。このため、建物が吸収できるエネルギーは効率よく高められる。したがって、建物の層間変形や建物各部で生じる応力を低下させ、建物の耐震性を向上させることができる。
本発明に係る建物の浮き上がりを利用した耐震構造の一例を示す側断面図であり、(a)は平常時の側断面図、(b)は浮き上がり時の側断面図である。 浮き上がり時の支持部材の側断面図である。 浮き上がり時の支持部材における力の作用状況を説明する側断面図である。 従来のロッキングボールによる免震装置の一例を示した側断面図である。
符号の説明
2 建物
4 ロッキングボール
6 建物基部
10 建物の浮き上がりを利用した耐震構造
12 建物下部
14 支持部材
16 上方の頂点部
18 底面部
20,22 頂点部
24 制振ダンパー

Claims (5)

  1. 建物を支持する支持部材を備える耐震構造であって、前記支持部材の鉛直断面形状は三角形であり、前記三角形の上方の頂点部は、建物の下部に回転自在に接合される一方、前記三角形の底面部は、建物の下の基部に接離可能に配置され、地震による所定以上の水平力が作用したときに、前記支持部材の底面部における一方の頂点部を支点として他方の頂点部が建物とともに前記基部から浮き上がるように回動することを特徴とする建物の浮き上がりを利用した耐震構造。
  2. 前記支持部材を円錐体としたことを特徴とする請求項1に記載の建物の浮き上がりを利用した耐震構造。
  3. 前記支持部材を水平方向に間隔をあけて複数個設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建物の浮き上がりを利用した耐震構造。
  4. 前記支持部材が浮き上がる際に前記支持部材に対して制動力を与えるダンパーを設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の建物の浮き上がりを利用した耐震構造。
  5. 予め設定した最大浮き上がり量を超えないように、前記支持部材の浮き上がり量を制御するフェールセーフ手段を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の建物の浮き上がりを利用した耐震構造。
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