JP5146456B2 - 送受信増幅器および遅延偏差補償方法 - Google Patents

送受信増幅器および遅延偏差補償方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5146456B2
JP5146456B2 JP2009534086A JP2009534086A JP5146456B2 JP 5146456 B2 JP5146456 B2 JP 5146456B2 JP 2009534086 A JP2009534086 A JP 2009534086A JP 2009534086 A JP2009534086 A JP 2009534086A JP 5146456 B2 JP5146456 B2 JP 5146456B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
digital signal
delay
signal
transmission
analog signal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009534086A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2009040897A1 (ja
Inventor
弘幸 関野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujitsu Ltd filed Critical Fujitsu Ltd
Publication of JPWO2009040897A1 publication Critical patent/JPWO2009040897A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5146456B2 publication Critical patent/JP5146456B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03FAMPLIFIERS
    • H03F3/00Amplifiers with only discharge tubes or only semiconductor devices as amplifying elements
    • H03F3/20Power amplifiers, e.g. Class B amplifiers, Class C amplifiers
    • H03F3/24Power amplifiers, e.g. Class B amplifiers, Class C amplifiers of transmitter output stages
    • HELECTRICITY
    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03FAMPLIFIERS
    • H03F1/00Details of amplifiers with only discharge tubes, only semiconductor devices or only unspecified devices as amplifying elements
    • H03F1/32Modifications of amplifiers to reduce non-linear distortion
    • H03F1/3241Modifications of amplifiers to reduce non-linear distortion using predistortion circuits
    • HELECTRICITY
    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03FAMPLIFIERS
    • H03F1/00Details of amplifiers with only discharge tubes, only semiconductor devices or only unspecified devices as amplifying elements
    • H03F1/34Negative-feedback-circuit arrangements with or without positive feedback
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04BTRANSMISSION
    • H04B1/00Details of transmission systems, not covered by a single one of groups H04B3/00 - H04B13/00; Details of transmission systems not characterised by the medium used for transmission
    • H04B1/02Transmitters
    • H04B1/04Circuits
    • H04B1/0475Circuits with means for limiting noise, interference or distortion
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04LTRANSMISSION OF DIGITAL INFORMATION, e.g. TELEGRAPHIC COMMUNICATION
    • H04L27/00Modulated-carrier systems
    • H04L27/01Equalisers
    • HELECTRICITY
    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03FAMPLIFIERS
    • H03F2200/00Indexing scheme relating to amplifiers
    • H03F2200/336A I/Q, i.e. phase quadrature, modulator or demodulator being used in an amplifying circuit
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04BTRANSMISSION
    • H04B1/00Details of transmission systems, not covered by a single one of groups H04B3/00 - H04B13/00; Details of transmission systems not characterised by the medium used for transmission
    • H04B1/02Transmitters
    • H04B1/04Circuits
    • H04B2001/0408Circuits with power amplifiers
    • H04B2001/0433Circuits with power amplifiers with linearisation using feedback

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Computer Networks & Wireless Communication (AREA)
  • Signal Processing (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Nonlinear Science (AREA)
  • Transmitters (AREA)
  • Digital Transmission Methods That Use Modulated Carrier Waves (AREA)

Description

本発明は送受信増幅器および遅延偏差補償方法に関し、特に帯域通過フィルタで生じる遅延偏差に対する補償を行う送受信増幅器および遅延偏差補償方法に関する。
現在、無線通信技術が発達し、携帯電話システムなどの無線通信システムが広く用いられている。無線通信システムにおいて通信装置が無線送信を行う場合、送受信増幅器により送信すべきデジタル信号がアナログ信号に変換されて、変調・増幅が行われる。このようにして生成されたアナログ信号は、帯域通過フィルタ(BPF:Band Pass Filter)により帯域制限されて、送受信アンテナから出力される。ここで、無線資源は有限の資源であるため、無線通信システムの普及に伴い、信号伝送効率の一層の向上が求められている。
伝送効率を低下させる原因の1つに、増幅器で生じる増幅歪がある。増幅器では、入力信号レベルと出力信号レベルとの関係は線形であることが期待される。しかし、増幅器の物理特性上、入力信号レベルが所定レベル以上の範囲では非線形となる。増幅器が有するこのような非線形性は、信号に増幅歪を生じさせ、伝送効率を低下させる原因となる。これに対し、送受信増幅器において、増幅器で生じる増幅歪と逆の歪をデジタル信号に予め与えておき、増幅器を通過したアナログ信号の増幅歪を抑制する歪補償技術が知られている。多くの歪補償技術では、フィードバック回路により、増幅器を通過したアナログ信号をデジタル信号に戻して歪検出を行う(例えば、特許文献1,2参照)。
また、伝送効率を低下させる他の原因に、帯域通過フィルタで生じる遅延偏差がある。帯域通過フィルタでは、フィルタ処理の遅延時間が周波数によって異なる。すなわち、入力信号の高周波数成分と低周波数成分とで、出力のタイミングに時間差が生じる。帯域通過フィルタが有するこのような遅延偏差は、受信装置側での信号の復号誤りを増加させ、伝送効率を低下させる原因となる。これに対し、送受信増幅器において、帯域通過フィルタで生じる遅延偏差を打ち消すための遅延をデジタル信号に予め与えておき、帯域通過フィルタを通過したアナログ信号における周波数成分間の遅延偏差を抑制する遅延偏差補償技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2007−53552号公報 特開平11−284675号公報 特開平07−202955号公報
ところで、近年では送信周波数帯域外に漏れる不要信号の除去が特に厳しく求められており、帯域通過フィルタの役割が重要となっている。例えば、送信周波数帯域から5MHz(ヘルツ)離れた周波数で、希望波・干渉波電力比が110dB(デシベル)以上になることが求められる場合もある。
一方、送信周波数帯域外の不要信号の減衰が大きい帯域通過フィルタは、周波数成分間の遅延偏差も大きい傾向にある。そこで、受信装置側での復号誤りの発生を適切に抑制できる遅延偏差補償技術が求められる。しかし、上記特許文献3に記載の技術では、伝送効率の観点から遅延偏差補償における最適な補正量を設定することが困難であった。このため、受信装置側での復号誤りの発生を十分に抑制できなかった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、帯域通過フィルタで生じる遅延偏差を抑制するため遅延偏差補償を行う際に、伝送効率の観点から最適な補正量を設定することが可能な送受信増幅器および遅延偏差補償方法を提供することを目的とする。
本発明では上記課題を解決するために、図1に示すような送受信増幅器が提供される。本発明に係る送受信増幅器1は、入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換して増幅し、帯域通過フィルタ2に出力するものである。送受信増幅器1は、フィードバック部1aとデジタル信号処理部1bとを有する。フィードバック部1aは、帯域通過フィルタ2を通過したアナログ信号を取得してデジタル信号に変換する。デジタル信号処理部1bは、フィードバック部1aで得られたデジタル信号と入力されたデジタル信号とを比較して変調精度を測定し、変調精度に基づいて以降に入力されるデジタル信号に対して遅延補正を行う。
このような送受信増幅器1によれば、フィードバック部1aにより、帯域通過フィルタ2を通過したアナログ信号がデジタル信号に変換される。そして、デジタル信号処理部1bにより、フィードバック部1aで得られたデジタル信号と入力されたデジタル信号とから変調精度が測定され、変調精度に基づいて以降に入力されるデジタル信号に対して遅延補正が行われる。
また、上記課題を解決するために、入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換して増幅し、帯域通過フィルタに出力する送受信増幅器の遅延偏差補償方法において、帯域通過フィルタを通過したアナログ信号を取得してデジタル信号に変換し、アナログ信号の変換により得られたデジタル信号と入力されたデジタル信号とを比較して変調精度を測定し、変調精度に基づいて以降に入力されるデジタル信号に対して遅延補正を行う、ことを特徴とする遅延偏差補償方法が提供される。
このような遅延偏差補償方法によれば、帯域通過フィルタを通過したアナログ信号がデジタル信号に変換される。そして、変換により得られたデジタル信号と入力されたデジタル信号とから変調精度が測定され、変調精度に基づいて以降に入力されるデジタル信号に対して遅延補正が行われる。
本発明では、帯域通過フィルタを通過した信号と入力信号とを比較して変調精度を測定し、変調精度に応じた遅延補正を行うこととした。これにより、最適な補正量を設定することが可能となり、受信装置側での復号誤りの発生を十分に抑制して伝送効率を一層向上させることができる。また、温度変化や部品交換などによる帯域通過フィルタの特性変化に追従して、自動的に補正量を最適化することも可能となる。
本発明の上記および他の目的、特徴および利点は本発明の例として好ましい実施の形態を表す添付の図面と関連した以下の説明により明らかになるであろう。
本実施の形態の概要を示す図である。 第1の実施の形態の無線基地局の機能を示すブロック図である。 第1の実施の形態のデジタル信号処理部の機能を示すブロック図である。 係数テーブルのデータ構造を示す図である。 複素FIRフィルタの回路構成を示す図である。 複素乗算器の回路構成を示す図である。 第1の実施の形態の係数設定処理の手順を示すフローチャートである。 デジタル信号処理部の処理結果を示す図である。 アンテナ共用器の遅延偏差を示す第1のグラフである。 アンテナ共用器の遅延偏差を示す第2のグラフである。 遅延偏差と変調精度との関係を示すグラフである。 第2の実施の形態の無線基地局の機能を示すブロック図である。 第2の実施の形態のデジタル信号処理部の機能を示すブロック図である。 第2の実施の形態の係数設定処理の手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。まず、本発明の概要について説明し、その後、実施の形態の具体的な内容を説明する。
図1は、本実施の形態の概要を示す図である。図1に示す通信装置は、他の通信装置と無線通信を行う装置である。この通信装置は、送受信増幅器1、帯域通過フィルタ2および送信アンテナ3を有する。
送受信増幅器1は、入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換して増幅し、帯域通過フィルタ2に出力する。帯域通過フィルタ2は、送受信増幅器1から受け付けたアナログ信号のうち、予め指定された送信周波数帯域以外の周波数成分を除去して、送信アンテナ3に出力する。送信アンテナ3は、帯域通過フィルタ2から受け付けたアナログ信号を無線出力する。ここで、送受信増幅器1は、フィードバック部1aとデジタル信号処理部1bとを有する。
フィードバック部1aは、帯域通過フィルタ2を通過した後のアナログ信号を取得してデジタル信号に戻す。そして、フィードバック部1aは、得られたデジタル信号をフィードバック信号としてデジタル信号処理部1bに出力する。
デジタル信号処理部1bは、アナログ変換前の元のデジタル信号を一時的に保持する。その後、フィードバック部1aからフィードバック信号を受け付けると、デジタル信号処理部1bは、フィードバック信号と元のデジタル信号とを比較して変調精度を測定する。変調精度は理想信号と測定信号との間の位置のずれの程度を意味し、変調精度の指標として通常はEVM(Error Vector Magnitude)が用いられる。ここでは、アナログ変換前の元のデジタル信号が理想信号に相当し、フィードバック信号が測定信号に相当する。
そして、デジタル信号処理部1bは、変調精度の測定結果に応じて、以降に入力されるデジタル信号に対して遅延補正を行う。すなわち、デジタル信号処理部1bは、変調精度がより改善されるように補正量を調整して遅延補正を行う。なお、デジタル信号処理部1bによる変調精度の測定および補正量の調整は、定期または不定期に継続的に行うことが好ましい。
なお、送信アンテナ3は、送信専用アンテナではなく送受信共用アンテナであってもよい。この場合、送受信共用アンテナには、送信信号と受信信号とを分離するアンテナ共用器(DUP:DUPlexer)が接続される。このときは、アンテナ共用器内部のフィルタが、帯域通過フィルタ2に相当する。また、このときは、フィードバック部1aはアンテナ共用器内で送信側から受信側に漏れるアナログ信号を抽出してフィードバック信号を生成することも考えられる。
このような送信装置によれば、送受信増幅器1のフィードバック部1aにより、帯域通過フィルタ2を通過したアナログ信号がデジタル信号に変換される。そして、送受信増幅器1のデジタル信号処理部1bにより、フィードバック部1aで得られたデジタル信号と入力されたデジタル信号とから変調精度が測定され、以降に入力されるデジタル信号に対して、変調精度が改善するように遅延補正が行われる。
これにより、遅延偏差補償のための最適な補正量を設定することが可能となり、帯域通過フィルタ2に起因する変調精度の低下を効率的に防止することができる。この結果、受信装置側での復号誤りの発生を十分に抑制し、伝送効率を一層向上させることができる。また、温度変化や部品交換などによる帯域通過フィルタ2の特性変化に追従して、自動的に補正量を最適化することも可能となる。
[第1の実施の形態]
次に、第1の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。第1の実施の形態に係る無線基地局は、遅延偏差補償機能を有する送受信増幅器を搭載したものである。なお、無線基地局の通信相手である移動局の機能については説明を省略する。
図2は、第1の実施の形態の無線基地局の機能を示すブロック図である。無線基地局4は、デジタル信号処理部10、DA変換器11、変調器12、増幅器13、アンテナ共用器14、方向性結合器15、増幅器16、周波数変換器17およびAD変換器18を有する。なお、増幅器16、周波数変換器17およびAD変換器18が、前述のフィードバック部に相当する。
デジタル信号処理部10は、移動局に送信するデジタル信号の入力を受け付けると、遅延偏差補償のための補正処理を行った上で、DA変換器11に出力する。ここで、デジタル信号処理部10は、定期的に変調精度の指標であるEVMを測定し、測定されたEVMに基づいて補正量を決める。具体的には、デジタル信号処理部10は、AD変換器18からフィードバック信号を受け付け、入力された元のデジタル信号とフィードバック信号とを比較してEVMを測定する。デジタル信号の補正処理の詳細は後述する。
DA変換器11は、デジタル信号処理部10から補正済みのデジタル信号を受け付けると、アナログ信号に変換して変調器12に出力する。なお、DA変換器11は、I成分およびQ成分それぞれについてアナログ変換を行う。
変調器12は、発信周波数を制御する電圧制御発振器を内部に有している。変調器12は、DA変換器11からI成分およびQ成分のアナログ信号を受け付けると、予め設定された変調方式に従って変調処理を行い、増幅器13に出力する。
増幅器13は、変調器12から変調済みのアナログ信号を受け付けると、予め設定された増幅率で信号増幅を行い、アンテナ共用器14に出力する。ここで、増幅器13からアンテナ共用器14に出力されるアナログ信号の電力レベルは、例えば、+40dBm程度である。
アンテナ共用器14は、送信信号と受信信号とを分離するための帯域通過フィルタを内部に有している。アンテナ共用器14は、増幅器13から増幅済みの送信信号を受け付けると、送信周波数帯域外の周波数成分を除去して、図示しない送受信アンテナに出力する。また、アンテナ共用器14は、送受信アンテナから受信信号を受け付けると、受信周波数帯域外の周波数成分を除去して、方向性結合器15に出力する。
このように、アンテナ共用器14では、送信信号と受信信号とが完全に分離され、送信信号が受信側回路に漏れないことが期待される。しかし、実際には物理特性上、送信信号の一部が受信側回路に漏れ、受信信号に混ざって方向性結合器15に出力される。送信・受信間アイソレーション、すなわち、送信信号の電力レベルと受信側回路に漏れる送信信号の電力レベルとの比は、例えば、100dB程度である。また、アンテナ共用器14から方向性結合器15に出力されるアナログ信号の電力レベルは、例えば、−60dBm程度である。
方向性結合器15は、アンテナ共用器14からアナログ信号を受け付けると、所定の電力比でアナログ信号を2分割する。そして、一方を増幅器16に出力し、他方を図示しない受信処理部に出力する。なお、受信処理部では、周波数変換や低雑音増幅などの処理が行われる。
増幅器16は、方向性結合器15から分波されたアナログ信号を受け付けると、送信周波数帯域の信号を増幅し、周波数変換器17に出力する。ここで、増幅器16は、自動利得制御(AGC:Auto Gain Control)機能を有している。すなわち、増幅器16は、送信信号の電力レベルやアンテナ共用器14の送信・受信間アイソレーションに応じて、増幅率を可変とする。なお、増幅器16から周波数変換器17に出力されるアナログ信号の電力レベルは、例えば、−10dBm程度である。
周波数変換器17は、増幅器16から増幅済みのアナログ信号を受け付けると、内部で用いる所定の周波数に変換し、AD変換器18に出力する。
AD変換器18は、周波数変換器17からアナログ信号を受け付けると、デジタル信号に変換して、デジタル信号処理部10にフィードバック信号として出力する。
なお、上記では増幅器16が自動利得制御を行うこととしたが、増幅器16は所定の増幅率で信号増幅を行い、デジタル信号処理部10がデジタル利得制御(DGC:Digital Gain Control)を行うようにしてもよい。
次に、アンテナ共用器14で生じる遅延偏差に対し、デジタル信号処理部10が行う遅延偏差補償の詳細について説明する。なお、以下では、無線基地局4は4キャリア分の無線信号を周波数多重で送信するものとする。
図3は、第1の実施の形態のデジタル信号処理部の機能を示すブロック図である。デジタル信号処理部10は、遅延回路111〜114、セレクタ120、複素FIRフィルタ130、セレクタ141〜144、多重化部150、メモリ161および遅延制御部162を有する。
遅延回路111〜114は、それぞれ1つのキャリア分のI成分およびQ成分のデジタル信号を一時的に保持する。具体的には、遅延回路111はキャリアC1分のデジタル信号を保持し、遅延回路112はキャリアC2分のデジタル信号を保持し、遅延回路113はキャリアC3分のデジタル信号を保持し、遅延回路114はキャリアC4分のデジタル信号を保持する。そして、遅延回路111〜114は、所定の遅延時間後に、保持しているデジタル信号をセレクタ141〜144に出力する。
セレクタ120は、キャリアC1〜C4のうち遅延偏差補償を行うキャリアを1つ選択し、選択したキャリア分のI成分およびQ成分のデジタル信号を、複素FIRフィルタ130に出力する。また、セレクタ120は、複素FIRフィルタ130に出力したデジタル信号と同一信号をメモリ161に出力する。なお、遅延偏差補償を行うキャリアは、図示しない制御部から予め指示される。
複素FIRフィルタ130は、複素演算を行うFIR(Finite Impulse Response)フィルタである。複素FIRフィルタ130は、セレクタ120からデジタル信号を受け付けると、補正処理を行ってセレクタ141〜144に出力する。ここで、複素FIRフィルタ130は、補正処理に用いる係数集合を複数有しており、遅延制御部162の指示に基づいて、用いる係数集合を1つ選択する。
セレクタ141〜144は、遅延回路111〜114から受け付ける補正なしのデジタル信号と複素FIRフィルタ130から受け付ける補正後のデジタル信号との一方を選択する。具体的には、セレクタ141は、キャリアC1が遅延偏差補償を行うキャリアである場合には複素FIRフィルタ130から受け付けるデジタル信号を選択し、遅延偏差補償を行わないキャリアである場合には遅延回路111から受け付けるデジタル信号を選択する。セレクタ142〜144も同様である。そして、セレクタ141〜144は、選択したデジタル信号を多重化部150に出力する。なお、遅延偏差補償を行うキャリアは、図示しない制御部から予め指示される。
多重化部150は、セレクタ141〜144から補正なしまたは補正ありのデジタル信号を受け付けると、所定の順序で時分割多重してDA変換器11に出力する。なお、ここで出力されるデジタル信号は、I成分とQ成分とが分離されている。
メモリ161は、補正前の元のデジタル信号を一時的に保持するメモリである。セレクタ120によって、メモリ161にデジタル信号が書き込まれる。また、遅延制御部162によって、メモリ161からデジタル信号が読み出される。
遅延制御部162は、AD変換器18からフィードバック信号を受け付けると、そのフィードバック信号に対応する元のデジタル信号をメモリ161から読み出す。そして、遅延制御部162は、2つのデジタル信号に基づいてEVMを測定し、前回測定したEVMと比較する。遅延制御部162は、比較結果に基づいて複素FIRフィルタ130に対して、補正量の変更、すなわち、補正処理に用いる係数集合の変更を指示する。
図4は、係数テーブル(係数格納部)のデータ構造を示す図である。図4に示す係数テーブル139は、複素FIRフィルタ130が保持するテーブルである。係数テーブル139は、係数の種類を示す行と係数集合を示す列とで構成される。1つの係数集合は、I0〜I7,Q0〜Q7の16個の係数で構成される。各係数集合には一意な番号が付与されており、番号が大きい係数集合ほど補正量が大きいことを意味する。
例えば、初期状態として設定される係数集合#1では、I3=32768で他の係数が全て0である。また、ある係数集合#nでは、I0=25,I1=−3,I2=−227,I3=32648,I4=420,I5=−115,I6=54,I7=−35,Q0=−239,Q1=409,Q2=−1268,Q3=1990,Q4=−1233,Q5=381,Q6=−230,Q7=201である。複素FIRフィルタ130は、遅延偏差補償のために、係数テーブル139に格納されている係数集合の1つを選択する。
図5は、複素FIRフィルタの回路構成を示す図である。複素FIRフィルタ130は、8タップのFIRフィルタである。複素FIRフィルタ130は、図4に示した係数テーブル139に加えて、フリップフロップ131a〜131g,132a〜132g(以下、FF131a〜131g,132a〜132gと略記)、複素乗算器133a〜133h、加算器134、丸め部135,136およびクリップ部137,138を有する。
FF131a〜131g,132a〜132gは、1サイクルだけデータを保持する回路である。FF131a〜131f,132a〜132fは、データの入力を受け付けると、次のサイクルに次段のFFに対してデータを出力する。FF131a〜131g,132a〜132g間で受け渡されるデータは、例えば、15ビットである。
具体的には、FF131aは、セレクタ120からI成分のデジタル信号の入力を受け付けると、所定ビット長をデータとして切り出して保持する。そして、FF131aは、次のサイクルにFF131bに対してデータを出力する。このデータは、同様にして、FF131c〜131gに順次出力される。また、FF132aは、セレクタ120からQ成分のデジタル信号の入力を受け付けると、所定ビットの長をデータとして切り出して保持する。そして、FF132aは、次のサイクルにFF132bに対してデータを出力する。このデータは、同様にして、FF132c〜132gに順次出力される。
複素乗算器133a〜133hは、FF131a〜131g,132a〜132g間で受け渡されるI成分およびQ成分のデータを取得する。具体的には、複素乗算器133aは、FF131a,132aに入力されるデータを取得する。複素乗算器133bは、FF131a,132aが出力するデータを取得する。複素乗算器133cは、FF131b,132bが出力するデータを取得する。複素乗算器133dは、FF131c,132cが出力するデータを取得する。複素乗算器133eは、FF131d,132dが出力するデータを取得する。複素乗算器133fは、FF131e,132eが出力するデータを取得する。複素乗算器133gは、FF131f,132fが出力するデータを取得する。複素乗算器133hは、FF131g,132gに格納されたデータを、格納された次のサイクルに取得する。
また、複素乗算器133a〜133hは、現在選択されている係数集合に含まれる係数をそれぞれ読み込む。具体的には、複素乗算器133aは係数I0,Q0を読み込む。複素乗算器133bは係数I1,Q1を読み込む。複素乗算器133cは係数I2,Q2を読み込む。複素乗算器133dは係数I3,Q3を読み込む。複素乗算器133eは係数I4,Q4を読み込む。複素乗算器133fは係数I5,Q5を読み込む。複素乗算器133gは係数I6,Q6を読み込む。複素乗算器133hは係数I7,Q7を読み込む。なお、係数I0〜I7,Q0〜Q7は、例えば、16ビットの数値である。
そして、複素乗算器133a〜133hは、各サイクルにおいて、入力される2つのデータと2つの係数を用いて複素演算を行う。その後、複素乗算器133a〜133hは、I成分およびQ成分の演算結果を加算器134に出力する。複素演算の詳細は後述する。
加算器134は、複素乗算器133a〜133hから演算結果を受け付けると、I成分およびQ成分それぞれの合計を計算する。そして、加算器134は、I成分の合計値を丸め部135に出力し、Q成分の合計値を丸め部136に出力する。なお、加算器134から丸め部135,136に出力されるデータは、例えば、33ビットである。
丸め部135,136は、加算器134から受け付けるデータに対して丸め処理を行い、処理結果をクリップ部137,138に出力する。具体的には、丸め部135は、I成分のデータに対して丸め処理を行い、処理結果をクリップ部137に出力する。丸め部136は、Q成分のデータに対して丸め処理を行い、処理結果をクリップ部138に出力する。なお、丸め部135,136からクリップ部137,138に出力されるデータは、例えば、18ビットである。
クリップ部137,138は、複素演算前のビット長に戻すために、丸め部135,136から受け付けるデータに対してクリップ処理を行う。すなわち、クリップ部137,138は、受け付けたデータが複素演算前のビット長で表現可能な最大値を超えている場合にはその最大値に書き換え、複素演算前のビット長で表現可能な最小値を下回っている場合にはその最小値に書き換える。
そして、クリップ部137,138は、セレクタ141〜144に処理結果を出力する。これにより、セレクタ120から複素FIRフィルタ130に入力されるデジタル信号の長さと複素FIRフィルタ130からセレクタ141〜144に出力されるデジタル信号の長さとが同一になる。
図6は、複素乗算器の回路構成を示す図である。複素乗算器133aは、入力データIin,Qinと係数I0,Q0との間で複素演算を行い、出力データIout,Qoutを得る回路である。複素乗算器133aは、図6に示すように、4つの算術的な乗算回路と2つの算術的な加算回路とで構成される。このような複素乗算器133aにより、以下の式に従った計算が行われる。
(Iin+jQin)×(I0+jQ0
=(Iin×I0−Qin×Q0)+j(Iin×Q0+Qin×I0) …(1)
すなわち、出力データIout,Qoutは以下のように計算される。
out=Iin×I0−Qin×Q0
out=Iin×Q0+Qin×I0 …(2)
なお、複素乗算器133b〜133hも、複素乗算器133aと同様の回路構成によって実現できる。
次に、以上のような構成およびデータ構造の無線基地局4において実行される処理の詳細について説明する。
図7は、第1の実施の形態の係数設定処理の手順を示すフローチャートである。以下、図7に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS11]デジタル信号処理部10が稼働開始すると、複素FIRフィルタ130は、係数テーブル139から係数集合#1の係数を読み出す。そして、複素FIRフィルタ130は、読み出した係数を初期係数として複素乗算器に設定する。
[ステップS12]遅延制御部162は、AD変換器18からフィードバック信号を受け付けると、メモリ161からフィードバック信号に対応する元の入力信号を読み出す。そして、遅延制御部162は、元の入力信号とフィードバック信号とを比較してEVMを測定する。
[ステップS13]遅延制御部162は、複素FIRフィルタ130に対して、現在適用している係数集合よりも1つだけ番号の大きい係数集合を適用するよう指示する。複素FIRフィルタ130は、指示された係数集合の係数を係数テーブル139から読み出して複素乗算器に設定する。
[ステップS14]遅延制御部162は、変更後の係数集合が適用されたフィードバック信号をAD変換器18から受け付けると、メモリ161からフィードバック信号に対応する元の入力信号を読み出し、EVMを測定する。
[ステップS15]遅延制御部162は、ステップS14で測定されたEVMと前回測定されたEVMとを比較する。そして、遅延制御部162は、ステップS13の係数集合の変更によりEVMが改善されたか否か判断する。EVMが改善された場合には、処理がステップS13に進められる。EVMが改善されていない場合、すなわち、EVMに変化がないか劣化した場合には、処理がステップS16に進められる。
[ステップS16]遅延制御部162は、複素FIRフィルタ130に対して、現在適用している係数集合よりも1つだけ番号の小さい係数集合を適用するよう指示する。複素FIRフィルタ130は、指示された係数集合の係数を係数テーブル139から読み出して複素乗算器に設定する。
[ステップS17]遅延制御部162は、変更後の係数集合が適用されたフィードバック信号をAD変換器18から受け付けると、メモリ161からフィードバック信号に対応する元の入力信号を読み出し、EVMを測定する。
[ステップS18]遅延制御部162は、ステップS17で測定されたEVMと前回測定されたEVMとを比較する。そして、遅延制御部162は、ステップS16の係数集合の変更によりEVMが改善されたか否か判断する。EVMが改善された場合には、処理がステップS16に進められる。EVMが改善されていない場合には、処理がステップS19に進められる。
[ステップS19]遅延制御部162は、複素FIRフィルタ130に対して、前回適用した係数集合、すなわち、ステップS16の変更前に適用した係数集合を適用するよう指示する。複素FIRフィルタ130は、指示された係数集合の係数を係数テーブル139から読み出して複素乗算器に設定する。
[ステップS20]遅延制御部162は、EVM測定および係数集合の調整を終了し、一定時間待つ。その後、処理がステップS12に進められる。
このようにして、遅延制御部162は、補正量を段階的に増加または減少させてEVMを測定し、EVMが最良となる補正量を決定する。遅延制御部162は、このような補正量の調整を継続的に実行して、通信環境の変化に適応できるようにする。
なお、遅延制御部162は、完全なEVMを用いるのではなく、簡易的方法で計算されるEVMを用いてもよい。元の入力信号をIref,Qref、フィードバック信号をIfb,Qfbとすると、遅延制御部162は例えば以下の方法でEVMを簡易的に計算することができる。
EVM=sum((Iref−Ifb2+(Qref−Qfb2
÷sum(Iref 2+Qref 2) …(3)
図8は、デジタル信号処理部の処理結果を示す図である。図8の左側に示すI成分およびQ成分のデータが複素FIRフィルタ130による補正前のデータであり、右側に示すI成分およびQ成分のデータが複素FIRフィルタ130による補正後のデータである。
例えば、補正前にI成分=−3350,Q成分=−3456であったデータが、I成分=4182,Q成分=−6721に補正されている。また、補正前にI成分=4224,Q成分=−3314であったデータが、I成分=−2263,Q成分=−5552に補正されている。補正後のデータは、補正前のデータと比べて、アンテナ共用器14で生じる遅延偏差を打ち消すような遅延偏差が与えられている。
図9は、アンテナ共用器の遅延偏差を示す第1のグラフである。図9のグラフは、信号の遅延時間と周波数との関係を、ある周波数Fを基準として相対的に示している。図9では、(1)遅延補償を行わない場合の元の入力信号とアンテナ共用器14通過後の信号との関係、(2)遅延補償を行った場合の元の入力信号と補正後の信号との関係、(3)遅延補償を行った場合の元の入力信号とアンテナ共用器14通過後の信号との関係の3つを示している。
ここで、図9に示すように、遅延補償を行わないとアンテナ共用器14を通過した信号は大きな遅延偏差を有することになる。すなわち、高周波数成分の遅延時間が低周波数成分の遅延時間よりも著しく大きくなる。1キャリア分の信号の高周波数成分と低周波数成分との間でこのように大きな遅延偏差があると、移動局側での信号の復号が困難となり、復号誤りが高い頻度で発生する。
これに対し、遅延偏差補償では、アンテナ共用器14で生じる遅延偏差を打ち消すような遅延をデジタル信号に付与する。すなわち、図9に示すように、低周波数成分に大きい遅延が与えられ、高周波数成分に小さい遅延が与えられるようにする。このような補正された信号がアンテナ共用器14に入力されると、図9に示すように、アンテナ共用器14通過後の遅延偏差が抑制される。
図10は、アンテナ共用器の遅延偏差を示す第2のグラフである。図9では、理想的な補正が行われた場合の曲線を示したが、タップ数が有限のFIRフィルタを用いて補正を行うと、実際には図10に示すような脈動波形となる。ここで、FIRフィルタのタップ数を増加させることで、リップル率を低減することも可能である。ただし、タップ数を増加させると、FIRフィルタで生じる遅延時間も増大する。なお、遅延時間と周波数との関係が図10に示すように脈動していても、EVMの改善効果は得られる。
図11は、遅延偏差と変調精度との関係を示すグラフである。図11のグラフは、本出願人が無線通信のシミュレーションを行った結果得られた、遅延偏差とEVMとの関係を示している。このシミュレーションは、下りテストモデル3の条件下で行ったものである。下りテストモデル3は、32個のDPCH(Dedicated Physical CHannel)を使用する無線基地局を想定したテストモデルである。
ここで、遅延偏差は単位がナノ秒/MHzであり、1キャリア内の最高周波数の遅延時間と最低周波数の遅延時間との差を周波数帯域幅で除することで得られる。また、EVMは単位が平均二乗偏差(root mean square)の100分率であり、前述の計算方法によって得られる。図11に示すように、遅延偏差が15nsec/MHzでEVMが4.04%rms、遅延偏差が20nsec/MHzでEVMが5.36%rms、遅延偏差が25nsec/MHzでEVMが6.31%rms、遅延偏差が30nsec/MHzでEVMが7.94%rmsという結果が得られた。
また、本出願人は、下りテストモデル5の条件下で、遅延偏差補償なし・ありの場合それぞれのEVMの測定を行った。下りテストモデル5は、30個のDPCHと8個のHS−PDSCH(High-Speed Physical Downlink Shared CHannel)とを使用する無線基地局を想定したテストモデルである。
測定により、遅延偏差補償なしの場合は、アンテナ共用器通過前のEVMが2.79%rms、通過後のEVMが7.42%rmsという結果が得られた。これに対し、遅延偏差補償ありの場合は、補正後かつアンテナ共用器通過前のEVMが6.47%rms、通過後のEVMが3.38%rmsという結果が得られた。このように、遅延偏差補償を行わない場合は、アンテナ共用器の通過によってEVMが大きく劣化する。一方、遅延偏差補償を行った場合は、補正により一時的にEVMが劣化するが、アンテナ共用器通過後の信号はEVMの劣化が抑制されている。
このような無線基地局を用いることで、入力されるデジタル信号が補正されて、アンテナ共用器通過後のアナログ信号の遅延偏差が抑制される。ここで、補正量はEVMが最適になるように動的に調整される。従って、移動局側での復号誤りの発生を十分に抑制し、伝送効率を一層向上させることができる。
また、温度変化や部品交換などによるアンテナ共用器の特性変化に自動的に対応することができる。このため、送受信増幅器の製造者とアンテナ共用器の製造者とが異なる場合でも、無線基地局設置時の調整作業が必要なく、最適な通信環境を迅速に構築できる。
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。前述の第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については説明を省略する。第2の実施の形態に係る無線基地局は、遅延偏差補償機能と増幅歪補償機能の両方を有する送受信増幅器を搭載しており、1つのフィードバック回路を遅延偏差補償と増幅歪補償の2つの用途に使用できるようにしたものである。
図12は、第2の実施の形態の無線基地局の機能を示すブロック図である。無線基地局5は、デジタル信号処理部10a、DA変換器11、変調器12、増幅器13、アンテナ共用器14、方向性結合器15、増幅器16、周波数変換器17、AD変換器18およびRFスイッチ19を有する。DA変換器11、変調器12、増幅器13、アンテナ共用器14、方向性結合器15、増幅器16、周波数変換器17およびAD変換器18の機能は、第1の実施の形態と同様である。
デジタル信号処理部10aは、移動局に送信するデジタル信号の入力を受け付けると、遅延偏差補償のための補正処理と増幅歪補償のための補正処理とを行った上で、DA変換器11に出力する。ここで、デジタル信号処理部10aは、定期的にEVMを測定して遅延偏差補償のための補正量を決める。また、デジタル信号処理部10aは、定期的に増幅歪を測定して増幅歪補償のための補正量を決める。EVM測定と増幅歪測定とは異なるタイミングで行う。このとき、EVM測定に必要なフィードバック信号と増幅歪測定に必要なフィードバック信号とは異なるため、デジタル信号処理部10aは必要に応じて、フィードバック信号を切り替える制御信号をRFスイッチ19に通知する。
RFスイッチ19は、増幅器13が出力するアナログ信号と増幅器16が出力するアナログ信号の一方を選択して、周波数変換器17に中継するスイッチである。RFスイッチ19は、デジタル信号処理部10aから制御信号を受け付けると、選択するアナログ信号を切り替える。この結果、増幅器13通過後の信号に対応するフィードバック信号とアンテナ共用器14通過後の信号に対応するフィードバック信号とが、AD変換器18からデジタル信号処理部10aに対して時分割で出力される。
図13は、第2の実施の形態のデジタル信号処理部の機能を示すブロック図である。デジタル信号処理部10aは、遅延回路111〜114、セレクタ120、複素FIRフィルタ130、セレクタ141〜144、多重化部150、メモリ161、遅延制御部162a、歪補償部170、メモリ181、歪制御部182および動作切替部190を有する。遅延回路111〜114、セレクタ120、複素FIRフィルタ130、セレクタ141〜144、多重化部150およびメモリ161の機能は、第1の実施の形態と同様である。
遅延制御部162aは、動作切替部190からフィードバック信号を受け付けると、そのフィードバック信号に対応する元のデジタル信号をメモリ161から読み出す。そして、遅延制御部162aは、2つのデジタル信号を比較してEVMを測定し、測定結果に基づいて複素FIRフィルタ130に対して補正量の変更を指示する。
歪補償部170は、多重化部150からデジタル信号を受け付けると、増幅器13で生じる増幅歪を補償するための補正処理を行い、DA変換器11に出力する。ここで、歪補償部170は、歪制御部182による指示に基づいて補正量を決定する。
メモリ181は、多重化後かつ歪補償前のデジタル信号を一時的に保持するメモリである。メモリ181には、多重化部150が出力するデジタル信号が順次格納される。また、歪制御部182によって、メモリ181からデジタル信号が適宜読み出される。
歪制御部182は、動作切替部190からフィードバック信号を受け付けると、そのフィードバック信号に対応する元のデジタル信号をメモリ181から読み出す。そして、歪制御部182は、2つのデジタル信号を比較して増幅歪を測定し、測定結果に基づいて歪補償部170に対して補正量の変更を指示する。
動作切替部190は、アンテナ共用器14通過後の信号に対応するフィードバック信号をAD変換器18から受け付けると、遅延制御部162aに対して転送する。一方、増幅器13通過後の信号に対応するフィードバック信号をAD変換器18から受け付けると、歪制御部182に対して転送する。また、動作切替部190は、必要に応じてRFスイッチ19に対して制御信号を送信する。
図14は、第2の実施の形態の係数設定処理の手順を示すフローチャートである。ここで、ステップS21〜S29の処理は、第1の実施の形態の係数設定処理のステップS11〜S19と同様であるため、説明を省略する。第2の実施の形態の係数設定処理では、ステップS21〜S29に続いて、以下のステップS30,S31が実行される。
[ステップS30]動作切替部190は、遅延制御部162aによる補正量調整が終了すると、RFスイッチ19に制御信号を通知する。そして、動作切替部190は、AD変換器18から受け付けたフィードバック信号の歪制御部182への転送を開始する。歪制御部182は、動作切替部190からフィードバック信号を受け付けると、補正量調整を開始する。
[ステップS31]動作切替部190は、ステップS30の処理開始から一定時間経過すると、RFスイッチ19に制御信号を通知する。そして、動作切替部190は、AD変換器18から受け付けたフィードバック信号の遅延制御部162aへの転送を開始する。その後、処理がステップS22に進められる。
このようにして、動作切替部190は、通常は歪制御部182が補正量調整を実行し、一定時間毎に歪制御部182に代わって遅延制御部162aが補正量調整を実行するように制御する。このとき、動作切替部190は、フィードバック信号として得る信号を切り替えるために、RFスイッチ19に対して制御信号を通知する。なお、動作切替部190は、遅延制御部162aの実行中であっても、増幅歪補償の補正量調整が必要と判断したときは、強制的に遅延制御部162aから歪制御部182に制御を切り替えてもよい。
このような無線基地局を用いることで、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。更に、第2の実施の形態に係る無線基地局を用いることで、遅延偏差補償と増幅歪補償の両方を送受信増幅器により実現することができる。ここで、遅延偏差補償と増幅歪補償とでフィードバック回路を共有できるため、送受信増幅器の大規模化を抑制できる。
なお、上記実施の形態では遅延偏差補償機能を有する送受信増幅器を無線基地局に搭載したが、他の種類の通信装置にこのような送受信増幅器を搭載してもよい。また、上記実施の形態ではアンテナ共用器を送受信増幅器に接続したが、送信・受信について別個に帯域通過フィルタを用意して送受信増幅器に接続してもよい。また、上記実施の形態ではフィードバック信号に基づいて動的に補正量を調整することとしたが、設定により、補正量を固定できるようにしてもよい。
上記については単に本発明の原理を示すものである。さらに、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、本発明は上記に示し、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではなく、対応するすべての変形例および均等物は、添付の請求項およびその均等物による本発明の範囲とみなされる。
符号の説明
1 送受信増幅器
1a フィードバック部
1b デジタル信号処理部
2 帯域通過フィルタ
3 送信アンテナ

Claims (6)

  1. 入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換して増幅し、周波数に応じて遅延時間が異なる遅延偏差をもつ帯域通過フィルタに出力する送受信増幅器において、
    前記帯域通過フィルタを通過したアナログ信号を取得してデジタル信号に変換するフィードバック部と、
    前記フィードバック部で得られたデジタル信号と前記入力されたデジタル信号とを比較して変調精度を測定し、前記変調精度に基づいて以降に入力されるデジタル信号に対して、FIR(Finite Impulse Response)フィルタを用いて前記帯域通過フィルタの遅延偏差を補償する遅延補正を行うデジタル信号処理部と、
    を有することを特徴とする送受信増幅器。
  2. 前記フィードバック部は、前記帯域通過フィルタを通過したアナログ信号と時分割に、前記増幅後のアナログ信号をデジタル信号に変換し、
    前記デジタル信号処理部は、前記増幅後のアナログ信号に対応するデジタル信号と前記入力されたデジタル信号とを比較し、比較結果に基づいて増幅歪補償を行う、
    ことを特徴とする請求項1記載の送受信増幅器。
  3. 前記帯域通過フィルタは、アンテナ共用器を構成するフィルタであることを特徴とする請求項1記載の送受信増幅器。
  4. 前記フィードバック部は、前記アンテナ共用器で前記帯域通過フィルタの通過後に受信側回路に漏れたアナログ信号を抽出することを特徴とする請求項3記載の送受信増幅器。
  5. 前記デジタル信号処理部は、遅延補正レベルと前記遅延補正に用いる係数とを対応付けた係数格納部を有しており、前記変調精度に応じて前記係数格納部から前記遅延補正に用いる係数を選択することを特徴とする請求項1記載の送受信増幅器。
  6. 入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換して増幅し、周波数に応じて遅延時間が異なる遅延偏差をもつ帯域通過フィルタに出力する送受信増幅器の遅延偏差補償方法において、
    前記帯域通過フィルタを通過したアナログ信号を取得してデジタル信号に変換し、
    前記アナログ信号の変換により得られたデジタル信号と前記入力されたデジタル信号とを比較して変調精度を測定し、前記変調精度に基づいて以降に入力されるデジタル信号に対して、FIR(Finite Impulse Response)フィルタを用いて前記帯域通過フィルタの遅延偏差を補償する遅延補正を行う、
    ことを特徴とする遅延偏差補償方法。
JP2009534086A 2007-09-26 2007-09-26 送受信増幅器および遅延偏差補償方法 Expired - Fee Related JP5146456B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2007/068654 WO2009040897A1 (ja) 2007-09-26 2007-09-26 送受信増幅器および遅延偏差補償方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2009040897A1 JPWO2009040897A1 (ja) 2011-01-13
JP5146456B2 true JP5146456B2 (ja) 2013-02-20

Family

ID=40510809

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009534086A Expired - Fee Related JP5146456B2 (ja) 2007-09-26 2007-09-26 送受信増幅器および遅延偏差補償方法

Country Status (4)

Country Link
US (1) US8594159B2 (ja)
EP (1) EP2194684B1 (ja)
JP (1) JP5146456B2 (ja)
WO (1) WO2009040897A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8711760B2 (en) * 2010-03-26 2014-04-29 Intel Corporation Method and apparatus to adjust received signal
US9043044B2 (en) * 2012-12-11 2015-05-26 Electro-Motive Diesel, Inc. System and method for communicating data in a consist
US9876501B2 (en) * 2013-05-21 2018-01-23 Mediatek Inc. Switching power amplifier and method for controlling the switching power amplifier
KR102372526B1 (ko) * 2017-12-22 2022-03-10 삼성전자주식회사 무선 신호를 송수신하기 위한 전자 장치 및 그 전자 장치를 제어하는 방법
US11973472B2 (en) * 2021-01-05 2024-04-30 Newracom, Inc. Digitally assisted radio frequency transmitter

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09181781A (ja) * 1995-12-27 1997-07-11 Hitachi Denshi Ltd 無線機
JPH09205464A (ja) * 1996-01-25 1997-08-05 Hitachi Denshi Ltd ディジタル無線機
JPH09326724A (ja) * 1996-06-03 1997-12-16 Hitachi Denshi Ltd 無線機
JPH1117762A (ja) * 1997-06-19 1999-01-22 Fujitsu Ltd 交差偏波間干渉補償機能を備えた復調器
JP2002533022A (ja) * 1998-12-17 2002-10-02 ノキア ネットワークス オサケ ユキチュア 送信器の線形化

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2827875B2 (ja) 1993-12-29 1998-11-25 日本電気株式会社 マイクロ波帯信号発生装置
JPH11284675A (ja) 1998-03-27 1999-10-15 Hitachi Denshi Ltd 電力増幅器
US6275685B1 (en) 1998-12-10 2001-08-14 Nortel Networks Limited Linear amplifier arrangement
US6292122B1 (en) * 2000-03-04 2001-09-18 Qualcomm, Incorporated Digital-to-analog interface circuit having adjustable time response
JP4326673B2 (ja) * 2000-06-06 2009-09-09 富士通株式会社 非線形歪補償装置を有する通信装置の起動方法
WO2002017586A1 (en) * 2000-08-18 2002-02-28 Nokia Corporation Multicarrier transmitter circuit arrangement with predistortion linearisation method
AU2002228748A1 (en) * 2000-10-31 2002-05-15 Telefonaktiebolaget Lm Ericsson (Publ) Iq modulator
KR100446500B1 (ko) * 2001-03-19 2004-09-04 삼성전자주식회사 비선형 왜곡 보상 방법 및 비선형 왜곡 보상 회로
US7453927B2 (en) * 2003-09-26 2008-11-18 Nokia Corporation Method and apparatus to compensate AM-PM delay mismatch in envelope restoration transmitter
JP4299819B2 (ja) 2005-08-17 2009-07-22 富士通株式会社 歪補償装置及び歪補償方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09181781A (ja) * 1995-12-27 1997-07-11 Hitachi Denshi Ltd 無線機
JPH09205464A (ja) * 1996-01-25 1997-08-05 Hitachi Denshi Ltd ディジタル無線機
JPH09326724A (ja) * 1996-06-03 1997-12-16 Hitachi Denshi Ltd 無線機
JPH1117762A (ja) * 1997-06-19 1999-01-22 Fujitsu Ltd 交差偏波間干渉補償機能を備えた復調器
JP2002533022A (ja) * 1998-12-17 2002-10-02 ノキア ネットワークス オサケ ユキチュア 送信器の線形化

Also Published As

Publication number Publication date
US20100172398A1 (en) 2010-07-08
EP2194684A1 (en) 2010-06-09
US8594159B2 (en) 2013-11-26
JPWO2009040897A1 (ja) 2011-01-13
EP2194684B1 (en) 2012-12-19
WO2009040897A1 (ja) 2009-04-02
EP2194684A4 (en) 2011-06-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8982995B1 (en) Communication device and method of multipath compensation for digital predistortion linearization
US8023587B2 (en) Device and method for pre-distorting a base-band digital signal
KR101947066B1 (ko) 전치 왜곡 선형화 통신 시스템 및 송신기의 전치 왜곡 선형화 방법
JP4951238B2 (ja) 極座標変調送信装置及び適応歪補償処理システム並びに極座標変調送信方法及び適応歪補償処理方法
US9762268B2 (en) Wireless transceiver
JP4903718B2 (ja) マルチモード対応極座標変調送信装置、及び、マルチモード無線通信方法
US20060088125A1 (en) Multicarrier receiver and transmitter with delay correcting function
US20140169496A1 (en) Crest Factor Reduction for Multi-Band System
KR20100042243A (ko) 다차원 볼테라 시리즈 송신기 선형화
JP5146456B2 (ja) 送受信増幅器および遅延偏差補償方法
US10763806B2 (en) Envelope tracking method, system, and device employing the method
CN103546186A (zh) 无线电通信装置、无线电通信方法以及程序
EP2512192A1 (en) Multi-carrier closed-loop power control apparatus and method
US6775331B1 (en) Transmission band limiting filter apparatus and transmission apparatus
KR20100071503A (ko) 이동통신 단말에서 채널 편차 개선을 위한 송신 장치 및 방법
CN111490959A (zh) 宽带多通道射频收发机iq失衡校正方法、装置及电路
JP2017011390A (ja) 無線装置及び無線送信方法
US8537944B2 (en) Apparatus with a plurality of filters
US7123644B2 (en) Peak cancellation apparatus of base station transmission unit
US7577183B2 (en) Transmission apparatus and peak reduction method
JP5122361B2 (ja) 歪み補償機能を備えた増幅装置
JPWO2005107086A1 (ja) 無線装置
JP2003174370A (ja) 非線形補償回路と基地局装置および送信電力クリップ方法
US7610031B2 (en) Error correction in receiver of radio system
JP6326964B2 (ja) 無線装置及び歪補償制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120207

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120404

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120807

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121003

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121030

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121112

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5146456

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151207

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees