以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す遊技機(カード球貸ユニットを併設したCR機)全体の構成を示す正面図で、図2は制御系のブロック図である。
遊技機(パチンコ遊技機)1の前面枠3は本体枠(外枠)4にヒンジ5を介して開閉回動可能に組み付けられ、遊技盤6は前面枠3の裏面に取り付けられた収納フレーム(図示省略)に収装される。
遊技盤6の表面には、液晶などを用いた変動表示装置(変動表示手段)8、大入賞口を備えた変動入賞装置10、一般入賞口12〜15、第1始動口7、第2始動口9等が配設された遊技領域が形成される。前面枠3には、遊技盤6の前面を覆うカバーガラス18が取り付けられている。
変動表示装置(表示装置)8は、表示領域に、例えば、左、中、右の三つの表示図柄(識別情報)が表示される。これらの表示図柄には、例えば「0」〜「9」までの各数字と、「A」〜「E」のアルファベット文字等が割り当てられている。
変動表示装置8は、第1始動口7または第2始動口9へ遊技球の入賞があると、前述した数字、文字で構成される表示図柄が順に表示される。第1始動口7または第2始動口9への入賞が所定のタイミングでなされたとき(具体的には、入賞検出時の特別図柄乱数カウンタ値が当たり値であるとき)には、大当たり状態(特別遊技状態)となり、三つの表示図柄が揃った状態(大当たり図柄)で停止する。このとき、変動入賞装置10の大入賞口が所定の時間(例えば30秒)だけ大きく開き、多くの遊技球を獲得することができる。
この第1始動口7への遊技球の入賞は、第1特図(特別図柄)始動センサ51(図2参照)で検知され、また、第2始動口9への遊技球の入賞は、第2特図始動センサ52(図2参照)で検知される。第1始動口7への遊技球の通過タイミング(具体的には、入賞検出時点での遊技制御装置100(図2参照)内に備えられた特別図柄乱数カウンタの値=大当たり乱数)は、第1特別図柄入賞記憶(第1始動記憶)として、遊技制御装置100内の所定の記憶領域(第1特別図柄乱数記憶領域)に、最大で連続した所定回分を限度に記憶される。この第1特別図柄入賞記憶の記憶数は、変動表示装置8の所定の領域に表示される。遊技制御装置100は、第1特別図柄入賞記憶に基づいて、変動表示装置8にて変動表示ゲームを行う。
また、第2始動口9への遊技球の通過タイミングも同様に、第2特別図柄入賞記憶(第2始動記憶)として、遊技制御装置100内の所定の記憶領域(第2特別図柄乱数記憶領域)に、最大で連続した所定回分を限度に記憶される。この第2特別図柄入賞記憶の記憶数は、変動表示装置8の所定の領域に表示される。遊技制御装置100は、第2特別図柄入賞記憶に基づいて、変動表示装置8にて変動表示ゲームを行う。
前面枠3の下部の開閉パネル20には球を打球発射装置に供給する上皿21が、固定パネル22には下皿23及び打球発射装置の操作部24等が配設される。
カバーガラス18の上部の前面枠3には、点灯により球の排出の異常等の状態を報知する第1報知ランプ31、第2報知ランプ32が設けられている。
カード球貸ユニット用の操作パネル26には、カードの残高を表示するカード残高表示部(図示省略)と、球貸しを指令する球貸しスイッチ28と、カードの返却を指令するカード返却スイッチ30等が設けられている。
カード球貸ユニット2には、前面のカード挿入部25に挿入されたカード(プリペイドカード等)のデータの読込、書込等を行うカードリーダライタと球貸制御装置が内蔵され、上述のカード球貸ユニット用の操作パネル26は遊技機1の上皿21の外面に形成される。
図2は、遊技制御装置100(遊技制御手段)を中心とする制御系を示すブロック構成図である。
遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置であり、遊技制御を司るCPU、遊技制御のための不変の情報を記憶しているROM、遊技制御時にワークエリアとして利用されるRAMを内蔵した遊技用マイクロコンピュータ101、入力インターフェース102、出力インターフェース103、発振器104等から構成される。
遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置であり、遊技制御を司るCPU、遊技制御のための不変の情報を記憶しているROM、遊技制御時にワークエリアとして利用されるRAMを内蔵した遊技用マイクロコンピュータ101、入力インターフェース102、出力インターフェース103、発振器104等から構成される。
遊技用マイクロコンピュータ101は、入力インターフェース102を介して各種検出装置(第1特図始動センサ51、第2特図始動センサ52、一般入賞口センサ54A〜54N、カウントセンサ53)からの検出信号を受けて、大当たり抽選等、種々の処理を行う。そして、出力インターフェース103を介して、各種制御装置(演出制御装置150、排出制御装置200)、大入賞口ソレノイド36等に指令信号を送信して、遊技を統括的に制御する。
排出制御装置200は、遊技制御装置100からの賞球指令信号またはカード球貸ユニット2からの貸球要求に基づいて、払出ユニットの動作を制御し、賞球または貸球の排出を行わせる。
演出制御装置150(表示制御手段)は、図3で示すように、変動表示装置8の表示、装飾用ランプ、LED等の装飾発光装置、スピーカからの効果音出力を制御するもので、CPU151、ROM152、RAM153、インターフェース154、表示装置用のDMAC(ダイレクト・メモリ・アクセス・コントローラ)155、VDC(ビデオ・ディスプレイ・コントローラ)156、画像データ(図柄データ、背景画データ、動画キャラクタデータ等)を格納したフォントROM157、発振器158、γ補正回路159、各表示器、装飾、スピーカのインターフェース160等から構成される。
CPU151は、遊技制御装置100からの表示指令信号に基づいて、画面情報(図柄表示情報、背景画像情報、動画キャラクタ画面情報等)を作成して、RAM153に記憶する。この画面情報は、VDC156の垂直同期割込のタイミングで、転送指令を受けたDMAC155により、VDC156に転送される。VDC156は、この画像情報に基づき、フォントROM157の該当画像データを取り込み、変動表示装置8の画面に水平走査、垂直走査を行って、所定の画像表示(描画)を行う。
フォントROM157には、変動表示ゲームに用いる各識別図柄のデータならびに背景、キャラクタ等の演出表示のデータを格納してある。
インターフェース154は、遊技制御装置100から演出制御装置150への信号入力のみが許容され、演出制御装置150から遊技制御装置100への信号出力を禁止している。
γ補正回路159は、変動表示装置8の信号電圧に対する照度の非線形特性を補正して、変動表示装置8の表示照度を調整するものである。
また、CPU151は、遊技制御装置100からの指令信号に基づいて、装飾用ランプ、LED等の装飾発光装置、スピーカからの効果音出力を制御する。また、CPU151には時刻をカウントするタイマ161が接続される。
次に、本実施形態の遊技機について、遊技の概要を説明する。
まず、遊技開始当初(あるいは遊技開始前)の時点では、客待ち状態となっており、客待ち画面の表示を指令する信号が遊技制御装置100から表示制御装置150に送信され、変動表示装置8の表示面には客待ち画面(動画または静止画)が表示される。
そして、遊技領域に打ち出された遊技球が第1始動口7または第2始動口9に入賞すると、その入賞に基づき、遊技制御装置100によって所定の乱数が抽出され、この乱数が所定の値と等しいか否かの判定により、変動表示ゲームの大当たりの抽選が行われると共に、遊技制御装置100から表示制御装置150に変動表示を指令する信号が送信され、変動表示装置8の表示面に設定された変動表示領域の所定の位置に複数の図柄(識別情報)の変動表示が開始される。
ここで、変動表示装置8で行われる変動表示ゲームは、第1始動口7への入賞により、変動表示装置8に設定された第1の変動表示領域で第1の変動表示ゲームが実行され、第2始動口9への入賞により、後述するように、変動表示装置8に設定された第2の変動表示領域で第2の変動表示ゲームが実行される。なお、第1の変動表示ゲームと第2の変動表示ゲームは、後述するように、重複しないようにゲームの実行時期が制御される。
この変動表示の開始後、所定時間経過すると、第1または第2の変動表示領域の変動表示は、例えば左、右、中の順に仮停止(例えば、停止位置にて図柄を微少に変動させること等)されていくが、この過程でリーチ状態(例えば、最後に停止する図柄以外の図柄が同一の内容となる組み合わせで停止し、かつ最後に停止する図柄のみが変動している状態のこと。具体的には、左の図柄と右の図柄が揃って停止したものの、中図柄がまだ変動中であるために、大当たりに至る可能性を残しているような状態に相当する)が発生すると、所定のリーチ演出が行われる。このリーチ演出では、例えば中の図柄の変動表示を極低速で行ったり、高速変動したり、変動表示を逆転したりする。また、リーチ演出に合わせた背景表示、キャラクタ表示が行われる。
なお、仮停止状態とは遊技者が図柄を略停止状態として認識可能な状態であり、最終停止態様が確定しない状態であり、停止状態とは、この仮停止状態と図柄が停止した状態を含む状態である。なお、仮停止状態の具体例としては、停止位置での微少変動の他に、図柄を拡大縮小表示したり、図柄の色を変化させたり、図柄の形状を変化させる等の態様がある。
そして、大当たり抽選の結果が大当たりであれば、最終的に左、右、中の図柄が所定の大当たりの組合せで停止され、大当たり(大当たり遊技)が発生する。この、大当たり遊技が発生すると、変動入賞装置(大入賞口)10が所定期間にわたって開かれる特別遊技が行われる。この特別遊技は、変動入賞装置10への遊技球の所定数(例えば10個)の入賞または所定時間の経過(例えば30秒)を1単位(1ラウンド)として実行され、規定ラウンド(例えば16ラウンド)まで繰り返される。また、大当たり遊技が発生すると、大当たりのファンファーレ表示、ラウンド数表示、大当たりの演出表示等、遊技制御装置100から表示制御装置150に大当たり遊技の表示を指令する信号が送信され、変動表示装置8の画面に大当たり遊技の表示が行われる。
なお、第1の変動表示ゲームにて大当りになっても、第2の変動表示ゲームにて大当りになっても、大当たり遊技中は、変動入賞装置10が作動するようになっている。また、大当たり遊技中は、第1及び第2の変動表示領域の何れにおいても変動表示は行われない(第1の変動表示ゲームも第2の変動表示ゲームも実行されない)。そして、大当たりが特定の大当たりであれば、大当たり遊技後に特定遊技状態が発生され、次回の大当たりの発生確率が高確率(確率変動状態)になる。
前記客待ち状態、若しくは変動表示ゲーム中あるいは大当たり遊技中に遊技球が第1始動口7または第2始動口9に入賞すると、入賞したタイミングで乱数(特別図柄乱数カウンタの値)を抽出し、それぞれ第1特別図柄始動記憶、第2特別図柄始動記憶として、取得した乱数値が、保留記憶として記憶される。この保留記憶は、第1、第2特別図柄始動記憶のそれぞれが、4個まで記憶可能である。なお、特別図柄乱数カウンタは、所定のタイミング(2ミリ秒間隔)で、0〜449の間を更新されるカウンタである。
そして、第1または第2の特別図柄始動記憶に基づき、変動表示ゲームが実行される。また、変動表示ゲームが終了したとき(ハズレのとき)、あるいは大当たり遊技が終了したときに、第1または第2の特別図柄始動記憶がないときは、客待ち状態に戻される。
図4は、変動表示装置8の表示領域80を示す。
変動表示装置8の表示領域80には、2つの変動表示領域が設定され、表示領域80の左上には、第1の変動表示ゲームを表示する第1変動表示領域81が設けられ、その上方には第1始動記憶を所定の上限値(例えば4つ)の丸印で表示する第1始動記憶表示領域91が設けられる。そして、表示領域80の右下には、第2の変動表示ゲームを表示する第2変動表示領域82が設けられ、その下方には第2始動記憶を所定の上限値(例えば4つ)の丸印で表示する第2始動記憶表示領域91が設けられる。なお、第1始動記憶表示領域91及び第2始動記憶表示領域92は、丸印内にハッチングを付したものが始動記憶がある状態を示し、白丸印が始動記憶のない状態を示す。
第1変動表示領域81には、画面の横方向に左図柄81L、中図柄81C、右図柄81Rの3つの特別図柄を表示し、これらの図柄81L〜Rが所定の方向に変動することで変動表示ゲームが行われる。
また、第2変動表示領域82も同様であり、画面の横方向に左図柄82L、中図柄82C、右図柄82Rの3つの特別図柄を表示し、これらの図柄82L〜Rが所定の方向に変動することで変動表示ゲームが行われる。
そして、後述するように、第1の変動表示ゲームと第2の変動表示ゲームは、同時にゲームが実行されないように、遊技制御装置100によって制御される。
図5は、遊技制御装置100で行われる制御の一例を示すフローチャートである。
まず、S1では、第1始動記憶の有無(0より大であるか)を判定し、第1始動記憶に基づいて変動表示ゲームを開始するか否かを判定する。なお、第1始動記憶がない場合では、S7の処理へ進む。
第1始動記憶がある場合には、S2へ進んで第1変動表示ゲームを開始する度に第1始動記憶を1つ消去(消化)する。
S3では、第1始動記憶に記憶された次回の変動表示ゲームの保留記憶に基づいて第1変動表示ゲームの第1図柄(例えば、左図柄81L)、第2図柄(例えば、右図柄81R)、第3図柄(例えば、中図柄81C)の停止図柄を決定するとともに、第1の変動時間を決定する。
次に、S4では、上記決定した第1変動表示ゲームの停止図柄及び第1変動時間を指定するデータとともに、演出制御装置150へ第1変動表示ゲームの変動開始指令を送信する。
S5では、上記S3で決定した第1の変動時間が経過したか否かを判定して、第1の変動時間が経過した場合には、第1変動表示ゲームの図柄変動を停止する指令を演出制御装置150に送信する。
次に、S6では、上記S3で判定した乱数値が大当たりであるか否かを判定する。第1始動記憶に対応する乱数値が大当たりであればS15に進んで、演出制御装置150へ大当たり制御の指令を送信する。一方、ハズレの場合ではS16に進む。なお、大当たり制御(大当たり遊技の実行)が終了した後もS16の処理へ進む。
次に、大当たり制御の終了や第1または第2の変動表示ゲームがハズレの場合のS17では、第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームの実行を制御するための割込変動フラグをOFFに設定してから、S7の処理へ進む。また、上記S1の判定で第1始動記憶がない場合にもS7の処理が行われる。
S7では、割込変動フラグがONであるか否かを判定し、ONであればS10へ進む一方、OFFの場合にはS8に進む。
S8では、第2始動記憶の始動記憶数が所定値N(例えば、3)より大であるか否かを判定し、第2始動記憶の数が所定値N以下の場合にはS1の処理へ戻る。一方、第2始動記憶の数が所定値Nより大であればS9に進んで割込変動フラグをONにセットする。
S10では、第2変動表示ゲームを実行するため、第2始動記憶を一つ消去(消化)して、S11に進み、第2始動記憶に対応する乱数値(特別図柄乱数カウンタの値)に基づいて第2変動表示ゲームの第1図柄(例えば、左図柄82L)、第2図柄(例えば、右図柄82R)、第3図柄(例えば、中図柄82C)の停止図柄を決定するとともに、第2の変動時間を決定する。
次に、S12では、上記決定した第2変動表示ゲームの停止図柄及び第2変動時間を指定するデータとともに、演出制御装置150へ第2変動表示ゲームの変動開始指令を送信する。
S13では、上記S11で決定した第2の変動時間が経過したか否かを判定して、第2の変動時間が経過した場合には、第2変動表示ゲームの図柄変動を停止する指令を演出制御装置150に送信する。
そして、S14では、第2始動記憶に対応する乱数値が大当たりであるか否かを判定する。第2始動記憶に対応する乱数値が大当たりであればS15に進んで、上述のように演出制御装置150へ大当たり制御の指令を送信する。一方、ハズレの場合では上述のS16に進む。なお、大当たり制御(大当たり遊技の実行)が終了した後も上述のS16以降の処理へ進む。
こうして、上記S1〜S17の処理により、第1始動記憶が発生すると第1変動表示ゲームが実行されるのに対し、第2変動表示ゲームは第2始動記憶が所定値Nを超えるまで実行されず、所定値Nを超えて第2変動表示ゲームが開始されると、第1変動表示ゲームは中断して、第2始動記憶が消化(第2始動記憶数=0)されるまで繰り返して実行される。なお、この第2変動表示ゲームが繰り返して実行されるときには、割込変動フラグがONに設定される。
因みに、第2の変動表示ゲームは複数回連続して実行されるが故に、第1の変動表示ゲームの実行よりも有利であるといえることから、必ずしも、第2の変動表示ゲームを行う際に、第2始動記憶が0になるまで連続して実行する必要はない。あくまでも、第2始動記憶が0になるまで連続して実行することが好ましいということに過ぎない。
図6は、演出制御装置150で行われる変動表示ゲームの制御の一例を示すフローチャートである。
まず、S21では、遊技制御装置100から第1変動表示ゲームの変動開始指令を受信したか否かを判定し、受信した場合にはS22へ進み、受信していない場合にはS23に進む。
S22では、変動開始指令に基づいて第1変動表示ゲームを開始し、S23で遊技制御装置100から第1変動表示ゲームの図柄変動を停止する指令を受信したか否かを判定する。図柄変動停止の指令を受信した場合にはS24に進んで、第1変動表示ゲームの図柄を停止させ、受信していない場合にはS25に進む。
S25では、遊技制御装置100から第2変動表示ゲームの変動開始指令を受信したか否かを判定し、受信した場合にはS26へ進み、受信していない場合にはS27に進む。
S26では、変動開始指令に基づいて第2変動表示ゲームを開始し、S27で遊技制御装置100から第2変動表示ゲームの図柄変動を停止する指令を受信したか否かを判定する。図柄変動停止の指令を受信した場合にはS28に進んで、第2変動表示ゲームの図柄を停止させ、受信していない場合にはS21に戻る。
演出制御装置150では、上記S21〜S28の処理により、遊技制御装置100から送られる変動開始指令または図柄変動停止指令に基づいて、第1または第2変動表示ゲームの開始と確定(停止)を行う。
以上より、第1始動口7に遊技球が入賞して第1始動記憶が発生すると、第1変動表示ゲームが実行され、その後、第2始動記憶が所定値Nを超えていれば第2変動表示ゲームが行われる。ただし、第2変動表示ゲームを第2始動記憶の数が所定値Nを超えるまでは、実行が保留される。そして、一旦第2変動表示ゲームが行われると割込変動フラグがONとなるので、第2始動記憶数が0となるまで第2変動表示ゲームを繰り返して実行した後、第1始動記憶に基づいて第1変動表示ゲームが行われる。
したがって、第1の変動表示ゲームの結果が確定するタイミングと、第2の変動表示ゲームの結果が確定するタイミングが重ならないように制御されるので、遊技者は何れの変動表示ゲームを見ればよいのかを容易に認識することができ、分かりやすい遊技を行うことが出来る。
さらに、第2の変動表示ゲームを実行するためには、第2始動記憶(保留記憶)が複数必要なので、第2の変動表示ゲームを実行するために必要な第2始動記憶の数に、僅かに満たない第2始動記憶の数で遊技を終えることに遊技者が躊躇するようになり、遊技機の稼働を上げることも期待できる。第1の変動表示ゲームを実行するためには、1個の保留記憶さえあれば十分なのに対して、第2の変動表示ゲームを実行するためには、は複数個の保留記憶が必要であり、尚且つ第2の変動表示ゲームは複数回連続して実行される。そのため、第2の変動表示ゲームが実行されると大当りが発生しやすいと遊技者が感じるからである。
さらに、第1始動口7と第2始動口9とがともに遊技領域に配置されているため(つまり、遊技球を遊技領域に発射して遊技が行なわれ、遊技球が入賞することにより第1の変動表示ゲームの保留記憶が記憶される第1始動入賞部と、遊技球が入賞することにより第2の変動表示ゲームの保留記憶が記憶される第2始動入賞部と、が両方とも遊技領域に配置されている遊技機であるため)、第1始動口7に遊技球を入賞させて、第1の変動表示ゲームの遊技を普通に行っているだけで、第2始動口9にも遊技球が入賞して第2始動記憶の保留記憶が蓄積されるため、第2始動記憶の保留記憶を0にした状態で遊技を止めることは困難になる。よって、第2始動記憶には比較的、保留記憶が残った状態となることが多く、やめ時が難しい遊技機となり、その結果、稼働も上がることが期待できる。
なお、上記各実施形態においては、変動表示を図7に示すように、第1変動表示領域81を変動表示装置8の表示領域80の左上隅に設定し、単一の図柄81Aにより変動表示(第1変動表示ゲーム)を行い、第2変動表示領域82を同じく右上隅に設定し、単一の図柄82Aにより変動表示(第2変動表示ゲーム)を行ってもよい。このとき、3つの図柄からなるダミー図柄800を第1または第2の変動表示ゲームに合わせて変動表示させてもよい。そして、第1または第2変動表示ゲームが大当たり、となるときにはダミー図柄800の3つの図柄を揃えて停止状態とすることで、変動表示ゲームが大当たりとなったことを知らせればよい。
なお、本実施の形態では、第1の変動表示ゲームによって図柄が変動している期間と、第2の変動表示ゲームによって図柄が変動している期間とが、重ならないような制御を行っている。しかしながら、第1、第2の変動表示ゲームの結果が同時に確定しない構成(第1変動領域の図柄と第2変動領域の図柄が同時に停止しない構成)であれば、第1、第2の変動領域の図柄が、同時に変動しても、遊技者は混乱しないと考えられる。
図8〜図13は、第2の実施形態を示し、前記第1実施形態の図6に示した遊技制御装置100における処理を変更したもので、第1、第2の変動領域の図柄が同時に変動可能な構成となっているものである。但し、第1、第2の変動領域の図柄は、それぞれ異なるタイミングで停止される(結果が確定される)ようになっており、その他の構成は前記第1実施形態と同様である。
図8は、遊技制御装置100で行われるメイン処理の一例を示すフローチャートである。この処理では、後述するようにS30で行われる第1変動表示ゲーム処理と、S50で行われる第2変動表示ゲーム処理を繰り返して行うループとなっている。
図9は、上記S30で行われる第1変動表示ゲーム処理(図中第1図柄ゲーム処理)のサブルーチンを示すフローチャートである。
まずS31では、第1変動表示ゲームの実行を制御する第1処理番号の値に応じて条件分岐を行う。すなわち、第1処理番号=0であればS32へ進み、第1処理番号=1であればS37へ、同じく2であればS38へ、同じく3であればS40の処理へ分岐する。なお、第1処理番号の初期値は0である。
第1処理番号=0のS32では、第1始動記憶の数(保留記憶の個数)が0より大であるか否かを判定し、第1始動記憶があればS33以降に進む一方、0の場合はそのまま処理を終了する。
S33では、第1変動表示ゲームを開始する度に第1始動記憶(第1始動記憶手段の保留記憶)を1つ消去(消化)し、この保留記憶の値が、所定の値と等しいか否かの判定に基づいて第1変動表示ゲームの第1図柄(例えば、左図柄81L)、第2図柄(例えば、右図柄81R)、第3図柄(例えば、中図柄81C)の停止図柄を決定するとともに、第1の変動時間を決定する。
そして、S34では上記第1変動時間を第1処理タイマに設定し、S35で第1処理番号を1にセットする。
次に、S35では、上記決定した第1変動表示ゲームの停止図柄及び第1変動時間を指定するデータとともに、演出制御装置150へ第1変動表示ゲームの変動開始指令を送信して処理を終了する。このとき、第1処理番号が1になっているので、次回の制御周期ではS37の処理が行われる。
第1処理番号が1のときは、S37の処理に進み、後述するように第1変動表示ゲームのゲーム中処理(図中第1図柄変動中処理)を行う。この処理において、第1変動表示ゲームの図柄が停止するタイミングの時に、第1処理番号は2または3のいずれかに設定される。このとき、第1処理番号=2、又は3に対応した処理が、次回の制御周期で行われる(S38、またはS40の処理が行われる)。
第1処理番号が2の場合には、S38に進んで第1処理タイマが所定時間を経過したか否かを判定する。所定時間を経過した場合にはS39に進んで、乱数値に応じた第1処理番号をセットする。すなわち、乱数値がハズレの場合では第1処理番号を0にセットし、大当たりの場合では第1処理番号を3にセットする。このとき、第1処理番号=0、又は3に対応した処理が、次回の制御周期で行われる(S32に戻るか、またはS40の処理が行われる)。
S40の大当たり処理では、後述するように、変動入賞装置10の大入賞口を開放する大当たり遊技が行われる。
次に、上記図8のS50で行われる第2変動表示ゲーム処理(図中第2図柄ゲーム処理)の詳細について、図10のフローチャートを参照しながら説明する。
図10は、上記S50で行われる第2変動表示ゲーム処理のサブルーチンを示し、まずS51では、第2変動表示ゲームの実行を制御する第2処理番号の値に応じて条件分岐を行う。すなわち、第2処理番号=0であればS52へ進み、第2処理番号=1であればS58へ、同じく2であればS59へ進み、同じく3であればそのまま処理を終了する。なお、第2処理番号の初期値は0である。
第2処理番号=0のS52では、第2始動記憶の数が0より大であるか否かを判定し、第2始動記憶があればS54以降に進む一方、0の場合はS53に進んで割込変動フラグをOFFにセットし、第1図柄変動タイマもセット(常時変動していた第1図柄を、一定時間後に停止させるための時間値をセット)して、処理を終了する。
S54では、第2変動表示ゲームを開始する度に第2始動記憶(第2始動記憶手段の保留記憶)を1つ消去(消化)し、この保留記憶の値が、所定の値と等しいか否かの判定に基づいて第2変動表示ゲームの第1図柄(例えば、左図柄82L)、第2図柄(例えば、右図柄82R)、第3図柄(例えば、中図柄82C)の停止図柄を決定するとともに、第2の変動時間を決定する。
そして、S55では上記第2変動時間を第2処理タイマに設定し、S56で第2処理番号を1にセットする。
次に、S57では、上記決定した第2変動表示ゲームの停止図柄及び第2変動時間を指定するデータとともに、演出制御装置150へ第2変動表示ゲームの変動開始指令を送信して処理を終了する。このとき、第2処理番号が1になっているので、次回の制御周期ではS58の処理が行われる。
第2処理番号=1のときは、S58の処理に進み、後述するように第2変動表示ゲームのゲーム中処理を行う。この処理において、第2変動表示ゲームの図柄が停止するタイミングの時に、第2処理番号は2または3のいずれかに設定される。このとき、第2処理番号=2、又は3に対応した処理が、次回の制御周期で行われる。
第2処理番号が2の場合には、S58に進んで第2処理タイマが所定時間(第2変動時間)を経過したか否かを判定する。所定時間を経過した場合にはS60に進んで、乱数値に応じた第2処理番号をセットする。すなわち、乱数値がハズレの場合では第2処理番号を0にセットし、大当たりの場合では第2処理番号を3にセットする。
この処理により、次回の制御周期では、ハズレの場合では上記S52の処理に戻り、大当たりの場合ではそのまま処理を終了するように制御される。
図11は、上記図9のS37で行われる第1変動表示ゲーム処理中のサブルーチンを示すフローチャートである。
まず、S371では、割込変動フラグがONであるか否かを判定し、ONであればS376に進む一方、OFFであればS372へ進む。
割込変動フラグがOFF、すなわち、第2始動記憶数=0の場合では、S372で第1処理タイマがタイムアップ(所定時間を経過)したか否かを判定し、タイムアップしていればS373に進む一方、そうでない場合にはそのまま処理を終了する。
第1処理タイマがタイムアップした場合のS373では、第1処理タイマに、停止表示された図柄を遊技者に見せるための所定時間(例えば0.5秒)を設定し、S374では第1処理番号を2にセットする。
そして、S375では、第1変動表示ゲームの図柄変動を停止する指令を演出制御装置150に送信して処理を終了する。
一方、上記S371の判定で割込変動フラグがONの場合には、S376で第2処理番号が3であるか否か、すなわち、当たりであるか否かを判定し、第2処理番号=3であれば、S377へ進んで第1処理番号を3にセットしてから、S375で第1変動表示ゲームの図柄変動を停止する指令を送信して処理を終了する。
上記S371〜S377の処理により、第1変動表示ゲームを実行中に第2変動表示ゲームで割込変動フラグがONになると、第1変動表示ゲームを停止して、大当たり処理に移行する。つまり、第2変動表示ゲームの結果が大当たりとなったため、第1変動表示ゲームを終了させて大当たり遊技を行うのである。
次に、上記図9のS40で行われる大当たり処理の詳細について、図12に示すサブルーチンのフローチャートを参照しながら説明する。
まず、S401では、大当たり遊技のラウンド数を計数するための開放カウンタを16にセットする。
次に、S402では、変動入賞装置10を開放するよう指令を出して大入賞口を開放する。S403では、所定の条件が成立するのを待ち、この条件が成立したときに変動入賞装置10を閉鎖するように指令を出して1ラウンドの大当たり遊技を終了する。なお、所定の条件は、例えば、カウントセンサ53が10個の遊技球を計数した時点、または、変動入賞装置10を開放してから所定時間(例えば30秒)が経過した時点を所定条件の成立とする。
1ラウンドが終了した後には、S404で開放カウンタの値を1だけ減算し、S405で開放カウンタの値が0になったか否を判定し、0であればS406に進んで大当たり遊技を終了する一方、そうでない場合には上記S402へ戻って所定のラウンド数が経過するまで変動入賞装置10の開放、閉鎖を繰り返す。
S406では、第1処理番号を0にセットするとともに、S407で第2処理番号を0にセットして大当たり遊技を終了する。
上記処理により、所定のラウンド数の大当たり遊技が行われ、その後、第1処理番号及び第2処理番号を0にリセットして通常の遊技状態に復帰させる。
次に、上記図10のS58で行われる第2変動表示ゲーム中処理(図中第2図柄変動中処理)の詳細について、図13に示すサブルーチンのフローチャートを参照しながら説明する。
まず、S581では、割込変動フラグがONであるか否かを判定し、ONであればS585に進む一方、OFFであればS582へ進む。
割込変動フラグがOFFの場合では、S582で第2始動記憶数が所定値M(例えばM=3とする)より大きいか否かを判定し、所定値Mより大きければS583へ進む一方、そうでない場合には、そのまま処理を終了する。
S583では、割込変動フラグをONにセットしてから、第2処理タイマに所定時間(第2変動時間)を設定して処理を終了する。このとき、割込変動フラグがONになっているので、次回の制御周期ではS585以降の処理が行われ、第2変動時間だけ図柄変動を行なうと、図柄が停止される。
一方、割込変動フラグがONの場合のS585では、第2処理タイマがタイムアップ(所定時間を経過)したか否かを判定し、タイムアップしていればS586に進む一方、そうでない場合にはS589に進む。
第2処理タイマがタイムアップした場合のS586では、第2処理タイマに、停止表示された図柄を遊技者に見せるための所定時間(例えば0.5秒)を設定し、S587では第2処理番号を2にセットする。
そして、S588では、第2変動表示ゲームの図柄変動を停止する指令を演出制御装置150に送信して処理を終了する。
一方、上記S585の判定で第2処理タイマがタイムアップしていない場合には、S589で第1処理番号が3であるか否か、すなわち、第1の変動表示ゲームの方が当っているか否かを判定し、第1処理番号=3であれば、S590へ進んで第2処理番号も3にセットしてから、S588で第2変動表示ゲームの図柄変動を停止する指令を送信して処理を終了する。
上記S581〜S590の処理により、第2変動表示ゲームを実行中に第1変動表示ゲームが大当たりになると、第2変動表示ゲームを停止して、大当たり処理に移行する。つまり、第1変動表示ゲームの結果が大当たりとなったため、第2変動表示ゲームを終了させて大当たり遊技を行うのである。
そして、上記S582〜S584において、第2始動記憶の数が所定値Mを超えると、割込変動フラグがONとなって、上記S371、S376の処理により第1変動表示ゲームに優先して第2変動表示ゲームを確定させる(第2の特別図柄を停止させる)処理が行われ、第2始動記憶数が0になるかまたは大当たりとなるまで第2変動表示ゲームを確定させる処理が行われる(その間、第1の変動表示ゲームは図柄変動を継続し続けている)。その後、第1始動記憶の数に応じて第1変動表示ゲームを確定させる(第1の特別図柄を停止させる)処理が実行されることになる。
これにより、第2の変動表示ゲームは、第2始動記憶の分だけ連続して複数回の図柄確定処理が実行されるので、第2の変動表示ゲームの図柄確定処理の実行中は、第1の変動表示ゲームの図柄確定処理の実行中とは異なる別の興趣を遊技者に与えることができる。そして、第2の変動表示ゲームの図柄確定処理を実行するために必要な第2始動記憶に、僅かに満たない第2始動記憶数で遊技を終えることに遊技者が躊躇するようになり、遊技機の稼働を上げることも期待できる。さらに、第2始動記憶に保留記憶がありさえすれば、第2の変動表示ゲームの図柄確定は行なわれないものの、とりあえずは、図柄変動だけは行なわれるので、遊技を行なっているという感触が得られる。
図14〜図15は、第3の実施形態を示し、前記第1実施形態の図6に示した遊技制御装置100における処理を変更するとともに、図1に示した第2始動口9と図2に示した第2特図始動センサ52を削除し、始動記憶手段も1種類で構成している(第1、第2の変動表示ゲームを区別する形態で保留記憶を記憶させないで、1個の保留記憶により第1、第2の変動表示ゲームの双方が実行される構成としている)もので、その他の構成は前記第1実施形態と同様である。
本第3実施形態は、第1始動口7への入賞に基づいて第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームを行うようにしたものである。
図14は、遊技制御装置100で行われる処理の一例を示すフローチャートの前半部で、図15は後半部である。
S71では、第1始動記憶があるか否かを判定し、ない場合には上記図4の客待ち状態となり、第1始動記憶が発生すると、S72へ進み変動表示ゲームを行うため、第1始動記憶を1だけ減算する。
次にS73では、第1始動記憶に対応する乱数値を予め設定したテーブルの値と比較して、第1変動表示ゲームの大当たりであるか否を判定する。なお、上記テーブルには、第1変動表示ゲームで大当たりとなる値と、第2変動表示ゲームで大当たりとなる値が予め設定されている。そして、第1変動表示ゲームの大当たりであればS74に進み、ハズレの場合ではS75に進む。
第1変動表示ゲームが大当たりの場合のS74では、第1変動表示ゲームの停止図柄に大当たりの図柄を設定してS79の処理へ進む。
一方、ハズレの場合のS75では、第1変動表示ゲームの停止図柄にハズレの図柄を設定してS76に進む。
そしてS76では、上記第1始動記憶に対応する乱数値(S73で比較を行った乱数値)が第2変動表示ゲームの大当たりであるか否を判定し、第2変動表示ゲームの大当たりであればS77へ進む一方、ハズレの場合ではS78に進む。
第2変動表示ゲームが大当たりの場合のS77では、第2変動表示ゲームの停止図柄に大当たりの図柄を設定してS79の処理へ進む。
一方、ハズレの場合のS78では、第2変動表示ゲームの停止図柄にハズレの図柄を設定してS79に進む。
S79では、第1変動表示ゲームの変動時間(第1変動時間)を上記乱数値に基づいて設定し、S80で第1変動表示ゲームの開始指令を演出制御装置150に送信する。
次に、図15のS81では、上記第1変動時間が経過するのを待ってから、第1変動表示ゲームの図柄を停止させる指令を演出制御装置150に送信する。
そして、S82では第1変動表示ゲームの結果態様(図柄の配列)が大当たりであるか否を判定し、大当たりであればS87へ進んで上記第1実施形態の図5に示したS15と同様に大当たり処理を行う。
一方、第1変動表示ゲームの結果態様がハズレの場合ではS83に進んで、第2変動表示ゲームを行うため、第2変動表示ゲームの変動時間(第2変動時間)を上記乱数値に基づいて設定し、S84で第2変動表示ゲームの開始指令を演出制御装置150に送信する。
次に、S85では、上記第2変動時間が経過するのを待ってから、第2変動表示ゲームの図柄を停止させる指令を演出制御装置150に送信する。
そして、S86では第2変動表示ゲームの結果態様(図柄の配列)が大当たりであるか否を判定し、大当たりであればS87へ進んで上記と同様に大当たり処理を行い、ハズレであれば図14のS71へ戻り、次の変動表示ゲームに備える。
以上の処理により、遊技者に特典を付与する確率が決定される乱数に従って、第1の変動表示ゲームの結果と、第2の変動表示ゲームの結果の双方が決定されるので、確率の管理がしやすく、遊技者に特典を付与する頻度を容易に設定することができる。
また、一つの始動入賞で2つの変動表示ゲームが段階的に行われるので、1回目の変動表示ゲームが外れても、もう1度、変動表示ゲームで抽選されるチャンスがあるので、遊技者の期待感を持続させることができる。
図16〜図19は第4の実施形態を示す。
図16は遊技機の正面図を示し、前記第1実施形態に示した図1の変動表示装置8に代わって、遊技盤6の中央部に第1の特図表示部を備えた上部誘導装置60と、第2の特図表示部を備えた下部誘導装置70とを上下方向で連結し、上部誘導装置60の上部に普通変動入賞装置11(補助入賞手段)を備えた始動口7Aを設け、この始動口7Aと上部誘導装置60を連結したものである。そして、下部誘導装置70の下方には、大入賞口を備えた変動入賞装置10が配置される。なお、普通変動入賞装置11は普電ソレノイド110(図18参照)によって開閉駆動される。
また、上部誘導装置60の左右には普通変動入賞装置11を作動させるための普電始動口12A、13Aが配設される。その他の構成は前記第1実施形態と同様に構成される。
次に、上部誘導装置60と下部誘導装置70について、図17を参照しながら説明する。
始動口7Aと上部誘導装置60は遊技盤6に設けた流路62により連通しており、流路62に設けた第1特図センサ51により、入賞球の検出が行われる。
上部誘導装置60の上部には、遊技球を収装可能な凹部61Aを有して、回転可能な第1回転体61が配置される。なお、第1回転体61は上部回転体モータ610(図18参照)により駆動される。
そして、第1回転体61の左側には下部誘導装置70に連通する流路63が形成され、また、第1回転体61の右側には大当たりセンサ55を備えた流路64が形成される。
始動口7Aへ入賞した遊技球は流路62を流下して第1回転体61に当たり、第1特図センサ51を遊技球が通過することにより第1回転体61の下部に設けた第1特図表示部810で第1の変動表示ゲームが実行され、この第1変動表示ゲームの結果に応じて第1回転体61の回転方向が決定される。なお、第1特図表示部810はLEDや液晶表示装置などにより構成される。
結果が大当たりの場合には第1回転体61が図中時計回りに回転して流路62の遊技球を凹部61Aに収装した後、流路64へ流下させて大当たりセンサ55を通過させる。
一方、第1変動表示ゲームの結果がハズレの場合には、第1回転体61は図中反時計回りに回転して、流路62の遊技球を凹部61Aに収装した後、流路63へ流下させて下部誘導装置70へ流下させる。
次に、上部誘導装置60の下部に配置された下部誘導装置70の上部は、遊技盤6に設けた流路63により連通しており、流路63に設けた第2特図センサ52により、流下した入賞球の検出が行われる。
下部誘導装置70の上部には、遊技球を収装可能な凹部71Aを有して、回転可能な第2回転体71が配置される。なお、第2回転体71は下部回転体モータ710(図18参照)により駆動される。
そして、第2回転体71の左側には回収タンクと連通した流路73が形成され、また、第2回転体71の右側には上記流路64と連通した流路72が形成され、大当たりセンサ55に導かれる。
上部誘導装置60から流路63へ流下した遊技球は、第2特図始動センサ52を通過して第2回転体71に当たり、第2特図センサ52を遊技球が通過することにより第2回転体71の下部に設けた第2特図表示部820で第2の変動表示ゲームが実行され、この第2変動表示ゲームの結果に応じて第2回転体71の回転方向が決定される。なお、第2特図表示部820はLEDや液晶表示装置などにより構成される。
結果が大当たりの場合には第2回転体71が図中時計回りに回転して流路63の遊技球を凹部71Aに収装した後、流路72へ流下させて流路6へ導いて大当たりセンサ55を通過させる。
一方、第2変動表示ゲームの結果がハズレの場合には、第2回転体71は図中反時計回りに回転して、流路63の遊技球を凹部71Aに収装した後、流路73へ流下させて回収する。
図18は、遊技制御装置100(遊技制御手段)を中心とする制御系を示すブロック構成図である。
遊技制御装置100は、上記第1実施形態の図2と同様に構成され、入出力に接続されたデバイスが異なる。
遊技用マイクロコンピュータ101は、入力インターフェース102に接続された第1特図始動センサ51、第2特図始動センサ52、一般入賞口センサ54A〜54N、カウントセンサ53、大当たりセンサ55、普電作動センサ56からの検出信号を受けて、大当たり抽選等、種々の処理を行う。そして、出力インターフェース103を介して、各種制御装置(演出制御装置150、排出制御装置200)、大入賞口ソレノイド36、上部回転体モータ610、下部回転体モータ710、普電ソレノイド110等に指令信号を送信して、遊技を統括的に制御する。
排出制御装置200は、遊技制御装置100からの賞球指令信号またはカード球貸ユニット2からの貸球要求に基づいて、払出ユニットの動作を制御し、賞球または貸球の排出を行わせる。
演出制御装置150(表示制御手段)は、第1特図表示部810と第2特図表示部8208の表示、装飾用ランプ、LED等の装飾発光装置、スピーカからの効果音出力を制御するもので、上記第1実施形態の図3と同様に構成される。
図19、図20は、遊技制御装置100で行われる制御の一例を示すフローチャートである。
まず、S101では、第1特図始動センサ51がONとなったか否かを判定し、OFFの場合にはONになるまで待機し、ONになるとS102へ進む。
S102では、第1特図始動センサ51がONとなった時点の乱数値(特別図柄乱数カウンタの値)を取得し、この乱数値と所定の判定値との比較によって、大当たりであるか否かを判定し、大当たりであればS103へ進み、ハズレの場合にはS104へ進む。例えば、乱数値が7であれば、大当たりとする。なお、特別図柄乱数カウンタは、前の実施形態同様に所定のタイミング(2ミリ秒間隔)で更新される。そして、特別図柄乱数カウンタの値は、第1特図始動センサ51に遊技球が到達したタイミングに合わせて取得する(S101が実行されたタイミングでカウンタを取得するとは限らない)。このように、第1特図始動センサ51に遊技球が到達したタイミングでカウンタを取得した場合は、図柄の変動時間などに影響されないタイミングで乱数を抽出できるので、よりランダムな抽選が可能となる。
第1特図始動センサ51の乱数値が大当たりの場合のS103では、第1変動表示ゲームの停止図柄に大当たりの図柄を設定してS108の処理へ進む。
一方、ハズレの場合のS104では、第1変動表示ゲームの停止図柄にハズレの図柄を設定してS105に進む。
そしてS105では、S102で使用した乱数値が大当たりであるか否かを、S102とは異なる判定値との比較によって判定し、この乱数値が大当たりであればS106へ進む一方、ハズレの場合ではS107に進む。例えば、乱数値が17であれば、大当たりとする。
判定結果が大当たりの場合のS106では、第2変動表示ゲームの停止図柄に大当たりの図柄を設定してS108の処理へ進む。このように、第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームで、同じ乱数値を用いた判定を行なえば、処理が簡素化される。
一方、ハズレの場合のS107では、第2変動表示ゲームの停止図柄にハズレの図柄を設定してS108に進む。
S108では、第1変動表示ゲームの変動時間(第1変動時間)を第1特図始動センサ51がONとなった時点に取得した乱数値に基づいて設定し、S109で第1変動表示ゲームの開始指令を演出制御装置150に送信する。
次に、S110では、上記第1変動時間が経過するのを待ってから、第1変動表示ゲームの図柄を停止させる指令を演出制御装置150に送信する。
そして、図21のS111では第1変動表示ゲームの結果態様(図柄)が大当たりであるか否を判定し、大当たりであればS112へ進み、一方、第1変動表示ゲームの結果態
様がハズレの場合ではS120に進む。
第1変動表示ゲームが大当たりの場合のS120では、第1回転体61の回転方向を大当たり、すなわち図18において時計回りに回転するよう上部回転体モータ610に指令し、S121では大当たりセンサ55がONになるのを待つ。
大当たりセンサ55がONになると、S122へ進み所定の大当たり遊技を行う大当たり処理が行われ、大当たり遊技の終了後に上記S101へ戻り次の始動入賞を待つ。
一方、第1変動表示ゲームがハズレの場合のS112では、第1回転体61の回転方向をハズレ、すなわち図18において反時計回りに回転するよう上部回転体モータ610に指令し、S113では第2特図始動センサ52がONになるのを待つ。
第2特図始動センサ52がONになると、S114へ進み第2変動表示ゲームの変動時間(第2変動時間)を第2特図始動センサ52がONとなった時点で取得した乱数値に基づいて設定し、S115で第2変動表示ゲームの開始指令を演出制御装置150に送信する。
次に、S116では、上記第2変動時間が経過するのを待ってから、第2変動表示ゲームの図柄を停止させる指令を演出制御装置150に送信する。
そして、S117では第2変動表示ゲームの結果態様(図柄)が大当たりであるか否を判定し、大当たりであればS119へ進み、一方、第2変動表示ゲームの結果態様がハズレの場合ではS118に進む。
第2変動表示ゲームが大当たりの場合のS119では、第2回転体71の回転方向を大当たり、すなわち図18において時計回りに回転するよう下部回転体モータ710に指令し、上記S121以降に進んで大当たり処理を行う。
一方、第2変動表示ゲームがハズレの場合のS118では、第2回転体71の回転方向をハズレ、すなわち図18において反時計回りに回転するよう下部回転体モータ710に指令し、遊技球を回収した後S101の処理へ復帰して次の始動入賞を待つ。もし、S101へ処理が移る以前に第1特図始動センサ51に遊技球が検出されてONとなった場合は、特別図柄乱数カウンタの値だけを取得して、第1変動表示ゲームの図柄変動を行わずに待機し、S101に処理が移行してから第1変動表示ゲームの図柄変動が行われる。
以上の処理により、変動表示ゲームを行うために必要な球を誘導しながら、2段階の抽選を行うことができ、一つの始動入賞で2つの変動表示ゲームが段階的に行われるので、1回目の変動表示ゲームが外れても、もう1度、変動表示ゲームで抽選されるチャンスがあるので、遊技者の期待感を持続させることができる。また、2つの変動表示ゲームが同時に変動することが無いので、遊技者に遊技の進行が分かりやすい遊技機が実現できる。
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び内容の範囲での全ての変更が含まれることが意図される。
また、特許請求の範囲に記載した以外の本発明の観点の代表的なものとして、次のものがあげられる。
(1)識別情報を変動表示させる変動表示ゲームが行われる表示手段と、遊技球が所定の領域で検出されたことに関連させて、前記表示手段にて第1の変動表示ゲーム及び第2の変動表示ゲームを行う制御手段と、を有し、前記第1の変動表示ゲーム若しくは第2の変動表示ゲームの少なくとも一方が特別な結果になる場合には遊技者に特典を付与する遊技機であって、前記制御手段には、遊技球が所定の領域で検出されてから第1の変動表示ゲームが実行されるまでの保留記憶を、所定数を限度として記憶する第1始動記憶手段と、遊技球が所定の領域で検出されてから第2の変動表示ゲームが実行されるまでの保留記憶を、所定数を限度として記憶する第2始動記憶手段と、前記第1始動記憶手段に記憶された保留記憶に基づいて、第1の変動表示ゲームを実行する第1ゲーム実行手段と、前記第2始動記憶手段に記憶された保留記憶に基づいて、第2の変動表示ゲームを実行する第2ゲーム実行手段と、前記第1の変動表示ゲームのゲーム結果の確定時期と、第2の変動表示ゲームのゲーム結果の確定時期とが異なるように、各変動表示ゲームの実行タイミングを制御する実行タイミング制御手段と、を備え、少なくとも、前記第2ゲーム実行手段は、第2始動記憶手段への保留記憶が予め定められた複数の値以上あることを条件に、第2の変動表示ゲームのゲーム結果を確定させることを特徴とする遊技機。
(2)前記第2始動記憶手段への保留記憶が所定数以上あるか否かを判定する保留記憶判定手段を備え、前記実行タイミング制御手段は、前記保留記憶判定手段により保留記憶が所定数以上あると判定された場合には、第1の変動表示ゲームの実行を待機させた状態で、第2の変動表示ゲームを実行させ、この第2の変動表示ゲームを第2始動記憶手段の保留記憶が無くなるまで実行させることを特徴とする(1)に記載の遊技機。
(3)識別情報を変動表示させる変動表示ゲームが行われる表示手段と、遊技球が所定の領域で検出されたことに関連させて、前記表示手段にて第1の変動表示ゲーム及び第2の変動表示ゲームを行う制御手段と、を有し、前記第1の変動表示ゲーム若しくは第2の変動表示ゲームの少なくとも一方が特別な結果になる場合には遊技者に特典を付与する遊技機であって、前記制御手段には、遊技球が所定の領域で検出されたことに基づいて、第1の変動表示ゲームを実行する第1ゲーム実行手段と、前記第1の変動表示ゲームが特別な結果にならない場合に、第2の変動表示ゲームを実行する第2ゲーム実行手段と、を備え、前記第2ゲーム実行手段は、第1の変動表示ゲームのゲーム結果が確定してから、第2の変動表示ゲームを開始することを特徴とする遊技機。
(4)識別情報を変動表示させる変動表示ゲームが行われる表示手段と、遊技球が所定の領域で検出されたことに関連させて、前記表示手段にて第1の変動表示ゲーム及び第2の変動表示ゲームを行う制御手段と、を有し、前記第1の変動表示ゲーム若しくは第2の変動表示ゲームの少なくとも一方が特別な結果になる場合には遊技者に特典を付与する遊技機であって、前記制御手段には、遊技球が所定の第1領域で検出されたことに基づいて、第1の変動表示ゲームを実行する第1ゲーム実行手段と、前記第1領域で検出された遊技球を保留し、前記第1の変動表示ゲームが特別な結果にならない場合に、保留している遊技球を前記第1領域とは別の第2領域へ誘導する誘導手段と、遊技球が前記第2領域で検出されたことに基づいて、第2の変動表示ゲームを実行する第2ゲーム実行手段と、を備え、前記第2ゲーム実行手段により第2の変動表示ゲームを実行している間は、前記第1領域で遊技球が検出されても、第2の変動表示ゲームの結果が確定するまで、第1の変動表示ゲームの実行を待機させることを特徴とする遊技機。
(5)前記第1の変動表示ゲームが実行されるための条件となる領域で遊技球が検出された際に、乱数を取得する乱数取得手段と、取得した乱数を判定することにより、遊技者に特典を付与するか否かを決定する特典付与決定手段と、遊技者に特典を付与すると決定した場合には、第1の変動表示ゲームを特別な結果にするか、第2の変動表示ゲームを特別な結果にするのかを、択一的に選択する変動表示ゲーム選択手段と、を備えることを特徴とする(3)又は(4)に記載の遊技機。
(1)の発明は、第1の変動表示ゲームの結果が確定するタイミングと、第2の変動表示ゲームの結果が確定するタイミングが重ならないように制御されるので、遊技者は何れの変動表示ゲームを見ればよいのかが認識できて、分かりやすい遊技を行うことが出来る。
さらに、第2の変動表示ゲームを実行するためには、保留記憶が複数必要なので、第1の変動表示ゲームの実行タイミングと、第2の変動表示ゲームの実行タイミングとの違いを持たせることが出来るようになり、変動表示ゲームが単調でなくなる。
よって、変動表示ゲームの進行を単調にすることを防止しながらも、遊技者には何れの変動表示ゲームを意識すべきかを理解させることのできる、興趣に富んだ遊技機を提供することが出来る。
(2)の発明は、第2の変動表示ゲームは、保留記憶の分だけ連続して複数回実行されるので、第2の変動表示ゲームの実行中は、第1の変動表示ゲームの実行中とは異なる別の興趣を遊技者に与えることができる。また、第2の変動表示ゲームを実行するために必要な保留記憶に、僅かに満たない保留記憶数で遊技を終えることに遊技者が躊躇するようになり、遊技機の稼働を上げることも期待できる。
(3)の発明は、1回目の変動表示ゲームが外れても、もう1度、変動表示ゲームで抽選されるチャンスがあるので、遊技者の期待感を持続させることができる。
(4)の発明は、1回目の変動表示ゲームが外れても、もう1度、変動表示ゲームで抽選されるチャンスがあるので、遊技者の期待感を持続させることができる。しかも、同時に2つの変動表示ゲームが実行されないので、遊技者に理解しやすい遊技進行が可能となる。
(5)の発明は、遊技者に特典を付与する確率が決定される乱数に従って、第1の変動表示ゲームの結果と、第2の変動表示ゲームの結果の双方が決定されるので、確率の管理がしやすく、遊技者に特典を付与する頻度を容易に設定することができる。