JP5144399B2 - コイル用電流センサ回路 - Google Patents

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Description

本発明は、電流センサ回路およびこれを用いた電流計、電力計および電力量計、ならびにこれらの計測方法に関し、特にコイルを用いて交流信号の誘導電圧を測定する電流センサ回路等に関する。
非接触で回路に流れる交流信号の電流を測定する方法として、被計測信号の周囲に発生する磁束の時間的変化をコイルにより誘導起電力に変換して、この誘導電圧の大きさを測定する方法がある。この測定方法の場合、コイルは磁束の変化分(差分)を検出し出力するため、誘導電圧波形は実際の電流波形に対し90度進んだ微分波形となる。そのため、実際の信号位相として扱う場合は90度分遅らせた波形として処理することが必要となる。しかし、一般的に電流波形は負荷によって様々な周波数成分を含んでいるため、誘導電圧波形を一定時間遅延しても被計測信号の電流波形とはならない。そこで、コイルの後段に積分器を設けて各周波数成分を一様に90度遅延することにより、被計測信号の電流波形を求めることになる。
ところで、一般にコイルで得られる誘導電圧は非常に小さいため、検出された誘導電圧信号を信号処理に適した振幅まで増幅する必要がある。また、測定値をデジタル信号処理するためには、A/D変換を行う必要がある。このような信号処理を行うと、その過程でオフセット成分が発生する。このため、積分器に入力される誘導電圧信号には、被計測信号の誘導電圧成分に加えてオフセット成分が含まれることになる。
図3に、(a)被測定信号、(b)積分器へ入力される誘導電圧信号、および(c)積分器の出力信号の一例を示す。なお、本願では、図3をはじめとする波形図を、説明の都合上、被計測信号に対応する成分(30b、30c等)と、コイルと積分器との間の回路で発生したオフセット成分(31b、31c等)とを分けて表示する。被計測信号に対応する成分は計測の対象となる成分であり、オフセット成分は計測誤差となる成分である。しかし、実際の信号波形は、被計測信号に対応する成分とオフセット成分を重畳した波形であり、重畳波形から両者を分離することは容易ではない。
被計測信号が図3(a)のような正弦波30aであった場合、コイルで検知され増幅等を経て積分器に入力する誘導電圧信号は、図3(b)に示すような波形となる。つまり、被計測信号30aの微分波形である余弦波の誘導電圧成分30bと、オフセット成分31bの合成波形となる。オフセット成分31bの大きさをAとおく。
図3(b)の誘導電圧信号を積分器で積分すると図3(c)のような信号が得られる。誘導電圧成分30bが積分された波形30cは、被計測信号30aと同じ正弦波となる。また、オフセット成分31bは、時間(t)に比例して増加する波形31cとなる。さらに、積分定数成分32が新たに加わる。積分定数成分32の大きさをCとおく。
ここで、オフセット成分Aと積分定数成分Cによって計測値に生じる誤差について考える。例えば、交流の電力計では電流と電圧を乗算して電力を算出するが、被計測信号の電流が上述したようにIsinωt+At+C で与えられ、電圧信号がVsinωtで与えられたとすると、交流電力算出の定義である対象信号の一周期間の平均値Wは、以下の式にように表すことができる。
Figure 0005144399
上式の第2項(VIt/2)が電力を表す項であり、他の項は誤差項となる。誤差項のうち、第1項と第4項を積分した値は0となる。しかし、第3項(VAtcosωt)は積分しても0とならないため、誤差として残ることになる。そして、その大きさは、オフセット成分の大きさAに比例して大きくなる。
他の計測の例として、交流の電流の実効値を計測する場合には、信号の電流の瞬時値を二乗した値の1周期間の平均値に対し、平方根を取る(二乗平均平方根)。この場合は、電流Isinωt+At+Cを二乗するため、当然のことながらAtとCの二乗項とAtを含む項が誤差項となって現れる。このうち、積分定数成分Cは積分器の積分開始点を制御することによって0にすることが可能であるが、Atを含む項は0にすることができない。
このように誘電電圧信号に含まれるオフセット成分は、計測結果の誤差の大きさを決定する要因となる。加えて、前述のように、オフセット成分の積分波形31cは、時間(t)に比例して増加するため、積分器やその後の信号処理系においてオーバーフローを引き起こす要因となる。このため、オペアンプ等を使用したハイパスフィルタやデジタルハイパスフィルタを積分器の前段に設けたり、特許文献1に記載されているようなオフセットの補正装置により、オフセットを減衰させる方法がある。
特開2000−236253号公報
図6にアナログ回路にてハイパスフィルタと積分器を構成したバンドパスフィルタを示す。商用周波数の50Hzもしくは60Hzを計測する場合は、オフセットであるDC成分は遮断域にするが、商用周波数帯域は通過域(積分域)にすることが必要になるため、オペアンプを用いた高精度のハイパスフィルタと積分器とでフィルタを実現することになる。しかし、アナログ回路を構成する部品は経年的影響、使用環境等の影響を受けるため、定常的に小さなオフセットを維持するためには、大規模な校正回路や回路の調整や部品選別などの管理が必要となる。しかし、アナログ回路はデジタル回路ほど集積度があがらないため計測装置が大型化することに加え、管理にも限界がある。
別の方法として、コイルの出力をA/D変換しデジタル的に積分する方法が考えられる。この方法においてもA/D変換する際にオフセットが発生するため、積分前にデジタルハイパスフィルタを用いてオフセット成分を減衰させることが必要となる。積分器に関してはデジタル的に行うため個体差は発生せず調整、部品選別は不要となる。しかし、オフセットを小さくするためには、デジタルフィルタ性能を向上させることが必要となり、回路規模が大きくなる。また、デジタルフィルタは一定時間のデータをもとにフィルタリグ処理を行うため、所定時間のデータを格納しておくメモリが必要となり、サンプル数が増えることにより回路も大規模化する。
このように、オフセット成分を小さくするためには、回路規模の大型化や、これに伴うコストアップが避けられない。また、どんなに精密な補正回路や計測器の管理を行ったとしても、定常的にオフセットを完全に0にすることはできないため、積分器から出力される値が大きくなってもオーバーフローが起きないように、積分器以降の信号処理回路は十分な余裕をもったレンジ設定を行う必要となってしまうという問題があった。このため、積分器に入力する誘導電圧信号にオフセット成分があったとしても、積分器からの出力信号のレンジを所定範囲に抑えることができ、また、オフセット成分に起因する計測誤差が小さな電流測定方法およびこれを用いた回路や計測装置が求められていた。
上述した課題は、被計測信号の電流の変化量に応じた誘導電圧信号を発生するコイルと、被計測信号の1周期に亘って前記誘導電圧信号を積分した値の1/N(Nは2以上の自然数)ずつ異なる値をそれぞれの初期値とし、被計測信号の1周期に亘って前記誘導電圧信号を積分するN個の積分手段と、前記積分手段の出力を、初期値が大きな積分手段から順に、被計測信号の周期の1/N毎に、択一的に選択して出力する出力選択手段と、を備えた被計測信号の電流センサ回路により、解決することができる。
すなわち、所定値ずつ異なる初期値をもつ複数の積分手段により誘導電圧信号を積分し、所定時間毎に大きな初期値の積分手段から順に切り換えて出力を行うことにより、図4(e)のように、オフセット成分を被計測信号のN倍の周期をもつ周期的な波形41eに変換することができる。これにより、積分手段からの出力信号のレンジを所定範囲に抑えることができる。
同様の理由から、被計測信号の電流の変化量に応じた誘導電圧信号を生成する誘導電圧測定ステップと、被計測信号の1周期に亘って前記誘導電圧信号を積分してオフセットを求めるオフセット計測ステップと、積分開始時点から現時点までの前記誘導電圧信号の積分値と所定値との合計値を出力する積分ステップであって、前記所定値は、前記積分開始時点で0あり、かつ、被計測信号の周期の1/N(Nは2以上の自然数)毎に、前記オフセットの1/Nずつ減少する値である、前記積分ステップと、を含む被計測信号の電流の瞬時値の計測方法によっても、上述した課題を解決することができる。
このとき、前記誘導電圧信号をΔΣ変調器によりデジタル信号に変換するA/D変換手段をさらに備え、かつ、前記積分手段がアップダウンカウンタにより構成されていることが望ましい。1ビットのビットストリーム出力であるΔΣ変調器を用いた場合の積分手段には、アップダウンカウンタを用いることが可能となり、非常にシンプルな構成が可能となる。すなわち、16ビットの逐次比較型A/D変換器で、1周期のポイント数を2サンプルに設定した場合には、一般的なデジタル積分器では、16+L桁を要し、更にその桁数分の加算器が必要になるのに対し、ΔΣ変調を用いて2倍でオーバサンプリングしてA/D変換した場合には、8+L桁のアップダウンカウンタで構成でき、加算器も不要となる。
また、この電流センサ回路を用いて電力計や電力量計を構成することにより、回路規模をそれほど大きくすることなく、オフセット成分に起因する計測誤差が小さな計測器を提供することができる。
この理由を、電力を算出する場合を例にとって説明する。交流電力の算出は対象となる信号1周期間の電流と電圧の乗算結果の平均値、すなわち乗算後に得られるDC成分に相当する。被計測信号の電流がIsinωt+At+C で与えられ、電圧信号がVsinωtで与えられるとき、積分結果にDCが発生する場合は、(1)式左辺のIsinωtとVsinωtの乗算のように同じ周波数同士の乗算項と、(3)式のAtのように時間的変化する項と周期関数の乗算項のみであり、(1)式右辺第3項のようなDC成分と周期関数の乗算項や(2)式のような異なった周波数をもつ周期関数の乗算項の積分値は0となる。従って、時間的に変化するオフセット成分Atを、電流センサ回路で強制的に周期性を持つ交流に変換することによって、オフセット成分に起因する計測誤差を小さくすることができるのである。
Figure 0005144399
また、上述した課題は、前述した電流センサ回路と、前記電流センサ回路の出力信号のうち、被計測信号のN倍の高周波成分を減衰させるローパスフィルタと、前記ローパスフィルタの出力信号を二乗平均平方根演算する演算手段を備えた実効値電流計によっても解決することができる。すなわち、オフセット成分が被計測信号のN倍の高調波に変換されるため、簡単なローパスフィルタでも十分にオフセット成分を減衰させることができる。減衰されたフィルタ出力から電流の実効値を求めることにより、オフセット成分に起因する計測誤差が小さな実効値電流計を提供することができる。
同様の理由により、上述した電流測定方法で、被計測信号の電流の瞬時値を測定するステップと、前記電流の瞬時値のうち、被計測信号のN倍の高周波成分をフィルタリングするステップと、前記フィルタリングした電流の瞬時値を二乗平均平方根演算して電流の実効値を求めるステップと、を含む電流の実効値の計測方法によっても、上記課題を解決することができる。
また、上述した課題は、被計測信号の電流の変化量に応じた誘導電圧信号を発生するコイルと、被計測信号の1周期に亘って前記誘導電圧信号を積分した値の1/N(Nは2以上の自然数)ずつ異なる値をそれぞれの初期値とし、被計測信号の1周期に亘って前記誘導電圧信号を積分するN個の第1の積分手段と、前記第1の積分手段の出力信号を、初期値が大きな積分手段から順に、被計測信号の周期の1/N毎に、択一的に選択して出力する第1の出力選択手段と、被計測信号の1周期に亘って前記誘導電圧信号を積分した値の1/M(Mは2以上の自然数、かつ、M≠N)ずつ異なる値をそれぞれの初期値とし、被計測信号の1周期に亘って前記誘導電圧信号を積分するM個の第2の積分手段と、前記第2の積分手段の出力信号を、初期値が大きな積分手段から順に、被計測信号の周期の1/M毎に、択一的に選択して出力する第2の出力選択手段と、前記第1および第2の出力選択手段のそれぞれから出力された信号を積和演算する演算手段と、を備えた実効値電流計によっても解決することができる。
電流の実効値は、電流の瞬時値を二乗平均平方根演算することにより求めることができるが、二乗演算を行う際に同じ計測値を二乗するのではなく、オフセット成分を異なる周波数の周期信号に変換した計測値を乗ずることにより、オフセット成分による誤差をキャンセルすることができる。
すなわち、(4)式のように同じ周波数をもつオフセット成分を二乗すると、(4)式右辺第3項の成分が誤差として残存するが、(5)式のように異なる周波数をもつオフセット成分を乗算して積分すると、求めたい実効値(右辺第1項)以外の乗算項(右辺第2〜4項)の積分値は0となる。このため、原理的には、オフセット成分による誤差をキャンセルすることができる。
Figure 0005144399
同様の理由により、被計測信号の電流の変化量に応じた誘導電圧信号を生成する誘導電圧測定ステップと、被計測信号の1周期に亘って前記誘導電圧信号を積分してオフセットを求めるオフセット計測ステップと、積分開始時点から現時点までの前記誘導電圧信号の積分値と第1の所定値とをあわせた第1の合計値を出力する第1の積分ステップであって、前記第1の所定値は、前記積分開始時点で0あり、かつ、被計測信号の周期の1/N(Nは2以上の自然数)毎に、前記オフセットの1/Nずつ減少する値である、前記第1の積分ステップと、積分開始時点から現時点までの前記誘導電圧信号の積分値と第2の所定値とをあわせた第2の合計値を出力する第2の積分ステップであって、前記第2の所定値は、前記積分開始時点で0あり、かつ、被計測信号の周期の1/M(Mは2以上の自然数、かつ、M≠N)毎に、前記オフセットの1/Mずつ減少する値である、前記第2の積分ステップと、前記第1および第2の合計値を積和する積和ステップと、を含む被計測信号の電流の実効値の計測方法によっても、上述した課題を解決することができる。
本発明により、積分手段に入力する誘導電圧信号にオフセット成分が存在しても、積分手段からの出力信号のレンジを所定範囲に抑えることができ、また、オフセット成分に起因する計測誤差が小さな電流測定方法およびこれを用いた回路や計測装置を提供することができる。また、積分手段の前段のハイパスフィルタが不要となり、回路の部品点数が減り、集積化が容易となり、部品管理が不要となる。
図1に本発明の一実施形態である電力量計3の概略構成図を示す。電力量計3は、被計測信号の電力Wを計測する電力計2と、計測された電力Wを所定期間に亘って積分をおこなって電力量Pを算出する積分回路18を備えている。さらに、電力計2は、被計測信号の電流の瞬時値Iを計測する電流センサ回路1と、被計測信号の電圧の瞬時値Vを測定する電圧センサ16と、測定された電圧信号を信号処理に適した振幅まで電圧増幅するオペアンプ11bと、増幅したアナログの電圧信号をΔΣ変調によりデジタル信号に変換するA/D変換器12bと、電流Iと電圧Vを積和演算して電力Wを算出する積和演算回路17を備えている。電流センサ回路1と電力計2は、それぞれ単独でも計測器として使用することができる。
電流センサ回路1は、被計測信号の電流の変化量に応じた誘導電圧信号を発生するコイル10と、誘導電圧信号を信号処理に適した振幅まで電圧増幅するオペアンプ11aと、増幅したアナログの誘導電圧信号をΔΣ変調によりデジタル信号に変換するA/D変換器12aと、誘導電圧のデジタル信号を、被計測信号の1周期に亘って積分を行う4個の積分回路13a、13b、13c、13dと、積分回路の出力I、I、I、Iを択一的に選択して出力するセレクタ15と、積分回路13a、13b、13c、13dのカウンタの初期値を与える初期値設定回路14a、14b、14c、14dと、電力量計3内の各構成要素の動作を制御する制御回路19を備えている。
制御回路19は、電力量計3内の各構成要素の制御を行うために各構成要素と電気的に接続されているが、この接続を全て表示すると図1が煩雑になってしまうため、制御回路19と各構成要素との接続の表示は省略してある。なお、制御回路19は、被計測信号の周期Tやゼロクロス点を決定する機能も有する。
A/D変換器12a、12bは、被計測信号の周期Tの時間内に、L回(L>N)のサンプリングを行う。つまり、サンプリング周期はT/Lとなる。
積分回路13a、13b、13c、13dはアップダウンカウンタによって構成されており、制御回路19から積分開始の指令に応じて、初期値設定回路14a、14b、14c、14dの値をカウンタの初期値として積分を開始する。すなわち、初期値設定回路14a、14b、14c、14dの値をカウンタに設定した後、A/D変換器12aから出力される1ビットのビットストリームの各ビットの値(1または0)に応じて、カウンタ値をカウントアップまたはカウントダウンする。積分回路13a、13b、13c、13dのカウンタの値I、I、I、Iはセレクタ15に出力される。
初期値設定回路14aは常に0を出力する回路である。初期値設定回路14b、14c、14dは、制御回路19からの指令に応じて、周期Tに亘って誘導電圧信号を積分した値(オフセットIoff)を入力し、それぞれ−1/4倍、−1/2倍、−3/4倍した値を出力する回路である。
次に、電力量計3の動作について、説明を行う。電力量の測定は、計測に必要なパラメータを取得する予備計測段階と、被計測信号の計測を行う本計測段階にわかれる。
予備計測段階では、まず、制御回路19が、被計測信号の周期Tとゼロクロス点を決定する。ゼロクロス点とは、被計測信号の電圧の瞬時値が0となるタイミングである。被計測信号は周期的な信号であるため、いったんゼロクロス点が把握できれば、以降のゼロクロス点は周期から簡単に把握することができる。
電力量計3では、電圧センサ16により、被計測信号の電圧を、被計測信号よりも十分長い時間に亘ってサンプリングし、サンプリングされた電圧の極性が変わるタイミングからゼロクロス点を求め、次に、任意のゼロクロス点が2回現れるまでの時間から周期Tを求める。なお、周期Tとゼロクロス点の測定方法は、種々の周知技術が存在するため、装置構成にあわせて適宜変更可能である。また、予め被計測信号の周期Tが正確にわかっている場合には、計測器を操作するオペレータが数値入力することで、周期Tを決定してもよい。
次に、積分回路13aが、積分回路13aに入力される誘導電圧信号のオフセットIoffを測定する。すなわち、制御回路19は、求めたゼロクロス点のタイミングで、積分回路13aのカウンタを初期値設定回路14aの出力値(すなわち0)に設定して、誘導電圧信号の積分を開始する。このように、ゼロクロス点を積分開始時点とすることにより、積分回路により発生する積分定数成分Cを0にすることができる。制御回路19は、積分開始時点から被計測信号の1周期Tの時間が経過した時点で、初期値設定回路14b、14c、14dに対して、積分回路13aのカウンタの値を取得するよう指示を行う。このときのカウンタの値が誘導電圧信号に含まれるオフセットIoffである。初期値設定回路14b、14c、14dは、入力した値をそれぞれ−1/4倍、−1/2倍、−3/4倍した値を出力する。
以上で、予備計測段階が終了する。
本計測段階では、まず、積分回路13a、13b、13c、13dが誘導電圧信号を積分するとともに、これと同期してセレクタ15の入力信号を切り換えることにより、被計測信号の電流の瞬時値Iを出力する。すなわち、制御回路19は、ゼロクロス点のタイミングで、積分回路13a、13b、13c、13dに対して、カウンタを初期値設定回路14a、14b、14c、14dを初期値として積分を開始するよう指示する。この指示を受けて、積分回路13a、13b、13c、13dは、初期値設定回路14a、14b、14c、14dから読み込んでカウンタに設定してから、A/D変換器12aから出力される1ビットのビットストリームの各ビットの値(1または0)に応じて、カウンタ値をカウントアップまたはカウントダウンする。
積分回路13a、13b、13c、13dの出力信号I1、I、I、Iの時間的な変化を図4(a)、(b)、(c)、(d)に示す。図4の各図は、横軸が時間(t)、縦軸が出力信号I1、I、I、I、Iの値である。出力信号I、I、Iのオフセット成分は、出力信号Iと比較すると、−Ioff/4の値ずつ平行移動したものとなっていることがわかる。そして、出力信号I1、I、I、Iは、積分開始時点からそれぞれ0、T/4、T/2、3T/4経過した時点で、ゼロ点をクロスする波形となっている。
制御回路19は、積分回路の初期値設定と並行して、ゼロクロス点のタイミングで、セレクタ15に対して、初期値の最も大きな積分回路、すなわち積分回路13aの出力信号を選択するよう指示する。その後、被計測信号の周期Tの1/4ごとに、初期値の大きな積分回路から順に、すなわち、積分回路13b、13c、13dの順序でセレクタ15の入力を切り換えるよう指示を行う。
セレクタ15からの出力信号の時間的な変化を図4(e)に示す。積分開始時点からT/4が経過するまでは(区間I)、セレクタ15が積分回路13aの出力を選択するため、積分回路13aの出力信号Iがセレクタ15の出力Iとなる。積分開始時後T/4からT/2までの区間(区間II)では、セレクタ15が積分回路13bの出力を選択するため、積分回路13bの出力信号Iがセレクタ15の出力Iとなる。積分開始時後T/2から3T/4までの区間(区間III)では、セレクタ15が積分回路13cの出力を選択するため、積分回路13cの出力信号Iがセレクタ15の出力Iとなる。積分開始時後3T/4からTまでの区間(区間IV)では、セレクタ15が積分回路13dの出力を選択するため、積分回路13dの出力信号Iがセレクタ15の出力Iとなる。
図4(e)から明らかなように、誘導電圧信号に含まれていたオフセット成分の積分が、被計測信号の4倍の周波数をもつ周期的な三角波に変換されている。また、オフセットの最大値はIoff/4となり、変換前のオフセットの大きさIoffの1/4の大きさに抑制されている。
次に、電流の瞬時値Iと、A/D変換器12bから出力される電圧の瞬時値Vとを、積和演算して電力Wを求める。具体的には、電流の瞬時値の各サンプル値をI(i)(i=1・・・L)、電圧の瞬時値の各サンプル値V(i)とおくと、(6)式のような演算となる。
Figure 0005144399
電流の瞬時値Iが周期性のある信号となっていることから、電圧波形と乗算してもDC成分となって現れないことに留意されたい。すなわち、電流の瞬時値Iと電圧の瞬時値Vは、それぞれ図5(a)、(b)のような波形となるが、積分開始点からT/2までの区間Iにおける、オフセット成分51と電圧信号52との乗算の結果と、T/2からTまでの区間IIにおける、オフセット成分51と電圧信号52との乗算の結果とは、絶対値が等しく符号が異なる値となるため、1周期に亘る積和演算では相殺されて0となる。このため、原理的にはオフセット成分による誤差がキャンセルされた精度の高い電力Wが求められる。
以上の、電力計測を所定期間に亘って繰り返し行って、求められた電力Wを、積分回路18によって積分をおこなって電力量Pを求める。このとき求められる電力量Pは、オフセット成分による誤差がキャンセルされた精度の高い電力Wに基づいて算出されていることから、電力量Pもオフセット成分による誤差を含まない計測値となる。
なお、電力計測を繰り返す際には、初期値設定回路14b、14c、14dに1周期毎に積分回路13aの出力Iの積分値を入力するように制御する。これにより、前の周期で得られた積分回路13aの積分値(すなわちオフセットIoff)にそれぞれ−1/4倍、−1/2倍、−3/4倍した値が次の周期の積分回路13a、13b、13c、13dの初期値として与えられるよう制御を行う。
以上、本発明を利用した電力量計3の構成と動作について説明を行ったが、本発明の属する分野における当業者には、請求項の趣旨及び範囲から離れることなく様々な変更及び改変を加えることが出来ることは明らかであろう。
例えば、上述した実施態様では、4個の積分回路を用いて、オフセット成分を被計測信号の4倍の周波数の波形に変換しているが、本実施例で開示された技術思想は、積分回路をN個(Nは2以上の自然数)用いて、オフセット成分を被計測信号のN倍の周波数にし、振幅を1/Nの信号に変換する技術として一般化することができる。一般化した電流センサ回路1’の概略構成図を図10に示す。本願ではこのような構成の電流センサ回路1’をN段の電流センサ回路と呼ぶ。
N段の電流センサ回路1’は、N個の積分回路13a、13b、・・・、13nのそれぞれに初期値を与えるために、初期値設定回路もN個必要となる。初期値設定回路14a、14b、・・・、14nのそれぞれは、オフセットIoffをそれぞれ−1/N倍、−2/N倍、−3/N倍、・・・、−(N−1)/N倍した値を出力する。また、セレクタ15は、初期値が大きな積分手段から順に、被計測信号の周期の1/N毎に、積分回路の出力を、択一的に選択して出力する。すなわち、積分開始時点からT/Nまでの期間は初期値として0を設定した積分回路の出力を、T/Nから2T/Nまでの期間は初期値として−Ioff/Nを設定した積分回路の出力を、2T/Nから3T/Nまでの期間は初期値として−2Ioff/Nを設定した積分回路の出力を、・・・、(N−1)T/NからTまでの期間は初期値として−(N−1)Ioff/Nを設定した積分回路の出力を、それぞれ選択する。
また、電力量計3では、ΔΣ変調を用いたA/D変換器12a、12bを利用したが、逐次比較型などの他の方式のA/D変換器を利用することもできる。この場合には、積分回路13a、13b、13c、13dは多値入力が可能な積分回路とする必要がある。
さらに、積分回路13a、13b、13c、13dや初期値設定回路14a、14b、14c、14d等で行ったデジタル信号処理を、全てアナログ信号処理で置き換えることもできる。例えば、積分回路13a、13b、13c、13dはアナログ積分回路で実現し、初期値設定回路14a、14b、14c、14dは、抵抗値の等しい3つの抵抗器を直列した回路とし、一端にオフセットIoffを入力し他端を接地して、4つのレベルの信号を取得するようにしてもよい。この場合、積分回路13a、13b、13c、13dの前段のA/D変換器12a、12bは不要となる。
さらに、積分回路13a、13b、13c、13dや初期値設定回路14a、14b、14c、14d、セレクタ15、積和演算回路17、積分回路18の処理を全てプログラムで記述してソフトウェアで計測値(電流の瞬時値Io、電力W、電力量P)を求めるようにしてもよい。この場合には、A/D変換器12a、12bからの出力をDSPやMPU等のプロセッサに入力して当該プロセッサ上でプログラムを実行して、被計測信号の計測値を求めることになる。その際、上述した電力量計3の動作をそのままプログラムで記述してもよいが、図7のフローチャートに示すような処理により、より簡便に計測値を求めることもできる。なお、図7のフローチャートでは、オフセットを、被測定信号のN倍の周波数(振幅は1/N)に変換する一般化したフローである。
まず、電力量計3の予備計測段階の処理を行う(ステップ70・71)。具体的には、被計測信号の周期Tとゼロクロス点を求め、ゼロクロス点を積分開始点に設定する(ステップ70)。また、DSPやMPU等の内部カウンタで、誘導電圧信号を積分開始点から周期Tの期間、積分してオフセットIoffを求める(ステップ71)。
本計測段階では、まず、セレクタ15の出力Iに相当するパラメータである「合計値」を0に、ループカウンタiを1に、それぞれ初期化する(ステップ72)。次に、コイル10と電圧センサ16により、それぞれ誘導電圧(電流の微分)と電圧を測定し(ステップ73)、測定した値をA/D変換器12a、12bでデジタル値に変換する(ステップ74)。変換された誘導電圧のデジタル値を「合計値」に加算する(ステップ75)。加算演算を繰り返すことにより、図1の積分回路が行っていた積分演算を実行する。
次に、現時点が積分開始時点からT・i/Nだけ経過したか否かを判定する(ステップ76)。経過している場合には、「合計値」からオフセットIoffの1/Nの値を減算し、同時にiをインクリメントする(ステップ77)。つまり、ステップ76とステップ77により、「合計値」は、積分開始時点からT・i/Nの時間経過する毎に、Ioff/Nずつ減算されることになる。この減算により、オフセット成分は図4(e)のような、被計測信号のN倍の周波数と、1/Nの振幅をもつ信号に変換される。表現を変えれば、合計値は、「積分開始時点から現時点までの前記誘導電圧信号の積分値と所定値との合計値であって、前記所定値は、前記積分開始時点で0あり、かつ、被計測信号の周期の1/N毎に、前記オフセットの1/Nずつ減少する値」ということができる。
求めた合計値は、電圧信号Vと積和演算する(ステップ78)。ステップ73から78までをiがNより大きくなるまで繰り返す(ステップ79)。つまり、被計測信号の1周期が経過するまで繰り返す。1周期経過したときの「合計値」をサンプリング数Lで除算した値が、電力Wとなる。次に、この電力演算を連続して所定期間繰り返す(ステップ80)。求められた電力Wを積分して電力量Pを求める(ステップ81)。
このように、上述のソフトウェア処理では、「合計値」とループカウンタiのみで、オフセット成分を被計測信号のN倍の周波数の信号に変換することができる。
なお、特許請求の範囲に記載された電流の瞬時値の計測方法は、図7のフローチャートで例示した計測方法のみならず、図1の電力量計3の動作で説明した計測方法も含む概念であることに留意されたい。このことは、図1の電力量計3の積分回路13a、13b、13c、13d、初期値設定回路14a、14b、14c、14dおよびセレクタ15の動作が、請求中の「積分開始時点から現時点までの前記誘導電圧信号の積分値と所定値との合計値を出力する積分ステップであって、前記所定値は、前記積分開始時点で0あり、かつ、被計測信号の周期の1/N(Nは2以上の自然数)毎に、前記オフセットの1/Nずつ減少する値である、前記積分ステップ」に相当することから明らかである。
次に、本発明に係る別の実施態様である実効値電流計4aの概略構成図を図2Aに示す。実効値電流計4aは、図12で示した電流センサ回路1’’と、電流センサ回路1’’から出力された電流の瞬時値Iのうち、被計測信号の4倍の高周波成分を抑制するローパスフィルタ20と、ローパスフィルタの出力信号を二乗平均平方根演算する演算回路21とを備えている。
電流センサ回路1’’と電流センサ回路1とは、初期値設定回路14a'、14b'、14c'、14d’の機能が相違する。初期値設定回路14a'は、制御回路19’の指令に応じて、入力値を0倍または−1/8倍して出力する回路である。予備計測段階では、初期値設定回路14a'の倍率を0倍に設定してオフセットIoffを求める。また、本計測段階では、制御回路19からの指令に応じて、初期値設定回路14a'の倍率を−1/8倍に設定して、予備計測段階で求めたオフセットIoffを−1/8倍した値を出力する。初期値設定回路14b'、14c'、14d’は、制御回路19からの指令に応じて、予備計測段階で求めたオフセットIoffを入力し、それぞれ−3/8倍、−5/8倍、−7/8倍した値を出力する回路である。
本計測段階で積分器13aの初期値が−Ioff/8に設定されていることから、電力計測を繰り返す際には、積分器13aは前の周期で得られた積分回路13aの積分値を8/7倍してから、初期値設定回路14a、14b、14c、14dの入力値として与える必要がある。
その他の電流センサ回路1’’の構成要素の動作や制御は、電流センサ回路1と同じである。
図13(a)、(b)、(c)、(d)に、積分回路13a、13b、13c、13dの出力信号I1、I、I、Iおよびセレクタ15からの出力信号の時間的な変化を示す。出力信号I、I、Iのオフセット成分は、出力信号Iと比較すると、−Ioff/4の値ずつ平行移動したものとなっていることがわかる。そして、出力信号I1、I、I、Iは、積分開始時点からそれぞれT/8、3T/8、5T/8、7T/8経過した時点で、ゼロ点をクロスする波形となっている。また、セレクタ15からの出力信号Iのオフセットの最大値はIoff/8に最小値は−Ioff/8となり、変換前のオフセットの大きさIoffの1/4の大きさに抑制されている。
図13(e)に示したように、電流センサ回路1の出力Iのうちオフセット成分41e’は、被計測信号の4倍の周波数を有する三角波となる。このため、ローパスフィルタにより4倍の周波数成分を減衰させることにより、被計測信号に対応する信号成分40eのみを取り出すことができる。このとき、オフセット成分41e’は、フィルタリングした電流の瞬時値Iでは平均値の大きさをもつ直流成分となって現れる。図13(e)から明らかなように、オフセット成分41e’の三角波は、0Vを中心とした対称波形となっていることから、平均値は0となる点に留意されたい。
フィルタリングした電流の瞬時値Iを、演算回路21により(7)式の演算を行うことにより、被計測信号の電流の実効値を求めることができる。なお、演算回路21で(6)式の演算も実行すれば、電流の実効値とともに電力Wも求めることができる。
Figure 0005144399
ここで、ΔΣ変調方式のA/D変換器は変調器のビットストリームデータをデジタルローパスフィルタを通して出力することで、A/D変換器時に発生する高調波ノイズを減衰させることができるという効果がある。電流センサ回路1では、A/D変換器12aのビットストリームデータを積分するため、ローパスフィルタ同様の効果が得られるが、一次のフィルタ効果のみとなる。ΔΣ変調器は一般的に更に高次なローパスフィルタを使用している。ローパスフィルタは周波数が高いほど大きな減衰効果が得られるため、オフセット成分を十分減衰できる高い周波数にして除去することが望ましい。すなわち、電流センサ回路1’’で、オフセット成分を被計測信号のN倍の周波数にし、振幅を1/Nの信号に変換することにより、さらにオフセット成分に起因する計測誤差を小さくすることができる。このような構成とすることにより、電流センサ回路1の後段にローパスフィルタ20を追加する必要がなくなるため、装置構成を簡素化することができる。
以上、本発明を利用した実効値電流計4aの例について説明を行ったが、本発明の属する分野における当業者には、請求項の趣旨及び範囲から離れることなく様々な変更及び改変を加えることが出来ることは明らかであろう。
例えば、実効値電流計4aのデジタル信号処理部分(積分回路13a、13b、13c、13d以降の信号処理回路)を、図8のようなソフトウェア処理に置き換えることが可能である。なお、図8のフローチャートでは、図7と同じ処理については同じ参照番号を附した。
まず、予備計測段階として、被計測信号の周期Tとゼロクロス点を求め、ゼロクロス点を積分開始点に設定する(ステップ70)。また、誘導電圧信号を積分開始点から周期Tの期間、積分してオフセットIoffを求める(ステップ71)。
次に、本計測段階では、まず、セレクタ15の出力Iに相当するパラメータである「合計値」を0に、ループカウンタiを1に、それぞれ初期化する(ステップ72)。次に、コイル10により誘導電圧(電流の微分)を測定し(ステップ73’)、測定した値をA/D変換器12aでデジタル値に変換する(ステップ74)。変換された誘導電圧のデジタル値を「合計値」に加算する(ステップ75)。次に、現時点が積分開始時点からT・i/Nだけ経過したか否かを判定する(ステップ76)。経過している場合には、「合計値」からオフセットIoffの(2i−1)/2Nの値を減算し、同時にiをインクリメントする(ステップ77’)。こうして求めた合計値(電流の瞬時値I)をメモリに格納する(ステップ85)。
ステップ73から78までをiがNより大きくなるまで繰り返す(ステップ79)。つまり、被計測信号の1周期が経過するまで繰り返す。1周期経過したら、メモリに格納された電流の瞬時値Iをデジタルフィルタでフィルタリングして、被計測信号の周波数のN倍の周波数成分を減衰させる(ステップ86)。その後、フィルタリングした電流の瞬時値Iを(7)式の演算を行って電流の実効値を求める(ステップ87)。
図8の方法では、フィルタリングを行うために、1周期内でサンプリングされた「合計値」のすべてを一旦メモリに格納しておく必要がある。このため、サンプリング数Lに応じたメモリが必要となる。
さらに、本発明に係る別の実施態様である実効値電流計4bの概略構成図を図2Bに示す。実効値電流計4bは、N段の電流センサ回路1aと、M段の電流センサ回路1bと、電流センサ回路1a、1bから出力されたそれぞれの電流の瞬時値Ion、Iomを、(8)式の積和演算を行って電流の実効値を求める積和演算回路22とを備えている。
Figure 0005144399
(5)式で説明したとおり、異なる周波数をもつオフセット成分を乗算して積分すると、オフセット成分による誤差をキャンセルすることができる。このため、電流センサ回路1a、1bの出力信号Ion、Iomをフィルタリングせずにそのまま積和演算しても、オフセット成分がキャンセルされた電流の実効値を得ることができる。
なお、電流センサ回路1a、1bのオフセット成分は三角波に変換されるが、三角波は奇数調波の高調波成分を含む。このため、NとMの一方が他方の奇数倍になっていると出力Ion、Iomの高調波成分が一致して、キャンセルされないで誤差成分が残ってしまう。このため、MとNの選択にあたっては、一方が他方の奇数倍とならないように選択することが望ましい。
また、電流センサ回路1a、1bの構成要素のうち積分回路の前段部分、すなわちコイル10、電圧増幅器11a、およびA/D変換器12aは共通化することにより、装置構成を簡素化することができる。さらに、NとMの値を、一方が他方の偶数倍に設定することにより、積分回路と初期値設定回路をも共通化することができる。すなわち、オフセット成分を変換する周波数が低い電流センサ回路が、周波数が高い電流センサ回路の積分回路の出力のうち、必要な出力のみをセレクタに入力するように設定すればよい。
例えば、N=4、M=2に設定した場合、電流センサ回路1aは図1の電流センサ回路と同一の構成になる。他方、電流センサ回路1bでは、積分回路13aの出力Iと13cの出力Iのみをセレクタに入力する。セレクタは、初期値が大きな積分回路から順に(すなわち積分回路13a、積分回路13cの順に)、周期Tの1/Mごとに(すなわち被計測信号の半周期ごとに)、選択して出力を行う。
図11に、(a)積分回路13aからの出力信号I1、(b)積分回路13cからの出力信号Iの時間的な変化、(c)セレクタからの出力信号Iの時間的変化を示す。出力信号Iomのオフセット成分は、被計測信号の周波数のM倍(2倍)、振幅が1/M(1/2)となっている。
以上、本発明を利用した実効値電流計4bについて説明を行ったが、本発明の属する分野における当業者には、請求項の趣旨及び範囲から離れることなく様々な変更及び改変を加えることが出来ることは明らかであろう。
例えば、実効値電流計4bのデジタル信号処理部分(積分回路以降の信号処理回路)を、図9のようなソフトウェア処理に置き換えることが可能である。なお、図9のフローチャートでは、図7と同じ処理については同じ参照番号を附した。
まず、予備計測段階として、被計測信号の周期Tとゼロクロス点を求め、ゼロクロス点を積分開始点に設定する(ステップ70)。また、誘導電圧信号を積分開始点から周期Tの期間、積分してオフセットIoffを求める(ステップ71)。
本計測段階では、まず、セレクタ15の出力Iに相当するパラメータである「合計値N」と「合計値M」を0に、ループカウンタi、jを1に、それぞれ初期化する(ステップ72’)。次に、コイル10により誘導電圧(電流の微分)を測定し(ステップ73’)、測定した値をA/D変換器12aでデジタル値に変換する(ステップ74)。変換された誘導電圧のデジタル値を「合計値N」と「合計値M」にそれぞれ加算する(ステップ75’)。次に、現時点が積分開始時点からT・i/Nの時間が経過した時点か否かを判定する(ステップ76a)。経過している場合には、「合計値N」からオフセットIoffの1/Nの値を減算し、同時にiをインクリメントする(ステップ77a)。また、現時点が積分開始時点からT・i/Mの時間が経過した時点か否かを判定する(ステップ76b)。経過している場合には、「合計値M」からオフセットIoffの1/Mの値を減算し、同時にjをインクリメントする(ステップ77b)。求めた「合計値M」および「合計値N」を積和演算する(ステップ78’)。
ステップ73’から78’までをiがNより大きくなるまで繰り返す(ステップ79)。つまり、被計測信号の1周期が経過するまで繰り返す。1周期経過したら、得られた積和演算結果をLで除して平方根をとり、すなわち(8)式の演算を行って電流の実効値を求める(ステップ90)。
以上、本発明に係る技術的思想を特定の実施態様を参照しつつ詳細にわたり説明したが、本発明の属する分野における当業者には、請求項の趣旨及び範囲から離れることなく様々な変更及び改変を加えることが出来ることは明らかである。
本発明に係る電力量計の概略構成図である。 本発明に係る実効値電流計の概略構成図である。 本発明に係る別の実効値電流計の概略構成図である。 被計測信号、誘導電圧信号とその積分信号の説明図である。 本発明に係る電流センサ回路中の信号の説明図である。 本発明に係る電力量計の積和演算回路への入力信号の説明図である。 従来技術で説明したバンドパスフィルタの回路図である。 本発明に係る電力量計のフローチャートである。 本発明に係る実効値電流計のフローチャートである。 本発明に係る別の実効値電流計のフローチャートである。 N段の電流センサ回路の概略構成図である。 本発明に係る電流センサ回路中の信号の説明図である。 図2Aの実効値電流計の電流センサ回路の概略構成図である。 図2Aの実効値電流計の電流センサ回路中の信号の説明図である。
符号の説明
1、1’、1’’、1a、1b 電流センサ回路
2 電力計
3 電力量計
4a、4b 実効値電流計
10 コイル
12a、12b A/D変換器
13a、13b、13c、13d、13n、18 積分回路
15 セレクタ
17、22 積和演算回路
20 ローパスフィルタ
21 二乗平均平方根演算回路

Claims (12)

  1. 被計測信号の電流の変化量に応じた誘導電圧信号を発生するコイルと、
    被計測信号の1周期に亘って前記誘導電圧信号を積分した値の1/N(Nは2以上の自然数)ずつ異なる値をそれぞれの初期値とし、被計測信号の1周期に亘って前記誘導電圧信号を積分するN個の積分手段と、
    前記積分手段の出力を、初期値が大きな積分手段から順に、被計測信号の周期の1/N毎に、択一的に選択して出力する出力選択手段と
    を備えた被計測信号の電流センサ回路。
  2. 前記誘導電圧信号をデルタシグマ変調器によりデジタル信号に変換するA/D変換手段をさらに備え、かつ、
    前記積分手段がアップダウンカウンタにより構成されている請求項1に記載の電流センサ回路。
  3. 請求項1または2に記載の電流センサ回路と、
    被計測信号の電圧を測定する電圧測定手段と、
    前記電流センサ回路と前記電圧測定手段のそれぞれの出力信号を積和する積和手段と、
    を備えた電力計。
  4. 請求項3に記載の電力計を備えた電力量計。
  5. 請求項1または2に記載の電流センサ回路と、
    前記電流センサ回路の出力信号のうち、被計測信号のN倍の高周波成分を減衰させるローパスフィルタと、
    前記ローパスフィルタの出力信号を二乗平均平方根演算する演算手段と、
    を備えた実効値電流計。
  6. 被計測信号の電流の変化量に応じた誘導電圧信号を発生するコイルと、
    被計測信号の1周期に亘って前記誘導電圧信号を積分した値の1/N(Nは2以上の自然数)ずつ異なる値をそれぞれの初期値とし、被計測信号の1周期に亘って前記誘導電圧信号を積分するN個の第1の積分手段と、
    前記第1の積分手段の出力信号を、初期値が大きな積分手段から順に、被計測信号の周期の1/N毎に、択一的に選択して出力する第1の出力選択手段と、
    被計測信号の1周期に亘って前記誘導電圧信号を積分した値の1/M(Mは2以上の自然数、かつ、M及びNは、その一方が他方の偶数倍)ずつ異なる値をそれぞれの初期値とし、被計測信号の1周期に亘って前記誘導電圧信号を積分するM個の第2の積分手段と、
    前記第2の積分手段の出力信号を、初期値が大きな積分手段から順に、被計測信号の周期の1/M毎に、択一的に選択して出力する第2の出力選択手段と、
    前記第1および第2の出力選択手段のそれぞれから出力された信号を積和演算する演算手段と、
    を備えた実効値電流計。
  7. 被計測信号の電流の変化量に応じた誘導電圧信号を生成する誘導電圧測定ステップと、
    被計測信号の1周期に亘って前記誘導電圧信号を積分してオフセットを求めるオフセット計測ステップと、
    積分開始時点から現時点までの前記誘導電圧信号の積分値と所定値との合計値を出力する積分ステップであって、前記所定値は、前記積分開始時点で0あり、かつ、被計測信号の周期の1/N(Nは2以上の自然数)毎に、前記オフセットの1/Nずつ減少する値である、前記積分ステップと、
    を含む被計測信号の電流の瞬時値の計測方法。
  8. 前記誘導電圧信号をデルタシグマ変調によりデジタル信号に変換するステップをさらに含み、かつ、
    前記積分ステップが、前記デジタル信号に基づきカウンタをカウントアップまたはカウントダウンするステップを含む請求項7に記載の電流測定方法。
  9. 請求項7または8に記載の測定方法により、被計測信号の電流の瞬時値を測定するステップと、
    被計測信号の電圧の瞬時値を測定するステップと、
    前記電流の瞬時値と前記電圧の瞬時値とを積和して電力を求める積和ステップと、
    を含む被計測信号の電力計測方法。
  10. 請求項9に記載の電力計測方法により、被計測信号の電力を求めるステップと、
    前記電力を所定期間に亘って積分して電力量を求めるステップと、
    を含む被計測信号の電力量計測方法。
  11. 請求項7または8に記載の測定方法により、被計測信号の電流の瞬時値を測定するステップと、
    前記電流の瞬時値のうち、被計測信号のN倍の高周波成分をフィルタリングするステップと、
    前記フィルタリングした電流の瞬時値を二乗平均平方根演算して電流の実効値を求めるステップと、
    を含む電流の実効値の計測方法。
  12. 被計測信号の電流の変化量に応じた誘導電圧信号を生成する誘導電圧測定ステップと、
    被計測信号の1周期に亘って前記誘導電圧信号を積分してオフセットを求めるオフセット計測ステップと、
    積分開始時点から現時点までの前記誘導電圧信号の積分値と第1の所定値とをあわせた第1の合計値を出力する第1の積分ステップであって、前記第1の所定値は、前記積分開始時点で0あり、かつ、被計測信号の周期の1/N(Nは2以上の自然数)毎に、前記オフセットの1/Nずつ減少する値である、前記第1の積分ステップと、
    積分開始時点から現時点までの前記誘導電圧信号の積分値と第2の所定値とをあわせた第2の合計値を出力する第2の積分ステップであって、前記第2の所定値は、前記積分開始時点で0あり、かつ、被計測信号の周期の1/M(Mは2以上の自然数、かつ、M及びNは、その一方が他方の偶数倍)毎に、前記オフセットの1/Mずつ減少する値である、前記第2の積分ステップと、
    前記第1および第2の合計値を積和する積和ステップと、
    を含む被計測信号の電流の実効値の計測方法。
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