JP5142875B2 - センタレス研削用調整車ドラム - Google Patents

センタレス研削用調整車ドラム Download PDF

Info

Publication number
JP5142875B2
JP5142875B2 JP2008196572A JP2008196572A JP5142875B2 JP 5142875 B2 JP5142875 B2 JP 5142875B2 JP 2008196572 A JP2008196572 A JP 2008196572A JP 2008196572 A JP2008196572 A JP 2008196572A JP 5142875 B2 JP5142875 B2 JP 5142875B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
drum
angle
thread groove
workpiece
grinding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008196572A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010030003A (ja
Inventor
郁夫 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp filed Critical NTN Corp
Priority to JP2008196572A priority Critical patent/JP5142875B2/ja
Publication of JP2010030003A publication Critical patent/JP2010030003A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5142875B2 publication Critical patent/JP5142875B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Grinding Of Cylindrical And Plane Surfaces (AREA)

Description

この発明は、例えば、円錐ころ軸受の円錐ころのような、円錐形状ワークの外径のスルーフィードセンタレス研削に用いられるねじ状調整車ドラムに関し、円錐形状ワーク外径の真円度や面粗さ等の加工精度を向上させるセンタレス研削用調整車ドラムに関するものである。
従来、円錐形状ワークの外径を、ストレートに研削するスルーフィードセンタレス研削が実用に供されている(特許文献1〜3)。図10に示すように、このスルーフィードセンタレス研削で用いる調整車ドラム1において、傾斜溝2の各周の軸方向同一箇所を繋ぐ包絡線L1は、通常、真直ぐである。また、ワークWaが仕上げられる最終領域近くであるいわゆるスパークアウト研削領域を得るため、図11に示すように、研削砥石3の砥石形状を、例えば、径方向外方に凸となるR形状にする場合がある。
なお、ワークWaの研削状態では機械や砥石が弾性変形しており、砥石の切り込みを停止させて弾性変形の回復による微小な研削状態を通常スパークアウト研削と呼ぶが、スルーフィードセンタレス研削においても微小研削領域となる、ワークWaが仕上げられる最終領域近くをスパークアウト研削領域と呼び、これによりワークWaの真円度や面粗度を向上させる。
特許第3772955号公報 特許第3871015号公報 特許第3888469号公報
従来のスルーフィードセンタレス研削に用いられる調整車ドラムの包絡線は、図10に示すように真直ぐであり、スパークアウト研削領域を確保することができない。この場合におけるワーク寸法変化は、図12に示すように、研削砥石入口から出口にわたる研削砥石幅に対し、直線となる。この状態では、研削加工におけるスパークアウト研削領域がない。そのため、ワークの真円度や面粗さを良くすることができない。
また、スパークアウト研削領域を得るため、図11に示すように、研削砥石3の外周面3aの砥石形状を、例えば、径方向外方に凸となるR形状にする場合、次のような問題がある。ワーク型番毎にワーク取代Wtの違いがあるため、ドレッサーのテンプレート等の変更によりワーク型番毎に砥石形状を変更する必要がある。したがって、砥石形状を変更するためのドレッシングによる砥石損耗量の増加、およびそのための工数(ドレッシング作業、テンプレートの交換等)の増加が生じる。
この発明の目的は、スパークアウト研削領域を確保でき、円錐形状ワークの真円度、面粗さを向上させることができ、かつ工数の低減を図ることができるセンタレス研削用調整用ドラムを提供することである。
この発明のセンタレス研削用調整用ドラムは、スルーフィードセンタレス研削用の調整車ドラムであって、螺旋状に続くねじ溝を外周に有し、このねじ溝の各周の底面が円錐形状部を成し、円錐形状部間に鍔部を有し、ドラム軸芯回りに回転駆動されて円錐形状ワークを前記ねじ溝の底面に転接させる回転自在な調整車ドラムにおいて、前記ねじ溝の各周の底面と、前記ドラム軸芯とのなす角度が、ドラム全域において同一角度であり、この調整車ドラムをドラム軸芯を含む任意の仮想平面で切断した断面において、前記ねじ溝の各周の軸方向同一箇所をドラム軸芯方向に沿って繋ぐ包絡線が、ドラム軸芯方向にわたり径方向外方に突出する凸の曲線である
ことを特徴とする。
この構成によると、円錐形状ワークは、調整車ドラムのねじ溝の底面に転接するように調整車ドラムおよび板状部材等で支持された状態で、回転駆動される研削砥石によって前記円錐形状ワークの外周面が研削される。
特に、前記ねじ溝の各周の底面と、前記ドラム軸芯とのなす角度を、ドラム全域において同一角度にし、且つ、前記ねじ溝の各周の軸方向同一箇所をドラム軸芯方向に沿って繋ぐ包絡線が、ドラム軸芯方向にわたり径方向外方に突出する凸の曲線にすることにより、研削当りにおける切込みがゼロに近いスパークアウト研削領域を確保できる。したがって、円錐形状ワークの真円度および面粗さ等の加工精度を向上させることができる。この場合、円錐形状ワークの型番毎に研削砥石の形状を変更する必要がないため、砥石形状を変更するためのドレッシングによる砥石摩耗量が増加することがなく、そのための工数も低減することができる。それ故、円錐形状ワークの生産効率を高めることができ、製造コストの低減を図ることができる。
前記包絡線が円弧であっても良い。このように包絡線の円弧形状にすることにより、所望のスパークアウト研削領域を得ることができる。
前記ねじ溝に転接させる円錐形状ワークの外周面を研削する研削砥石に対し、前記ドラム軸芯から径方向外方に最も離れたねじ溝の位置を、同研削砥石における、円錐形状ワークの搬送方向下流側端または搬送方向下流側端付近としても良い。前記研削砥石に対し、ドラム軸芯から径方向外方に最も離れたねじ溝の位置、いわゆる包絡線の頂点位置を、円錐形状ワークの搬送方向下流側端にすると、円錐形状ワークが搬送方向上流側から下流側に搬送されるに従って、ワーク取代を次第に小さくすることができる。したがって、円錐形状ワークの搬送方向下流側において、スパークアウト研削を行うことができる。包絡線の頂点位置を、搬送方向下流側端付近つまり研削砥石のワーク出口側端より僅かに内側にすると、円錐形状ワークの搬送方向下流側において、スパークアウト研削を行うことができるうえ、スパークアウト研削後の円錐形状ワークの逃げをスムーズにでき、砥石エッジによる傷の発生等を未然に防止することができる。
前記円錐形状ワークの外周面が研削する取代に応じた、包絡線形状であっても良い。このような包絡線形状の調整車ドラムにすることで、研削砥石の外周面を平坦なものとすることができ、円錐形状ワークの型番毎に変更されない。換言すれば、研削砥石の汎用性を高め、円錐形状ワークの型番変更に伴う工数を低減することができる。
前記ねじ溝の円錐形状部に当接する基準面と鍔部の一側面に当接する端面とを有する治具本体と、この治具本体に設けられ前記基準面に対する垂直方向の距離を測定する測定ゲージとを備えた測定治具を用いて、ねじ溝の底面とドラム軸芯とのなす角度が求められるようにしても良い。この測定治具の基準面を調整車ドラムの所定の円錐形状部に当て、他の円錐形状部に測定ゲージの測定子を当て、前記基準面を当てた円錐形状部と、測定ゲージを当てた円錐形状部との平行段差を測定する。この平行段差の測定値と、ねじ溝のリードとから、ねじ溝の底面の傾斜角度を求める。このような測定治具を用いると、この基準面を円錐形状部に押し当て操作等するだけで、前記平行段差を正確かつ容易に測定することができ、よって、ねじ溝の底面の傾斜角度を正確かつ容易に求めることが可能となる。
前記ドラム軸芯から径方向外方に最も離れたねじ溝の底面に、治具本体の基準面を押し当てると共に、前記底面に続く鍔部の一側面に、前記治具本体の端面を押し当て、測定ゲージにより測定される測定値から、一の円錐形状部から他の円錐形状部までの平行段差である第1のドラム角段差を求め、前記治具本体を、前記測定値を得た位置よりも1リード分ずれたねじ溝の底面に、同治具本体の基準面を押し当てると共に、前記底面に続く鍔部の一側面に、前記治具本体の端面を押し当て、ドラム軸芯から径方向外方に最も離れたねじ溝の底面に、測定ゲージの測定子を当接させて測定される測定値から、一の円錐形状部から他の円錐形状部までの平行段差である第2のドラム角段差を求め、これら第1および第2のドラム角段差より求められる角度を、ドラム軸芯に対するねじ溝の底面の角度としても良い。
「平行段差」は、一の円錐形状部から他の円錐形状部までの略平行な段差をも含む。
前記包絡線が、ドラム軸芯方向にわたり径方向外方に突出する凸の曲線であるため、ドラム角段差は、測定位置により変化する。しかし、円錐形状ワークの頂角に関係する最終仕上がり部であるワーク出口付近で前記ドラム角段差を測定すれば良い。また、包絡線のクラウニング曲率が非常に大きい場合等は、この包絡線のクラウニング頂点付近では、クラウニングによるドラム角段差への影響は小さいので、径方向外方に最も離れたねじ溝の底面に、治具本体の基準面を押し当てると共に、前記底面に続く鍔部の一側面に、治具本体の端面を押し当てて第1のドラム角段差を求める。また、治具本体の基準面を、1リード分ずれたねじ溝の底面に押し当てると共に、前記底面に続く鍔部の一側面に前記治具本体の端面を押し当て、径方向外方に最も離れたねじ溝の底面に測定子を当接させて第2のドラム角段差を求める。これらドラム角段差より、所望のねじ溝の底面の角度を求めることができる。
前記ドラム軸芯から径方向外方に最も離れたねじ溝の底面より、1/2リード分ずれた底面に、治具本体の基準面を押し当てると共に、前記底面に続く鍔部の一側面に、前記治具本体の端面を押し当て、測定ゲージにより測定される測定値から、一の円錐形状部から他の円錐形状部までの平行段差であるドラム角段差を求め、このドラム角段差より求められる角度を、ドラム軸芯に対するねじ溝の底面の角度としても良い。この場合、調整車ドラムの凸の曲線の突出量、いわゆるクラウニング量に影響されずに、ドラム角段差をより正確に求めることができる。
前記ドラム軸芯から径方向外方に最も離れたねじ溝の底面と、この底面に続く鍔部の一側面との交点をドラム軸芯方向位置の基準位置とし、任意のねじ溝の底面に、治具本体の基準面を押し当てると共に、前記底面に続く鍔部の一側面に、前記治具本体の端面を押し当て、測定ゲージにより測定される測定値からドラム角段差を求め、このドラム角段差と、前記基準位置からの軸方向距離とから求められる曲率を、前記包絡線のクラウニング曲率としても良い。このようなクラウニング曲率を得た調整車ドラムを用いて、円錐形状ワークを研削し、この円錐形状ワークの真円度および面粗さ等の加工精度を容易に向上させることができる。
この発明のセンタレス研削用調整車ドラムは、スルーフィードセンタレス研削用の調整車ドラムであって、螺旋状に続くねじ溝を外周に有し、このねじ溝の各周の底面が円錐形状部を成し、円錐形状部間に鍔部を有し、ドラム軸芯回りに回転駆動されて円錐形状ワークを前記ねじ溝の底面に転接させる回転自在な調整車ドラムにおいて、
前記ねじ溝の各周の底面と、前記ドラム軸芯とのなす角度が、ドラム全域において同一角度であり、この調整車ドラムをドラム軸芯を含む任意の仮想平面で切断した断面において、前記ねじ溝の各周の軸方向同一箇所をドラム軸芯方向に沿って繋ぐ包絡線が、ドラム軸芯方向にわたり径方向外方に突出する凸の曲線であるため、スパークアウト研削領域を確保でき、円錐形状ワークの真円度、面粗さを向上させることができ、かつ工数の低減を図ることができる。
この発明の一実施形態を図1ないし図5と共に説明する。この実施形態に係る調整車ドラムは、例えば、円錐ころ軸受の円錐ころの外周面をスルーフィードセンタレス研削する際に用いられる。以下の説明は、調整車ドラムの円錐形状部の傾斜角度を測定する測定方法についての説明をも含む。円錐形状ワークの外周面をスルーフィードセンタレス研削するスルーフィードセンタレス研削装置は、図1、図2に示すように、主に、前記調整車ドラム10と、ブレード11(図2)と、研削砥石12とを備えている。これらのうち調整車ドラム10の軸芯つまりドラム軸芯Djと、研削砥石12の軸芯Kjとが略平行になるように配置される。
調整車ドラム10の概略構成について説明する。
調整車ドラム10はドラム軸13の外周に取り付けられる。この調整車ドラム10は、螺旋状に続くねじ溝10aを外周に有し、このねじ溝10aの各周の底面10aaが円錐形状部を成し、ドラム軸13のドラム軸芯Dj回りに回転駆動される。この調整車ドラム10は、円錐形状ワークからなるワークWをねじ溝10aの底面10aaに転接させる回転自在な構成である。前記ねじ溝10aの底面10aaは、螺旋状の鍔部10bによって区画形成され、螺旋状に続く円錐形状に形成されている。
図2に示すように、前記ブレード11は板状に形成される板状部材である。この板状部材の少なくとも上端縁部11aを、調整車ドラム10と研削砥石12との間に介在させてこの上端縁部11aに沿ってワークWを支持する。またブレード11は、前記ねじ溝10aの底面10aaにワークが転接するように、このワークWの外周面を支持する。なお、ブレード11の上方で且つワークWの上には、ワークWの飛び上がりを防止する図示外のトッププレートが設けられている。
前記研削砥石12は、円筒形状に形成され、調整車ドラム10と略平行な軸芯回りで回転駆動され、調整車ドラム10およびブレード11で支持されたワークWの外周面を研削する。つまりワークWの外径は、ねじ溝10aおよび鍔部10bを有する調整車ドラム10と、研削砥石12の外周面との間にワークWを通すことにより研削される。図1に示すように、研削砥石12の外周面は、平面視において平坦であり、ワークWの型番毎に変更されない。
調整車ドラム10の詳細構成について説明する。
図3に示すように、ねじ溝10aの各周の底面10aaと、ドラム軸芯Djとのなす角度δdは、ドラム全域において同一角度である。この角度δdを「ドラム角δd」と称す。
この調整車ドラム10をドラム軸芯Djを含む任意の仮想平面で切断した断面において、前記ねじ溝10aの各周の軸方向同一箇所をドラム軸芯方向に沿って繋ぐ包絡線L2が、ドラム軸芯方向にわたり径方向外方に突出する凸の曲線となるように、この調整車ドラム10が形成されている。図1、図3に示すように、前記包絡線L2は円弧でありこのクラウニング曲率Rscは、研削砥石12の砥石幅H1内におけるねじ溝10aの包絡線L2のワーク入口側開き量が、ワーク外径取代Wt程度になる曲率に設定している。また図1に示すように、ドラム軸芯方向に並ぶ複数の鍔部10bの外径を繋ぐ包絡線L3は、ねじ溝10aの各周の軸方向同一箇所をドラム軸芯方向に沿って繋ぐ包絡線L2と同一形状に形成されている。
また図1に示すように、研削砥石12に対し、ドラム軸芯Djから径方向外方に最も離れたねじ溝10aの位置P1を、同研削砥石12における、円錐形状ワークつまりワークWの搬送方向下流側端または搬送方向下流側端付近としている。これらの場合、ワークWの外周面の寸法変化を、図4、図5に示すように滑らかな曲線にすることができる。図1に示すように、包絡線L2を径方向外方に突出する凸の曲線としたうえで、径方向外方に最も離れたねじ溝10aの位置P1を前記のように規定したため、スパークアウト研削領域SAを設けることができる。前記径方向外方に最も離れたねじ溝10aの位置P1とは、前記包絡線L2のいわゆる頂点位置と同義である。この包絡線L2の頂点位置は、図4に示す研削砥石12におけるワークWの搬送方向下流側端よりも、図5に示す搬送方向下流側端付近つまり研削砥石12のワーク出口側端よりも僅かに上流側(内側)にあることがより望ましい。その理由は、スパークアウト研削後のワークWの逃げをスムーズにでき、研削砥石12の砥石エッジによる傷の発生等を未然に防止できるためである。
調整車ドラム10のドラム角δdの測定方法について説明する。
図3に示すように、測定治具14を用いて前記ドラム角δdが測定され得る。測定治具14は、底面が基準面15aとなる治具本体15、および前記基準面15aに対する垂直方向の距離を測定する測定ゲージ16を備える。治具本体15のうち前記基準面15aに続く端面15bが、鍔部10bの一側面10baに当接可能に形成されている。この端面15bは、基準面15aに垂直に形成されている。
測定ゲージ16は針状測定子16aとメータ16bとを有する。これらのうち測定子16aは、治具本体15に基準面15aに対する垂直方向の移動が可能な状態で保持されている。メータ16bは、この測定子16aの移動距離を示す。
図3に示すように、基準面15aをねじ溝10aの底面10aa−1に当て、軸芯方向に隣接するねじ溝10aの底面10aa−2に測定子16aを当てる。このときの測定子16aを底面10aa−2に当てるに要する基準面15aに対する距離をメータ16bから読み取り、これをねじ溝10aの底面10aa−1,10aa−2間の平行段差Hdとする。ねじ溝10aのリードLdは、設計値として予め定められているから、前記ドラム角δdは次式(1)により求められる。
δd=sin−1(Hd/Ld) ……(1)
前記平行段差Hdの測定は、基準面15aをねじ溝10aの底面10aa−1に当てたうえで隣接するねじ溝10aの底面10aa−2に測定子16aを当てるだけでなされるから、その操作は極めて容易であり、ねじ溝10aの底面10aaに基準面15aを当てることができれば、その操作は極めて容易である。また、ねじ溝10aの底面10aaに基準面15aを当てることができれば、その長さに影響を受けずに正確に平行段差Hdを測定することができる。この平行段差Hdの測定に際しては、治具本体15または測定ゲージ16を、調整車ドラム10の円周方向に振りながら測定し、その測定値の最大値を平行段差Hdとする。この最大値は、ねじ溝10aの底面10aaの接線位置での測定値に相当することになるから、得られた平行段差値Hdは、高度に正確なものである。
ここで、前述の包絡線L2は径方向外方に突出する凸の曲線であるため、ドラム角δdの平行段差Hd(ドラム角段差Hd)は、測定位置により変化する。しかし、円錐形状ワークの頂角に関係する最終仕上がり部であるワーク出口付近でドラム角段差Hdを測定すれば良い。
具体的には、図3に示すように、ドラム軸芯Djから径方向外方に最も離れたねじ溝10aの底面10aaより、1/2リード分搬送方向下流側にずれた底面10aa−1に、治具本体15の基準面15aを押し当てる。これと共に、前記底面10aa−1に続く鍔部10bの一側面10baに、治具本体15の端面15bを押し当てる。さらに1/2リード分ずれた搬送方向上流側にずれたねじ溝10aの底面10aa−2に、測定ゲージ16の測定子16aを当てることにより、包絡線L2のクラウニング量に影響されずにドラム角段差Hd、すなわちドラム角δdが測定できる。
なお、包絡線L2のクラウニング曲率Rscが非常に大きい場合(クラウニング曲率Rscが非常に大きい場合とは、例えば、クラウニングR200,000mmである。ワークの取代、砥石幅によるが、R200,000mmくらいより大きい場合は、クラウニング曲率の頂点付近(±1リード内)ではHdxの差が小さい(例えば、0.003以内)、即ちドラム角の差が小さいので、許容できる。)等は、包絡線L2のクラウニング頂点付近ではクラウニングによるドラム角段差Hdへの影響は小さい。このため、図6に示すように、ドラム軸芯Djから径方向外方に最も離れたねじ溝10aの底面10aa−1に治具本体15を押し当てると共に、前記底面10aa−1に続く鍔部10bの一側面10baに前記治具本体15の端面15bを押し当て、ドラム角段差Hdを測定する状態と、図7に示すように、前記ねじ溝10aの底面10aa−1の位置よりも1リード分ずれたねじ溝10aの底面10aa−2に治具本体15を押し当てると共に、前記底面10aa−2に続く鍔部10bの一側面10baに前記治具本体15の端面15bを押し当てたうえで、ドラム軸芯Djから径方向外方に最も離れたねじ溝10aの底面10aa−1に、測定ゲージ16の測定子16aを当て、ドラム角段差Hdを測定する状態との間の測定状態としても良い。
図8に示すように、ねじ溝10aの底面10aaのうち、包絡線L2の頂点Paから軸芯方向に離れたドラム角段差Hdxを測定することにより、ねじ溝10aの各周の軸方向同一箇所を繋ぐ包絡線L2のクラウニング曲率Rscを求めることができる。
これを関係図を示す図9と共に説明する。
ドラム軸芯から径方向外方に最も離れたねじ溝10aの底面10aaと、この底面10aaに続く鍔部10bの一側面10ba(これを「鍔面10ba」と称す)との交点、言い換えれば、鍔面10baと傾斜溝との交点Pの包絡線L2の頂点Paを軸方向の基準にする。この頂点Paから包絡線L2上の任意の点Px1までの軸方向距離をLsx1とし、包絡線L2上の次の任意の点Px2までの軸方向距離をLsx2とすると、次の式が得られる。
Hd=Ld・sinδd ・・・・・(2)
Δdw1=Rsc−√(Rsc−Lsx1) ・・・・・(3)
Δdw2=Rsc−√(Rsc−Lsx2) ・・・・・(4)
Hdx=Hd−(Δdw2−Δdw1)・cosδd ・・・・・(5)
ここでねじ溝10aのリードを Ld、頂点Paから点Px1までの径方向距離を Δdw1、頂点Paから点Px2までの径方向距離を Δdw2とする。
式(3)、(4)を式(5)に代入し、
〔√(Rsc−Lsx1)−√(Rsc−Lsx2)〕=(Hd−Hdx)/cosδd
両辺を2乗し、
2・Rsc−Lsx1−Lsx2−(Hd−Hdx)/cosδd=2・√{(Rsc−Lsx1)・(Rsc−Lsx2)}
両辺を2乗し、クラウニング曲率:Rscを求めると、
Rsc=√〈〔{Lsx1+Lsx2+(Hd−Hdx)/cosδd}−4・Lsx1・Lsx2〕/〔4・(Hd−Hdx)/cosδd〕〉・・・・・(6)
式(6)にて、測定されたドラム角段差Hdxより、クラウニング曲率:Rscを求めることができる。このようなクラウニング曲率Rscを得た調整車ドラム10を用いて、ワークWの外周面を研削し、このワークWの真円度および面粗さ等の加工精度を容易に向上させることができる。
以上説明した構成によれば、ワークWは、調整車ドラム10のねじ溝10aの底面10aaに転接するように調整車ドラム10およびブレード11で支持された状態で、回転駆動される研削砥石12によって前記ワークWの外周面が研削される。特に、前記ねじ溝10aの各周の底面10aaと、ドラム軸芯Djとのなす角度δdを、ドラム全域において同一角度にし、且つ、前記ねじ溝10aの各周の軸方向同一箇所をドラム軸芯方向に沿って繋ぐ包絡線L2が、ドラム軸芯方向にわたり径方向外方に突出する凸の曲線にすることにより、研削当りにおける切込みがゼロに近いスパークアウト研削領域SAを確保できる。したがって、円錐形状ワークの真円度および面粗さ等の加工精度を向上させることができる。この場合、円錐形状ワークの型番毎に研削砥石12の形状を変更する必要がないため、砥石形状を変更するためのドレッシングによる砥石摩耗量が増加することがなく、そのための工数も低減することができる。それ故、円錐形状ワークの生産効率を高めることができ、製造コストの低減を図ることができる。
前記包絡線L2を円弧形状にすることにより、所望のスパークアウト研削領域SAを得ることができる。研削砥石12に対し、包絡線L2の頂点位置を円錐形状ワークの搬送方向下流側端、つまり研削砥石12のワーク出口側端にすると、ワークWが搬送方向上流側から下流側に搬送されるに従って、ワーク取代を次第に小さくすることができる。したがって、図4に示すように、ワークWの搬送方向下流側において、スパークアウト研削を行うことができる。
包絡線L2の頂点位置を、搬送方向下流側端付近つまり研削砥石12のワーク出口側端より僅かに内側にすると、図5に示すように、ワークWの搬送方向下流側において、スパークアウト研削を行うことができるうえ、スパークアウト研削後のワークWの逃げをスムーズにでき、砥石エッジによる傷の発生等を未然に防止することができる。
調整車ドラム10を、ワークWの外周面を研削する取代に応じた包絡線形状としても良い。このような包絡線形状の調整車ドラム10にすることで、研削砥石12の外周面を平坦なものとすることができ、ワークWの型番毎に変更する必要がない。換言すれば、研削砥石12の汎用性を高め、ワークWの型番変更に伴う工数を低減することができる。
この発明の他の実施形態として、上記調整車ドラムを超仕上げ加工する際に用いても良い。この発明の実施形態の例として、円錐形状のワークで説明したが、外周面が円柱形状のワークであっても良い。この場合は、ドラム軸芯に対するねじ溝の各周の底面の角度はゼロとなる。
この発明の一実施形態に係るスルーフィードセンタレス研削装置の平面図である。 同スルーフィードセンタレス研削装置の正面図である。 同センタレス研削装置の調整車ドラムのドラム角の測定方法を概略説明する図である。 研削砥石幅と、円錐形状ワークの砥石幅内寸法変化量との関係を表す図である。 包絡線の頂点位置を、研削砥石のワーク出口側端よりも僅かに内側にした場合の研削砥石幅と、円錐形状ワークの砥石幅内寸法変化量との関係を表す図である。 ドラム軸芯から径方向外方に最も離れたねじ溝の底面に治具本体を押し当て、ドラム角段差を測定する状態を表す図である。 前記ねじ溝の底面の位置よりも1リード分ずれたねじ溝の底面に治具本体を押し当て、径方向外方に最も離れたねじ溝の底面に、測定ゲージの測定子を当て、ドラム角段差を測定する状態を表す図である。 包絡線のクラウニング曲率を求める状態を表す図である。 クラウニング曲率と包絡線上の各点等との関係を表す図である。 従来例のスルーフィードセンタレス研削装置の平面図である。 他の従来例のスルーフィードセンタレス研削装置の平面図である。 従来技術に係り、研削砥石幅と、円錐形状ワークの砥石幅内外径寸法との関係を表す図である。
符号の説明
10…調整車ドラム
10a…ねじ溝
10aa…底面
10b…鍔部
12…研削砥石
14…測定治具
15…治具本体
15a…治具基準面
15b…治具端面
16…測定ゲージ
Dj…ドラム軸芯
L2…包絡線
W…ワーク

Claims (8)

  1. スルーフィードセンタレス研削用の調整車ドラムであって、螺旋状に続くねじ溝を外周に有し、このねじ溝の各周の底面が円錐形状部を成し、円錐形状部間に鍔部を有し、ドラム軸芯回りに回転駆動されて円錐形状ワークを前記ねじ溝の底面に転接させる回転自在な調整車ドラムにおいて、
    前記ねじ溝の各周の底面と、前記ドラム軸芯とのなす角度が、ドラム全域において同一角度であり、
    この調整車ドラムをドラム軸芯を含む任意の仮想平面で切断した断面において、前記ねじ溝の各周の軸方向同一箇所をドラム軸芯方向に沿って繋ぐ包絡線が、ドラム軸芯方向にわたり径方向外方に突出する凸の曲線であるセンタレス研削用調整車ドラム。
  2. 請求項1において、前記包絡線が円弧であるセンタレス研削用調整車ドラム。
  3. 請求項1または請求項2において、前記ねじ溝に転接させる円錐形状ワークの外周面を研削する研削砥石に対し、前記ドラム軸芯から径方向外方に最も離れたねじ溝の位置を、同研削砥石における、円錐形状ワークの搬送方向下流側端または搬送方向下流側端付近としたセンタレス研削用調整車ドラム。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記円錐形状ワークの外周面が研削する取代に応じた、包絡線形状であるセンタレス研削用調整車ドラム。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
    前記ねじ溝の円錐形状部に当接する基準面と鍔部の一側面に当接する端面とを有する治具本体と、
    この治具本体に設けられ前記基準面に対する垂直方向の距離を測定する測定ゲージと、を備えた測定治具を用いて、ねじ溝の底面とドラム軸芯とのなす角度が求められるセンタレス研削用調整車ドラム。
  6. 請求項5において、前記ドラム軸芯から径方向外方に最も離れたねじ溝の底面に、治具本体の基準面を押し当てると共に、前記底面に続く鍔部の一側面に、前記治具本体の端面を押し当て、測定ゲージにより測定される測定値から、一の円錐形状部から他の円錐形状部までの平行段差である第1のドラム角段差を求め、
    前記治具本体を、前記測定値を得た位置よりも1リード分ずれたねじ溝の底面に、同治具本体の基準面を押し当てると共に、前記底面に続く鍔部の一側面に、前記治具本体の端面を押し当て、ドラム軸芯から径方向外方に最も離れたねじ溝の底面に、測定ゲージの測定子を当接させて測定される測定値から、一の円錐形状部から他の円錐形状部までの平行段差である第2のドラム角段差を求め、
    これら第1および第2のドラム角段差より求められる角度を、ドラム軸芯に対するねじ溝の底面の角度とするセンタレス研削用調整用ドラム。
  7. 請求項5において、前記ドラム軸芯から径方向外方に最も離れたねじ溝の底面より、1/2リード分ずれた底面に、治具本体の基準面を押し当てると共に、前記底面に続く鍔部の一側面に、前記治具本体の端面を押し当て、測定ゲージにより測定される測定値から、一の円錐形状部から他の円錐形状部までの平行段差であるドラム角段差を求め、このドラム角段差より求められる角度を、ドラム軸芯に対するねじ溝の底面の角度とするセンタレス研削用調整用ドラム。
  8. 請求項5ないし請求項7のいずれか1項において、前記ドラム軸芯から径方向外方に最も離れたねじ溝の底面と、この底面に続く鍔部の一側面との交点をドラム軸芯方向位置の基準位置とし、
    任意のねじ溝の底面に、治具本体の基準面を押し当てると共に、前記底面に続く鍔部の一側面に、前記治具本体の端面を押し当て、測定ゲージにより測定される測定値から、一の円錐形状部から他の円錐形状部までの平行段差であるドラム角段差を求め、
    このドラム角段差と、前記基準位置からの軸方向距離とから求められる曲率を、前記包絡線のクラウニング曲率とするセンタレス研削用調整車ドラム。
JP2008196572A 2008-07-30 2008-07-30 センタレス研削用調整車ドラム Expired - Fee Related JP5142875B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008196572A JP5142875B2 (ja) 2008-07-30 2008-07-30 センタレス研削用調整車ドラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008196572A JP5142875B2 (ja) 2008-07-30 2008-07-30 センタレス研削用調整車ドラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010030003A JP2010030003A (ja) 2010-02-12
JP5142875B2 true JP5142875B2 (ja) 2013-02-13

Family

ID=41735121

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008196572A Expired - Fee Related JP5142875B2 (ja) 2008-07-30 2008-07-30 センタレス研削用調整車ドラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5142875B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5602552B2 (ja) 2010-09-17 2014-10-08 Ntn株式会社 加工装置
CN103465124B (zh) * 2013-05-16 2015-10-28 河南科技大学 圆锥滚子超精研导辊辊形磨削方法
JP2019107736A (ja) * 2017-12-19 2019-07-04 株式会社東振テクニカル ブレード、ワークレスト及び心なし研削盤

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR979744A (fr) * 1948-01-28 1951-05-02 Procédé et machine pour le faconnage d'objets par meulage
NL6903599A (ja) * 1969-03-07 1970-09-09
DE19543941C1 (de) * 1995-11-25 1996-10-31 Skf Gmbh Vorrichtung zum Honen von Kegelrollen
JP2001138187A (ja) * 1999-11-15 2001-05-22 Fuji Xerox Co Ltd センタレス研削盤、研削加工方法、および、研削加工済み円筒状基体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010030003A (ja) 2010-02-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI554362B (zh) 兩頭平面硏磨法及兩頭平面硏磨盤
JP5602552B2 (ja) 加工装置
US6997779B2 (en) Device for the simultaneous double-side grinding of a workpiece in wafer form
JP5142875B2 (ja) センタレス研削用調整車ドラム
JP2018513025A (ja) センタ間において軸部材を外面研削する方法およびシステム
CN107427983B (zh) 用于磨削具有槽的工件的方法和磨削机
CN102642164A (zh) 单挡边或单挡边带台阶圆柱滚子轴承内圈成型磨削方法
KR20140118884A (ko) 워크의 외주가공장치
JP2013521141A (ja) 自動校正
CN103753396B (zh) 一种精密端面磨床自动修整装置
US2501389A (en) Centerless method of thread grinding
CN106944796A (zh) 一种航空回转类零件防漏铬加工方法
BR112016011005B1 (pt) Método para a medição e produção de um contorno externo desejado e máquina de abrasão para a realização do método
JP2017052037A (ja) 砥石の作業面の表面形状の測定方法
CN110814882A (zh) 一种圆锥滚子超精研用导辊的磨削方法及磨床
CN114585467A (zh) 一种用于磨削齿轮的齿部的方法
JP2009113161A (ja) 研削方法および研削装置
JP2015085424A (ja) ブローチカッタ研削盤及びその砥石位置合わせ方法
JPS6250271B2 (ja)
JP7210307B2 (ja) 金属部品の製造方法
JP2006263834A (ja) 研削加工方法及び円筒研削盤
JPH0289509A (ja) オンラインロールグラインダ装置によるロール研削方法
Wu et al. Rounding process of workpiece in through-feed centreless grinding with large grinding allowance
JPH01262007A (ja) オンラインロールグラインダ装置におけるロール研削方法
JPH0624857U (ja) 研削盤の溝芯位置,溝r寸法制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110627

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121120

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121120

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151130

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees