JP5142257B2 - 不純物イオン注入層の電気的活性化方法 - Google Patents
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Description
1. ホウ素イオンをイオン注入することにより形成されたホウ素イオン注入層を有するダイヤモンド基板を熱処理することにより、該注入層を電気的に活性化させる方法であって、
(1)前記方法が、ホウ素イオンをイオン注入するのに先だって、ダイヤモンド基板に、水素イオンをイオン注入することにより水素イオン注入層を形成させた後、前記水素イオン注入層を熱処理する工程を含み、
(2)前記水素イオン注入層における水素イオンの濃度が1×1014〜1×1020cm−3であり、
(3)前記ホウ素イオン注入層におけるホウ素イオンの濃度が1×1015〜1×1020cm−3である、
ホウ素イオン注入層の電気的活性化方法。
2. エネルギーが1〜1000keVであるイオンビームにより水素イオン及びホウ素イオンをそれぞれ注入する上記項1に記載の電気的活性化方法。
3. 前記ホウ素イオン注入層を有するダイヤモンド基板を1400℃以上で熱処理する上記項1又は2に記載の電気的活性化方法。
4. 上記項1〜3のいずれかに記載の方法により得られるダイヤモンド半導体。
本発明のホウ素イオン注入層の電気的活性化方法は、
ホウ素イオンをイオン注入することにより形成されたホウ素イオン注入層を有するダイヤモンド基板を熱処理することにより、該注入層を電気的に活性化させる方法であって、
(1)前記方法が、ホウ素イオンをイオン注入するのに先だって、ダイヤモンド基板に、水素イオンをイオン注入することにより水素イオン注入層を形成させた後、前記水素イオン注入層を熱処理する工程を含み、
(2)前記水素イオン注入層における水素イオンの濃度が1×1014〜1×1020cm−3であり、
(3)前記ホウ素イオン注入層におけるホウ素イオンの濃度が1×1015〜1×1020cm−3である。
水素イオン注入層の形成
本発明の方法では、ホウ素イオンをイオン注入するのに先だって、ダイヤモンド基板に、水素イオンをイオン注入することにより、水素イオン注入層を形成させる。
前記水素イオン注入層は、ダイヤモンド基板の表面に露出していてもよいし、ダイヤモンド基板の内部に存在してもよい。
前記水素イオン注入層がダイヤモンド基板の内部に存在する場合としては、例えば、前記水素イオン注入層が前記基板表面から50〜450nm程度の深さの領域に存在する場合が挙げられる。基板表面からの深さがかかる範囲の場合、ダイヤモンド基板に導電性を好適に付与できる。
きさ等に合わせて適宜設定すればよい。例えば、10−6〜30cm2程度の範囲内で設定すればよい。
水素イオンの注入量は、水素イオン注入層における水素イオンの濃度が目的の値になるよう適宜設定すればよい。
本発明の活性化方法では、前記水素イオン注入層を有するダイヤモンド基板を熱処理する。水素イオンをイオン注入した際、同時にダイヤモンドに格子欠陥が生じる傾向がある。すなわち、ダイヤモンドを構成する炭素原子が格子位置から変位する。本発明の方法では、前記水素イオン注入層を有するダイヤモンド基板を熱処理することにより、前記水素イオン注入層内の格子位置からずれた炭素原子を格子位置に戻すことができる。
−4Pa以下であることがより好ましく、約10−5Pa以下であることが最も好ましい。
本発明の活性化方法では、前記水素イオン注入層を熱処理した後のダイヤモンド基板に対してホウ素イオンをイオン注入することにより、ホウ素イオン注入層を形成させる。
前記ホウ素イオン注入層は、前記ダイヤモンド基板の表面に露出していてもよいし、ダイヤモンド基板の内部に存在してもよい。
前記ホウ素イオン注入層が前記ダイヤモンド基板の内部に存在する場合としては、例えば、前記注入層が前記基板表面から50〜450nm程度の深さの領域に存在する場合が挙げられる。前記基板表面からの深さがかかる範囲の場合、前記ダイヤモンド基板に導電性を好適に付与できる。
ホウ素イオンの注入量は、ホウ素イオン注入層におけるホウ素イオンの濃度が目的の値になるよう適宜設定すればよい。
本発明の活性化方法では、前記ホウ素イオン注入層を有するダイヤモンド基板を熱処理する。かかる熱処理を行うことにより、導電性に優れたダイヤモンド半導体を好適に得ることができる。ホウ素イオンをイオン注入した際、通常、注入されたホウ素イオンのほとんどはダイヤモンドの格子点に存在しておらず、前記ダイヤモンドには格子欠陥が生じている。本発明の方法では、前記ホウ素イオン注入層を有するダイヤモンド基板を熱処理することにより、前記ホウ素イオン注入層内のダイヤモンドの格子欠陥部分(格子点)にホウ素イオンを好適に導入することができる。
−4Pa以下であることがより好ましく、約10−5Pa以下であることが最も好ましい。
本発明のダイヤモンド半導体は、上記方法により好適に製造できる。前記半導体は、ダイヤモンド基板に、電気的に活性化された(正孔濃度の高い)ホウ素イオン注入層を有する。しかも、前記半導体は、ホッピング伝導が生じにくいため、電気伝導の制御が容易である。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
<水素イオン注入層の形成>
高温高圧で合成されたIIa型のダイヤモンド基板を照射真空槽内に設置し、槽内を高真空にした。このときの槽内の圧力は4×10−4Paであった。
次いで、水素イオン注入層を形成したダイヤモンド基板を、真空中(約10−4Pa)、800℃で1時間熱処理した。
引き続き、前記水素イオン注入層を形成させたダイヤモンド基板にホウ素イオンをイオン注入した。具体的には、ホウ素元素をイオン化させることによりホウ素イオンビームを発生させ、それを前記基板表面に照射することにより行った。このとき、ホウ素イオンのイオンビームの電流密度を、2.4〜33μA/mm2とした。また、前記イオンビーム照射時の基板の温度を400℃とした。さらに、ホウ素イオン注入層の基板表面からの深さが50〜450nm、該注入層の面積が0.04cm2でホウ素イオンの濃度が均一となるよう、エネルギーを30〜360keVの範囲内で変化させて前記イオンビームの照射を行った。
次いで、前記ホウ素イオン注入層を形成したダイヤモンド基板を、真空中(約10−4Pa)、1450℃で0.5時間熱処理を行った後、高純度アルゴンガス(純度:99.9999999%以上、不活性ガス以外の気体の圧力:約10−3Pa)雰囲気中において、1600℃で2時間熱処理した。
上記水素イオン注入層の形成及び該注入層の熱処理を行わずに、ダイヤモンド基板に対して直接ホウ素イオン注入層を形成させる以外は実施例1と同様の方法によりダイヤモンド半導体を作製した。
実施例1及び比較例1において、ホウ素イオンのイオンビームを照射後、熱処理を行う前に、室温下(25℃)、ホウ素イオン注入層にホウ素イオンのイオンビーム(エネルギー:30keV、電流密度:1μA/cm2)を照射することにより、電極部(基板の表
面の四隅に4箇所)を形成した(図2)。
そして、金属電極を形成した基板に対して、400℃で0.5時間熱処理を行った。
得られた半導体素子に対して、室温(298K)〜1200Kの範囲でホール測定を行うことにより、ホウ素イオン注入層の正孔濃度を確認した。前記正孔濃度の温度依存性を図3に示す。
ホール測定には、試料ホルダーと磁場印加用の磁石から構成される装置を用いた。試料ホルダーに上記半導体素子を設置し、該素子に対して磁束密度0.6テスラの磁場を印加しながら、磁場によって電極間に誘起される起電力(ホール起電力)を測定した。
ホール起電力(V)の値及び下記式から正孔濃度(p)を算出した。
p=IB/edV(p:正孔濃度、I:電流、B:磁場、e:単位電荷量、d:試料幅)図3から、実施例1の半導体は、比較例1の半導体に比べ、ホウ素イオン注入層の正孔濃度が高いことがわかる。例えば、実施例1の半導体の25℃での正孔濃度が、2.0×1015cm−3であるのに対し、比較例1の半導体の正孔濃度は、7.6×1013cm−13である。よって、実施例1で得られた半導体のホウ素イオン注入層は、比較例1で得られた半導体のホウ素イオン注入層に比べ、電気的に活性化されていることがわかる。
Claims (5)
- ホウ素イオンをイオン注入することにより形成されたホウ素イオン注入層を有するダイヤモンド基板を熱処理することにより、該注入層を電気的に活性化させる方法であって、
(1)前記方法が、ホウ素イオンをイオン注入するのに先だって、ダイヤモンド基板に、水素イオンをイオン注入することにより水素イオン注入層を形成させた後、前記水素イオン注入層を熱処理する工程を含み、
(2)前記水素イオン注入層における水素イオンの濃度が1×1014〜1×1020cm−3であり、
(3)前記ホウ素イオン注入層におけるホウ素イオンの濃度が1×1015〜1×1020cm−3である、
ホウ素イオン注入層の電気的活性化方法。 - 前記ホウ素イオン注入層を、前記水素イオン注入層を形成させた部分の全部と重なるようにダイヤモンド基板に形成させる請求項1に記載の電気的活性化方法。
- エネルギーが1〜1000keVであるイオンビームにより水素イオン及びホウ素イオンをそれぞれ注入する請求項1又は2に記載の電気的活性化方法。
- 前記ホウ素イオン注入層を有するダイヤモンド基板を1400℃以上で熱処理する請求項1〜3のいずれかに記載の電気的活性化方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の方法により得られるダイヤモンド半導体。
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