JP5141970B2 - リチウム電池からの正極活物質の回収方法と再利用 - Google Patents
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Description
この種のリチウム電池(典型的にはリチウムイオン電池)の一つの代表的な構成では、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出し得る電極活物質を主成分とする電極活物質層が電極集電体の上に形成された構成の電極を備える。そして、該電極活物質層は、電極活物質を水系溶媒又は非水系溶媒に分散させてペースト又はスラリー状に調製した材料を電極集電体に付与し、電極活物質層中に含まれる溶媒を乾燥させて除去することによって形成される。
ここで、正極に用いられる正極活物質としては、リチウム(Li)と一種または二種以上の遷移金属元素とを主構成金属元素として含むリチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。かかるリチウム遷移金属複合酸化物には、リチウムの他、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)等が構成金属元素として含まれており、使用済みの電池や製造不良等により回収された電池からこれらの希少金属を含む正極活物質を回収し再利用することは、資源リサイクルの観点だけでなく環境保護の観点からも有益なひとつの手段となり得る。
正極活物質層の形成に水系溶媒を用いて構築された電池は、有機溶剤を溶媒としないため製造工程で発生する有機廃液等の産業廃棄物が少ない。また、これらの廃液を処理するための設備や処理コストが発生しないことから総じて環境負荷が低減される利点を有し、環境に配慮した有用な電池といえる。したがって、水系溶媒を用いて構築されたリチウム電池(典型的には、リチウムイオン電池)の正極から正極活物質(あるいは該活物質に含まれる希少金属)を回収することは、環境保護の観点からも期待される技術といえる。
また、本明細書において「電池」とは、電気エネルギーを取り出し可能な蓄電デバイス一般を指す用語であって、二次電池(リチウムイオン電池、金属リチウム電池等)および一次電池を含む概念である。
また、本明細書において「リチウム電池」とは、電荷担体としてのリチウムイオンが電気伝導を行う電池をいう。正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物が用いられる、いわゆるリチウムイオン電池を典型的には包含する概念である。
かかる回収工程によると、まず、アルカリ水溶液で正極活物質層を正極集電体から剥離し、有機溶媒で結着材を抽出し、そして導電材と正極活物質とを分離する一連の簡易な工程を経ることにより、使用済みや製造不良の電池から再利用可能な正極活物質を効率よく高い精製率で回収することできる。さらに、本発明で回収対象とする電池は、水系ペーストによって構築された正極を備えるため、正極の製造工程で有機溶媒を使用せず環境に配慮したものである。したがって、かかる正極から希少金属を含む正極活物質を回収することにより、一層環境負荷の抑制に貢献することができる。
金属製の正極集電体、例えばアルミニウム製の正極集電体に水系ペーストが付与されると、該集電体のアルミニウムとペースト中に含有する溶媒中の水とが反応して、正極集電体の表面に酸化アルミニウムによる皮膜が生じ易い。かかる酸化物による皮膜(以下、酸化膜という)は、有機溶媒による非水系ペーストを用いて構築された正極には形成されないが、水系ペーストを用いて構築された正極で形成される。そのため、本発明で回収対象とする電池では、正極集電体と正極活物質との間に酸化膜が形成されている。そして、かかる酸化膜は耐アルカリ性を有するため、上記剥離工程でアルカリ水溶液に浸漬しても正極集電体は完全に溶解されない。したがって、正極活物質層の剥離後、溶解されず形を留めた正極集電体を水溶液中から取り出して再資源利用することができる。
正極集電体の構成材料として好適な材料(例えばアルミニウム)は、アルカリ水溶液に溶けやすいが、水系ペーストで形成された正極活物質層と接する部分の表面には、アルカリ性に強い酸化膜が形成されている。そのため、かかる酸化膜を備える正極をアルカリ水溶液に浸漬させると、正極活物質層は剥離するが、水溶液中から溶解せずに残った正極集電体を取り出して再資源利用することができる。
なお、アルカリ水溶液として水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液を用いた場合、正極活物質層中のリチウムが水溶液に溶出するため回収率が減少するが、水酸化リチウム水溶液を用いることにより、正極活物質層中のリチウムを水溶液中に溶出させず、回収率を減少させないようにすることができる。
結着材は上記ペーストの調製時に添加される材料の一つであり、導電材と正極活物質とをつなぐ役割を担っている。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)や、カルボキシメチルセルロール(CMC)等のポリマーから適宜選択して結着材(増粘材、各種添加材を含む)は有機溶媒に溶け易い性質を有する。したがって、剥離した該正極活物質層剥離物にエタノール及び/又はアセトン等の有機溶媒を添加することによって、正極活物質層中に含まれる結着材を溶媒中に抽出することができる。これにより、結着材が抽出されて正極活物質と導電材との結着が解かれるため、正極活物質(あるいは該活物質に含まれる希少金属)を回収し易くなる。
上述のいずれかの正極活物質の回収方法を用いることによって、リチウム電池の正極から正極活物質を効率良く回収し、さらに該回収した正極活物質をリチウム電池の製造時に再利用することによって、正極活物質(あるいは該活物質に含まれる希少金属)の有効利用と環境保護に貢献することができる。
なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
図1および図2に示されるように、ここに開示される技術が好ましく適用されるリチウムイオン電池100は、大まかに言って、電極体ユニット20と、該電極体ユニット20および適当な電解液を内部に収容する直方体形状のケース10とを備える。そして、該ケース10の開口部12は、該ケース10の底面と同一のサイズ・形状であって、ケース10の一面を構成する蓋体14によって密閉されている。また、該電池100の内部には、正極シート30及び負極シート40がセパレータ50とともに捲回された電極体ユニット20が電解液とともに収容されている。
さらに、電極体ユニット20を収容した該ケース10のうち、蓋体14の長手方向の両端部付近において、外部接続用の正極端子36と負極端子46とが設けられており、正極端子36および負極端子46の一部は蓋体14を挿通し、該蓋体14の表面側から突出した状態で固定されている。そして、正極端子36および負極端子46は、ケース10内部に収容された上記電極体ユニット20の正極集電体32および負極集電体42の端部にそれぞれ接合されて、正極および負極が構成されている。
なお、該電池の外形は特に限定されず、例えば直方体状、扁平形状、円筒状等の外形であり得る。また、正極集電体および負極集電体の形状は、電極ユニットを収容して構築される電池の形状等に応じて異なり得るため特に制限はなく、シート状の他、棒状、板状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。
正極シート30(正極集電体32表面に正極活物質層34が形成された長尺状のシート)を構成する正極集電体32は、導電性の良好な金属によって構成されている。正極集電体32の好ましい構成材料としては、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金製等の導電性材料が挙げられる。
ここで「水系溶媒」とは、水または水を主体とする混合溶媒を指す概念である。該混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶剤(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。例えば、該水系溶媒の凡そ80質量%以上(より好ましくは90凡そ質量%以上、さらに好ましくは凡そ95質量%以上)が水である水系溶媒の使用が好ましい。特に好ましい例として、実質的に水からなる水系溶媒が挙げられる。
なお、非水系溶媒、即ち有機溶媒で分散された非水系ペーストを用いて正極集電体に付与されて形成された正極活物質層を備える正極では、かかる酸化膜は形成され難い。したがって、ここに開示される技術は、水系ペーストを用いて正極活物質層が形成された正極に好ましく適用される。
同様に、ここでいう「リチウムコバルト系複合酸化物」とは、LiおよびCo以外に他の少なくとも一種の金属元素(例えば、Ni,Mn,Cr,Fe,V,Mg,Ti,Zr,Nb,Mo,W,Cu,Zn,Ga,In,Sn,LaおよびCeからなる群から選択される一種または二種以上の金属元素)を含む複合酸化物をも包含する意味であり、「リチウムマンガン系複合酸化物」とは、LiおよびMn以外に他の少なくとも一種の金属元素(例えば、Ni,Co,Cr,Fe,V,Mg,Ti,Zr,Nb,Mo,W,Cu,Zn,Ga,In,Sn,LaおよびCeからなる群から選択される一種または二種以上の金属元素)を含む複合酸化物をも包含する意味である。
なお、上記例示したポリマーは結着材として用いられる他、増粘材、各種添加材として使用されることもあり得る。
例えば、負極は、負極集電体42(例えば銅製のシート材)の上に負極活物質層44が形成された構成であり得る。負極活物質層44の形成に用いる負極活物質としては、従来から二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。その好適例としては、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料等が例示される。
また、電解液は、従来からリチウムイオン電池に用いられる電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。かかる電解液は、典型的には、適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する。上記非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート等からなる群から選択された一種または二種以上を用いることができる。また、上記支持塩としては、例えばリチウムイオン電池の場合、LiPF6、LiBF4、LiAsF6等のリチウム塩を用いることができる。
正極活物質の回収は、大まかに言って、図3に示されるように、正極集電体32から正極活物質層34を剥離する工程(S10)、剥離した正極活物質層剥離物に有機溶媒を添加して該剥離物から結着材を抽出する工程(S20)、および、前記抽出工程後の抽出処理物から導電材を含む上澄み部分と正極活物質を含む沈降部分とを分離する工程(S30)を含む。そして、沈降部分を乾燥する工程(S40)を経て、正極活物質を回収する。
内部に収容された電極体ユニット20を傷つけないようにケース10を切断し、電極体ユニット20を取り出す。取り出した電極体ユニット20から、正極集電体32の端部に接続された正極端子36を取り除き、捲回された正極シート30を巻き取る。ここで、正極シート30は、ケース10内部に収容されている電解液が付着しているため、真空加熱処理して電解液を除去するのが好ましい。例えば、400℃で4時間の真空加熱処理することによって、電解液が正極シート30から除去されるため、後述の正極活物質の回収工程で取り扱い易くすることができる。
まず、真空加熱処理して乾燥させた正極シート30をアルカリ水溶液に浸漬する。かかるアルカリ水溶液として、pH10以上の水酸化リチウム水溶液を使用するのが好ましい。特に好ましくはpH10〜12に調製された水酸化リチウム水溶液である。剥離工程に使用するアルカリ水溶液として、水酸化リチウム水溶液に限定するものではないが、水酸化リチウム水溶液を用いることにより、正極活物質層中のリチウムをアルカリ水溶液中に溶出させず、回収率を減少させないようにすることができる。
ここで、一般にアルミニウム等で構成される正極集電体はアルカリ水溶液に溶けやすいが、本実施形態で回収対象となる電池の正極活物質層34は水系ペーストが付与されて形成されているため、正極集電体32の表面に酸化アルミニウムによる酸化膜が形成されておりアルカリ水溶液で溶解され難い。そのため、正極シートをアルカリ水溶液に浸漬させると、正極活物質層は剥離するが、酸化膜で保護された正極集電体32は完全には溶解されないため、形を留めたまま正極集電体を水溶液中から取り出し、再資源利用することができる。
また、超音波振動を加えることにより、正極集電体32から正極活物質層34が剥離され易くなる。例えば、高周波電力200W、周波数38kHzの出力で10分程度の超音波処理を行うことによって、効率良く剥離される。
なお、超音波処理後に溶解せずに残った正極集電体32を水溶液中から取り出した後、さらに微細な正極集電体32の金属片は再度超音波処理を行うことにより溶解させてもよい。また、超音波処理を行っても溶解されない大きさの金属片は、目開き0.6mm程度の篩を用いて除去することが好ましい。ここで、篩上に残留した正極集電体32は、再資源として利用することができる。
まず、剥離工程(S10)で添加したアルカリ水溶液を静置して正極活物質層剥離物を沈降させ、上澄み液を除去する。除去した後、正極活物質層剥離物に有機溶媒を添加することにより、正極活物質層剥離物に含まれる結着材を有機溶媒に抽出する。ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのポリマーからなる正極活物質層34を構成する材料の一つである結着材は、有機溶媒に溶け易い性質を有する。したがって、剥離した該正極活物質層に有機溶媒を添加することによって、正極活物質層34中に含まれる結着材(その他の増粘材、各種添加材を含む)を溶媒中に抽出することができる。なお、剥離工程(S10)と同様に、有機溶媒を添加した後超音波処理することにより、結着材の抽出を促進させることが好ましい。
該結着材を抽出するための有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、エタノール、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、トルエン等が例示される。これらの中から一種のみを使用しても二種以上を混合して使用してもよい。特に、エタノール及び/又はアセトンを使用するのが好ましい。
上記抽出工程(S20)により結着材が有機溶媒に抽出されると、正極活物質層34を形成する結着材以外の材料である正極活物質と導電材との結着が解かれ、それぞれ溶媒中に分離する。そして、所定の時間静置することにより、カーボンブラック等の導電性粉末材料で構成される比重の軽い導電材は液面に浮遊し、リチウム遷移金属複合酸化物で構成される正極活物質は沈降する。これにより、上澄み部分を除去することによって、有機溶媒に抽出された結着材と共に導電材を容易に除去することができる。さらに、超音波処理を合わせて行うことにより、正極活物質と導電材との結着が解かれ易くなるため、効率良く分離することができる。
なお、上澄み部分が透明になるまで、即ち導電材が十分に除去されるまで、有機溶媒を添加して上澄み部分を除去する上記抽出工程(S20)および分離工程(S30)を繰り返し行う。かかる操作は、5〜10回程度行うのが好ましい。
<サンプル1>
サンプル1では、以下のようにして正極活物質を回収した。
アルミニウム製の正極集電体の表面に水で分散された正極活物質と導電材と結着材とを含む材料が付与されて成る正極活物質層を備えるリチウムイオン電池から、凡そ3cm×10cmの正極シートを取り出し、400℃で4時間の真空乾燥処理を行った。なお、該リチウムイオン電池は、正極活物質としてLiNiCoO2で表される組成のリチウムニッケル系酸化物を、導電材としてアセチレンブラックを、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含む材料により正極活物質層が形成されている。
上記乾燥により電解液を除去した正極シートを、pH10に調製された水酸化リチウム水溶液200mLに浸漬し、超音波処理を10分間行った。処理後、正極集電体を溶液から取り出し、正極活物質層の剥離率を測定した。
そして、剥離した正極活物質層にエタノールを添加し、超音波処理を10分間行って結着材を抽出した。抽出した溶液を静置し、上澄み部分の導電材と沈降部分の正極活物質とを分離させた後、上澄み部分を除去して沈降部分を回収した。
さらに、沈降部分にエタノールを添加し、超音波処理を10分間行った後、上澄み部分を除去した。かかる操作は上澄み部分が透明になるまで繰り返し計8回行った。そして、分離した沈降部分を真空乾燥し、正極活物質を回収した。
走査型電子顕微鏡(SEM)で回収した正極活物質を観察し、不純物の混入割合および正極活物質粒子の外観の形状を評価した。
サンプル2では、以下のようにして正極活物質を回収した。
上記サンプル1と同様の手順で正極シートを取り出し、pH10に調製された水酸化リチウム水溶液200mLに浸漬し、超音波処理を10分間行った後、正極集電体を溶液から取り出して正極活物質層の剥離率を測定した。
それから、剥離した正極活物質層にアセトンを添加し、超音波処理を10分間行って結着材を抽出した。抽出した溶液を静置し、上澄み部分の導電材と沈降部分の正極活物質とを分離させた後、上澄み部分を除去して沈降部分を回収した。
さらに、沈降部分にアセトンを添加し、超音波処理を10分間行った後、上澄み部分を除去した。かかる操作は上澄み部分が透明になるまで繰り返し計8回行った。そして、分離した沈降部分を真空乾燥し、正極活物質を回収した。
そして、回収した正極活物質についてサンプル1と同様の評価を行った。
サンプル3では、以下のようにして正極活物質を回収した。
上記サンプル1と同様の手順で正極シートを取り出し、pH10に調製された水酸化リチウム水溶液200mLに浸漬し、超音波処理を10分間行った後、正極集電体を溶液から取り出し、正極活物質層の剥離率を測定した。
それから、剥離した正極活物質層に水を添加し、超音波処理を10分間行って結着材を抽出した。抽出した溶液を静置し、上澄み部分の導電材と沈降部分の正極活物質とを分離させた後、上澄み部分を除去して沈降部分を回収した。
さらに、沈降部分に水を添加し、超音波処理を10分間行った後、上澄み部分を除去した。かかる操作は上澄み部分が透明になるまで繰り返し計8回行った。そして、分離した沈降部分を真空乾燥し、正極活物質を回収した。
そして、回収した正極活物質についてサンプル1と同様の評価を行った。
サンプル4では、以下のようにして正極活物質を回収した。
上記サンプル1と同様の手順で正極シートを取り出し、pH8のエタノール200mLに浸漬し、超音波処理を10分間行った後、正極集電体を溶液から取り出し、正極活物質層の剥離率を測定した。
それから、剥離した正極活物質層にエタノールを添加し、超音波処理を10分間行って結着材を抽出した。抽出した溶液を静置し、上澄み部分の導電材と沈降部分の正極活物質とを分離させた後、上澄み部分を除去して沈降部分を回収した。
さらに、沈降部分にエタノールを添加し、超音波処理を10分間行った後、上澄み部分を除去した。かかる操作は上澄み部分が透明になるまで繰り返し計8回行った。そして、分離した沈降部分を吸引濾過乾燥し、正極活物質を回収した。
そして、回収した正極活物質についてサンプル1と同様の評価を行った。
サンプル5では、以下のようにして正極活物質を回収した。
上記サンプル1と同様の手順で正極シートを取り出し、pH7のアセトン200mLに浸漬し、超音波処理を10分間行った後、正極集電体を溶液から取り出し、正極活物質層の剥離率を測定した。
それから、剥離した正極活物質層にアセトンを添加し、超音波処理を10分間行って結着材を抽出した。抽出した溶液を静置し、上澄み部分の導電材と沈降部分の正極活物質とを分離させた後、上澄み部分を除去して沈降部分を回収した。
さらに、沈降部分にアセトンを添加し、超音波処理を10分間行った後、上澄み部分を除去した。かかる操作を上澄み部分が透明になるまで繰り返し計8回行った。そして、分離した沈降部分を吸引濾過乾燥し、正極活物質を回収した。
そして、回収した正極活物質についてサンプル1と同様の評価を行った。
なお、回収された正極活物質(回収物)の精製状態の評価は以下のように判定した。
優;正極活物質粒子のみが観察された(正極活物質粒子の含有率95%以上),
良;正極活物質粒子の他、正極集電体の金属片が僅かに観察された,
可;正極活物質粒子の他、正極集電体の金属片が一部に観察された,
不可;正極集電体の金属片が多く観察された。
また、回収された正極活物質の顕微鏡観察による評価で最も評価が良かったサンプル1は、抽出工程でエタノールを使用し、次いで評価の高かったサンプル2と3では、それぞれアセトンと水を使用していた。一方、正極集電体の金属片の混入が多く、回収された正極活物質の顕微鏡観察による評価で不可と判定されたサンプル4およびサンプル5では、サンプル1および2と同様の有機溶媒であるエタノールおよびアセトンでそれぞれ抽出を行っていたが、その前工程の剥離工程の段階で十分に正極集電体を取り除くことができなかったため、回収時に正極集電体が混入したものと考えられる。
さらに、抽出工程では、エタノールやアセトンなどの有機溶媒を用いることにより、回収された正極集電体の精製状態を良好にすることが示された。
図4に示されるように、サンプル1では正極活物質粒子のみが観察され、正極集電体の金属片等は観察されなかった。回収された一部の正極活物質粒子には、割れや欠けなどの欠損がみられたが、概ね球状構造を備える正常な正極活物質粒子が回収されることが確認された。
12 開口部
14 蓋体
20 電極体ユニット
30 正極シート
32 正極集電体
34 正極活物質層
36 正極端子
40 負極シート
42 負極集電体
44 負極活物質層
46 負極端子
50 セパレータ
100 リチウムイオン電池
S10 剥離工程
S20 抽出工程
S30 分離工程
S40 乾燥工程
Claims (7)
- 水系溶媒で分散された正極活物質と導電材と結着材とを含む材料が正極集電体の表面に付与されて成る正極活物質層を備えるリチウム電池の正極から、正極活物質を回収する方法であって、以下の工程:
前記正極をアルカリ水溶液に浸漬して前記正極集電体から前記正極活物質層を剥離する工程;
前記剥離した正極活物質層剥離物に有機溶媒を添加して該剥離物から前記結着材を抽出する工程;および、
前記抽出工程後の抽出処理物から前記導電材を含む上澄み部分と前記正極活物質を含む沈降部分とを分離する工程;
を包含する、回収方法。 - 前記正極として、予め真空加熱処理されて電解液が除去された正極を使用する、請求項1に記載の方法。
- 前記正極として、前記正極集電体と前記正極活物質層との間に酸化膜が形成されている正極を使用する、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記アルカリ水溶液としてpH10以上の水酸化リチウム水溶液を使用する、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 前記有機溶媒としてエタノール及び/又はアセトンを使用する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 前記分離した沈降部分に対してさらに有機溶媒を添加することにより、前記抽出工程および前記分離工程を分離される上澄み部分が透明になるまで繰り返し行う、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の正極活物質の回収方法を包含し、該方法によって回収された正極活物質を再利用することを特徴とする、リチウム電池の製造方法。
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