以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、プラズマジェット点火プラグ(以下、「点火プラグ」と称す)1と、放電用電源41及びエネルギー投入部51を有する点火装置31とを備えた点火システム101の概略構成を示すブロック図である。尚、図1では、点火プラグ1を1つのみ示しているが、内燃機関ENには複数の気筒が設けられており、各気筒に対応して点火プラグ1が設けられている。そして、各点火プラグ1ごとに放電用電源41やエネルギー投入部51が設けられている。
まず、点火システム101の説明に先立って、点火プラグ1の概略構成を説明する。
図2は、点火プラグ1を示す一部破断正面図である。尚、図2では、点火プラグ1の軸線CL1方向を図面における上下方向とし、下側を点火プラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。
点火プラグ1は、筒状をなす絶縁体としての絶縁碍子2、これを保持する筒状の主体金具3などから構成されるものである。
絶縁碍子2は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、その外形部において、後端側に形成された後端側胴部10と、当該後端側胴部10よりも先端側において径方向外向きに突出形成された大径部11と、当該大径部11よりも先端側においてこれよりも細径に形成された中胴部12と、当該中胴部12よりも先端側においてこれよりも細径に形成された脚長部13とを備えている。加えて、絶縁碍子2のうち、大径部11、中胴部12、及び、脚長部13は、主体金具3の内部に収容されている。そして、中胴部12と脚長部13との連接部にはテーパ状の段部14が形成されており、当該段部14にて絶縁碍子2が主体金具3に係止されている。
さらに、絶縁碍子2には、軸線CL1に沿って軸孔4が貫通形成されており、当該軸孔4の先端側には中心電極5が挿入、固定されている。当該中心電極5は、熱伝導性に優れる銅や銅合金等からなる内層5A、及び、ニッケル(Ni)を主成分とするNi合金〔例えば、インコネル(商標名)600や601等〕からなる外層5Bを備えている。さらに、中心電極5は、全体として棒状(円柱状)をなし、その先端が絶縁碍子2の先端面よりも後端側に配置されている。加えて、中心電極5のうち、その先端から軸線CL1方向後端側に少なくとも0.3mmまでの部位には、タングステン(W)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、又は、これらの金属のうち少なくとも一種を主成分とする合金により形成された電極チップ5Cが設けられている。
また、軸孔4の後端側には、絶縁碍子2の後端から突出した状態で端子電極6が挿入、固定されている。
さらに、中心電極5と端子電極6との間には、円柱状のガラスシール層9が配設されている。当該ガラスシール層9により、中心電極5と端子電極6とがそれぞれ電気的に接続されるとともに、中心電極5及び端子電極6が絶縁碍子2に固定されている。
加えて、前記主体金具3は、低炭素鋼等の金属により筒状に形成されており、その外周面には点火プラグ1を燃焼装置(例えば、内燃機関や燃料電池改質器等)の取付孔に取付けるためのねじ部(雄ねじ部)15が形成されている。また、ねじ部15の後端側の外周面には座部16が形成され、ねじ部15後端のねじ首17にはリング状のガスケット18が嵌め込まれている。さらに、主体金具3の後端側には、主体金具3を前記燃焼装置に取付ける際にレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部19が設けられるとともに、後端部において絶縁碍子2を保持するための加締め部20が設けられている。併せて、主体金具3の先端部外周には、軸線CL1方向先端側に向けて突出するように形成された環状の係合部21が形成されており、当該係合部21に対して後述する接地電極27が接合されるようになっている。
また、主体金具3の内周面には、絶縁碍子2を係止するためのテーパ状の段部22が設けられている。そして、絶縁碍子2は、主体金具3の後端側から先端側に向かって挿入され、自身の段部14が主体金具3の段部22に係止された状態で、主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって主体金具3に固定されている。尚、絶縁碍子2及び主体金具3双方の段部14,22間には、円環状の板パッキン23が介在されている。これにより、燃焼室内の気密性を保持し、絶縁碍子2の脚長部13と主体金具3の内周面との隙間に入り込む燃料ガスが外部に漏れないようになっている。
さらに、加締めによる密閉をより完全なものとするため、主体金具3の後端側においては、主体金具3と絶縁碍子2との間に環状のリング部材24,25が介在され、リング部材24,25間にはタルク(滑石)26の粉末が充填されている。すなわち、主体金具3は、板パッキン23、リング部材24,25及びタルク26を介して絶縁碍子2を保持している。
また、主体金具3の先端部には、絶縁碍子2の先端よりも軸線CL1方向先端側に位置するようにして、円板状をなす接地電極27が接合されている。当該接地電極27は、前記主体金具3の係合部21に係合された状態で、自身の外周部分が前記係合部21に対して溶接されることで主体金具3に接合されている。尚、本実施形態において、接地電極27は、W、Ir、Pt,Ni、又は、これらの金属のうち少なくとも一種を主成分とする合金により構成されている。
加えて、接地電極27は、自身の中央に板厚方向に貫通する貫通孔27Hを有している。そして、軸孔4の内周面と中心電極5の先端面とにより形成され、先端側に向けて開口する円柱状の空間であるキャビティ部28が、前記貫通孔27Hを介して外部へと連通されている。
上述した点火プラグ1においては、中心電極5と接地電極27との間に形成された間隙29に高電圧を印加することにより火花放電を生じさせた上で、間隙29に電力を投入し、放電状態を遷移させることで、キャビティ部28にプラズマを発生させ、貫通孔27Hからプラズマを噴出させるようになっている。そこで次に、点火プラグ1の前記間隙29に対して高電圧及び電力を供給する前記点火装置31の構成について説明する。
点火装置31は、図1に示すように、放電用電源41と、エネルギー投入部51と、自動車の電子制御装置(ECU)71とを備えている。
放電用電源41は、点火プラグ1に対して高電圧を印加し、前記間隙29に火花放電を生じさせるものである。放電用電源41は、一次コイル42、二次コイル43、コア44、及び、イグナイタ45を備えている。
一次コイル42は、前記コア44を中心に巻回されており、その一端が電力供給用のバッテリVAに接続されるとともに、その他端がイグナイタ45に接続されている。また、二次コイル43は、前記コア44を中心に巻回されており、その一端が一次コイル42及びバッテリVA間に接続されるとともに、その他端が逆流防止用のダイオード46を介して、点火プラグ1の端子電極6に接続されている。
加えて、イグナイタ45は、所定のトランジスタにより形成されており、前記ECU71から入力される通電信号に応じて、バッテリVAから一次コイル42に対する電力の供給及び供給停止を切り替える。点火プラグ1に高電圧を印加する場合には、バッテリVAから一次コイル42に電流を流し、前記コア44の周囲に磁界を形成した上で、ECU71からの通電信号をオンからオフに切り替えることで、バッテリVAから一次コイル42に対する電流を停止する。電流の停止により、前記コア44の磁界が変化し、自己誘電作用によって一次コイル42に一次電圧が生じるとともに、二次コイル43に高電圧(数〜数十kV)が発生する。この高電圧が点火プラグ1(端子電極6)に印加されることで、間隙29において火花放電が発生する。
前記エネルギー投入部51は、並列に接続された第1エネルギー投入部52及び第2エネルギー投入部53と、正極性の電圧を発生させる電源PSとを備えている。
第1、第2エネルギー投入部52,53は、プラズマ発生用の電力を点火プラグ1に投入するものであって、第1エネルギー投入部52は、第1コンデンサ54と、第1充電用スイッチ56と、第1エネルギー投入用スイッチ58とを備えている。また、第2エネルギー投入部53は、第2コンデンサ55と、第2充電用スイッチ57と、第2エネルギー投入用スイッチ59とを備えている。
前記コンデンサ54,55は、その一端が前記電源PSに接続されることで電源PSにより充電が行われるように構成されるとともに、その他端が点火プラグ1に接続されている。また、充電用スイッチ56(57)は、電源PSからコンデンサ54(55)に対する通電及び通電停止を切り替えるものであって、本実施形態では、MOSFETにより構成されている。充電用スイッチ56(57)は、その一端がコンデンサ54(55)と点火プラグ1との間に逆流防止用のダイオード60(61)を介して接続されるとともに、その他端が接地されている。また、充電用スイッチ56(57)のゲートには、ECU71からドライブ回路72を介して信号が入力されるようになっており、ECU71から充電用スイッチ56(57)にオン信号が送られることで、充電用スイッチ56(57)がオンとされ、ECU71からオフ信号が送られることで、充電用スイッチ56(57)がオフとされる。つまり、両充電用スイッチ56,57のオン・オフは、ECU71によって制御されるようになっている。
エネルギー投入用スイッチ58(59)は、コンデンサ54(55)から点火プラグ1に対する電力の投入及び投入停止を切り替えるものであり、本実施形態では、MOSFETにより構成されている。エネルギー投入用スイッチ58(59)は、その一端がコンデンサ54(55)と電源PSとの間に接続されるとともに、その他端が接地されている。さらに、エネルギー投入用スイッチ58(59)のゲートには、ECU71から前記ドライブ回路72を介して信号が入力されるようになっており、ECU71からエネルギー投入用スイッチ58(59)へとオン信号が送られることで、エネルギー投入用スイッチ58(59)がオンとされ、ECU71からオフ信号が送られることで、エネルギー投入用スイッチ58(59)がオフとされる。つまり、両エネルギー投入用スイッチ58,59のオン・オフは、前記充電用スイッチ56,57と同様に、ECU71によって制御されるようになっている。
尚、電源PSからコンデンサ54(55)に対して充電を行う際には、ECU71により、充電用スイッチ56(57)がオンとされる一方で、エネルギー投入用スイッチ58(59)をオフとされる。また、コンデンサ54(55)に蓄えられた電力を点火プラグ1に投入する際には、ECU71により、充電用スイッチ56(57)がオフとされる一方で、エネルギー投入用スイッチ58(59)がオンとされる。
さらに、エネルギー投入部52(53)は、ダイオード62,64(63,65)を備えており、コンデンサ54(55)に対する充電時や、点火プラグ1に対する電力の投入時に、電流の逆流が生じないように構成されている。また、エネルギー投入部52(53)には、コイル66(67)が設けられており、当該コイル66,67により点火プラグ1に対して電力が一気に投入されてしまうことを防止できるようになっている。
前記ECU71は、点火プラグ1に対する電圧の印加タイミングや電力の投入タイミングを制御するものである。また、ECU71は、充電用スイッチ56,57やエネルギー投入用スイッチ58,59を制御することで、1回の火花放電中に、コンデンサ54,55に蓄えられた電力を点火プラグ1に対して複数回投入できるように構成されている。
例えば、両充電用スイッチ56,57をオンとする一方で、両エネルギー投入用スイッチ58,59をオフとすることで、コンデンサ54,55を充電しておく。そして、両充電用スイッチ56,57をオフとした上で、火花放電(通電信号がオフとされるタイミング)に合わせて、第1エネルギー投入用スイッチ58をオンとすることで、第1コンデンサ54に蓄えられた電力を点火プラグ1に投入する。さらに、火花放電中であって、第1コンデンサ54から点火プラグ1に対する電力の投入が完了した後に、第2エネルギー投入用スイッチ59をオンとして、第2コンデンサ55から点火プラグ1へと電力を投入する。このように各スイッチ56〜59を制御することで、1回の火花放電中において、電力を複数回投入することができる。
また、火花放電中にコンデンサ54,55の充電を行うことで、1回の火花放電中に、エネルギー投入部52,53の数よりも多くの回数の電力を点火プラグ1に投入することが可能である。従って、例えば、図3に示すように、第1エネルギー投入部52においては、第1充電用スイッチ56をオンとしつつ、第1エネルギー投入用スイッチ58をオフとすることで、第1コンデンサ54への充電を行う。一方で、第2エネルギー投入部53においては、第2充電用スイッチ57をオフとしつつ、火花放電に合わせて、第2エネルギー投入用スイッチ59をオンとすることで、点火プラグ1に対して第2コンデンサ55に蓄えられた電力を投入する。以降においては、各スイッチ56〜59のオン・オフをそれぞれ切り替えることで、各エネルギー投入部52,53において、点火プラグ1に対する電力の投入と、コンデンサ54,55への充電とを交互に行う。これにより、2つのエネルギー投入部52,53を用いて、1回の火花放電中に、点火プラグ1に対して電力を多数回投入することができる。
尚、本実施形態では、ECU71により、電力の投入タイミングが次のように制御されている。すなわち、図4に示すように、1回の火花放電に対応して複数回に亘って間隙29に電力が投入されるとともに、1回の火花放電中における2回目以降の電力の投入開始タイミングが、直前の電力の投入終了タイミングよりも後で、かつ、当該投入終了タイミングから50μs以内とされている。一方で、1回の火花放電中において最後に投入される電力の投入開始タイミングは、当該火花放電の開始から500μs以内とされている。尚、「投入終了タイミング」とあるのは、投入された電力の電流値が、その電力を投入したときのピーク値の5%以下となったときをいう。
加えて、電力の投入時にエネルギー投入部51から間隙29に供給されるエネルギーは、キャビティ部28の形状に対応して、次のように設定されている。すなわち、1回の電力を投入する際にエネルギー投入部51から間隙29に対して供給されるエネルギーをE(mJ)とし、キャビティ部28の内径をD(mm)としたとき(図5参照)、D≦0.8のとき、E≧19(mJ/mm2)×π×(0.4mm)2を満たし、D>0.8のとき、E≧19(mJ/mm2)×π×(D/2)2を満たすように、1回の電力投入時に供給されるエネルギーが設定されている。尚、本実施形態では、キャビティ部28の内径D(mm)が、0.5≦D≦2.0を満たすように構成されている。また、両電極5,27間の絶縁性を十分に保ちつつ、放電電圧の過大を防止すべく、キャビティ部28の軸線CL1に沿った長さが0.5mm以上2.5mm以下とされている。
さらに、エネルギー投入部51から複数回エネルギーが投入されることに対応して、キャビティ部28の形状が設定されている。すなわち、軸孔4の先端から軸線CL1方向後端側に少なくとも0.5mmの範囲において、軸孔4には、内径が一定のストレート部4Sが形成されている。尚、図6に示すように、軸孔4のうち、その先端から軸線CL1方向後端側に少なくとも0.5mmの範囲において、ストレート部4Sに代えて、軸線CL1方向先端側に向けて拡径するテーパ状の拡径部4Tを設けることとしてもよい。但し、拡径部4Tを設ける場合には、軸線CL1を含む断面において、拡径部4Tの外形線と軸線CL1とのなす角のうち鋭角の角度をα(°)としたとき、0<α≦15を満たすように拡径部4Tを形成することが好ましい。また、軸孔4のうち、ストレート部4Sや拡径部4Tよりも軸線CL1方向後端側の部位に、軸線CL1方向先端側に向けて縮径する縮径部を設けることとしてもよい。尚、拡径部4Tや前記縮径部を設けた場合など、軸線CL1方向に沿ってキャビティ部28の内径が変動する場合、「キャビティ部28の内径D」とあるのは、軸線CL1方向に沿ったキャビティ部28の複数箇所(例えば、キャビティ部28のうち、最も先端側の部分や最も後端側の部分)における内径の平均値をいう。
以上詳述したように、本実施形態によれば、1回の火花放電に対応して複数回に亘って電力が投入されるとともに、2回目以降の電力の投入開始タイミングが直前の電力の投入終了タイミングよりも後とされている。従って、直前の電力投入により生じたプラズマがキャビティ部28から噴出する一方で、プラズマを生成するための外気がキャビティ部28内に十分に流入した状態で、2回目以降の電力が投入される。そのため、2回目以降の電力投入時にも十分に大きなプラズマを生成することができる。
さらに、本実施形態においては、2回目以降の電力の投入開始タイミングが直前の電力の投入終了タイミングから50μs以内とされており、直前の電力投入により生成されたプラズマが消失する前のタイミングで次のプラズマが生成されるように構成されている。従って、直前の電力投入により生成されたプラズマを次の電力投入により生成された大きなプラズマにより押し出す形でキャビティ部28から勢いよく噴出させることができる。その結果、着火性を飛躍的に向上させることができる。
また、本実施形態の点火システム101によれば、1回当たりに投入される電力の電流ピーク値を比較的小さくしても着火性を十分に向上させることができるため、電力の投入に伴う中心電極5の熱負荷を低減させることができる。従って、中心電極5の消耗抑制を図ることができ、中心電極5の消耗に伴う放電電圧の上昇を抑制することができる。その結果、チャンネリングの抑制や火花放電等が可能な期間の長期化を図ることができ、優れた着火性を長期間に亘って維持することができる。
さらに、本実施形態では、キャビティ部28の内径をD(mm)とし、1回の電力を投入する際にエネルギー投入部51から間隙29に対して供給されるエネルギーをE(mJ)としたとき、D≦0.8のとき、E≧19(mJ/mm2)×π×(0.4mm)2を満たし、D>0.8のとき、E≧19(mJ/mm2)×π×(D/2)2を満たすように構成されている。従って、電力を投入した際に、プラズマによってキャビティ部28内をより確実に満たすことができる。そのため、直前に生じたプラズマを次に生じたプラズマによって一層確実に押し出すことができ、着火性をより確実に向上させることができる。
加えて、1回の火花放電中において最後に投入される電力の投入開始タイミングが、当該火花放電の開始から500μs以内とされている。つまり、火花放電が継続しており、かつ、間隙29の抵抗値が十分に小さい状態で、1回の火花放電中における最後の電力が投入されるように構成されている。従って、1回の火花放電中における最後の電力投入の際にもプラズマをより確実に生成することができ、着火性を効率よく向上させることができる。
併せて、キャビティ部の内径Dが0.5mm以上2.0mm以下とされているため、中心電極の熱伝導性を高めることができるとともに、キャビティ部28をプラズマで満たすために必要な供給エネルギーを十分に小さなものとすることができる。その結果、中心電極5の耐消耗性を一層向上させることができる。
また、キャビティ部28の先端側に、0.5mm以上と十分な長さを有するストレート部4Sが形成されており、キャビティ部28の開口がすぼまることなく形成されている。そのため、キャビティ部28内への外気の流入がよりスムーズに行われることとなり、電力の投入時に、一層大きなプラズマを生成することができる。また、キャビティ部28の先端部にストレート部4Sを設けることで、キャビティ部28から噴出する際のプラズマの拡散を抑制することができる。従って、これらの効果が相乗的に作用することにより、着火性をより一層向上させることができる。また、キャビティ部28内への外気の流入がよりスムーズとなることで、中心電極5の熱負荷をさらに低減させることができ、中心電極5の耐消耗性をより一層向上させることができる。尚、ストレート部4Sに代えて、軸線CL1方向先端側に向けて内径が拡径する拡径部4Tを設けた場合には、キャビティ部28内への外気の流入がより一層スムーズとなり、着火性の一層の向上を期待できる。また、拡径部4Tの角度αを0°より大きく15°以下とすることで、噴出時におけるプラズマの拡散を防止することができる。
加えて、中心電極5の先端部や接地電極27が、WやIr等、又は、これらの金属のうち少なくとも一種を主成分とする合金により形成されている。従って、火花放電等に対する中心電極5や接地電極27の耐消耗性を向上させることができ、中心電極5や接地電極27の消耗に伴う放電電圧の上昇を抑制することができる。その結果、火花放電等が可能な期間をより長期化させることができ、優れた着火性を一層長期間に亘って維持することができる。
次いで、上記実施形態によって奏される作用効果を確認すべく、図7(a)に示すように、キャビティ部を有し、中心電極及び接地電極間に形成された間隙がキャビティ部内に位置してなる点火プラグのサンプルA(実施例に相当する)と、図7(b)に示すように、中心電極が絶縁碍子の先端から軸線方向先端側に突出し、キャビティ部が形成されていない点火プラグのサンプルB(比較例に相当する)とを作製し、両サンプルについて、1回の火花放電に対応して1回、2回、又は、3回電力を投入したときのフレーム面積を測定した。尚、フレーム面積は次のように測定した。すなわち、サンプルを所定のチャンバーに取付けた上で、チャンバー内の圧力を0.4MPaとし、チャンバー内の雰囲気を標準ガス雰囲気(大気雰囲気)とした。そして、投入されるエネルギーの合計が60mJとなるように1回に投入される電力を設定した上で(つまり、1回の火花放電に対応して電力を2回投入する場合には、1回の電力を投入する際に供給されるエネルギーを30mJとし、1回の火花放電に対応して3回電力を投入する場合には、1回の電力を投入する際に供給されるエネルギーを20mJとした上で)、サンプルAにおいては、貫通孔よりも先端側の部位〔図7(a)の点線で囲んだ部位〕の火花放電から100μs後のシュリーレン画像を、サンプルBにおいては、中心電極と接地電極との間に形成された間隙及びその近傍〔図7(b)の点線で囲んだ部位〕の火花放電から100μs後のシュリーレン画像をそれぞれ得た。次いで、得られたシュリーレン画像を所定の閾値で二値化して、高密度の部分(つまり、プラズマが生成された部分)の面積をフレーム面積として測定した。尚、当該試験では、チャンバー内を標準ガス雰囲気としているため、フレーム(プラズマ)により混合気等への着火等は行われず、測定されたフレーム面積は、生成されたプラズマ自体の大きさを直接的に示す。また、電力を2回又は3回投入する場合、2回目以降の電力の投入開始タイミングは、直前の電力の投入終了タイミングよりも後で、かつ、当該投入終了タイミングから50μs以内とした。さらに、サンプルAについては、キャビティ部の内径Dを1.0mmとし、間隙の大きさGを1.0mmとした。加えて、サンプルBについては、中心電極及び接地電極ともにφ0.4mmの針状のチップ部材を備えており、両チップ部材の間に間隙を形成するとともに、当該間隙の大きさGを1.0mmとした。図8に、両サンプルにおける、1回の火花放電に対する電力の投入回数とフレーム面積との関係を表すグラフを示す。尚、図8においては、サンプルAの試験結果を丸印で示し、サンプルBの試験結果を三角で示す。
図8に示すように、電力の投入回数を1回とした場合には、サンプルBのフレーム面積がサンプルAのフレーム面積よりも大きかったが、電力の投入回数を2回以上とした場合には、サンプルAのフレーム面積がサンプルBのフレーム面積を優に上回り、サンプルAにおいて優れた着火性を実現できることが分かった。これは、キャビティ部の存在により生成されたプラズマの軸線方向先端側に向けた噴出力が高められ、かつ、直前に生成されたプラズマが、次のタイミングで生成されたプラズマに押し出される形となって勢いよく噴出したことに起因すると考えられる。
次に、1回の火花放電に対する電力の投入回数を2回とした上で、1回目の電力の投入終了タイミングから2回目の電力の投入開始タイミングまでの間隔(投入間隔)を種々変更した際のフレーム面積を測定した。尚、当該試験においては、サンプルAを所定のチャンバーに取付けた上で、チャンバー内の圧力を0.4MPa、チャンバー内の雰囲気を標準ガス雰囲気、1回の電力を投入する際の供給エネルギーを30mJとして、火花放電から200μs後のシュリーレン画像を得るとともに、得られたシュリーレン画像を上記試験と同一の閾値にて二値化することでフレーム面積を測定した。図9に、投入間隔とフレーム面積との関係を表すグラフを示す。尚、「電力の投入終了タイミング」は、投入された電力の電流値が、その電力を投入したときのピーク値の5%以下となったときとした。また、図9において、投入間隔がマイナスとなっているのは、1回目の電力と少なくとも一部が重複するようにして2回目の電力を投入したことを意味する。
図9に示すように、投入間隔をマイナスとした場合には、フレーム面積が比較的小さくなってしまい、着火性を十分に向上できないことが分かった。これは、2回目の電力を投入したとき、1回目の電力投入により生じたプラズマがキャビティ部内に充満していたため、キャビティ部内に次のプラズマを生成するために必要な外気が十分に存在していなかったことによると考えられる。
また、投入間隔を50μsよりも大きくした場合にも、着火性を十分に向上できないことが確認された。これは、投入間隔が広すぎたために、1回目の電力投入により生じたプラズマが、2回目の電力投入によりプラズマが生じる前にほとんど消失してしまい、前段のプラズマをその次のプラズマにより押し出すという効果が十分に発揮されなかったこと(つまり、それぞれのプラズマが個別に生成されるに過ぎなくなってしまったこと)によると考えられる。
これに対して、2回目の電力の投入開始タイミングを1回目の電力の投入終了タイミングよりも後で、かつ、当該投入終了タイミングから50μs以内とした場合(投入間隔を0μm〜50μmとした場合)には、フレーム面積が飛躍的に増大し、着火性に優れることが明らかとなった。これは、投入間隔を0μs超としたことで、2回目の電力を投入した際に、キャビティ部内に次のプラズマを生成するために必要な外気が十分に存在していたため、2回目の電力投入により十分に大きなプラズマを生成でき、さらに、投入間隔を50μs以内としたことで、1回目の電力投入により生じたプラズマが消失する前に、当該プラズマを2回目の電力投入により生じた大きなプラズマによりキャビティ部外へと押し出すことができたためであると考えられる。また、投入間隔を10μs以上50μs以下とすることでフレーム面積が3.0mm2を超え、特に投入間隔を10μs以上40μs以下とすることでフレーム面積が一層増大し、非常に優れた着火性を実現できることが確認された。
以上の試験結果より、キャビティ部を有するプラズマジェット点火プラグにおいて、着火性の向上を図るためには、1回の火花放電に対応して複数回に亘って電力を投入するとともに、1回の火花放電中における2回目以降の電力の投入開始タイミングを、直前の電力の投入終了タイミングよりも後で、かつ、当該投入終了タイミングから50μs以内とすることが好ましいといえる。
次いで、キャビティ部の内径D(mm)を変更することで、軸線と直交する方向に沿ったキャビティ部の断面積S(mm2)を種々変更したプラズマジェット点火プラグのサンプルを作製するとともに、各サンプルを所定のチャンバーに取付けた上で、チャンバー内の圧力を0.4MPa、チャンバー内の雰囲気を標準ガス雰囲気として、プラズマが接地電極の貫通孔から0.4mm以上噴出するために必要な電力投入時の供給エネルギーEをそれぞれのサンプルについて測定した。尚、プラズマの噴出量は、露光時間を十分に長いもの(約1s)としたカメラにより撮像したプラズマの画像(当該画像には、噴出量が最大となったときのプラズマが表される)に基づいて算出した。図10に、キャビティ部の断面積Sと供給エネルギーEとの関係を表すグラフを示し、図11に、キャビティ部の内径Dと供給エネルギーEとの関係を表すグラフを示す。尚、当該試験において、0.4mmを基準として供給エネルギーEを測定したのは、プラズマの噴出量を0.4mm以上とすることで、キャビティ部内をプラズマにより十分に満たすことができ、直前のプラズマを次のプラズマにより押し出す効果がより確実に発揮されることを鑑みたものである(尚、プラズマの噴出量が0.4mm未満であっても、プラズマを押し出す効果は十分に得られる)。また、各サンプルにおいては、キャビティ部の軸線方向に沿った長さを0.5mm〜2.5mmとした。
図10及び図11に示すように、キャビティ部の内径Dを0.8mm以下(断面積Sを約0.503mm2以下)としたサンプルでは、供給エネルギーEを約9.6mJ〔=19(mJ/mm2)×π×(0.4mm)2〕とすることで、また、キャビティ部の内径Dを0.8mm超としたサンプルでは、供給エネルギーEを19(mJ/mm2)×π×(D/2)2以上とすることで、プラズマを十分に噴出させることができる(つまり、キャビティ部内をプラズマで満たすことができる)ことが分かった。
上記試験の結果より、キャビティ部内をプラズマで満たし、着火性をより向上させるという観点から、D≦0.8のとき、E≧19(mJ/mm2)×π×(0.4mm)2を満たし、D>0.8のとき、E≧19(mJ/mm2)×π×(D/2)2を満たすように、キャビティ部の内径Dに応じて、1回の電力を投入する際に供給されるエネルギーを調整することが好ましいといえる。
次いで、上記試験と同条件(内圧0.4MPa、標準ガス雰囲気)に設定したチャンバーに点火プラグを取付けた上で、1回の火花放電に対して1回の電力を投入するように設定し、火花放電から電力投入が開始されるまでの時間(投入遅延時間)を種々変更しつつ、各投入遅延時間において100回ずつ電力を投入した。そして、電力投入時の電流波形を観察することでプラズマが正常に生成された回数(正常生成回数)を計測するとともに、100回中における正常生成回数の割合(正常生成率)を算出した。表1に、各投入遅延時間における正常生成率をそれぞれ示す。尚、電力投入時の供給エネルギーを60mJとし、また、用いた点火プラグは、上記サンプルAと同一の形状とした。
表1に示すように、投入遅延時間を500μsよりも大きくした場合には、プラズマの安定的な生成に支障が生じ得ることが分かった。これは、投入遅延時間を過度に大きくしたことで、電力の投入時に火花放電が既に終了してしまっていたり、間隙の抵抗値が火花放電の直後よりも上昇してしまったりしたためであると考えられる。
これに対して、投入遅延時間を500μs以内とした場合には、正常生成率が100%となり、極めて安定的にプラズマを生成できることが確認された。これは、電力の投入時に、火花放電が継続しており、かつ、間隙の抵抗値が十分に小さかったことによると考えられる。
上記試験の結果より、プラズマを安定的に生成するという観点から、1回の火花放電中において最後に投入される電力の投入開始タイミングを、その火花放電の開始から500μs以内とすることが好ましいといえる。
次に、キャビティ部の内径D(mm)を種々変更した点火プラグのサンプルを作製するとともに、上記試験と同条件に設定したチャンバーに各サンプルを取付けた上で、印加電圧の周波数を60Hzとして各サンプルを火花放電させるとともに、1回の火花放電に対応して2回電力を投入し、プラズマを発生させた。そして、中心電極の消耗体積が1mm3に到達するまでの時間(耐久時間)を各サンプルごとに測定した。図12に、キャビティ部の内径Dと、耐久時間との関係を表すグラフを示す。尚、1回当たりに投入される電力のエネルギーEは、E=19(mJ/mm2)×π×(D/2)2を満たすように(つまり、プラズマ噴出量が少なくとも0.4mm以上となり、キャビティ部をプラズマで満たすことが可能なエネルギーに)設定した。また、各サンプルともに、中心電極の先端部をW合金により構成した。
図12に示すように、キャビティ部の内径Dを0.5mmよりも小さくしたサンプルは、耐消耗性に劣ることが明らかとなった。これは、キャビティ部の内径を小さくしたことで、中心電極の先端部も細くなり、ひいては中心電極の熱引きが悪化してしまったことによると考えられる。
また、キャビティ部の内径Dが2.0mmを超えるサンプルについても、耐消耗性が不十分となってしまうことが分かった。これは、キャビティ部の内径Dを2.0mm超としたことで、キャビティ部をプラズマで満たすために必要なエネルギーが極めて大きくなってしまい、ひいては電力投入時に中心電極が消耗しやすくなってしまったためであると考えられる。
これに対して、キャビティ部の内径Dを0.5mm以上2.0mm以下としたサンプルは、耐久時間が300時間を超え、優れた耐消耗性を有することが確認された。
上記試験結果より、中心電極の耐消耗性を向上させるべく、キャビティ部の内径Dを0.5mm以上2.0mm以下とすることが好ましいといえる。
次に、図13(a)に示すように、キャビティ部のうち中心電極側の部位に軸線方向先端側に向けて縮径する縮径部を設ける一方で、軸孔(キャビティ部)の先端から軸線方向後端側に内径が一定のストレート部を設け、かつ、軸線に沿ったストレート部の長さL1(mm)を種々変更した点火プラグのサンプル(サンプルC)と、図13(b)に示すように、キャビティ部全域が軸線方向先端側に向けて縮径してなる(つまり、ストレート部が設けられていない)点火プラグのサンプル(サンプルD)とを作製し、各サンプルについてフレーム面積を測定した。図15に、ストレート部の長さL1とフレーム面積との関係を表すグラフを示す(図15において、ストレート部の長さL1が0mmの試験結果が、ストレート部の設けられていないサンプルDの試験結果を示す)。尚、当該試験においては、1回の火花放電に対して投入間隔を20μsとして2回の電力を投入するとともに、1回に投入される電力のエネルギーをそれぞれ30mJとした。さらに、フレーム面積は、火花放電から100μs後のシュリーレン画像に基づいて測定した。また、各サンプルともに、キャビティ部のうち、軸線方向において中心電極の先端面に対応する部位の内径Xを1.0mmとし、ストレート部と縮径部との境界部分(ストレート部のないサンプルDにおいては、キャビティ部の先端)における内径Yを0.8mmとした。加えて、軸線に沿ったキャビティ部の長さKを1.0mmとした。
図15に示すように、ストレート部を設けなかったサンプルDや、ストレート部を設けたものの、その長さLを0.5mm未満としたサンプルと比較して、0.5mm以上の長さのストレート部を有するサンプルは、フレーム面積が増大し、着火性の更なる向上を実現できることが明らかとなった。これは、キャビティ部の先端側に十分な長さのストレート部を設けたことで、キャビティ部内へと外気がよりスムーズに流入することとなり、2回目の電力の投入時に、一層大きなプラズマを生成できたことによると考えられる。
次いで、図14のように、キャビティ部のうち中心電極側の部位に軸線方向先端側に向けて縮径する縮径部を設ける一方で、軸孔(キャビティ部)の先端側に軸線方向先端側に向けて内径が拡径する拡径部を設け、かつ、軸線に沿った拡径部の長さL2(mm)を0.3mm、0.5mm、又は、0.7mmとするとともに、軸線を含む断面において、拡径部の外形線と軸線とのなす角のうち鋭角の角度α(°)を種々変更した点火プラグのサンプル(サンプルE)を作製し、各サンプルについてフレーム面積を測定した。図16に、当該試験の試験結果を示す。尚、図16においては、拡径部の長さL2を0.3mmとしたサンプルの試験結果を丸印で示し、拡径部の長さL2を0.5mmとしたサンプルの試験結果を三角で示し、拡径部の長さL2を0.7mmとしたサンプルの試験結果を四角で示す。また、当該試験においては、1回の火花放電に対して投入間隔を20μsとして2回の電力を投入するとともに、1回に投入される電力のエネルギーをそれぞれ30mJとした。さらに、フレーム面積は、火花放電から100μs後のシュリーレン画像に基づいて測定した。加えて、内径Xを1.0mm、キャビティ部の長さKを1.0mmとするとともに、縮径部と拡径部との境界部分における内径Zを0.8mmとした。
図16に示すように、拡径部の長さL2を0.5mm以上としたサンプルは、フレーム面積が増大し、着火性に優れることが確認された。これは、これは、十分な長さの拡径部を設けたことで、キャビティ部内への外気の流入がよりスムーズに行われたためであると考えられる。また、このようなサンプルの中でも特に角度αを15°以下としたものは、フレーム面積が一層大きなものとなり、着火性に極めて優れることが分かった。これは、角度αを比較的小さくしたことで、噴出するプラズマの拡散が抑制されたことによると考えられる。
上記試験の結果より、着火性の更なる向上を図るべく、軸孔(キャビティ部)の先端から軸線方向後端側に少なくとも0.5mmの範囲において、軸孔に、内径が一定のストレート部、及び、軸線方向先端側に向けて拡径する拡径部の少なくとも一方を設けることが好ましいといえる。また、着火性をより一層向上させるためには、長さ0.5mm以上の拡径部を設けるとともに、拡径部の角度αを0°<α≦15°を満たすように設定することがより好ましいといえる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態における、エネルギー投入部51の構成は例示であって、エネルギー投入部は、1回の火花放電に対応して複数回に亘って間隙29に電力を投入可能な装置であればよい。従って、例えば、図17に示すように、並列に接続された第1エネルギー投入部82及び第2エネルギー投入部83と、負極性の電圧を発生させる電源PTとを備えたエネルギー投入部81を用いることとしてもよい。尚、エネルギー投入部82(83)は、コンデンサ84(85)と、当該コンデンサ84(85)に対して直列的に接続された逆流防止用のダイオード86(87)と、当該ダイオード86(87)に対して並列に接続されたスイッチ88(89)とを備えている。また、コンデンサ84(85)の一端は、電源PT及び点火プラグ1間に接続されており、ダイオード86(87)のうちコンデンサ84(85)に接続される側と反対側の端は接地されている。加えて、スイッチ88(89)は、ECU71により制御されており、ECU71によりスイッチ88(89)がオフとされることで、電源PTによりコンデンサ84(85)の充電が行われ、一方で、ECU71によりスイッチ88(89)がオンとされることで、点火プラグ1に対してコンデンサ84(85)に蓄えられた電力が投入される。このように構成されたエネルギー投入部81によれば、上記実施形態におけるエネルギー投入部51と同様に、スイッチ88(89)のオン・オフを制御することで、1回の火花放電に対応して複数回に亘って電力を投入することができる。
(b)上記実施形態では、各スイッチ56〜59,88,89がMOSFETにより構成されているが、各スイッチを他の半導体スイッチ(例えば、トランジスタ等)や機械的なスイッチにより構成することとしてもよい。
(c)上記実施形態では、ECU71によりエネルギー投入部52,53,82,83が制御されているが、マイクロコンピュータ等を別途設け、当該マイクロコンピュータによりエネルギー投入部52,53,82,83を制御することとしてもよい。
(d)上記実施形態では、各点火プラグ1ごとに放電用電源41やエネルギー投入部51が設けられているが、各点火プラグ1ごとに放電用電源41等を設けることなく、放電用電源やエネルギー投入部からの電力をディストリビュータを介して各点火プラグ1に供給することとしてもよい。
(e)上記実施形態では、接地電極27がWやIr等の金属により形成されているが、接地電極27のうち火花放電に伴い消耗する内周側の部位のみをWやIr等の金属により構成することとしてもよい。
(f)上記実施形態では、中心電極5の先端部に電極チップ5Cが設けられているが、電極チップ5Cを設けることなく、中心電極5を構成することとしてもよい。