JP2009097500A - プラズマ式点火装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】限られた範囲の電源エネルギを効率よく利用して、希薄燃焼において安定した点火を実現できるプラズマ式点火装置を提供することを目的とする。
【解決手段】内燃機関40に装着される点火プラグ10と、電源21と、電源21の電圧を昇圧する昇圧回路として、点火コイル23と、電子制御装置25により開閉制御され点火コイル23の駆動を制御する点火コイル駆動回路24と、多段エネルギ投入手段300として、電源31により充電される少なくとも2以上のエネルギ蓄積手段としてコンデンサ330、331と、遅延手段としてチョークコイル341とを具備し、第1のプラズマ発生用コンデンサ330からの放電に遅れて、他のプラズマ発生用コンデンサ331からの放電を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の点火に用いられるプラズマ式点火装置の着火安定性向上に関するものである。
自動車エンジン等の内燃機関において、図13(a)に示すようなプラズマ式点火装置1xが知られている。この装置では、プラズマ式点火プラグ10xの中心電極110xと接地電極130xとの間に放電用電源20xから高電圧を印加するとともに、中心電極110xと接地電極130xとの間に形成された放電空間140x内で放電が開始する瞬間に、プラズマ発生用電源30xから大電流を供給して、放電空間140x内の気体を高温高圧のプラズマ状態にして、放電空間140xの先端から噴射して点火を行うことができる。
プラズマ式点火装置1xによる点火では、容積的に大きな範囲の高温域が発生する上に、指向性に富んだ火炎核が着火源となって圧縮混合気の着火爆発が励起されるので、直噴エンジンの燃焼において希薄な混合気を燃焼させるため、点火プラグの付近に濃い混合気が集まるようにして、燃焼を容易にする成層燃焼への応用が期待されている。
従来のプラズマ式点火装置として、例えば特許文献1には、中心電極の汚染を防止すべく、中心電極と中心に該中心電極を保持し縦に伸びる挿入孔を設けた絶縁体と該絶縁体を覆い下端に挿入孔と連通する開口を設けた接地電極とによって構成し、上記挿入孔内に放電ギャップを形成した表面ギャップ型点火プラグが開示されている。
米国特許第3581141号明細書
ところが、従来のプラズマ式点火装置1xにおいては、図13(b)に示すように、プラズマ発生用電源30xからの大電流Iplの放出によって放電空間140x内に放出される放電エネルギは100mJほどであるが、プラズマ状態となった気体が放電空間140xから噴射される時間は僅か10μsec程度と極めて短く、噴射される高温領域の容積は、期待されたほど大きくならない虞があることが判明した。このため、従来のプラズマ式点火装置では、空燃比を高くした難着火性の内燃機関の希薄燃焼において失火に至る虞があった。
従来のプラズマ式点火装置においては、このような難着火性機関の確実な着火は図るため、1000mJほどの極めて大きなエネルギを加えていた。しかし、着火を安定化するために供給するエネルギを増加することは、必要な電源容量の増大による電源の体格増加を招き、近年の極限にまで集約化された車両のエンジンルーム内への搭載が困難となる虞がある。更に、供給エネルギを増加することは、陰極スパッタリングによる点火プラグの電極消耗が促進され、耐久性の低下を招き、実用が困難となる虞がある。
そこで、本願発明はかかる実情に鑑み、100〜200mJほどの限られた範囲の電源エネルギを効率よく利用して、難着火性の希薄燃焼機関においても安定した点火を実現できるプラズマ式点火装置を提供することを目的とするものである。
請求項1の発明では内燃機関に装着され、中心電極と接地電極との間に放電空間を設けた点火プラグと、該点火プラグに点火エネルギを供給する電源とを具備し、上記電源から上記点火プラグへ短期間に高エネルギを供給して、上記放電空間内の気体を高温高圧のプラズマ状態にすることにより上記内燃機関の点火を行うプラズマ式点火装置において、上記電源回路より複数段に分けてエネルギを投入する多段エネルギ投入手段を具備する。
請求項1の発明によれば、上記多段エネルギ投入手段から上記点火プラグの放電空間に複数回分けてエネルギを投入することができる。
上記多段エネルギ投入手段から1段目のエネルギ供給がなされると、上記放電空間内の気体の一部が活性化され膨張し、その一部が電離されて、高温・高圧のプラズマ状態となり3次元的に広がる。次いで、上記放電空間内の気体が高温・高圧となった状態の所に、上記多段エネルギ投入手段から2段目のエネルギ供給が行われると、更に高温・高圧の高エネルギ状態となって膨張し、3次元的に広がりを持ち、更に体積が大きく略楕円球状をした高エネルギ領域(以下、体積プラズマと称す。)が形成される。該体積プラズマが内燃機関燃焼室内の混合気に触れると、容積的に大きな火炎核を形成し、希薄燃焼機関や過給混合機関等の難着火性機関においても優れた着火性を発揮できる。
本発明によらず、同量のエネルギを一度に投入した場合には、放電経路の近傍の気体のみが活性化され飽和状態となり、それ以上のエネルギが放電空間内に投入されず、容積的に小さな体積プラズマを噴射するに止まり、投入したエネルギのほとんどが過剰なエネルギとなって電極の消耗に消費されてしまう虞があると推察される。
請求項2の発明では、上記点火プラグは、長軸状に形成した上記中心電極と、該中心電極の外周を覆いつつ、該中心電極の下端から略筒状に伸ばした絶縁体と、該絶縁体の外周を覆いつつ上記絶縁体の下端で該絶縁体の内周壁と連通せしめて略筒状に形成した接地電極とによって、上記絶縁体内部に上記中心電極の下端面と上記接地電極の内周面とを対向せしめて上記放電空間を区画する。
請求項2の発明によれば、上記放電空間の容積が限られたものとなり、該放電空間内で爆発的に気体が膨張するので、上記体積プラズマが放電空間から噴射される。このため、電極により該高エネルギ領域が冷却される消炎作用が抑制され、更に着火性が向上する。
また、1段目のエネルギ投入によって上記放電空間内に気体が一部噴射され、上記放電空間内の気体が高温となって膨張し、該放電空間内に存在する気体分子は、活性化された状態であるのに加えて、濃度的に希薄な状態であるため、この状態で2段目以降のエネルギが投入されると、より高エネルギ状態となった体積プラズマを内燃機関内に噴射することができ、更に着火性が向上する。
請求項3の発明では、上記多段エネルギ投入手段は、エネルギが供給されている時の平均のエネルギレベルを1mJ/μs 以上に設定する。
請求項3の発明によれば、各エネルギ投入段階で上記体積プラズマを発生させるのに必要なエネルギが確保できる。
本発明によらず、エネルギ投入の時間密度が、請求項3の発明に記載のエネルギレベルを下回る場合には、発生するプラズマは上記体積プラズマとはならず容積的に小さな線状となり、十分な着火性を発揮できない虞がある。
請求項4の発明では、上記多段エネルギ投入手段は、各エネルギの供給が完了しない内に次のエネルギの供給を開始する。
請求項4の発明によれば、上記放電空間内の絶縁破壊状態が継続的に維持され、複数段のエネルギ投入を連続的に行うことが可能となり、複数段のエネルギ投入によって加速度的な体積プラズマの高エネルギ化を図り、難着火性機関の点火を可能とするプラズマ式点火装置が実現できる。
本発明によらず、複数回のエネルギ投入を間欠的に行った場合には、一旦エネルギ投入が完了すると、上記放電空間内の絶縁性が回復される。このため、次のエネルギ投入が該放電空間の絶縁破壊に消費され、内燃機関を点火するのに必要な十分なエネルギを持った体積プラズマの発生ができなくなる虞がある。
1段目のエネルギ投入により、上記放電空間内の気体をあるエネルギレベルとし、このエネルギレベルが下がらない内に、すなわちインターバルを空けないで2段目のエネルギを投入することのよって、上記放電空間内の気体を更に高いエネルギレベルにすることが可能となる。
複数段のエネルギ投入にインターバルを空けて行った場合には、一定のエネルギレベルのものが2回できるにすぎず、更に高いエネルギレベルを得ることは困難となる。
インターバルを空けた方法でも、着火の機会が増えることによる効果は期待できるが、本発明のようにインターバルを開けずに複数段のエネルギ投入をすることによりプラズマのエネルギレベル自体が上昇し、更に効果が大きくなる。
具体的には、請求項5の発明のように、上記エネルギ投入手段は、少なくとも1段目のエネルギ投入量を全エネルギ投入量の20%以上80%以下に設定する。
請求項5の発明に記載の範囲をはずれ、1段目と2段目のエネルギの配分を極端に偏った配分にすると、複数段に分けてエネルギ投入を行う本発明の効果が失われることが判明した。2段点火の場合、1段目は20%以上80%以下に設定するのが望ましい。
本発明者等の鋭意試験によって、1段目のエネルギ投入を全投入エネルギの20%より少なくすると、従来の一度にエネルギを加えた時と同様の効果しか得られず、また1段目のエネルギ投入を全投入エネルギの80%以上とした時についても、同様となることが判明した。
請求項6の発明では、上記エネルギ投入手段は、後段となるほど投入エネルギを大きく、あるいは、ピーク電流を大きく設定する。
請求項6の発明によれば、本発明者等の鋭意試験によって、後段に高エネルギを投入すると更に着火性が向上することが判明した。これは1段目のエネルギ投入により、放電空間内の気体の放電抵抗が下がり、電気の流れる経路が形成された状態で、後段のエネルギが投入されるので、効率的に気体が加熱されるためと考えられる。また、ピーク電流を後段ほど増加させた場合でも、同様な効果がでる。
具体的には、請求項7の発明のように、上記多段エネルギ投入手段は、少なくとも投入段数分のエネルギ蓄積手段と該エネルギ蓄積手段からの投入を制御するエネルギ投入制御手段とを具備する。
請求項7の発明によれば、複数の上記エネルギ蓄積手段からのエネルギ投入を上記エネルギ投入制御手段によって、複数段に分かれて制御して投入させることが可能となり、効率的に体積プラズマを発生させ、着火性に優れたプラズマ式点火装置が実現できる。
より、具体的には、請求項8の発明のように、上記エネルギ投入制御手段は、1段目のエネルギ投入に遅れて2段目以降のエネルギ投入を行うべくエネルギ投入遅延手段を2段目以降のエネルギ蓄積手段に付加する構成としても良い。
請求項8の発明によれば、上記エネルギ投入遅延手段によって、1段目のエネルギ蓄積手段からのエネルギの投入に遅れて2段目以降のエネルギ蓄積手段からのエネルギ投入を行うことができる。したがって、効率的に体積プラズマを発生させ、着火性に優れたプラズマ式点火装置が実現できる。
より、具体的には、請求項9の発明のように、上記エネルギ蓄積手段としてコンデンサを用いる構成とするのが望ましい。
請求項9の発明によれば、上記放電空間の絶縁が破壊され、放電経路が形成されると、上記コンデンサに蓄えられたエネルギが、大電流となって瞬時に放出され、上記放電空間内の気体が上記体積プラズマとなって噴射される。
請求項10の発明では、上記コンデンサは、コンデンサ容量C、コンデンサ両端の電圧Vとした時、(1/2)・C・Vで表される電気エネルギ蓄積量を、10mJ以上に設定する。
請求項10の発明の範囲に投入エネルギを維持することにより、上記放電空間内の放電状態が維持され、連続的に各コンデンサからのエネルギの放出を行うことができる。したがって、効率的に体積プラズマを発生させ、着火性に優れたプラズマ式点火装置が実現できる。
本発明によらず、上記コンデンサに蓄積されるエネルギが小さいと上記電極間の放電が線上になり体積プラズマの形成にまで至らない。また、放電空間が区画された点火プラグにおいては、放電空間から体積プラズマが噴出できるまでに至らしめることができない。
請求項11の発明では、上記エネルギ投入手段は、後の段のエネルギ投入を行うコンデンサほどコンデンサの静電容量を大きく設定する。
請求項11の発明によれば、後の段ほど投入エネルギを大きくすることができ、効率的に体積プラズマを発生することができる。
請求項12の発明では、上記エネルギ投入遅延手段としてチョークコイルを用いる。
上記エネルギ投入制御手段は、燃焼条件にあわせタイミングを変えられるものであればいかなる構成であっても良いが、簡単には後段の上記エネルギ蓄積手段にチョークコイルを入れてエネルギの投入タイミングを遅らせることができる。請求項12の発明によれば、後の段ほどエネルギを放出する時間を遅らせることができ、複数段のエネルギ蓄積手段からのエネルギ投入を順に複数段に分けて実施することができる。
請求項13の発明では、上記エネルギ投入手段は、後の段のエネルギ投入を行うコンデンサにつながるチョークコイルほどインダクタンス容量を大きく設定する。
請求項13の発明によれば、後の段ほど放電する時間を遅くすることができる。
具体的には、請求項14の発明のように、上記チョークコイルは、上記1段目のエネルギ投入を行うコンデンサと並列に配設した上記2段目以降のコンデンサの接地側に介装する構成としても良い。
本発明によれば、上記チョークコイルを低電位のレベルに置くことができ、絶縁距離を大きくしなくて良いことから配線間隔を短くでき、必要な電源の大きさを小さくできる。
また、請求項15の発明のように、上記チョークコイルは、上記1段目のエネルギ投入を行うコンデンサと並列に配設した上記2段目以降のエネルギ投入を行うコンデンサとの間で直列に介装する構成としても良い。
更に、請求項16の発明のように、上記2段目以降のエネルギ投入を行うコンデンサは、上記1段目のエネルギ投入を行うコンデンサと並列に配設した2段目のエネルギ投入を行うコンデンサと3段目のエネルギ投入を行うコンデンサ、あるいは、それ以上の数のコンデンサとで構成しても良い。
また、請求項17の発明のように、上記エネルギ投入遅延手段としてスイッチング素子を用いる構成としても良い。
多段点火を実現させるための多段エネルギ投入手段の具体的な回路構成としては、幾度かに分けて、あるタイミングで必要なレベルのエネルギを加えるものであれば、どのようなものでも良く、請求項14ないし17の発明に記載したいずれにおいても、上記1段目のエネルギ投入を行うコンデンサからの大電流の放出に遅れて2段目以降のエネルギ投入を行うコンデンサからの大電流の放出を行う多段エネルギ投入ができ、上記放電空間内の気体を効率的に高エネルギ化することが可能となり、極めて着火性の良好なプラズマ式点火装置が実現可能となる。また、請求項16の発明によれば、上述の効果に加えて、放電時間をより長くすることが可能となり、更に着火性が安定する。
請求項18の発明では、上記多段エネルギ供給手段は、上記電源の電圧を昇圧して上記点火プラグに高電圧を印加する放電用電源回路と、上記エネルギ蓄積手段から上記点火プラグに大電流を供給するプラズマ発生用電源回路とを具備する。
請求項18の発明によれば、上記放電用電源による放電空間の絶縁破壊がされると、上記1段目のエネルギ投入を行うコンデンサに蓄えられたエネルギが大電流となって、上記放電空間内に放出され、放電空間内の気体の一部が高温高圧のプラズマ状態となって、放出される。
更に、上記1段目のエネルギ投入を行うコンデンサからの大電流の放出に遅れて、上記2段目以降のエネルギ投入を行うコンデンサに蓄えられたエネルギが大電流となって、上記放電空間内に放出される。
このとき、上記放電空間内は、上記1段目のエネルギ投入を行うコンデンサからの放電前よりも少ない数の電気的に中性の電離されていない気体分子又は原子と高エネルギ状態の陽イオンと電子で満たされた状態となり、また、電離されていない気体と高いエネルギ状態の陽イオンとの衝突によって電離されていない気体が励起され電離し易い状態となる。
また、既に電離された陽イオンが更に高エネルギ状態になることも想定される。この状態において、上記放電遅延手段によって、1段目のエネルギ投入を行うコンデンサからの放電に遅れて、2段目以降のエネルギ投入を行うコンデンサからのエネルギが放出されると、上記放電空間内の電離されていない気体分子の数が少なくなっているので、単位粒子当たりに供給されるエネルギが1段目の放電よりも多くなり、より高密度で電離されていない気体の電離が引き起こされる。
上記放電空間内が極めて高密度に、高温・高圧の電離気体と電子とで満たされたプラズマ状態となり、極めて高温で容積の大きな火炎球様の高温領域が発生する。したがって、極めて着火性に優れたプラズマ式点火装置が実現可能となる。
本発明によれば、従来のインターバルのない多段エネルギ投入に比べ、熱源となる体積プラズマにより高いエネルギ密度を持たせることができる。
本発明によれば、熱源は、1段目のエネルギ投入によって発生した体積プラズマと2段目以降のエネルギ投入によって発生した更に高エネルギの体積プラズマとで構成される。
また、高いエネルギ密度と低いエネルギ密度との分布を持った熱源を作ることも可能となり、本発明の多段エネルギ投入手段のエネルギ投入条件を変えてエネルギ分布に変化を持たせることも可能となる。
近年、自動車エンジン等の内燃機関において、高過給となり、着火条件が厳しくなっている。したがって、着火条件に合わせ、いろいろな熱源が必要となる。熱源の体積は小さくも高エネルギ密度の熱源が要求される時もあれば、エネルギ密度より熱源の体積が大きいことが要求される時もある。本発明によれば、種々な着火条件に熱源を調整することも可能となる。今後、更に難燃性の燃料を使うことが予想され、本発明によれば、着火のロバスト性の向上に貢献できると考える。
本発明の第1の実施形態におけるプラズマ式点火装置1について、図1を参照して説明する。
本実施形態におけるプラズマ式点火装置1は、プラズマ式点火プラグ10と、多段エネルギ投入手段300(20、30)とによって構成されている。
多段エネルギ投入手段300は、放電によりエネルギが加えられればどのようなものでも良いが、例えば、高電圧電源として、後述する放電用電源回路20とプラズマ発生用電源回路30とを含んだ構成となっている。
本発明の要部である、多段エネルギ投入手段300は、複数段に渡ってエネルギ蓄積手段に蓄えられたエネルギを放出することができる。
なお、本実施形態においては、多段エネルギ投入手段300は、放電用電源回路20とプラズマ発生用電源回路30を用いた構成としているが、例えばプラズマ発生用電源回路30を放電空間140内の絶縁を破壊し放電可能となる高電圧で動作する回路に改良すれば、放電用電源回路20を廃止することも可能である。
プラズマ式点火プラグ10は、導電性金属材料からなる柱状の中心電極110と中心電極110を絶縁保持する略筒状の絶縁部材120と絶縁部材120を覆う略筒状の金属からなる接地電極130とによって構成されている。
中心電極110の先端側は、例えばイリジウム、イリジウム合金等の導電性材料によって長軸状に形成され、内部には鉄鋼材料、銅等の良電導性で高熱伝導性の金属材料からなる中心電極中軸111が形成され、基端側は中心電極ターミナル部112が形成されている。
接地電極130は、その下端には接地電極開口部131が形成され、その外周には図略の内燃機関40に螺結するためのネジ部132が形成され、基端側には、絶縁部材120を収納保持するハウジング部135が形成され、更にハウジング135の外周には、ネジ部132をネジ締めするための六角部133が形成されている。
接地電極130を含むハウジング135は、ニッケル、鉄等の金属材料によって形成されている。
絶縁部材120の内側には、放電空間140が形成され、中心電極110と接地電極130との間で放電可能となっている。
放電空間140は、絶縁部材120の内周壁123を中心電極110の下端面よりも下方に延設して、略筒状に形成されている。なお、内周壁123を先端に向かって拡径する略円錐状に形成しても良い。
絶縁部材120は、耐熱性、機械的強度、高温における絶縁耐力、熱伝導率などに優れた高純度のアルミナ等からなり、基端側は、絶縁部材頭部121が形成され、中心電極ターミナル部111とハウジング135との電気絶縁性を確保している。
プラズマ式点火プラグ10は、図略の内燃機関40の燃焼室内に接地電極開口部131が開口するように装着されとともに、接地電極130が内燃機関40に電気的に接地された状態となっている。
図2を参照して、放電用電源回路20及びプラズマ発生用電源回路30について詳述する。
図2(a)に示すように、放電用電源回路20は、電源21と、イグニションスイッチ22と点火コイル23と点火コイル駆動回路24と、電子制御装置(ECU)25と、点火コイル23からの高電圧を整流する整流素子26と、ノイズを低減するための抵抗27とによって構成されている。
点火コイル駆動回路24は、ECU25によって開閉制御されるトランジスタを含み、電源21からの電圧を点火コイル23によって昇圧した高電圧のプラズマ式点火プラグ10への供給を制御している。
放電用電源回路20から、プラズマ式点火プラグ10に、高電圧が印加され、プラズマ式点火プラグ10の放電空間140内の絶縁破壊が起こると、本発明の要部であるエネルギ蓄積手段に蓄えられたエネルギが、多段エネルギ投入手段によって、複数段に分けて、放電空間140内に放出される。
更に、本実施形態における多段エネルギ投入手段の具体例について説明する。図2(a)に示すように、プラズマ発生用電源回路30は、電源31と、本発明の要部である多段エネルギ投入手段として、第1のプラズマ発生用コンデンサ330と、これに並列に配設される第2のプラズマ発生用コンデンサ331と、第2のプラズマ発生用コンデンサの接地側に直列に介装される放電遅延手段としてのチョークコイル341と、コンデンサ330、331から放電される電流を整流する整流素子35と抵抗32とによって構成されている。
なお、本実施形態において、第1のプラズマ発生用コンデンサ330の容量C330は、0.5μF、第2のプラズマ発生用コンデンサの容量C331は、1.5μF、チョークコイル341の容量L341は165μH、電源31の電圧V31は600vに設定されている。
本実施形態において、第1のプラズマ発生用コンデンサ330と第2のプラズマ発生用コンデンサ331とから放出される放電エネルギの総和は、180mJ程度であり、これがそれぞれの容量に応じて案分されて放出される。
整流素子26は、点火コイル23からの高電圧を整流するとともにプラズマ発生用コンデンサ330、331からの大電流Iplの逆流を阻止している。
第1のプラズマ発生用コンデンサ330と第2のプラズマ発生用コンデンサ331とは、電源31によって充電される。
第2の整流素子35は、第1のプラズマ発生用コンデンサ330と第2のプラズマ発生用コンデンサ33からの大電流Iplを整流するとともに点火コイル23からの高電圧の逆流を阻止している。
イグニションスイッチ22を投入し、電源21から点火コイル23の一次コイル231に1次電流を流すと点火コイル23のコア223が磁化し、磁気エネルギが蓄えられ、その周囲に磁界が形成される。
ECU25からの点火信号に従って点火コイル駆動回路24がスイッチングされ、1次電流が遮断されると、磁界が変化し、自己誘導作用によって、1次コイル231に−数百Vの1次電圧が生じる。この時、2次コイル232に数〜数十kVの高い2次電圧が発生する。
この2次電圧が放電空間140の絶縁破壊電圧を超えると、放電空間140内に放電される。この放電により放電空間140の気体が小領域でプラズマ状態となる。プラズマ状態となった気体は導電性を有し、第1のプラズマ発生用コンデンサ330と第2のプラズマ発生用コンデンサ331とから大電流Iplを放出する。
なお、本図(b)は、プラズマ発生用電源回路30に設けたプラズマ電流整流用素子35を放電用電源回路20の放電電流を整流する整流素子として兼用することによって整流素子26を廃した改良例で、実質的に等価なものであり、このような回路構成によっても本発明を実施できる。
ここで、発生するプラズマの形態につき説明しておく。従来のスパーク点火では、小さな電流を長期で流すことから、2次元的な線状プラズマ(火花放電)が形成される。一方、プラズマ点火は、大きなエネルギを短時間に一挙に投入することから電極間の放電で発生するプラズマは線上ではなく、楕円体状で3次元的に広がった形状となる。プラズマ点火は、3次元状に広がったプラズマ(以下体積プラズマと称す。)にて着火することから体積着火となる。プラズマ点火は、ある放電空間(チャンバ)の中で体積プラズマを発生させ、爆発的な膨張より放電空間から飛び出させる。この場合、電極のない所で着火できることから、電極の冷却作用が抑制され着火性が向上する。
また、本実施形態のプラズマ式点火装置1をプラズマ式点火プラグ10に換えて従来のスパークプラグに適用すると、体積プラズマが発生するので着火性の向上を図ることもできる。
図3を参照して、本発明の効果について詳述する。本実施形態ではプラズマ発生用電源30から放出される大電流Iplは、図3に示すように第1のピークP1、第2のピークP2を示す。なお、本図の下方にはそれぞれのピークP1、P2における放電空間140内の状態を模式的に示し、第1のプラズマ発生用コンデンサ330からの大電流P1の放出によって、電離した陽イオン52及び、第2のプラズマ発生用コンデンサ331からの大電流P2の放出によって更に高エネルギ状態となった陽イオン53のエネルギ状態を模式的に球体の大きさで示している。
第1のプラズマ発生用コンデンサ330から第1の大電流P1が放電空間140内に放出されると、放電空間140内の気体50に電子51の放電エネルギが与えられ、電離されていない気体50が励起状態となり、更にエネルギを加えられると電離して陽イオン52となる。電子51と陽イオン52とは電気的中性を保ち、高温、高圧のプラズマ状態となって、放電空間140内を激しく運動し、その一部が放電空間140の外へ噴出する。この時、放電空間140内の電離されていない気体50と激しく運動するプラズマ状態の電子50と陽イオン52とが混在した状態となり、放電空間140内に存在する粒子の数は放電前よりも少なくなっている。
次いで、チョークコイル341によって遅延されて第2のコンデンサ331から第2の大電流P2の放電が始まる。この時、第1のプラズマ発生用コンデンサ330からの電子51の放出により放電空間140内の気体の一部が放出され放電空間140内の粒子(電離されていない気体50、電子51、陽イオン52)が減少している。
第2のコンデンサ331からの電子51の放出により供給される単位粒子当たりのエネルギが増加するのに加え、電離されていない気体50は、激しく運動する陽イオン52との衝突により励起され、電離し易い状態となっている。
このため、第2のコンデンサ331からの電子51の放出により電離され発生するより高エネルギ状態の陽イオン52に更にエネルギが供給され、より高エネルギ状態の陽イオン53となり、陽イオン52及びより高エネルギ状態の陽イオン53は雪崩的に多くなり、放電空間140内は極めて高温、高圧となる。このとき、第1のピークにおける高温領域の噴射より、第2のピークP2において、容積的にもエネルギ的にもより大きな火炎球が噴射される。したがって、希薄燃焼内燃機関において極めて安定した着火を実現できる。
なお、第1のプラズマ発生用コンデンサ330からの放電が完全に終了し、一旦プラズマ電流Iplが0となってしまうと第2のプラズマ発生用コンデンサ331からの放電が起こらない。したがって、チョークコイル341は、第1のプラズマ発生用コンデンサ330からの放電が完了しない内に第2のプラズマ発生用コンデンサ331からの放電が開始するように容量、チョークコイルによる遅れ時間を選定するのが望ましい。
1段目のエネルギ投入を行うコンデンサ330の容量を小さくしすぎると、1度目の放電が弱くなり、第2のコンデンサ331からの放電につなげることができなくなる。
具体的には、例えば、全体のコンデンサの容量を100%とすると、20%ほどの容量を1段目のエネルギ投入を行うコンデンサ330に配分すると良い。
また、1段目のエネルギ投入を行うコンデンサ330の容量を小さくしすぎると、1度目の放電と2度目以降の放電との間でプラズマ電流Iplがほとんどゼロになる領域が現れる。プラズマ電流Iplがゼロに近くなると、この領域でプラズマの発生が少なくなり、次の大電流を流しにくくなる。したがって、プラズマ電流Iplをほとんどゼロにする領域を作らないようにコンデンサ容量、及び、チョークコイル容量を調整するのが望ましい。
図4を参照して、本発明の第2の実施形態におけるプラズマ式点火装置1aについて説明する。なお、本実施形態において第1の実施形態と同一の部分に付いては、同じ符号を付したので説明を省略し、相違点についてのみ説明する(後述する他の実施形態についても同様とする。)。
図4(a)は、本発明の第2の実施形態におけるプラズマ式点火装置1aの等価回路図、(b)は、本実施形態におけるプラズマ発生用電流を示す特性図並びに比較例として同一の回路構成において第1のプラズマ発生用コンデンサ330の容量C330を第2のプラズマ発生用コンデンサ331の容量C331よりも大きく設定したプラズマ式点火装置1a’のプラズマ発生用電流を示す特性図である。
本実施例においては、第1のプラズマ発生用コンデンサ330と第2のプラズマ発生用コンデンサ331との間に、第2のプラズマ発生用コンデンサ331からの放電による第1のプラズマ発生用コンデンサ330の再充電を防止するダイオード36が介装されている。
表1に、本発明の第1の実施形態におけるプラズマ式点火装置1を実施例1、第2の実施形態におけるプラズマ式点火装置1aを実施例2、プラズマ式点火装置1a’を比較例1として構成の違いを示す。
Figure 2009097500
図5に、実施例1として第1の実施形態におけるプラズマ式点火装置1、実施例4として第2の実施形態におけるプラズマ式点火装置1a、比較例1としてプラズマ式点火装置1a’をガソリンエンジンに搭載して、燃焼限界空燃比を測定した試験結果を示す。
表2に、本発明の第1の実施形態におけるプラズマ式点火装置1の多段エネルギ投入手段として、1段目のエネルギ投入を行うコンデンサ330と第2のコンデンサ331との容量を換えた構成を実施例1、2、3とし、1段の放電によって点火を行う従来のプラズマ式点火装置1zの構成を比較例1として示す。
Figure 2009097500
図6に、表1に示した本発明の第1の実施形態におけるプラズマ式点火装置1の効果を比較例とともに示す。
図5、図6から分かるように、1段の放電により、放電空間内をプラズマ状態とする従来のプラズマ式点火装置に比べ、本発明の多段エネルギ供給手段によって、複数段に分けて放電を行った方がより燃焼限界空燃比を高くでき、更に、1段目のエネルギ投入を行うコンデンサ330の容量C330より第2のコンデンサ331の容量C331を大きくすることによって、より燃焼限界空燃比を高くできることが判明した。
また、第2のプラズマ発生用コンデンサから第1のプラズマ発生用コンデンサへの放電を阻止するダイオード36を省略することによって、むしろ燃焼限界空燃比を高くできることが判明した。
従来のプラズマ式点火装置では着火性の向上を図るのに、加えるエネルギを大きくする方法が行われていたが、本発明によれば、180mJから200mJという比較的小さなエネルギにて、難着火性の希薄燃焼内燃機関において着火性を向上させることができる。
図7(a)は、本発明の第3の実施形態におけるプラズマ式点火装置1bの等価回路図、(b)は、本実施形態におけるプラズマ発生用電流を示す特性図である。本実施形態では、第1のプラズマ発生用コンデンサ330の下流側に第2のプラズマ発生用コンデンサ331が並列に配設され、第2のプラズマ発生用コンデンサ331の高圧側にチョークコイル341が直列に介装され、更に、第1のプラズマ発生用コンデンサ330と第2のプラズマ発生用コンデンサ331とからの放電電流を整流するダイオード35、第2のプラズマ発生用コンデンサ331からの第1のプラズマ発生用コンデンサ330への再充電を阻止するダイオード36がそれぞれ直列に接続されている。この方式では、2つのコンデンサが干渉せずに独立して放電できることから、エネルギの投入をより細かく調整できる。2つのエネルギ投入の時間間隔をより広げることが可能である。また、大電流の流れるダイオード35、35bが2本でできることから発熱の低減につなげられる。
図7(b)に示すように、本実施形態において、第1のプラズマ発生用コンデンサ330の容量C330より第2のプラズマ発生用コンデンサ331の容量C331を大きくすることにより、上記実施形態と同様の効果が得られる。
図8(a)は、本発明の第4の実施形態におけるプラズマ式点火装置1cの等価回路図、(b)は、本実施形態におけるプラズマ発生用電流を示す特性図である。本実施形態では、第1のプラズマ発生用コンデンサ330の上流側に第2のプラズマ発生用コンデンサ331が並列に配設され、第1のプラズマ発生用コンデンサ330と第2のプラズマ発生用コンデンサ331との間で高圧側にチョークコイル341が直列に介装されている。
図8(b)に示すように、本実施形態においても、第1のプラズマ発生用コンデンサ330の容量C330より第2のプラズマ発生用コンデンサ331の容量C331を大きくすることにより、上記実施形態と同様の効果が得られる。
図9(a)は、本発明の第5の実施形態におけるプラズマ式点火装置1dの等価回路図、(b)は、本実施形態におけるプラズマ発生用電流を示す特性図である。本実施形態では、第1のプラズマ発生用コンデンサ330の下流側に第2のプラズマ発生用コンデンサ331と第3のプラズマ発生用コンデンサ332とが並列に配設されている。更に、第2のプラズマ発生用コンデンサ331と第3のプラズマ発生用コンデンサ332との接地側にはそれぞれ第1のチョークコイル341、第2のチョークコイルが介装されている。
更に、第1のプラズマ発生用コンデンサ330の容量C330と第2のプラズマ発生用コンデンサ331の容量C331と第3のプラズマ発生用コンデンサ332の容量C332とは、C330≦C331<C332の関係を満たしている。
本実施形態においては、図9(b)に示すように、第3のプラズマ発生用コンデンサ332からの放電電流を最も多くすることができる。
したがって、発生するプラズマ状態の火炎球の容積が更に大きくなり、更に着火安定性が増すことが判明した。
本実施形態においても、プラズマ電流Iplがゼロとならないように、各プラズマ発生用コンデンサ330、331、332の容量C330、C331、C332とチョークコイル341、342の容量を選定するのが望ましい。更に、プラズマ発生用コンデンサの数ならびにチョークコイルの数を増やしてもよい。多段階でプラズマ状態の気体が噴射されるので、更なる着火性の向上が期待できる。
図10(a)は、本発明の第6の実施形態におけるプラズマ式点火装置1eの等価回路図、(b)は、本実施形態におけるプラズマ発生用電流を示す特性図である。本実施形態においては、本実施形態では、第1のプラズマ発生用コンデンサ330の上流側に第2のプラズマ発生用コンデンサ331と第3のプラズマ発生用コンデンサ332とが並列に配設され、第1のプラズマ発生用コンデンサ330と第2のプラズマ発生用コンデンサ331との間で高圧側にチョークコイル341が直列に介装され、第2のプラズマ発生用コンデンサ331と第3のプラズマ発生用コンデンサ332との間で高圧側にチョークコイル342が直列に介装され、更に、第1のプラズマ発生用コンデンサ330と第2のプラズマ発生用コンデンサ331と第3のプラズマ発生用コンデンサ332とからの放電電流を整流するダイオード36が接続されている。
更に、第1のプラズマ発生用コンデンサ330の容量C330と第2のプラズマ発生用コンデンサ331の容量C331と第3のプラズマ発生用コンデンサ332の容量C332とは、C330≦C331<C332の関係を満たしている。
本実施形態においては、図10(b)に示すように、第3のプラズマ発生用コンデンサ332からの放電電流を最も多くすることができる。したがって、上記実施形態と同様の効果が得られる。
図11は、本発明の7の実施形態におけるプラズマ式点火装置1fの等価回路図である。図11に示すように、放電用電源回路20fとプラズマ発生用電源回路30fとを一つの電源31fで構成しても良い。このような構成とすることで、上記他の実施形態と同様の効果に加えて、車両への搭載性の向上を図ることもできる。
図12は、本発明のプラズマ式点火装置に適用し得る点火プラグの要部断面図を示し、(a)は、絶縁部材120a並びに接地電極130aを筒状に形成したプラズマ式点火プラグ10a、(b)は、絶縁部材120bの下端面に沿って放電を行う沿面放電プラグ10b、(c)は、中心電極110cが内燃機関内に露出した位置で対向する接地電極130cとの間で放電空間140cを形成するエアギャップ型のスパークプラグ10cである。本発明のプラズマ式点火装置は図12に示すような点火プラグのいずれにも適宜採用できるものである。
図12(a)に示すプラズマ式点火プラグ10aを用いた場合、上述した本発明の効果に加えて、接地電極130aが、放電空間120aの内径よりも外側に配設されているので、プラズマ状態となった陽イオンの衝突力が弱まるので、陰極スパッタリングによる電極消耗が抑制され、点火装置としての信頼性が更に向上する。
図12(b)に示す沿面放電プラグ10bを用いた場合、上述した本発明の効果に加え、放電空間140bが、機関燃焼室内に完全に露出しているので、放電空間140b内に放出されたエネルギが放電空間140b内の移動のための運動エネルギとして消費されることなくほとんど全てを燃料の着火に利用できるので、更に着火安定性の向上が期待できる。
図12(c)の示すスパークプラグ10cを用いた場合、上述した本発明の効果に加え、狭い範囲の放電空間140c内の気体を高密度でプラズマ状態とすることができるので、更に着火安定性の向上が期待できる。
本発明は、上記実施形態に限定するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、多段エネルギ投入手段として、エネルギ蓄積手段としてコンデンサを用い、遅延手段としてチョークコイルを用いた構成を示したが、本発明の多段エネルギ投入手段として、上記エネルギ投入遅延手段としてエネルギ蓄積手段からのエネルギ供給を制御するスイッチング素子を用いた制御回路を設けて、所望のタイミングで段階的にエネルギを放出させる構成としても良い。
多段点火を実現させるための多段エネルギ投入手段の具体的な回路構成としては、幾度かに分けて、あるタイミングで必要なレベルのエネルギを加えるものであれば、どのようなものでも良い。
また、上記実施形態においては、一つの内燃機関に載置されたプラズマ式点火装置について説明したが、複数からなる内燃機関に気筒毎に載置されたプラズマ式点火装置においても、同様の効果が期待できる。
更に、上記実施形態においては、放電用電源回路を、点火コイルのスイッチングによって昇圧して放電する回路を用いた例について説明したが、点火コイル駆動回路として、電源と点火コイルとの間に直列に介装した昇圧用コンデンサを含み、該昇圧用コンデンサに蓄積した必要なだけの電荷を1次コイルに一気に放電し、点火コイルに急激な時速変化を与え、2次コイルに高電圧を発生させるCDIを用いても良い。
本発明の第1の実施形態におけるプラズマ式点火装置の構成を示す全体図。 (a)、(b)は、本発明の第1の実施形態におけるプラズマ式点火装置に適用される多段エネルギ投入手段の構成例を示す等価回路図。 本発明の効果を示すプラズマ発生用電源から放出される大電流の特性図並びに、本図中P1におけるプラズマ発生状態を示す模式図及び本図中P2におけるプラズマ発生状態を示す模式図。 (a)は、本発明の第2の実施形態におけるプラズマ式点火装置を示す等価回路図、(b)は、本実施形態における効果を比較例とともに示す特性図。 本発明をガソリンエンジンに適用した実施例1、2の効果を比較例とともに示す特性図。 本発明をガソリンエンジンに適用した実施例3、4、5の効果を比較例とともに示す特性図。 (a)は、本発明の第3の実施形態におけるプラズマ式点火装置を示す等価回路図、(b)は、本実施形態における効果を示す特性図。 (a)は、本発明の第4の実施形態におけるプラズマ式点火装置を示す等価回路図、(b)は、本実施形態における効果を示す特性図。 (a)は、本発明の第5の実施形態におけるプラズマ式点火装置を示す等価回路図、(b)は、本実施形態における効果を示す特性図。 (a)は、本発明の第6の実施形態におけるプラズマ式点火装置を示す等価回路図、(b)は、本実施形態における効果を示す特性図。 本発明の第7の実施形態におけるプラズマ式点火装置を示す等価回路図。 (a)、(b)、(c)は、本発明に適用し得るプラグの実施例を示す要部断面図。 (a)は、従来のプラズマ式点火装置全体を示す構成図、(b)は、本図における動作波形を示すタイムチャート。
符号の説明
1 プラズマ式点火装置
10 点火プラグ
110 中心電極
120 絶縁部材
130 接地電極
140 放電空間
21、31 電源
22 イグニションスイッチ
23 点火コイル
24 点火コイル駆動回路
25 電子制御装置(ECU)
26、35 整流素子
32 抵抗
300 多段エネルギ投入手段
330 1段目のエネルギ投入を行うコンデンサ(エネルギ蓄積手段)
331 第2のコンデンサ(エネルギ蓄積手段)
341 チョークコイル(遅延手段)
40 内燃機関

Claims (18)

  1. 内燃機関に装着され、中心電極と接地電極との間に放電空間を設けた点火プラグと、該点火プラグに点火エネルギを供給する電源とを具備し、
    上記電源から上記点火プラグへ短期間に高エネルギを供給して、上記放電空間内の気体を高温高圧のプラズマ状態にすることにより上記内燃機関の点火を行うプラズマ式点火装置において、
    上記電源回路より複数段に分けてエネルギを投入する多段エネルギ投入手段を具備することを特徴とするプラズマ式点火装置。
  2. 上記点火プラグは、長軸状に形成した上記中心電極と、該中心電極の外周を覆いつつ、該中心電極の下端から略筒状に伸ばした絶縁体と、該絶縁体の外周を覆いつつ上記絶縁体の下端で該絶縁体の内周壁と連通せしめて略筒状に形成した接地電極とによって、上記絶縁体内部に上記中心電極の下端面と上記接地電極の内周面とを対向せしめて上記放電空間を区画することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ式点火装置。
  3. 上記多段エネルギ投入手段は、エネルギが供給されている時の平均のエネルギレベルを1mJ/μs 以上に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマ式点火装置。
  4. 上記多段エネルギ投入手段は、各エネルギの供給が完了しない内に次のエネルギの供給を開始することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプラズマ式点火装置。
  5. 上記エネルギ投入手段は、少なくとも1段目のエネルギ投入量を全エネルギ投入量の20%以上80%以下に設定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプラズマ式点火装置。
  6. 上記エネルギ投入手段は、後段となるほど投入エネルギを大きく、あるいは、ピーク電流を大きく設定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のプラズマ式点火装置。
  7. 上記多段エネルギ投入手段は、少なくとも投入段数分のエネルギ蓄積手段と該エネルギ蓄積手段からの投入を制御するエネルギ投入制御手段とを具備することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のプラズマ式点火装置。
  8. 上記エネルギ投入制御手段は、1段目のエネルギ投入に遅れて2段目以降のエネルギ投入を行うべくエネルギ投入遅延手段を2段目以降の上記エネルギ蓄積手段に付加することを特徴とする請求項7に記載のプラズマ式点火装置。
  9. 上記エネルギ蓄積手段としてコンデンサを用いることを特徴とする請求項7又は8に記載のプラズマ式点火装置。
  10. 上記コンデンサは、コンデンサ容量C、コンデンサ両端の電圧Vとした時、(1/2)・C・Vで表される電気エネルギ蓄積量を、10mJ以上に設定することを特徴とする請求項9に記載のプラズマ式点火装置。
  11. 上記エネルギ投入手段は、後の段のエネルギ投入を行うコンデンサほどコンデンサの静電容量を大きく設定することを特徴とする請求項9又は10に記載のプラズマ式点火装置。
  12. 上記エネルギ投入遅延手段としてチョークコイルを用いることを特徴とする請求項8ないし11のいずれか1項に記載のプラズマ式点火装置。
  13. 上記エネルギ投入手段は、後の段のエネルギ投入を行うコンデンサにつながるチョークコイルほどインダクタンス容量を大きく設定することを特徴とする請求項12に記載のプラズマ式点火装置。
  14. 上記チョークコイルは、上記1段目のエネルギ投入を行うコンデンサと並列に配設した上記2段目以降のコンデンサの接地側に介装することを特徴とする請求項12又は13に記載のプラズマ式点火装置。
  15. 上記チョークコイルは、上記1段目のエネルギ投入を行うコンデンサと並列に配設した上記2段目以降のエネルギ投入を行うコンデンサとの間で直列に介装することを特徴とする請求項12ないし14のいずれか1項に記載のプラズマ式点火装置。
  16. 上記2段目以降のエネルギ投入を行うコンデンサは、上記1段目のエネルギ投入を行うコンデンサと並列に配設した2段目のエネルギ投入を行うコンデンサと3段目のエネルギ投入を行うコンデンサ、あるいは、それ以上の数のコンデンサとで構成することを特徴とする請求項12ないし15のいずれか1項に記載のプラズマ式点火装置。
  17. 上記多段エネルギ投入制御手段として、スイッチング素子を用いることを特徴とする請求項8ないし11のいずれか1項に記載のプラズマ式点火装置。
  18. 上記多段エネルギ供給手段は、上記電源の電圧を昇圧して上記点火プラグに高電圧を印加する放電用電源回路と、上記エネルギ蓄積手段から上記点火プラグに大電流を供給するプラズマ発生用電源回路とを具備することを特徴とする請求項1ないし17のいずれか1項に記載のプラズマ式点火装置。
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