JP5422007B2 - プラズマジェット点火プラグ及び点火システム - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマを生成して混合気への着火を行うプラズマジェット点火プラグ及びプラズマジェット点火プラグを有する点火システムに関する。
従来、内燃機関等の燃焼装置においては、火花放電により混合気へと着火する点火プラグが使用されている。また近年では、燃焼装置の高出力化や低燃費化の要求に応えるべく、燃焼の広がりが速く、着火限界空燃比のより高い希薄混合気に対してもより確実に着火可能な点火プラグとして、プラズマジェット点火プラグが提案されている。
一般にプラズマジェット点火プラグは、軸孔を有する筒状の絶縁体と、先端面が絶縁体の先端面よりも没入した状態で軸孔内に挿設される中心電極と、絶縁体の外周に配置される主体金具と、主体金具の先端部に接合される円環状の接地電極とを備える。また、プラズマジェット点火プラグは、中心電極の先端面及び軸孔の内周面によって形成された空間(キャビティ部)を有しており、当該キャビティ部は接地電極に形成された貫通孔を介して外部に連通されるようになっている(例えば、特許文献1等参照)。
このようなプラズマジェット点火プラグにおいては、次のようにして混合気への着火が行われる。まず、中心電極と接地電極との間に形成された間隙に電圧を印加することで、当該間隙にて火花放電を生じさせる。その上で、前記間隙に電力を投入することによってキャビティ部内の気体をプラズマ化させて、キャビティ部の内部にプラズマを発生させる。そして、発生したプラズマがキャビティ部の開口から噴出することで、混合気への着火が行われる。
特開2010−218768号公報
ところで、気体のプラズマ化を促進し、プラズマの生成効率(着火性)を高めるためには、火花放電において、電圧が急激に変動する容量放電で流れる電流(容量放電電流)を増大させることが肝要である。しかしながら、プラズマ生成の際には、電圧の印加による火花放電の際に、容量放電に続いて微小な電流が流れ続ける誘導放電が生じてしまうことがある。すなわち、誘導放電の分だけエネルギーが無駄に使われてしまい、エネルギー効率が低下してしまうおそれがある。
そこで、例えば、点火プラグの形状を変更して点火プラグの有する静電容量を増大させたり、点火プラグの外部にコンデンサを設けたりすることで、従前、誘導放電に用いられていたエネルギーを容量放電に用いられるエネルギーとし、容量放電電流を増大させる手法が考えられる。しかしながら、前者の場合には、静電容量の増大のために点火プラグの形状を大幅に変更する必要が生じてしまい、点火プラグや内燃機関等の規格を考慮すると実用性の面で問題が生じる。また、後者の場合には、耐電圧に優れた大容量のコンデンサが必要となり、製造コストの増大や装置の大型化を招いてしまうおそれがある。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、点火プラグの形状を大幅に変更したり、外部にコンデンサを設けたりすることなく、容量放電電流を増大させ、プラズマ生成効率を向上させることができるプラズマジェット点火プラグ及び点火システムを提供することにある。
以下、上記目的を解決するのに適した各構成につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する構成に特有の作用効果を付記する。
構成1.軸線方向に延びる軸孔を有する絶縁体と、
自身の先端面が前記絶縁体の先端よりも前記軸線方向後端側に位置するようにして前記軸孔の先端側に挿設される中心電極と、
前記絶縁体の外周に配置される主体金具と、
前記主体金具の先端部に固定され、前記絶縁体の先端よりも前記軸線方向先端側に配置される接地電極とを備え、
前記軸孔の内周面及び前記中心電極の先端面により形成されるキャビティ部を有するプラズマジェット点火プラグであって、
前記絶縁体の外周面のうち前記主体金具の内周面に対向する面、及び、前記絶縁体の内周面のうち前記中心電極の外周面に対向する面のうちの少なくとも前記絶縁体の前記外周面の少なくとも一部には、導電性材料からなる導電層が設けられ、
前記絶縁体の外周面に設けられる第1の導電層は前記接地電極と電気的に接続され、前記絶縁体の内周面に設けられる第2の導電層は前記中心電極と電気的に接続され、
前記中心電極の先端より前記軸線に沿って1mm後端までの範囲において、前記絶縁体の外周面が露出していることを特徴とする。
点火プラグの静電容量は、主として、軸孔に配置される通電部材(中心電極等)と、主体金具と、これらに挟まれた絶縁体とにより形成された蓄電部位(いわばコンデンサとして機能する部位)の静電容量によって決定される。また、組付容易性の確保等を鑑みて、一般に絶縁体の外周面と主体金具の内周面との間や中心電極の外周面と絶縁体の内周面との間には、環状の隙間が形成される。すなわち、前記蓄電部位は、前記隙間(空気層)が介在する構成となっているのが一般的である。
この点を鑑みて、上記構成1によれば、絶縁体の外周面のうち主体金具の内周面に対向する面、及び、絶縁体の内周面のうち中心電極の外周面に対向する面のうちの少なくとも前記絶縁体の外周面の少なくとも一部に、導電性材料からなる導電層が設けられている。そして、絶縁体の外周面に設けられた導電層(第1の導電層)は接地電極ひいては主体金具と電気的に接続され、絶縁体の内周面に導電層を設ける場合には、当該導電層(第2の導電層)は中心電極と電気的に接続されている。
すなわち、第1の導電層を設けることで、前記蓄電部位は、絶縁体の外周面に設けられた第1の導電層と、中心電極等の通電部材(第2の導電層を設ける場合には、第2の導電層)と、これらに挟まれた絶縁体とによって形成されることとなる。従って、第1の導電層を設けることで、蓄電部位は、絶縁体の外周面と主体金具の内周面との間に形成される環状の隙間が介在されないものとなる。また、第2の導電層を設けることで、前記蓄電部位は、絶縁体の内周面に設けられた第2の導電層と第1の導電層と、これらに挟まれた絶縁体とによって形成される。従って、第2の導電層を設けた場合、蓄電部位は、中心電極の外周面と絶縁体の内周面との間に形成される環状の隙間が介在されないものとなる。
このように蓄電部位に隙間が介在されないように構成することで、蓄電部位ひいては点火プラグの有する静電容量を飛躍的に増大させることができ、点火プラグにより多くの電荷を蓄えさせることができる。その結果、容量放電電流を増大させることができ、プラズマ生成効率を向上させることができる。
また、外部にコンデンサを設ける必要がないため、製造コストの増大や装置の大型化を防止することができる。さらに、絶縁体の外周面や内周面に導電層を設けるだけで静電容量の増大を図ることができるため、外観上、従前の点火プラグと同一の形状を有するものとなり、実用性の面で何ら問題が生じることがない。
尚、絶縁体の内周面や外周面に導体層を設ける技術が提案されているが(例えば、特開2007−280668号公報)、当該技術は、絶縁体の内周面や外周面の電位を、中心電極や主体金具の電位とほぼ等しいものとすることで、絶縁体と、中心電極や主体金具との間における放電を抑制し、絶縁体の損傷を防止するものである。これに対して、本発明は、プラズマジェット点火プラグにおいてプラズマ生成効率を向上させるためには容量放電電流を増大させることが効果的であることを鑑みて、絶縁体の内周面や外周面に導電層を設けることで、点火プラグの静電容量を増大させ、容量放電電流を増大させるものである。従って、本発明と上記先行技術とは、技術的課題及び作用の面で大きく相違しており、技術的思想が異なる。
また、絶縁体の外周面のうち中心電極の先端の外周側に位置する面に、接地電極と電気的に接続された導電層が形成されている場合には、中心電極と接地電極との間で火花放電が生じる際に、外周側に向けて過度に押さえ付けられた状態で火花放電が生じてしまうおそれがある。その結果、火花放電によって絶縁体が削られてしまう現象(いわゆる、チャンネリング)が急速に進展してしまい、キャビティ部の容積の急激な増大ひいては着火性の急激な低下を招いてしまうおそれがある。
この点、上記構成1によれば、絶縁体の外周面に導電層が設けられるものの、絶縁体の先端から、中心電極の先端より1mm後端までの範囲において、絶縁体の外周面が露出している(すなわち、絶縁体の外周面に導電層が存在しない)ように構成されている。従って、外周側に向けて過度に押さえ付けられた状態で火花放電が生じてしまうという事態を効果的に抑制することができ、チャンネリングの急速な進展をより確実に防止することができる。その結果、キャビティ部の容積の急激な増大をより確実に防止することができ、ひいては優れた着火性を長期間に亘って維持することができる。
構成2.本構成のプラズマジェット点火プラグは、上記構成1において、前記絶縁体は、
前記主体金具の内周面に対して直接又は間接的に係止される段部と、
前記段部の先端から前記軸線方向先端側に延びる脚長部とを備え、
前記導電層は、前記脚長部の外周面の少なくとも一部に設けられることを特徴とする。
一般に脚長部は、その外径が絶縁体のその他の部分の外径よりも小さくなるように構成されており、その肉厚は、絶縁体の他の部分の肉厚と比べて小さい。
この点を鑑みて、上記構成2によれば、導電層は、脚長部の外周面の少なくとも一部に設けられている。従って、蓄電部位は、導電層と通電部材(中心電極等)との間の距離が十分に小さい状態で形成されることとなり、蓄電部位ひいては点火プラグの静電容量をより一層増大させることができる。また、蓄電部位は、中心電極と接地電極との間に形成された間隙(容量放電を発生させる箇所)の極めて近傍に形成されるため、蓄電部位から前記間隙までの通電経路を非常に短くすることができ、蓄電部位から前記間隙へと電流が流れる際における電力の損失を効果的に抑制することができる。従って、これらの作用効果が相俟って、プラズマ生成効率を一層向上させることができ、着火性の更なる向上を図ることができる。
尚、火花放電により点火するスパークプラグにおいては、中心電極の先端が絶縁体の先端から突出するようにして構成される。従って、中心電極と主体金具との間において、脚長部の外周面を這った異常な放電(いわゆる奥飛火や横飛火)が生じる可能性があり、この異常放電を防止するために、脚長部の先端側に導電層を設けることはできない。これに対して、プラズマジェット点火プラグでは、キャビティ部内において中心電極及び接地電極間で放電が生じるため、脚長部の外周面全域に、接地電極と電気的に接続された導電層を設けても異常放電が生じることはない。従って、異常放電の発生を考慮することなく、脚長部の広範囲に導電層を設けることができ、脚長部の広範囲に導電層を設けることで、静電容量の一層の増大を期待できる。
構成3.本構成のプラズマジェット点火プラグは、上記構成1又は2において、前記絶縁体は、前記主体金具の内周面に対して直接又は間接的に係止される段部を備え、
前記主体金具は、
自身の先端側外周に形成された取付用のねじ部と、
前記ねじ部よりも後端側に形成され、径方向外側に膨出する座部とを有し、
前記導電層は、前記絶縁体の外周面のうち前記段部よりも先端側の部位の少なくとも一部に設けられ、
前記段部は、前記座部の先端側端面よりも前記軸線方向後端側に位置することを特徴とする。
一般的な点火プラグにおいて、絶縁体の段部は、主体金具の座部よりも先端側に設けられる。これに対して、上記構成3によれば、前記段部が、座部よりも後端側に位置するように構成されている。そのため、絶縁体のうち段部よりも先端側に位置する部位の長さをより大きくすることができ、ひいては絶縁体の外周面に設けられる導電層の長さをより大きくすることができる。これにより、導電層の面積を増大させることができるとともに、前記蓄電部位における隙間の介在をより広範囲に亘って抑制することができ、点火プラグの静電容量を一層増大させることができる。その結果、プラズマ生成効率の更なる向上を図ることができ、着火性をさらに向上させることができる。
構成4.本構成のプラズマジェット点火プラグは、上記構成1乃至3のいずれかにおいて、前記軸孔には、前記中心電極の後端部と接続された導電性の通電部が挿設されており、
前記通電部のうち前記導電層よりも前記軸線方向後端側の部位には、抵抗体が配置されることを特徴とする。
点火プラグの外部にコンデンサを設ける場合には、外部コンデンサからの電力を中心電極及び接地電極間の間隙へと極力損失なく投入するために、中心電極と外部コンデンサとの間に介在される点火プラグの通電部に抵抗体を設けることはできない。しかしながら、抵抗体を設けない場合には、通電時におけるノイズ(電波雑音)が大きくなってしまい、例えば、制御系の装置などに影響を与えてしまうおそれがある。
この点、上記構成4によれば、抵抗体は、導電層(つまり、蓄電部位)よりも軸線方向後端側に設けられており、蓄電部位から前記間隙への電力の伝送経路上に、抵抗体が存在しないように構成されている。従って、抵抗体を設けることによるノイズの抑制効果を発揮させつつ、蓄電部位から前記間隙へと電流が流れる際における抵抗体の存在による電力の損失を防止することができ、上記構成1等によるプラズマ生成効率の向上という作用効果をより確実に発揮させることができる。
構成5.本構成のプラズマジェット点火プラグは、上記構成4において、前記抵抗体を介した前記通電部の後端と前記中心電極の先端との間の電気抵抗値が1kΩ以上10kΩ以下とされることを特徴とする。
上記構成5によれば、抵抗体を介した通電部の後端と中心電極の先端との間の電気抵抗値が1kΩ以上とされているため、ノイズの抑制効果をより絶大なものとすることができる。
一方で、前記電気抵抗値が10kΩ以下とされているため、電源装置から点火プラグ(蓄電部位)への電力の伝送時において電力の損失を効果的に抑制することができる。その結果、容量放電電流をより確実に増大させることができる。
構成.本構成のプラズマジェット点火プラグは、上記構成1乃至のいずれかにおいて、自身の静電容量が25pF以上100pF以下とされることを特徴とする。
上記構成によれば、点火プラグの静電容量が25pF以上と十分に大きくされている。従って、容量放電電流をより確実に増大させることができ、プラズマの生成効率を一層向上させることができる。
ところで、上述のように静電容量を増大させることで着火性の向上を期待できるが、静電容量を過度に増大させてしまうと、火花放電の際の放電エネルギーが極端に増大してしまい、チャンネリングが急速に進展してしまうおそれがある。
この点を鑑みて、上記構成によれば、点火プラグの静電容量が100pF以下とされている。従って、チャンネリングの発生を効果的に抑制することができ、ひいては優れた着火性を長期間に亘って維持することができる。
構成.本構成のプラズマジェット点火プラグは、上記構成1乃至のいずれかにおいて、前記中心電極は、径方向外側に突出し、前記軸孔の内周面に係止される鍔部を有し、
前記主体金具は、前記絶縁体の外周面が直接又は間接的に係止される被係止部を有し、
前記導電層は、前記軸孔の内周面のうち前記鍔部より先端側に位置する部位の少なくとも一部に設けられ、
前記鍔部は、前記被係止部より前記軸線方向後端側に位置することを特徴とする。
上記構成によれば、軸孔のうち鍔部よりも先端側に位置する部位の長さをより大きくすることができる。従って、軸孔の内周面に設けられる導電層の長さをより大きく確保することができ、点火プラグの静電容量を一層増大させることができる。その結果、着火性を一段と向上させることができる。
構成.本構成の点火システムは、上記構成4に記載のプラズマジェット点火プラグと、
前記通電部を介して、前記中心電極及び前記接地電極間に形成された間隙に電圧を印加する電圧印加部とを有することを特徴とする。
上記構成によれば、基本的には上記構成4と同様の作用効果が奏されることとなる。
点火システムの概略構成を示すブロック図である。 点火プラグの構成を示す一部破断正面図である。 点火プラグの別例を示す一部破断正面図である。 点火プラグの先端部の構成を示す部分拡大断面図である。 静電容量を種々変更したサンプルにおける、着火性評価試験の試験結果を示すグラフである。 静電容量を種々変更したサンプルにおける、耐久性評価試験の試験結果を示すグラフである。 抵抗体を介した通電部の後端と中心電極の先端との間の電気抵抗値を種々変更したサンプルにおける、ノイズ評価試験の試験結果を示すグラフである。 抵抗体を介した通電部の後端と中心電極の先端との間の電気抵抗値を種々変更したサンプルにおける、着火性評価試験の試験結果を示すグラフである。 (a),(b)は、別の実施形態における導電層の構成を示す部分拡大断面図である。 別の実施形態における導電層の構成を示す部分拡大断面図である。 別の実施形態における導電層の構成を示す部分拡大断面図である。 別の実施形態における点火プラグの構成を示す一部破断正面図である。
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、プラズマジェット点火プラグ(以下、「点火プラグ」と称す)1と、電圧印加部71とを有する点火システム101の概略構成を示すブロック図である。尚、図1では、点火プラグ1を1つのみ示しているが、内燃機関ENには複数の気筒が設けられており、各気筒に対応して点火プラグ1が設けられている。そして、各点火プラグ1ごとに電圧印加部71が設けられている。
点火システム101の説明に先立って、図2等を参照して、点火プラグ1の構成を説明する。図2は、点火プラグ1を示す一部破断正面図である。尚、図2では、点火プラグ1の軸線CL1方向を図面における上下方向とし、下側を点火プラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。
点火プラグ1は、筒状をなす絶縁体としての絶縁碍子2、これを保持する筒状の主体金具3などから構成されるものである。
絶縁碍子2は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、その外形部において、後端側に形成された後端側胴部10と、当該後端側胴部10よりも先端側において径方向外向きに突出形成された大径部11と、当該大径部11よりも先端側においてこれよりも細径に形成された中胴部12と、当該中胴部12よりも先端側においてこれよりも細径に形成された脚長部13とを備えている。加えて、絶縁碍子2のうち、大径部11、中胴部12、及び、脚長部13は、主体金具3の内部に収容されている。また、中胴部12と脚長部13との連接部にはテーパ状をなす段部としての縮径部14が形成されており、当該縮径部14にて絶縁碍子2が主体金具3に係止されている。
尚、本実施形態では、中胴部12の後端から脚長部13の先端までの間において、絶縁碍子2の外径に対して主体金具3の内径が大きくなるように構成されている。そのため、中胴部12の後端から脚長部13の先端にかけて、絶縁碍子2の外周面と主体金具3の内周面との間には、環状の隙間C1が形成されている。また、脚長部13の外径は、絶縁碍子2のその他の部位(大径部11や中胴部12等)の外径よりも小さくされており、その結果、脚長部13の肉厚は、絶縁碍子2のその他の部位の肉厚よりも小さくされている。
加えて、絶縁碍子2には、軸線CL1に沿って軸孔4が貫通形成されており、当該軸孔4の先端側には中心電極5が挿入、固定されている。具体的には、中心電極5は、自身の後端側において径方向外側に突出形成された鍔部5Fと、当該鍔部5Fから先端側に延び略同一の外径を有する円柱状の本体部5Mとを備え、鍔部5Fが軸孔4に形成された段差部4Dに係止されることで、軸孔4の先端側に固定されている。また、中心電極5は、その先端が絶縁碍子2の先端面よりも軸線CL1方向後端側に配置されている。尚、軸孔4に対して中心電極5を容易に挿入可能とすべく、本体部5Mの外径は、軸孔4のうち本体部5Mが挿入される部位の内径よりも若干小さくされており、本体部5Mの外周面と軸孔4の内周面との間には環状の隙間C2が形成されている。
さらに、中心電極5は、熱伝導性に優れる銅や銅合金等からなる内層5A、及び、ニッケル(Ni)を主成分とするNi合金〔例えば、インコネル(商標名)600や601等〕からなる外層5Bを備えている。加えて、中心電極5のうち、その先端から軸線CL1方向後端側に少なくとも0.3mmまでの部位には、タングステン(W)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、又は、これらの金属のうち少なくとも一種を主成分とする合金により形成された電極チップ5Cが設けられている。
また、軸孔4には、中心電極5の後端部に接続された導電性の通電部6が挿設されており、通電部6を介して中心電極5に対して高電圧が印加される。本実施形態において、通電部6は、それぞれ導電性を有する端子電極7、抵抗体8、及び、ガラスシール層9A,9Bを備えている。
端子電極7は、自身の後端部が絶縁碍子2の後端から突出した状態で軸孔4に挿入、固定されている。抵抗体8は、円柱状をなすとともに、軸孔4の中心電極5と端子電極7との間に配設されている。抵抗体8は、導電性材料(例えば、カーボンブラックなど)やガラス粉末等からなる組成物が加熱封着されることで形成されており、本実施形態では、抵抗体8を介した通電部6の後端と中心電極5の先端との間の電気抵抗値が1kΩ以上10kΩ以下となるように、その抵抗値が設定されている。加えて、ガラスシール層9A,9Bは、中心電極5と端子電極7との間において、抵抗体8を挟むように配置されており、抵抗体8及びガラスシール層9A,9Bを介して、中心電極5と端子電極7とが電気的に接続されている。尚、図3に示すように、抵抗体8を設けることなく、中心電極5と端子電極7とをガラスシール層9を介して電気的に接続することとしてもよい。
図2に戻り、前記主体金具3は、低炭素鋼等の金属により筒状に形成されており、その外周面には点火プラグ1を燃焼装置(例えば、内燃機関や燃料電池改質器等)の取付孔に取付けるためのねじ部(雄ねじ部)15が形成されている。また、ねじ部15の後端側の外周面には径方向外側に膨出する座部16が形成され、ねじ部15後端のねじ首17にはリング状のガスケット18が嵌め込まれている。さらに、主体金具3の後端側には、主体金具3を前記燃焼装置に取付ける際にレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部19が設けられるとともに、後端部において絶縁碍子2を保持するための加締め部20が設けられている。併せて、主体金具3の先端部外周には、軸線CL1方向先端側に向けて突出するように形成された環状の係合部21が形成されており、当該係合部21に対して後述する接地電極27が接合されるようになっている。尚、燃焼装置に取付けられた点火プラグ1においては、主体金具3ひいてはこれに接合される接地電極27が接地されることとなる。
また、主体金具3の内周面には、絶縁碍子2を係止するための被係止部としてのテーパ部22が設けられている。そして、絶縁碍子2は、主体金具3の後端側から先端側に向かって挿入され、自身の縮径部14が主体金具3のテーパ部22に係止された状態で、主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって主体金具3に固定されている。尚、絶縁碍子2の縮径部14及び主体金具3の縮径部22間には、円環状の板パッキン23が介在されている。これにより、燃焼室内の気密性を保持し、絶縁碍子2の脚長部13と主体金具3の内周面との隙間に入り込む燃料ガスが外部に漏れないようになっている。また、本実施形態では、前記鍔部5Fが、前記テーパ部22より軸線CL1方向後端側に位置しており、軸線CL1に沿った前記本体部5Mの長さが比較的大きくなるように構成されている。
さらに、加締めによる密閉をより完全なものとするため、主体金具3の後端側においては、主体金具3と絶縁碍子2との間に環状のリング部材24,25が介在され、リング部材24,25間にはタルク(滑石)26の粉末が充填されている。すなわち、主体金具3は、板パッキン23、リング部材24,25及びタルク26を介して絶縁碍子2を保持している。
また、主体金具3の先端部には、絶縁碍子2の先端よりも軸線CL1方向先端側に位置するようにして、円板状をなす接地電極27が接合されている。具体的には、接地電極27は、前記主体金具3の係合部21に係合された状態で、自身の外周部分が前記係合部21に対して溶接されることにより主体金具3に接合されている。また、中心電極5と接地電極27との間には間隙29が形成されており、中心電極5に高電圧が印加されることで、間隙29にて火花放電が生じるようになっている。尚、本実施形態において、接地電極27は、W、Ir、Pt,Ni、又は、これらの金属のうち少なくとも一種を主成分とする合金により構成されている。
加えて、接地電極27は、自身の中央に板厚方向に貫通する貫通孔27Hを有している。そして、軸孔4の内周面と中心電極5の先端面とにより形成され、先端側に向けて開口する円柱状の空間であるキャビティ部28が、前記貫通孔27Hを介して外部へと連通されている。
さらに、絶縁碍子2の外周面のうち主体金具3の内周面と対向する面に、導電性材料(例えば、Pt、Ag、Ni等)からなる環状の導電層31(「第1の導電層」に相当する)が設けられており、また、絶縁碍子2の内周面のうち中心電極5の外周面に対向する面に、導電性材料からなる環状の導電層32(「第2の導電層」に相当する)が設けられている。本実施形態では、図4(尚、図4等では、図示の便宜上、導電層31,32を実際よりも厚肉で示している)に示すように、導電層31は、脚長部13の外周面に設けられ、導電層32は、絶縁碍子2の内周面のうち、中心電極5の鍔部5Fの先端側から本体部5Mの先端にかけての部位と対向する面に設けられている。すなわち、導電層31,32は、それぞれ抵抗体8よりも軸線CL1方向先端側に位置において、互いに対向するようにして設けられている。尚、導電層31,32は、例えば、導電性材料をペースト状とした上で、これを絶縁碍子2に塗布することで得ることができる。
また、導電層31は、その後端部が板パッキン23に接触しており、板パッキン23及び主体金具3を介して接地電極27と電気的に接続されている(すなわち、導電層31は、点火プラグ1が燃焼装置に組み付けられたときに接地状態となる)。一方で、導電層32は、その後端部が中心電極5と接触しており、高電圧が印加される中心電極5と電気的に接続されている。従って、両導電層31,32、及び、これらに挟まれた絶縁碍子2(脚長部13)によって、隙間C1,C2が介在されていない状態の蓄電部位(いわばコンデンサ)が形成されている。また、導電層32、主体金具3、及び、これらに挟まれた絶縁碍子2によって、隙間C2が介在されていない状態の蓄電部位が形成されている。
また、このように隙間C1等が介在されていない状態の蓄電部位が形成されることで、点火プラグ1の静電容量は比較的大きなものとなっており、本実施形態では、25pF以上とされている。一方で、導電層31,32の形成範囲や、絶縁碍子2の肉厚、絶縁碍子2の形成材料などを調節することで、点火プラグ1の静電容量は過度に大きなものとはならないように調節されており、本実施形態では、100pF以下とされている。
尚、点火プラグ1の静電容量は、一般に端子電極7と接地電極27との間の容量値を測定する手法により得られるが、抵抗体8が設けられる場合には、点火プラグ1のうち抵抗体8よりも先端側の部位の容量値(例えば、中心電極5と接地電極27との間の容量値)を点火プラグ1の静電容量として測定してもよい。点火プラグ1のうち抵抗体8よりも先端側の部位に蓄えられる電荷は、抵抗体8を経ることなく両電極5,27間に投入されるため、容量放電電流を増大させ、プラズマの生成効率を向上させるという本発明の作用効果を実現するために特に効果的に作用するからである。
また、本実施形態では、絶縁碍子2の先端から、中心電極5の先端より軸線CL1に沿って1mm後端までの範囲ARにおいて、絶縁碍子2の外周面は導電層31で覆われておらず、範囲ARにおいて、絶縁碍子2はその外周面が露出するように構成されている。
次いで、上述した点火プラグ1に対して電圧を印加する電圧印加部71について説明する。
図1に示すように、電圧印加部71は、一次コイル72、二次コイル73、コア74、及び、イグナイタ75を備えている。
一次コイル72は、前記コア74を中心に巻回されており、その一端が電力供給用のバッテリVAに接続されるとともに、その他端がイグナイタ75に接続されている。また、二次コイル73は、前記コア74を中心に巻回されており、その一端が一次コイル72及びバッテリVA間に接続されるとともに、その他端が点火プラグ1の端子電極7に接続されている。
加えて、イグナイタ75は、所定のトランジスタにより形成されており、図示しない所定の電子制御装置(ECU)から入力される通電信号に応じて、バッテリVAから一次コイル72に対する電力の供給及び供給停止を切り替える。点火プラグ1に高電圧を印加する場合には、バッテリVAから一次コイル72に電流を流し、前記コア74の周囲に磁界を形成した上で、ECUからの通電信号をオンからオフに切り替えることで、バッテリVAから一次コイル72に対する電流を停止する。電流の停止により、前記コア74の磁界が変化し、自己誘電作用によって一次コイル72に一次電圧が生じるとともに、二次コイル73に負極性の高電圧(数〜数十kV)が発生し、点火プラグ1(端子電極7)に高電圧が印加される。
次に、上述した点火システム101の動作について詳述する。まず、所定の着火タイミングにてECUからイグナイタ75に対する通電信号をオフとすることで、電圧印加部71の二次コイル73で負極性の高電圧を発生させ、電圧印加部71から通電部6を介して間隙29に電気エネルギーを供給する(尚、電気エネルギーは、一定時間の間、継続して供給される)。これにより、点火プラグ1に電荷が充電されていき、間隙29の電位差が増大していく。そして、間隙29の電位差が、間隙29の絶縁破壊電圧を上回ると、点火プラグ1に充電された電荷が間隙29に流れ込む。その結果、間隙29で容量放電が生じて、間隙29に大電流が流れる。
容量放電が生じると、間隙29の抵抗値が極めて小さなものとなるため、電圧印加部71から間隙29へと電流が流れ込みやすい状態となるが、点火プラグ1は、両導電層31,32、及び、これらに挟まれた絶縁碍子2(脚長部13)からなる蓄電部位(いわばコンデンサ)を有するため、電圧印加部71からの電流は、前記蓄電部位へと流れ込み、前記蓄電部位の充電に用いられることとなる。その結果、間隙29に流れ込む電荷が減るため放電経路を維持できなくなり、間隙29の抵抗値が増大し、再び初期状態に戻り、電圧印加部71から供給される電気エネルギーにより、点火プラグ1が再度充電される。
そして、間隙29の電位差が、間隙29の絶縁破壊電圧を上回った段階で間隙29にて容量放電が生じ、次いで、点火プラグ1へと充電されることが、電圧印加部71から電気エネルギーが供給されている間、繰り返し行われる。その結果、電圧印加部71からの供給電力のみに基づいて、点火プラグ1においてプラズマが生成されることとなる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、点火プラグ1に形成される蓄電部位は、隙間C1等が介在しないものなっている。従って、点火プラグ1の有する静電容量を飛躍的に増大させることができ、点火プラグ1により多くの電荷を蓄えさせることができる。その結果、容量放電電流を増大させることができ、プラズマ生成効率を向上させることができる。
また、絶縁碍子2のうち肉厚の小さい脚長部13の外周面に導電層31が設けられている。そのため、蓄電部位は、導電層31と中心電極5(導電層32)との間の距離が十分に小さい状態で形成されることとなり、点火プラグ1の静電容量をより一層増大させることができる。また、蓄電部位は、間隙29の極めて近傍に形成されるため、蓄電部位から間隙29へと電流が流れる際における電力の損失を効果的に抑制することができる。従って、これらの作用効果が相俟って、プラズマ生成効率を一層向上させることができ、着火性の更なる向上を図ることができる。
加えて、抵抗体8は、導電層31,32(つまり、蓄電部位)よりも軸線CL1方向後端側に設けられており、蓄電部位から間隙29への電力の伝送経路上に、抵抗体8が存在しないように構成されている。従って、抵抗体8を設けることによるノイズの抑制効果を発揮させつつ、蓄電部位から間隙29へと電流が流れる際における電力の損失をより確実に防止することができる。
さらに、抵抗体8を介した通電部6の後端と中心電極5の先端との間の電気抵抗値が1kΩ以上とされているため、ノイズの抑制効果をより絶大なものとすることができる。一方で、前記電気抵抗値は10kΩ以下とされているため、電圧印加部71から点火プラグ1(蓄電部位)への電力の伝送時において電力の損失を効果的に抑制することができる。その結果、容量放電電流をより確実に増大させることができる。
また、本実施形態では、範囲ARにおいて、絶縁碍子2の外周面が露出している(すなわち、絶縁碍子2の外周面に導電層が存在しない)ように構成されている。従って、外周側に向けて過度に押さえ付けられた状態で火花放電が生じてしまうという事態を効果的に抑制することができ、チャンネリングの急速な進展をより確実に防止することができる。その結果、キャビティ部28の容積の急激な増大をより確実に防止することができ、優れた着火性を長期間に亘って維持することができる。
併せて、点火プラグ1の静電容量が25pF以上と十分に大きくされているため、容量放電電流をより確実に増大させることができ、プラズマの生成効率を一層向上させることができる。一方で、点火プラグ1の静電容量が100pF以下とされているため、チャンネリングの発生を効果的に抑制することができ、ひいては優れた着火性を一層長期間に亘って維持することができる。
また、前記鍔部5Fは、前記テーパ部22より軸線CL1方向後端側に位置しているため、軸孔4のうち鍔部5Fよりも先端側に位置する部位の長さをより大きくすることができる。従って、軸孔4の内周面に設けられる導電層32の長さをより大きく確保することができ、点火プラグ1の静電容量を一層増大させることができる。その結果、着火性を一段と向上させることができる。
加えて、一般的なプラズマジェット点火プラグの点火システムは、電圧印加部に加えて、間隙に対して電力を投入するための電力投入部を具備するところ、本実施形態の点火システム101は、電力投入部を具備せず、電圧印加部71のみを有している。そして、電圧印加部71から供給される電気エネルギーのみに基づいて、点火プラグ1においてプラズマを生成できるようになっている。そのため、製造コストの大幅な低減や点火システム101の小型化を図ることができる。
さらに、電圧印加部及び電力投入部を有する点火システムにおいては、電圧印加部及び電力投入部の一方から他方に対する電流の流入を防止すべく、両者の間にダイオードを設ける必要があるが、本実施形態の点火システム101では、ダイオードを設ける必要がない。従って、ダイオードの存在により、間隙29への投入エネルギーが減少してしまうという事態を防止することができ、着火性を一層向上させることができる。また、ダイオードを設けないことで、点火システム101の更なる小型化が可能となる。
次いで、上記実施形態によって奏される作用効果を確認すべく、導電層の形成範囲を変更する等により、自身の静電容量を種々変更した点火プラグのサンプルを複数作製し、各サンプルについて着火性評価試験を行った。着火性評価試験の概要は次の通りである。すなわち、各サンプルを排気量2.0L、4気筒エンジンに取付けた上で、点火タイミングをMBT(最適点火位置)として回転数1600rpmでエンジンを動作させた。そして、空燃比を徐々に増大(燃料を薄く)させつつ、各空燃比ごとにエンジントルクの変動率を測定し、エンジントルクの変動率が5%を上回ったときの空燃比を限界空燃比として特定した。尚、限界空燃比が大きいほど、着火性に優れることを意味する。図5に、当該試験の試験結果を示す。尚、サンプルの静電容量は、中心電極と接地電極との間の容量値を測定することで特定した。
図5に示すように、静電容量を25pF以上としたサンプルは、限界空燃比が飛躍的に増大し、着火性に極めて優れることが確認された。これは、静電容量を増大させたことで、容量放電電流が増大し、プラズマの生成効率が向上したためであると考えられる。また特に、静電容量を30pF以上とすることで、プラズマの生成効率が飛躍的に向上することが確認された。
次に、自身の静電容量を種々変更した点火プラグのサンプルについて、耐久性評価試験を行った。耐久性評価試験の概要は次の通りである。まず、各サンプルに対して電力を投入することでプラズマを噴出させるとともに、サンプルの側面側から噴出したプラズマを撮像し、撮像画像から初期状態におけるプラズマの噴出面積を測定した。その上で、サンプルを所定のチャンバーに取付けた上で、チャンバー内の圧力を0.4MPaに設定し、印加電圧の周波数を60Hzとして(すなわち、毎分3600回の割合で)各サンプルを放電させた。次いで、100時間経過ごとに、サンプルに電力を投入することでプラズマを噴出させるとともに、噴出したプラズマを点火プラグの側面側から撮像し、撮像画像からプラズマの噴出面積を測定した。そして、初期状態におけるプラズマの噴出面積に対して、測定されたプラズマの噴出面積が半分以下となった時間(耐久時間)を特定した。図6に、当該試験の試験結果を示す。尚、各サンプルに対する電圧の印加は最長1000時間とした。また、図6では、1000時間の段階で測定されたプラズマの噴出面積が初期状態におけるプラズマの噴出面積の半分よりも大きかったサンプルの試験結果を白抜きにて示す。
図6に示すように、静電容量を100pF以下としたサンプルは、耐久時間が1000時間を超え、優れた着火性を長期間に亘って維持できることが明らかとなった。これは、放電エネルギーの過大が抑制され、絶縁碍子の消耗(チャンネリング)が生じにくくなったことによると考えられる。
上記試験の結果より、着火性の向上を図りつつ、その優れた着火性を長期間に亘って維持するためには、点火プラグの静電容量を25pF以上100pF以下とすることが好ましいといえる。また、着火性の更なる向上を図るという観点から、点火プラグの静電容量を30pF以上とすることがより好ましいといえる。
次いで、抵抗体を介した通電部の後端と中心電極の先端との間の電気抵抗値を種々変更した点火プラグのサンプルを複数作製し、各サンプルについて、ノイズ評価試験、及び、上述の着火性評価試験を行った。ノイズ評価試験の概要は次の通りである。すなわち、所定のEMI測定装置(SCHAFFNER社製、GTEM−LT 550)を用いて、測定範囲30〜1000MHzでサンプルを放電させ、その際に発生したノイズ強度の最大値(最大ノイズ強度)を各サンプルごとに測定した。図7に、ノイズ評価試験の試験結果を示し、図8に、着火性評価試験の試験結果を示す。尚、着火性評価試験においては、各サンプルともに静電容量を50pFとした。
図7に示すように、電気抵抗値を1kΩ以上としたサンプルは、最大ノイズ強度が50dB未満となり、優れたノイズの抑制効果を有することが分かった。
一方で、図8に示すように、電気抵抗値を10kΩ以下としたサンプルは、限界空燃比が20を上回り、着火性に優れることが確認された。これは、電圧印加部から点火プラグへの電力の伝送時において電力の損失が効果的に抑制され、容量放電電流がより増大したためであると考えられる。
上記試験の結果より、優れた着火性を維持しつつ、ノイズの抑制効果を十分に発揮させるためには、抵抗体を介した通電部の後端と中心電極の先端との間の電気抵抗値を1kΩ以上10kΩ以下とすることが好ましいといえる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、絶縁碍子2の外周面及び内周面に導電層31,32が設けられているが、図9(a)に示すように、絶縁碍子2の外周面のみに導電層33を設けることとしてもよい。尚、図9(b)に示すように、絶縁碍子2の内周面のみに導電層34を設けてもよい(但し、参考例)。また、絶縁碍子2の外周面に導電層を設けるにあたり、当該導電層は、絶縁碍子2の外周面のうち主体金具3の内周面に対向する面の少なくとも一部に設けられていればよく、絶縁碍子2の内周面に導電層を設ける際に、当該導電層は、絶縁碍子2の内周面のうち中心電極5の外周面に対向する面の少なくとも一部に設けられていればよい。従って、例えば、図10に示すように、絶縁碍子2の中胴部12から脚長部13にかけて導電層35を設けることとしてもよい。
(b)上記実施形態では、脚長部13の先端側に導電層31は設けられていないが、図11に示すように、脚長部13の全域に亘って導電層37を設けることとしてもよい(但し、参考例)
(c)上記実施形態では、主体金具3の先端側に設けられた被係止部としてのテーパ部22に対して絶縁碍子2の先端側に設けられた段部としての縮径部14が係止されるように構成されている。これに対して、図12に示すように、主体金具3のうち座部16の先端側端面よりも後端側に設けられ、軸線CL1方向先端側に向けて内径が徐々に小さくなる被係止部としての棚部42に対して、段部としての前記大径部11の先端側端面が直接又は間接的に係止されるように構成してもよい(尚、図12において、大径部11の先端側端面は、棚部42に対して板パッキンを介して間接的に係止されている)。すなわち、絶縁碍子2のうち主体金具3に係止される部位が、座部16の先端側端面よりも軸線CL1方向後端側に位置するように構成してもよい。そして、絶縁碍子2のうち、前記大径部11の先端から軸線CL1方向先端側に延びる部位の外周面の少なくとも一部に導電層51を設けることとしてもよい。この場合には、導電層51の面積を増大させることができるとともに、前記蓄電部位における隙間の介在をより広範囲に亘って抑制することができ、点火プラグ1の静電容量を一層増大させることができる。その結果、プラズマ生成効率の更なる向上を図ることができ、着火性をさらに向上させることができる。
(d)上記実施形態では、接地電極27がWやIr等の金属により形成されているが、接地電極27のうち火花放電に伴い消耗する内周側の部位のみをWやIr等の金属により形成することとしてもよい。
(e)上記実施形態では、中心電極5の先端部に電極チップ5Cが設けられているが、電極チップ5Cを設けることなく、中心電極5を構成することとしてもよい。
1…点火プラグ(プラズマジェット点火プラグ)、2…絶縁碍子(絶縁体)、3…主体金具、4…軸孔、5…中心電極、5F…鍔部、6…通電部、8…抵抗体、13…脚長部、14…縮径部(段部)、15…ねじ部、16…座部、22…テーパ部(被係止部)、27…接地電極、28…キャビティ部、29…間隙、31…導電層(第1の導電層)、32…導電層(第2の導電層)、42…棚部(被係止部)、71…電圧印加部、101…点火システム、CL1…軸線。

Claims (8)

  1. 軸線方向に延びる軸孔を有する絶縁体と、
    自身の先端面が前記絶縁体の先端よりも前記軸線方向後端側に位置するようにして前記軸孔の先端側に挿設される中心電極と、
    前記絶縁体の外周に配置される主体金具と、
    前記主体金具の先端部に固定され、前記絶縁体の先端よりも前記軸線方向先端側に配置される接地電極とを備え、
    前記軸孔の内周面及び前記中心電極の先端面により形成されるキャビティ部を有するプラズマジェット点火プラグであって、
    前記絶縁体の外周面のうち前記主体金具の内周面に対向する面、及び、前記絶縁体の内周面のうち前記中心電極の外周面に対向する面のうちの少なくとも前記絶縁体の前記外周面の少なくとも一部には、導電性材料からなる導電層が設けられ、
    前記絶縁体の外周面に設けられる第1の導電層は前記接地電極と電気的に接続され、前記絶縁体の内周面に設けられる第2の導電層は前記中心電極と電気的に接続され、
    前記中心電極の先端より前記軸線に沿って1mm後端までの範囲において、前記絶縁体の外周面が露出していることを特徴とするプラズマジェット点火プラグ。
  2. 前記絶縁体は、
    前記主体金具の内周面に対して直接又は間接的に係止される段部と、
    前記段部の先端から前記軸線方向先端側に延びる脚長部とを備え、
    前記導電層は、前記脚長部の外周面の少なくとも一部に設けられることを特徴とする請求項1に記載のプラズマジェット点火プラグ。
  3. 前記絶縁体は、前記主体金具の内周面に対して直接又は間接的に係止される段部を備え、
    前記主体金具は、
    自身の先端側外周に形成された取付用のねじ部と、
    前記ねじ部よりも後端側に形成され、径方向外側に膨出する座部とを有し、
    前記導電層は、前記絶縁体の外周面のうち前記段部よりも先端側の部位の少なくとも一部に設けられ、
    前記段部は、前記座部の先端側端面よりも前記軸線方向後端側に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマジェット点火プラグ。
  4. 前記軸孔には、前記中心電極の後端部と接続された導電性の通電部が挿設されており、
    前記通電部のうち前記導電層よりも前記軸線方向後端側の部位には、抵抗体が配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプラズマジェット点火プラグ。
  5. 前記抵抗体を介した前記通電部の後端と前記中心電極の先端との間の電気抵抗値が1kΩ以上10kΩ以下とされることを特徴とする請求項4に記載のプラズマジェット点火プラグ。
  6. 自身の静電容量が25pF以上100pF以下とされることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のプラズマジェット点火プラグ。
  7. 前記中心電極は、径方向外側に突出し、前記軸孔の内周面に係止される鍔部を有し、
    前記主体金具は、前記絶縁体の外周面が直接又は間接的に係止される被係止部を有し、
    前記導電層は、前記軸孔の内周面のうち前記鍔部より先端側に位置する部位の少なくとも一部に設けられ、
    前記鍔部は、前記被係止部より前記軸線方向後端側に位置することを特徴とする請求項1乃至に記載のプラズマジェット点火プラグ。
  8. 請求項4に記載のプラズマジェット点火プラグと、
    前記通電部を介して、前記中心電極及び前記接地電極間に形成された間隙に電圧を印加する電圧印加部とを有することを特徴とする点火システム。
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