JP5139175B2 - 再加圧時の増圧方法 - Google Patents
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Description
また、シリコンオイル等を圧媒体とし、約100MPa以上の高い等方圧と100℃〜300℃の温度領域との相乗効果を利用して、加圧処理する温間等方圧加圧法(WIP)がある。
特開昭61−124503号公報(特許文献1)は、加熱された液体の圧媒体を成形容器(圧力容器)に投入循環させる温間静水圧加圧装置を開示する。この温間静水圧加圧装置は、軸荷重を担持可能として圧力容器の上下開放端に上蓋と下蓋とがそれぞれ嵌合され、圧力容器内で成形モールドに充填された被成形体が加熱成形される温間静水圧加圧装置である。この温間静水圧加圧装置は、加熱液体を圧力容器の外部で加熱する圧媒体加熱装置が設けられ、圧媒体加熱装置で加熱された圧媒体を圧力容器に加圧しながら投入循環させる圧媒体給排手段が設けられていることを特徴とする。
例えば300℃に加熱されたシリコンオイル、ひまし油などの液体の圧媒体を圧力容器へ供給する昇温工程の後、その圧媒体を増圧機で200MPa〜300MPa程度の高圧の成形圧まで加圧供給する昇圧工程を行なう場合、その圧力容器と増圧機とを接続する高圧配管中の圧媒体は、放熱などで冷却されることがある。特に、周囲温度が低い場合又は配管距離が長い場合には、周囲温度の低さ又は配管距離の長さに比例して、その影響を大きく受け、圧媒体の温度が大幅に低下する可能性がある。
一方、所定の圧力まで加圧された圧力容器内の圧力は、例えば、圧力容器内の温度低下や処理物の体積減少に伴い、若干ながら減少することがある。このような場合、増圧機を再度作動させ、圧力容器内を再加圧する再加圧処理が必要になる。しかしながら、上述した「配管内における圧媒体の閉塞状態」により、増圧機からの圧力を圧力容器内まで伝達することが困難となる場合が想定できる。なお、この際には、過負荷運転に伴う増圧機の故障も想定できる。
そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、圧力容器と増圧機とそれらの間に設けられた減圧機構とを備えた等方圧加圧装置において、再加圧時に適切に増圧することができる再加圧時の増圧方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明に係る再加圧時の増圧方法は、圧力容器と、該圧力容器内の圧力を増圧する増圧機と、それらの間を連結する配管と、前記配管に設けられた減圧機構とを備えた等方圧加圧装置に用いられるものであって、前記圧力容器内の再加圧が必要であると判定された際に、前記増圧機を作動させる再加圧ステップと、前記再加圧ステップによる圧力容器内の圧力上昇を検出する検知ステップと、前記検知ステップで圧力上昇が検出できない場合には、前記減圧機構を作動させて、前記配管内の圧力を低下させる減圧ステップと、前記減圧ステップの後に、前記増圧機を作動させる第2の再加圧ステップを有することを特徴とする。
等方圧加圧装置において、増圧機を作動させて再加圧を行なっても圧力上昇が検出できない場合には、圧媒体の温度が低下して圧媒体の粘度が上昇して固化した状態になったことに起因して、圧媒体が配管内で閉塞状態を形成していると考えられる。この場合、本発明の増圧方法を用いることで、減圧機構が作動されて配管内の圧力が低下される。配管内の圧力を低下させると、閉塞状態に陥っている圧媒体を流動化させることができる。減圧処理により圧媒体による配管の閉塞状態を解消できると、圧媒体による圧力伝播が圧力容器内まで及んで、圧力容器の再増圧が確実に行えるようになる。
また、好ましくは、前記等方圧加圧装置は、処理が終了したときに圧媒体を前記圧力容器から排出するための減圧弁を前記配管に備え、前記減圧機構は前記減圧弁から構成することもできる。
さらに好ましくは、前記減圧機構は、前記配管に連通する減圧シリンダで構成することもできる。
この減圧シリンダを用いて減圧ステップを実現して、圧媒体による配管の閉塞状態を解消できる。
なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
[第1実施形態]
本発明の等方圧加圧装置は、本実施形態における温間静水圧加圧装置1により実現される。この温間静水圧加圧装置1は、被処理材Wに100℃〜300℃の温度領域でシリコンオイル等の液体の圧媒体を介して等方圧を加えて処理を行なうWIP装置である。なお、本発明の適用は、このようなWIP装置に限定されない。
圧力容器2と増圧機5とは、高圧配管6により接続されている。高圧配管6は、減圧弁7と圧力検出センサ8とを備える。この減圧弁7は、処理終了後の減圧工程において圧力容器2の内部から圧媒体を排出する場合に用いられる。減圧弁7の二次側には、流量調整弁(絞り弁)14が設けられている。この流量調整弁14は、高圧配管6における急激な圧力降下を回避する。なお、この流量調整弁14のさらに下流側には増圧機5に連通する圧媒体タンク(図示しない)が接続されており、増圧機5により、高圧配管6内を圧媒体が循環する。
ジャケット加熱ユニット3においては、加熱ジャケット12の上下端部に接続された配管を介して、圧力容器2の胴体9の外周に配備された加熱ジャケット12に、加熱器31により加熱された熱媒が供給される。その熱媒の循環によって、加熱ジャケット12を介して圧力容器2が加熱される。
ジャケット加熱ユニット3及び加熱ユニット4を用いて、圧力容器2内の圧媒体及び被処理材Wを加熱する。圧力容器2内の圧媒体及び被処理材Wが所定の温度に達した後、次に、下蓋11から配管接続された増圧機5を作動させ、圧力検出センサ8で検出される圧力が所定の圧力に達するまで加圧する。
また、本実施形態においては、圧媒体として、100℃〜300℃の加熱に対応可能なシリコンオイルを使用している。
被処理材Wの処理完了後、減圧弁7を作動させて圧媒体を圧力容器2から圧媒体タンクへ排出する減圧工程を経て、圧力容器2内の被処理材Wの全ての処理は完了する。全ての処理が完了すると、圧力容器2から被処理材Wを取出すことができる。
とこで、前述した保持工程の途中においては、様々な要因(例えば、圧媒体の圧縮熱の減少、処理物の体積減少など)により、圧力容器内の圧力が若干低下することがある(例えば、数MPa程度)。そこで、設定圧力(例えば300MPa)を保持させるために、再び増圧機5を作動させる再加圧処理が行なわれる。
そこで、本実施形態に係る温間等方圧加圧装置1は、再加圧処理を行なう場合、圧力容器2内の圧力上昇が検出できないときには、以下に示す再加圧時処理(再加圧時の減圧処理及びそれに続く加圧処理)を実行することにより、所定の圧力を安定して保持する。
図2には、再加圧処理のフローチャートが示されている。
まず、ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、圧力容器2内の再加圧が必要であるか否かを判断する。このとき、圧力容器2内の圧力は、圧力検出センサ8により検出された圧力値に基づいて判断される。再加圧が必要であると判定されると(S100にてYES)、処理はS101へ移される。もしそうでないと(S100にてNO)、この再加圧処理は終了する。
S103にて、制御部は、検出された管内圧力PTに基づいて、圧力が上昇したか否かを判定する。圧力が上昇したと判定されると(S103にてYES)、処理はS110へ移される、もしそうでないと(S103にてNO)、処理はS104へ移される。
S104にて、制御部は、増圧機5を一旦停止させ、その上で、閉状態の減圧弁7を短時間(例えば、0.5秒程度)だけ開状態にして、その後、閉状態に戻す。なお、このとき、減圧弁7に圧力回路を介して接続された電磁弁13が、制御部からの電気信号に基づいて作動して、減圧弁7の減圧動作を実現している。さらに、このS104の処理においては、減圧弁7を開状態にしたときの管内圧力PTが1MPa〜3MPa程度低下することを検出したら、閉状態にするように制御される。
S106にて、制御部は、減圧弁7を作動させて管内圧力PTを低下させる処理を再試行(リトライ)するか否かを判定する。減圧弁7を作動させたトライ回数をカウントしていて、その回数が例えば3回を上回るまではリトライすると判定する。リトライすると判定されると(S106にてYES)、処理はS104へ移される、もしそうでないと(S106にてNO)、処理はS107へ移される。なお、このリトライ処理は、オペレータが状況を判断し、減圧弁7の操作を適宜数回行うものであってもよい。
S110にて、制御部は、成形処理の所定の圧力である300MPaまで、増圧機5により圧媒体を加圧する。
以上のような処理工程を有する温間等方圧加圧装置1の動作について説明する。なお、以下においては、保持工程において再加圧が必要になった場合のみについて説明する。
圧力容器2内の圧媒体及び被処理材Wが所定の温度に収束する昇温工程が完了した後に昇圧工程に入り、圧力容器2内の圧力が所定の圧力になると、保持工程に入る。この保持工程において、圧力容器2内の圧力が低下して、再加圧が必要であると判定されると(S100にてYES)、増圧機5が稼働される(S101、再加圧ステップ)。
一方、増圧機5が稼働されて(S101)、圧力検出センサ8により検出された圧力が上昇していないと(S103にてNO)、高圧配管6内で圧媒体の閉塞状態が発生していると考えられる。この場合には、減圧弁7が作動されて、減圧弁7により高圧配管6内の圧力が例えば1MPa程度低下される(S104、減圧ステップ)。このように、一時的に圧力を低下させると、閉塞状態に陥っている圧媒体を流動化させることができて、稼働を継続している増圧機5の作用により、圧力が上昇する(S105にてYES)。1回の減圧処理により圧媒体による高圧配管6の閉塞状態を解消できると、その後、圧媒体が所定の圧力になるまで(300MPa)、増圧機5により増圧される(S110、第2の再加圧ステップ)。以上が減圧処理である。
さらに、減圧弁7が数回(例えば3回)作動されて、減圧弁7により高圧配管6内の圧力を例えば3MPa程度低下しても閉塞状態に陥っている圧媒体を流動化させることができないと、増圧機5が稼働していても、圧力が上昇しない(S105にてNO)。この場合には、圧媒体による高圧配管6の閉塞状態を解消できていないが、リトライも許可されなくなる(S106にてNO)。このような状態でこの温間等方圧加圧装置1を稼働させることは、例えば増圧機5の過負荷を招くことにもなるので、異常処理が行なわれる(S107)。このとき、発生している異常をオペレータに報知するために、図示しない表示部に、この異常を示す情報を表示する。
[第2実施形態]
図3を参照して、本発明の第2実施形態に係る温間等方圧加圧装置200について説明する。図3は、上述の図1に対応する図である。
本実施形態に係る温間等方圧加圧装置200は、第1実施形態に係る温間等方圧加圧装置1と比較して、高圧配管6に連結された減圧シリンダ20を備える点が異なる。これ以外の構造及びフローチャートは同じであるので、これ以外の説明はここでは繰り返さない。なお、減圧弁7は、被処理材Wへの処理が完了した後の減圧工程で必要であるため、本実施形態に係る温間等方圧加圧装置200も備えている。
制御部は、非作動状態の減圧シリンダ20を動作状態にする。詳しくは、制御部からの電気信号に基づいて作動して、減圧シリンダ20のピストンが減圧シリンダ20内へ後退するように移動し、減圧シリンダ20における高圧側シリンダ21内の体積が増えるようにする。すると、減圧シリンダ20に連通する高圧配管6内の圧力が減少するようになる。
以上のように、本実施形態でも、第1実施形態に係る温間等方圧加圧装置と同様に、高圧配管を加熱又は保温するヒータを備えることなく、再加圧処理を適切に実行することができる。
[第3実施形態]
図4を参照して、本発明の第3実施形態に係る温間等方圧加圧装置300について説明する。図4は、上述の図1に対応する図である。
制御部は、非連通状態の制御弁301を短時間(例えば、0.5秒程度)だけ連通状態にして、その後、非連通状態に戻す。なお、このとき、制御弁301は、制御弁301に接続された制御部からの電気信号に基づいて作動して、減圧タンク30の減圧動作を実現している。さらに、この処理においては、制御弁301を連通状態にしたときの管内圧力PTが1MPa〜3MPa程度低下することを検出したら、非連通状態にするように制御される。
以上のように、本実施形態でも、第1実施形態及び第2実施形態に係る温間等方圧加圧装置と同様に、高圧配管を加熱又は保温するヒータを備えることなく、再加圧処理を適切に実行することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 圧力容器
3 ジャケット加熱ユニット
4 加熱ユニット
5 増圧機
6 高圧配管
7 減圧弁
8 圧力検出センサ
9 胴体
10 上蓋
11 下蓋
12 加熱ジャケット
13 電磁弁
Claims (5)
- 圧力容器と、該圧力容器内の圧力を増圧する増圧機と、それらの間を連結する配管と、前記配管に設けられた減圧機構とを備えた等方圧加圧装置に用いられる再加圧時の増圧方法であって、
前記圧力容器内の再加圧が必要であると判定された際に、前記増圧機を作動させる再加圧ステップと、
前記再加圧ステップによる圧力容器内の圧力上昇を検出する検知ステップと、
前記検知ステップで圧力上昇が検出できない場合には、前記減圧機構を作動させて、前記配管内の圧力を低下させる減圧ステップと、
前記減圧ステップの後に、前記増圧機を作動させる第2の再加圧ステップを有することを特徴とする再加圧時の増圧方法。 - 前記減圧ステップでは、配管内において非流動状態にある圧媒体を流動状態へと遷移させうる圧力低下量を前記配管に付与することを特徴とする請求項1に記載の再加圧時の増圧方法。
- 前記等方圧加圧装置は、処理が終了したときに圧媒体を前記圧力容器から排出するための減圧弁を前記配管に備え、
前記減圧機構は前記減圧弁からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の再加圧時の増圧方法。 - 前記減圧機構は、前記配管に連通する減圧シリンダであることを特徴とする請求項1又は2に記載の再加圧時の増圧方法。
- 前記減圧機構は、前記配管に連通する減圧タンクであることを特徴とする請求項1又は2に記載の再加圧時の増圧方法。
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