JP5138961B2 - ウスタイトバルク材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ウスタイト相の様々な物性を把握するための測定用試料や鉄鋼材料として用いることができるウスタイトバルク材の製造方法に関するものである。
鉄鋼製品の製造プロセスでは、高温で形成されるスケール(表面酸化皮膜)が原因となって、製品品質や製品性能、製品歩留まりの低下等の問題が起こる。例えば、加熱炉で生じた一次スケールが取り除かれずに残ったまま圧延されると、スケールの破壊や押し込みによりスケール疵が発生する。また、二次スケールに起因して、メカニカルデスケーリング性が不良となったり、メッキ性が不良となったりする。このように、スケールの形成に起因する様々な表面性状に関わる課題が存在する。これらの技術的課題を抜本的に解決するためには、圧延プロセスにおけるスケールの生成や破壊に関する動的挙動を十分に把握する必要がある。特に、圧延プロセスにおけるスケールの破壊・変形挙動を理解するためには、高温状態におけるスケールの物理的特性や機械的特性の把握が必要となる。
スケールの高温物性を正確に把握するためには、スケールを構成するFeO、Fe34、Fe23等の各鉄酸化物の高温物性を各々把握することが必要である。そのためには、各鉄酸化物の単体試料を作製し、高温における硬度、弾性定数(ヤング率)、熱膨張係数等の物性を、所定の方法により直接測定することが望ましい。特に、高温ビッカース硬度計による高温硬度測定、グリーブル試験による応力−歪み曲線測定に基づくヤング率の算出、TMA(熱機械分析)による熱膨張係数の測定等を行う場合には、高純度の鉄酸化物の単体試料からなるバルク材を作製し、これを所定の形状に加工して、各物性を直接測定することが望ましい。
しかし、鉄酸化物の中でも特にウスタイト(FeO)は、570℃以下では熱力学的に安定して存在しない相であることから、ウスタイトバルク材の作製方法はほとんど知られておらず、効率的なウスタイトバルク材の製造方法は未だ確立されていない。例えば、特許文献1には、鉄(Fe)粉とマグネタイト(Fe34)粉とをメカニカルアロイングによりウスタイト(FeO)粉とし、これを570℃以上の温度で焼結して、ウスタイトバルク材を得る方法が開示されている。しかし、特許文献1に開示された方法では、メカニカルアロイングに100時間もの時間を要するため、ウスタイトバルク材を得るに当たって、製造効率が良いとは言えない。
特開2001−60308号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウスタイトバルク材を効率よく製造できる方法を提供することにある。
上記課題を解決することができた本発明のウスタイトバルク材の製造方法とは、Fe粉末とFe34粉末とを混合して混合粉末を得る工程、前記混合粉末を成型して成型体を得る工程、前記成型体を焼結してウスタイト焼結体を得る工程、前記ウスタイト焼結体をホットプレスしてウスタイトバルク材を得る工程を含むところに特徴を有する。前記構成によれば、ウスタイトバルク材を効率よく製造できる。
前記成型体を得る工程では、混合粉末を1.0tf/cm2〜3.0tf/cm2の圧力で成型することが好ましい。前記圧力範囲であれば、得られる成型体やウスタイト焼結体の割れやひびの発生を抑制しやすくなる。
本発明のウスタイトバルク材の製造方法は、混合粉末を得る工程において、Fe粉末とFe34粉末とを、Fe34粉末1質量部に対しFe粉末0.75質量部〜0.85質量部となる比率で混合し、ウスタイト焼結体を得る工程において、成型体を900℃〜1100℃の温度、Ar雰囲気または真空雰囲気で焼結し、ウスタイトバルク材を得る工程において、ウスタイト焼結体をAr雰囲気または真空雰囲気でホットプレスすることが好ましい。前記構成により、高純度のウスタイト焼結体やウスタイトバルク材を得やすくなる。
本発明のウスタイトバルク材の製造方法は、ウスタイトバルク材を得る工程において、ウスタイト焼結体を700℃〜1000℃の温度、400kgf/cm2〜800kgf/cm2の圧力でホットプレスすることが好ましい。前記条件でホットプレスすることで、高密度のウスタイトバルク材を得やすくなる。
本発明の製造方法を用いれば、ウスタイトバルク材を効率よく製造できる。
本発明のウスタイトバルク材の製造方法は、Fe粉末とFe34粉末とを混合して混合粉末を得る工程、前記混合粉末を成型して成型体を得る工程、前記成型体を焼結してウスタイト焼結体を得る工程、前記ウスタイト焼結体をホットプレスしてウスタイトバルク材を得る工程を含むところに特徴を有する。
まず、Fe粉末とFe34粉末とを混合して混合粉末を得る工程について説明する。
本発明で使用するFe粉末やFe34粉末は、冶金材料等として一般的に市販されているものを用いることができる。
Fe粉末とFe34粉末との混合比率は、Fe34粉末1質量部に対し、Fe粉末0.75質量部以上、0.85質量部以下とすることが好ましい。Fe粉末が0.75質量部以上、0.85質量部以下であれば、Fe粉末とFe34粉末とが過不足なく反応して、高純度のウスタイト焼結体やウスタイトバルク材を容易に得ることができる。すなわち、Fe粉末が0.75質量部未満であれば、Fe成分が不足するために、ウスタイト焼結体やウスタイトバルク材中にFe34成分が残存し、Fe粉末が0.85質量部を超える場合は、Fe成分が過剰となるために、ウスタイト焼結体やウスタイトバルク材中にFe成分が残存しやすくなる。
Fe粉末とFe34粉末との混合方法は特に限定されず、公知の混合方法を採用すればよい。
Fe粉末とFe34粉末との混合時間は、1時間以上が好ましく、2時間以上がより好ましい。また、混合時間は、10時間以下が好ましく、8時間以下がより好ましい。混合時間が1時間以上であれば、Fe粉末とFe34粉末とを十分均一に混合することができる。混合時間が10時間を超える場合は、それより長い時間混合を行っても得られるウスタイト焼結体やウスタイトバルク材の純度等に影響を及ぼさない。従って、混合時間が10時間以下であれば、製造時のエネルギーの消費を低く抑えられ、製造効率が向上する。
次に、混合粉末を成型して成型体を得る工程について説明する。本工程では、混合粉末を任意の形状の金型に入れて、圧力をかけることにより、成型体を得ることができる。
成型圧力は、1.0tf/cm2以上、3.0tf/cm2以下が好ましい。成型圧力が1.0tf/cm2以上であれば、混合粉末を崩壊させることなく成型することが容易となる。成型圧力が3.0tf/cm2以下であれば、成型体の残留応力を少なくでき、引き続く焼結処理により得られるウスタイト焼結体の割れやひびの発生を抑えやすくなる。
次に成型体を焼結してウスタイト焼結体を得る工程について説明する。本工程では、FeとFe34とが混合した成型体を焼結することにより、成型体材料が相変化を起こし、ウスタイト(FeO)相を有する成型体が得られる。
焼結温度は、900℃以上、1100℃以下が好ましい。焼結温度が900℃以上であれば、成型体内での酸素の拡散、すなわちFe34からFeへの酸素の移動が促進され、高純度のウスタイト焼結体が得やすくなる。焼結温度が1100℃以下であれば、残留酸素による過度の酸化が起こりにくくなり、得られるウスタイト焼結体中のFe34の存在量を低く抑えられる。また、焼結温度が1100℃以下であれば、得られるウスタイト焼結体の溶融が起こりにくくなる。
焼結時間は、10分以上が好ましく、30分以上がより好ましい。また、焼結時間は、120分以下が好ましく、90分以下がより好ましい。焼結時間が10分以上であれば、成型体が十分焼結するとともに、成型体内で酸素が十分拡散し、高純度のウスタイト焼結体やウスタイトバルク材を得やすくなる。焼結時間が120分を超える場合は、それより長い時間焼結を行っても得られるウスタイト焼結体の物性等に影響を及ぼさない。従って、焼結時間が120分以下であれば、製造時のエネルギーの消費を低く抑えられ、製造効率が向上する。なお、焼結時間とは、上記焼結温度に保持された時間を意味する。
焼結は、Ar(アルゴン)雰囲気または真空雰囲気で行うことが好ましい。なお、真空雰囲気としては、圧力が1.0×10-3Torr(0.13Pa)以下の雰囲気であることが好ましい。焼結は、雰囲気中の酸素を遮断した密閉系で行うことが理想であり、Ar雰囲気または真空雰囲気で行うことにより、できる限り雰囲気中の酸素を除去することが好ましい。従って、Ar雰囲気または真空雰囲気で焼結を行うことにより、高純度のウスタイト焼結体やウスタイトバルク材を容易に得ることができる。なお、ウスタイト焼結体やウスタイトバルク材の純度を多少下げてもよい場合は、N2(窒素)雰囲気で焼結を行ってもよい。
次に、ウスタイト焼結体をホットプレスしてウスタイトバルク材を得る工程について説明する。ウスタイト焼結体は、ポーラスであり、密度が低い。本工程では、ウスタイト焼結体を任意の金型に入れてホットプレスすることにより、一般のバルク材と同程度の高密度を有するウスタイトバルク材を得ることができる。なお、ウスタイト焼結体を任意の金型に入れる際には、ウスタイト焼結体を金型形状に応じて前もって機械加工しておくことが好ましい。
ホットプレス温度は、700℃以上、1000℃以下が好ましい。ホットプレス温度が700℃以上であれば、高密度のウスタイトバルク材が得やすくなる。ホットプレス温度が1000℃以下であれば、ウスタイトバルク材や金型の割れを防止しやすくなる。
ホットプレス時間は、30分以上、120分以下が好ましい。ホットプレス時間が30分以上であれば、高密度のウスタイトバルク材を容易に得ることができる。ホットプレス時間が120分を超える場合は、それより長い時間ホットプレスを行っても得られるウスタイトバルク材の密度を上げることができない。従って、ホットプレス時間が120分以下であれば、製造効率が向上する。
ホットプレス圧力は、400kgf/cm2以上、800kgf/cm2以下が好ましい。ホットプレス圧力が400kgf/cm2以上であれば、高密度のウスタイトバルク材を容易に得ることができる。ホットプレス圧力が800kgf/cm2以下であれば、ウスタイトバルク材や金型の割れを防止しやすくなる。
ホットプレスは、Ar(アルゴン)雰囲気または真空雰囲気で行うことが好ましい。なお、真空雰囲気としては、圧力が1.0×10-3Torr(0.13Pa)以下の雰囲気であることが好ましい。できる限り酸素を除去した雰囲気でホットプレスを行うことにより、ウスタイトバルク材の酸化が抑制され、高純度のウスタイトバルク材が得やすくなる。
ホットプレスの金型材質は特に限定されないが、ホットプレス時の耐熱性の確保や成型体と反応しないことを考慮すると、グラファイト製金型を使用することが好ましい。
以上のように、本発明の製造方法によれば、従来の方法に比べて、ウスタイトバルク材をより短い製造時間で、効率よく製造できる。また、本発明の製造方法によれば、高純度で高密度のウスタイトバルク材を得ることができるため、得られたウスタイトバルク材を、ウスタイト相の様々な物性を把握するための測定用試料、例えば、従来バルク材を用いなければ測定をすることが難しかったヤング率や熱膨張係数等を測定するための試験体として用いることができる。
以下に、実施例を示すことにより本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
[実験1]成型圧力の影響
V型混合機に、Fe粉末((株)神戸製鋼所製、アトメル300NH)とFe34粉末(和光純薬工業(株)製、四三酸化鉄、純度95%以上)とを、Fe粉末:Fe34粉末の質量比が0.8:1となるように仕込み、3時間混合した。得られた混合粉末を、円筒金型(φ10mm×10mm)と角状金型(55mm×55mm×8mmt)に各々仕込み、圧力をかけて成型した。成型の際の圧力は、0.5tf/cm2、1.0tf/cm2、2.0tf/cm2、3.0tf/cm2、または4.0tf/cm2とした。金型から取り出した成型体を、Ar雰囲気中で、1100℃で1時間加熱することで焼結し、ウスタイト焼結体を得た。焼結に当たっては、1100℃に昇温する際の昇温速度は100℃/hで行い、1100℃で1時間焼結した後の冷却は焼結炉内で放冷することにより行った。
成型時の圧力が0.5tf/cm2の条件では、円筒金型と角状金型いずれの金型を用いて成型した場合も、金型から取り出した時点で成型体が崩れた。一方、成型時の圧力が1.0tf/cm2以上の条件では、いずれの金型を用いて成型した場合も、金型から取り出しても成型体は崩壊せず、安定な成型体が形成されたことを確認した。
ウスタイト焼結体を目視にて観察した結果、成型時の圧力が4.0tf/cm2の条件では、ウスタイト焼結体にクラックが発生しており、一部ウスタイト焼結体の崩壊も確認された。成型時の圧力が1.0tf/cm2〜3.0tf/cm2の条件では、ウスタイト焼結体にはクラックの発生は認められず、良好なウスタイト焼結体が作製できたことを目視にて確認した。
[実験2]焼結の温度、時間、雰囲気の影響
V型混合機に、前記Fe粉末と前記Fe34粉末とを、表1に示す「配合比率Fe:Fe34」となるように仕込み、3時間混合した。なお、表1において、「配合比率Fe:Fe34」は、Fe粉末とFe34粉末の質量比を表す。得られた混合粉末を、円筒金型(φ10mm×10mm)に仕込み、1.5tf/cm2の圧力をかけて成型した。金型から取り出した成型体を、表1に示す温度、時間、雰囲気の各条件で加熱することで焼結し、ウスタイト焼結体を得た。なお、表1中、焼結の雰囲気を「真空」とした条件は、圧力1×10-3Torr(0.13Pa)以下で焼結を行った。焼結に当たっては、所定の焼結温度に昇温する際の昇温速度は100℃/hで行い、所定の温度で1時間焼結した後の冷却は焼結炉内で放冷することにより行った。
Figure 0005138961
ウスタイト焼結体をXRD(X線回折)測定し、ウスタイト焼結体に含まれる結晶構造(相)を調べた。ウスタイト焼結体の作製条件に応じて、ウスタイト焼結体にはFe34、Fe23、FeO、α−Feの各相が検出された。
一例として、表1に示したNo.2のウスタイト焼結体のXRDチャートを図1に、No.5のウスタイト焼結体のXRDチャートを図2に示した。No.2のウスタイト焼結体では、FeとFe34に由来する弱いピークも認められたものの、ほぼFeOのみに由来する回折ピークが確認された。No.5のウスタイト焼結体では、FeOに由来する回折ピークに加え、比較的強いFeの回折ピークも認められた。
ウスタイト焼結体のXRD測定で検出された前記各相について、表2に示す面指数を選択し、各相の選択した面指数に対応するピークの強度(XRDチャートにおけるピークの高さ)を計測した。相の種類と面指数に応じてピーク強度の感度は異なり、各相の面指数に対応するピークの相対感度係数を表2に示した。ウスタイト焼結体のFeO比率(FeO含有量の相対比率)を、次式により算出した。
FeO比率(容量%)=(FeOのピーク強度×FeOの相対感度係数)/(Fe34のピーク強度×Fe34の相対感度係数+Fe23のピーク強度×Fe23の相対感度係数+FeOのピーク強度×FeOの相対感度係数+α−Feのピーク強度×α−Feの相対感度係数)×100
Figure 0005138961
焼結条件を様々変えて焼結を行ったときの、ウスタイト焼結体のFeO比率測定結果を表1に示した。表1中、No.2〜4、7〜9、11、12、14〜17、20、21のウスタイト焼結体は、FeO比率が95%以上となり、特にウスタイトを高純度で含有していた。
No.1のウスタイト焼結体は、Feの配合比率が低く、ウスタイト焼結体にはFe34が残存した。No.5のウスタイト焼結体は、Feの配合比率が高く、ウスタイト焼結体にはFeが残存した。
No.6のウスタイト焼結体は、焼結温度が低く、ウスタイト焼結体にはFeとFe34が残存した。No.10、18、19のウスタイト焼結体は、焼結温度が高く、ウスタイト焼結体にはFe34が残存した。
No.13のウスタイト焼結体は、焼結時間が短く、ウスタイト焼結体にはFeとFe34が残存した。
No.22、23のウスタイト焼結体は、焼結を窒素雰囲気下で行い、ウスタイト焼結体にはFe34が残存した。No.24、25のウスタイト焼結体は、焼結を大気素雰囲気下で行い、ウスタイト焼結体にはFe34が残存した。
以上の結果、FeO比率が高いウスタイト焼結体を得るには、Fe:Fe34の配合比率が0.75〜0.85:1.0、焼結温度を900℃〜1100℃、焼結時間を10分〜120分、焼結を行う雰囲気をAr雰囲気または真空(≦1×10-3Torr(0.13Pa))の条件で焼結を行えばよいことが明らかになった。
[実験3]ホットプレスの温度、圧力の影響
V型混合機に、前記Fe粉末と前記Fe34粉末とを、Fe粉末:Fe34粉末の質量比が0.8:1となるように仕込み、3時間混合した。得られた混合粉末を、円盤金型(φ180mm×20mm)に仕込み、1.5tf/cm2の圧力をかけて成型した。金型から取り出した成型体を、Ar雰囲気中で、1100℃で1時間加熱することで焼結し、ウスタイト焼結体を得た。焼結に当たっては、1100℃に昇温する際の昇温速度は100℃/hで行い、1100℃で1時間焼結した後の冷却は焼結炉内で放冷することにより行った。ウスタイト焼結体を90mm×90mm×20mmの角形ブロック状に機械加工した後、内法90mm×90mmのグラファイト製金型にセットし、温度と圧力の各条件を変化させて、真空中(≦1×10-3Torr(0.13Pa))で60分間ホットプレスを行い、ウスタイトバルク材を得た。ホットプレスの温度条件は、700℃、900℃、または1000℃とした。また、ホットプレスの圧力条件は、基本的に、0kgf/cm2、200kgf/cm2、300kgf/cm2、400kgf/cm2、500kgf/cm2、600kgf/cm2、700kgf/cm2、または800kgf/cm2とした。
ウスタイトバルク材の見かけ密度を、アルキメデス法により測定した。(ウスタイトバルク材の見かけ密度)÷(ウスタイトの真密度)により算出される値を、ウスタイトバルク材の焼結密度とした。なお、ウスタイトの真密度の値は5.7g/cm3である。
温度と圧力を変えてホットプレスを行ったときの、ウスタイトバルク材の焼結密度の測定結果を図3に示した。ホットプレスの際の温度が700℃以上、圧力が400kgf/cm2以上の条件では、焼結密度が95%以上となり、当該条件でウスタイトバルク材を製造すれば、焼結体であるにも関わらず、一般のバルク材と同等の高密度材が得られることが確認できた。なお、真空以外の雰囲気でホットプレスを行った場合には、ウスタイトバルク材表面にヘマタイト(Fe23)の生成が認められた。特に、大気雰囲気でホットプレスを行った場合には、ヘマタイトの生成が顕著に認められた。
[実験4]ウスタイトバルク材の硬度測定
実験3と同様にして、ウスタイトバルク材を得た。なお、ホットプレスは、900℃、500kgf/cm2の条件で行った。
ウスタイトバルク材の硬度(ビッカース硬度)を、室温または1000℃で測定した。硬度測定には日本光学製MQ型高温顕微硬度計を使用し、JIS Z 2244に従い測定を行った。
比較として、10mm×20mm×3mmの大きさの高純度鉄(純度99.99%)を、1000℃で30分間、酸素雰囲気中で加熱することにより、表面を酸化させた試料(高純度鉄酸化試料)を作製した。高純度鉄酸化試料には、厚さ約600μmのスケールが生成していた。比較試料を断面加工してスケール断面を露出させ、FeOのみが層状に形成されている部分に対し、室温または1000℃で硬度(ビッカース硬度)測定を行った。
測定結果を表3に示した。ウスタイトバルク材の硬度は、室温と1000℃のいずれの条件でも、高純度鉄酸化試料に生成したスケールのFeO層の硬度にほぼ近い値となっていた。ウスタイトバルク材は、高密度で、高純度のFeOを有していると認められた。
Figure 0005138961
[実験5]ウスタイトバルク材の熱膨張係数測定
実験4と同様にして得られたウスタイトバルク材を、3.5mm×3.5mm×20mmの大きさに機械加工して、試験体を得た。得られた試験体について、TMA(熱機械分析)装置を用いて、室温から1000℃までの線膨張率を測定した。一方、比較として、Fe23焼結体についても、同様の方法で線膨張率を測定した。
測定結果を図4に示した。図4中、ウスタイトバルク材の測定結果を「FeO」と表示し、Fe23焼結体の測定結果を「Fe23」と表示した。ウスタイトバルク材とFe23焼結体では、線膨張率の温度変化に差異があることが認められ、これらの材料の熱膨張係数は相互に異なることが確認できた。
本発明の製造方法は、ウスタイト相の様々な物性を把握するための測定用試料として使用できるウスタイトバルク材を得るのに用いることができる。また、本発明の製造方法により得られたウスタイトバルク材を用いれば、鉄鋼製品の製造プロセスにおける圧延制御や温度制御等の最適化を図ることができる。
実験2のNo.2ウスタイト焼結体のXRDチャートである。 実験2のNo.5ウスタイト焼結体のXRDチャートである。 実験3のウスタイトバルク材の焼結密度の測定結果である。 実験5のウスタイトバルク材の熱膨張係数の測定結果である。

Claims (5)

  1. Fe粉末とFe34粉末とを1時間〜10時間混合して混合粉末を得る工程、
    前記混合粉末を成型して成型体を得る工程、
    前記成型体を焼結してウスタイト焼結体を得る工程、および
    前記ウスタイト焼結体をホットプレスしてウスタイトバルク材を得る工程
    を含むことを特徴とするウスタイトバルク材の製造方法。
  2. 前記混合粉末を得る工程において、前記Fe粉末と前記Fe 3 4 粉末とを、Fe 3 4 粉末1質量部に対しFe粉末0.75質量部〜0.85質量部となる混合比率で混合する請求項1に記載のウスタイトバルク材の製造方法。
  3. 前記成型体を得る工程において、前記混合粉末を98MPa〜294MPaの圧力で成型する請求項1または2に記載のウスタイトバルク材の製造方法。
  4. 前記ウスタイト焼結体を得る工程において、前記成型体を、900℃〜1100℃の温度、Ar雰囲気または真空雰囲気で焼結する請求項1〜3のいずれか1項に記載のウスタイトバルク材の製造方法。
  5. 前記ウスタイトバルク材を得る工程において、前記ウスタイト焼結体を、700℃〜1000℃の温度、Ar雰囲気または真空雰囲気、39MPa〜78MPaの圧力でホットプレスする請求項1〜4のいずれか1項に記載のウスタイトバルク材の製造方法。
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