JP5136251B2 - アンテナ整合回路及びアンテナ装置 - Google Patents
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Description
図1は特許文献1に示されているアンテナ装置の構成図である。このアンテナ装置は、スリット5を形成した板状素子2及び板状素子1からなる逆Fアンテナ素子の一部が短絡部3によって地板6に電気的に接地されている。給電部4には、インダクタ7及びキャパシタ8を直列接続した直列共振回路9と、インダクタ10及びキャパシタ11を直列接続した直列共振回路12とが並列に接続されている。直列共振回路9と直列共振回路12との並列接続回路の他端は給電端子13に接続されている。この給電端子13に無線回路が接続される。
ところが、このようなLC共振子は帯域通過型のフィルタとして作用するため、共振周波数以外の周波数信号が基本的に通過し難く、他の周波数帯に与える影響が大きい。また、インダクタ及びキャパシタ等をディスクリート部品で構成すると、共振子としての損失が大きく(Q値が低く)なり、また周波数ばらつきも大きくなるという懸念がある。
(1)アンテナ素子が接続されるアンテナ接続部と給電部との間に接続されるアンテナ整合回路であって、
前記アンテナ整合回路は利用周波数が互いに異なる複数の整合回路と、これらの整合回路を選択して前記アンテナ接続部と前記給電回路間に接続するスイッチとから成り、
前記複数の整合回路は、前記給電部から前記アンテナ接続部の方向に前記整合回路を見たリターンロス特性が前記利用周波数の帯域毎に当該利用周波数の帯域内でそれぞれ複共振するインピーダンス回路で構成したことを特徴とする。
前記給電部と前記アンテナ接続部との間で直列に接続されて前記利用周波数で共振させる直列リアクタ、
前記給電部とグランド間にシャントに接続されて、周波数スイープによってスミスチャート上に小円軌跡を生じさせて前記利用周波数でインピーダンス整合させる並列リアクタ、
前記給電部と前記アンテナ接続部との間で接続された位相器、
前記小円軌跡の位置を前記スミスチャート上の中心付近へ近接させる(移動させる)直列接続または並列接続のインピーダンス素子、
の各回路要素を備えて構成する。
これにより、複数の利用周波数帯にそれぞれ最適な広帯域化ができ、小型化が図れる。
これにより、実装先の回路基板上に実装可能な部品として扱うことができ、回路基板上の占有面積が削減できる。
これにより、複数の利用周波数帯で広帯域なアンテナ特性が得られる。
これにより、要求されるアンテナ特性に応じて、回路要素の選定により前記アンテナ整合回路の特性変更も可能となる。
この構成により、実装先の回路基板上へのアンテナ整合回路用部品の実装が不要または少なくなり、その分全体の小型化が図れる。
この構成により、放射Qの良好なアンテナを前記アンテナ整合回路に接続することによって、効率の高いアンテナ装置が構成できる。
これにより、放射Qの良好なアンテナ素子を容易且つ確実に選定でき、高効率なアンテナ装置が構成できる。
図2は第1の実施形態に係るアンテナ整合回路及びアンテナ装置の構成を示す斜視図である。回路基板(以下、単に「基板」という。)31にはグランド領域GA及び非グランド領域NGAを設けていて、この基板31上にアンテナ整合回路30を構成している。そして、基板31の非グランド領域NGAに対してアンテナ素子20を実装することによってアンテナ装置101を構成する。
P1−アンテナ素子側スイッチ部
P2−リアクタンス装荷部
P3−第1整合部
P4−移相部
P5−第2整合部
P6−給電部側スイッチ部
上記アンテナ整合回路30の構成を、ローバンド側とハイバンド側とについて、アンテナ接続部から給電部側へ回路要素を順次付加していったときの特性変化について説明する。
第1の実施形態では第2整合部P5で並列インダクタ37a,37bを設けて、上記小円軌跡SCTをスミスチャートの第3象限から中心方向へ移動させたが、上記小円軌跡SCTをスミスチャートの中心部へ移動させる方法として、図14に示すように他の象限から移動させることも可能である。その具体例を図15〜図17を参照して説明する。
第3の実施形態では、放射Qの良いアンテナの選択について示す。
結論としては、この発明のアンテナ整合回路を適用した場合の効率は、アンテナ(共振周波数を所望の周波数帯にもってくる装荷リアクタンス以外の整合回路を含まないアンテナ素子と輻射に寄与する筐体部分とを含んだアンテナ)そのものの持つ放射Qに依存する。このアンテナにはできる限り放射Qの良いもの(値の小さなもの)を選択すべきである。
まず、放射Qの異なる2種類のアンテナを準備し、各々にアンテナ整合回路を適用し,その特性を測定した。
RLLE−ローバンド側端部給電アンテナのリターンロス
ηLC−ローバンド側中央給電アンテナの効率(リターンロス補正後)
ηLE−ローバンド側端部給電アンテナの効率(リターンロス補正後)
RLHC−ハイバンド側中央給電アンテナのリターンロス
RLHE−ハイバンド側端部給電アンテナのリターンロス
ηHC−ハイバンド側中央給電アンテナの効率(リターンロス補正後)
ηHE−ハイバンド側端部給電アンテナの効率(リターンロス補正後)
なお、上記2種類のアンテナの放射Qの値は次のとおりである。
〈中央給電アンテナ〉
ローバンド 8.4
ハイバンド 25.4
〈端部給電アンテナ〉
ローバンド 9.8
ハイバンド 35.8
このように中央給電にすることによって良好な(値の小さな)アンテナの放射Qが得られる。
ローバンド −2.6(dB)
ハイバンド −2.3(dB)
〈端部給電アンテナ〉
ローバンド −2.4(dB)
ハイバンド −3.9(dB)
このようにアンテナ整合回路を装荷した場合、アンテナの放射Qの実力が反映され、放射Qが良好な(値が小さな)アンテナである程、高効率特性が得られる。
第4の実施形態ではアンテナ素子及びアンテナ素子電極の幾つかの異なった例を示す。
図23は第4の実施形態に係るアンテナ装置の分解斜視図である。直方体(角柱)形状の誘電体基体の表面に、図に示すような漏斗状に広がったアンテナ素子電極21Cを形成したアンテナ素子20Cを用いている。このようにアンテナ素子20Cの給電部からアンテナ素子電極21Cが徐々に広がったパターンのアンテナ素子電極21Cを形成することによって、広い周波数帯域に亘って1/4波長で共振することになり、広帯域化が促進される。
図25は第5の実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す分解斜視図である。
図25は、ちょうど第1の実施形態で図2に示したアンテナ整合回路30を、パッケージ化したアンテナ整合回路モジュール30Aとして構成し、それを基板31に実装した例である。
図26は第6の実施形態に係る2つのアンテナ装置の構成を示す分解斜視図である。
図26(A)の例では、ローバンド側とハイバンド側に兼用する直列リアクタ34を設けた例である。この直列リアクタ34は、ローバンドの周波数帯で必要なインダクタとして作用し、ハイバンドの周波数帯で、必要なキャパシタとして作用するように、例えば、LC共振子などで構成するよう素子を選定する。これにより部品点数が削減できるとともにアンテナ整合回路の専有面積が縮小化できる。
図27は第7の実施形態に係る2つのアンテナ装置の分解斜視図である。
図27(A)の例ではアンテナ素子20Eにアンテナ素子電極21Gを形成するとともに、誘電体内部にアンテナ整合回路30Bを構成している。したがって、このアンテナ素子20Eを実装する基板31Fには単に給電回路を設ければよい。
21…アンテナ素子電極
28,29,30A…アンテナ整合回路モジュール
30…アンテナ整合回路
30B…アンテナ整合回路
31…基板
32…アンテナ接続部
33…アンテナ素子側スイッチ
34a…直列インダクタ
34b…直列キャパシタ
34…直列リアクタ
35a…並列インダクタ
35b…並列インダクタ
35…並列リアクタ
36…位相器
37…並列インダクタ(インピーダンス素子)
38…給電部側スイッチ
39…給電部
40…給電回路
50…筐体
101…アンテナ装置
GA…グランド領域
NGA…非グランド領域
P1…アンテナ素子側スイッチ部
P2…リアクタンス装荷部
P3…第1整合部
P4…移相部
P5…第2整合部
P6…給電部側スイッチ部
SCT…小円軌跡
Claims (8)
- アンテナ素子が接続されるアンテナ接続部と給電部との間に接続されるアンテナ整合回路であって、
前記アンテナ整合回路は利用周波数が互いに異なる複数の整合回路と、これらの整合回路を選択して前記アンテナ接続部と前記給電部との間に接続するスイッチとから成り、
前記複数の整合回路は、前記給電部から前記アンテナ接続部の方向に前記整合回路を見たリターンロス特性が前記利用周波数の帯域毎に当該利用周波数の帯域内でそれぞれ複共振するインピーダンス回路で構成したことを特徴とするアンテナ整合回路。 - 前記複数の整合回路は、
前記給電部と前記アンテナ接続部との間で直列に接続されて前記利用周波数で共振させる直列リアクタ、
前記給電部とグランド間にシャントに接続され、周波数スイープによってスミスチャート上に小円軌跡を生じさせて前記利用周波数でインピーダンス整合させる並列リアクタ、
前記給電部と前記アンテナ接続部との間で接続された位相器、
前記小円軌跡の位置を前記スミスチャート上の中心付近へ近接させる直列接続または並列接続のインピーダンス素子、
の各回路要素を備えて成る、請求項1に記載のアンテナ整合回路。 - 前記整合回路を構成する回路要素の一部または全部を積層基板にパッケージ化した、請求項2に記載のアンテナ整合回路。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のアンテナ整合回路と前記アンテナ接続部に接続されるアンテナ素子とを備えて成るアンテナ装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のアンテナ整合回路を回路基板に構成し、当該回路基板に前記アンテナ素子を搭載して成るアンテナ装置。
- 前記アンテナ素子は誘電体または磁性体の基体に電極パターンを形成して成り、当該基体に請求項1〜3のいずれかに記載のアンテナ整合回路の一部または全部を構成したアンテナ装置。
- 前記アンテナ素子は、前記アンテナ整合回路のアンテナ接続部に接続可能な複数種のアンテナ素子のうち、前記アンテナ素子単体での放射Qの良好なアンテナ素子である、請求項4〜6のいずれかに記載のアンテナ装置。
- 前記複数種のアンテナ素子の選択条件は、アンテナ素子に対する給電点の位置、アンテナ素子と対向するグランドとの間隔、アンテナ素子のサイズのいずれか又はこれらの複数の組み合わせである、請求項7に記載のアンテナ装置。
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