以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の前提技術を説明した後、本発明の実施形態を説明する。
《前提技術》
本前提技術の空気調和装置における冷房運転時の冷媒回路図を図1に示し、暖房運転時の冷媒回路図を図2に示す。
本前提技術の空気調和装置は、室外機(図示なし)と室内機(図示なし)とを備えたセパレートタイプの空気調和装置であり、図1に示すように、冷媒回路(20)とコントローラ(1)とを備えている。上記冷媒回路(20)は、冷媒として二酸化炭素が充填された閉回路である。また、この冷媒回路(20)は、高圧が二酸化炭素の臨界圧力以上の値に設定される超臨界二段圧縮を行うように構成されている。
上記冷媒回路(20)は、高段側圧縮機(高段側圧縮機構)(21a)と低段側圧縮機(低段側圧縮機構)(21b)と四路切換弁(切換手段)(22)と室外熱交換器(熱源側熱交換器)(23)と室外膨張弁(熱源側圧縮機構)(24)とブリッジ回路(71)と気液分離器(25)とが接続された熱源側回路(20a)、及び室内膨張弁(利用側圧縮機構)(26)と室内熱交換器(利用側熱交換器)(27)とが接続された利用側回路(20b)を備えている。尚、図示しないが、上記熱源側回路(20a)は室外機に、上記利用側回路(20b)は室内機にそれぞれ搭載されている。
具体的に、上記熱源側回路(20a)において、上記高段側圧縮機(21a)及び上記低段側圧縮機(21b)は互いに直列に接続されている。そして、上記高段側圧縮機(21a)の吐出側が四路切換弁(22)の第1ポートに、上記低段側圧縮機(21b)の吸入側が四路切換弁(22)の第2ポートに、上記室外熱交換器(23)の流入端が四路切換弁(22)の第3ポートにそれぞれ接続されている。また、上記四路切換弁(22)の第4ポートの上流側には、上記熱源側回路(20a)と利用側回路(20b)とを接続するための第2接続端(20d)が設けられている。
上記ブリッジ回路(71)は、第1〜第4逆止弁(CV1,CV2,CV3,CV4)を備えている。上記室外熱交換器(23)の流出端から延びる第6冷媒配管(34e)が、上記ブリッジ回路(71)の第1逆止弁(CV1)と第4逆止弁(CV4)との間に接続されている。上記室内熱交換器(27)からブリッジ回路(71)側へ延びる第4冷媒配管(34c)の端部は、上記ブリッジ回路(71)の第2逆止弁(CV2)と第3逆止弁(CV3)との間に接続されている。
また、上記ブリッジ回路(71)の第1逆止弁(CV1)と第2逆止弁(CV2)との接続端から延びる上記第5冷媒配管(34d)の端部は、上記気液分離器(25)の上面を貫通して該気液分離器(25)内の下部空間に位置している。上記ブリッジ回路(71)の第3逆止弁(CV3)と第4逆止弁(CV4)との接続端から延びる上記第3冷媒配管(34b)の端部は、該第3冷媒配管(34b)に設けられた室外膨張弁(24)を介し、上記気液分離器(25)の上面を貫通して該気液分離器(25)内の上部空間に位置している。また、上記気液分離器(25)から延びる中間圧冷媒配管(34a)の端部が、上記高段側圧縮機(21a)及び上記低段側圧縮機(21b)の間に接続されている。
一方、上記利用側回路(20b)において、上記第1接続端(20c)から第2接続端(20d)へ向かって順に、上記室内膨張弁(26)と室内熱交換器(27)とが設けられている。
上記高段側圧縮機(21a)及び低段側圧縮機(21b)は、可変容量型のいわゆる全密閉型に構成されている。低段側圧縮機(21b)は、吸入した冷媒(二酸化炭素)を圧縮し、高段側圧縮機(21a)へ吐出する。高段側圧縮機(21a)は、この吐出された冷媒を臨界圧力より高い圧力まで圧縮して吐出する。つまり、上記高段側圧縮機(21a)及び低段側圧縮機(21b)による二段圧縮が行われる。
上記四路切換弁(22)は、第1ポートと第3ポートが連通し且つ第2ポートと第4ポートが連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1ポートと第4ポートが連通し且つ第2ポートと第3ポートが連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換え可能となっている。つまり、冷媒回路(20)において、四路切換弁(22)が第1状態の場合、冷媒が冷房サイクルで循環し、室内熱交換器(27)が蒸発器として、室外熱交換器(23)が放熱器(ガスクーラ)としてそれぞれ機能する。また、冷媒回路(20)において、四路切換弁(22)が第2状態の場合、冷媒が暖房サイクルで循環し、室内熱交換器(27)が放熱器(ガスクーラ)として、室外熱交換器(23)が蒸発器としてそれぞれ機能する。
室外熱交換器(23)は、室外ファン(28)によって取り込まれた室外空気と冷媒が熱交換する空気熱交換器を構成している。室内熱交換器(27)は、室内ファン(29)によって取り込まれた室内空気と冷媒が熱交換する空気熱交換器を構成している。室外膨張弁(24)および室内膨張弁(26)は、いずれも開度可変の電子膨張弁によって構成されている。
上記気液分離器(25)は縦長で円筒状の密閉容器であり、流入した冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離して流出させるものである。
上記冷媒回路(20)には、上記冷媒回路(20)の高圧を検出する高圧センサ(35)と、低圧を検出する低圧センサ(36)と、上記冷媒回路(20)の中間圧を検出する中間圧センサ(図示なし)とが設けられている。また、上記冷媒回路(20)には、室内温度センサ(31)と吸入冷媒温度センサ(30)と第1熱交温度センサ(33)と外気温度センサ(38)と中間圧飽和温度センサ(37)とが設けられている。室内温度センサ(31)は、室内熱交換器(27)に取り込まれる室内空気の温度を検出する温度検出手段である。吸入冷媒温度センサ(30)は、低段側圧縮機(21b)の吸入冷媒の温度を検出する温度検出手段である。ここで、上記低圧センサ(36)の代わりに、吸入冷媒温度センサ(30)で検出される温度に基づいて低圧を算出してもよい。
第1熱交温度センサ(33)は、冷媒回路(20)において冷媒が暖房サイクルで循環するときに、室内熱交換器(27)の出口冷媒温度を検出する温度検出手段である。外気温度センサ(38)は、外気温度を検出する温度検出手段である。中間圧飽和温度センサ(37)は、気液分離器(25)から流出する冷媒の温度を検出する温度検出手段である。ここで、上記中間圧センサの代わりに、中間圧飽和温度センサ(37)で検出される温度に基づいて中間圧力を算出してもよい。また、上記冷媒回路(20)には、外気温度を検出するための外気温度センサ(38)も設けられている。
上記コントローラ(1)は、試運転データ取得部(データ取得手段)(1a)と運転制御部(調整手段)(1b)とを備え、該試運転データ取得部(1a)から得られるデータを参考にして、運転条件によって冷凍サイクルの高低圧が変化した場合であっても、上記空気調和装置が安定して運転できるように制御を行う。尚、上記コントローラ(1)による運転制御が本発明の特徴であり、詳細については後述する。
−運転動作−
〈冷房運転〉
次に、上記空気調和装置の運転動作について説明する。
先ず、冷房運転時には、図1に示すように、四路切換弁(22)が第1状態に設定される。この状態で高段側圧縮機(21a)と低段側圧縮機(21b)を運転すると、室外熱交換器(23)が放熱器となり、各室内熱交換器(27)が蒸発器となって冷凍サイクルが行われる。尚、上記コントローラ(1)により、上記高段側圧縮機(21a)の容量は、高圧センサ(35)で検知された圧力値に基づいて調整され、上記低段側圧縮機(21b)の容量は、低圧センサ(36)で検知された圧力値に基づいて調整される。
上記高段側圧縮機(21a)から吐出された超臨界状態の高圧冷媒は、室外熱交換器(23)に流れて室外空気へ放熱する。放熱した高圧冷媒は、室外膨張弁(24)で減圧されて二相状態の中間圧冷媒となり、第3冷媒配管(34b)を介して気液分離器(25)に流入する。尚、該室外膨張弁(24)の開度は、上記中間圧飽和温度センサ(37)で検知された温度に基づいて、上記コントローラ(1)で調整される。
上記気液分離器(25)に流入した中間圧の冷媒は、液冷媒とガス冷媒とに分離される。そして、中間圧のガス冷媒は、気液分離器(25)の上部空間から上記中間圧冷媒配管(34a)を介して高段側圧縮機(21a)の吸入側へ流れる。一方、中間圧の液冷媒は気液分離器(25)の下部空間に一時的に貯留された後、下部空間から第5冷媒配管(34d)、ブリッジ回路(71)の第2逆止弁(CV2)、及び第4冷媒配管(34c)を介して上記室内膨張弁(26)へ流入する。該室内膨張弁(26)へ流入した中間圧の液冷媒は、該室内膨張弁(26)でさらに減圧されて二相状態の低圧冷媒となり、室内熱交換器(27)へ流入する。尚、該室内膨張弁(26)の開度は、上記吸入冷媒温度センサ(30)で検知された温度に基づいて、上記コントローラ(1)で調整される。
上記室内熱交換器(27)へ流入した二相状態の低圧冷媒は、室内空気から吸熱して蒸発し、低圧のガス冷媒となる一方、冷却された室内空気が室内へ供給される。低圧のガス冷媒は、四路切換弁(22)を介して低段側圧縮機(21b)へ吸入される。吸入された低圧のガス冷媒は、低段側圧縮機(21b)で圧縮され、中間圧のガス冷媒となって吐出される。そして、低段側圧縮機(21b)で吐出された中間圧のガス冷媒と、気液分離器(25)を流出した中間圧のガス冷媒とが合流し、高段側圧縮機(21a)に吸入される。合流した冷媒は高段側圧縮機(21a)で圧縮され、超臨界状態の高圧冷媒となって、再び室外熱交換器(23)に流入する。このように冷媒が循環することにより、空気調和装置において冷房運転が行われる。
〈暖房運転〉
暖房運転時には、図2に示すように、四路切換弁(22)が第2状態に設定される。この状態で高段側圧縮機(21a)と低段側圧縮機(21b)を運転すると、室内熱交換器(27)が放熱器となり、室外熱交換器(23)が蒸発器となって冷凍サイクルが行われる。尚、上記コントローラ(1)により、上記高段側圧縮機(21a)の容量は、高圧センサ(35)で検知された高圧圧力に基づいて調整され、上記低段側圧縮機(21b)の容量は低圧センサ(36)で検知された低圧圧力に基づいて調整される。また、場合によっては、上記高段側圧縮機(21a)及び上記低段側圧縮機(21b)の容量は、上記中間圧飽和温度センサ(37)で検知された温度に基づいて、上記コントローラ(1)で調整される。
上記高段側圧縮機(21a)から吐出された超臨界状態の高圧冷媒は、室内熱交換器(27)に流れて室内空気へ放熱する。これにより、加熱された室内空気が室内へ供給される。放熱した高圧冷媒は、室内膨張弁(26)で減圧された二相状態の中間圧冷媒となり、第4冷媒配管(34c)を介して気液分離器(25)に流入する。尚、該室内膨張弁(26)の開度は、冷房運転とは違い、上記第1冷媒温度センサ(33)で検知された温度に基いて、上記コントローラ(1)で調整される。
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上記気液分離器(25)に流入した中間圧の冷媒は、液冷媒とガス冷媒とに分離される。そして、中間圧のガス冷媒は、気液分離器(25)の上部空間から上記中間圧冷媒配管(34a)を介して高段側圧縮機(21a)の吸入側へ流れる。一方、中間圧の液冷媒は気液分離器(25)の下部空間に一時的に貯留された後、下部空間から第3冷媒配管(34b)を介して上記室外膨張弁(24)へ流入する。
上記室外膨張弁(24)へ流入した中間圧の液冷媒は、該室外膨張弁(24)でさらに減圧されて二相状態の低圧冷媒となり、室外熱交換器(23)へ流入する。尚、該室外膨張弁(24)の開度は、冷房運転とは違い、上記吸入冷媒温度センサ(30)で検知された温度に基づいて上記コントローラ(1)により調整される。
上記室外熱交換器(23)へ流入した二相状態の低圧冷媒は、室外空気から吸熱して蒸発し、低圧のガス冷媒となる一方、室外空気が冷却される。そして、低圧のガス冷媒は、四路切換弁(22)を介して低段側圧縮機(21b)へ吸入される。吸入された低圧のガス冷媒は、低段側圧縮機(21b)で圧縮され、中間圧のガス冷媒となって吐出される。そして、低段側圧縮機(21b)で吐出された中間圧のガス冷媒と、気液分離器(25)を流出した中間圧のガス冷媒とが合流し、高段側圧縮機(21a)に吸入される。吸入された高圧のガス冷媒は、高段側圧縮機(21a)で圧縮され、超臨界状態の高圧冷媒となって、再び室内熱交換器(27)に流入する。このように冷媒が循環することにより、空気調和装置において暖房運転が行われる。
〈空気調和装置の運転制御〉
次に、上記コントローラ(1)における運転制御動作について、図3の制御ブロック図により説明する。上記コントローラ(1)は、上述した試運転データ取得部(1a)と運転制御部(1b)とを備える。
上記試運転データ取得部(1a)は、室内外高低差推定部(3a)、最大圧損推定部(決定手段)(3b)及び必要最小差圧決定部(2)を備えている。
上記室内外高低差推定部(3a)は、上記室外機及び室内機の高低差(図3における設置情報)を入力すると、推定冷媒ヘッド差Δhに変換して出力するものである。
上記最大圧損推定部(3b)は、試運転による運転情報(試運転情報)を入力すると、冷房運転時において、気液分離器(25)から低段側圧縮機構(21b)の吸入側までの冷媒圧力損失値(圧力差)を推定し、暖房運転時において、高段側圧縮機構(21a)の吐出側から気液分離器(25)までの冷媒圧力損失値を推定する推定部(3c)と、該推定部(3c)で推定された冷媒圧力損失値を補正する補正部(演算手段)(3d)を備えている。
また、上記最大圧損推定部(3b)は、上記高段側圧縮機(21a)及び上記低段側圧縮機(21b)の運転周波数を変更する変更部(容量変更手段)(3e)と運転データを測定する測定部(測定手段)(3f)とを備えている。
上記最大圧損推定部(3b)が、冷媒圧力損失値を推定する場合には、試運転時に、上記高段側圧縮機(21a)及び上記低段側圧縮機(21b)の運転周波数を変更部(3e)で変化させて、測定部(3f)で測定された運転データに基づいて行う。尚、この運転データは、高段側圧縮機(21a)及び低段側圧縮機(21b)の運転周波数データと、該運転周波数データと相関関係にある冷媒圧力損失値データとで構成されている。
そして、上記最大圧損推定部(3b)は、上記空気調和装置に対して要求される空調能力に必要な高段側圧縮機(21a)及び上記低段側圧縮機(21b)の運転周波数が決定すると、上記運転データに基づいてその決定した運転周波数データと相関関係にある冷媒圧力損失値データを決定する。この決定した冷媒圧力損失値データが、上記最大圧損推定部(3b)で推定される冷媒圧力損失値を構成する。
ここで、上記最大圧損推定部(3b)で推定される冷媒圧力損失値は、例えば、上記運転データにおける冷媒圧力損失値データのうち最も大きい値を、上記最大圧損推定部(3b)で推定される冷媒圧力損失値としてもよい。
上記補正部(3d)は、上記高段側圧縮機(21a)及び上記低段側圧縮機(21b)の運転周波数を入力すると、冷房運転時において、気液分離器(25)から低段側圧縮機構(21b)の吸入側までの冷媒圧力損失値の補正値を出力し、暖房運転時において、高段側圧縮機構(21a)の吐出側から気液分離器(25)までの冷媒圧力損失値の補正値を出力するデータベースを備えている。図示しないが、現在の上記運転周波数をフィードバック値として入力すれば、その運転周波数に応じた補正値を出力する。以上より、上記最大圧損推定部(3b)は、試運転による運転情報を入力すると、上記推定部(3c)で冷媒圧力損失値が推定されるとともに、上記データベースに基づいて、上記推定部(3c)で推定した冷媒圧力損失値を補正した値ΔPを出力する。
ここで、上記冷媒圧力損失値は、冷房試運転時に、中間圧温度センサの測定温度から求めた飽和圧力と低圧センサ(36)で測定した圧力の差から求めてもよい。
尚、上記データベースは、上述した上記高段側圧縮機(21a)及び上記低段側圧縮機(21b)の運転周波数を上記変更部(3e)で変化させた場合に、上記測定部(3f)で測定される運転データに基いて作成されるものである。つまり、冷媒の圧力損失による誤差分を極力減らすため、循環量を低く抑えた(例えば最低周波数で運転)時の運転データを取得する。この際、上記室内膨張弁(26)は全開で運転する。このとき、室内熱交換器(27)内を冷媒が流れているかどうかは、該室内熱交換器(27)に設けられた液側配管温度センサとガス側配管温度センサの温度と温度差から判定する。
冷媒が十分流れていれば、室内膨張弁(26)を全開にしているので、室内熱交換器(27)の出口での過熱もほとんどつかず、両方のセンサ温度は(低圧+冷媒圧力損失値)の圧力の飽和温度となる。一方、冷媒がほとんど流れていなければ、過熱ガスが室内熱交換器(27)に滞留し、温度は飽和温度よりもかなり高くなる。
次に、通常運転に近い運転(高周波数または最大周波数)を行って、上記冷媒圧力損失値を求める。そしてこれらを使って圧縮機の容量が変化したときの必要最低差圧を求める式を現地で同定する。またこの方法が複雑である、試運転時間がかかるなどの理由でできない場合は、簡略化してどちらか一方の試運転を行い、他方はあらかじめ記憶した式などを使用して、概略値を求めてもよい。
尚、データベースは例示であり、例えば、上記高段側圧縮機(21a)及び上記低段側圧縮機(21b)の運転周波数と、冷媒圧力損失値との相関関係を示す式であってもよい。
上記必要最小差圧決定部(2)は、上記推定冷媒ヘッド差Δhと上記冷媒圧力損失値ΔPとを加算した最大冷媒圧力損失値ΔPaが入力されると、冷媒が上記冷媒回路(20)を循環するのに必要な中間圧と低圧との間の最小差圧ΔPSを出力する。
次に、上記運転制御部(1b)について説明する。上記運転制御部(1b)は、センサ部(4,5,6)、最適中間圧算出部(8)、差圧判定部(9)、目標値算出部(10,11,14)、能力要求部(12)、最適高圧算出部(13)、高段圧縮機周波数算出部(15)、低段圧縮機周波数算出部(16)、及び室外膨張弁開度算出部(17)を備えている。
上記センサ部(4,5,6)は、室温センサ部(4a)、外気温センサ部(4b)、高圧センサ部(4c)、低圧センサ部(5)、及び中間圧センサ部(6)を備えている。これらのセンサ部(4,5,6)は、上記空気調和装置に設けられた各センサで検出された冷媒回路(20)の状態量を電気信号に変換して出力するものである。
上記最適中間圧算出部(8)は、上記室温センサ部(4a)、外気温センサ部(4b)、高圧センサ部(4c)、及び低圧センサ部(5)の出力値が入力されると、現在の上記冷媒回路(20)の冷凍サイクルにおいて、最もCOPの高い運転を行うための最適な中間圧値Pmを出力する。
上記差圧判定部(9)は、中間圧センサ部(6)から低圧センサ部(5)の出力値を引算して得られる値(現在の差圧)と上記最小差圧ΔPSとの大小を比較する比較部を備えている。そして、上記比較部で比較した結果に応じて、超臨界二段圧縮冷媒サイクルの高圧と低圧の補正値、及び補正した中間圧を出力する。つまり、上記比較部で比較した結果、上記現在の差圧が上記最小差圧ΔPSよりも大きい場合には、冷媒回路(20)の中間圧が上記最適な中間圧値Pmとなり、且つ中間圧が冷媒の臨界圧力を超えないようにするための上記補正値及び上記補正した中間圧を出力する。一方、上記現在の差圧が上記最小差圧ΔPS以下の場合には、該現在の差圧が上記最小差圧ΔPSよりも大きくなり、且つ中間圧が冷媒の臨界圧力を超えないようにするための上記補正値、及び補正した中間圧を出力する。
上記能力要求部(12)は、図示しない室内リモコンから出力された室内設定温度が入力されると、冷媒回路(20)の最適な低圧値を出力する。上記最適高圧算出部(13)は、現在の運転情報を入力すると、その運転情報に基づいて最適な高圧値を出力する。
上記目標値算出部(10,11,14)において、上記高圧目標値算出部(10)は、上記最適高圧算出部(13)で得られた高圧値と、上記差圧判定部(9)で得られた高圧の補正値とを入力すると、上記冷媒回路(20)の高圧目標値HPSを出力するものである。上記低圧目標値算出部(11)は、上記能力要求部(12)で得られた低圧値と、上記差圧判定部(9)で得られた低圧の補正値とを入力すると、上記冷媒回路(20)の低圧目標値LPSを出力するものである。上記中間圧目標値算出部(14)は、上記差圧判定部(9)で得られた補正した中間圧値を入力すると、上記冷媒回路(20)の中間圧目標値PmSを出力するものである。
上記高段圧縮機周波数算出部(15)は、上記高圧目標値HPSと、上記空気調和装置からフィードバックされた実測高圧値HP(上記高圧センサ部(4c)の出力値と同値)とを引算した値を入力すると、その引算した値に基づいて高段側圧縮機(21a)の周波数値Δf1を出力する。上記低段圧縮機周波数算出部(16)は、上記低圧目標値LPSと、上記空気調和装置からフィードバックされた実測低圧値LP(上記低圧センサ部(5)の出力値と同値)とを引算した値を入力すると、その引算した値に基づいて低段側圧縮機(21b)の周波数値Δf2を出力する。
上記室外膨張弁開度算出部(17)は、上記中間圧目標値PmSと、上記空気調和装置からフィードバックされた実測中間圧値Pm(上記中間圧センサ部(6)の出力値と同値)とを引算した値を入力すると、その引算した値に基づいて室外膨張弁(24)の開度値ΔEVを出力する。そして、上記高段側圧縮機(21a)の周波数値Δf1、低段側圧縮機(21b)の周波数値Δf2、及び室外膨張弁(24)の開度値ΔEVが空気調和装置に入力され、これらの入力値に基づいて、高段側圧縮機(21a)、低段側圧縮機(21b)、及び室外膨張弁(24)が操作される。そして、その操作の結果、実測高圧値HP、実測低圧値LP、及び実測中間圧値Pmが出力される。これらの出力値は、上記高低段圧縮機周波数算出部(15,16)または上記室外膨張弁開度算出部(17)の入力値を演算するためのフィードバック値となる。
このように構成されたコントローラ(1)において、上記冷媒回路(20)の高圧が通常よりも下がった場合であっても、上記冷媒回路(20)における中間圧と低圧との圧力差(暖房時は、高圧と中間圧との圧力差)が、上記データ取得手段(1a)で取得した冷媒圧力損失値以上であり、且つ該中間圧が臨界圧力よりも低くなるように、上記空気調和装置を運転する。また、低圧が通常よりも上がった場合であっても、上記冷媒回路(20)における中間圧と低圧との圧力差(暖房時は、高圧と中間圧との圧力差)が、上記データ取得手段(1a)で取得した冷媒圧力損失値以上であり、且つ中間圧が臨界圧力よりも低くなるように、上記空気調和装置を運転する。
−前提技術の効果−
本前提技術によれば、運転条件により、上記冷媒回路(20)の高低圧が変化したとしても、冷媒回路(20)の中間圧と低圧との圧力差が上記冷媒圧力損失値より小さくなることがない。したがって、室内熱交換器(27)に冷媒が流れなくなることがない。また、該中間圧が臨界圧力を超えてしまい、上記気液分離器(25)内が超臨界圧力となって気液分離器(25)内の液冷媒がなくなることがない。したがって、上記空気調和装置を安定して運転することができる。
また、上記最大圧損推定部(3b)の補正部(3d)が、上記データベースを備えることにより、上記推定部(3c)で推定した冷媒圧力損失値を、現在の高段側圧縮機構(21a)及び低段側圧縮機構(21b)の運転周波数に基づいてフィードバック補正をすることができる。つまり、上記運転周波数が現在よりも高くなると上記冷媒回路(20)を流れる冷媒の循環量が増えるので、循環量の増加に応じて上記冷媒圧力損出値を高めに補正する。一方、上記運転周波数が現在よりも低くなると上記冷媒回路(20)を流れる冷媒の循環量が減るので、循環量の減少に応じて上記冷媒圧力損出値を低めに補正する。
つまり、上記運転周波数の変化に応じて、上記冷媒圧力損失値を最適に補正することができるので、上記空気調和装置をより安定して運転することができる。
−前提技術の変形例1−
図4,5は、前提技術の変形例1に係る空気調和装置の冷媒回路図であり、図4は冷房時の場合、図5は暖房時の場合をそれぞれ示している。
前提技術と、前提技術の変形例1との違いは、利用側回路(20b)が、熱源側回路(20a)に対して並列に複数設けられている点である。尚、図4,5では、2つの利用側回路(20b)が示されているが、これは例示であり、上記利用側回路(20b)が3台以上設けられてもよい。そして、各室内熱交換器(27)と各第2接続端(20d)との間には、それぞれ第2熱交温度センサ(32)が設けられている。ここで、上記第2熱交温度センサ(32)は、冷媒回路(20)において、冷媒が冷房サイクルで循環するときに、室内熱交換器(27)の出口冷媒温度を検出する温度検出手段である。そして、上記各室内膨張弁(26)の開度は、上記各第2熱交温度センサ(32)で検知された温度に基づいて、上記コントローラ(1)で調整される。
したがって、上記コントローラ(1)の調整により、各室内熱交換器(27)ごとに、空調負荷に応じて該室内熱交換器(27)の冷媒流量を調整することができる。
このように、熱源側回路(20a)に対して複数の利用側回路(20b)が設けられているマルチ型の冷凍装置の場合、上記推定部(3c)は、各利用側回路(20b)の室内膨張弁(26)の中で最も大きい前後差圧を考慮し、冷媒圧力損失値を推定する。仮に、室内膨張弁(26)の前後差圧を考慮せずに冷媒圧力損失値を推定した場合、各利用側回路(20b)の流量制御が困難になり、各利用側回路(20b)間の能力分配がうまくいかなくなることが考えられる。
ここで、前後差圧を考慮する場合には、ある程度のマージン(差圧余裕値)を確保する必要がある。このマージンを確保しないと、場合によって、各室内膨張弁(26)で過熱度制御を行う際に、大きく弁開度を変更しても過熱度がほとんど変わらなくなることが考えられる。この理由は、マージンを確保した場合に比べて、マージンを確保しない場合の方が、上記室内膨張弁(26)の弁開度に対する過熱度変化の感度が鈍くなるからである。
したがって、ある程度のマージン(差圧余裕値)を確保することにより、室内熱交換器(27)における熱交換能力の調整範囲が狭くならずに、各利用側回路(20b)間の能力分配をうまく行うことができる。
前提技術の変形例1によれば、前提技術と同様に、冷房または暖房運転時において、その運転条件により、上記冷媒回路(40)の高圧が通常よりも下がった場合であっても、上記冷媒回路(40)における中間圧と低圧との圧力差(暖房時は、高圧と中間圧との圧力差)が、上記データ取得手段(1a)で取得した冷媒圧力損失値以上であり、且つ該中間圧が臨界圧力よりも低くなるように、上記空気調和装置を運転することができる。また、低圧が通常よりも上がった場合であっても、上記冷媒回路(40)における中間圧と低圧との圧力差(暖房時は、高圧と中間圧との圧力差)が、上記データ取得手段(1a)で取得した冷媒圧力損失値以上であり、且つ中間圧が臨界圧力よりも低くなるように、運転することができる。
ここで、各室内熱交換器(27)までの配管長の差が大きい場合、同一の室内機で同一程度の能力を出していても、上述の圧損の違いによって室内膨張弁(26)の開度が大きく異なっている場合がある。室内膨張弁(26)の流路断面積と冷媒流量は比例するが、このようなケースではその比例係数が大きく異なっていることになる。そのため同一の開度変更を行っても、冷媒流量の変化は大きく異なり、結果として同一開度変更に対する過熱度応答のゲインが大きく異なってしまう。これを補正するには各室内機機種毎に基準の差圧とゲインの関係を持たせ、そこからどの程度運転条件(差圧または開度)がずれているかでゲインをスケジューリングしてもよい。さらに、もし差圧が一定以上確保されていても、運転条件によって差圧が変化すると弁開度変化に対する冷媒過熱度の変化の感度が変化してしまうので、より制御性能を向上させるためには差圧をある一定の範囲内に収まるように制御することが望ましい。
このことから、運転条件により、上記冷媒回路(40)の高低圧が変化したとしても、上記冷媒回路(40)の中間圧と低圧との圧力差が小さくなり過ぎて各室内熱交換器(27)に冷媒が流れなくなることがない。また、該中間圧が臨界圧力を超えることがないので、上記気液分離器(25)内が超臨界圧力となって気液分離器(25)内の液冷媒がなくなることがない。したがって、上記空気調和装置を安定して運転することができる。
−前提技術の変形例2−
図6は、前提技術の変形例2に係る空気調和装置の冷媒回路図である。尚、図6は冷房時の場合を示しており、暖房時の場合は省略する。
前提技術の変形例1と変形例2との違いは、図6に示すように、流量調整弁(73)と、内部熱交換器(74)とが設けられている点である。尚、内部熱交換器(74)は低温側流路と高温側流路とが形成され、各流路を流れる冷媒同士が熱交換するように構成されている。
上記内部熱交換器(74)は、上記中間圧冷媒配管(34a)と第5冷媒配管(34d)とに跨って設けられており、該中間圧冷媒配管(34a)が高温側流路に、該第5冷媒配管(34d)が低温側流路に連通するように配置されている。また、上記中間圧冷媒配管(34a)における上記気液分離器(25)と上記内部熱交換器(74)との間には、流量調整弁(73)が配置されている。
このように、流量調整弁(73)と内部熱交換器(74)とを設けることにより、中間圧冷媒配管(34a)を流れる冷媒で第5冷媒配管(34d)を流れる冷媒を冷却することができる。したがって、室内熱交換器(27)を流れる冷媒のエンタルピ差が、内部熱交換器(74)を設けない場合に比べて大きくなる。尚、上記流量調整弁(73)の開度調整によって、このエンタルピ差は変化する。つまり、上記流量調整弁(73)の開度を現在よりも開くと、上記内部熱交換器(74)の低温側流路を流れる冷媒量が増加するので、上記エンタルピ差は大きくなる。
前提技術の変形例2によれば、変形例1とは違い、上記流量調整弁(73)が設けられており、該流量調整弁(73)の開度が、冷媒回路(70)の中間圧に影響する。つまり、流量調整弁(73)の開度を開くほど上記気液分離器(25)の圧力が下がるため、開き過ぎると、中間圧が下がり過ぎて、上記冷媒回路(70)における中間圧と低圧との圧力差が、上記データ取得手段(1a)で取得した冷媒圧力損失値より小さくなる場合がある。したがって、冷媒回路(70)を変形例2のような構成にした場合には、上記室外膨張弁(24)に追加して流量調整弁(73)も、上記コントローラ(1)で制御できるように構成する。
これにより、運転条件により、高低圧が変化したとしても、冷媒回路(20)の中間圧と低圧との圧力差が小さくなり過ぎて各室内熱交換器(27)に冷媒が流れなくなることがない。また、該中間圧が臨界圧力を超えることがないので、上記気液分離器(25)内が超臨界圧力となって気液分離器(25)内の液冷媒がなくなることがない。したがって、上記空気調和装置を安定して運転することができる。
《実施形態》
次に、本発明の実施形態について説明する。図8は本発明の実施形態に係る空気調和装置の冷媒回路図であり、図9は、実施形態の空気調和装置における冷凍サイクルを二酸化炭素のP−h線図上に示した図である。また、図10は、実施形態に係るコントローラ(50)のブロック線図である。
実施形態の空気調和装置の冷媒回路(80)と前提技術で示した空気調和装置の冷媒回路(20)(図1、図2)との違いは、図8に示すように、エコノマイザ熱交換器(81)と減圧弁(87)とが設けられている点、及び気液分離器(25)から延びる中間圧冷媒配管(34a)に代えて第1分岐配管(84)が設けられている点、及びブリッジ回路(71)が削除されている点である。図8において、前提技術の冷媒回路(20)と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
上記エコノマイザ熱交換器(81)は、高温側通路(81a)と低温側通路(81b)とを備えており、高温側通路(81a)を通過する冷媒と低温側通路(81b)を通過する冷媒とが熱交換できるように構成されている。そして、上記高温側通路(81a)が、室外熱交換器(23)とブリッジ回路(71)とを接続する第6冷媒配管(34e)に連通している。尚、上記第6冷媒配管(34e)において、室外熱交換器(23)と室外膨張弁(24)とを接続する配管が第1冷媒配管(85)を構成する。この第1冷媒配管(85)におけるエコノマイザ熱交換器(81)の近傍には、高温側温度センサ(82)が設けられている。
また、上記低温側通路(81b)が、上記第1冷媒配管(85)から分岐して高段側圧縮機(21a)及び低段側圧縮機(21b)を接続する接続配管(86)に接続される第1分岐配管(84)に連通している。
上記減圧弁(87)は、上記第1分岐配管(84)に設けられ、第1冷媒配管(85)及び第1分岐配管(84)の分岐点とエコノマイザ熱交換器(81)との間に位置している。この減圧弁(87)は、上記高温側通路(81a)から流出して第1分岐配管(84)へ分岐する高圧の冷媒を減圧して中間圧の冷媒にする。また、上記第1分岐配管(84)における減圧弁(87)とエコノマイザ熱交換器(81)との間には低温側温度センサ(83)が設けられている。
上記気液分離器(25)は、該室外膨張弁(24)で超臨界域から二相域まで減圧された冷媒を液冷媒とガス冷媒とに分離可能に構成されている。尚、貯留した冷媒のうち液冷媒のみが室内膨張弁(26)へ送られる。
また、前提技術の冷媒回路(20)では、中間圧センサ(図示なし)が1つ設けられていたが、実施形態の冷媒回路(80)では、上記中間圧センサの代わりに、上記冷媒回路(80)の第1中間圧を検出する第1中間圧センサ(図示なし)と上記冷媒回路(80)の第2中間圧を検出する第2中間圧センサ(図示なし)とが設けられている。ここで、第1、第2中間圧については、詳しく後述する。
尚、実施形態では、上記第1中間圧センサの代わりに、低温側温度センサ(83)で検出される温度に基づいて第1中間圧力を算出してもよいし、上記第2中間圧センサの代わりに、中間圧飽和温度センサ(37)で検出される温度に基づいて第2中間圧力を算出してもよい。
−運転動作−
〈冷房運転〉
次に、実施形態の空気調和装置の運転動作について説明する。
先ず、冷房運転時には、図8に示すように、四路切換弁(22)が第1状態(実線)に設定される。この状態で高段側圧縮機(21a)と低段側圧縮機(21b)を運転すると、室外熱交換器(23)が放熱器となり、室内熱交換器(27)が蒸発器となって冷凍サイクルが行われる。尚、上記コントローラ(50)により、上記高段側圧縮機(21a)の容量は、高圧センサ(35)で検知された圧力値に基づいて調整され、上記低段側圧縮機(21b)の容量は低圧センサ(36)で検知された圧力値に基づいて調整される。
上記高段側圧縮機(21a)から吐出された超臨界状態の高圧冷媒(図8、図9のa4)は、四路切換弁(22)を通過した後、室外熱交換器(23)に流れて室外空気へ放熱する。放熱した高圧冷媒は室外熱交換器(23)を流出し(図8、図9のa5)、エコノマイザ熱交換器(81)の高温側通路(81a)へ流入する。
上記高温側通路(81a)へ流入した高圧冷媒は、該エコノマイザ熱交換器(81)の低温側通路(81b)を流れる冷媒により冷却された後、該高温側通路(81a)を流出する(図8、図9のa6)。該エコノマイザ熱交換器(81)を流出した高圧冷媒は、室外膨張弁(24)側へ流れる冷媒と減圧弁(87)側へ流れる冷媒とに分流する。
上記減圧弁(87)側へ流れる高圧冷媒は、該減圧弁(87)で減圧されて中間圧冷媒となる(図8、図9のa7)。この中間圧冷媒の圧力値はP1である(以下、圧力値P1の中間圧冷媒を第1中間圧冷媒という。)。この第1中間圧冷媒は、エコノマイザ熱交換器(81)の低温側通路(81b)へ流入する。該低温側通路(81b)へ流入した第1中間圧冷媒は、高温側通路(81a)を流れる高圧冷媒と熱交換を行って過熱蒸気となり、該低温側通路(81b)を流出した後、上記第1分岐配管(84)を経て上記接続配管(86)に送られる。尚、該減圧弁(87)の開度は、該低温側通路(81b)の入口側に設けられた低温側温度センサ(83)で検知された温度に基づいて、上記コントローラ(50)で調整される。また、高温側通路(81a)の出口側に設けられた高温側温度センサ(82)で検知された温度に基づいて調整されてもよい。
一方、上記室外膨張弁(24)側へ流れる高圧冷媒は、室外膨張弁(24)で減圧されて中間圧冷媒となる(図8、図9のa8)。この中間圧冷媒の圧力値はP2である(以下、圧力値P2の中間圧冷媒を第2中間圧冷媒という。)。この第2中間圧冷媒は、冷媒貯留容器(25)に流入する。尚、上記室外膨張弁(24)の開度は、上記中間圧飽和温度センサ(37)で検知された温度に基づいて、上記コントローラ(50)で調整される。上記冷媒貯留容器(25)に流入した第2中間圧冷媒は、液冷媒とガス冷媒とに分離される。そして、液冷媒は冷媒貯留容器(25)から第4冷媒配管(34c)を介して上記利用側回路(20b)へ流入する。上記利用側回路(20b)へ流入した液冷媒は、上記室内膨張弁(26)でさらに減圧されて低圧冷媒となり(図8、図9のa9)、室内熱交換器(27)へ流入する。尚、該室内膨張弁(26)の開度は、上記吸入冷媒温度センサ(30)で検知された温度に基づいて、上記コントローラ(50)で調整される。
上記室内熱交換器(27)へ流入した低圧冷媒は、室内空気から吸熱して蒸発し、低圧のガス冷媒となる一方、冷却された室内空気が室内へ供給される。低圧のガス冷媒は、四路切換弁(22)を介して低段側圧縮機(21b)へ吸入される(図8、図9のa1)。吸入された低圧のガス冷媒は、低段側圧縮機(21b)で圧縮され、中間圧のガス冷媒となって吐出される(図8、図9のa2)。そして、この吐出されたガス冷媒と、エコノマイザ熱交換器(81)を流出した第1中間圧冷媒とが合流し(図8、図9のa3)、高段側圧縮機(21a)に吸入される。そして、合流した冷媒は高段側圧縮機(21a)で圧縮され、超臨界状態の高圧冷媒となって(図8、図9のa4)、再び室外熱交換器(23)に流入する。このように冷媒が循環することにより、空気調和装置において冷房運転が行われる。
〈暖房運転〉
次に暖房運転について説明する。図8に示すように、四路切換弁(22)が第2状態(破線)に設定される。この状態で高段側圧縮機(21a)と低段側圧縮機(21b)を運転すると、室外熱交換器(23)が蒸発器となり、室内熱交換器(27)が放熱器となって冷凍サイクルが行われる。また、上記減圧弁(87)は全閉に設定され、エコノマイザ熱交換器(81)による熱交換は行われなくなる。
上記高段側圧縮機(21a)から吐出された超臨界状態の高圧冷媒は、室内熱交換器(27)に流れて室内空気へ放熱する。これにより、加熱された室内空気が室内へ供給される。放熱した高圧冷媒は、室内膨張弁(26)で減圧されて二相状態の中間圧冷媒となり、第4冷媒配管(34c)を介して冷媒貯留容器(25)に流入する。尚、該室内膨張弁(26)の開度は、冷房運転とは違い、上記第1熱交温度センサ(33)で検知された温度に基づいて、上記コントローラ(50)で調整される。
上記冷媒貯留容器(25)に流入した中間圧の冷媒は、液冷媒とガス冷媒とに分離される。そして、液冷媒は冷媒貯留容器(25)の下部空間に一時的に貯留された後、下部空間から第3冷媒配管(34b)を介して上記室外膨張弁(24)へ流入する。
上記室外膨張弁(24)へ流入した中間圧の液冷媒は、該室外膨張弁(24)でさらに減圧されて二相状態の低圧冷媒となり、エコノマイザ熱交換器(81)を熱交換することなく通過した後、室外熱交換器(23)へ流入する。尚、該室外膨張弁(24)の開度は、冷房運転とは違い、上記吸入冷媒温度センサ(30)で検知された温度に基づいて上記コントローラ(50)により調整される。
上記室外熱交換器(23)へ流入した二相状態の低圧冷媒は、室外空気から吸熱して蒸発し、低圧のガス冷媒となる一方、室外空気が冷却される。そして、低圧のガス冷媒は、四路切換弁(22)を介して低段側圧縮機(21b)へ吸入される。吸入された低圧のガス冷媒は、低段側圧縮機(21b)で圧縮され、中間圧のガス冷媒となって吐出され、高段側圧縮機(21a)に吸入される。吸入された高圧のガス冷媒は、高段側圧縮機(21a)で圧縮され、超臨界状態の高圧冷媒となって、再び室内熱交換器(27)に流入する。このように冷媒が循環することにより、空気調和装置において暖房運転が行われる。
〈空気調和装置の運転制御〉
次に、上記コントローラ(50)における運転制御動作について前提技術との相違点についてのみ説明する。まず、試運転データ取得部(50a)について説明した後、運転制御部(50b)について説明する。
上記試運転データ取得部(50a)において、前提技術との違いは、上記最大圧損推定部(3b)が、上記減圧弁(87)の弁開度も考慮して、冷媒圧力損失値を推定する点である。
具体的に、上記最大圧損推定部(3b)が冷媒圧力損失値を推定する場合には、上記変更部(3e)が、上記高段側圧縮機(21a)及び上記低段側圧縮機(21b)の運転周波数と減圧弁(87)の弁開度とを変化させながら空気調和装置の試運転を行う。上記変更部(3e)が、各圧縮機(21a,21b)の容量変更手段と減圧弁(87)の弁開度変更手段とを構成する。そして、上記変更部(3e)により変化した運転状態を測定部(3f)で測定し、この測定された運転データに基づいて、上記最大圧損推定部(3b)が冷媒圧力損失値を推定を行う。
尚、この運転データは、高段側圧縮機(21a)及び低段側圧縮機(21b)の運転周波数データと、減圧弁(87)の弁開度データと、該運転周波数データ及び弁開度データに対して相関関係にある冷媒圧力損失値データとで構成されている。
そして、 上記最大圧損推定部(3b)は、上記運転データに基づいて、上記空気調和装置に対して要求される空調能力に必要な高段側圧縮機(21a)及び上記低段側圧縮機(21b)の運転周波数と減圧弁(87)の弁開度とを入力すると、上記冷媒圧力損失値データを出力する。この冷媒圧力損失値データが、上記最大圧損推定部(3b)で推定される冷媒圧力損失値を構成する。
上記補正部(3d)は、上記高段側圧縮機(21a)及び上記低段側圧縮機(21b)の運転周波数と減圧弁(87)の弁開度とを入力すると、冷房運転時において、冷媒貯留容器(25)から低段側圧縮機構(21b)の吸入側までの冷媒圧力損失値の補正値を出力し、暖房運転時において、高段側圧縮機構(21a)の吐出側から冷媒貯留容器(25)までの冷媒圧力損失値の補正値を出力するデータベースを備えている。図示しないが、現在の上記運転周波数及び上記弁開度をフィードバック値として入力すれば、その運転周波数及び弁開度に応じた補正値を出力する。以上より、上記最大圧損推定部(3b)は、試運転による運転情報を入力すると、上記推定部(3c)で冷媒圧力損失値が推定されるとともに、上記データベースに基づいて、上記推定部(3c)で推定した冷媒圧力損失値を補正部(3d)で補正した値ΔPを出力する。
次に、上記運転制御部(50b)について説明する。
上記運転制御部(50b)において、前提技術との違いは、中間圧目標値算出部(14)に代えて第1中間圧目標値算出部(18)及び第2中間圧目標値算出部(14a)が、中間圧センサ部(6)に代えて第2中間圧センサ部(6a)が、上記差圧判定部(9)に代えて第2中間差圧判定部(9a)が設けられている点である。また、上記運転制御部(50b)には、前提技術とは違い、減圧弁開度算出部(19)が追加されている。
具体的に、第1中間圧目標値算出部(18)は、上記室温センサ部(4a)、外気温センサ部(4b)、高圧センサ部(4c)、及び低圧センサ部(5)の出力値が入力されると、現在の上記冷媒回路(80)の冷凍サイクルにおいて、最もCOPの高い運転を行うための最適な第1中間圧目標値P1Sを減圧弁開度算出部(19)へ出力する。
上記減圧弁開度算出部(19)は、上記第1中間圧目標値P1Sと、上記空気調和装置からフィードバックされた実測値である第1中間圧P1とを引算した値を入力すると、その引算した値に基づいて減圧弁(87)の開度値ΔEV1を出力する。この開度値ΔEV1に基いて減圧弁(87)の開度が調整される。
上記第2中間差圧判定部(9a)は、第2中間圧センサ部(6a)の出力値から低圧センサ部(5)の出力値を引算して得られる値(現在の差圧)と上記必要最小差圧決定部(2)から入力された最小差圧ΔPSとの大小を比較する比較部(図示なし)を備えている。そして、この比較部で比較した結果に応じて、超臨界二段圧縮冷媒サイクルの高圧と低圧の補正値、及び補正した第2中間圧を出力する。
つまり、上記比較部で比較した結果、上記現在の差圧が上記最小差圧ΔPSよりも大きい場合には、その現在の第2中間圧が冷媒の臨界圧力を超えないようにするための上記補正値及び上記補正後の第2中間圧を上記第2中間圧目標値算出部(14a)へ出力する。一方、上記現在の差圧が上記最小差圧ΔPS以下の場合には、現在の差圧が上記最小差圧ΔPSよりも大きくなり、且つ第2中間圧が冷媒の臨界圧力を超えないようにするための上記補正値及び上記補正後の第2中間圧を上記第2中間圧目標値算出部(14a)へ出力する。
第2中間圧目標値算出部(14a)は、上記第2中間差圧判定部(9a)から出力された補正後の第2中間圧値を入力すると、上記冷媒回路(80)の第2中間圧目標値P2Sを出力する。そして、この第2中間圧目標値P2Sに基づいて、上記室外膨張弁開度算出部(17)により上記室外膨張弁(24)の開度調整が行われる。
このように構成されたコントローラ(50)により、上記空気調和装置の運転が行われる。
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、運転条件により、上記冷媒回路(80)の高低圧が変化したとしても、冷媒回路(80)の中間圧と低圧との圧力差が上記冷媒圧力損失値より小さくなることがない。したがって、室内熱交換器(27)に冷媒が流れなくなることがない。また、該中間圧が臨界圧力を超えてしまい、上記冷媒貯留容器(25)内が超臨界圧力となって冷媒貯留容器(25)内の液冷媒がなくなることがない。
また、超臨界二段圧縮冷凍サイクルでは、高圧と低圧の関係から冷凍装置のCOPを高くするための最適な中間圧が存在する。上記減圧弁(87)で第1中間圧冷媒に対する減圧量を調整することにより、第1中間圧冷媒の圧力を最適な中間圧にすることができる。
以上より、超臨界二段圧縮冷凍サイクルの高低圧が変化したとしても、上記冷凍装置のCOPを高い状態にしつつ、該冷凍装置を安定して運転することができる。
また、本実施形態によれば、上記最大圧損推定部(3b)の補正部(3d)が、上記データベースを備えることにより、上記推定部(3c)で推定した冷媒圧力損失値を、現在の高段側圧縮機構(21a)及び低段側圧縮機構(21b)の運転周波数と、現在の上記減圧弁(87)の弁開度とに基づいてフィードバック補正をすることができる。これにより、上記運転周波数及び上記弁開度の変化に応じて、上記冷媒圧力損失値を最適に補正することができるので、上記空気調和装置をより安定して運転することができる。
また、本実施形態によれば、上記冷凍装置に要求される冷凍能力に必要な上記高段側圧縮機構(21a)及び低段側圧縮機構(21b)の容量と減圧弁(87)の弁開度とを決定すると、その決定した容量及び弁開度に応じて上記圧力損失値を決定することができる。そして、上記運転制御部(1b)は、この容量及び弁開度ごとに決定された圧力損失値以上となるように、上記冷媒回路(80)の第2中間圧及び低圧の圧力差を調整することができる。これにより、上記冷凍装置を安定して運転することができる。
また、本実施形態によれば、上記最大圧損推定部(3b)において、上記測定部(3f)で測定された最も大きな値を、上記圧力損失値として決定することができる。これにより、上記圧力損失値を大きく設定することができるので、第2中間圧と低圧との圧力差が上記圧力損失値より小さくなるのを抑えることができる。したがって、上記冷凍装置を安定して運転することができる。
−実施形態の変形例1−
実施形態の変形例1において、実施形態(図8)との違いは、図11に示すように、利用側回路(20b)が、熱源側回路(20a)に対して並列に複数設けられている点である。尚、変形例1では、2つの利用側回路(20b)が示されているが、これは例示であり、上記利用側回路(20b)が3台以上設けられてもよい。そして、各室内熱交換器(27)と各第2接続端(20d)との間には、それぞれ第2熱交温度センサ(32)が設けられている。ここで、上記第2熱交温度センサ(32)は、冷媒回路(80)において、冷媒が冷房サイクルで循環するときに、室内熱交換器(27)の出口冷媒温度を検出する温度検出手段である。そして、上記各室内膨張弁(26)の開度は、上記各第2熱交温度センサ(32)で検知された温度に基づいて、上記コントローラ(1)で調整される。 したがって、上記コントローラ(1)の調整により、各室内熱交換器(27)ごとに、空調負荷に応じて該室内熱交換器(27)の冷媒流量を調整することができる。
このように、熱源側回路(20a)に対して複数の利用側回路(20b)が設けられているマルチ型の冷凍装置の場合、上記推定部(3c)は、各利用側回路(20b)の室内膨張弁(26)の中で最も大きい前後差圧を考慮し、冷媒圧力損失値を推定する。仮に、室内膨張弁(26)の前後差圧を考慮せずに冷媒圧力損失値を推定した場合、各利用側回路(20b)の流量制御が困難になり、各利用側回路(20b)間の能力分配がうまくいかなくなることが考えられる。
ここで、前後差圧を考慮する場合には、ある程度のマージン(差圧余裕値)を確保する必要がある。このマージンを確保しないと、場合によって、各室内膨張弁(26)で過熱度制御を行う際に、大きく弁開度を変更しても過熱度がほとんど変わらなくなることが考えられる。この理由は、マージンを確保した場合に比べて、マージンを確保しない場合の方が、上記室内膨張弁(26)の弁開度に対する過熱度変化の感度が鈍くなるからである。
したがって、ある程度のマージン(差圧余裕値)を確保することにより、室内熱交換器(27)における熱交換能力の調整範囲が狭くならずに、各利用側回路(20b)間の能力分配をうまく行うことができる。
実施形態の変形例1によれば、本実施形態と同様に、冷房運転時において、その運転条件により、上記冷媒回路(80)の高圧が通常よりも下がった場合であっても、上記冷媒回路(80)における第2中間圧と低圧との圧力差が、上記データ取得手段(1a)で取得した冷媒圧力損失値以上であり、且つ該中間圧が臨界圧力よりも低くなるように、上記空気調和装置を運転することができる。また、低圧が通常よりも上がった場合であっても、上記冷媒回路(80)における第2中間圧と低圧との圧力差が、上記データ取得手段(1a)で取得した冷媒圧力損失値以上であり、且つ中間圧が臨界圧力よりも低くなるように、運転することができる。
以上より、上記冷媒回路(80)の高低圧が変化したとしても、上記冷媒回路(80)の第2中間圧と低圧との圧力差が小さくなり過ぎて各室内熱交換器(27)に冷媒が流れなくなることがない。また、該第2中間圧が臨界圧力を超えることがないので、上記冷媒貯留容器(25)内が超臨界圧力となって冷媒貯留容器(25)内の液冷媒がなくなることがない。したがって、上記空気調和装置を安定して運転することができる。
−実施形態の変形例2−
実施形態の変形例2において、実施形態の変形例1(図11)との違いは、図12に示すように、流量調整弁(102)と、内部熱交換器(101)と、第7冷媒配管(103)とブリッジ回路(71)とが設けられている点である。ここで、上記内部熱交換器(101)は低温側流路(101b)と高温側流路(101a)とが形成され、各流路(101a,101b)を流れる冷媒同士が熱交換するように構成されている。また、上記第7冷媒配管(103)は、その一端が上記冷媒貯留容器(25)の壁面を貫通して該冷媒貯留容器(25)の上部空間に位置し、他端が低段側圧縮機(21b)の吸入側に設けられた冷媒配管に接続されている。
尚、上記内部熱交換器(101)は、上記第7冷媒配管(103)と第4冷媒配管(34c)とに跨って設けられており、該第4冷媒配管(34c)が上記高温側流路(101a)に、該第7冷媒配管(103)が上記低温側流路(101b)に連通するように配置されている。また、上記冷媒貯留容器(25)と内部熱交換器(101)との間にある第7冷媒配管(103)には、上記流量調整弁(102)が配置されている。
このような構成にすると、上記流量調整弁(102)を通過した後の冷媒で、第4冷媒配管(34c)を流れる第2中間圧冷媒を冷却することができる。これにより、上記第2中間圧冷媒の過冷却度を大きくして各室内熱交換器(27)に流入させることができ、冷凍装置の性能を、内部熱交換器(101)を設けない場合に比べて、向上させることができる。
−実施形態の変形例3−
実施形態の変形例3において、実施形態(図8)との違いは、図13に示すように、三路切換弁(89)と第8冷媒配管(88)とブリッジ回路(71)とが設けられている点である。ここで、三路切換弁(89)の第1ポートには、第1分岐配管(84)の一端が接続され、第2ポートには気液分離器(25)の側面から延びる第8冷媒配管(88)が接続され、第3ポートには、接続配管(86)から分岐した配管が接続されている。
尚、三路切換弁(89)は第1ポートと第3ポートとが連通する第1状態(図13に実線で示す状態)と、第2ポートと第3ポートとが連通する第2状態(図13に破線で示す状態)とに切り換え可能となっている。
ここで、四路切換弁(22)が第1状態(冷房運転)に設定されると、三路切換弁(89)が第1状態に設定される。一方、四路切換弁(22)が第2状態(暖房運転)に設定されると、三路切換弁(89)が第2状態に設定される。
このような構成にすると、冷房運転の場合には、運転条件により、上記冷媒回路(80)の高低圧が変化したとしても、冷媒回路(80)の第2中間圧と低圧との圧力差が上記冷媒圧力損失値より小さくなることがない。したがって、室内熱交換器(27)に冷媒が流れなくなることがない。また、該第2中間圧が臨界圧力を超えてしまい、上記冷媒貯留容器(25)内が超臨界圧力となって冷媒貯留容器(25)内の液冷媒がなくなることがない。
また、超臨界二段圧縮冷凍サイクルでは、高圧と低圧の関係から冷凍装置のCOPを高くするための最適な中間圧が存在する。上記減圧弁(87)で第1中間圧冷媒に対する減圧量を調整することにより、第1中間圧冷媒の圧力を最適な中間圧にすることができる。
以上より、超臨界二段圧縮冷凍サイクルの高低圧が変化したとしても、上記冷凍装置のCOPを高い状態にしつつ、該冷凍装置を安定して運転することができる。
一方、暖房運転では、上記冷媒回路(20)の高低圧が変化したとしても、冷媒回路(20)の第2中間圧と低圧との圧力差が上記冷媒圧力損失値より小さくなることがない。したがって、室内熱交換器(27)に冷媒が流れなくなることがない。また、該第2中間圧が臨界圧力を超えてしまい、上記気液分離器(25)内が超臨界圧力となって気液分離器(25)内の液冷媒がなくなることがない。したがって、上記空気調和装置を安定して運転することができる。
《その他の前提技術および実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記前提技術では、上記中間圧飽和温度センサ(37)で検知された温度に基いて、上記室外膨張弁(24)の開度を調整しているが、これに限定されず、図7に示すように、冷房運転時において、上記中間圧飽和温度センサ(37)で検知された温度に基いて、上記室外膨張弁(24)の開度だけでなく、上記高段側圧縮機(21a)及び上記低段側圧縮機(21b)の容量を調整してもよい。これにより、中間圧の制御がより良好に行われて、より一層、上記空気調和装置を安定して運転することができる。
また、上記前提技術では、熱源側膨張機構(24)として膨張弁を用いたが、これに限定されず、該膨張弁の代わりに膨張機を取り付けてもよい。この場合、上記空気調和装置を安定して運転することができるとともに、上記膨張機による動力回収も可能となる。
また、上記前提技術では、上記気液分離器(25)から延びる中間圧冷媒配管(34a)の端部が、上記高段側圧縮機(21a)及び上記低段側圧縮機(21b)の間に接続されているが、これに限定する必要はなく、例えば、上記中間圧冷媒配管(34a)の端部が上記高段側圧縮機(21a)に設けられたガスインジェクション流入口に接続されてもよい。
また、上記実施形態では、冷暖兼用の空気調和装置について説明したが、これに限定されず、冷房専用の冷凍装置であってもよい。ここで、冷房専用の冷凍装置の場合には、室外熱交換器(23)の第1冷媒配管(85)にエコノマイザ熱交換器(81)を設け、第1冷媒配管(85)から分岐した第1分岐配管(84)に減圧弁(87)を設けるようにする。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。