ところが、XスライダとYスライダとを備えた上記構成には、以下のような課題がある。即ち、部品点数が多く、寸法バラツキの累積によるガタが増大するとともに、部品点数が多いために、組付け工数が多く、コスト高になるといった課題である。さらに、ユーザーからの操作を受けるに伴い可動する可動部のX軸方向とY軸方向とでの質量やサイズの違いにより、ガタや摩擦の差が生じてしまい、X方向、Y方向での操作フィーリングに差が生じ、特にX方向、Y方向に対し斜めとなる方向への操作フィーリングが悪化するという課題もある。
また、XスライダとYスライダの2部品を、二次元操作面上を移動可能なXYスライダとして1部品化し、二次元平面上を摺動させる構成とすることで、部品点数の増加を極力少なくする手法も考えることができるが、この場合、操作ノブを二次元方向に移動操作するに伴い操作ノブがZ軸周りを回転してしまうという新たな課題も生ずる。即ち、操作ノブが単一色で円形となるような単純なデザインのものであれば、操作ノブが回転してもユーザーはこれを視認できないため問題ないが、矩形状の操作ノブや操作ノブの表面に模様等が描かれる等、デザイン性の高い操作ノブが採用されるほど、操作に伴う操作ノブの回転によって外観やデザインの向きのずれが際立ち、かえってデザイン性を損ねてしまうという課題である。
本発明の課題は、操作フィーリング改善及びコスト増の改善のために部品点数を削減するとともに、操作ノブの操作時に該操作ノブの姿勢が変わることのない操作装置を提供することにある。
課題を解決するための手段および発明の効果
上記課題を解決するために、本発明の操作装置は、揺動レバーを予め定められたY軸周りに回動可能とする第一回動機構と、揺動レバーがY軸に直交するX軸回りに回動可能となるよう第一回動機構を該X軸周りに回動可能とする第二回動機構とを有し、揺動レバーが自らのレバー軸線周りに非回転となる形で支持する揺動機構を備えるとともに、揺動レバーの揺動先端側には可動操作部が取り付けられ、X軸方向及びY軸方向により規定される二次元方向に移動操作可能とされた操作装置を前提とする。
上記本発明の前提構成によると、揺動レバーのレバー軸線方向(以下、z軸方向)をZ軸方向に一致させた状態において、揺動レバーにおけるX軸方向と一致する方向をx軸方向、同じく該揺動レバーにおけるY軸方向と一致する方向をy軸方向と定めた場合に、揺動レバーを各方向に揺動動作して、可動操作部をZ軸上方から見ると、図17において符号x,yの線分が示すように、揺動レバーのx軸方向の向きは絶えずX軸方向に保たれる一方、揺動レバーのy軸方向の向きは、X軸及びY軸に対し斜めの方向に操作された際に、Y軸方向からずれて、Z軸周りを回転する。従って、揺動レバーに可動操作部を取り付けてX軸及びY軸に対し斜めに操作したときには、可動操作部をZ軸上方から見ると、可動操作部はZ軸周りに回転して見えてしまい、可動操作部の外観やデザインの向きが斜めになって、デザイン性を損ねてしまう。
従って、本発明の操作装置は、上記構成を前提とし、
揺動レバーの揺動先端側には、レバー軸線方向に対しX軸方向側に延出するX軸方向延出部と、外周面が球面状をなすとともにその球面中心をレバー軸線上に有する球面部と、を有した回転阻止部が形成され、
可動操作部には、揺動レバーの揺動先端側を内部で摺動可能に保持する摺動開口部が形成されるとともに、該摺動開口部には、X軸方向延出部をY軸方向両側から挟む形で対向するY軸方向対向壁部と、球面部をX軸方向両側及びY軸方向両側から挟む球面部保持壁部とが形成され、
可動操作部が二次元方向に操作されて揺動レバーが揺動動作した場合、揺動レバーのX軸方向延出部はZ軸方向視において常にX軸方向に軸線が延びた形でX軸方向側に突出し、可動操作部における摺動開口部のY軸方向対向壁部のZ軸周りの回転を常に規制する一方、当該揺動動作において揺動レバーの球面部に生ずるZ軸周りの回転は、当該球面部と可動操作部における摺動開口部の球面部保持壁部との回転摺動により吸収されることにより、可動操作部の移動操作が、姿勢を常に一定に保持した平行移動の形でなされることを特徴とする。
本発明は、揺動レバーを各方向に揺動動作して、可動操作部をZ軸上方から見たときに、図17の符号xの線分が示すように、揺動レバーのx軸方向が常にX軸方向に向きが一致していることに着目してなされたものである。上記本発明の構成によれば、揺動レバーを各方向に揺動動作したときに、揺動レバーのx軸方向が常にX軸方向に向きが一致しているため、揺動レバーの揺動先端側に設けられたX軸方向延出部も常にX軸方向側に延出しており、このX軸方向延出部をY軸方向において挟んでいる可動操作部は、このX軸方向延出部によってレバー軸線z周りの回転を規制され、結果として、可動操作部のレバー軸線z周りの回転が阻止される。一方で、揺動レバーのy軸方向は、可動操作部をX軸及びY軸に対し斜めに操作すると、図17の符号yの線分が示すように、Z軸周りに回転してY軸方向からずれてしまう。ところが、可動操作部は、揺動レバーの揺動先端側に設けられた球面部に対し相対回転可能となるよう回転摺動可能に設けられているので、揺動レバーのZ軸周りの回転につられて回転することはない。従って、可動操作部の姿勢がZ軸周りに回転することは無く、同じ姿勢を保った平行移動操作が可能となる。
また、上記本発明の構成によれば、Xスライダ及びYスライダを1部品化してもよいので、部品点数も減じることができ、操作フィーリングも改善されるし、コストも抑制できる。具体的には、摺動開口部は、摺動保持する揺動レバーのX軸方向延出部及び球面部の、揺動動作に伴うZ軸方向の変位を許容できる筒状開口形状を有して形成でき、可動操作部は、摺動開口部により揺動動作に伴うZ軸方向の変位が吸収される形で、装置本体側のベース部材に設けられた、X軸方向側及びY軸方向側に広がる揺動レバーの揺動半径よりも径の大きい球面状摺動面上を摺動可能なXYスライダとして構成することができる。これにより、可動操作部を球面状摺動面と当接する形で移動させることが可能となる。なお、球面状摺動面には、揺動レバーの揺動半径が無限大となるZ軸方向に垂直な平坦面が含まれるものとする。また、可動操作部と球面状摺動面とが面接触する構成とすることにより、可動操作部のX軸周り及びY軸周りの回転を規制することができ、可動操作部の姿勢を一定に保った状態での二次元方向の操作が可能となる。
また、本発明において、可動操作部は、装置本体側に設けられた、レバー軸線方向においてベース面と対向するガイド面を有したガイド部材により挟まれ、球面状摺動面に沿った二次元方向にのみ移動動作可能となるようガイドされるように構成できる。これにより、球面状摺動面上を摺動動作する可動操作部の移動が上下にてガイドされるため安定し、操作の安定感が増す。
本発明において、揺動レバーの揺動先端側と、これを保持する可動操作部の摺動開口部との間には、各部品の製造誤差や組み付け誤差等を考慮したわずかな隙間を挟んで配置することができ、このとき、可動操作部には、摺動開口部内に配置された揺動レバーの揺動先端側を、当該摺動開口部内の内壁面の一部に対し付勢するガタ防止用付勢部材を設けることができる。これにより、隙間により生ずるガタを防止することが可能となり、操作フィーリングを改善することができる。なお、揺動レバーの揺動動作に伴うZ軸方向変位を許容できる筒状開口形状を有する構成においては、ガタ防止用付勢部材は、揺動レバーの揺動先端側を摺動開口部内の内壁面の一部に対しZ軸方向に直交する方向に付勢するよう構成することで、揺動レバーのZ軸方向変位を妨げることがない。
本発明において、可動操作部の摺動開口部は、摺動保持する揺動レバーのX軸方向延出部及び球面部のZ軸方向変位を許容する開口形状を有して形成できる。この構成によると、揺動レバーの揺動変位に伴う可動操作部のZ軸方向変位を吸収することができ、可動操作部を一定平面上で移動させることが可能となる。
具体的には、摺動開口部には、球面部のZ軸方向変位が許容されるようZ軸方向に軸線を有した円筒状開口部として形成することができる。これにより、揺動レバーの球面部をZ軸方向上下に滑らかに移動させることができる。また、摺動開口部には、X軸方向延出部のZ軸方向変位が許容されるよう、Y軸方向対向壁部がZ軸方向に延び、なおかつ円筒状開口部とつながる形でY軸方向に延びるY軸方向開口部を形成することもできる。円筒状開口部とつながるY軸方向開口部を有することにより、可動操作部の摺動開口部をよりシンプルに形成できる。また、摺動開口部には、球面部保持壁部よりもZ軸方向下側において、Z軸方向下側ほど開口面積が大きくなるZ軸方向下端側開口部を形成することができる。これにより、揺動動作する揺動レバーと摺動開口部との干渉を排除することができる。
本発明においては、可動操作部をZ軸方向に押下操作可能なZ軸方向押下操作機構を備えて構成できる。可動操作部が二次元平面上を平行動作可能となる構成であれば、可動操作部をZ軸方向に押下操作したときに、指示位置がずれ難い。この場合、摺動開口部は、摺動保持する揺動レバーのX軸方向延出部及び球面部の押下操作に伴うZ軸方向の変位を許容できる開口形状を有して形成することができる。さらにいえば、摺動開口部は、摺動保持する揺動レバーのX軸方向延出部及び球面部の、揺動動作に伴うZ軸方向の最大変位と、押下操作に伴うZ軸方向の最大変位との双方を同時に許容できる開口形状を有して形成することができる。
なお、ベース部材を備える構成においては、Z軸方向押下操作機構は、可動操作部が押下操作された場合に、当該可動操作部と共にベース部材がZ軸方向に変位するように構成する。可動操作部の押下操作時に、可動操作部と当接するベース部材も一緒に押し下がる構成となることで、より安定的な押下操作が可能となる。なお、この場合、押下操作から、可動操作部及びベース部材が自動復帰できるように、押下操作による変位に対する逆方向の付勢力を付与する付勢手段を備えて構成するとよい。
以下、本発明の操作装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態である操作装置において、外部カバーをなすパームレストを外した状態の外観斜視図である。図2は、図1の操作装置の分解斜視図である。図3は、図1の操作装置において、パームレストが装着された状態の平面図(上面視図)である。図4は、図3のA−A断面図であり、操作ノブが中立状態にあるときの図である。図5は、図4の操作ノブをY軸方向第一側に操作した図である。図6は、図4の操作ノブをY軸方向第二側に操作した図である。図7は、図3のB−B断面図であり、操作ノブが中立状態にあるときの図である。図8は、図7の操作ノブをX軸方向第一側に操作した図である。図9は、図7の操作ノブをX軸方向第二側に操作した図である。図10は、図1の操作装置の揺動機構の構成を示す分解斜視図である。図11は、可動操作部を簡略的に示した斜視図である。図12は、可動操作部の構造を簡略的に示す図であり、(a)は、図3のB−B断面の簡略図であり、(b)は、(a)のC−C断面であり、(c)は、(a)の操作ノブの押下操作時の状態を示す図である。図13は、図12(a)の操作ノブをX軸方向第一側及び第二側に操作した図である。
図1に示す操作装置1は、所定方向を規定するX軸とこれに直交するY軸とにより定められる二次元方向への移動操作が可能な可動操作部2を、装置本体3上に備える。装置本体3は、図2及び図3に示すように、揺動レバー21と、揺動レバー21を上記二次元方向に揺動変位可能となるよう支持する揺動機構20と、揺動機構20を収容する下側ケース19と、を備える。
なお、ここでの操作装置1は、自動車等の車両に搭載される車載操作装置であり、重力方向(ここではZ軸及びY軸に直交するZ軸方向と同方向)の上側に位置する可動操作部2が車両の前後方向(Y軸方向)及び左右方向(X軸方向)に操作可能とされるとともに、図14に示すように、当該操作の操作方向に応じて、別途設けられた表示装置320の画面320a上に表示される位置指示画像(ポインタ)Pを移動させる。これにより、画面320a上に表示される操作画像(ボタン)Bを指示することができ、さらに、当該指示位置にて可動操作部2を車両の下方向(Z軸方向)に押圧することにより決定入力を行うことができる。
可動操作部2は、揺動レバー21の揺動先端側に取り付けられ、ユーザーから上記二次元方向の操作を受ける。具体的には、ユーザー操作を受ける操作ノブ10と、装置本体3側に固定される摺動受け部材17上において二次元方向に摺動可能に配置されるXY摺動部(XYスライダ)16と、揺動レバー21の揺動先端を保持するレバー保持部15と、レバー保持部15と操作ノブ10とを連結する操作レバー14とを有し、それぞれがZ軸周りに非回転となるよう一体に固定されてなる。
操作ノブ10は、可動操作部2が揺動ノブ21上に配置された状態で、Z軸周りに回転した場合に外観の回転変化を視認可能な形状とされており、ここでは、図3のZ軸方向視図に示すように、角部にアール部が形成された平面視略四角形状に形成されている。操作ノブ10のZ軸方向下方には、操作レバー14がZ軸周りに非回転保持される形で固定される。ここでは、円筒状の操作レバー14のZ軸方向上端部が断面非円形形状となるように切り欠かれ(ここでは断面D状をなすように切り欠かれる)、さらに、操作ノブ10の裏面側にも、Z軸方向上端部の形状に対応する嵌合孔部が設けられており、操作レバー14のZ軸方向上端部と操作ノブ10の嵌合孔部とが圧入嵌合される形で、両者がZ軸周りに非回転に固定されている。
XY摺動部16は、Z軸方向下方に突出した3箇所以上の突起部(ここでは4箇所)160を有し、それぞれが摺動受け部材(ベース部材)17のZ軸方向上面に形成されたスライド面(ベース面)170bと当接し、該スライド面170b上を摺動可能とされている。突起部160が形成されることで、スライド面170bとの接触面積が減じられ、その結果、摺動摩擦が減じられて、操作フィーリングが向上する。ここでのスライド面170bは、レバー保持部15が保持する揺動レバー21の揺動半径よりも径の大きい球面状摺動面(ここでは径が無限大の平坦面)をなす。さらにいえば、スライド面170bは、図2に示すように、摺動受け部材17のZ軸方向上面に形成されたZ軸方向下方に窪む凹部の底面として形成され、各突起部160に対応した摺動面が区画されるよう凹部の内壁面17bが形成され、各突起部160の区画領域外への移動が規制されている。
また、XY摺動部16は、上側ケース12によりZ軸方向上方への抜けや、X軸周り及びY軸周りの回転が防止されている。ここでは、XY摺動部16がスライド面170bに対し3以上の接触点を有した状態で摺動可能に配置されており、これにより、可動操作部2のX軸周り、Y軸周りの回転が防止されている。具体的にいえば、XY摺動部16には、Z軸方向下面角部からZ軸方向下方に突出形成された4つの接触部160があり、それらが面接触の形でスライド面170bに対し摺動可能に配置されている。一方で、装置本体3側に固定される上側ケース12には、Z軸方向においてスライド面170bと対向するガイド面12aを有しており、可動操作部2の摺動移動をスライド面170b上に沿った二次元方向のみとなるようガイドするガイド部材として機能している。上側ケース12は、摺動受け部材17に対し固定されており(ここではネジ等の締結部材12eによる締結固定)、それらは共に装置本体3の一部を構成する。
なお、可動操作部2は、XY摺動部16とレバー保持部15とが上側ケース12内に収容されるとともに、操作レバー14が上側ケース12のZ軸方向上方に形成された上端開口部12cから突出する形で配置される。なお、上端開口部12cは、操作ノブ10のZ軸方向下側にて、操作レバー14に固定される開口保護用の被覆部材11により覆われる。被覆部材11は、操作レバー14に対しZ軸周りに非回転となるよう一体に取り付けられ、可動操作部2の一部をなす。また、上側ケース12及び被覆部材11も、外部カバーをなすパームレスト200により覆われており、パームレスト200のZ軸方向上端の開口部から操作レバー14が突出し、操作ノブ10が露出している。パームレスト200は、下側カバー19に対し固定される(ネジ等の締結部材による締結固定)。
下側カバー19は、揺動機構20を収容するとともに、Z軸方向上方に向けて揺動レバー21が突出する。下側カバー19の上面部20aには、揺動レバー21を突出させる開口部20cが形成されるとともに、上面部20aには、可動操作部2が指示する位置にて決定入力を行うための決定入力スイッチ182を配したスイッチ支持部材18が載置される。スイッチ支持部材18は、中央に揺動レバー21を突出させる開口部18cが形成された板状部材である。決定入力スイッチ182は、タクトスイッチであり、その開口部18cの中心周りに複数設けられ、Z軸上方より押圧操作可能に配置されている。ここでは、開口部18cの中心周りに90度おきに3箇所に設けられ、残余の1箇所には、Z軸上方からの押圧操作を受けるだけの押圧操作受け部材181が設けられている。摺動受け部材17は、スイッチ支持部材18のZ軸方向上側に配置されており、その下端部には、スイッチ支持部材18上の決定入力スイッチ182を押圧するためにZ軸下方に突出形成された押圧部170が設けられている。可動操作部2がZ軸方向下方に押圧操作されることにより、XY摺動部16が摺動受け部材(ベース部材)17を押圧し、これにより、可動操作部2と共に摺動受け部材17がZ軸方向に変位することで(Z軸方向押下操作機構)、押圧部170が決定入力スイッチ182を押圧する。また、ここではこの押下操作による変位に対し逆方向の付勢力を付与するばね部材(付勢手段)20Bが揺動レバー21の揺動中心部20Aに設けられており、押圧操作が解除されると、上記ばね部材の付勢力により可動操作部2及び摺動受け部材17が非押圧操作時の位置に自動復帰する。なお、ここではこの押下操作による変位に対し逆方向の付勢力を付与するばね部材(付勢手段)は、タクトスイッチ182内に設けてもよい。
一方、揺動レバー21を揺動可能に支持する揺動機構20は、揺動レバー21を予め定められたX軸周りに回動可能とする第一回動機構30と、揺動レバー21を保持する第一回動機構30ごとY軸回りに回動可能とする第二回動機構35と、揺動レバー21が自らのレバー軸線(z軸)周りに非回転となるよう保持するz軸周り回転規制機構と、を備えて構成される。ここでの揺動機構20は、図10に示すようなジンバル機構である。
具体的にいえば、第一回動機構30は、第一の回動支持部31によりX軸方向に回転軸線を有する形で回転可能に支持された第一の回転軸部29により、揺動レバー21を当該回転軸線周りに揺動可能とするものである。ここでの回動支持部31は、X軸方向に対向する形で揺動レバー21を挟むX軸方向対向板部31a,31aを有する。X軸方向対向板部31a,31aと、揺動レバー21との双方には、X軸方向に貫通する貫通孔部31h,23hがそれぞれ設けられ、これらを貫通する形で、直線的に延びる円筒状の回転軸部29が配置される。回転軸部29の軸線方向における第一側の端部には、貫通孔部31hよりも径大の頭部が設けられており、これをX軸方向対向板部31a,31aの一方の貫通孔部31hの周辺面に当接する形で位置決めされる一方、第二側には、他方のX軸方向対向板部31aの外側にCリング等の抜け防止部材28が取り付けられ、挿通された回転軸部29の抜けが防止されている。
このように、揺動レバー21は、貫通配置された回転軸部29の軸線周りを回動可能に保持される。ただし、揺動レバー21は、回動支持部31と共にX軸周りに揺動回転することはなく、回動支持部31をなすX軸方向対向板部31a,31aにX軸方向において挟まれることで、Y軸方向のみに揺動動作可能となるようガイドされている。また、揺動レバー21において貫通孔部23hが形成される貫通孔部形成部23は、回動支持部31に対し面接触する形状を有する。これにより、揺動レバー21の回動支持部31に対するY軸周りとZ軸周りの回転が規制される。
他方、第二回動機構35は、装置本体側に固定される第二の回動支持部191によりY軸方向に回転軸線を有する形で回転可能に支持された第二の回転軸部39により、上記第一回動機構30を当該回転軸線周りに回動可能とし、ひいては揺動レバー21を当該回転軸線周りに揺動可能とするものである。ここでの回動支持部191は、下側ケース19に固定(締結固定)された互いに対向するフレーム191,191であり、それぞれに直線的に延びる円筒状の回転軸部39を貫通配置するための貫通孔部191h,191hが設けられている。回転軸部39の突出先端側にはCリング等の抜け防止部材38が取り付けられて、回転軸部39の抜けが防止されている。フレーム191,191に支持された回転軸部39は、これらフレーム191,191に対するX軸周りとZ軸周りの回転が規制される。
この場合、揺動レバー21がY軸周りに揺動動作すると、揺動レバー21はX軸方向に変位を生じるため、揺動レバー21をX軸方向両側から挟む第一の回動支持部31(X軸方向対向板部31a,31aの一方)を揺動方向(X軸方向)に押圧する。これにより、揺動レバー21は、第一の回動支持部31ごと自らをY軸周りに揺動動作させる。
また、第二の回転軸部39は、第一の回転軸部29の回転軸線(X軸方向)と直交するY軸方向に軸線を有する形で、回動支持部31のY軸方向両端からY軸方向に突出形成される。具体的にいえば、第一の回動支持部31のX軸方向対向板部31a,31aの両端に設けられたY軸方向対向板部32、32の上端部からY軸方向外向きに突出する。Y軸方向対向板部32,32は、第二の回転軸部39,39の基部であり、X軸方向対向板部31a,31aの両端外側にて互いがY軸方向に対向し、X軸方向対向板部31a,31aと一体に固定されている。また、Y軸方向対向板部32,32のうち一方には、後述するジンバルギア33が一体に固定され、他方には、後述する基準位置検出部材34が一体に固定される(ここではいずれもネジ等の締結部材により締結固定される)。これら第二の回転軸部39,第一の回動支持部31(31a,32),基部32,ジンバルギア33,基準位置検出部材34を有した形でY軸周り回動体30が構成されている。
このような揺動機構(ジンバル機構)20において、揺動レバー21は、Y軸周りに回転する回転座標系上においてX軸周りの回転運動となる。即ち、第二の回転軸部39をY軸方向に回動可能に支持する第二の回動支持部191が土台となる形で装置本体に固定されており、第一の回動支持部31をY軸周りにのみ回動可能に支持し、X軸方向にのみ揺動変位を生じさせることで、揺動レバー21は、回動支持部31ごとY軸周りに回動可能(X軸方向に揺動可能)となる。一方で、Y軸周りに回動可能な第一の回動支持部31に取り付けられた第一の回転軸部29は、自らがX軸周りに回動可能に支持されつつも、揺動レバー21をX軸周りに揺動可能とする。また、揺動レバー21は、貫通孔部形成部23及び回動支持部31により、回動支持部31に対するZ軸周りの回転が規制され、回動支持部31は、回転軸部39及びフレーム191,191により、装置本体3に対するZ軸周りの回転が規制されるから、これらがz軸周り回転規制機構を構成し、揺動レバー21の装置本体3に対するZ軸周りの回転を阻止している。
ところが、揺動レバー21のレバー軸線方向(以下、z軸方向)をZ軸方向に一致させた状態において、揺動レバー21におけるX軸方向と一致する方向をx軸方向、同じく該揺動レバー21におけるY軸方向と一致する方向をy軸方向と定めた場合に、揺動レバー21を各方向に揺動動作させて、揺動レバー21の揺動先端をZ軸方向上方から見ると、図17のx軸線,y軸線が示すように、揺動レバー21のx軸方向の向きは絶えずX軸方向に保たれる一方で、揺動レバー21のy軸方向の向きは、X軸及びY軸に対し斜めの方向に操作された際に、Y軸方向からずれて、Z軸周りを回転した位置をとる。具体例として、図17のようなXY座標を定め、揺動レバー21をX軸周りに16°、Y軸周りに16°回転した場合の計算結果を、図18に示す。この結果によると、回転前のAB方向と、XY双方への回転後のA’’B’’方向とにおけるY成分はゼロであり、x軸方向は一定のまま回転せず、y軸方向に回転が生じていることがわかる。
このように、揺動レバー21は、Y軸周りに回転する回転座標系上においてX軸周りに回転する構成が原因となって、揺動レバー21に可動操作部2を普通に取り付けてX軸及びY軸に対し斜めに操作したときには、可動操作部2をZ軸上方から見ると、可動操作部2はZ軸周りに回転して見えてしまう。ここでの可動操作部2は、図3に示すように、操作ノブ10がZ軸周りに回転した場合に外観の回転変化を視認可能な形状であり、上記のような回転はユーザーに容易に視認されるから、デザイン性を損なう可能性がある。このため、本発明においては、このような可動操作部2のZ軸周りの回転を防止するべく、可動操作部2と揺動レバー21とが以下のような取付構造を有する。
即ち、図11及び図12に模式的に示すように、揺動レバー21の揺動先端側(ここでは揺動先端部)に回転阻止部100を設ける。回転阻止部100は、レバー軸線z方向に対しX軸方向側に延出するX軸方向延出部102と、外周面が球面状をなすとともにその球面中心をレバー軸線z上に有する球面部101とを有する。一方、可動操作部2には、揺動レバー21の揺動先端側を内部で摺動可能に保持する摺動開口部150が形成される。この摺動開口部150は、Z軸周りの回転を規制し、かつX軸方向への変位を許容するようX軸方向延出部102をY軸方向両側から挟んで対向形成されたY軸方向対向壁部152a,152aと、球面部101をX軸方向両側及びY軸方向両側から挟んで回転摺動可能に保持する球面部保持壁部151a,151aと、を有する。
また、ここでの摺動開口部150は、摺動保持する揺動レバー21のX軸方向延出部102及び球面部101のZ軸方向変位を許容する筒状開口形状を有する。具体的にいえば、球面部101のZ軸方向変位が許容されるようZ軸方向に軸線を有する形で円筒状内壁面が形成された円筒状開口部151と、X軸方向延出部102のZ軸方向変位が許容されるよう円筒状開口部151とつながる形でX軸方向に延出する形で形成されたX軸方向開口部152と、円筒状開口部151のZ軸方向下端側において、円筒状開口部151に保持された揺動レバー21に生ずる、球面部101を揺動中心とする揺動レバー21の二次元方向の揺動動作に干渉しないよう、Z軸方向下側ほど開口面積が大きくなる形で形成されたZ軸方向下端側開口部153と、を有する。
ここで、揺動レバー21と可動操作部2の動作について具体的に説明する。
揺動レバー21を中立位置(図18(e)参照)からY軸周りに揺動動作させた場合(図18(b)又は(h)参照)、揺動レバー21自身のx軸線方向は、Z軸方向視においてX軸方向に常に一致し、なおかつ揺動レバー21自身のy軸線方向は、Z軸方向視においてY軸方向に常に一致している。従って、当該揺動動作が生じた場合には、揺動レバー21の球面部101は、可動操作部2における円筒状開口部151内のX軸方向側の内壁面をX軸方向に押圧する形で、円筒状開口部151内をY軸周りに回転摺動し、可動操作部2ごとX軸方向に変位する一方で、円筒状開口部151内の内壁面を摺動する形で可動操作部2に対しZ軸方向にも変位する。揺動レバー21のX軸方向延出部102も、球面部101と同様に、可動操作部2におけるX軸方向開口部152内をY軸周りに回転摺動する形でX軸方向とZ軸方向に変位する。ただし、可動操作部2は、常にスライド面170a上に摺動可能に載置された状態に保持されるため、揺動レバー21の球面部101及びX軸方向延出部102にZ軸方向の変位が生じたとしても、これに追従してZ軸方向に変位することはなく、それら球面部101及びX軸方向延出部102を摺動開口部150内の内壁面をZ軸方向に摺動させることで、それら球面部101及びX軸方向延出部102のZ軸方向変位を吸収し、自らのZ軸方向位置は、スライド面170aと接した一定位置に保持される。
揺動レバー21を中立位置(図18(e)参照)からX軸周りに揺動動作させた場合(図18(d)又は(f)参照)、揺動レバー21自身のx軸線方向は、Z軸方向視においてX軸方向に一致し、なかつ揺動レバー21自身のy軸線方向は、Z軸方向視においてY軸方向に一致している。従って、当該揺動動作が生じた場合には、揺動レバー21の球面部101は、可動操作部2における円筒状開口部151内のY軸方向側の内壁面をY軸方向に押圧する形で、円筒状開口部151内をY軸周りに回転摺動し、可動操作部2ごとY軸方向に変位する一方で、円筒状開口部151内の内壁面を摺動する形で可動操作部2に対しZ軸方向にも変位する。揺動レバー21のX軸方向延出部102も、球面部101と同様に、可動操作部2におけるX軸方向開口部152内のY軸方向側の内壁面をY軸方向に押圧しつつ、X軸方向開口部152内をY軸周りに回転摺動する形でY軸方向とZ軸方向に変位する。ただし、可動操作部2は、常にスライド面170a上に摺動可能に載置された状態に保持されるため、揺動レバー21の球面部101及びX軸方向延出部102にZ軸方向の変位が生じたとしても、これに追従してZ軸方向に変位することはなく、それら球面部101及びX軸方向延出部102を摺動開口部150内の内壁面をZ軸方向に摺動させることで、それら球面部101及びX軸方向延出部102のZ軸方向変位を吸収し、自らのZ軸方向位置は、スライド面170aと接した一定位置に保持される。
揺動レバー21を中立位置(図18(e)参照)からX軸周りとY軸周りとの双方に揺動動作させた場合(図18(a),(c),(g),(i)参照)、揺動レバー21自身のx軸線方向は、Z軸方向視においてX軸方向に一致するが、揺動レバー21自身のy軸線方向は、Z軸方向視においてZ軸周りに回転する。従って、当該揺動動作が生じた場合には、揺動レバー21の球面部101は、摺動開口部150における円筒状開口部151内のX軸方向側面とY軸方向側壁面との双方をX軸方向とY軸方向との双方に押圧する形で、円筒状開口部151内をX軸周り及びY軸周りの双方に回転摺動し、可動操作部2ごと、X軸方向及びY軸方向の双方の間の斜め方向に変位する一方で、円筒状開口部151内の内壁面を摺動する形でZ軸方向にも変位する。揺動レバー21のX軸方向延出部102も、球面部101と同様に、可動操作部2におけるX軸方向開口部152内のY軸方向側の内壁面をY軸方向に押圧しつつ、X軸方向開口部152内をY軸周り及びX軸周りの双方に回転摺動する形で上記斜め方向とZ軸方向に変位する。ただし、可動操作部2は、常にスライド面170a上に摺動可能に載置された状態に保持されるため、揺動レバー21の球面部101及びX軸方向延出部102にZ軸方向の変位が生じていても、これに追従してZ軸方向に変位することはなく、それら球面部101及びX軸方向延出部102を摺動開口部150内の内壁面をZ軸方向に摺動させることで、それら球面部101及びX軸方向延出部102のZ軸方向変位を吸収し、自らのZ軸方向位置は、スライド面170aと接した一定位置に保持される。また、揺動レバー21自身のy軸線方向は、Z軸方向視においてY軸方向からZ軸周りに回転した状態となるが、可動操作部2がこれに追従して回転変位することはなく、該揺動レバー21の球面部101が、摺動開口部150における円筒状開口部151内を回転摺動することにより、可動操作部2に対し相対回転するため、可動操作部2の姿勢は、スライド面170aと接した一定の姿勢に継続的に保持される。
このように、可動操作部2が二次元方向に操作され、これに伴い揺動レバー21が揺動動作した場合、揺動レバー21自身のx軸線方向は、Z軸方向視においてX軸方向に常に一致しているので、揺動レバー21のX軸方向延出部102は、Z軸方向視において常にX軸方向に突出した状態となる。このため、可動操作部2のY軸方向対向壁部152a,152aは、常にこのX軸方向延出部102を挟んだ状態に保たれるから、可動操作部2は、Z軸周りに回転しない。また、揺動レバー21の揺動動作により、揺動レバー21の球面部101は、Z軸方向視において自身のy軸方向がZ軸周りの回転変位するような回転を生ずる可能性があるが、この回転は、揺動レバー21の球面部101が可動操作部2の球面部保持壁部151a,151a内を回転摺動することにより吸収され、これにより、可動操作部2の姿勢を変えることもない。また、揺動レバー21の揺動先端側に設けられた回転阻止部100は、可動操作部に対しZ軸方向に相対変位可能となるので、二次元方向に操作されて揺動レバー21の揺動先端側がZ軸方向に変位したとしても、可動操作部2は、スライド面170a上に接触した状態に保持され、姿勢を変えることはない。従って、可動操作部2は、二次元方向に平行移動操作可能となっており、操作されることによって、操作ノブ10の外観やデザインの向きが斜めになって、デザイン性を損ねることはない。
なお、ここでは、図12(b)に示すように、揺動レバー21と可動操作部2の摺動開口部150との間には、各パーツの製造誤差や組み付け誤差等を考慮したわずかな隙間を有しているが、このままではこの隙間に起因したがたつきが生ずる可能性があるので、揺動レバー21と摺動開口部150の内壁面とを常に接触保持させておくためのガタ防止用付勢部材13が設けられている。ここでは、摺動開口部150とつながる形で形成された付勢部材配置用の開口部130が形成されており、この開口部130内に、中央が揺動レバー21のレバー軸線z方向に向かうように突出する板ばねがガタ防止用付勢部材13として設けられ、揺動レバー21をZ軸方向に直交する方向(ここではY軸方向)に継続的に付勢している。さらにいえば、この開口部130は、図11に示すように、可動操作部10(ここではレバー保持部15)のZ軸方向上方に貫通しており、ガタ防止用付勢部材13は、揺動レバー21を保持した状態の可動操作部10に対し、Z軸方向上方から開口部130に挿入する形で、容易に組み付けることができる。
また、可動操作部2における摺動開口部150においては、揺動レバー21の揺動先端側の球面部101を回転摺動可能に保持する円筒状開口部151がZ軸方向に軸線を有する形で形成されているが、そのZ軸方向のストロークは、揺動レバー21の揺動動作に伴うZ軸方向の最大変位と、決定入力スイッチ182を最深部まで押圧するためのZ軸方向の最大変位との双方が同時に生じた場合においても、揺動レバー21の球面部101をX軸方向両側及びY軸方向両側から挟んだ状態となるような長さで形成される。このストロークを確保した上で、そのZ軸方向下側に、球面部101を揺動中心とする揺動レバー21の二次元方向の揺動動作に干渉しないよう円錐台形状に開口形成されたZ軸方向下端側開口部153が形成される。
また、揺動機構20には、第一回動機構30と共に一体に揺動する揺動部材40が設けられる。揺動部材40は、揺動レバー21の第二の回転軸部39の軸線周り(Y軸周り)の揺動変位を許容しつつ、揺動レバー21と共に第一の回転軸部29の軸線周りを回動可能となるよう装置本体3に対し固定されている。具体的にいえば、揺動部材40は、第三の回転軸部49と、第三の回転軸部49を、第一の回転軸部29の回転軸線と一致する軸線を有する形で、X軸周りに回動可能に支持する回動支持部192と、揺動レバー21を第二の回転軸部39の軸線周りの揺動変位を許容する形で保持しつつ、揺動レバー21の第一の回転軸部29の軸線周りの揺動動作により回転軸部49の軸線周りに揺動動作するレバー保持部41と、を備えて構成される。レバー保持部41には、揺動レバー21の下端部22をZ軸方向に貫通する貫通孔部41hが形成されており、レバー保持部41における貫通孔部41hの周辺部に対し、揺動レバー21に設けられた段差部22dが当接する形で配置される。貫通孔部41hは、第二の回転軸部39の軸線方向(X軸方向)に長く形成されており、貫通配置されたレバー下端部22が、貫通孔部41hの長手方向(X軸方向)に沿って摺動可能となっている。回動支持部192は、下側ケース19に固定(締結固定)された互いに対向するフレーム192,192であり、それぞれに第三の回転軸部49を貫通配置するための貫通孔部192hが設けられる。
これにより、揺動部材40は、揺動レバー21がX軸線周りに揺動動作するに伴い、揺動レバー21のレバー下端部22が貫通穴部41hのY軸方向に対向する内壁面が押圧されることにより、X軸周りに回転し、Y軸方向に揺動変位する一方、揺動レバー21がY軸線周りに揺動動作したときには、揺動レバー21が貫通穴部41h内をY軸方向に摺動するだけで、これにより揺動部材40自身に変位が生ずることはない。
なお、ジンバルギア33及びセンター検出部材34は、第二の回転軸部39における基部32,32と一体固定(ここではネジ等の締結部材による締結固定)されており、第二の回転軸部39の軸線周りを揺動する。他方、ジンバルギア43及びセンター検出部材44も、回転軸部40においてX軸方向に延出したレバー保持部41のX軸方向両端からZ軸方向上側に延出する、第三の回転軸部39の基部42,42に一体固定(ここではネジ等の締結部材による締結固定)されており、第三の回転軸部39の軸線周りを揺動する。第三の回転軸部49,レバー保持部41,基部42,ジンバルギア43,基準位置検出部材44を有する形でX軸周り揺動体40が構成されている。
ところで、本実施形態の操作装置1は、既に述べたような形で可動操作部2が二次元方向の移動操作が可能となる構成されるとともに、該二次元方向の移動操作に対し操作反力を付与する操作反力付与手段50と、該操作反力付与手段50が付与する操作反力を可動操作部2に伝達する操作反力伝達手段70を備える。さらに、可動操作部2への二次元方向の移動操作の移動方向及び移動量といった操作ノブ10(可動操作部2)への操作量を検出する操作量検出手段60を備える。これら操作反力付与手段50、操作反力伝達手段70、移動検出手段60は、装置本体3の内部(ここでは下側ケース19の内部)に配置される。
操作反力伝達手段70は、ここでは揺動機構20が備えるジンバルギア33,43である。ジンバルギア33,43は、第二回動機構35と、第一回動機構30と共に一体に揺動する揺動部材40とのそれぞれと共に揺動するよう固定されている。ジンバルギア33,43の揺動中心とは逆側の自由端側にはラック部が形成され、各ラック部には、対応する回転軸部39,49周りの回転軌跡に沿って歯部33g、43gが形成されている。その揺動先端部に設けられた歯部33g、43gが、操作反力付与手段50をなすアクチュエータ(モータ)50X,50Yの回転出力軸部50Xa,50Yaに対し一体回転可能に取り付けられたギア51X,51Yに噛合する(符号51Yについては図示がないが、ギア51Xと同様に回転出力軸部50Yaに取り付けられる)。アクチュエータ50X,50Yは、これら回転出力軸部50Xa,50Yaに対し回転駆動力を与えるものであって、可動操作部2が二次元方向に移動操作されるに伴い、これらギア51X,51Y(さらには回転出力軸部50Xa,50Ya)に伝達される回転動作を妨げる、あるいは促すような操作反力を付与する。アクチュエータ50X,50Yは、制御部300により駆動制御され、位置指示画像Pの画面指示状況に応じた操作反力を回転出力軸部50Xa,50Yaに付与する。
また、回転出力軸部50Xa,50Yaには、各々の回転量を示す検出信号を出力するポテンショメータ60X,60Yが取り付けられている。可動操作部2の二次元方向の移動操作に伴い、ジンバルギア33,43は、第二回動機構35及び揺動部材40における回転軸部39,49の軸線周りを揺動し、その揺動運動が、対応する回転出力軸部50Xa,50Yaの回転運動に変換されるから、各回転出力軸部50Xa,50Yaの回転量には、ジンバルギア33,43の揺動方向及び揺動量、ひいては可動操作部の移動位置情報が反映されている。移動検出手段60は、この回転量を検出するポテンショメータ60であり、当該回転量を示す検出信号を制御部300に入力する。制御部300は、入力された検出信号から可動操作部2の変位量を算出し、これに応じて表示装置320の画面320a上に表示される位置指示画像(ポインタ)Pを移動する。即ち、制御部300は、可動操作部2の二次元操作面上における指示位置を、ジンバルギア33,43の揺動回転量に基づいて算出する指示位置検出手段として機能する。なお、ここでのポテンショメータ60は、ギア51X,51Yに内蔵されるものでもよいし(ポテンショメータギア)、アクチュエータをなすモータ50X,50Yの回転出力軸部50Xa,50Yaに対し一体回転可能に取り付けるものでもよい。
また、ポテンショメータ60X,60Yの基準位置を検出する基準位置検出手段61X,61Yも設けられている。ここでは、基準位置検出部材34,44のそれぞれの揺動軌跡を挟む形で対向する発光部と受光部とを有し、発光部から出力された光が基準位置検出部材34,44によって遮られて受光部にて非検出となるに伴い、制御部300が基準位置を認識する。
図14に示すように、制御部300は、CPU,ROM,RAM等を備えて構成され、外部記憶装置310と、決定スイッチ182から出力されるスイッチ信号を制御部300に取り込む信号入力部301と、ポテンショメータギア51X,51Yから出力される各検出信号を制御部300に取り込む信号入力部303と、制御部300から出力されるアクチュエータ駆動信号に応じて第一及び第二のアクチュエータ50X,50Yを駆動させる第一及び第二のモータドライバ302,304と、制御部300から出力される表示装置駆動信号に応じて表示装置320を駆動させるディスプレイドライバ321と接続する。
外部記憶装置310には、表示装置320の画面320a上にボタンBを表示するためのプログラムや、操作ノブ10の二次元方向の移動操作に応じて入力されるポテンショメータギア51X,51Yからの検出信号に基づいて、ポインタPの表示位置を算出するプログラム、算出されるポインタPの表示位置に基づいて、ポインタPを画面60a上において移動させるプログラム、画面表示されたボタンB上にポインタPが進入するに伴い節度感が付与されるようアクチュエータ50X,50Yを駆動制御するプログラム、画面表示されたボタンB上に位置するポインタPに対し該ボタンBからの脱出移動を妨げる引込力が付与されるようアクチュエータ50X,50Yを駆動制御するプログラム、画面表示されたボタンB上で、決定スイッチ182の操作入力があった場合に、操作入力がされたボタンBに対応する制御を実施させるプログラム等といった、ポインティングデバイスにおける周知の各種動作プログラムが含まれており、これらは制御部300により実行される。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。以下、上記実施形態とは異なる実施形態について説明する。
上記実施形態において例示した揺動機構20は、少なくとも、可動操作部が取り付けられる揺動レバーを予め定められたY軸周りに回動可能とする第一回動機構と、揺動レバーがY軸に直交するX軸回りに回動可能となるよう第一回動機構を該X軸周りに回動可能とする第二回動機構とを有し、揺動レバーが自らのレバー軸線周りに非回転となる形で支持されるものであれば、他の揺動機構を採用することもできる。
例えば、特開2003−308127に示すジンバル機構や、図15に示すような球面軸受け式のジョイスティック機構に対しても適用することができる。なお、図15の場合は、X軸側駆動リンク402においてX軸方向に形成されたレバー溝402hと、Y軸側駆動リンク401においてY軸方向に形成されたレバー溝401hの双方をZ軸方向に貫通する形で、揺動レバー421が配置されている。揺動レバー421の下端部には、平面410a,410aを有した板部410が設けられており、Y軸側駆動リンク401のレバー溝401hの溝側面401aに対して面接触させることにより、揺動レバー421のレバー軸zの回転を防止するz軸周り回転規制機構が形成されている。即ち、図15の揺動機構400では、可動操作部2が取り付けられる揺動レバー411は、Y軸側駆動リンク401によって、自身のレバー軸線z周りに非回転となる形で保持されるとともに、Y軸周りに回動可能とされる一方、揺動レバー411は、X軸側駆動リンク402によって、特にレバー軸線z周りの回転を拘束されることなく、X軸周りに回動可能とされている。この揺動レバー21の揺動先端側に、上記実施形態と同様、回転阻止部100を設ける。即ち、X軸方向延出部102がレバー軸線z方向に対しX軸方向側に延出し、なおかつ球面部101の球面中心がレバー軸線z上に位置するようにして回転阻止部100を設ける。そして、上記実施形態の可動操作部2の摺動開口部150内に、上記実施形態と同様に取り付けることにより、本発明と同様の効果を奏する操作装置を実現できる。
なお、回転阻止部100は、z軸線方向の長さを短縮することで操作装置全体をコンパクトに構成することが可能となる。例えば、上記実施形態においては、図16(a)のように構成された回転阻止部100を、図16(b)のように、球面部101のz軸方向上端を切り欠くようにしてもよいし(ここではz軸に垂直に切り欠いている:球面部101’)、図16(c)のように、球面部101のz軸方向上端だけでなく、X軸方向延出部102のz軸方向上端も切り欠くようにしてもよい(ここではz軸に垂直に切り欠いている:X軸方向延出部102’)。X軸方向延出部102のz軸方向上端のみを切り欠くようにしてもよい。