JP5134922B2 - 階段用化粧材 - Google Patents
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Description
このような床面や階段に用いられる石質材は、表面に滑りにくくするための処理が必要であること、歩行者等の荷重を繰り返し受けるものであり、ひび割れ等が生じない充分な強度が要求されることから、加工性及び必要強度に応じた充分な厚さを有するものが用いられる。
また、特許文献2には、コンクリート基材上に軽量コンクリートからなる段石を設け、その踏面には厚さが40mmの花崗岩からなる石板を、蹴上面には厚さが20mmの花崗岩からなる石板を貼り付けた階段が記載されている。
さらに、既存床面等の壊砕時には騒音や粉塵が発生し、周辺環境が悪化するとともに、多くの廃材が出るため、これらの廃棄をしなければならないという問題も生じる。
このような階段用化粧材は工場で製作することができ、現場では、階段の構成部材上に敷設し固着するだけでよく、現場作業にかかる時間の短縮化及び踏面部分の高さの調整が容易となる。
また、踏面部の石質板が金属板で補強されているので薄くすることができ、既存の階段に対して、敷設されている床材等を撤去することなく取り付けることができる。
図1は、本願発明の一実施形態である階段用化粧材の踏面部と同じ構造の石質床材を参考として示す部分斜視図及び拡大断面図である。
この石質床材1は、縦400mm、横400mm、総厚約4mmの薄い板状に形成されたものであり、縦400mm、横400mm、厚さ3mmに切削された石質板2と、この石質板2の裏面のほぼ全域にわたって貼着された厚さ1mmの連続した金属板3とから構成されている。そして、これらが0.1〜0.2mm程度の薄い接着剤4の層を介して互いに重ね合わされ、接合されている。
また、石質床材1は、総厚が4mmと薄く形成されているので、床の基礎構造であるコンクリートスラブ上にモルタル等を介して敷設することもできるし、既存の床面を除去せずに直接に床面上に貼り付けることもできるものとなっている。
このように、石質床材1の全体の厚さを約6mm以下に形成すれば、既設の床面に直接貼り付けても床面の高さを大きく変化させることがないので、階段との調整や、ドア等の開閉に支障が生じるのを回避することができる。
上記石質板2に用いる石材の種類は、耐摩耗性や防汚性に優れている御影石(花崗岩)を用いるのが望ましいが、大理石や他の天然石を用いることも可能である。また、セラミックタイルや人造大理石等の磨耗の生じにくい硬い人工石材を用いることもできる。
金属板3としては、上記のような鋼板の他に、アルミ板やステンレス板も用いることができるが、本実施の形態では、防錆性及び経済性を考慮して亜鉛メッキ鋼板を用いている。
上記亜鉛メッキ鋼板の孔3aは、亜鉛メッキ鋼板3の全体に、径を2mm〜5mm、ピッチ5mm〜30mmで形成するのが望ましい。このように均一に分布した孔3aを亜鉛メッキ鋼板3全体に開削することにより、石質板と貼り合わせるときに気泡が取り込まれるのを防止することができ、石質板と金属板との間で接着されていない部分が生じるのが回避される。また、余剰の接着剤が孔3aから排出され、石質板2と亜鉛メッキ鋼板3とを均一に貼り合わせることができる。したがって、亜鉛メッキ鋼板3と石質板2とを全域で密着させ強固に接着させることができる。
なお、金属板3の縦方向及び横方向の寸法は石質板2よりも1mm程度小さく形成するのがよい。複数の石質床材1を並べて床面に敷設するときに、石質板2の裏側に貼着した金属板3が石質板2の外側に張り出していると石質板2をぴったりと隣り合わせて敷設することができなくなり、これを防止するものである。
上記石質床材は薄く形成されているが、接着剤として硬質の材料を用いることにより、上面に荷重が作用したときの変形を抑制できる。
なお、亜鉛メッキ鋼板13、23は図1に示す石質床材で用いられているものと同じものを用いることができ、石質板の厚さも同じに設定することができる。
御影石等の石材を所定の寸法、例えば、縦400mm、横400mm、厚さ6〜7mmにダイヤモンドソー等を用いて切断し、石質板2を作成する。また、亜鉛メッキ鋼板3は、厚さ1mm、縦399mm、横399mmの鋼板に径3mm、ピッチ20mmの孔3aを均一に開削し、これに電気メッキ等の手法により亜鉛メッキをして形成する。
上記石質板2の裏面にエポキシ樹脂4を塗布し、亜鉛メッキ鋼板3を貼り付ける。亜鉛メッキ鋼板3と石質板2とを押圧することにより、亜鉛メッキ鋼板3に設けられた複数の孔3aから余剰のエポキシ樹脂4が排出され、エポキシ樹脂4はほぼ均一な厚さで石質板2と亜鉛メッキ鋼板3との間に介挿される。また、亜鉛メッキ鋼板3と石質板2との間に取り込まれた気泡が亜鉛メッキ鋼板3に設けられた複数の孔3aから解放され、気泡が残留するのが抑制される。このようにして、石質板2と亜鉛メッキ鋼板3とは強固に接着される。
なお、石質板2は薄く切削されているため、高温の火炎を表面に吹き付けたり、複数の鋼球等を打ちつけて粗面加工する方法は望ましいものではない。
研磨は、炭化珪素、酸化アルミナ、ジルコニヤアルミナ、窒化ホウ素、ダイヤモンド等の砥粒が練り混まれたナイロンフィラメントからなるディスク状の研磨ブラシを研磨材として用い、表面に沿った方向に回転させながら石質板2の表面をほぼ均一に研磨する。そして、砥粒の番数を小さいものから順次大きいものに変更して研磨を行うことにより、大きな凹凸を備えたまま光沢のある表面となる。
なお、ブラシの形状は限定されるものではないが、石質板2の面と平行に均一に回転するブラシであることが望ましい。石質板2の表面2aと接触する領域で一方向に回転するブラシ、例えば、ロール状等のブラシでは、研磨の方向が石質板の表面に残り、均一な仕上げが難しくなる。
この階段用化粧材31は、踏面に敷設される亜鉛メッキ鋼板33と、この亜鉛メッキ鋼板33上に貼着された石質板32と、踏面から蹴上面にかけて段鼻を覆うように連続して設けられ、亜鉛メッキ鋼板33に接合された段鼻部材34と、段鼻近くの亜鉛メッキ鋼板33上に貼着された黒色の床材35及び黄色の床材36と、で主要部が構成されている。
この亜鉛メッキ鋼板33の裏面には、複数の突起33aが階段の幅方向に配列して固着されており、既存の階段37の踏面に設けられた凹部37aに突き入れられるものとなっている。亜鉛メッキ鋼板33がセメントモルタル38で既存の階段37上に接着されると、この凹部37aに充填されたセメントモルタル38が上記突起33aとの隙間を埋め、既存の階段37と亜鉛メッキ鋼板33とが強固に接着され固定される。つまり、上記突起33aは、踏面に作用する水平力に対してアンカーとしての機能を有し、この階段用化粧材31が既存の階段上で水平方向へずれるように剥離するのに抵抗するものとなる。
また、コンクリート等からなる構造部材上にモルタル等を介して上記階段用化粧材を敷設する場合等で、モルタルの厚さが上記突起33aの高さより厚いときには、この突起33aをモルタル層内に埋め込めばよい。
石質板32の表面はサンドブラストにより粗面加工されるとともに、研磨ブラシで研磨されて光沢を有している。これにより、滑りにくくするのに有効な大きな凹凸を有するととともに表面粗さが低減されており、高級感を出しながら滑りにくい表面となっている。
なお、この石質板32は、一枚の亜鉛メッキ鋼板に対して連続した一枚の石質板を張り付けるものであっても良いし、いくつかに分割された石質板を貼り付けるものであっても良い。
なお、この段鼻部材34は、階段の幅方向に上記亜鉛メッキ鋼板33のほぼ全幅にわたって取り付けられる。
上記黄色の床材36は、黄色の樹脂を上記黒色の床材35の間に流し込んで形成され、上面の高さが黒色の床材35とほぼ同じとなるように板状にしたものである。したがって、黄色の床材36は亜鉛メッキ鋼板33及び黒色の床材35に強固に接着し一体化されている。
上記黒色の床材35及び黄色の床材36の表面はともに水磨きされており、石質板32及び段鼻部材34と上面高さが揃えられるとともに、防滑性を備えるものとなっている。
このように、段鼻付近の踏面には、黒色、黄色、黒色の床材が順に帯状に配置され、歩行者の注意を喚起するものとなっている。
なお、上記黒色の床材及び黄色の床材は他の材料を用いることもできるし、黒色に代えて赤色にすることもできる。また、黒色の床材及び黄色の床材を設けることなく、段鼻部材34が設けられ部分を除く踏面部の全域に石質板32を貼り付けるものであっても良い。
接着剤層は、0.2mm程度の薄い層としても良いし、1mm程度の層厚で形成しても良い。
また、既存の階段の踏面部材等を剥離したり除去することが不要となるので、省力化されるとともに、これらの作業に伴う騒音や粉塵の発生を防止することができる。さらには、剥離した床材等を処分する必要がないので廃棄物の量を減らすこともできる。
まず、所定の大きさの鋼板に一様に分布する孔を開削した後、亜鉛メッキを施す。そして、段鼻部材34及び突起33aを取り付け、所定の厚さ例えば6〜7mm程度の厚さに切削された石質板32及び黒御影石35を貼り付ける。2列の帯状に貼り付けられた黒御影石35の間には、黄色に着色された合成樹脂を流し込み硬化させる。上記石質板32、黒御影石35及び硬化した合成樹脂36は、切削、水磨き等によって段鼻部材34と高さが一致するように調整される。さらに石質板32は表面をサンドブラストにより粗面処理し、その後、前記石質床材1と同様に研磨ブラシにより研磨して、可視的な寸法の大きい凹凸を残すとともに微視的な凹凸を除去して光沢を生じさせる。これにより、踏面部は滑りにくくなるともに、汚れにくく高級感を有するものとなる。
この階段用化粧材41の亜鉛メッキ鋼板43は、踏面から蹴上面までに連続する大きさに形成されたものであり、段鼻部で曲げ加工され段差が設けられた構造部材又は既存の階段の踏面及び蹴上面に連続して貼り付けられるようになっている。そして、踏面から蹴上面にかけて、段鼻を形成するようにステンレススチールからなる段鼻部材44が亜鉛メッキ鋼板43に溶接により接合されている。
一方、上記亜鉛メッキ鋼板43の下面には、図4に示す階段用化粧材31と同様に、突起43aが設けられ、既存の階段47の凹部に突き入れられている。
なお、この階段用化粧材41では、亜鉛メッキ鋼板の全域に孔を一様に形成しても良いし、踏面に相当する部分のみにほぼ一様に孔を設けるものであっても良い。
3、13、23:金属板・亜鉛メッキ鋼板、 3a:金属板に設けられた孔、
4:接着剤、エポキシ樹脂、
31、41:階段用化粧材、 32、42:石質板、 33、43:金属板・亜鉛メッキ鋼板、 33a、43a:突起、 34、44:段鼻部材、 35、45:黒色の床材、黒御影石、 36、46:黄色の床材、合成樹脂 37、47:既存の階段、 37a:凹部、 38:セメントモルタル、 48:接着剤、 49:蹴上面の石質板
Claims (4)
- 階段に敷設される階段用化粧材であって、
踏面部に敷設される金属板と、
該金属板上に貼り付けられ、表面に防滑加工が施された石質板と、
前記金属板の踏面部上における段鼻部から蹴上げ面の少なくとも上部を連続して覆うように取り付けられ、上面が前記石質板の上面と高さが揃えられた金属製の段鼻部材と、を有し、
前記金属板の踏面部には多数の孔が一様に分布して開削されており、
階段を構成する構造部材又はこの上に形成された下地層の上にモルタル又は接着剤によって接着されるものであることを特徴とする階段用化粧材。 - 前記石質板は厚さが3mm以上5mm以下であり、
前記金属板は厚さが0.5mm以上2mm以下であり、
該金属板と前記石質板とが積層された総厚は6mm以下となるように形成されており、 前記金属板に開削された前記孔の径は、2mm以上5mm以下であり、ピッチが5mm以上30mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の階段用化粧材。 - 前記踏面部上の前記段鼻部材に隣接した領域には、前記段鼻部材と離れた領域に貼着された前記石質板とは異なる色彩の床材が前記金属板上に貼り付けられており、
前記床材は、少なくとも黄色と黒色又は黄色と赤色の床材が前記段鼻部材に沿って帯状に貼り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の階段用化粧材。 - 前記金属板の裏面に凸部が設けられ、
該凸部は、前記金属板が接着される前記構造部材又は前記下地層に設けられた凹部に突き入れられ、該凹部に充填されているモルタル又は接着剤によって固定されるものであることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の階段用化粧材。
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