JP5134922B2 - 階段用化粧材 - Google Patents

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Description

本願に係る発明は、階段の主に踏面に敷設される階段用化粧材に関する。
近年、駅構内や公共の通路等においては、高級感があって美観に優れた石貼りの床が多く採用される傾向にある。このような床構造は、コンクリートスラブ等の基盤上にモルタル等の下地材を塗り、この上に石質の床材を接着するものが多くなっている。また、階段にも踏面や蹴上面に石質材を貼り付けることが多く行われている。
このような床面や階段に用いられる石質材は、表面に滑りにくくするための処理が必要であること、歩行者等の荷重を繰り返し受けるものであり、ひび割れ等が生じない充分な強度が要求されることから、加工性及び必要強度に応じた充分な厚さを有するものが用いられる。
特許文献1には、床板石材として、縦×横×厚さが600×600×20mmのもの、400×400×15mmのもの、300×300×10mmのもの等を使用することが記載されている。
また、特許文献2には、コンクリート基材上に軽量コンクリートからなる段石を設け、その踏面には厚さが40mmの花崗岩からなる石板を、蹴上面には厚さが20mmの花崗岩からなる石板を貼り付けた階段が記載されている。
実開平6−20728号公報 実開平4−39228号公報
上記特許文献に記載されているように従来の構造で用いられる石質の床材は、一般に10mm〜40mm程度の厚さを有しており、床面等の補修や改修を行う場合には、すでに敷設されている床材を壊砕して撤去する必要がある。また、既存床材を壊砕する際に、床基盤まで傷めてしまい床基盤の修復工事も必要となる等、改修工事に多くの時間と労力を要する。特に、通行量の多い駅構内や公共の通路等では改修作業を夜間に行わざるを得ず、改修工事のコストが高くなるという問題も生じている。
さらに、既存床面等の壊砕時には騒音や粉塵が発生し、周辺環境が悪化するとともに、多くの廃材が出るため、これらの廃棄をしなければならないという問題も生じる。
このような事情から、既存の床面等を撤去せずに既存床面に直接新しい石質床材を敷設することが考慮されており、このような改修が可能になれば既存床面の撤去に伴う上記のような諸問題を解決することができる。しかしながら、既存床面を除去せずに新しい石質床材を敷設する場合、張替え後の床面の高さは、張替え前の床面よりも高くならざるを得ない。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、歩行者等により繰り返し作用する荷重に対してひび割れ等の発生が抑制される薄い石質床材の特徴を活かした階段用化粧材を提供することを目的とする。
上記のような問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、 階段に敷設される階段用化粧材であって、 踏面部に敷設される金属板と、 該金属板上に貼り付けられ、表面に防滑加工が施された石質板と、 前記金属板の踏面部上における段鼻部から蹴上げ面の少なくとも上部を連続して覆うように取り付けられ、上面が前記石質板の上面と高さが揃えられた金属製の段鼻部材と、を有し、 前記金属板の踏面部には多数の孔が一様に分布して開削されており、 階段を構成する構造部材又はこの上に形成された下地層の上にモルタル又は接着剤によって接着されるものである階段用化粧材を提供する。
この階段用化粧材は、連続した金属板上に石質板と階段の段鼻部を保護する段鼻部材とが一体に取り付けられており、階段の踏面部に容易に敷設することができる。また、衝撃や大きな荷重を受けやすい段鼻を保護することもできる。
このような階段用化粧材は工場で製作することができ、現場では、階段の構成部材上に敷設し固着するだけでよく、現場作業にかかる時間の短縮化及び踏面部分の高さの調整が容易となる。
また、踏面部の石質板が金属板で補強されているので薄くすることができ、既存の階段に対して、敷設されている床材等を撤去することなく取り付けることができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の階段用化粧材において、 前記石質板は厚さが3mm以上5mm以下であり、 前記金属板は厚さが0.5mm以上2mm以下であり、 該金属板と前記石質板とが積層された総厚は6mm以下となるように形成されており、 前記金属板に開削された前記孔の径は、2mm〜5mmであり、ピッチが5mm〜30mmであるものとする。
この階段用化粧材では、踏面部の石質板が厚さ5mm以下の薄い石質板であっても金属板によって補強されて充分な剛性を有することになる。また、石質板と金属板との間に気泡が取り込まれることなく、接着面の全域で強固に接合され、石質板のひび割れが防止される。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の階段用化粧材において、 前記踏面部上の前記段鼻部材に隣接した領域には、前記段鼻部材と離れた領域に貼着された前記石質板とは異なる色彩の床材が前記金属板上に貼り付けられており、 前記床材は、少なくとも黄色と黒色又は黄色と赤色の床材が前記段鼻部材に沿って帯状に貼り付けられているものとする。
この階段用化粧材は、踏面部の段鼻部材に隣接した部分に黄色と黒色、又は黄色と赤色等の床材が貼り付けられるので階段の段差に対する通行人の注意を促すことができる。また、これらの黄色、黒色又は赤色の床材は金属板に一体に取り付けられており、簡単に施工することができるとともに、これらの着色された床材は段鼻部材と石質板との間で保護され、充分な耐久性を有するものとなる。
請求項4に係る発明は、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の階段用化粧材において、 前記金属板の裏面に凸部が設けられ、該凸部は、前記金属板が接着される前記構造部材又は前記下地層に設けられた凹部に突き入れられ、該凹部に充填されているモルタル又は接着剤によって固定されるものとする。
この階段用化粧材は、金属板の裏面に設けられた凸部と構造部材等に設けられた凹部とによって水平方向への力に抵抗することができる。したがって、段鼻から水平方向への力が作用しても階段用化粧材の剥離を有効に防止することができる。
以上説明したように、本願発明の階段用化粧材は、石質板にひび割れ等を生じることなく総厚を薄くすることができ、既存の階段に直接貼着することができる。したがって、既存の床面等の撤去をする必要がなく、現場での補修工事や改修工事にかかる時間を短縮することができるとともに、床材等の撤去に伴う騒音やほこりの発生を低減することができる。
以下、本願に係る発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本願発明の一実施形態である階段用化粧材の踏面部と同じ構造の石質床材を参考として示す部分斜視図及び拡大断面図である。
この石質床材1は、縦400mm、横400mm、総厚約4mmの薄い板状に形成されたものであり、縦400mm、横400mm、厚さ3mmに切削された石質板2と、この石質板2の裏面のほぼ全域にわたって貼着された厚さ1mmの連続した金属板3とから構成されている。そして、これらが0.1〜0.2mm程度の薄い接着剤4の層を介して互いに重ね合わされ、接合されている。
この石質床材1は、駅の構内、地下道、商業ビル等における歩行者用の通路に敷設されるものであり、上面が床の基準面つまり駅構内や建物内で水平又は小さな排水勾配を有するように設定された面に沿って配列され、固着されるものである。
また、石質床材1は、総厚が4mmと薄く形成されているので、床の基礎構造であるコンクリートスラブ上にモルタル等を介して敷設することもできるし、既存の床面を除去せずに直接に床面上に貼り付けることもできるものとなっている。
石質床材1のサイズは、上記に限定されるものではなく、総厚を6mm以下に形成すれば敷設に適したサイズを採用することができる。例えば、縦600mm、横600mm、総厚6mmの石質床材とすることもできる。この場合は、例えば厚さが約5mmの石質板に厚さ1mmの金属板を貼着し、接着剤層を含んで総厚を6mmとすることができる。
このように、石質床材1の全体の厚さを約6mm以下に形成すれば、既設の床面に直接貼り付けても床面の高さを大きく変化させることがないので、階段との調整や、ドア等の開閉に支障が生じるのを回避することができる。
この石質板2は、図1(b)に示すように、表面2aに目視で明らかに確認できる程度の不規則な凹凸が形成されるとともに、微視的な凹凸が研磨によって低減されて、光沢を生じた状態となっている。つまり、断面における表面の形状曲線を波形と考えたときに、可視的な大きな波長の成分は多く存在する一方、表面のざらついた感触を形成する波長の短い成分が低減された状態となっている。
上記石質板2に用いる石材の種類は、耐摩耗性や防汚性に優れている御影石(花崗岩)を用いるのが望ましいが、大理石や他の天然石を用いることも可能である。また、セラミックタイルや人造大理石等の磨耗の生じにくい硬い人工石材を用いることもできる。
上記金属板3は、亜鉛メッキ鋼板が使用されており、図2に示すように、全域に均一な分布で孔3aが開削されている。
金属板3としては、上記のような鋼板の他に、アルミ板やステンレス板も用いることができるが、本実施の形態では、防錆性及び経済性を考慮して亜鉛メッキ鋼板を用いている。
上記亜鉛メッキ鋼板の孔3aは、亜鉛メッキ鋼板3の全体に、径を2mm〜5mm、ピッチ5mm〜30mmで形成するのが望ましい。このように均一に分布した孔3aを亜鉛メッキ鋼板3全体に開削することにより、石質板と貼り合わせるときに気泡が取り込まれるのを防止することができ、石質板と金属板との間で接着されていない部分が生じるのが回避される。また、余剰の接着剤が孔3aから排出され、石質板2と亜鉛メッキ鋼板3とを均一に貼り合わせることができる。したがって、亜鉛メッキ鋼板3と石質板2とを全域で密着させ強固に接着させることができる。
また、上記亜鉛メッキ鋼板3が一定以上の大きな開口率を有している場合は、亜鉛メッキ鋼板3の剛性が低下し、厚さ5mm以下に切削された石質板2を十分に補強することができなくなる。したがって、孔3aの大きさ及びピッチを適切に設定する必要がある。一方、孔の間隔が大きくなると石質板と金属板との間に気泡が取り込まれることになる。本実施の形態では、亜鉛メッキ鋼板3と石質板2とを強固に接着するとともに上記石質板2を十分に補強するために、孔3aの径を3mmとし、ピッチを20mmとしている。
なお、金属板3の縦方向及び横方向の寸法は石質板2よりも1mm程度小さく形成するのがよい。複数の石質床材1を並べて床面に敷設するときに、石質板2の裏側に貼着した金属板3が石質板2の外側に張り出していると石質板2をぴったりと隣り合わせて敷設することができなくなり、これを防止するものである。
上記接着剤4は、エポキシ樹脂系接着剤が用いられている。エポキシ樹脂は石質板2や亜鉛メッキ鋼板3に比べて弾性係数が著しく小さく弾性的に変形する。このような弾性材料で接着するとともに、接着剤4の層厚を0.5〜1.0mm程度の厚さで用いることもできる。これにより、亜鉛メッキ鋼板3の温度変化による変形を許容することができる。また、並べて敷設された石質板2の間にも接着剤を充填するのが望ましい。
このような石質床材1は、床の構造部材上又は既存の床面上に接着層としてセメントモルタル、セメントペースト又は硬質の接着剤を塗布して敷設することができる。既存の床面上に敷設する場合は、接着剤等の層厚を1mm程度とし、既存の床面との高さの差を5mm以下にするのが望ましい。
上記石質床材は薄く形成されているが、接着剤として硬質の材料を用いることにより、上面に荷重が作用したときの変形を抑制できる。
上記石質床材1は、一枚の亜鉛メッキ鋼板の全面に一枚の連続した石質板を貼り付けたものであるが、石質板は複数の部分に分割されていてもよい。つまり、図3(a)及び図3(b)に示すように、連続して形成された一枚の亜鉛メッキ鋼板13、23の上に、この亜鉛メッキ鋼板13、23よりも小さい所定の形状に切断された複数の石質板12、22を貼り付けた石質床材11、21とすることもできる。分割されたそれぞれの石質板は、材質が同じ種類のものであってもよいし、異なる種類の石質材、色の異なる石質材等を用いて模様を形成することもできる。
なお、亜鉛メッキ鋼板13、23は図1に示す石質床材で用いられているものと同じものを用いることができ、石質板の厚さも同じに設定することができる。
これらの複数の石質板12、22は亜鉛メッキ鋼板13、23上にエポキシ樹脂で貼着されるとともに、石質板12、22の間にもエポキシ樹脂が充填される。このように弾性材料が石質板12、22と亜鉛メッキ鋼板13、23との間、及び隣り合う石質板12、22の間に充填されるので石質板12、22の曲げ変形を目地部分に集中させることができる。したがって、下地に多少の不陸があってもこれに追従して貼り付けることができ、ひび割れの発生を抑えることができる。
次に、上記石質床材1の製造方法を説明する。
御影石等の石材を所定の寸法、例えば、縦400mm、横400mm、厚さ6〜7mmにダイヤモンドソー等を用いて切断し、石質板2を作成する。また、亜鉛メッキ鋼板3は、厚さ1mm、縦399mm、横399mmの鋼板に径3mm、ピッチ20mmの孔3aを均一に開削し、これに電気メッキ等の手法により亜鉛メッキをして形成する。
上記石質板2の裏面にエポキシ樹脂4を塗布し、亜鉛メッキ鋼板3を貼り付ける。亜鉛メッキ鋼板3と石質板2とを押圧することにより、亜鉛メッキ鋼板3に設けられた複数の孔3aから余剰のエポキシ樹脂4が排出され、エポキシ樹脂4はほぼ均一な厚さで石質板2と亜鉛メッキ鋼板3との間に介挿される。また、亜鉛メッキ鋼板3と石質板2との間に取り込まれた気泡が亜鉛メッキ鋼板3に設けられた複数の孔3aから解放され、気泡が残留するのが抑制される。このようにして、石質板2と亜鉛メッキ鋼板3とは強固に接着される。
その後、石質板2の表面2aを切削して6〜7mmの厚さであったものをほぼ3mmの厚さに仕上げるとともに、砂を高圧空気で打ち付けるサンドブラストにより粗面処理を行う。石質板2の構成鉱物の硬さが異なること等により、可視的な大きさの不規則な凹凸が表面に形成される。このような大きな不規則な凹凸を形成する粗面処理は、砂の他、炭化珪素・ガーネット・アルミナ等の砥粒を打ち付けるものであってもよい。
なお、石質板2は薄く切削されているため、高温の火炎を表面に吹き付けたり、複数の鋼球等を打ちつけて粗面加工する方法は望ましいものではない。
上記サンドブラストにより形成された凹凸は、微細な凹凸を含むものであり、その後、ブラシによる研磨で大きな凹凸は残したまま微細な凹凸を除去し、表面粗さの小さい滑らかな面とする。
研磨は、炭化珪素、酸化アルミナ、ジルコニヤアルミナ、窒化ホウ素、ダイヤモンド等の砥粒が練り混まれたナイロンフィラメントからなるディスク状の研磨ブラシを研磨材として用い、表面に沿った方向に回転させながら石質板2の表面をほぼ均一に研磨する。そして、砥粒の番数を小さいものから順次大きいものに変更して研磨を行うことにより、大きな凹凸を備えたまま光沢のある表面となる。
なお、ブラシの形状は限定されるものではないが、石質板2の面と平行に均一に回転するブラシであることが望ましい。石質板2の表面2aと接触する領域で一方向に回転するブラシ、例えば、ロール状等のブラシでは、研磨の方向が石質板の表面に残り、均一な仕上げが難しくなる。
上記のようにして仕上げられた石質床材1は、その表面に可視的な凹凸を有しており、水で濡れた場合にも滑りにくいものとなる。また、微小な凹凸が低減されて光沢を有するものとなっており、良好な美観を形成するととともに、汚れの付着を低減することができる。
図4は、本願発明の一実施形態である階段用化粧材31の概略断面図である。
この階段用化粧材31は、踏面に敷設される亜鉛メッキ鋼板33と、この亜鉛メッキ鋼板33上に貼着された石質板32と、踏面から蹴上面にかけて段鼻を覆うように連続して設けられ、亜鉛メッキ鋼板33に接合された段鼻部材34と、段鼻近くの亜鉛メッキ鋼板33上に貼着された黒色の床材35及び黄色の床材36と、で主要部が構成されている。
上記亜鉛メッキ鋼板33は、厚さが1mmで踏面の奥行方向には踏面とほぼ同じ寸法となっており、横方向つまり階段の幅方向には、階段の幅と同じか又は階段の幅をいくつかに分割した寸法に調整されている。そして、径2mm〜5mmの孔が5mm〜30mmの間隔で均一に開削されている。
この亜鉛メッキ鋼板33の裏面には、複数の突起33aが階段の幅方向に配列して固着されており、既存の階段37の踏面に設けられた凹部37aに突き入れられるものとなっている。亜鉛メッキ鋼板33がセメントモルタル38で既存の階段37上に接着されると、この凹部37aに充填されたセメントモルタル38が上記突起33aとの隙間を埋め、既存の階段37と亜鉛メッキ鋼板33とが強固に接着され固定される。つまり、上記突起33aは、踏面に作用する水平力に対してアンカーとしての機能を有し、この階段用化粧材31が既存の階段上で水平方向へずれるように剥離するのに抵抗するものとなる。
なお、上記突起33aが突き入れられる凹部37aは、新たに切削して設けられたものでも良いし、既存の階段の段鼻付近に滑り止めとして設けられた溝を利用するものであっても良い。
また、コンクリート等からなる構造部材上にモルタル等を介して上記階段用化粧材を敷設する場合等で、モルタルの厚さが上記突起33aの高さより厚いときには、この突起33aをモルタル層内に埋め込めばよい。
上記石質板32は、厚さが3〜4mmであり、階段の幅方向へは亜鉛メッキ鋼板33とほぼ同じサイズに形成されており、段鼻に近接した領域を除いた踏面の亜鉛メッキ鋼板33上に貼着されている。この石質板32は弾性材料であるエポキシ樹脂で亜鉛メッキ鋼板33と貼着されており、亜鉛メッキ鋼板33の温度変化による多少の伸縮を許容するものとなっている。
石質板32の表面はサンドブラストにより粗面加工されるとともに、研磨ブラシで研磨されて光沢を有している。これにより、滑りにくくするのに有効な大きな凹凸を有するととともに表面粗さが低減されており、高級感を出しながら滑りにくい表面となっている。
なお、この石質板32は、一枚の亜鉛メッキ鋼板に対して連続した一枚の石質板を張り付けるものであっても良いし、いくつかに分割された石質板を貼り付けるものであっても良い。
上記段鼻部材34は、踏面の段鼻付近から蹴上面にかけて段鼻を覆うように設けられている。この段鼻部材はステンレスからなる板材を曲げ加工したものであり、亜鉛メッキ鋼板33の段鼻に近接した部分に先端が突き当てられる立上げ部34aと、この立上げ部34aから水平方向に曲折され、上記石質板32の上面と同じ高さに調整された水平部分34bと、この水平部分34bから下方に曲げ下げられ、蹴上面37bの上部を覆う曲下げ部34cとを有するものである。そして、立ち上げ部34aの先端を亜鉛メッキ鋼板33の上面に突き当てて溶接接合するとともに、亜鉛メッキ鋼板33の先端を曲下げ部34cの内側に突き当てて溶接接合することにより、この段鼻部材34が亜鉛メッキ鋼板33に固着され、段鼻を構成するものとなっている。
なお、この段鼻部材34は、階段の幅方向に上記亜鉛メッキ鋼板33のほぼ全幅にわたって取り付けられる。
上記黒色の床材35は、踏面に貼り付けられる石質板32と同じ厚さの黒い石材、例えば黒御影石からなるもので、上記石質板32の端縁と上記段鼻部材34とに沿った2本の帯状となり、これらの間に黄色の床材36を形成する間隔を設けて貼着されている。
上記黄色の床材36は、黄色の樹脂を上記黒色の床材35の間に流し込んで形成され、上面の高さが黒色の床材35とほぼ同じとなるように板状にしたものである。したがって、黄色の床材36は亜鉛メッキ鋼板33及び黒色の床材35に強固に接着し一体化されている。
上記黒色の床材35及び黄色の床材36の表面はともに水磨きされており、石質板32及び段鼻部材34と上面高さが揃えられるとともに、防滑性を備えるものとなっている。
このように、段鼻付近の踏面には、黒色、黄色、黒色の床材が順に帯状に配置され、歩行者の注意を喚起するものとなっている。
なお、上記黒色の床材及び黄色の床材は他の材料を用いることもできるし、黒色に代えて赤色にすることもできる。また、黒色の床材及び黄色の床材を設けることなく、段鼻部材34が設けられ部分を除く踏面部の全域に石質板32を貼り付けるものであっても良い。
上記階段用化粧材の踏面部は、厚さが1mmの亜鉛メッキ鋼板33上に石質板32、段鼻部材34、黒色の床板35及び黄色の床材36が接合されて、総厚が5mmに調整される。つまり、石質板32及び黒色の床材35は、亜鉛メッキ鋼板33と接合する接着剤層(図示せず)の厚さと併せて4mmとなっている。
接着剤層は、0.2mm程度の薄い層としても良いし、1mm程度の層厚で形成しても良い。
このような階段用化粧材31は、鉄筋コンクリート等によって形成された構造部材37上にセメントモルタル38等で貼り付けることもできるし、既存の階段の踏面及び蹴上面に取り付けられた化粧材を除去せずに直接に階段に貼り付けることもできる。つまり、階段の補修や改修にあたっては、既存の階段の踏面上にセメントペースト又は接着剤を塗布し、この上に上記階段用化粧材を直接貼り付けると既存の階段の高さをほとんど変えることがないので、階段に続く床面と高さの調整が容易となる。
また、既存の階段の踏面部材等を剥離したり除去することが不要となるので、省力化されるとともに、これらの作業に伴う騒音や粉塵の発生を防止することができる。さらには、剥離した床材等を処分する必要がないので廃棄物の量を減らすこともできる。
上記階段用化粧材30は、次のように製造することができる。
まず、所定の大きさの鋼板に一様に分布する孔を開削した後、亜鉛メッキを施す。そして、段鼻部材34及び突起33aを取り付け、所定の厚さ例えば6〜7mm程度の厚さに切削された石質板32及び黒御影石35を貼り付ける。2列の帯状に貼り付けられた黒御影石35の間には、黄色に着色された合成樹脂を流し込み硬化させる。上記石質板32、黒御影石35及び硬化した合成樹脂36は、切削、水磨き等によって段鼻部材34と高さが一致するように調整される。さらに石質板32は表面をサンドブラストにより粗面処理し、その後、前記石質床材1と同様に研磨ブラシにより研磨して、可視的な寸法の大きい凹凸を残すとともに微視的な凹凸を除去して光沢を生じさせる。これにより、踏面部は滑りにくくなるともに、汚れにくく高級感を有するものとなる。
図5は、本願に係る発明の他の実施形態である階段用化粧材41の断面図である。
この階段用化粧材41の亜鉛メッキ鋼板43は、踏面から蹴上面までに連続する大きさに形成されたものであり、段鼻部で曲げ加工され段差が設けられた構造部材又は既存の階段の踏面及び蹴上面に連続して貼り付けられるようになっている。そして、踏面から蹴上面にかけて、段鼻を形成するようにステンレススチールからなる段鼻部材44が亜鉛メッキ鋼板43に溶接により接合されている。
上記亜鉛メッキ鋼板43は、図4に示す階段用化粧材31と同様に、一様に多数の孔が形成されたものであり、踏面の段鼻部材44と隣接する領域には、黒御影石45が複数列の帯状に貼り付けられ、これらの黒御影石45の間に黄色の合成樹脂46が充填されている。また、黒御影石45と黄色の合成樹脂46とが交互となった帯状部分に隣接する領域には石質板42が貼り付けられている。そして、石質板42、黒御影石45及び合成樹脂46は、段鼻部材44と高さがほぼ同じとなるように調整され、石質板42の表面は凹凸が設けられるとともに光沢が生じるように研磨されている。また、この階段用化粧材41では、上記亜鉛メッキ鋼板43の蹴上面を覆う部分にも石質板49が貼り付けられている。
一方、上記亜鉛メッキ鋼板43の下面には、図4に示す階段用化粧材31と同様に、突起43aが設けられ、既存の階段47の凹部に突き入れられている。
この階段用化粧材41も、階段の形状に形成されたコンクリートの構造部材上や既存の階段47の上にモルタル又は接着剤48によって貼り付け、階段の踏面及び蹴上面を良好な外観に仕上げることができる。
なお、この階段用化粧材41では、亜鉛メッキ鋼板の全域に孔を一様に形成しても良いし、踏面に相当する部分のみにほぼ一様に孔を設けるものであっても良い。
本願発明の一実施形態である階段用化粧材の踏面部と同じ構造の石質床材を参考として示す部分斜視図及び拡大断面図である。 図1に示す石質床材の分解斜視図である。 分割された石質板を用いた石質床材の例を示す概略斜視図である。 本願発明の一実施形態である階段用化粧材を示す概略断面図である。 本願発明の他の実施形態である階段用化粧材を示す概略断面図である。
1、11、21:石質床材、 2、12、22、:石質板、 2a:石質板の表面、
3、13、23:金属板・亜鉛メッキ鋼板、 3a:金属板に設けられた孔、
4:接着剤、エポキシ樹脂、
31、41:階段用化粧材、 32、42:石質板、 33、43:金属板・亜鉛メッキ鋼板、 33a、43a:突起、 34、44:段鼻部材、 35、45:黒色の床材、黒御影石、 36、46:黄色の床材、合成樹脂 37、47:既存の階段、 37a:凹部、 38:セメントモルタル、 48:接着剤、 49:蹴上面の石質板

Claims (4)

  1. 階段に敷設される階段用化粧材であって、
    踏面部に敷設される金属板と、
    該金属板上に貼り付けられ、表面に防滑加工が施された石質板と、
    前記金属板の踏面部上における段鼻部から蹴上げ面の少なくとも上部を連続して覆うように取り付けられ、上面が前記石質板の上面と高さが揃えられた金属製の段鼻部材と、を有し、
    前記金属板の踏面部には多数の孔が一様に分布して開削されており、
    階段を構成する構造部材又はこの上に形成された下地層の上にモルタル又は接着剤によって接着されるものであることを特徴とする階段用化粧材。
  2. 前記石質板は厚さが3mm以上5mm以下であり、
    前記金属板は厚さが0.5mm以上2mm以下であり、
    該金属板と前記石質板とが積層された総厚は6mm以下となるように形成されており、 前記金属板に開削された前記孔の径は、2mm以上5mm以下であり、ピッチが5mm以上30mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の階段用化粧材。
  3. 前記踏面部上の前記段鼻部材に隣接した領域には、前記段鼻部材と離れた領域に貼着された前記石質板とは異なる色彩の床材が前記金属板上に貼り付けられており、
    前記床材は、少なくとも黄色と黒色又は黄色と赤色の床材が前記段鼻部材に沿って帯状に貼り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の階段用化粧材。
  4. 前記金属板の裏面に凸部が設けられ、
    該凸部は、前記金属板が接着される前記構造部材又は前記下地層に設けられた凹部に突き入れられ、該凹部に充填されているモルタル又は接着剤によって固定されるものであることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の階段用化粧材。
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