JP5134261B2 - 鋼材とアルミニウム材との異材接合体 - Google Patents

鋼材とアルミニウム材との異材接合体 Download PDF

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Description

本発明は、自動車、鉄道車両などの輸送分野、機械部品、建築構造物等における鉄系材料とアルミニウム系材料との異種金属部材同士の接合体である異材接合体に関するものである。
スポット溶接は、一般には同種の金属部材同士を接合するが、例えば鉄系材料(以下、単に鋼材と言う)とアルミニウム系材料(純アルミニウムおよびアルミニウム合金を総称したもので、以下、単にアルミニウム材と言う)という異種の金属部材同士の接合体( 異材接合体) に適用することができれば、自動車車体などの軽量化等に著しく寄与することができる。即ち、インナとアウタとのパネル同士が接合された自動車車体などのパネルでは、鋼材同士の接合が主流であり、インナかアウタの、いずれか一方をアルミニウム材化できれば、パネルの軽量化を図ることができる。
しかし、鋼材とアルミニウム材とを接合する場合、接合部に脆い金属間化合物が生成しやすいために信頼性のある高強度を有する接合部( 接合強度) を得ることは非常に困難であった。したがって、従来では、これら異材接合体(異種金属部材接合体)の接合にはボルトやリベット等による接合がなされているが、接合継手の信頼性、気密性、コスト等の問題がある。
そこで、従来より、これら異材接合体のスポット溶接法について多くの検討がなされてきている。例えば、アルミニウム材と鋼材の間に、アルミニウム−鋼クラッド材をインサートする方法が提案されている(特許文献1、2参照)。また、鋼材側に融点の低い金属をめっきしたり、インサートしたりする方法が提案されている(特許文献3、4、5参照)。更に、アルミニウム材と鋼材の間に絶縁体粒子を挟む方法(特許文献6参照)や、部材に予め凹凸を付ける方法(特許文献7参照)なども提案されている。
特開平6−63763号公報 特開平7−178563号公報 特開平4−251676号公報 特開平7−24581号公報 特開平4−143083号公報 特開平5−228643号公報 特開平9−174249号公報
しかしながら、これらいずれの方法も、単なるスポット溶接ではなく、多層でのスポット溶接やめっきや加工など別の工程が必要であり、現状の溶接ラインに新たな設備を組み入れなければならない問題があり、溶接コストも高くなる。また、溶接条件が著しく限定されるなど作業上の問題も多い。
また、より重大な問題は、前記自動車車体パネルなどの鋼材側に汎用されている亜鉛めっき鋼板では、鋼材とアルミニウム材との異材接合体においては、裸の鋼板よりも、スポット溶接性が悪くなる点である。
これは、異材接合の接合部に生成する、前記脆い金属間化合物の他に、亜鉛めっき鋼板(亜鉛めっき鋼材)とアルミニウム材との異材接合では、亜鉛めっきに由来する、脆いZn-Fe 系化合物層が必然的に生成するようになるからである。このZn-Fe 系化合物層は脆いゆえに、破壊の起点となり接合強度を著しく低下させる。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、亜鉛めっき鋼板(鋼材)であっても、接合強度の高いスポット溶接をなしうる、鋼材とアルミニウム材との接合体を提供するものである。
上記目的を達成するための、本発明における鋼材とアルミニウム材との異材接合体の要旨は、板厚t1が0.3 〜2.5mm で、亜鉛めっき層の平均厚みが3 〜19μm である亜鉛めっき鋼材と、板厚t2が0.5 〜2.5mm であるアルミニウム材とをスポット溶接にて接合した異材接合体であって、この異材接合体の接合界面において、鋼材側にAl5Fe2系化合物層、アルミニウム材側にAl3Fe 系化合物層を各々有し、これら2 層のナゲット深さ方向の合計の平均厚さが0.5 〜10μm である部分の、アルミニウム材側の接合界面において平面方向に占める合計面積が、ナゲットのアルミニウム材側の接合界面において平面方向に占める面積の50% 以上の割合を占め、かつ、SEM による、前記Al5Fe2系化合物層とAl3Fe 系化合物層のナゲット深さ方向のこれら2 層の合計の平均厚さが0.5 〜10μm である接合界面部分の断面観察において、これら2 層中に各々含まれるZn-Fe 系化合物層の断面方向に占める合計面積が、これら2 層の合計の平均厚さが0.5 〜10μm である部分の断面方向に占める面積の10% 以下の割合であることとする。
ここで、より接合強度を高くするために、上記要旨に加えて、前記ナゲットのアルミニウム材側の接合界面における平均径が7mm 以上であり、このナゲットと接する接合界面におけるZn層の平面方向に占める合計面積が、ナゲットのアルミニウム材側の接合界面において平面方向に占める面積の30% 以下であることが好ましい。
また、同様に、異材接合部における前記アルミニウム材側の最小残存板厚が元のアルミニウム材板厚の50% 以上であることが好ましい。
更に、同様に、前記鋼材とアルミニウム材との板厚比t1/t2が1 以上であることが好ましい。
鋼材同士やアルミニウム材同士など、同種の材料同士を、高い接合強度にてスポット溶接するには、一般的に、ナゲットの形成を促進すればよく、ナゲット面積が大きいほど剪断強度および十字引張強度ともに高くなることが知られている。
また、ナゲット面積はスポット溶接の際の入熱量と関係があり、電流量が高いほど、時間が長いほど大きくなるため、一般には、スポット溶接の際の入熱量にてナゲット径を制御することによって、接合強度の高い接合体を得る。もちろんナゲット面積が大きくなりすぎると、被溶接材料の表面まで溶融が達してチリができるため、適正なナゲット面積を得ることが重要となる。
しかしながら、鋼材とアルミニウム材との異材を接合する場合、鋼材はアルミニウム材と比較して、融点、電気抵抗が高く、熱伝導率が小さいため、鋼側の発熱が大きくなり、まず低融点のアルミニウムが溶融する。次に鋼材の表面が溶融し、結果として、接合界面(溶接界面)にて、Al-Fe 系の脆い金属間化合物層が形成する。
鋼材とアルミニウム材とのスポット接合で形成する金属間化合物は大きく二層に分かれ、鋼材側にAl5Fe2系化合物(後述する表2等で定義する金属間化合物Al5Fe2の意味)、アルミニウム材側にAl3Fe 系化合物(後述する表2等で定義する金属間化合物Al3Fe の意味)が形成することが知られている。それらの金属間化合物は大変脆いため、従来より、高い接合強度は得られないとされている。
これに加えて、亜鉛めっき鋼板(亜鉛めっき鋼材)とアルミニウム材とのスポット接合では、前記した通り、亜鉛めっきに由来するZn-Fe 系化合物(後述する表2等で定義する金属間化合物Fe3Zn7の意味)層が生成し、上記化合物層中に必然的に含まれるようになる。このZn-Fe 系化合物層は脆いために、破壊の起点となり接合強度を著しく低下させる。
したがって、特に、亜鉛めっき鋼材とアルミニウム材との異材をスポット溶接にて接合する場合、高い接合強度を得るためには、ある程度のナゲット径を形成する高い入熱量を加えることは必要であるが、それにも増して、接合界面(溶接界面)での界面反応層の厚さ・構造を制御することが非常に重要となる。
特に、亜鉛めっき鋼材とアルミニウム材とのスポット溶接による異材接合強度に及ぼす界面反応層の厚さを詳細に調査した結果、界面反応層の挙動は、従来の薄い程良いとする知見とは、大きく異なることを知見した。即ち、界面反応層を構成する、鋼材側のAl5Fe2系化合物層とアルミニウム材側のAl3Fe 系化合物層との、厚みや面積の関係を最適範囲に制御すれば、例え界面反応層がこれら二層の金属間化合物から構成されていたとしても、接合強度が実用的なレベルまで高まることを知見した。
また、亜鉛めっき鋼材とアルミニウム材とのスポット溶接による異材接合では、一方では、亜鉛めっきに由来して生成する、特有の脆いZn-Fe 系化合物層は、これを抑制し、接合強度を高める。
これらによって、亜鉛めっき鋼板(亜鉛めっき鋼材)であっても、アルミニウム材との異材接合性乃至スポット溶接性が向上する。このため、多数連続打点のスポット溶接の際にも、異材接合体の、十分な継手強度あるいは接合強度が得られる。また、打点毎の電極の鋼材とアルミニウム材との接触状態が安定し、電極寿命が著しく向上し、多数連続打点の効率の良いスポット溶接が保証される。
また、前記従来技術のような、他の材料を新たに用いることなく、また、新たな工程を必要とすることなく、亜鉛めっき鋼板(亜鉛めっき鋼材)とアルミニウム材との、接合強度の高い、スポット溶接による異材接合をなしうる効果も有する。
(異材接合体)
図1に本発明で規定する異材接合体 (接合部) を断面図で示す。図1において、3が亜鉛めっき鋼材( 亜鉛めっき鋼板) 1とアルミニウム材( アルミニウム合金板) 2とをスポット溶接にて接合した異材接合体である。4は鋼材1表面の亜鉛めっき皮膜乃至酸化皮膜である。
接合部中央の5は、スポット溶接における接合界面 (界面反応層) 6を有するナゲットで、図中に水平方向に矢印で示すナゲット径を有する。また、このナゲット5は、S で表されるアルミニウム材側の接合界面において平面方向 (図の左右方向) に占める面積 (以下、単にナゲット面積S と言う) を有する。
t1は亜鉛めっき鋼材の板厚、t2はアルミニウム材2の板厚、Δt はスポット溶接による接合後のアルミニウム材の最小残存板厚を示す。9 はナゲット周囲のコロナボンド部である。
なお、この図1は、ナゲット径を確保しつつ、チリの発生を抑制してアルミニウム材の最小残存板厚を保持し、さらに鋼材の溶融を最小限に抑えた接合状態を示しており、本発明の接合体もこの図のような接合状態となる。
以下に、本発明の各要件の限定理由と、その作用について説明する。
(亜鉛めっき鋼材の板厚)
本発明では、接合する亜鉛めっき鋼材の板厚t1は、0.3 〜2.5mm の範囲から、アルミニウム材側の板厚に応じて、比較的厚い板厚を選択することが必要である。単一の鋼材の板厚を厚くするか、あるいは鋼材同士を直接重ね合わるなどして、鋼材1 側の板厚を厚くすることによって、スポット溶接条件における電流値或いは通電時間を増さずとも、鋼材の抵抗発熱による入熱が増大する。更に、ナゲットの半径方向の入熱分布も変わり、これらの複合効果によって、アルミニウム材2 の残存板厚Δt の減少を防ぎながら、ナゲット端部の側の温度増大も起こりやすくなる。このため、ナゲット5 と接する接合界面部 (コロナボンド部)9の、亜鉛めっき由来のZn層10の溶融排出が効果的に行なわれる。この結果、亜鉛めっきに由来して生成する特有の脆いZn-Fe 系化合物層が抑制され、また、残存Zn層10の割合も低下する。このため、鋼材1 とアルミニウム材2 との直接接合領域が増大し、接合強度が高まる。
また、鋼材の板厚t1が0.3mm 未満の場合、前記した構造部材や構造材料として必要な強度や剛性を確保できず不適正である。また、それに加えて、スポット溶接による加圧によって、鋼材の変形が大きく、酸化皮膜が容易に破壊されるため、アルミニウムとの反応が促進される。その結果、金属間化合物が形成しやすくなる。一方、2.5mm を越える場合は、前記した構造部材や構造材料としては、他の接合手段が採用されるため、スポット溶接を行って接合する必要性が少ない。このため、鋼材の板厚t1を2.5mm を超えて厚くする必要性はない。
(鋼材とアルミニウム材との板厚比)
ここで、より接合強度を高くするために、図1 における、鋼材1 とアルミニウム材2 との板厚比t1/t2が1 以上であることが好ましい。鋼材1 側の板厚を厚くすることによって、スポット溶接条件における入熱量を増さずとも、鋼材の抵抗発熱による入熱が増大する。更に、ナゲットの半径方向の入熱分布も変わり、前記した通り、これらの複合効果によって、鋼材1 とアルミニウム材2 との直接接合領域が増大し、これによって、本発明の好ましい条件である、ナゲット5 と接する接合界面部における、Zn層10の合計面積S4が、ナゲット5 の面積S の30% 以下であることが保証される。この結果、接合強度を高めることができる。
これに対して、図1 における、鋼材1 とアルミニウム材2 との板厚比t1/t2が1 未満の場合、残存Zn層10の割合を低下させ、鋼材1 とアルミニウム材2 との直接接合領域を増大させるためには、スポット溶接条件における入熱量を増す必要がある。これによって、残存Zn層10の割合を低下させることができても、アルミニウム材残存板厚Δt の減少を防ぐことはできない。この結果、アルミニウム材残存板厚Δt が顕著に減少して、それに伴って、接合強度が低下する。
この点、異材接合部におけるアルミニウム材側の最小残存板厚Δt が、元のアルミニウム材板厚t2の50% 以上であることが好ましい。
(亜鉛めっき鋼材)
本発明では、亜鉛めっき層の平均厚みが3 〜19μm である、両面、あるいは片面の亜鉛めっき鋼材を接合体の対象とする。なお、片面の亜鉛めっき鋼材の場合に、スポット溶接による接合側に亜鉛めっきされていない面が部分的にきてもよい。本発明では、亜鉛めっき層厚みがこれより薄い、あるいは亜鉛めっき層が無い鋼材は対象とはしない。
(亜鉛めっき層)
鋼材の亜鉛めっき層自体は、溶融めっき、電気めっきを問わず、また、亜鉛めっきでも、鉄との合金めっきでも良い。ただ、亜鉛めっき層の平均厚みは3 〜19μm とする。亜鉛めっき層の平均厚みが3 μm 未満では、亜鉛めっき層自体の防食などの効果が発揮できず、裸の鋼材と大差なくなり、意味が無い。また、亜鉛めっき層の平均厚みが19μm を越えた場合には、亜鉛めっきに由来して生成する脆いZn-Fe 系化合物層やZn層の生成を抑制できず、これら面積を本発明規定範囲内におさえることが難しくなる。この結果、接合強度が弱くなる。
(鋼材の引張強度)
本発明においては、使用する鋼材の形状や材料を特に限定するものではなく、構造部材に汎用される、あるいは構造部材用途から選択される、鋼板、鋼形材、鋼管などの適宜の形状、材料が使用可能である。ただ、構造部材用に、高強度な鋼材が要求される場合には、鋼材の引張強度が400MPa以上である高張力鋼材を用いることが好ましい。
低強度鋼では一般に低合金鋼が多く、酸化皮膜がほぼ鉄酸化物であるため、FeとAlの拡散が容易となり、脆い金属間化合物が形成しやすい。このためにも引張強度が400MPa以上、望ましくは500MPa以上であることが好ましい。
本発明では、鋼材の成分を限定するものではないが、上記鋼材の強度を得るためには高張力鋼(ハイテン)であることが好ましい。また、鋼の成分的には、焼き入れ性を高め、析出硬化させるために、C の他に、Cr、Mo、Nb、V 、Tiなどを選択的に含有する鋼も適用できる。Cr、Mo、Nbは焼き入れ性を高めて強度を向上させ、V、Tiは析出硬化によって強度を向上させる。しかしながら、これら元素の多量の添加は、溶接部周辺の靭性を低下させ、ナゲット割れが生じやすくなる。
このため、鋼の成分として、基本的には、質量% で、C :0.05〜0.5%、Mn:0.1〜2.5%、Si:0.001〜1.5%を含み、更に、Cr:0 〜1%、Mo:0 〜0.4%、Nb:0 〜0.1%、V :0 〜0.1%、Ti:0 〜0.1%の一種または二種以上を、必要により選択的に含有させることが好ましい。そして、これら鋼材の残部組成は、Feおよび不可避的不純物からなることが好ましい。
(アルミニウム材)
本発明で用いるアルミニウム材は、その合金の種類や形状を特に限定するものではなく、各構造用部材としての要求特性に応じて、汎用されている板材、形材、鍛造材、鋳造材などが適宜選択される。ただ、アルミニウム材の強度についても、上記鋼材の場合と同様に、スポット溶接時の加圧による変形を抑えるために高い方が望ましい。この点、アルミニウム合金の中でも強度が高く、この種構造用部材として汎用されている、A5000 系、A6000 系などの使用が最適である。
ただ、本発明で使用するこれらアルミニウム材の板厚t2は0.5 〜2.5mm の範囲とする。アルミニウム材の板厚t2が0.5mm 未満の場合、構造材料としての強度が不足して不適切であるのに加え、ナゲット径が得られず、アルミニウム材料表面まで溶融が達しやすくチリができやすいため、高い接合強度が得られない。一方、アルミニウム材の板厚t2が2.5mm を越える場合は、前記した鋼材の板厚の場合と 同様に、構造部材や構造材料としては他の接合手段が採用されるため、スポット溶接を行って接合する必要性が少ない。このため、アルミニウム材の板厚t2を2.5mm を超えて厚くする必要性はない。
(界面反応層における化合物)
以上の鋼材とアルミニウム材との異材接合体を前提とした上で、本発明では、スポット溶接後の異材接合体における (図1の接合界面6における) 金属間化合物を規定する。
本発明で規定する金属間化合物を、異材接合体接合部のナゲット中心における接合界面6 の断面を、各々図2 、3 、4 に示す。図2 は、図3 の接合界面6 の5000倍のSEM 写真を模式化した図である。なお、図4 は同じ接合界面6 の5000倍のTEM 写真である。図3 、4 は後述する実施例における表4の発明例8 である。
これらの図に各々示すように、接合界面6では、鋼材側に層状のAl5Fe2系化合物層、アルミニウム材側にはくさび状(あるいは棒状または針状)のAl3Fe 系化合物層を各々有する。
(本発明の化合物層規定)
図1 、2 に基づいて説明すると、本発明における化合物層規定の要旨は、前記した亜鉛めっき層や板厚などの前提条件を有する異材接合体3 の接合界面6 に、先ず、鋼材1 側にAl5Fe2系化合物層、アルミニウム材2 側にAl3Fe 系化合物層を各々有する (生成させる) 。
(化合物層の厚さ)
図2 において、これら接合界面における2 層の化合物の層のナゲット深さ方向 (接合界面断面方向、図の上下方向) の合計の平均厚さl は、鋼材1 側のAl5Fe2系化合物層の各測定ポイントにおけるナゲット深さ方向の平均厚さl2と、アルミニウム材2 側のAl3Fe 系化合物層の各測定ポイントにおけるナゲット深さ方向の平均厚さl1との合計である。
(化合物層部分の面積規定- 平面方向)
ここで、先ず、図1 を用いて、本発明における平面方向のナゲット面積と、接合界面において一定厚みを有する化合物層部分の面積規定の説明を行なう。図1 に示すように、鋼材1 側のAl5Fe2系化合物層とアルミニウム材2 側のAl3Fe 系化合物層との平均厚さl(l1+l2) が0.5 〜10μm である化合物層部分の、アルミニウム材2 側の接合界面において平面方向に占める合計面積をS1(mm2) と規定する。後述する図6 、7 に示すように、ナゲット5 のアルミニウム2 材側の接合界面において平面方向に占めるナゲット面積をS(mm2)とすると、この一定厚みを有する接合界面化合物層部分の、アルミニウム材2 側の接合界面において平面方向に占める合計面積S1の、ナゲット面積S に対する、面積割合が求められる。本発明では、この合計面積S1が、ナゲット面積S の50% 以上の割合を占めるものと規定する。
(化合物層部分の面積規定- 断面方向)
更に、図2 、4 を用いて、本発明における、特にZn-Fe 系化合物層の断面方向の面積規定の説明を行なう。図2 、4 は、5000倍のSEM による、前記Al5Fe2系化合物層とAl3Fe 系化合物層の合計の平均厚さl が0.5 〜10μm である接合界面部分の断面観察結果を部分的に示している。
ここにおいて、これら前記Al5Fe2系化合物層とAl3Fe 系化合物層の2 層中に各々含まれる (生成した) 、Zn-Fe 系化合物層の断面方向( 図の上下方向) に占める合計面積をS3 (μm2) とする。また、これら2 層の合計の平均厚さが0.5 〜10μm である化合物層部分の断面方向に占める面積をS2 (μm2) とする。本発明では、このZn-Fe 系化合物層の合計面積S3の、これら3 層の化合物層の特定厚さ部分の断面方向に占める面積S2+S3の10% 以下の割合であることと規定する。
(Zn 層)
次ぎに、Zn層につき説明すると、Zn層は、鋼材表面における亜鉛めっき層の残存分である。このため、Zn層が残存する場合には、図1 に示すように、ナゲット端部 (周縁部) の接合界面6 に存在する。このZn層はその周縁部に存在する比較的厚い亜鉛めっき層と同等の厚みか、それよりも薄い厚みとなっている。このZn層が接合界面6 に残存すると (残存していると) 、その部分は、鋼材1 とアルミニウム材2 とが直接接合していないことを意味する。このため、本発明では、ナゲットと接する接合界面6 におけるZn層10の平面方向に占める合計面積S4 (mm2)が、前記したナゲットの平面方向に占める面積S(mm2)の30% 以下であることと規定する。このZn層10の平面方向に占める合計面積S4は、後述するナゲット面積S などと同様に、アルミニウム材2 側の接合界面において平面方向に占める面積である。
(Al3Fe 系化合物層)
本発明では、接合強度を高めるためには、図2 における、アルミニウム材2 側のAl3Fe 系化合物層のナゲット中心部における、ナゲット深さ方向の平均厚さl1を0.5 〜10μm の範囲とすることが好ましい。
Al3Fe 系化合物は、アルミニウム材2 側に形成される金属間化合物Al3Fe で、図2 、3 、4 の通り、くさび状の形状に形成される。中央部 (ナゲット中心部) では、個々の化合物粒のサイズ (またはくさび状、針状化合物粒の長さ) が大きく、ナゲットの端部 (図2 、3 、4 の左右方向) に向かうにつれ、徐々に厚み (粒、針のサイズと分布) が減少する。
このようなAl3Fe 系化合物は、上記形状による効果も含めて、くさび (アンカー) 効果があり、アルミニウム材2 とAl5Fe2系化合物層との密着性を向上させ、接合強度を高める。この効果は、Al3Fe 系化合物層が薄過ぎては発揮されない。特にl1が0.20μm 未満では、上記くさび効果が不十分で、Al5Fe2系化合物層との密着性が悪く、層間の破断が生じやすいし、平滑な界面で破断する可能性がある。このため、アルミニウム材2 側のAl3Fe 系化合物層のナゲット中心部における、ナゲット深さ方向の平均厚さl1を0.20μm 以上とすることが好ましい。
一方、Al3Fe 系化合物層が成長しすぎて、層を厚く形成し過ぎると、却って、個々の化合物粒が破壊の起点となる。特に、l1が10μm を超えた場合には、この傾向が顕著となる。このため、Al3Fe 系化合物層のナゲット中心部における、ナゲット深さ方向の平均厚さl1の上限は10μm 以下とすることが好ましい。
(Al5Fe2系化合物層)
本発明では、接合強度を更に高めるために、鋼材1 側の金属間化合物Al5Fe2である、Al5Fe2系化合物層の、ナゲット深さ方向の平均厚さl2も0.20〜5 μm の範囲であることが好ましい。このAl5Fe2系化合物層も、ナゲットの端部 (図2 、3 、4 の左右方向) に向かうにつれ、徐々に厚み (粒、針のサイズと分布) が減少する。このAl5Fe2系化合物層の平均厚さl2が、この範囲より薄過ぎても、また厚過ぎても接合強度を低下させる可能性があり、その理由は、上記したアルミニウム材2 側のAl3Fe 系化合物層の場合と同様である。
(両化合物層の面積)
図2 において、以上説明した、Al3Fe 系化合物層のナゲット深さ方向の平均厚さl1と、Al5Fe2系化合物層のナゲット深さ方向の平均厚さl2との合計平均厚さl がナゲット深さ方向のこれら2 層の合計の平均厚さである。
本発明では、接合強度を高めるために、この合計平均厚さl が0.5 〜10μm である部分の前記面積S1(アルミニウム材2 側の接合界面において平面方向に占める面積S1)を、図6 に示す通り、大きくする。即ち、ナゲット面積S(アルミニウム材2 側の接合界面において平面方向に占める面積S 、図1 に記載) の50% 以上であると規定する。
即ち、Al3Fe 系化合物層とAl5Fe2系化合物層との特定厚み部分の接合部界面における平面方向の面積S1は、大きい方が接合強度が高くなる。この面積S1が図7 に示す通り小さく、ナゲット面積S の50% 未満では、同一強度である場合、ナゲット面積S が大きいほど、接合部の破断荷重 (接合強度) は低下する可能性が高い。一方、ナゲット面積S が小さい場合には、接合部は同じくより低い荷重にて破断しやすくなる。
上記Al3Fe 系化合物層とAl5Fe2系化合物層との面積S1が図6 に示す通り大きい場合、接合力の高い接合部 (接合界面) 面積が十分に大きいため、より大きな破断荷重となる。その結果、接合界面がアルミ基材よりも十分に破断荷重が高いため、界面破断せずアルミニウム材側が破断するようになる。
上記した最適厚さの界面反応層の面積規定は、接合強度の観点からではあるが、アルミニウム材側の化合物層と鋼材側の化合物層とを最適範囲に制御するものである。このため、本発明が指向する方向としては、薄い程良いという従来の常識とは異なり、むしろ積極的に存在させる方向である。そして、接合強度向上のために、最適厚さ範囲の界面反応層を大面積形成する、言い換えると広範囲に存在させるという技術思想に基づく。
(Zn-Fe系化合物)
また、本発明では、一方で、化合物乃至化合物層としては不純物であり、接合強度を阻害するために、金属間化合物であるZn-Fe 系化合物を規制する。具体的には、これらAl3Fe 系化合物層とAl5Fe2系化合物層との2 層中に各々含まれる (生成する)Zn-Fe系化合物を規制する。
図2 に示したように、Al5Fe2系化合物層とAl3Fe 系化合物層の2 層中に各々含まれる (生成した) 、Zn-Fe 系化合物層の断面方向( 図の上下方向) に占める合計面積S3とする。また、これら2 層の合計の平均厚さが0.5 〜10μm である化合物層部分の断面方向に占める面積をS2とする。本発明では、このZn-Fe 系化合物層の合計面積S3の、前記2 層の化合物層の特定厚さ部分の断面方向に占める面積S2の10% 以下の割合であることと規定する。
脆いZn-Fe 系化合物層の合計の面積S3が、前記した面積S2とこのS3との合計、S2+S3の10% を越えた場合には、接合部の接合強度が著しく低下する。なお、Zn-Fe 系化合物はFe-Zn 系化合物とも言う。
(Zn 層の面積)
更に、本発明では、好ましい条件として、前記した通り、ナゲットと接する接合界面6 におけるZn層10の平面方向に占める合計面積S4が、前記したナゲットの平面方向に占める面積S の30% 以下であることと規定する。
Zn層は、前記した通り、鋼材表面における亜鉛めっき層の残存分であり、Zn層が図1 に示すように、ナゲット端部 (周縁部) の接合界面6 に残存する場合には、その部分では、鋼材1 とアルミニウム材2 とが直接接合していないことを意味する。この脆いZn層の合計面積S4が、上記観察される平面方向のナゲット面積S の30% を越えた場合には、接合部の接合強度が著しく低下する可能性が高い。
ナゲットと接する接合界面6 におけるZn層10の平面方向に占める合計面積S4の測定は、Zn層10の存在する各部位における断面方向の200 倍の光学顕微鏡での観察結果から、図1 と図6 とに示すように、Zn層10が、ナゲットと接する接合界面6 にナゲットの円周方向に対称的に存在すると仮定して測定できる。
(接合強度と破断形態)
本発明の場合に、接合強度が高い場合、接合界面は破断せず、接合部がプラグ状に破断(Al3Fe 系化合物層が存在する範囲より外側にて、アルミニウム材が内部にて板厚方向に破断)する。言い換えると、このような接合部の破断形態は、本発明の接合強度の高さを表している。
一方、従来のように接合強度が低い場合、接合界面で破断し、Al5Fe2系化合物層とAl3Fe 系化合物層との間あるいはどちらかの化合物層内部にて破断する。言い換えると、このような接合部の破断形態は、接合強度の低さを表している。
(金属間化合物の特定方法)
本発明における、Al3Fe 系化合物層やAl5Fe2系化合物層の特定は、接合部の断面をHAADF-STEM像(5000倍〜1 万倍)にてEDX (Energy Dispersive X-ray spectroscopy)点分析による半定量分析を実施して同定される。言い換えると、以下に説明するHAADF-STEM法を用いて、接合部界面を測定しない限り、本発明で規定する金属間化合物の識別や、金属間化合物層の厚さや面積の正確な測定は難しいとも言える。
これら金属間化合物同士の区別 (識別) は、上記半定量分析において、接合部界面の複数の (できるだけ多くの) 測定点の組成を測定し、Fe、Al、Zn(at% )を百分率とした際の組成により行なう。即ち、表2に示す通り、「Al5Fe2系化合物」の組成は、Fe量が24.0〜29.0at% 、Al量が70.0〜74.0at% の範囲とする。「Al3Fe 系化合物」の組成は、Fe量が18.0〜24.0at% 、Al量が74.5〜81.0at% の範囲とする。更に、Zn-Fe 系化合物の組成は、代表的なFe3Zn7の組成とし、Fe量が31.0〜40.0at% で、Zn量が60.0〜69.0at% の範囲とする。
ここで、上記各界面反応層の組成の判断(識別)基準は以下の通りである。即ち、「Al5Fe2系化合物」や「Al3Fe 系化合物」は、EDX 点分析によって、FeとAlとがともに10質量% 以上検出される層とした。言い換えると、FeとAlとがともに10質量% 未満である層は、本発明で特定する界面反応層とはしなかった。
また、Zn-Fe 系化合物は、同じくEDX 点分析によって、Feが27.7質量% 以上検出され、かつZnが72.3質量% 以下検出される層とした。Znが検出されても、Feが27.7質量% 以上検出されない層は、元々存在するZnめっき層、あるいはZn層10と判別し、界面反応層とはしなかった。
Zn-Fe 系化合物の組成は、代表的なFe3Zn7[ Fe27.7〜36.3質量%(Fe31.0〜40.0at% )]のみの組成とし、Znめっき層に含まれる、その他の相とは区別した。その他の相とは、ζ相[FeZn13: Fe5.8〜6.2 質量%(Fe6.7 〜7.2at% )] 、δ1 相[FeZn7: Fe7.3 〜11.3質量%(Fe8.5 〜13.0at% )]、Γ1 相[Fe5Zn21:Fe16.2 〜20.8質量%(Fe18.5〜23.5at% )]、Γ相[Fe3Zn10: Fe21.2〜27.7質量%(Fe24.0〜31.0at% )]である。31.0at%)) である(Zn メッキ層の組成に関する出展:社団法人日本鉄鋼協会編集、第138 、139 回西山記念講座「表面処理技術の進歩と今後の動向」p.15.(平成3 年5 月1 日発行) 参照) 。
また、界面反応層の相として、Al5Fe2、Al3Fe 、Fe3Zn7が認められているが、組成は必ずしも化学両論組成で構成されておらず、ある程度の組成幅を持っている。それに関しては、TEM による電子線回折による結晶構造から相を同定し、それぞれの相に関してEDX にてFe、Al、Si、Mn、Zn元素の測定を行った。その結果、実際には、Al5Fe2、Al3Fe 相に関しては化学両論組成よりもFeの割合が少ない側、Fe3Zn7相に関しては化学両論組成よりもFeの割合が多い側に相の組成がずれていることが判明した。これらの結果を基に、Fe、Al、Znの割合が表2に示す範囲を満たすものをそれぞれの反応層の相と判定した。
なお、上記HAADF-STEM法(High Angle Annular Dark Field-Scanning Transmission Electron Microscope)は、高角側に散乱された弾性散乱電子を円環状検出器で集めて像信号を得る手法である。HAADF−STEM像は回折コントラストの影響をほとんど受けず、コントラストは原子番号(Z)のほぼ2乗に比例するという特徴があり、得られた像がそのまま組成情報をもつ2次元マップとなる。微量元素も感度良く検出できるため、接合界面の微細構造解析に有効である。
より具体的には、接合体のナゲット中央部にて切断し、断面が観察できるよう樹脂に埋め込んで鏡面研磨を行ったものを、SEM にて界面反応層の各化合物層の平均厚さを概略測定する。その後、ナゲット中心部及びAl5Fe2系化合物と目される層の存在境界より内側の部分、Al3Fe 系化合物と目される層の存在境界の内外の部分、各化合物と目される層の深さ方向長さが上限を上回ると目される箇所の内外の部分を日立製作所製集束イオンビ−ム加工装置(FB-2000A)を用いてTEM観察可能な厚さまでFIB加工を施すことにより試料を薄くし、観察・分析用試料として供する。
そして、HAADF 検出器を備えたJEOL製電界放射型透過電子顕微鏡(JEM-2010F )を用い、加速電圧200kV にて、視野100 μm の範囲(5000倍〜 1万倍)で観察し、各粒、異相について全てEDX 点分析を行い、Al3Fe 系化合物層や、Al5Fe2系化合物層の同定を行う。
図2 におけるAl3Fe 系化合物の深さ方向の厚さ(長さ)l1は、得られた視野100μmのHAADF-STEM像より、全てのAl3Fe 系化合物と同定された粒・針の深さ方向の長さを測定し、平均化した。
図2 におけるAl5Fe2系化合物層の深さ方向の厚さ(長さ)l2は、同像より、厚さを5点測定し、平均した。以上の測定を、観察・分析用試料全てについて実施した。
(金属間化合物平面方向面積の測定方法)
これらの測定により、Al3Fe 系化合物層やAl5Fe2系化合物層の2 層のナゲット深さ方向の合計の平均厚さl が0.5 〜10μm である部分の、アルミニウム材側の接合界面において平面方向に占める合計面積S1を求めた。また、アルミニウム材側の接合界面において平面方向に占めるナゲット面積S も同様に求めた。即ち、図6 、7 に示すように、これらの層がナゲット円周方向に対称であると仮定して、断面での半径方向の存在位置から、同心円と仮定して平面方向の面積を計算した。更に、Zn層10の平面方向の合計面積S4も同様な計算方法とした。即ち、前記図1 に示すように、Zn層10が存在する場合には、ナゲットの円周 (周縁) に沿って存在する。このため、Zn層10の存在を確認した場合には、Zn層10がナゲット円周方向に対称であると仮定して、断面での半径方向の存在位置から、同心円と仮定して平面方向の面積を計算した。
(金属間化合物断面方向面積の測定方法)
このようにしてEDX 点分析で同定、測定された、Al3Fe 系化合物層やAl5Fe2系化合物層の2 層のナゲット深さ方向の合計の平均厚さl が0.5 〜10μm である部分の断面方向の合計面積S2、上記2 層中に各々含まれるZn-Fe 系化合物層の断面方向の合計面積S3、などの測定は、同定された接合界面の部位を前記SEM 観察、2000倍〜10000 倍 (平均厚さl が1 μm 以上の場合は2000倍、平均厚さl が1 μm 未満の場合は2000倍) の倍率でのSEM 観察を行い求めた。具体的には、ナゲット半径中心部より、半径方向に500 μmの各位置において、視野の幅100 μmで各反応層の断面方向の面積を測定し、その計測を反応層が存在する位置までナゲット半径方向に行い、それらを合計して求めた。
なお、これらの結果を、同じく、2000倍〜10000 倍の倍率でのTEM 観察を行い検証しても良い。例えば、図3 に示す接合界面の5000倍のSEM 写真、図4 に示す同じ接合界面の5000倍のTEM 写真で、点線で示す部分が接合界面であるが、この接合界面はTEM 写真の方が目視的には判別しやすい。
(ナゲットの大きさ)
図1 におけるスポット溶接部のナゲット5 のアルミニウム材側の接合界面における平均径t は、接合強度を確保するために、7mm 以上であることが好ましい。言い換えると、ナゲット5 の平均径が7mm 以上となるようにスポット溶接条件を選定することが好ましい。
ナゲット5 の平均径が7mm 未満では、ナゲット面積が小さ過ぎ、接合強度が不十分となる可能性が高い。一方、ナゲット5 の平均径は好ましくは12mm以下とする。ナゲット5 の平均径が12mmを越えると、接合強度を得るのには十分であるが、チリが発生しやすく、アルミニウム材の減肉量が多いため、逆に接合強度が低下する。
従来から、同種の金属材料をスポット溶接する際には、金属材料の厚みt に対して、スポット溶接部におけるナゲット5 の面積を20×t0.5mm2 程度とすることが強度的にも作業性からみても、経済性からみても最適であるとされている。
しかし、本発明では、異種金属材料同士の接合について、これよりも、上記同種の金属材料よりも大きなナゲット面積とする。スポット溶接部におけるナゲット5 の平均径が7mm 以上となるようにスポット接合することで、十分な接合強度が得られ、さらに作業性、経済性ともに優れる。
(ナゲット面積の測定)
本発明におけるナゲット5 のアルミニウム材2 側の接合界面において平面方向に占める面積S や、ナゲット5 の断面方向に占める面積S5、ナゲット平均径 (アルミニウム材2 側の接合界面において平面方向に占める径) の測定は、例えば200 倍の光学顕微鏡での観察により測定可能である。即ち、接合界面にて剥離もしくは切断により分断したアルミニウム材側のナゲットを複数のサンプル画像解析して測定し、その平均を求める。この際、観察面は、ナゲット中心を中心とする断面にて行なう。ナゲット形状が略円形状の場合は、接合部を切断して断面より光学顕微鏡にて観察し、形成しているナゲットのアルミニウム材側接合界面における径を、複数のサンプルにて測定し、その平均を求めても良い。その場合、少なくとも直交した2方向のナゲット径を測定する。
(アルミニウム材の減肉量)
接合強度を確保する意味で、スポット溶接による接合後のアルミニウム材の減肉量できるだけ小さくすることが望ましい。この目安として、最小残存板厚Δt が元厚t2の50% 以上であることが望ましい。より望ましくは最小残存板厚Δt が元厚t2の90% 以上であることが良い。このアルミニウム材の最小残存板厚Δt は、接合断面より200 倍の光学顕微鏡にて観察し、板厚減肉長さを測定して、元の板厚との差を取って求めることができる。
(スポット溶接)
図8 に異材接合体を得るためのスポット溶接の一態様を例示する。図8 において、1は鋼板、2はアルミニウム合金板、3は異材接合体、5はナゲット、7と8は電極である。
以下に、本発明異材接合体を得るためのスポット溶接の各条件を説明する。
(加圧力)
スポット溶接時の加圧力については、上記比較的大きなナゲット必要面積と、上記最適界面反応層の必要面積を得るために、また、前記本発明で規定する最適範囲内とするためには、比較的高い加圧力を印加することが必要である。
具体的には、接合部全体の板厚t(図1 のt1+t2) との関係で、1 ×t0.5 kN 〜2.5 ×t0.5kNの比較的高い加圧力の範囲から選択する。但し、この比較的高い加圧力の範囲内でも、素材や他の溶接条件によって上記化合物の出来方は異なり、必ず前記本発明で規定する最適範囲内となるは限らない。このため、素材や他の溶接条件に応じて、前記比較的高い加圧力の範囲から、前記本発明で規定する最適範囲内となる最適加圧力を選択することが必要である。
一方、上記範囲の比較的大きな加圧力を印加することで、電極チップなどの形状によらず、異種材料間、電極と材料間の電気的接触を安定化し、ナゲット内の溶融金属をナゲット周辺の未溶融部で支え、上記比較的大きなナゲット必要面積と、上記最適界面反応層の必要面積を得ることができる。また、チリの発生を抑制することができる。
加圧力が1 ×t0.5 kN 未満では、加圧力が低過ぎ、このような効果を得られない。特に、R が先端にあるチップでは、接触面積が低下し、ナゲット面積の低下、電流密度の増加(=界面反応層の増大)につながるため、接合強度が低下する。また、Al3Fe 系化合物層の平均厚さl1、Al5Fe2系化合物層の平均厚さl2、そして、これら2 層の合計の平均厚さl などが得られない可能性が高い。
一方、加圧力を増加するとナゲット面積が小さくなる傾向にあり、加圧力が2.5 ×t0.5kNを超えた場合、所望のナゲット面積を得ようとすると、下記最適電流を超える電流が必要となり、チリの発生や界面反応層の成長をもたらすため、接合強度が低くなる。また、アルミニウム材の変形が大きく、接合跡が大きな凹部となるため、外観上望ましくない。
(電流)
上記比較的大きなナゲット必要面積と、上記最適界面反応層の必要面積を得るためには、スポット溶接時の電流の制御を行ない、比較的高い電流を短時間流すことが必要である。
具体的には、前記接合部の鋼材全体の板厚t1 (図1 のt1、但し2 枚以上鋼材が積層されている場合にはその鋼材全体の板厚) との関係で、12×t1 0.5 〜35×t1 0.5kA の比較的高い電流を、320 ×t1 0.5msec 以下の短時間流すことが必要である。但し、この比較的高い電流や時間の範囲内でも、素材や他の溶接条件によって上記化合物の出来方は異なり、必ず前記本発明で規定する最適範囲内となるは限らない。このため、素材や他の溶接条件に応じて、前記比較的高い電流や時間の範囲から、前記本発明で規定する最適範囲内となる最適電流や時間を選択することが必要である。
また、このような比較的高い電流を短時間流すことで、異種材料間、電極と材料間の電気的接触を安定化し、ナゲット内の溶融金属をナゲット周辺の未溶融部で支え、上記比較的大きなナゲット必要面積と、上記最適界面反応層の必要面積を得ることができる。また、チリの発生を抑制することができる。
12×t1 0.5kA 未満、厳しくは15×t1 0.5kA 未満の低電流の場合、ナゲットが形成、成長するのに十分な入熱量が得られない。このため、上記比較的大きなナゲット必要面積と、上記最適界面反応層の必要面積を得ることができない。また、Al3Fe 系化合物とAl19Fe4Si2Mn系化合物との層の平均厚さl1、Al5Fe2系化合物層のナゲット中心±0.1mmの範囲内におけるナゲット深さ方向の平均厚さl2、などが得られない可能性が高い。
一方、35×t1 0.5kA を超える高い電流の場合には、余分な設備がかかり、作業・コスト面で不利となる。このため、これらの点からは電流を35×t1 0.5kA 以下とする。したがって、使用電流は12×t1 0.5 〜35×t1 0.5kA 、好ましくは15×t1 0.5 〜35×t1 0.5kA の範囲とする。
(通電時間)
通電時間は、前記鋼材全体の板厚t1との関係で、320 ×t1 0.5msec 以下の比較的短時間とする。通電時間が320 ×t1 0.5msec を超える長時間の場合、ナゲット径は確保できるが、チリの発生や界面反応層の成長をもたらすため、接合強度が低くなる。上記のように、界面反応層を制御するには、通電時間が320 ×t1 0.5msec 以下、好ましくは100 ×t1 0.5msec 〜280 ×t1 0.5msec とする。但し、前記した通り、素材や他の溶接条件に応じて、前記電流との関係で、前記本発明で規定する化合物制御が最適範囲内となる最適時間を選択することが必要である。
(2段通電)
接合界面の反応層を、本発明で規定する化合物層のようにするためには、通常の1 段の通電では無く、2 段通電あるいは2 段階スポット溶接で行なうことが好ましい。このように、スポット溶接の通電を2 段階とし、特に 2段目の通電値を1 段目の通電値よりも低くすることによって、鋼材表面の亜鉛めっき層を飛ばして (除去して) 、鋼材とアルミニウム材とを直接接合しやすくなる。
また、本発明化合物層規定の化合物層がより得やすくなる。即ち、異材接合体の接合界面に、鋼材側にAl5Fe2系化合物層、アルミニウム材側にAl3Fe 系化合物層が各々生成しやすい。また、これら2 層の特定厚さ部分の面積S1が、ナゲット面積S の50% 以上となりやすい。更に、これら2 層中に各々含まれるZn-Fe 系化合物層の面積S3が、断面方向の化合物面積S2+S3の10% 以下に抑制されやすい。また、ナゲットと接する接合界面部におけるZn層の合計面積S4も、ナゲット面積の30% 以下に抑制されやすい。
スポット溶接の通電を、この2 段階とする場合にも、前記した、2 段目の通電値を1 段目の通電値よりも低くする以外は、1 段目と2 段目とも加圧力は同じとし、かつ加圧力、電流値、合計通電時間は、前記した好ましい範囲内とすることが好ましい。これによって、スポット溶接の効率を阻害しないで異材接合することができる。
(電極形状)
スポット溶接の電極チップの形状は、上記ナゲット面積と界面反応層を得られるのであれば、何れの形状でも良いし、鋼材側、アルミニウム材側の電極チップが異なる形状でも異なるサイズでも構わない。但し、鋼材側、アルミニウム材側の両側共に、図2 に示すような、先端がR となった「ドーム型」の電極チップが望ましい。このようなドーム型の場合、電極チップの先端径、先端R は、上記電流密度低下とナゲット面積増加を両立するためには、7mm φ以上で、100mmR以上である必要がある。また、極性についても規定するものではないが、直流スポット溶接を用いる場合は、アルミニウム材側を陽極とし、鋼材側を陰極とする方が望ましい。
なお、特に先端径が7mm φ以上で、かつ先端R が120mmR以上の電極チップを双方に用いることで、上記電流密度低下とナゲット面積増加を最適に両立させることができる。このチップを用いた場合、前記鋼材板厚t1との関係で、1.5 ×t1 0.5 kN〜2.5 ×t1 0.5 kNの加圧力を印加し、かつ15×t1 0.5 〜35×t1 0.5kA の電流を320 ×t1 0.5msec 以下流すことが好ましい。
最適接合条件は、以上説明したこれら各条件のバランスにあり、例えばチップ径やチップR、加圧力の増加して、電流密度を低下した場合は、それに伴って電流量を増加して、界面反応層を最適厚さに制御する必要がある。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより、下記実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
異材接合体を表3、5、7に示す各条件にて製作した。これら製作した各接合体につき、各化合物の面積割合を前記した測定方法にて測定し、接合強度、アルミニウム材の減肉量(最小残存板厚)を評価した。これらのまとめとして、表3の条件でのスポット溶接による接合結果を表4に、表5の条件でのスポット溶接による接合結果を表6に、表7の条件でのスポット溶接による接合結果を表8に、各々示す。
(鋼材条件)
表1に示す化学成分(質量%)を含有する4 種類の供試鋼を溶製し、0.8 〜1.2mm の板厚となるまで圧延を行い、薄鋼板を得た。この薄鋼板を、連続焼鈍によって500 〜1000℃の焼鈍後、油洗または水洗を行い、その後焼き戻しにより表1に示す4 種類の各強度(MPa) の鋼板を得た。
(アルミニウム材条件)
また、アルミニウム材については、全て共通して、板厚1.0mm の市販のA6022 アルミニウム合金板(Al-0.6 質量%-1.0 質量%Si-0.08質量%Mn-0.17質量%Fe)を用いた。
(スポット溶接条件)
これら鋼板 (鋼材) とアルミニウム合金板 (アルミニウム材) とをJIS A 3137記載の十字引張試験片形状に加工した上で、表2に示す条件でスポット溶接を行い、異材接合体を作成した。
スポット溶接には、直流抵抗溶接試験機を用い、予め加圧力、溶接電流、時間など条件と、前記本発明で規定する化合物の平均厚みや面積の制御との相関関係を調査した。その上で、アルミニウム材の板厚t2に合わせて、加圧力、溶接電流、時間を各々設定し、各表で示す条件にて、一点の溶接を行った。
加圧力、溶接電流、通電時間は、用いた下記電極チップとの関係で、前記段落0105に記載した各好ましい範囲内で、変化させた。
そして、スポット溶接の通電を2 段階とする場合には、2 段目の通電値を1 段目の通電値よりも低くする以外は、1 段目と2 段目とも加圧力は同じとし、かつ加圧力、電流値、合計通電時間は、前記した好ましい範囲内とした。
電極チップは全てCu-Cr 合金からなる12mmφのドーム型で、電極先端の曲率を150mmRとし、陽極をアルミニウム材、陰極を鋼材とした。
ナゲット径、アルミニウム最小残存板厚、Znめっき層残存割合の測定は、スポット溶接後のサンプルを溶接部の中央にて切断し、樹脂に埋め込み、研磨、化学エッチングを施し、200 倍の光学顕微鏡での観察を行った。
界面反応層の厚さ測定は、上記と同様の断面サンプルを用いて、前記した測定方法にて各々行った。
(接合強度の評価)
各接合体の接合強度の評価としては、異材接合体の十字引張試験を実施した。十字引張試験は、A6022 材同士の接合強度=1.0kN を基準にして、接合強度が1.5kN 以上または破断形態がアルミ母材破断であれば◎、接合強度が1.0 〜1.5kN であれば○、接合強度が0.5 〜1.0kN であれば△、接合強度が0.5kN 未満であれば×とした。
なお、本実施例にて強度の評価に、十字引張試験を用いたのは、この十字引張試験の方が、剪断引張試験よりも、試験条件間での差異が大きかったためである。但し、剪断引張試験も発明例から幾つか選択して行なってみた結果では、この十字引張試験結果と合致しており、十字引張試験にて○、◎の評価を得たものは、いずれも2.5kN 以上の高い剪断強度であった。
表4 、6 、8 のスポット溶接による接合結果において、各発明例は、一定厚みを有する接合界面化合物層部分の平面方向に占める合計面積S1のナゲット面積S に対する面積割合が50% 以上である。また、一定厚みを有する接合界面化合物層部分の断面方向に占める面積S2に対する、Zn-Fe 系化合物層と他の2 層の合計面積S2+S3の割合が10% 以下である。更に、好ましい条件として、ナゲットと接する接合界面におけるZn層の平面方向に占める合計面積S4が、ナゲット面積S の30% 以下であり、ナゲット平均径が7.0mm 以上である。
この結果、各発明例は、表4 、6 、8 に示す通り、異材接合体の高い接合強度が得られている。そして、発明例の中でも、一定厚みを有する接合界面化合物層部分がより多いか、Zn-Fe 系化合物層部分がより少ない例ほど、異材接合体の接合強度が高い。また、好ましい条件である、ナゲット平均径が大きいほど、Zn層の平面方向に占める合計面積S4が少ないほど、異材接合体の接合強度が高い。
一方、表4 、6 、8 のスポット溶接による接合結果において、各比較例は、平面方向に占める合計面積S1のナゲット面積S に対する面積割合が50% 未満か、一定厚みを有する接合界面化合物層部分の断面方向に占める面積S2に対する、Zn-Fe 系化合物層と他の2 層の合計面積S2+S3の割合が10% を越えている。即ち、一定厚みを有する接合界面化合物層部分が少な過ぎるか、Zn-Fe 系化合物層部分が多過ぎる。このため、各対応する発明例に比して、異材接合体の接合強度が著しく低い。
ここで、表4 における発明例8 と比較例7 との接合界面組織の具体的な比較を行う。図3 、4 が発明例8 の接合界面組織であり、図3 は接合界面の5000倍のSEM 写真。図4 は同じ接合界面の5000倍のTEM 写真である。図3 、4 から分かる通り、発明例8 の接合界面組織には、鋼材側にAl5Fe2系化合物層、アルミニウム材側にAl3Fe 系化合物層を各々有していることが分かる。
一方、図9 に、比較例7 の接合界面組織であり、接合界面の5000倍のTEM 写真を示す。図9 から分かる通り、比較例7 の接合界面組織は、アルミニウム材側にAl3Fe 系化合物層を各々有しているものの、鋼材側には、Al5Fe2系化合物層が存在しないことが分かる。
図5 に、これら発明例8 と比較例7 との、Al3Fe 系化合物層とAl5Fe2系化合物層との2 層の合計の平均厚さの、ナゲット中心部からの距離による分布を示す。図5 において、これら2 層の合計の平均厚さl が0.5 〜10μm である部分は二つの点線の範囲内で示される。
黒三角で示す発明例8 は、平均厚さが厚過ぎるナゲット中心部を除いて、ナゲット中心部からの距離が4000μm の部分まで、その平均厚さl が0.5 〜10μm である部分が延在している。これを、アルミニウム材側の接合界面において平面的に示すと、図6 のようになる。即ち、発明例8 は、ナゲットのアルミニウム材側の接合界面において平面方向に占める面積S に対する面積割合が80% であり、ナゲット中心部とナゲット周縁部だけを除いて、殆どナゲット (面積S)に近似 (重複) している。
これに対して、発明例8 の下方の黒丸で示す比較例7 は、その平均厚さl が0.5 〜10μm である部分は、ナゲット中心部からの距離が2000μm の部分までである。これを、アルミニウム材側の接合界面において平面的に示すと、図7 のようになる。即ち、比較例7 は、ナゲットのアルミニウム材側の接合界面において平面方向に占める面積S に対する面積割合が36% であり、ナゲット中心部とその周辺部だけがナゲット (面積S)と重複しているのみである。
したがって、以上の実施例から、異材接合体の高い接合強度を得るための、本発明における接合界面での界面反応層の厚さ、構造規定の臨界的な意義が裏付けられる。
Figure 0005134261
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本発明によれば、クラッド材などの他材料を入れることなく、また別工程を入れることなく、更に、鋼材側やアルミニウム材側、あるいはスポット溶接側条件を大きく変えることなく、接合強度の高いスポット溶接をなしうる、鋼材とアルミニウム材との異材接合体を提供できる。このような接合体は、自動車、鉄道車両などの輸送分野、機械部品、建築構造物等における各種構造部材として大変有用に適用できる。したがって、本発明は鋼材とアルミニウムとの異材接合体の用途を大きく拡大するものである。
本発明異材接合体の接合部界面を示す断面図である。 本発明異材接合体の接合部界面の断面組織(図3)を拡大模式化した説明図である。 本発明異材接合体の接合部界面の断面組織を示す図面代用SEM 写真である。 本発明異材接合体の接合部界面の断面組織を示す図面代用TEM 写真である。 本発明異材接合体の接合部界面反応層の厚み分布を示す説明図である。 本発明異材接合体の接合部界面反応層の平面方向の一定厚みの分布を示す説明図である。 比較例異材接合体の接合部界面反応層の平面方向の一定厚みの分布を示す説明図である。 異材接合体を得るためのスポット溶接の態様を示す説明図である。 比較例異材接合体の接合部界面の断面組織を示す図面代用TEM 写真である。
符号の説明
1:鋼板、2:アルミニウム合金板、3:異材接合体、4:酸化皮膜、
5:ナゲット、6:界面反応層、7、8:電極

Claims (4)

  1. 板厚t1が0.3 〜2.5mm で、亜鉛めっき層の平均厚みが3 〜19μm である亜鉛めっき鋼材と、板厚t2が0.5 〜2.5mm であるアルミニウム材とをスポット溶接にて接合した異材接合体であって、この異材接合体の接合界面において、鋼材側にAl5Fe2系化合物層、アルミニウム材側にAl3Fe 系化合物層を各々有し、これら2 層のナゲット深さ方向の合計の平均厚さが0.5 〜10μm である部分の、アルミニウム材側の接合界面において平面方向に占める合計面積が、ナゲットのアルミニウム材側の接合界面において平面方向に占める面積の50% 以上の割合を占め、かつ、SEM による、前記Al5Fe2系化合物層とAl3Fe 系化合物層のナゲット深さ方向のこれら2 層の合計の平均厚さが0.5 〜10μm である接合界面部分の断面観察において、これら2 層中に各々含まれるZn-Fe 系化合物層の断面方向に占める合計面積が、これら2 層の合計の平均厚さが0.5 〜10μm である部分の断面方向に占める面積とZn-Fe 系化合物層の断面方向に占める合計面積との合計の10% 以下の割合であることを特徴とする鋼材とアルミニウム材との異材接合体。
  2. 前記ナゲットのアルミニウム材側の接合界面における平均径が7mm 以上であり、このナゲットと接する接合界面におけるZn層の平面方向に占める合計面積が、ナゲットのアルミニウム材側の接合界面において平面方向に占める面積の30% 以下である請求項1に記載の鋼材とアルミニウム材との異材接合体。
  3. 異材接合部における前記アルミニウム材側の最小残存板厚が元のアルミニウム材板厚の50% 以上である前記請求項1または2に記載の鋼材とアルミニウム材との異材接合体。
  4. 前記鋼材とアルミニウム材との板厚比t1/t2が1 以上である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の鋼材とアルミニウム材との異材接合体。
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