JP4427591B2 - 異材接合用鋼材、異材接合体および異材接合方法 - Google Patents

異材接合用鋼材、異材接合体および異材接合方法 Download PDF

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Description

本発明は、高い接合強度を得ることができる、アルミニウム合金材との異材接合用鋼材、鋼材とアルミニウム合金材とを溶接接合した異材接合体および異材接合方法に関する。
近年、排気ガス等による地球環境問題に対して、自動車などの輸送機の車体の軽量化による燃費の向上が追求されている。また、この軽量化をできるだけ阻害せずに、自動車の車体衝突時の安全性を高めることも追求されている。このため、特に、自動車の車体構造に対し、従来から使用されている鋼材に代わって、より軽量で、エネルギー吸収性にも優れたアルミニウム合金材の適用が増加しつつある。ここで言う、アルミニウム合金材とは、アルミニウム合金の圧延板材、押出材、鍛造材などの総称である。
例えば、自動車のフード、フェンダー、ドア、ルーフ、トランクリッドなどのパネル構造体の、アウタパネル (外板) やインナパネル(内板) 等のパネルには、Al−Mg−Si系のAA乃至JIS6000系 (以下、単に6000系と言う) やAl−Mg系のAA乃至JIS5000系 (以下、単に5000系と言う) などのアルミニウム合金板の使用が検討されている。
また、自動車の車体衝突の安全性を確保するための、バンパ補強材(バンパリインフォースメント、バンパアマチャアとも言う)やドア補強材(ドアガードバー、ドアビームとも言う)などのエネルギー吸収部材あるいは補強材としては、Al−Zn−Mg系のAA乃至JIS7000系 (以下、単に7000系と言う) や前記6000系合金などの、アルミニウム合金押出形材が使用されている。更に、サスペンションアームなどの自動車の足回り部品には、前記6000系合金のアルミニウム合金鍛造材が使用されている。
これらのアルミニウム合金材は、オールアルミニウムの自動車車体で無い限り、通常の自動車の車体では、必然的に、元々汎用されている鋼板や型鋼などの鋼材(鋼部材)と接合して用いられる。したがって、自動車の車体にアルミニウム合金材を使用する場合(鋼材とアルミニウム合金材とを組み合わせた部材)には、これも必然的に、Fe-Al の異材接合(鉄ーアルミの異種金属部材同士の接合)の必要性がある。
しかし、このFe-Al 異材接合を溶接により行う際の問題点として、互いの接合界面における、高硬度で非常に脆いFeとAlとの金属間化合物層(以下、反応層とも言う)の生成がある。このため、見かけ上互いに接合されてはいても、本化合物層の生成が原因となって、溶接によるFe-Al 異材接合では、異材接合体に、十分な接合強度が得られないことが多い。
これを反映して、従来から、これら異材接合体(異種金属部材同士の接合体)の接合には、溶接だけでなく、ボルトやリベット等、あるいは接着剤を併用した接合がなされているが、接合作業の煩雑さや接合コスト上昇等の問題がある。
そこで、従来より、Fe-Al 異材接合の溶接法につき、通常の自動車の車体の接合に汎用されている、効率的なスポット溶接による接合が検討されている。例えば、アルミニウム材と鋼材の間に、アルミニウム−鋼クラッド材をインサートする方法が提案されている。また、鋼材側に融点の低い金属をめっきしたり、インサートしたりする方法が提案されている。更に、アルミニウム材と鋼材の間に絶縁体粒子を挟む方法や、部材に予め凹凸を付ける方法なども提案されている。更に、アルミニウム材の不均一な酸化膜を除去した後、大気中で加熱して均一な酸化膜を形成し、アルミニウム表面の接触抵抗が高められた状態で、アルミニウム−鋼の2層の複層鋼板をインサート材に用いてスポット溶接する方法も提案されている。
一方、鋼材側でも、鋼板の高強度化のために、Si、Mn、Alなどの酸化物を形成しやすい元素を添加すると、母材表面には、これらSi、Mn、Alなどを含む酸化物が生成することが公知である。そして、これらSi、Mn、Alなどを含む酸化物が、亜鉛めっきなどの表面被覆と鋼板との密着性を阻害することも知られている。更に一方では、鋼板を酸洗などして、これらSi、Mn、Alなどを含む酸化物層の厚みを0.05〜1 μm の範囲とすれば、亜鉛めっきなどの表面被覆と鋼板との密着性および鋼板同士のスポット溶接性が向上されることも知られている(特許文献1参照)。
しかし、これらの従来技術では、通常の自動車の車体の接合に汎用されている、効率的なスポット溶接による接合条件では、溶接接合されたFe-Al の異材接合体に、十分な接合強度が得られない。言い換えると、接合強度を得るためのスポット溶接条件が煩雑にならざるを得ず、現実的では無い。
これに対して、特に、自動車車体用として汎用される、6000系アルミニウム合金材などと、引張強度が450MPa以上の高強度鋼板(ハイテン材)との、異材接合体のスポット溶接を意図した技術も種々提案されている。
例えば、特許文献2、3では、板厚を3mm以下に制限した鋼材とアルミニウム合金材とを、鋼材を2枚以上重ね合わせるか、鋼材をアルミニウム合金材間に挟み込んだ形でスポット溶接することが提案されている。特許文献4では、スポット溶接部におけるナゲット面積や界面反応層の厚さを規定して接合強度を向上させることが提案されている。また、特許文献5、6では、溶接界面における、鋼材側とアルミニウム合金材側の、各生成化合物の組成や厚み、面積などを各々細かく規定して、接合強度を向上させることが提案されている。
更に、特許文献7では、特定組成の高強度鋼板において、鋼板表面上の既存の酸化物層を一旦除去した上で新たに生成させた外部酸化物層を、特定割合のMn、Si組成の酸化物とし、更に、この鋼材の鋼生地表面からの深さが10μm以下の鋼領域に存在する、Mn、Siを合計量で1at%以上含む内部酸化物の占める割合を規定して、適切なスポット溶接条件下において、異材接合体の高い接合強度を得ることが提案されている。この特許文献7では、新たに生成させたSi、Mnなどを含む外部酸化物層と、鋼生地表面直下の内部酸化物層とによって、スポット溶接時のFe、Alの拡散を抑えて、接合界面における、Al−Fe系の脆い金属間化合物層の過剰生成を抑制するものである。因みに、特許文献7では、溶接手法に限定はなく、実施例1としてスポット溶接、実施例2としてレーザ溶接、実施例3としてMIG溶接による異材接合を各々行い、異材接合体を製作している。
特開2002−294487号公報 特開2007−144473号公報 特開2007−283313号公報 特開2006−167801号公報 特開2006−289452号公報 特開2007−260777号公報 特開2006−336070号公報
これら特許文献2〜7は、共通して、アルミニウム合金材と高強度鋼板との異材接合体のスポット溶接を意図し、適用条件などの制約が少なく汎用性に優れ、接合部での脆弱な金属間化合物生成を抑制して、接合強度を向上させることを目的としている。
しかし、これら特許文献2〜7でも、アルミニウム合金材と高強度鋼板との異材接合体のスポット溶接に関しては、未だ接合強度などの向上の点で、改良の余地がある。特に特許文献7は、鋼材表面に新たに生成させたSi、Mnなどを含む外部酸化物層と、鋼材の生地表面直下の内部酸化物層とによって、スポット溶接時のFe、Alの拡散を抑えて、接合界面における、Al−Fe系の脆い金属間化合物層の過剰生成を抑制する点で有効である。しかし、この異材接合体の十字引張試験片により測定された剥離強度は高くても2kN未満であり、2kN以上の接合強度を得るためには未だ改良の余地がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、スポット溶接の適用条件などの制約が少なく、汎用性に優れると共に、接合部に脆弱な金属間化合物などが生成して接合の信頼性を阻害することがなく、高い接合強度を有する接合部を得ることのできる、異材接合用鋼材、異材接合体および異材接合方法を提供することにある。
(異材接合用鋼材の要旨)
この目的を達成するための本発明鋼材の要旨は、5000系または7000系アルミニウム合金材との異材接合用鋼材であって、この鋼材の組成を、質量%で、C:0.01〜0.30%、Si:0.1〜3.00%、Mn:0.1〜3.00%を各々含有するとともに、P:0.10%以下(0%を含む)、S:0.05%以下(0%を含む)、N:300ppm以下(0%を含む)に各々規制し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるものとし、この鋼材表面上に存在する、Mn、Siを合計量で1at%以上含む外部酸化物の占める割合が、鋼生地と外部酸化物層との界面の水平方向の長さ1μmに対して占めるこの酸化物の合計長さの平均割合として、80〜100%としたことである。
(異材接合体の要旨)
上記目的を達成するための本発明異材接合体の要旨は、上記要旨の異材接合用鋼材とアルミニウム合金材との異材接合体であって、上記アルミニウム合金材が、質量%でMg:1.0%以上を含む5000系または7000系アルミニウム合金からなり、異材接合体の前記アルミニウム合金材側の接合界面におけるFeの含有量が2.0質量%以下であるとともに、上記接合界面にFeとAlとの反応層が形成されていること異材接合異材接合異材接合である。
(異材接合方法の要旨)
上記目的を達成するための本発明異材接合方法の要旨は、鋼材とアルミニウム合金材との異材接合方法であって、請求項1に記載の鋼材と、質量%でMg:1.0%以上を含む5000系または7000系アルミニウム合金からなるアルミニウム合金材とをスポット溶接またはフリクションスポット接合(摩擦攪拌接合)することである。
(外部酸化物層の構成)
ここで、本発明における、上記外部酸化物層における、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物以外の残部は、Mn、Siの含有量が合計量で1at%未満である酸化物と空隙であり、本発明における外部酸化物層は、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物、Mn、Siの含有量が合計量で1at%未満である酸化物、空隙とから構成される。
(本発明の好ましい態様)
前記異材接合体がスポット溶接されたものであり、スポット溶接箇所毎の条件として、前記鋼材とアルミニウム合金材との接合界面に形成された前記FeとAlとの反応層のナゲット深さ方向の平均厚みが0.1〜3μmの範囲であるとともに、前記FeとAlとの反応層の形成範囲が、スポット溶接面積の70%以上の面積であることが好ましい。また、前記異材接合体の十字引張試験片により測定された剥離強度が2kN以上であることが好ましい。また、前記異材接合体が自動車の車体構造用であることが好ましい。また、前記スポット溶接箇所毎の条件として、電極間加圧力2.0〜3.0kNにて、10〜35kAの電極間電流を、接合されるアルミニウム合金材部分の厚みtmmとの関係で、200×tmsec以下の時間通電することが好ましい。また、前記鋼材とアルミニウム合金材との接合箇所毎の条件として、電極間加圧力2.0〜3.0kNにて、10〜35kAの電極間電流を、溶接されるアルミニウム合金材部分の厚みtmmとの関係で、200×tmsec以下の時間通電することにより、鋼材とアルミニウム合金材とをスポット溶接することが好ましい。
本発明は、鋼材の生地表面のMn、Siを含む外部酸化物層によって、スポット溶接時のFe、Alの拡散を抑えて、接合界面のAl−Fe系の脆い金属間化合物層の過剰生成を抑制する点では、前記特許文献7と同じである。ただ、前記特許文献7と大きく異なる点は、鋼材の前記外部酸化物層をより破壊されにくい組成とするとともに、アルミニウム合金材側を、前記鋼材表面上に存在する外部酸化物層を還元する機能を有する元素として、Mgを多く含む合金種である5000系あるいは7000系のアルミニウム合金としたことである。
アルミニウム合金材と鋼材との異材接合体のスポット溶接では、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するような条件にて溶接する。このような場合には、外部酸化物層の組成によって、スポット溶接時のFe、Alの拡散が大きく左右される。即ち、接合するアルミニウム合金材の合金組成(種類)によって、この外部酸化物層の適正な組成条件は異なり、外部酸化物層の組成と、接合するアルミニウム合金材の合金組成との組み合わせ(相性)を適正化することによって初めて、スポット溶接時のFe、Alの拡散が効果的に抑制できる。そして、接合界面における、Al−Fe系の脆い反応層(金属間化合物層)の過剰生成を抑制する効果がより高くなる。
これに対して、前記特許文献7では、6000系アルミニウム合金材を実施例としているものの、溶接手法や、溶接されるアルミニウム合金材と鋼材との材料の組み合わせに限定がない。言い換えると、前記特許文献7は、溶接手法や、溶接されるアルミニウム合金材と鋼材との材料の組み合わせが異なっても、同じ外部酸化物層の条件[後述する図1(b)の条件]によって、接合しようとしている。この結果、特許文献7で規定する外部酸化物層の条件では、特に、5000系および7000系アルミニウム合金材と鋼材とのスポット溶接での異材接合体の場合に、後述する通り、この外部酸化物層の組成と、接合するアルミニウム合金材の合金組成との相性(組み合わせ)が悪くなる。このために、特許文献7では、その実施例の通り、6000系アルミニウム合金材であっても、鋼材とのスポット溶接での異材接合体の、十字引張試験片により測定された剥離強度が、高くても2kN未満と低くならざるを得ない。これに対して、接合するアルミニウム合金材の合金組成と、外部酸化物層の組成とを適正に[後述する図1(c)の条件に]制御すれば、アルミニウム合金材と鋼材との異材接合体のスポット溶接に関しては、2kN以上の高い接合強度が得られる。
但し、異材接合体からの条件、あるいは鋼材の製造条件や、使用する鋼材の制約などの諸条件によっては、鋼材側の外部酸化物層と内部酸化物層との組成バランスを適正に[後述する図1(c)の条件に]できない場合もある。また、このように適正化できた鋼材を使用できない場合もある。これらのような場合を含めて、実際の異材接合の場面では、鋼材側を、前記特許文献7のような外部酸化物層よりも、更に破壊されにくい組成[後述する図1(a)の条件]によって、接合せざるを得ない必要性も生じる。本発明は、このような場合を想定してなされたものである。
このように、本発明は、前記特許文献7のような外部酸化物層よりも、更に破壊されにくい組成[後述する図1(a)の条件]の外部酸化物層を有する鋼材を選択して接合せざるを得ない場合でも、高い接合強度を得ることを目的とする。このために、本発明では、このような破壊されにくい組成の外部酸化物層を有する鋼材に対して、接合するアルミニウム合金材の合金組成を、前記外部酸化物層を還元する機能を有する元素として、Mgを多く含む5000系および7000系アルミニウム合金材とする。これによって、鋼材の破壊されにくい外部酸化物層を、Mgの還元作用によって破壊して、スポット溶接時のFe、Alの拡散を必要なだけ、かつ過剰に抑制しないように、効果的に制御する。この結果、接合界面における、Al−Fe系の脆い金属間化合物層の過剰生成を抑制する一方で、高い接合強度を得るための必要最小限のAl−Fe系の反応層は確保して、高い接合強度を得る。
ここで、鋼材とアルミニウム材との異材を接合する場合、鋼材はアルミニウム材と比較して、融点、電気抵抗が高く、熱伝導率が小さいため、鋼側の発熱が大きくなり、まず低融点のアルミニウムが溶融する。アルミニウム合金材と鋼材とのスポット溶接のような、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するような条件での溶接においては、鋼材側は溶解せず、この鋼材側からFeが拡散して、界面にて、Al−Fe系の脆い金属間化合物層 (反応層) が形成する。
このため、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するような条件での溶接において、高い接合強度を得るためには、Al−Fe系の反応層は必要最小限に抑える必要がある。しかし、鋼材側の外部酸化物層が破壊されずに、鋼材側からのFeの拡散やAl−Fe系の反応層生成を抑制しすぎて、接合部の全面積に対する反応層の形成面積が小さすぎても、冶金的接合が出来ないために高い接合強度は得られない。したがって、高い接合強度を実現するためには、冶金的接合に必要かつ最小限の厚みのAl−Fe反応層を、接合部に出来るだけ広範囲に形成させる必要がある。このように、アルミニウム合金材と鋼材とをスポット溶接する異材接合の場合には、鋼材同士のスポット溶接とは溶接メカニズムが全く異なり、異種金属同士の高い接合強度を実現することが著しく困難となる。
この点、鋼材側を、前記特許文献7のような外部酸化物層よりも、更に破壊されにくい組成[後述する図1(a)の条件]の外部酸化物層の条件として溶接接合する場合は、前記鋼材表面上に存在する外部酸化物層は、容易には破壊されない障壁として働きすぎ、溶接時に、鋼材側からのFeの拡散を促すことが困難となる。即ち、このような外部酸化物層は、図1(a)で後述する通り、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める割合が前記平均割合として80%以上となっている。このような場合、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するような条件で溶接接合する際には、前記外部酸化物層は、容易には破壊されない障壁として働き、Al−Fe系の反応層を抑制しすぎ、接合部の全面積に対する反応層の形成面積が小さすぎるようになる。
前記特許文献7の6000系アルミニウム合金材と鋼材との異材接合体のスポット溶接例における接合強度が、高くても2kN未満であり、2kN以上の接合強度を得られなかった大きな理由の一つは、このためである。前記特許文献7の前記外部酸化物層は、強力な還元剤となる合金元素を含まない6000系アルミニウム合金材に対して、容易には破壊されない障壁として働きすぎ、溶接時に、鋼材側からのFeの拡散を促すことが困難となる。
これに対して、本発明では、接合するアルミニウム合金材の合金組成を、前記外部酸化物層を還元する機能を有する元素として、Mgを多く含む5000系および7000系アルミニウム合金材とする。このMgの作用によって、前記した通り、破壊されにくい外部酸化物層を還元によって破壊して、スポット溶接時のFe、Alの拡散を必要なだけ、かつ過剰に抑制しないように、効果的に制御する。この結果、アルミニウム合金材と鋼材とをスポット溶接するような、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するような条件での溶接異材接合の場合に、2kN以上の高い接合強度を実現できる。
(鋼材の酸化物構成)
以下に、先ず、本発明が対象とする鋼材の外部酸化物層と内部酸化物層との具体的な量的組成バランスについて説明する。
一旦酸洗された後に、異なる酸素分圧に制御した雰囲気で焼鈍された、Mn、Siを含む鋼材表面の酸化物(鋼材断面構造)を図1(a)〜図1(c)に各々模式的に示す。図1(a)は低酸素分圧 (低露点) 雰囲気にて焼鈍した場合を示す。図1(b)は中酸素分圧 (比較的高露点) 雰囲気にて焼鈍した場合を示す。図1(c)は高酸素分圧 (高露点) 雰囲気にて焼鈍した場合を示す。この内、図1(a)が、本発明で対象とする、外部酸化物層と内部酸化物層との具体的な量的組成バランスを示す。
図1(a):
図1(a)の低酸素分圧雰囲気焼鈍の場合、一旦酸洗されて既存の外部酸化物層が除去された、Mn、Siを含む鋼材は、鋼材の鋼生地表面が50nm程度の薄い外部酸化物層によって被覆されている。しかし、酸素分圧が低いために、鋼材内部にまで酸素は侵入(拡散)せず、鋼生地表面から下の鋼材内部には、粒界酸化物を含む内部酸化物は形成されない。この図1(a)のような表面組織、即ち、後述する図1(b)、図1(c)の外部酸化物層よりも、破壊されにくい外部酸化物層と、内部酸化物が無い鋼材内部組織とを合わせて有する鋼材が、本発明が対象とする鋼材である。
この外部酸化物層は、後述する図1(b)、図1(c)を含めて、共通して、既存の酸化物層が除去された後で、上記焼鈍によって新たに生成された酸化物層であり、Mn、Siが濃化して、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物、Mn、Siの含有量が合計量で1at%未満であるFe酸化物(Fe3O4) からなる酸化物、および空隙とから構成される。Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物とは、例えば、代表的にはMn2SiO4 、SiO2などからなる酸化物から構成される。また、Mn、Siの含有量が合計量で1at%未満である酸化物とは、例えば、代表的にはFe3O4 などからなる酸化物から構成される。
このような図1(a)の場合、鋼材の鋼生地表面を外部酸化物が全体的に被覆するゆえに、外部酸化物層における、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める割合は、鋼生地と外部酸化物層との界面の水平方向の長さ1μmに対して占めるこの酸化物の合計長さの平均割合として80〜100%と高くなる。したがって、このような外部酸化物層は、後述する図1(b)、図1(c)の外部酸化物層よりも、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める割合が大きく、より破壊されにくい。なお、このような図1(a)の外部酸化物層とした場合には、内部酸化物は必然的に少なくなる。したがって、例えば、鋼生地表面からの深さが20μmまでの鋼領域に存在する内部酸化物は、結晶粒界に存在する酸化物およびMn、Siを合計量で1at%以上含む粒内酸化物の占める平均面積割合が、後述する表3に示す通り、0%か、存在しても5%未満となる。
したがって、この図1(a)の外部酸化物層を有する鋼材では、この鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するようなスポット溶接の場合には、アルミニウム合金材との接合面側に、外部酸化物層を強制的に還元、破壊する手段として、この外部酸化物層を還元する機能を有する元素を存在させる必要がある。このために、本発明では、このような破壊されにくい組成の外部酸化物層を有する鋼材に対して、接合するアルミニウム合金材をMgを多く含む5000系および7000系アルミニウム合金材とする。このMgは、酸化物を還元する機能を有するため、鋼材の図1(a)のような破壊されにくい外部酸化物層であっても、その還元作用によって破壊して、スポット溶接時のFe、Alの拡散を必要なだけ、かつ過剰に抑制しないように、効果的に制御することができる。この結果、接合界面における、Al−Fe系の脆い金属間化合物層の過剰生成を抑制する一方で、高い接合強度を得るための必要最小限のAl−Fe系の反応層は確保して、高い接合強度を得る。
図1(b):
これに対して、図1(b)の、酸素分圧が図1(a)よりも比較的高い、中酸素分圧の雰囲気焼鈍の場合、鋼材内部にまで酸素が侵入(拡散)する。このため、一旦酸洗されて既存の外部酸化物層が除去された、Mn、Siを含む鋼材には、上記した外部酸化物層とともに、鋼生地表面から下の鋼材内部の比較的浅い、例えば、鋼材の鋼生地表面からの深さが10μm以下の鋼領域に内部酸化物が形成される。前記特許文献7で、溶接手法や、溶接されるアルミニウム合金材と鋼材との材料の組み合わせが異なっても、同じ外部酸化物層と内部酸化物層との条件としているのは、この図1(b)の条件である。
この内部酸化物のうち、粒内に生成する酸化物は、後述する図1(c)を含めて、共通して、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物、SiO2やMn2SiO4 からなる球状乃至粒状の酸化物と、Mn、Siが合計量で1at%未満であるFe3O4 などの酸化物である。また、この際、後述する図1(c)を含めて、共通して、鋼の粒界上に粒界酸化物も形成されるが、これら粒界酸化物は概ねMn、Siを合計量で1at%以上含む粒状の酸化物である。雰囲気焼鈍の酸素分圧が高くなるにつれて、より鋼材内部にまで酸素が侵入(拡散)する、あるいはより多く酸素が侵入(拡散)するようになり、これら内部酸化物が存在する領域が拡大するか、これら内部酸化物量が多くなる。
一方、これら内部酸化物とは逆に、雰囲気焼鈍の酸素分圧が高くなるにつれて、外部酸化物層におけるMn、Siを含む酸化物の占める割合は減るようになる。即ち、図1(b)における外部酸化物層では、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める割合は、鋼生地と外部酸化物層との界面の水平方向の長さ1μmに対して占めるこの酸化物の合計長さの平均割合として50〜80%となり、前記図1(a)の場合よりは低くなる。
図1(c):
この図1(c)は、酸素分圧が図1(b)よりも更に高い、高酸素分圧の雰囲気焼鈍の場合を示し、本発明で特徴的な外部酸化物層と内部酸化物層との具体的な量的組成バランスを示す。この図1(c)の場合には、図1(b)よりも更に、鋼材内部にまで酸素が侵入(拡散)する。このため、一旦酸洗されて既存の外部酸化物層が除去された、Mn、Siを含む鋼材には、前記外部酸化物層とともに、上記した内部酸化物が、鋼生地表面から下の鋼材内部の比較的深い領域、より鋼材内部に深く形成される。これらの内部酸化物は、主としてこの鋼材の鋼生地表面から20μmまでの深さの鋼領域に形成される。
これに対して、外部酸化物層におけるMn、Siを含む酸化物の占める割合は、この図1(c)の場合は、前記図1(b)の場合よりも更に減る。即ち、図1(c)の場合、外部酸化物層における、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める割合は、鋼生地と外部酸化物層との界面の水平方向の長さ1μmに対して占めるこの酸化物の合計長さの平均割合として0.1%以上、50%未満と、最も低くなる。このような外部酸化物層は、前記した図1(a)、図1(c)の外部酸化物層よりも、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める割合が最も小さく、より破壊されやすい。
ここで、通常の軟鋼材などの鋼材の表面上の外部酸化層は、通常、αFeOOH 、γFeOOH 、無定形オキシ水酸化物、Fe3O4 などの酸化物から構成される。これに対して、本発明のようなMn、Siを含むハイテンであって、一旦酸洗された後に、上記したように酸素分圧を制御した雰囲気で焼鈍された、鋼材の表面上の外部酸化層は、Mn、Siを合計量で1at%以上含む上記酸化物と、残部は、Mn、Siとが合計量で1at%未満であるFe3O4 などの酸化物、および空隙とから構成される。
(外部酸化層の作用)
図1の鋼材とアルミニウム合金材との溶接接合時には、鋼材表面上の上記外部酸化層を破って、鋼材とアルミニウム合金材との接合面に、Al−Fe反応層が形成される。この点で、鋼材表面上の上記外部酸化層には、接合時のFeとAlの拡散を抑えて、Al−Fe系の脆い金属間化合物層 (反応層) 生成を抑制する効果がある。
しかし、アルミニウム合金材と鋼材とをスポット溶接するような異材接合の場合、このような効果は、鋼材表面上に上記組成の外部酸化層があれば、一様に発揮されるのではなく、前記一定割合のMn、Siを含む酸化物相の割合によって、大きく左右される。即ち、前記図1(a)の場合には、外部酸化物層における、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める割合が最も大きく、接合時のFeとAlの拡散を抑える障壁効果や、Al−Fe系の脆い金属間化合物層 (反応層) 生成を抑制する効果は前記図1の3つの外部酸化物層タイプの中で最大となる。これに対して、前記図1(c)の場合には、外部酸化物層における、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める割合が最も小さく、接合時のFeとAlの拡散を抑える障壁効果や、Al−Fe系の脆い金属間化合物層 (反応層) 生成を抑制する効果は、前記図1の3つの外部酸化物層タイプの中で最小となる。そして、前記図1(b)の場合には、外部酸化物層における、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める割合も、接合時のFeとAlの拡散を抑える障壁効果や、Al−Fe系の脆い金属間化合物層 (反応層) 生成を抑制する効果も、前記図1の3つの外部酸化物層タイプの中で中間となる。
ここで、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するようなスポット溶接の場合には、前記図1(a)や図1(b)の比較的破壊されにくい外部酸化物層では、例え、アルミニウム合金側が溶解しても、鋼材との界面では、鋼材表面上の外部酸化層を還元により破壊して、鋼材側からのFeの拡散を促すことが困難となる。この結果、冶金的接合に必要かつ最小限の厚みのAl−Fe反応層を、接合部に出来るだけ広範囲に形成させることが困難となる。
したがって、前記図1(a)や図1(b)の外部酸化物層を有する鋼材では、この鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するようなスポット溶接の場合には、前記した通り、アルミニウム合金材との接合面側に、外部酸化物層を強制的に還元、破壊する手段として、この外部酸化物層を還元する機能を有する元素を存在させる必要がある。本発明では、このようなアルミニウム合金材として、前記した通り、前記外部酸化物層を還元、破壊する機能を有する元素である、Mgを多く含む5000系および7000系アルミニウム合金材とする。
前記特許文献7の、6000系アルミニウム合金材と鋼材との異材接合体のスポット溶接例における接合強度が、高くても2kN未満であり、2kN以上の接合強度を得られなかった大きな理由の一つは、外部酸化物層を強制的に還元、破壊する手段が無かったためでもある。前記特許文献7では、高強度鋼板表面上に新たに生成させた外部酸化物層を、前記図1(b)における外部酸化物層と同じとしており、前記平均割合が50%以上(50〜80%)と多すぎる。この結果、強力な還元剤となる合金元素を含まない6000系アルミニウム合金材に対して、前記外部酸化物層は、容易には破壊されない障壁として働きすぎ、溶接時に、鋼材側からのFeの拡散を促すことが困難となる。
したがって、6000系アルミニウム合金材と鋼材とをスポット溶接するような異材接合であって、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するようなスポット溶接では、図1(c)の場合のように、外部酸化物層における、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める割合を、鋼生地と外部酸化物層との界面の水平方向の長さ1μmに対して占めるこの酸化物の合計長さの平均割合として50%未満とすることが有利である。
しかし、本発明では、対象とする鋼材を、敢えて、前記図1(a)の、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める前記割合が80〜100%、好ましくは90〜100%である外部酸化物層を有する鋼材とする。前記した通り、鋼材の製造条件や、使用する鋼材の制約などによって、鋼材側の外部酸化物層の組成を、図1(c)の条件に適正化できない場合や、適正化できた鋼材を使用できない場合があるからである。前記した通り、このような図1(a)における外部酸化物層では、強力な還元剤となる合金元素が接合面に無ければ、アルミニウム合金材に対して、前記外部酸化物層は、容易には破壊されない障壁として働きすぎ、溶接時に、鋼材側からのFeの拡散を促すことが困難となる。
(接合面におけるMgの存在)
このために、本発明では、このような破壊されにくい組成の外部酸化物層を有する鋼材に対して、接合するアルミニウム合金材の合金組成を、前記外部酸化物層を還元する機能を有する元素として、Mgを多く含む5000系および7000系アルミニウム合金材とする。これによって、溶解したアルミニウム合金材によって、接合面にMgを存在させ、鋼材の破壊されにくい外部酸化物層を、このMgの還元作用によって破壊して、スポット溶接時のFe、Alの拡散を必要なだけ、かつ過剰に抑制しないように、効果的に制御する。
これによって、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するようなスポット溶接の場合に、スポット溶接接合界面における反応層の平均厚みを、後述する通り、0.1〜10μmの最適範囲に制御する。結果、特に6000系アルミニウム合金材と鋼材とのスポット溶接された異材接合体について、前記2kN以上の高い接合強度を得る。
前記接合面にMgを存在させ、これら外部酸化物層の還元、破壊作用を得るためには、5000系および7000系アルミニウム合金材のMg含有量を1.0質量%以上とする。Mg含有量が1.0質量%未満では、前記接合面におけるMgの存在量が不足して、このMgの効果が不足する。
(鋼材内部組織)
前記した通り、本発明で対象とする鋼材では、この内部酸化物は少なくなり、また積極的には存在させない。ただ、この内部酸化物を存在させないとは、内部酸化物が全く無い状態だけでなく、鋼材組成や焼鈍条件の範囲(振れ)から、後述する表3の通り、内部酸化物が微量存在する場合を含む。この状態を定量的に表現すると、内部酸化物1(鋼板の鋼生地表面からの深さが10μmまでの鋼領域に存在する、粒界酸化物とMn、Siを合計量で1at%以上含む粒内酸化物)の占める割合(密度)を、この鋼領域の視野面積10μm2 内において占める平均面積割合として5%未満(0%を含む)とすることが好ましい。また、更に、内部酸化物2(鋼板の鋼生地表面からの深さが10μmを超えて20μm以下の鋼領域に存在する、粒界酸化物とMn、Siを合計量で1at%以上含む粒内酸化物)の占める割合が、この鋼領域の視野面積10μm2 内において占める平均面積割合として0.1%以下(0%を含む)であることが好ましい。
なお、内部酸化物のうち、粒内に生成する酸化物は、前述した通り、Mn、Siを合計量で1at%以上含む球状乃至粒状の酸化物、とMn、Siとが合計量で1at%未満であるFe3O4 などの酸化物があり、一方、鋼の粒界上に形成される酸化物は概ねMn、Siを合計量で1at%以上含む粒状の酸化物である。そこで、本件発明においては、内部酸化物の規定において、粒界の存在する酸化物およびMn、Siを合計量で1at%以上含む結晶粒内に存在する酸化物の占める割合を規定した。
(酸化物の測定方法)
本発明における外部酸化物の測定は、EDX(エネルギー分散型X線分光法)を併用した1万〜3万倍の倍率のTEM(透過型電子顕微鏡)にて行なう。即ち、外部酸化物は、EDXにより、鋼材の厚み方向断面における、鋼生地と外部酸化物層との界面を水平方向に分析することによって、界面近傍の外部酸化物層中のMn、Siの合計量を求め、Mn、Siを合計量で1at%以上含む界面近傍の酸化物の相 (複数の酸化物) を、それ以外の相と区別して特定する。次いで、TEMにより、このEDX分析と同じ界面領域における、このMn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物相の、上記界面における水平方向の長さを求める。そして、界面の水平方向の長さ1μmに対して占める、この酸化物相の合計長さの割合を求める。これを複数箇所にて行い、平均化する。
また本発明では不要である内部酸化物は、前記した、鋼材の鋼生地表面からの深さが10μm以下の、あるいは10μmを超えて20μm以下の、所定の鋼領域の複数箇所における、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物を、前記したEDXにより、それ以外の相と区別して特定する。そして、TEMにより、このEDXと同じ界面領域における、このMn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物相の、視野面積10μm2 内において占める面積割合を各々求める。ここで、この鋼領域における粒界酸化物の占める面積も、前述の通り、この鋼領域におけるMn、Siを合計量で1at%以上含む内部酸化物として、内部酸化物の占める面積割合に加える。これを複数箇所にて行い平均化する。
(酸化物層制御)
これら鋼材の外部酸化物および内部酸化物の制御は、前記した通り、鋼材の焼鈍条件(酸素分圧)を制御することにより行なうことができる。より具体的には、鋼材の焼鈍雰囲気中の酸素分圧(露点)を変えて制御できる。いずれの鋼種においても、酸素分圧(露点)が高い場合は、鋼材表面上の外部酸化物層中のMn、Siが濃化した酸化物量が少なくなる。また、鋼内部まで酸化し、内部酸化、粒界酸化が進んで、鋼内にSiO2、Mn2SiO4 などが形成され、鋼内に占めるMn、Siを含む酸化物の面積割合が高まる。
一方、いずれの高強度鋼の鋼種においても、酸素分圧(露点)が低い場合は、鋼材表面上の外部酸化物層中の、Mn2SiO4 、SiO2などのMn、Siが濃化した酸化物は形成されるが、その量乃至面積割合は多くなる。その一方で、鋼内部の酸化は進みにくくなり、鋼内のSiO2、Mn2SiO4 などの形成量は少なくなり、鋼内に占めるMn、Siを含む酸化物の面積割合は少なくなる。
(異材接合体の接合界面における反応層)
上記のように表面の酸化物層を制御した鋼材とアルミニウム材とを溶接にて接合した異材接合体においては、適切な溶接条件とすることによって、高い接合強度が得られる。但し、溶接素材側の条件を整えても、溶接施工条件 (溶接条件) によっては、高い接合強度を実現できない場合がある。
このため、異材接合体側から見て、高い接合強度を得るための条件を規定して、溶接条件も、この異材接合体側条件に合うように制御して最適化する必要がある。したがって、本発明では、好ましくは、異材接合体として高い接合強度を得るための、スポット溶接条件を規定する。
前記した通り、異材接合体側から見ると、冶金的接合に必要かつ最小限の厚みのFeとAlの反応層を、接合部に出来るだけ広範囲に形成させる必要がある。即ち、先ず、冶金的接合に必要かつ最小限の厚みとして、アルミニウム材との接合界面における反応層のナゲット深さ方向 (鋼材の板厚方向) の平均厚みを0.1〜10μmの範囲に制御することが必要である。
鋼材とアルミニウム材との溶接接合界面では、反応層として、鋼材側には層状のAl5Fe2系化合物層、アルミニウム材側には粒状または針状のAl3Fe 系化合物とAl19Fe4Si2Mn系化合物とが混在した層、を各々有する。
これらの脆い反応層のナゲット深さ方向の厚みが10μmを超えると、接合強度は著しく低下する。一方、反応層のナゲット深さ方向の厚みが0.1μmより薄い場合は、冶金的接合が不充分となり、十分な接合強度が得られない。したがって、上記表面の酸化物層を制御した鋼材とアルミニウム材との接合界面における反応層の平均厚みは0.1〜10μmの範囲とする。
(反応層の形成範囲)
次ぎに、異材接合体における上記FeとAlの反応層を、接合部に出来るだけ広範囲に形成させる必要がある。即ち、接合後の前記反応層の形成範囲が、スポット溶接やFSW(摩擦攪拌接合)などの点溶接では、接合面積 (鋼材の水平方向、ナゲット深さ方向に直角の方向) の70%以上の面積であることが好ましい。
反応層は上記適正な厚み範囲の上で、この適正な厚み範囲が、出来るだけ広範囲に均一に形成されないと、確実に冶金的接合が達成できない可能性がある。これに対して、上記適正な厚み範囲の反応層が、上記70%以上形成されれば十分な接合強度が確実に得られる。
(異材接合体の接合界面における反応層の測定)
上記本発明における反応層の測定は、後述する実施例の通り、鋼材−アルミ材との接合部を切断して、断面より接合界面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察し、反応層の上記測定を行なう。
(鋼材の化学成分組成)
先ず、本発明が対象とする鋼材の成分組成について以下に説明する。本発明では、Si、Mnなどを含む引張強度が450MPa以上の高強度鋼材(ハイテン)を主たる対象とする。更には、表面上の既存の酸化物層を酸洗などにより一旦除去した上で、更に、酸素分圧を制御した雰囲気で焼鈍などした場合に、Si、Mnなどを所定量含む外部酸化物層を新たに生成させ得る鋼材を対象とする。
このため、鋼材の成分組成については、Si、Mnなどを所定量含むことを前提に、質量%で、C:0.01〜0.30%、Si:0.1〜3.00%、Mn:0.1〜3.00%を各々含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成とする。また、これに加えて、更に、Al:0.002〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成としても良い。また、更に、このAlに加えて、あるいはAlの代わりに、Nb:0.005〜0.10%、Ti:0.005〜0.10%、Zr:0.005〜0.10%、Cr:0.05〜3.00%、Mo:0.01〜3.00%、Cu:0.01〜3.00%、Ni:0.01〜3.00%、の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成としても良い。
ここで、鋼材の不純物としてのP、S、Nなどは、鋼材の靱性や延性、あるいは接合強度などの諸特性を低下させるので、P:0.10%以下(0%を含む)、S:0.05%以下(0%を含む)、N:300ppm以下(0%を含む)に、各々規制する。なお、本発明における化学成分の単位(各元素の含有量)は、アルミニウム合金を含めて、すべて質量%である。
鋼材の各成分元素の限定理由は以下の通りである。
C:
Cは強度上昇に必要な元素であるが、含有量が0.02%未満では鋼材の強度確保ができず、また0.3%を超えると冷間加工性が低下する。したがって、C含有量は0.02〜0.3%の範囲とする。
Si、Mn:
Si、Mnは、鋼材の表面にSiまたはMnを所定量含む、前記外部酸化物層を形成する。この外部酸化物層は、FeとAlの異材接合の場合に、互いの母材側からのFeとAlの拡散を妨害し、脆い金属間化合物の形成を最小限に抑えることができる。また、金属間化合物の脆性の改善にも役立っている。
更に、Si、Mnは、鋼材の内部にSiまたはMnをを所定量含む、前記内部酸化物層を形成する。この内部酸化物層は、鋼材表面上の外部酸化物層を破って形成されたAl−Fe反応層中に固溶し、互いの母材側からのFe、Alの拡散を防いで、反応層が過剰に生成するのを抑制する。
したがって、鋼材におけるSi、Mnの含有量が少な過ぎると、上記外部酸化物層や内部酸化物層が不足して、後述する通り、異材接合体の接合強度を向上できない。一方、鋼材におけるSi、Mnの含有量が多過ぎると、後述する通り、却って、異材接合体の接合強度を低下させる。このため、適切な上記外部酸化物層や内部酸化物層を形成するためには、鋼材におけるSi、Mnは、本発明で規定する含有量の範囲内であることが必要である。
Si:
Siは、鋼材の延性を劣化させずに、必要な強度確保が可能な元素としても重要であり、そのためには0.1%以上の含有量が必要である。一方、3.00%を超えて含有すると延性が劣化してくる。したがって、Si含有量は、この理由からも0.1〜3.00%の範囲とする。
Mn:
Mnも、鋼材の強度と靱性を確保するための元素としても必要不可欠で、含有量が0.1%未満ではその効果は得られない。一方、含有量が3.00%を超えると著しく強度が上昇し冷間加工が困難となる。したがって、Mn含有量は、この理由からも0.1〜3.00%の範囲とする。
Al:
Alは、溶鋼の脱酸元素として、固溶酸素を捕捉するとともに、ブローホールの発生を防止して、鋼の靭性向上の為にも有効な元素である。Al含有量が0.002%未満ではこれらの十分な効果が得られず、一方で、0.10%を超えると、逆に溶接性を劣化させたり、アルミナ系介在物の増加により鋼の靭性を劣化させる。したがって、Al含有量は0.002〜0.1%の範囲とする。
Nb、Ti、Zr、Cr、Mo、Cu、Niの1種または2種以上:
Nb、Ti、Zr、Cr、Mo、Cu、Niの1種または2種以上の含有は、共通して、鋼の高強度化や高靭性化に寄与する。
この内、Ti、Nb、Zrは、鋼中に炭窒化物として析出して強度を高め、鋼のミクロ組織を微細化して強度、靭性等を向上させる。但し、多量に含有させると、靭性を大幅に劣化させる。したがって、含有させる場合は、Nb:0.005〜0.10%、Ti:0.005〜0.10%、Zr:0.005〜0.10%の各範囲とする。
また、この内、Cr、Mo、Cu、Niは鋼の焼き入れ性を向上させて、強度を向上させる。但し、多量に含有させると、鋼の靭性を大幅に劣化させる。したがって、含有させる場合は、Cr:0.05〜3.00%、Mo:0.01〜3.00%、Cu:0.01〜3.00%、Ni:0.01〜3.00%の範囲とする。
(鋼材の強度)
本発明においては、使用する鋼材の強度を特に限定するものではないが、自動車部材用を想定すると、鋼材の引張強度が400MPa以上であることが好ましい。これより低強度鋼では、一般に低合金鋼が多く、酸化皮膜がほぼ鉄酸化物であるため、FeとAlの拡散が容易となり、脆い金属間化合物が形成しやすい。また、Si、Mn量が少ないために、鋼材の表面および内部に、本発明における母材のFeとAlの拡散抑制に必要な前記Si、Mnを含む酸化物が形成されにくく、Si、Mnを含む、外部と内部との酸化物(層)の組成や厚みの制御ができず、溶接時の反応層の制御が困難となる。更には、鋼材の強度が不足するために、スポット溶接時の電極チップによる加圧によって、鋼材の変形が大きくなり、酸化皮膜が容易に破壊されるため、アルミニウムとの反応が異常に促進され、金属間化合物が形成しやすくなる。
(アルミニウム合金材)
本発明で用いるアルミニウム合金材は、前記接合面にMgを存在させ、これら外部酸化物層の還元、破壊作用を得るために、Mg含有量が1.0質量%以上のAl−Mg系であるAA乃至JIS規格における5000系、またはAl−Zn−Mg系、あるいはAl−Zn−Mg−Cu系であるAA乃至JIS規格における7000系アルミニウム合金材とする。これらの合金材は、自動車車体の各部用途に応じて、形状を特に限定するものではなく、前記した、汎用されている板材、形材、鍛造材、鋳造材などが適宜選択される。ただ、アルミニウム材の強度についても、上記鋼材の場合と同様に、スポット溶接時の加圧による変形を抑えるために高い方が望ましい。
5000系アルミニウム合金材:
5000系アルミニウム合金材は、前記Mg含有による鋼材の外部酸化物層の還元、破壊作用の他に、前記自動車車体用などの用途の、成形性や強度、溶接性、耐食性などの諸特性を満たすために、Mg:2.0〜6.0質量%を含み、更に、Fe、Mn、Cr、Zr及びCuの内から選ばれる一種また二種以上を合計で0.03〜2.5質量%含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなることが好ましい。
(不純物)
これら記載元素以外の元素は基本的には不純物である。ただ、Al合金のリサイクルの観点から、溶解材として、高純度Al地金だけではなく、Al合金スクラップ材、低純度Al地金などを溶解原料として使用した場合には、不純物元素が混入される。そして、これら不純物元素を例えば検出限界以下などに低減すること自体がコストアップとなり、ある程度の含有の許容が必要となる。したがって、本発明の目的や効果を阻害しない範囲での記載元素以外の元素の含有を許容する。例えば、Si:0.5%以下、V:0.3%以下、Ti:0.5%以下、B:0.05%以下、Zn:0.5%以下の含有を各々許容する。また、この他の元素も上記不可避的不純物として、本発明の必要特性を阻害しない範囲での含有を許容する。
Mg:
Mgは、加工硬化能を高め、自動車車体用としての必要な強度や耐久性を確保する。また、材料を均一に塑性変形させて破断割れ限界を向上させ、成形性を向上させる。Mgの含有量が2.0%未満では、Mg含有のこれら効果発揮が不十分となる。一方、Mgの含有量が6.0%を越えると、圧延板や押出材の製造が困難となり、しかも成形時に、却って粒界破壊が発生しやすくなり、成形性が著しく低下する。したがって、Mgの含有量は2.0〜6.0質量%の範囲とする。
Fe、Mn、Cr、Zr及びCu:
Fe、Mn、Cr、Zr及びCuは、少量の含有で結晶粒の微細化に有効であり、少量の含有で成形性を向上させる。各含有量の合計が0.03%未満では含有効果がないが、一方、これら各元素の各含有量の合計が2.5%を超えると、これらの元素に起因する粗大な晶出物や析出物が多くなり、これらが破壊の起点になりやすく、却って成形性などを低下させる。したがって、Fe、Mn、Cr、Zr及びCuの内から選ばれる一種また二種以上の含有量は、合計で0.03〜2.5質量%の範囲とする。
7000系アルミニウム合金材:
7000系アルミニウム合金材も、前記Mg含有による鋼材の外部酸化物層の還元、破壊作用の他に、前記した自動車車体補強材用としての強度、曲げ圧壊性や耐食性などの諸特性を満足するために、質量%で、Zn:4.5〜6.5%、Mg:1.0〜2.0%、Fe:0.01〜0.40%を各々含有し、残部がアルミニウムおよび不可避不純物からなることが好ましい。また、この組成に更に加えて、更に、Mn:0.01〜0.6%、Cr:0.01〜0.2%、Zr:0.01〜0.25%、Ti:0.001〜0.10%、の一種または二種以上を合計量で0.30%以下、選択的に含んでも良い。また、更に、Cu:0.01〜0.2%を選択的に含んでも良い。
これ以外のその他の元素は、基本的には不純物であり、AA乃至JIS規格などに沿った各不純物レベルの含有量 (許容量) とする。しかし、リサイクルの観点から、溶解材として、高純度Al地金だけではなく、7000系合金やその他のアルミニウム合金スクラップ材、低純度Al地金などを溶解原料として多量に使用した場合には、不純物元素が混入される可能性が高い。そして、これら不純物元素を例えば検出限界以下に低減すること自体コストアップとなり、ある程度の含有の許容が必要となる。したがって、その他の元素は、各々AA乃至JIS規格などに沿った許容量の範囲での含有を許容する。
(Zn、Mg)
必須の合金元素であるZn、Mgは、合金材の人工時効処理によって、GPゾーンあるいは中間析出相と呼ばれるMgZn2 、Mg32AlZn49などの微細分散相を形成して強度を向上させる。特にZnは強度−延性のバランス向上効果が高い。Znが4.5%未満、Mgが1.0%未満など、Zn、Mgの含有量が少な過ぎると、これら微細分散相が不足して、強度が低下する。また、Mg含有量が1.0質量%未満では、前記接合面におけるMgの存在量が不足して、前記Mg含有による鋼材の外部酸化物層の還元、破壊作用が不足する。
一方、Znが6.5%超え、Mgが2.0%超えなど、Zn、Mgの含有量が多過ぎると、破壊の起点となる粒界析出物の個数あるいは数密度が多くなり、特に押出材では曲げ圧壊性および耐食性が著しく低下する。また、Zn、Mgの含有量が多過ぎると、Al中に固溶できないため、粗大な晶出物を形成し、アルミニウム合金材の強度や伸びの低下の原因となり、冷間加工性も著しく低下する。したがって、各含有量は、Zn:4.5〜6.5%、Mg:0.5〜2.0%、の範囲と各々する。
(Fe)
Feは、スクラップなどの溶解原料などから多く混入しやすいが、析出効果によって、アルミニウム合金材の強度を向上させることができる。少なすぎると、このような効果が期待できず、多すぎると、前記粒界析出物や晶出物の個数あるいは数密度が多くなり、特に押出材では曲げ圧壊性および耐食性が著しく低下する。また、Feが多すぎると、粗大な晶出物や析出物が形成され、逆に強度や伸び(延性)の低下の原因ともなる。したがって、Feは0.01〜0.40%の範囲とする。
(Mn、Cr、Zr、Ti)
Mn、Cr、Zr、Tiも、スクラップなどの溶解原料などから多く混入しやすいが、析出効果によって、アルミニウム合金材の強度を向上させることができる。また、Tiには、鋳塊の結晶粒を微細化し、押出材組織を微細な結晶粒とする効果もある。これら元素の含有量が少なすぎると、このような効果が期待できず、これらの含有量が多すぎると、粒界析出物の個数あるいは数密度が多くなり、曲げ圧壊性および耐食性が著しく低下する。また、これらの含有量が多すぎると、粗大析出物が形成され、逆に強度や伸び(延性)の低下の原因となる。したがって、このような効果を得たい場合には、Mn、Cr、Zr、Tiの一種または二種以上を、Mn:0.01〜0.6%、Cr:0.01〜0.2%、Zr:0.01〜0.25%、Ti:0.001〜0.10%、の一種または二種以上を、これらの合計量で0.30%以下の範囲で選択的に含有させる。
(Cu)
Cuは、固溶強化によって強度や伸びを向上させる。Cuが少なすぎるとこのような効果が期待できず、Cuの含有量が多すぎると、粒界析出物の個数あるいは数密度が多くなり、曲げ圧壊性および耐食性が著しく低下する。また、Cuの含有量が多すぎると、析出物が粗大化し、強度や伸びも却って低下する。したがって、選択的に含有させる場合には、Cuの含有量は0.01〜0.2%の範囲とする。
(鋼材やアルミニウム合金材の厚み)
また、鋼材やアルミニウム合金材の溶接される部分の厚み(板厚など)は、特に限定されず、自動車部材などの適用部材の必要強度や剛性などの設計条件から適宜選択乃至決定される。
但し、自動車部材などを想定すると、実用的には鋼材の(溶接される部分の)厚みtは0.3〜3.0mmから選択される。鋼材の厚みが薄すぎる場合、自動車部材としての必要な強度や剛性を確保できず不適正である。また、それに加えて、例えば、スポット溶接による場合には、その電極チップによる加圧によって、鋼材の変形が大きく、酸化皮膜が容易に破壊されるため、アルミニウムとの反応が促進される。その結果、金属間化合物が形成しやすくなる。一方、鋼材の厚みが厚すぎる場合、スポット溶接接合自体が難しくなる。
また、アルミニウム合金材の(溶接される部分の)厚みtは、同様に自動車部材などを想定すると、0.3〜5.0mmの範囲から選択される。アルミニウム合金材の厚みが薄すぎる場合、自動車部材としての強度が不足して不適切であるのに加え、ナゲット径が得られず、アルミニウム材料表面まで溶融が達しやすくチリができやすいため、高い接合強度が得られない可能性がある。一方、アルミニウム合金材の厚みが厚すぎる場合、前記した鋼材の板厚の場合と同様に、溶接接合自体が難しくなる。
(接合方法)
なお、本発明において、接合方法は、前提として、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するような溶接を選択する。この点で、接合方法は、スポット溶接、またはフリクションスポット接合(摩擦攪拌接合、FSW、スポットFSWとも言う)に限定される。即ち、鋼材側もアルミニウム合金材側も両方が溶解するようなMIG溶接、レーザー溶接は対象外であり、両方とも溶解しない超音波接合、拡散接合、摩擦圧接、ろう付けなどの溶接手法も対象外である。なお、生産性や適切な条件の採用のし易さなどから、フリクションスポット接合よりもスポット溶接による接合の方がより好ましい。
また、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するようにするための、スポット溶接の溶接箇所毎の好ましい条件としては、電極間加圧力2.0〜3.0kNにて、10〜35kAの電極間電流を、接合されるアルミニウム合金材部分の厚みtmmとの関係で、200×tmsec以下の時間通電することである。これらを外れた、後述する表4に示すa〜dのような不適切なスポット溶接条件では、異材接合体の高い接合強度が得られない。
以下、実施例としてスポット溶接による異材接合を各々行い、異材接合体を製作した。そして、これら各異材接合体の接合強度を測定、評価した。
具体的には、表1に示す各成分組成にて溶製して1.2mm厚まで圧延した鋼板を、一旦酸洗して既存の表面酸化層を除去した後、表3に示すA、B、C、D、Eの各条件で焼鈍雰囲気中の酸素分圧(露点)を種々変え、但し、焼鈍温度は700℃、焼鈍時間は200secと共通して一定にして、表面および表面層の酸化構造の異なる鋼板を作製した。ここで、表1 に示す各成分組成の鋼板は全て本発明が対象とする高強度鋼板であり、各鋼板の引張強度は、全て450MPa以上の780〜1280MPaの範囲である。
これら焼鈍後の各鋼板の外部酸化物層組成、内部酸化物層組成などの各酸化構造も表3に各々示す。表3に示す焼鈍条件の内、酸素分圧(露点)が低いA、B、Cは、本発明が接合対象とする各酸化構造を有する鋼材が得られる好適な焼鈍条件である。表3に示すように、焼鈍条件A、B、Cは、焼鈍後の鋼板の外部酸化物層と内部酸化物とが本発明条件を満足する。即ち、外部酸化物層におけるMn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める割合が、鋼生地と外部酸化物層との界面の水平方向の長さ1μmに対して占める、この酸化物の合計長さの平均割合が80〜100%、好ましくは90〜100%(焼鈍条件A、B)の範囲内である。
また、焼鈍条件A、B、Cは、内部酸化物1(鋼板の鋼生地表面からの深さが10μm以下の深さまでの鋼領域に存在)として、Mn、Siを合計量で1at%以上含む内部酸化物の占める割合(密度)が、この鋼領域の視野面積10μm2 内において占める平均面積割合として5%未満(0%を含む)である。更に、内部酸化物2(鋼板の鋼生地表面からの深さが10μmを超えて20μm以下の鋼領域に存在)として、Mn、Siを合計量で1at%以上含む内部酸化物の占める割合が、この鋼領域の視野面積10μm2 内において占める平均面積割合として0.1%以下(0%を含む)である。
これに対して、表3に示す焼鈍条件の内、D、Eは、前記焼鈍条件A、B、Cに比して、酸素分圧(露点)が高過ぎる比較例である。このため、表3に示すように、焼鈍後の鋼板の外部酸化物層における上記酸化物の合計長さの平均割合が80%未満と少な過ぎる。また、内部酸化物1の前記平均面積割合が5%以上と多すぎ、更に、焼鈍条件Eでは、内部酸化物2も前記平均面積割合が0.1%以上と多すぎる。したがって、これらD、Eの焼鈍条件は、本発明が接合対象とする各酸化構造を有する鋼材とはならないことが明確であるので、これらD、Eの焼鈍条件で焼鈍した各鋼板は、スポット溶接による異材接合体は製作しなかった。
なお、各鋼板の接合相当部における各酸化構造は、各々下記測定方法により測定した。
(外部酸化物形成範囲)
外部酸化物は、断面試料を集束イオンビーム加工装置 (FIB:Focused Ion Beam Process、日立製作所製:FB-2000A)により製作し、前記EDX(型式:NORAN-VANTAGE) により、鋼板の厚み方向断面における、鋼生地と外部酸化物層との界面を水平方向に分析することによって、界面近傍の外部酸化物層中のMn、Siの合計量を求め、Mn、Siを合計量で1at%以上含む界面近傍の酸化物の相 (複数の酸化物) を、それ以外の相と区別して特定した。次いで、10万倍の倍率のTEM(JEOL製電界放射型透過電子顕微鏡:JEM-2010F、加速電圧200kV ) により断面観察し、前記EDX と同じ界面領域における、このMn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物相の、上記界面における水平方向の長さを求める。そして、界面の水平方向の長さ1 μm に対して占める、この酸化物相の合計長さの割合を求めた。これを各々3 視野にて行い、それらの平均値を求めた。
(内部酸化物占有面積率)
内部酸化物は、鋼板の鋼生地表面からの深さが、この鋼材の鋼生地表面から10μm以下の深さの鋼領域における内部酸化物を内部酸化物1、および鋼板の鋼生地表面からの深さが10μmを超えて20μm以下の鋼領域における内部酸化物を内部酸化物2として、これらの組成を分析した。組成分析は、これら各鋼領域におけるMn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の平均面積割合にて行う。先ず、これら各鋼領域におけるMn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物を、前記EDX により、それ以外の相と区別して特定する。そして、3 万倍の倍率のTEM(JEOL製電界放射型透過電子顕微鏡:JEM-2010F、加速電圧200kv ) により断面観察し、前記EDX と同じ界面領域における、このMn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物相の、10μm2当たりの視野面積 (地鉄面積) 内において占める面積割合を各々求めた。ここで、粒界酸化物の占める面積も、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物に加える。これを各々3 視野にて行い、それらの平均値を求めた。
これら酸化構造の異なる各鋼板と、表2に示す各組成で、板厚1〜1.6mmの5000系および7000系アルミニウム合金板とを、JIS A 3137記載の十字引張試験片形状に加工して重ね合わせ、表4に示すa、b、c、d、e、fの各条件でスポット溶接を行い、異材接合した。ここで、後述する表5に示す剥離強度から評価される通り、表4に示すa〜dは不適切なスポット溶接条件、e、fは適切なスポット溶接各条件である。
なお、表4に示すスポット溶接は、共通して、直流抵抗溶接試験機を用い、表4に示す加圧力、溶接電流、溶接時間にて、1点当たりのスポット溶接を行った。また、共通して、Cu−Cr合金からなるドーム型の電極を用い、正極をアルミニウム材、負極を鋼材とした。
(界面反応層の厚さと形成範囲)
このようにして製作した各異材接合体の、界面反応層の厚さと形成範囲とを測定した。これらの結果を表5に示す。界面反応層の厚さ測定は、各スポット溶接部の中央にて切断し、樹脂に埋め込んで研磨をし、接合部全体に渡り0.5mm間隔でSEM観察を行った。反応層の厚さが1μm以上の場合は2000倍の視野にて、1μm未満の場合は10000倍の視野にて測定し、各スポット溶接部ごとに平均値を求め、30点のスポット溶接部の平均値を界面反応層の平均厚みとした。また、界面反応層の形成範囲は、各スポット溶接部において、スポット全面積に対する反応層形成面積の割合を求め、30点のスポット溶接部の平均値を求めた。
(アルミニウム合金材側の接合界面における元素量)
同じく、製作した各異材接合体の、アルミニウム合金材側の接合界面における、Feの含有量(質量%:表5、6では界面でのAl中Fe濃度と表示)を測定した。これらの結果を表5、6に示す。
分析には、EPMA:日本電子製X線マイクロアナライザー(JXA−8800RL)を使用し、加速電圧15kV、照射電流0.3μAと一定にして測定した。分析対象は、前記各スポット溶接部の中央にて切断した断面とし、アルミニウム合金材と鋼材との接合界面を中心に、アルミニウム合金材側と鋼材側とに各0.5mm入った内部まで分析した。そして、アルミニウム合金材内部側のアルミニウム合金材が元々含有しているFeの含有量を差し引き、アルミニウム合金材側の接合界面における、Feの含有量(質量%:表5、6では界面でのAl中Fe濃度と表示)とを測定した。
これら製作した各異材接合体の十字引張試験を行い、剥離強度を求めた。これらの結果も表5に示す。剥離強度は、A6022アルミニウム材同士のスポット溶接接合強度=1.0kNを参考にして、2.0kN以上であれば○、2.0kN未満であれば×とした。
表5から明らかな通り、表1、2に示す適正成分組成の鋼板とアルミニウム合金板とを用い、表3に示す酸素分圧(露点)が好適な焼鈍条件D、E、F、Gで処理した各発明例1〜28は、焼鈍後の鋼板の外部酸化物層と内部酸化物とが本発明条件を満足する。また、これら酸化物条件を満足する鋼板を用い、溶接条件をe、fの適切なスポット溶接条件とした各発明例1〜28は、異材接合体接合界面のアルミニウム合金材側の接合界面における、Feの含有量が2.0質量%以下である。そして、更に、鋼材とアルミニウム合金材との接合界面に形成された前記FeとAlとの反応層の形成面積(形成割合)がスポット溶接接合面積の70%以上であり、この反応層の厚さも適切である。この結果、表5から明らかな通り、各発明例1〜28は異種接合体の接合強度(剥離強度)が2kN以上に高くなっていることが分かる。
一方、表6から明らかな通り、表1、2に示す適正成分組成の鋼板とアルミニウム合金板とを用い、表3に示す酸素分圧(露点)が好適なD、E、F、Gの焼鈍条件で処理した各比較例29〜43は、当然ながら、焼鈍後の鋼板の外部酸化物層と内部酸化物が本発明条件内である。しかし、表4におけるa〜dの不適切なスポット溶接条件とした、各比較例29〜36は、アルミニウム合金材側の接合界面におけるFeの含有量や、鋼材とアルミニウム合金材との接合界面に形成された前記FeとAlとの反応層の形成面積(形成割合)、あるいは、この反応層の厚さなども不適切である。この結果、表6から明らかな通り、異材接合体の界面反応層の厚さと形成範囲が本発明条件を満足せず、異種接合体の接合強度が著しく低くなっていることが分かる。
また、比較例37〜43は、溶接条件をe、fの適切なスポット溶接条件としており、アルミニウム合金材側の接合界面におけるFeの含有量や、前記FeとAlとの反応層の形成面積(形成割合)あるいはこの反応層の厚さも概ね本発明条件内である。しかし、表1に示す鋼板成分組成19〜25が本発明範囲から外れて不適正なため、表5から明らかな通り、異種接合体の接合強度が著しく低くなっている。
比較例37はCが高すぎ、スポット溶接部に過冷組織が発生し、割れが発生していた。比較例38はSiが高すぎ、接合界面に最適なFeとAlとの反応層を形成できなかった。比較例39はMnが高すぎ、スポット溶接部に過冷組織が発生し、割れが発生していた。比較例40はAlが高すぎ、鋼材の延性が低下し、十字引張試験において脆性的に破断し、剥離強度が低かった。比較例41はNが高すぎ、鋼材の延性が低下し、十字引張試験において脆性的に破断し、剥離強度が低かった。比較例42はCrが高すぎ、スポット溶接部に過冷組織が発生し、十字引張試験において脆性的に破断し、剥離強度が低かった。比較例43はNbが高すぎ、鋼材の延性が低下し、十字引張試験において脆性的に破断し、剥離強度が低かった。
したがって、これらの事実から、本発明の鋼材側の成分組成や酸化物条件の臨界的な意義が裏付けられる。また、異材接合体の界面反応層の厚さと形成範囲の本発明条件の意義が分かる。また、異材接合体の界面反応層の厚さと形成範囲とが本発明条件を満足し、異材接合体の接合強度を高めるためには、酸化物条件を満足する鋼板を用いるだけではなく、溶接条件を適切とする必要があることが分かる。
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本発明によれば、スポット溶接の適用条件などの制約が少なく、汎用性に優れると共に、接合部に脆弱な反応層(金属間化合物層)などが生成して接合の信頼性を阻害することがなく、高い接合強度を有する接合部を得ることのできる、鋼材とアルミニウム合金材とを溶接接合した異材接合体および異材接合方法を提供できる。このような異材接合体および異材接合方法は、自動車、鉄道車両などの輸送分野、機械部品、建築構造物等における各種構造部材およびその溶接方法として有用に適用できる。
本発明の異材接合用の鋼板断面を示す模式図である。

Claims (9)

  1. 5000系または7000系アルミニウム合金材との異材接合用鋼材であって、この鋼材の組成を、質量%で、C:0.01〜0.30%、Si:0.1〜3.00%、Mn:0.1〜3.00%を各々含有するとともに、P:0.10%以下(0%を含む)、S:0.05%以下(0%を含む)、N:300ppm以下(0%を含む)に各々規制し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるものとし、この鋼材表面上に存在する、Mn、Siを合計量で1at%以上含む外部酸化物の占める割合が、鋼生地と外部酸化物層との界面の水平方向の長さ1μmに対して占めるこの酸化物の合計長さの平均割合として、80〜100%であることを特徴とする異材接合用鋼材。
  2. 前記異材接合用鋼材が、更に、質量%で、Al:0.002〜0.1%を含有する請求項に記載の異材接合用鋼材。
  3. 前記異材接合用鋼材が、更に、質量%で、Nb:0.005〜0.10%、Ti:0.005〜0.10%、Zr:0.005〜0.10%、Cr:0.05〜3.00%、Mo:0.01〜3.00%、Cu:0.01〜3.00%、Ni:0.01〜3.00%、の1種または2種以上を含有する請求項1または2に記載の異材接合用鋼材。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の鋼材とアルミニウム合金材との異材接合体であって、上記アルミニウム合金材が、質量%でMg:1.0%以上を含む5000系または7000系アルミニウム合金からなり、異材接合体の前記アルミニウム合金材側の接合界面におけるFeの含有量が2.0質量%以下であるとともに、上記接合界面にFeとAlとの反応層が形成されていることを特徴とする異材接合体。
  5. 前記異材接合体がスポット溶接されたものであり、スポット溶接箇所毎の条件として、前記鋼材とアルミニウム合金材との接合界面に形成された前記FeとAlとの反応層のナゲット深さ方向の平均厚みが0.1〜3μmの範囲であるとともに、前記FeとAlとの反応層の形成範囲が、スポット溶接面積の70%以上の面積である請求項に記載の異材接合体。
  6. 前記異材接合体の十字引張試験片により測定された剥離強度が2kN以上である請求項4または5に記載の異材接合体。
  7. 前記異材接合体が自動車の車体構造用である請求項4乃至6のいずれか1項に記載の異材接合体。
  8. 鋼材とアルミニウム合金材との異材接合方法であって、請求項1乃至3のいずれかに記載の鋼材と、質量%でMg:1.0%以上を含む5000系または7000系アルミニウム合金からなるアルミニウム合金材とをスポット溶接またはフリクションスポット接合(摩擦攪拌接合)することを特徴とする異材接合方法。
  9. 前記鋼材とアルミニウム合金材との接合箇所毎の条件として、電極間加圧力2.0〜3.0kNにて、10〜35kAの電極間電流を、溶接されるアルミニウム合金材部分の厚みtmmとの関係で、200×tmsec以下の時間通電することにより、鋼材とアルミニウム合金材とをスポット溶接することを特徴とする請求項に記載の異材接合方法。
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