JP4427590B2 - 異材接合用鋼材、異材接合体および異材接合方法 - Google Patents

異材接合用鋼材、異材接合体および異材接合方法 Download PDF

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Description

本発明は、高い接合強度を得ることができる、アルミニウム合金材との異材接合用鋼材、鋼材とアルミニウム合金材とを接合した異材接合体および異材接合方法に関する。
近年、排気ガス等による地球環境問題に対して、自動車などの輸送機の車体の軽量化による燃費の向上が追求されている。また、この軽量化をできるだけ阻害せずに、自動車の車体衝突時の安全性を高めることも追求されている。このため、特に、自動車の車体構造に対し、従来から使用されている鋼材に代わって、より軽量で、エネルギー吸収性にも優れたアルミニウム合金材の適用が増加しつつある。ここで言う、アルミニウム合金材とは、アルミニウム合金の圧延板材、押出材、鍛造材などの総称である。
例えば、自動車のフード、フェンダー、ドア、ルーフ、トランクリッドなどのパネル構造体の、アウタパネル (外板) やインナパネル(内板) 等のパネルには、Al−Mg−Si系のAA乃至JIS6000系 (以下、単に6000系と言う) やAl−Mg系のAA乃至JIS5000系 (以下、単に5000系と言う) などのアルミニウム合金板の使用が検討されている。
また、自動車の車体衝突の安全性を確保するための、バンパ補強材(バンパリインフォースメント、バンパアマチャアとも言う)やドア補強材(ドアガードバー、ドアビームとも言う)などのエネルギー吸収部材あるいは補強材としては、Al−Zn−Mg系のAA乃至JIS7000系 (以下、単に7000系と言う) や前記6000系合金などの、アルミニウム合金押出形材が使用されている。更に、サスペンションアームなどの自動車の足回り部品には、前記6000系合金のアルミニウム合金鍛造材が使用されている。
これらのアルミニウム合金材は、オールアルミニウムの自動車車体で無い限り、通常の自動車の車体では、必然的に、元々汎用されている鋼板や型鋼などの鋼材(鋼部材)と接合して用いられる。したがって、自動車の車体にアルミニウム合金材を使用する場合(鋼材とアルミニウム合金材とを組み合わせた部材)には、これも必然的に、Fe-Al の異材接合(鉄ーアルミの異種金属部材同士の接合)の必要性がある。
しかし、このFe-Al 異材接合を溶接により行う際の問題点として、互いの接合界面における、高硬度で非常に脆いFeとAlとの金属間化合物層(以下、反応層とも言う)の生成がある。このため、見かけ上互いに接合されてはいても、本化合物層の生成が原因となって、溶接によるFe-Al 異材接合では、異材接合体に、十分な接合強度が得られないことが多い。
これを反映して、従来から、これら異材接合体(異種金属部材同士の接合体)の接合には、溶接だけでなく、ボルトやリベット等、あるいは接着剤を併用した接合がなされているが、接合作業の煩雑さや接合コスト上昇等の問題がある。
そこで、従来より、Fe-Al 異材接合の溶接法につき、通常の自動車の車体の接合に汎用されている、効率的なスポット溶接による接合が検討されている。例えば、アルミニウム材と鋼材の間に、アルミニウム−鋼クラッド材をインサートする方法が提案されている。また、鋼材側に融点の低い金属をめっきしたり、インサートしたりする方法が提案されている。更に、アルミニウム材と鋼材の間に絶縁体粒子を挟む方法や、部材に予め凹凸を付ける方法なども提案されている。更に、アルミニウム材の不均一な酸化膜を除去した後、大気中で加熱して均一な酸化膜を形成し、アルミニウム表面の接触抵抗が高められた状態で、アルミニウム−鋼の2層の複層鋼板をインサート材に用いてスポット溶接する方法も提案されている。
一方、鋼材側でも、鋼板の高強度化のために、Si、Mn、Alなどの酸化物を形成しやすい元素を添加すると、母材表面には、これらSi、Mn、Alなどを含む酸化物が生成することが公知である。そして、これらSi、Mn、Alなどを含む酸化物が、亜鉛めっきなどの表面被覆と鋼板との密着性を阻害することも知られている。更に一方では、鋼板を酸洗などして、これらSi、Mn、Alなどを含む酸化物層の厚みを0.05〜1 μm の範囲とすれば、亜鉛めっきなどの表面被覆と鋼板との密着性および鋼板同士のスポット溶接性が向上されることも知られている(特許文献1参照)。
しかし、これらの従来技術では、通常の自動車の車体の接合に汎用されている、効率的なスポット溶接による接合条件では、溶接接合されたFe-Al の異材接合体に、十分な接合強度が得られない。言い換えると、接合強度を得るためのスポット溶接条件が煩雑にならざるを得ず、現実的では無い。
これに対して、特に、自動車車体用として汎用される、6000系アルミニウム合金材などと、引張強度が450MPa以上の高強度鋼板(ハイテン材)との、異材接合体のスポット溶接を意図した技術も種々提案されている。
例えば、特許文献2、3では、板厚を3mm以下に制限した鋼材とアルミニウム合金材とを、鋼材を2枚以上重ね合わせるか、鋼材をアルミニウム合金材間に挟み込んだ形でスポット溶接することが提案されている。特許文献4では、スポット溶接部におけるナゲット面積や界面反応層の厚さを規定して接合強度を向上させることが提案されている。また、特許文献5、6では、溶接界面における、鋼材側とアルミニウム合金材側の、各生成化合物の組成や厚み、面積などを各々細かく規定して、接合強度を向上させることが提案されている。
更に、特許文献7では、特定組成の高強度鋼板において、鋼板表面上の既存の酸化物層を一旦除去した上で新たに生成させた外部酸化物層を、特定割合のMn、Si組成の酸化物とし、更に、この鋼材の鋼生地表面からの深さが10μm以下の鋼領域に存在する、Mn、Siを合計量で1at%以上含む内部酸化物の占める割合を規定して、適切なスポット溶接条件下において、異材接合体の高い接合強度を得ることが提案されている。この特許文献7では、新たに生成させたSi、Mnなどを含む外部酸化物層と、鋼生地表面直下の内部酸化物層とによって、スポット溶接時のFe、Alの拡散を抑えて、接合界面における、Al−Fe系の脆い金属間化合物層の過剰生成を抑制するものである。因みに、特許文献7では、溶接手法に限定はなく、実施例1としてスポット溶接、実施例2としてレーザ溶接、実施例3としてMIG溶接による異材接合を各々行い、異材接合体を製作している。
特開2002−294487号公報 特開2007−144473号公報 特開2007−283313号公報 特開2006−167801号公報 特開2006−289452号公報 特開2007−260777号公報 特開2006−336070号公報
これら特許文献2〜7は、共通して、特に6000系アルミニウム合金材と高強度鋼板との異材接合体のスポット溶接を意図し、適用条件などの制約が少なく汎用性に優れ、接合部での脆弱な金属間化合物生成を抑制して、接合強度を向上させることを目的としている。
しかし、これら特許文献2〜7でも、特に6000系アルミニウム合金材と高強度鋼板との異材接合体のスポット溶接に関しては、未だ接合強度などの向上の点で、改良の余地がある。特に特許文献7は、鋼材表面に新たに生成させたSi、Mnなどを含む外部酸化物層と、鋼材の生地表面直下の内部酸化物層とによって、スポット溶接時のFe、Alの拡散を抑えて、接合界面における、Al−Fe系の脆い金属間化合物層の過剰生成を抑制する点で有効である。しかし、この異材接合体の十字引張試験片により測定された剥離強度は高くても2kN未満であり、2kN以上の接合強度を得るためには未だ改良の余地がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、スポット溶接の適用条件などの制約が少なく、汎用性に優れると共に、接合部に脆弱な金属間化合物などが生成して接合の信頼性を阻害することがなく、高い接合強度を有する接合部を得ることのできる、異材接合用鋼材、異材接合体および異材接合方法を提供することにある。
(異材接合用鋼材の要旨)
この目的を達成するための本発明異材接合用鋼材の要旨は、6000系アルミニウム合金材との異材接合用鋼材であって、この鋼材の組成を、質量%で、C:0.01〜0.30%、Si:0.1〜3.00%、Mn:0.1〜3.00%を各々含有するとともに、P:0.10%以下(0%を含む)、S:0.05%以下(0%を含む)、N:300ppm以下(0%を含む)に各々規制し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるものとし、この鋼材の鋼生地表面からの深さが20μmまでの鋼領域に存在する酸化物として、結晶粒界に存在する酸化物と、Mn、Siを合計量で1at%以上含む結晶粒内に存在する酸化物との占める割合が、この鋼領域に占める平均面積割合として、5%以上20%未満であり、この鋼材表面上に存在する、Mn、Siを合計量で1at%以上含む外部酸化物の占める割合が、鋼生地と外部酸化物層との界面の水平方向の長さ1μmに対して占めるこの酸化物の合計長さの平均割合として、0.1%以上50%未満であることである。
(異材接合体の要旨)
また、上記目的を達成するための本発明異材接合体の要旨は、上記要旨の異材接合用鋼材とアルミニウム合金材との異材接合体であって、上記アルミニウム合金材が、質量%で、Mg:0.1〜3.0%、Si:0.1〜2.5%、Cu:0.001〜1.0%を各々含有する6000系アルミニウム合金からなり、異材接合体の前記アルミニウム合金材側の接合界面におけるFeの含有量が2.0質量%以下であるとともに、上記接合界面にFeとAlとの反応層が形成されていることである。
(異材接合方法の要旨)
また、上記目的を達成するための本発明異材接合方法の要旨は、鋼材とアルミニウム合金材との異材接合方法であって、互いに溶接され鋼材とアルミニウム合金材との異材接合方法であって、上記要旨の異材接合用鋼材と、質量%で、Mg:0.1〜3.0%、Si:0.1〜2.5%、Cu:0.001〜1.0%を各々含有する6000系アルミニウム合金からなるアルミニウム合金材とをスポット溶接またはフリクションスポット接合(摩擦攪拌接合)することである。
(外部酸化物層の構成)
ここで、本発明における、上記外部酸化物層における、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物以外の残部は、Mn、Siの含有量が合計量で1at%未満である酸化物と空隙であり、本発明における外部酸化物層は、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物、Mn、Siの含有量が合計量で1at%未満である酸化物、空隙とから構成される。
(本発明の好ましい態様)
前記異材接合体がスポット溶接されたものであり、スポット溶接箇所毎の条件として、前記鋼材とアルミニウム合金材との接合界面に形成された前記FeとAlとの金属間化合物層のナゲット深さ方向の平均厚みが0.1〜3μmの範囲であるとともに、前記FeとAlとの金属間化合物層の形成範囲が、スポット溶接接合面積の70%以上の面積であることが好ましい。また、前記異材接合体の十字引張試験片により測定された剥離強度が2kN以上であることが好ましい。また、前記異材接合体が自動車の車体構造用であることが好ましい。更に、前記鋼材とアルミニウム合金材との接合箇所毎の条件として、電極間加圧力2.0〜3.0kNにて、10〜35kAの電極間電流を、溶接されるアルミニウム合金材部分の厚みtmmとの関係で、200×tmsec以下の時間通電することにより、鋼材とアルミニウム合金材とをスポット溶接することが好ましい。
本発明は、鋼材の生地表面のMn、Siを含む外部酸化物層と、鋼材の生地表面直下のMn、Siを含む内部酸化物層との両者によって、スポット溶接時のFe、Alの拡散を抑えて、接合界面のAl−Fe系の脆い金属間化合物層の過剰生成を抑制する点では、前記特許文献7と同じである。ただ、前記特許文献7と大きく異なる点は、上記した要旨のように、前記外部酸化物層における、Mn、Siを含む外部酸化物(層)の占める割合を、前記特許文献7よりも少なくする。と同時に、前記Mn、Siを含む内部酸化物層を、鋼生地表面からより深く、より多く存在させる。
特に6000系アルミニウム合金材と鋼材との異材接合体のスポット溶接では、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するような条件にて溶接する。このような場合には、外部酸化物層と内部酸化物層との量的な組成バランスによって、スポット溶接時のFe、Alの拡散が大きく左右されることを本発明では知見した。即ち、接合するアルミニウム合金材の合金組成(種類)によって、この外部酸化物層と内部酸化物層との適正な組成バランス条件は異なり、外部酸化物層と内部酸化物層とのバランスを適正化することによって初めて、スポット溶接時のFe、Alの拡散が効果的に抑制できる。そして、接合界面における、Al−Fe系の脆い反応層(金属間化合物層)の過剰生成を抑制する効果がより高くなる。
これに対して、前記特許文献7では、6000系アルミニウム合金材を実施例としているものの、溶接手法や、溶接されるアルミニウム合金材と鋼材との材料の組み合わせに限定がない。言い換えると、前記特許文献7は、溶接手法や、溶接されるアルミニウム合金材と鋼材との材料の組み合わせが異なっても、同じ外部酸化物層と内部酸化物層との条件[後述する図1(b)の条件]によって、接合しようとしている。この結果、特許文献7で規定する外部酸化物層と内部酸化物層との条件では、特に6000系アルミニウム合金材と鋼材とのスポット溶接での異材接合体の場合に、後述する通り、この外部酸化物層と内部酸化物層とのバランスが悪くなる。このために、特許文献7では、その実施例の通り、特に6000系アルミニウム合金材と鋼材とのスポット溶接での異材接合体の、十字引張試験片により測定された剥離強度が、高くても2kN未満と低くならざるを得ない。これに対しては、この外部酸化物層と内部酸化物層との量的な組成バランスを適正に[後述する図1(c)の条件に]制御すれば、特に6000系アルミニウム合金材と鋼材との異材接合体のスポット溶接に関しては、2kN以上の高い接合強度が得られる。
なお、本発明でも、前記特許文献7と同様に、鋼材表面上の既存の酸化物層を、酸洗などにより一旦除去した上で、更に、酸素分圧を制御した雰囲気で焼鈍などして、新たに生成させた、鋼材の鋼生地表面上に存在する外部酸化物層を対象とする。
この点で、鋼材表面上の酸化物層を、酸洗などにより一旦除去している前記特許文献1とも共通する。但し、前記特許文献1では、本発明のように、更に、酸素分圧を制御した雰囲気で焼鈍して、外部酸化層の形成割合や、内部酸化層深さを積極的に制御してはいない。このため、前記特許文献1の外部酸化物層では、本発明で規定する、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める割合が、鋼生地と外部酸化物層との界面の水平方向の長さ1μm に対して占める、この酸化物の合計長さの平均割合として、80%を簡単に超えてしまう。この結果、前記特許文献1は、特に6000系アルミニウム合金材と鋼材との異材接合体のスポット溶接に、反応層(FeとAlとの金属間化合物層)が十分に形成されず、却って、異材接合体における冶金的接合が出来なくなる。
鋼材同士のスポット溶接とは異なり、特に6000系アルミニウム合金材と鋼材とをスポット溶接する異材接合の場合には、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解する条件で溶接する。このような条件での溶接では、前記した通り、接合界面に形成される高硬度で非常に脆いFeとAlとの金属間化合物層が形成される。このため、前記特許文献1で課題とする鋼材同士のスポット溶接性などとは溶接メカニズムが全く異なり、異種金属同士の溶接接合が著しく困難となる。
より具体的には、鋼材とアルミニウム材との異材を接合する場合、鋼材はアルミニウム材と比較して、融点、電気抵抗が高く、熱伝導率が小さいため、鋼側の発熱が大きくなり、まず低融点のアルミニウムが溶融する。アルミニウム合金材と鋼材とのスポット溶接のような、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するような条件での溶接においては、鋼材側は溶解せず、この鋼材側からFeが拡散して、界面にて、Al−Fe系の脆い反応層が形成する。
このため、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するような条件での溶接において、高い接合強度を得るためには、Al−Fe系の反応層は必要最小限に抑える必要がある。しかし、鋼材側の外部酸化物層が破壊されずに、鋼材側からのFeの拡散やAl−Fe系の反応層生成を抑制しすぎて、接合部の全面積に対する反応層の形成面積が小さすぎても、冶金的接合が出来ないために高い接合強度は得られない。したがって、高い接合強度を実現するためには、冶金的接合に必要かつ最小限の厚みのAl−Fe反応層を、接合部に出来るだけ広範囲に形成させる必要がある。
このように、特に6000系アルミニウム合金材と鋼材とをスポット溶接する異材接合の場合には、鋼材同士のスポット溶接とは溶接メカニズムが全く異なり、異種金属同士の高い接合強度を実現することが著しく困難となる。
これに対して、本発明のように、前記新たに生成させたMn、Siなどを含む外部酸化物層と内部酸化物層とを、上記要旨のように、互いの組成バランスを図った上で、互いに一定割合で存在させると、特に6000系アルミニウム合金材と鋼材とをスポット溶接する異材接合の場合に、上記反応層の過剰生成を抑制し、冶金的接合に必要かつ最小限の厚みのAl−Fe反応層を、接合部に広範囲に形成させる効果を発揮する。この結果、6000系アルミニウム合金材と鋼材とをスポット溶接するような、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するような条件での溶接異材接合の場合に、2kN以上の高い接合強度を実現できる。
(鋼材の酸化物構成)
以下に、本発明で特徴的な外部酸化物層と内部酸化物層との具体的な量的組成バランスについて説明する。
一旦酸洗された後に、異なる酸素分圧に制御した雰囲気で焼鈍された、Mn、Siを含む鋼材表面の酸化物(鋼材断面構造)を図1(a)〜図1(c)に各々模式的に示す。図1(a)は低酸素分圧 (低露点) 雰囲気にて焼鈍した場合を示す。図1(b)は中酸素分圧 (比較的高露点) 雰囲気にて焼鈍した場合を示す。図1(c)は高酸素分圧 (高露点) 雰囲気にて焼鈍した場合を示す。この内、図1(c)が、本発明で特徴的な外部酸化物層と内部酸化物層との具体的な量的組成バランスを示す。
図1(a):
図1(a)の低酸素分圧雰囲気焼鈍の場合、一旦酸洗されて既存の外部酸化物層が除去された、Mn、Siを含む鋼材は、鋼材の鋼生地表面が50nm程度の薄い外部酸化物層によって被覆されている。しかし、酸素分圧が低いために、鋼材内部にまで酸素は侵入(拡散)せず、鋼生地表面から下の鋼材内部には、粒界酸化物を含む内部酸化物は形成されない。
この外部酸化物層は、後述する図1(b)、図1(c)を含めて、共通して、既存の酸化物層が除去された後で、上記焼鈍によって新たに生成された酸化物層であり、Mn、Siが濃化して、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物、Mn、Siの含有量が合計量で1at%未満であるFe酸化物からなる酸化物、および空隙とから構成される。Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物とは、例えば、代表的にはMn2SiO4 、SiO2などからなる酸化物から構成される。また、Mn、Siの含有量が合計量で1at%未満である酸化物とは、例えば、代表的にはFe3O4 などからなる酸化物から構成される。
このような図1(a)の場合、鋼材の鋼生地表面を外部酸化物が全体的に被覆するゆえに、外部酸化物層における、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める割合は、鋼生地と外部酸化物層との界面の水平方向の長さ1μmに対して占めるこの酸化物の合計長さの平均割合として80〜100%と高くなる。したがって、このような外部酸化物層は、後述する図1(b)、図1(c)の外部酸化物層よりも、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める割合が大きく、より破壊されにくい。なお、このような図1(a)の外部酸化物層とした場合には、内部酸化物は必然的に少なくなる。したがって、例えば、鋼生地表面からの深さが20μmまでの鋼領域に存在する内部酸化物は、結晶粒界に存在する酸化物およびMn、Siを合計量で1at%以上含む粒内酸化物の占める平均面積割合で0%か、存在しても5%未満となる。
図1(b):
これに対して、図1(b)の、酸素分圧が図1(a)よりも比較的高い、中酸素分圧の雰囲気焼鈍の場合、鋼材内部にまで酸素が侵入(拡散)する。このため、一旦酸洗されて既存の外部酸化物層が除去された、Mn、Siを含む鋼材には、上記した外部酸化物層とともに、鋼生地表面から下の鋼材内部の比較的浅い、例えば、鋼材の鋼生地表面からの深さが10μm以下の鋼領域に内部酸化物が形成される。前記特許文献7で、溶接手法や、溶接されるアルミニウム合金材と鋼材との材料の組み合わせが異なっても、同じ外部酸化物層と内部酸化物層との条件としているのは、この図1(b)の条件である。
この内部酸化物のうち、粒内に生成する酸化物は、後述する図1(c)を含めて、共通して、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物、SiO2やMn2SiO4 からなる球状乃至粒状の酸化物と、Mn、Siとが合計量で1at%未満であるFe3O4 などの酸化物である。また、この際、後述する図1(c)を含めて、共通して、鋼の粒界上に粒界酸化物も形成されるが、これら粒界酸化物は概ねMn、Siを合計量で1at%以上含む粒状の酸化物である。
雰囲気焼鈍の酸素分圧が高くなるにつれて、より鋼材内部にまで酸素が侵入(拡散)する、あるいはより多く酸素が侵入(拡散)するようになり、これら内部酸化物が存在する領域が拡大するか、これら内部酸化物量が多くなる。
一方、これら内部酸化物とは逆に、雰囲気焼鈍の酸素分圧が高くなるにつれて、外部酸化物層におけるMn、Siを含む酸化物の占める割合は減るようになる。即ち、図1(b)における外部酸化物層では、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める割合は、鋼生地と外部酸化物層との界面の水平方向の長さ1μmに対して占めるこの酸化物の合計長さの平均割合として50〜80%となり、前記図1(a)の場合よりは低くなる。
図1(c):
この図1(c)は、酸素分圧が図1(b)よりも更に高い、高酸素分圧の雰囲気焼鈍の場合を示し、本発明で特徴的な外部酸化物層と内部酸化物層との具体的な量的組成バランスを示す。この図1(c)の場合には、図1(b)よりも更に、鋼材内部にまで酸素が侵入(拡散)する。このため、一旦酸洗されて既存の外部酸化物層が除去された、Mn、Siを含む鋼材には、前記外部酸化物層とともに、上記した内部酸化物が、鋼生地表面から下の鋼材内部の比較的深い領域、より鋼材内部に深く形成される。これらの内部酸化物は、主としてこの鋼材の鋼生地表面から20μmの深さまでの鋼領域に形成される。
これに対して、外部酸化物層におけるMn、Siを含む酸化物の占める割合は、この図1(c)の場合は、前記図1(b)の場合よりも更に減る。即ち、図1(c)の場合、外部酸化物層における、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める割合は、鋼生地と外部酸化物層との界面の水平方向の長さ1μmに対して占めるこの酸化物の合計長さの平均割合として0.1%以上、50%未満と、最も低くなる。このような外部酸化物層は、前記した図1(a)、図1(c)の外部酸化物層よりも、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める割合が最も小さく、より破壊されやすい。
ここで、通常の軟鋼材などの鋼材の表面上の外部酸化層は、通常、αFeOOH 、γFeOOH 、無定形オキシ水酸化物、Fe3O4 などの酸化物から構成される。これに対して、本発明のようなMn、Siを含むハイテンであって、一旦酸洗された後に、上記したように酸素分圧を制御した雰囲気で焼鈍された、鋼材の表面上の外部酸化層は、Mn、Siを合計量で1at%以上含む上記酸化物と、残部は、Mn、Siとが合計量で1at%未満であるFe3O4 などの酸化物、および空隙とから構成される。
(外部酸化層の作用)
図1の鋼材とアルミニウム合金材との溶接接合時には、鋼材表面上の上記外部酸化層を破って、鋼材とアルミニウム合金材との接合面に、Al−Fe反応層が形成される。この点で、鋼材表面上の上記外部酸化層には、接合時のFeとAlの拡散を抑えて、Al−Fe系の脆い金属間化合物層 (反応層) 生成を抑制する効果がある。
しかし、特に6000系アルミニウム合金材と鋼材とをスポット溶接するような異材接合の場合、このような効果は、鋼材表面上に上記組成の外部酸化層があれば発揮されるのではなく、一定割合のMn、Siを含む酸化物相が一定量以下の比較的少量だけ存在する場合に限定される。即ち、図1(c)の場合のように、外部酸化物層における、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める割合が、鋼生地と外部酸化物層との界面の水平方向の長さ1μmに対して占めるこの酸化物の合計長さの平均割合として50%以下の場合にしか、このような効果は発揮されない。
この理由は、通常の6000系アルミニウム合金材には、鋼材表面上の上記外部酸化層を還元によって破れるだけの強力な還元剤となる合金元素を含んでおらず、鋼材との界面に、これらの合金元素を存在させられないからである。このため、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するようなスポット溶接の場合に、例え、アルミニウム合金側が溶解しても、鋼材との界面では、鋼材表面上の外部酸化層を還元により破壊して、鋼材側からのFeの拡散を促すことが困難となる。この結果、冶金的接合に必要かつ最小限の厚みのAl−Fe反応層を、接合部に出来るだけ広範囲に形成させることが困難となる。
前記特許文献7の、6000系アルミニウム合金材と鋼材との異材接合体のスポット溶接例における接合強度が、高くても2kN未満であり、2kN以上の接合強度を得られなかった大きな理由の一つは、このためである。前記特許文献7では、高強度鋼板表面上に新たに生成させた外部酸化物層を、本発明と同じ、特定割合のMn、Si組成の酸化物としている。しかし、その割合は、前記図1(b)における外部酸化物層と同じであり、前記平均割合が50%以上(50〜80%)と多すぎる。この結果、強力な還元剤となる合金元素を含まない6000系アルミニウム合金材に対して、前記外部酸化物層は、容易には破壊されない障壁として働きすぎ、溶接時に、鋼材側からのFeの拡散を促すことが困難となる。
したがって、6000系アルミニウム合金材と鋼材とをスポット溶接するような異材接合であって、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するようなスポット溶接では、外部酸化物層における、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める割合を、鋼生地と外部酸化物層との界面の水平方向の長さ1μmに対して占めるこの酸化物の合計長さの平均割合として50%未満とする。
一方で、外部酸化物層における、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める前記平均割合が少なすぎると、前記した、通常の軟鋼材などの鋼材の表面上の外部酸化層と大差なくなる。このため、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するようなスポット溶接の場合にでも、また、強力な還元剤となる合金元素を含まない6000系アルミニウム合金材のような場合でも、容易に外部酸化物層が破壊される。この結果、溶解したアルミニウム合金側への、鋼材側からのFeの拡散が過剰に促進され、接合界面における、Al−Fe系の脆い反応層の過剰生成を抑制することができずに、異材接合体の接合強度が著しく低下する。
したがって、先ず、本発明では、鋼材の鋼生地表面上に存在する外部酸化物層において、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める割合は、鋼生地と外部酸化物層との界面の水平方向の長さ1μmに対して占めるこの酸化物の合計長さの平均割合として、0.1%以上、50%未満、好ましくは0.1%以上、30%未満、より好ましくは0.1%以上、5%未満とする。
このような外部酸化物層を得るために、図1(c)の場合のように、雰囲気焼鈍の酸素分圧をより高くして、前記内部酸化物をより鋼材内部にまでより深く形成される一方で、外部酸化物層におけるMn、Siを含む酸化物の占める割合を大きく減らした高酸素分圧の雰囲気焼鈍の場合とする。
これによって、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するようなスポット溶接の場合に、接合時のFeとAlの拡散を抑えて、Al−Fe系の脆い金属間化合物層 (反応層) 生成を抑制する効果がより大きくなる。これによって、スポット溶接接合界面における反応層の平均厚みは、後述する通り、0.1〜10μmの最適範囲に制御される。この結果、特に6000系アルミニウム合金材と鋼材とのスポット溶接された異材接合体について、前記2kN以上の高い接合強度が得られる。
(内部酸化物の作用)
鋼生地表面直下の内部酸化物層には、鋼材表面上の上記外部酸化層と同様に、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するようなスポット溶接の場合に、接合時のFeの拡散を抑えて、Al−Fe系の脆い金属間化合物層 (反応層) 生成を抑制する効果がある。
即ち、鋼材とアルミニウム合金材との溶接接合時には、鋼材の内部酸化物は、鋼材表面上の前記外部酸化物層を破って形成されたAl−Fe反応層中に固溶し、Fe、Alの拡散を抑制して、反応層が過剰に生成するのを抑制する。これらの機能を有する内部酸化物は、SiO2やMn2SiO4などの球状酸化物からなり、Mn、Siを合計量で1at%以上含むものである。
しかし、特に6000系アルミニウム合金材と鋼材とをスポット溶接するような異材接合の場合、このような効果は、鋼生地表面直下に内部酸化物層があれば発揮されるのではなく、一定割合のMn、Siを含む酸化物相が一定量以上で、かつ、鋼生地表面直下の一定以上の深さに存在する場合に限定される。即ち、図1(c)の場合のように、これらの内部酸化物を所定の割合で含む内部酸化物層が、この鋼材の鋼生地表面から深さ方向に20μm以上形成される場合にしか、このような効果は発揮されない。
この理由は、前記した通り、通常の6000系アルミニウム合金材には、鋼材表面上の上記外部酸化層を還元によって破れるだけの強力な還元剤となる合金元素を含んでおらず、鋼材との界面に、これらの合金元素を存在させられないからである。このため、本発明では、前記した通り、強力な還元剤となる合金元素を含まない6000系アルミニウム合金材に対して、前記外部酸化物層を比較的容易に破壊される障壁としている。ただ、このように、前記外部酸化物層を比較的容易に破壊されるようにした場合には、前記外部酸化物層のFe、Alの拡散に対する障壁効果が比較的低下するために、Fe、Alの拡散を効果的に抑制するためには、前記内部酸化物の働きがより重要となる。
即ち、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するようなスポット溶接の場合には、内部酸化物が、鋼材表面上の前記外部酸化物層を破って次々と形成されるAl−Fe反応層中に、溶接時を通じて持続的に、より多く固溶して、Fe、Alの拡散を抑制し、反応層が過剰に生成するのを抑制する必要がある。このためには、図1(c)の場合のように、この内部酸化物量を確保するために、内部酸化物の密度の確保とともに、この内部酸化物を所定の割合で含む内部酸化物層を、鋼材の鋼生地表面から少なくとも20μm以上形成する必要がある。
前記特許文献7の、6000系アルミニウム合金材と鋼材との異材接合体のスポット溶接例における接合強度が、高くても2kN未満であり、2kN以上の接合強度を得られなかった大きな理由の一つは、このためである。前記特許文献7では、内部酸化物層を、本発明と同じ、特定割合のMn、Si組成の酸化物として存在させている。しかし、その内部酸化物層の存在領域は、前記図1(b)における内部酸化物層と同じであり、鋼材の鋼生地表面から10μm以下の、比較的浅い鋼領域にしか形成していない。このため、内部酸化物が、鋼材表面上の前記外部酸化物層を破って次々と形成されるAl−Fe反応層中に固溶する点は同じであるが、溶接時を通じた、持続的でより多くの固溶はできない。言い換えると、Fe、Alの拡散を抑制し、反応層が過剰に生成するのを抑制する効果が、形成されるAl−Fe反応層に対して少なくなる。この結果、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するようなスポット溶接の場合には、特に、冶金的接合に必要かつ最小限の厚みのAl−Fe反応層を、接合部に出来るだけ広範囲に形成させることが困難となる。
ただ、このような表面組織を有する鋼材では、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物が、鋼材内部深くまで多く存在すると、溶接条件によって、却って、接合時のFeとAlの拡散が抑制されすぎて、反応層の厚みを十分に確保できなかったり、均一に反応層を生成させるのが困難となり、高い接合強度が得られなくなる可能性もある。したがって、この内部酸化物層を必要以上に深く設ける必要はない。
よって、6000系アルミニウム合金材と鋼材とをスポット溶接するような異材接合であって、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するようなスポット溶接では、Mn、Siを合計量で1at%以上含む内部酸化物を所定の割合で含む内部酸化物層を、この鋼材の鋼生地表面から少なくとも20μmまでの深さの鋼領域に存在させる。このことをより具体的に定義すると、鋼材の鋼生地表面からの深さが20μmまでの鋼領域に存在する、粒界酸化物とMn、Siを合計量で1at%以上含む粒内酸化物の占める割合を、この鋼領域の視野面積10μm2 内において占める平均面積割合として、5%以上で20%未満とする。なお、内部酸化物のうち、粒内に生成する酸化物は、前述した通り、Mn、Siを合計量で1at%以上含む球状乃至粒状の酸化物と、Mn、Siが合計量で1at%未満であるFe3O4 などの酸化物があり、一方、鋼の粒界上に形成される酸化物は概ねMn、Siを合計量で1at%以上含む粒状の酸化物である。そこで、本件発明においては、内部酸化物の規定において、粒界に存在する酸化物およびMn、Siを合計量で1at%以上含む結晶粒内に存在する酸化物の占める割合を5%以上で20%未満とする。
これによって、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するようなスポット溶接の場合に、接合時のFeとAlの拡散を抑えて、Al−Fe系の脆い金属間化合物層 (反応層) 生成を抑制する効果がより大きくなる。これによって、スポット溶接接合界面における反応層の平均厚みは、後述する通り、0.1〜10μmの最適範囲に制御される。この結果、特に6000系アルミニウム合金材と鋼材とのスポット溶接された異材接合体について、前記2kN以上の高い接合強度が得られる。
Mn、Siを合計量で1at%以上含む内部酸化物の密度が前記平均面積割合として5%未満では、この内部酸化物が存在する鋼材の深さ領域を満足したとしても、内部酸化物の密度が少なすぎて、前記効果発揮のための内部酸化物の量が不足する。一方、Mn、Siを合計量で1at%以上含む内部酸化物の密度が前記平均面積割合として20%以上となった場合は、却って、鋼材とアルミニウム材との接合界面における反応層が局所的に成長して、均一に成長せず、適切な溶接条件としても、冶金的接合が不可能となる可能性が高い。
(鋼材内部組織)
前記した通り、鋼材では、この内部酸化物層を、20μmを大きく超えて深く設ける必要はない。したがって、鋼材の鋼生地表面からの深さが20μmを超えて30μm以下の鋼領域に存在する、粒界酸化物とMn、Siを合計量で1at%以上含む粒内酸化物との占める割合を、この鋼領域の視野面積10μm2 内において占める平均面積割合として、10%以下とすることが好ましい。
(酸化物の測定方法)
本発明における酸化物の測定は、EDX(エネルギー分散型X線分光法)を併用した1万〜3万倍の倍率のTEM(透過型電子顕微鏡)にて行なう。即ち、外部酸化物は、EDXにより、鋼材の厚み方向断面における、鋼生地と外部酸化物層との界面を水平方向に分析することによって、界面近傍の外部酸化物層中のMn、Siの合計量を求め、Mn、Siを合計量で1at%以上含む界面近傍の酸化物の相 (複数の酸化物) を、それ以外の相と区別して特定する。次いで、TEMにより、このEDX分析と同じ界面領域における、このMn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物相の、上記界面における水平方向の長さを求める。そして、界面の水平方向の長さ1μmに対して占める、この酸化物相の合計長さの割合を求める。これを複数箇所にて行い、平均化する。
内部酸化物は、前記した、鋼材の鋼生地表面からの深さが20μmまでの所定の鋼領域の複数箇所における、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物を、前記したEDXにより、それ以外の相と区別して特定する。そして、TEMにより、このEDXと同じ界面領域における、このMn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物相の、視野面積10μm2 内において占める面積割合を各々求める。ここで、この鋼領域における粒界酸化物の占める面積も、前述の通り、この鋼領域におけるMn、Siを合計量で1at%以上含む内部酸化物として、内部酸化物の占める面積割合に加える。これを複数箇所にて行い平均化する。なお、鋼材の鋼生地表面からの深さが20μmを超えて、30μm以下の鋼領域に存在する、粒界酸化物と、Mn、Siを合計量で1at%以上含む粒内酸化物との占める割合も同様の方法で測定する。
(酸化物層制御)
これら鋼材の外部酸化物および内部酸化物の制御は、前記した通り、鋼材の焼鈍条件(酸素分圧)を制御することにより行なうことができる。より具体的には、鋼材の焼鈍雰囲気中の酸素分圧(露点)を変えて制御できる。いずれの鋼種においても、酸素分圧(露点)が高い場合は、鋼材表面上の外部酸化物層中のMn、Siが濃化した酸化物量が少なくなる。また、鋼内部まで酸化し、内部酸化、粒界酸化が進んで、鋼内にSiO2、Mn2SiO4 などが形成され、鋼内に占めるMn、Siを含む酸化物の面積割合が高まる。
一方、いずれの高強度鋼の鋼種においても、酸素分圧(露点)が低い場合は、鋼材表面上の外部酸化物層中の、Mn2SiO4 、SiO2などのMn、Siが濃化した酸化物は形成されるが、その量乃至面積割合は多くなる。その一方で、鋼内部の酸化は進みにくくなり、鋼内のSiO2、Mn2SiO4 などの形成量は少なくなり、鋼内に占めるMn、Siを含む酸化物の面積割合は少なくなる。
(異材接合体の接合界面における反応層)
上記のように表面の酸化物層を制御した鋼材とアルミニウム材とを溶接にて接合した異材接合体においては、適切な溶接条件とすることによって、高い接合強度が得られる。但し、溶接素材側の条件を整えても、溶接施工条件 (溶接条件) によっては、高い接合強度を実現できない場合がある。
このため、異材接合体側から見て、高い接合強度を得るための条件を規定して、溶接条件も、この異材接合体側条件に合うように制御して最適化する必要がある。したがって、本発明では、好ましくは、異材接合体として高い接合強度を得るための、スポット溶接条件を規定する。
前記した通り、異材接合体側から見ると、冶金的接合に必要かつ最小限の厚みのFeとAlの反応層を、接合部に出来るだけ広範囲に形成させる必要がある。即ち、先ず、冶金的接合に必要かつ最小限の厚みとして、アルミニウム材との接合界面における反応層のナゲット深さ方向 (鋼材の板厚方向) の平均厚みを0.1〜10μmの範囲に制御することが必要である。
鋼材とアルミニウム材との溶接接合界面では、反応層として、鋼材側には層状のAl5Fe2系化合物層、アルミニウム材側には粒状または針状のAl3Fe 系化合物とAl19Fe4Si2Mn系化合物とが混在した層、を各々有する。
これらの脆い反応層のナゲット深さ方向の厚みが10μmを超えると、接合強度は著しく低下する。一方、反応層のナゲット深さ方向の厚みが0.1μmより薄い場合は、冶金的接合が不充分となり、十分な接合強度が得られない。したがって、上記表面の酸化物層を制御した鋼材とアルミニウム材との接合界面における反応層の平均厚みは0.1〜10μmの範囲とする。
(反応層の形成範囲)
次ぎに、異材接合体における上記FeとAlの反応層を、接合部に出来るだけ広範囲に形成させる必要がある。即ち、接合後の前記反応層の形成範囲が、スポット溶接やFSW(摩擦攪拌接合)などの点溶接では、接合面積 (鋼材の水平方向、ナゲット深さ方向に直角の方向) の70%以上の面積であることが好ましい。
反応層は上記適正な厚み範囲の上で、この適正な厚み範囲が、出来るだけ広範囲に均一に形成されないと、確実に冶金的接合が達成できない可能性がある。これに対して、上記適正な厚み範囲の反応層が、上記70%以上形成されれば十分な接合強度が確実に得られる。
(異材接合体の接合界面における反応層の測定)
上記本発明における反応層の測定は、後述する実施例の通り、鋼材−アルミ材との接合部を切断して、断面より接合界面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察し、反応層の上記測定を行なう。
(鋼材の化学成分組成)
先ず、本発明が対象とする鋼材の成分組成について以下に説明する。本発明では、Si、Mnなどを含む引張強度が450MPa以上の高強度鋼材(ハイテン)を主たる対象とする。更には、表面上の既存の酸化物層を酸洗などにより一旦除去した上で、更に、酸素分圧を制御した雰囲気で焼鈍などした場合に、Si、Mnなどを所定量含む外部酸化物層を新たに生成させ得る鋼材を対象とする。
このため、鋼材の成分組成については、Si、Mnなどを所定量含むことを前提に、質量%で、C:0.01〜0.30%、Si:0.1〜3.00%、Mn:0.1〜3.00%を各々含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成とする。また、これに加えて、更に、Al:0.002〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成としても良い。また、更に、このAlに加えて、あるいはAlの代わりに、Nb:0.005〜0.10%、Ti:0.005〜0.10%、Zr:0.005〜0.10%、Cr:0.05〜3.00%、Mo:0.01〜3.00%、Cu:0.01〜3.00%、Ni:0.01〜3.00%、の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成としても良い。
ここで、鋼材の不純物としてのP、S、Nなどは、鋼材の靱性や延性、あるいは接合強度などの諸特性を低下させるので、P:0.10%以下(0%を含む)、S:0.05%以下(0%を含む)、N:300ppm以下(0%を含む)に、各々規制する。なお、本発明における化学成分の単位(各元素の含有量)は、アルミニウム合金を含めて、すべて質量%である。
鋼材の各成分元素の限定理由は以下の通りである。
C:
Cは強度上昇に必要な元素であるが、含有量が0.01%未満では鋼材の強度確保ができず、また0.30%を超えると冷間加工性が低下する。したがって、C含有量は0.01〜0.30%の範囲とする。
Si、Mn:
Si、Mnは、鋼材の表面にSiまたはMnを所定量含む、前記外部酸化物層を形成する。この外部酸化物層は、FeとAlの異材接合の場合に、互いの母材側からのFeとAlの拡散を妨害し、脆い金属間化合物の形成を最小限に抑えることができる。また、金属間化合物の脆性の改善にも役立っている。
更に、Si、Mnは、鋼材の内部にSiまたはMnを所定量含む、前記内部酸化物層を形成する。この内部酸化物層は、鋼材表面上の外部酸化物層を破って形成されたAl−Fe反応層中に固溶し、互いの母材側からのFe、Alの拡散を防いで、反応層が過剰に生成するのを抑制する。
したがって、鋼材におけるSi、Mnの含有量が少な過ぎると、上記外部酸化物層や内部酸化物層が不足して、後述する通り、異材接合体の接合強度を向上できない。一方、鋼材におけるSi、Mnの含有量が多過ぎると、後述する通り、却って、異材接合体の接合強度を低下させる。このため、適切な上記外部酸化物層や内部酸化物層を形成するためには、鋼材におけるSi、Mnは、本発明で規定する含有量の範囲内であることが必要である。
Si:
Siは、鋼材の延性を劣化させずに、必要な強度確保が可能な元素としても重要であり、そのためには0.1%以上の含有量が必要である。一方、3.00%を超えて含有すると延性が劣化してくる。したがって、Si含有量は、この理由からも0.1〜3.00%の範囲とする。
Mn:
Mnも、鋼材の強度と靱性を確保するための元素としても必要不可欠で、含有量が0.1%未満ではその効果は得られない。一方、含有量が3.00%を超えると著しく強度が上昇し冷間加工が困難となる。したがって、Mn含有量は、この理由からも0.1〜3.00%の範囲とする。
Al:
Alは、溶鋼の脱酸元素として、固溶酸素を捕捉するとともに、ブローホールの発生を防止して、鋼の靭性向上の為にも有効な元素である。Al含有量が0.002%未満ではこれらの十分な効果が得られず、一方で、0.1%を超えると、逆に溶接性を劣化させたり、アルミナ系介在物の増加により鋼の靭性を劣化させる。したがって、Al含有量は0.002〜0.1%の範囲とする。
Nb、Ti、Zr、Cr、Mo、Cu、Niの1種または2種以上:
Nb、Ti、Zr、Cr、Mo、Cu、Niの1種または2種以上の含有は、共通して、鋼の高強度化や高靭性化に寄与する。
この内、Ti、Nb、Zrは、鋼中に炭窒化物として析出して強度を高め、鋼のミクロ組織を微細化して強度、靭性等を向上させる。但し、多量に含有させると、靭性を大幅に劣化させる。したがって、含有させる場合は、Nb:0.005〜0.10%、Ti:0.005〜0.10%、Zr:0.005〜0.10%の各範囲とする。
また、この内、Cr、Mo、Cu、Niは鋼の焼き入れ性を向上させて、強度を向上させる。但し、多量に含有させると、鋼の靭性を大幅に劣化させる。したがって、含有させる場合は、Cr:0.05〜3.00%、Mo:0.01〜3.00%、Cu:0.01〜3.00%、Ni:0.01〜3.00%の範囲とする。
(鋼材の強度)
本発明においては、自動車部材などの用途から、引張強度が450MPa以上の高強度鋼材(ハイテン)を主たる対象とする。これより低強度鋼では、一般に低合金鋼が多く、酸化皮膜がほぼ鉄酸化物であるため、FeとAlの拡散が容易となり、脆い反応層が形成しやすい。また、Si、Mn量が少ないために、鋼材の表面および内部に、本発明における母材のFeとAlの拡散抑制に必要な前記Si、Mnを含む酸化物が形成されにくく、Si、Mnを含む、外部と内部との酸化物(層)の組成や厚みの制御ができず、溶接時の反応層の制御が困難となる。更には、鋼材の強度が不足するために、スポット溶接時の電極チップによる加圧によって、鋼材の変形が大きくなり、酸化皮膜が容易に破壊されるため、アルミニウムとの反応が異常に促進され、脆い金属間化合物が形成しやすくなる。
(アルミニウム合金材)
本発明で用いるアルミニウム合金材は、質量%で、Mg:0.1〜3.0%、Si:0.1〜2.5%、Cu:0.001〜1.0%を各々含有するAl−Mg−Si系の、AA乃至JIS規格における6000系アルミニウム合金とする。この合金材は、自動車車体の各部用途に応じて、形状を特に限定するものではなく、前記した、汎用されている板材、形材、鍛造材、鋳造材などが適宜選択される。ただ、アルミニウム材の強度についても、上記鋼材の場合と同様に、スポット溶接時の加圧による変形を抑えるために高い方が望ましい。
前記自動車車体パネル用などとしては、優れたプレス成形性やBH性(ベークハード性)、強度、溶接性、耐食性などの諸特性が要求される。このような要求を満足するために、6000系アルミニウム合金板としての組成は、質量%で、Mg:0.1〜1.0%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.01〜1.0%、Cu:0.001〜1.0%を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金とすることが好ましい。また、BH性をより優れさせるためには、SiとMgとの質量比Si/ Mgが1 以上であるような過剰Si型の6000系アルミニウム合金板とされることが好ましい。
また、前記自動車車体補強材用の押出材などとしては、優れた曲げ圧壊性や耐食性などの諸特性が要求される。このような要求を満足するために、6000系アルミニウム合金押出材の組成は、質量%で、Mg:0.30〜1.0%、Si:0.30〜1.0%、Fe:0.01〜0.40%、Mn:0.001〜0.30%、Cu:0.001〜0.65%を各々含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金とすることが好ましい。更に、前記した各好ましい組成に加えて、Cr:0.001〜0.2%、Zr:0.001〜0.2%の一種または二種を合計量で0.30%以下、あるいはZn:0.001〜0.25%、Ti:0.001〜0.10%の一種または二種を選択的に含ませても良い。
これ以外のその他の元素は、基本的には不純物であり、AA乃至JIS規格などに沿った各不純物レベルの含有量 (許容量) とする。しかし、リサイクルの観点から、溶解材として、高純度Al地金だけではなく、6000系合金やその他のアルミニウム合金スクラップ材、低純度Al地金などを溶解原料として多量に使用した場合には、不純物元素が混入される可能性が高い。そして、これら不純物元素を例えば検出限界以下に低減すること自体コストアップとなり、ある程度の含有の許容が必要となる。したがって、その他の元素は、各々AA乃至JIS規格などに沿った許容量の範囲での含有を許容する。
上記6000系アルミニウム合金における、各元素の含有意義は以下の通りである。
Si:SiはMgとともに、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの前記低温での人工時効処理時に、強度向上に寄与する時効析出物を形成して、時効硬化能を発揮し、例えば180MPa以上の必要強度(耐力)を得るための必須の元素である。含有量が不足するとこのような効果が得られず、含有量が多すぎるとプレス成形性や曲げ加工性等の成形性が著しく低下し、更に溶接性も大きく阻害される。
Mg:Mgも、固溶強化と、塗装焼き付け処理などの前記人工時効処理時に、Siとともに強度向上に寄与する時効析出物を形成して、時効硬化能を発揮し、パネルとして、前記必要耐力を得るための必須の元素である。含有量が不足するとこのような効果が得られず、含有量が多すぎるとプレス成形性や曲げ加工性等の成形性が著しく低下する。
Cu:Cuは、比較的低温短時間の人工時効処理の条件で、アルミニウム合金材組織の結晶粒内への強度向上に寄与する時効析出物の形成を促進させる効果がある。また、固溶したCuは成形性を向上させる効果もある。含有量が不足するとこのような効果が得られず、含有量が多すぎると耐食性や溶接性を著しく劣化させる。
Mn:Mnは、均質化熱処理時に分散粒子 (分散相) を生成し、これらの分散粒子には再結晶後の粒界移動を妨げる効果があるため、微細な結晶粒を得ることができる効果がある。プレス成形性やヘム加工性はアルミニウム合金組織の結晶粒が微細なほど向上する。含有量が不足するとこのような効果が得られず、含有量が多すぎると機械的性質を低下させる。また曲げ加工性などの成形性が低下する。
Fe:Feは、Mn、Cr、Zrなどと同じ働きをして、分散粒子 (分散相) を生成し、再結晶後の粒界移動を妨げ、結晶粒の粗大化を防止するとともに、結晶粒を微細化させる効果がある。含有量が不足するとこのような効果が得られず、含有量が多すぎると粗大な晶出物を生成しやすくなり、破壊靱性および疲労特性などを劣化させる。
Zn:Znは固溶強化にて強度の向上に寄与する他、時効処理に際して、最終製品の時効硬化を著しく促進する効果も有する。含有量が不足するとこのような効果が得られず、含有量が多すぎると、応力腐食割れや粒界腐食の感受性を著しく高め、耐食性や耐久性を低下させる。
Ti:Tiは、鋳塊の結晶粒を微細化し、押出材組織を微細な結晶粒とする効果がある。含有量が不足するとこのような効果が得られず、含有量が多すぎると、粗大な晶析出物を形成し、補強材としての前記曲げ圧壊性や耐食性などの要求特性や、押出材の曲げ加工性などを低下させる原因となる。
Cr、Zr:Cr、Zrの遷移元素は、Mnと同じく、Al−Cr系、Al−Zr系などの金属間化合物からなる分散粒子 (分散相) を生成して、結晶粒の粗大化を防止するために有効である。含有量が不足するとこのような効果が得られず、含有量が多すぎると、粗大な晶析出物を形成し、含有量が多すぎると、補強材としての前記曲げ圧壊性や耐食性などの要求特性や、機械的性質を低下させる。また曲げ加工性などの成形性が低下する。
(鋼材やアルミニウム合金材の厚み)
また、鋼材やアルミニウム合金材の溶接される部分の厚み(板厚など)は、特に限定されず、自動車部材などの適用部材の必要強度や剛性などの設計条件から適宜選択乃至決定される。
但し、自動車部材などを想定すると、実用的には鋼材の(溶接される部分の)厚みtは0.3〜3.0mmから選択される。鋼材の厚みが薄すぎる場合、自動車部材としての必要な強度や剛性を確保できず不適正である。また、それに加えて、例えば、スポット溶接による場合には、その電極チップによる加圧によって、鋼材の変形が大きく、酸化皮膜が容易に破壊されるため、アルミニウムとの反応が促進される。その結果、金属間化合物が形成しやすくなる。一方、鋼材の厚みが厚すぎる場合、スポット溶接接合自体が難しくなる。
また、アルミニウム合金材の(溶接される部分の)厚みtは、同様に自動車部材などを想定すると、0.3〜5.0mmの範囲から選択される。アルミニウム合金材の厚みが薄すぎる場合、自動車部材としての強度が不足して不適切であるのに加え、ナゲット径が得られず、アルミニウム材料表面まで溶融が達しやすくチリができやすいため、高い接合強度が得られない可能性がある。一方、アルミニウム合金材の厚みが厚すぎる場合、前記した鋼材の板厚の場合と同様に、溶接接合自体が難しくなる。
(接合方法)
なお、本発明において、溶接方法は、前提として、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するような溶接を選択する。この点で、接合方法は、スポット溶接、またはフリクションスポット接合(摩擦攪拌接合、FSW、スポットFSWとも言う)に限定される。即ち、鋼材側もアルミニウム合金材側も両方が溶解するようなMIG溶接、レーザー溶接は対象外であり、両方とも溶解しない超音波接合、拡散接合、摩擦圧接、ろう付けなどの溶接手法も対象外である。なお、生産性や適切な条件の採用のし易さなどから、フリクションスポット接合よりもスポット溶接による接合の方がより好ましい。
また、鋼材側が溶解せずに、アルミニウム合金材側のみが溶解するようにするための、スポット溶接の接合箇所毎の好ましい条件としては、電極間加圧力2.0〜3.0kNにて、10〜35kAの電極間電流を、接合されるアルミニウム合金材部分の厚みtmmとの関係で、200×tmsec以下の時間通電することである。これらを外れた、後述する表4に示すa〜dのような不適切なスポット溶接条件では、異材接合体の高い接合強度が得られない。
以下、実施例としてスポット溶接による異材接合を各々行い、異材接合体を製作した。そして、これら各異材接合体の接合強度を測定、評価した。
具体的には、表1に示す各成分組成にて溶製して1.2mm厚まで圧延した鋼板を、一旦酸洗して既存の表面酸化層を除去した後、表3に示すA、B、C、D、E、F、Gの各条件で焼鈍雰囲気中の酸素分圧(露点)を種々変え、但し、焼鈍温度は1000℃、焼鈍時間は2000secと共通して一定にして、表面および表面層の酸化構造の異なる鋼板を作製した。ここで、表1 に示す各成分組成の鋼板は全て本発明が対象とする高強度鋼板であり、各鋼板の引張強度は、全て450MPa以上の780〜1280MPaの範囲である。
これら焼鈍後の各鋼板の外部酸化物層組成、内部酸化物層組成などの各酸化構造も表3に各々示す。表3に示す焼鈍条件の内、順次酸素分圧(露点)が高くなるD、E、F、Gは酸素分圧(露点)が好適な焼鈍条件である。このため、表3に示すように、焼鈍条件D、E、F、Gは、焼鈍後の鋼板の外部酸化物層と内部酸化物とが本発明条件を満足する。即ち、外部酸化物層におけるMn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める割合が、鋼生地と外部酸化物層との界面の水平方向の長さ1μmに対して占める、この酸化物の合計長さの平均割合が0.1%以上、50%未満の範囲内である。
また、焼鈍条件D、E、F、Gは、内部酸化物1(鋼板の鋼生地表面からの深さが20μmまでの鋼領域に存在する、粒界酸化物とMn、Siを合計量で1at%以上含む粒内酸化物)の占める割合が、この鋼領域の視野面積10μm2 内において占める平均面積割合として、5%以上で20%未満の範囲内である。更に、内部酸化物2(鋼板の鋼生地表面からの深さが20μmを超えて30μm以下の鋼領域に存在する、粒界酸化物とMn、Siを合計量で1at%以上含む粒内酸化物)の占める割合が、この鋼領域の視野面積10μm2 内において占める平均面積割合として10%以下である。
ただ、これらの焼鈍条件の内、Gは酸素分圧(露点)が限界程度に高い例である。このため、焼鈍後の鋼板の外部酸化物層における上記酸化物の合計長さの平均割合が、範囲内ではあるが下限に近く、0.5%程度と著しく少なくなる。その一方で、内部酸化物1、2の占める割合が、範囲内ではあるが上限に近く、著しく高くなっている。
これに対して、表3に示す焼鈍条件の内、A、B、Cは、前記焼鈍条件D、E、F、Gに比して、酸素分圧(露点)が低過ぎる比較例である。このため、表3に示すように、焼鈍後の鋼板の外部酸化物層における上記酸化物の合計長さの平均割合が50%を超えてしまう。したがって、表3に示す焼鈍条件の内、これらA、B、Cの焼鈍条件は、各鋼板の外部酸化物層組成、内部酸化物層組成などの各酸化構造が最適条件から外れ、異材接合体の接合強度が低下することが明確である。このため、これらA、B、Cの焼鈍条件で焼鈍した各鋼板は、スポット溶接による異材接合体は製作しなかった。
なお、各鋼板の接合相当部における各酸化構造は、各々下記測定方法により測定した。
(外部酸化物形成範囲)
外部酸化物は、断面試料を集束イオンビーム加工装置 (FIB:Focused Ion Beam Process、日立製作所製:FB-2000A)により製作し、前記EDX(型式:NORAN-VANTAGE) により、鋼板の厚み方向断面における、鋼生地と外部酸化物層との界面を水平方向に分析することによって、界面近傍の外部酸化物層中のMn、Siの合計量を求め、Mn、Siを合計量で1at%以上含む界面近傍の酸化物の相 (複数の酸化物) を、それ以外の相と区別して特定した。次いで、10万倍の倍率のTEM(JEOL製電界放射型透過電子顕微鏡:JEM-2010F、加速電圧200kv ) により断面観察し、前記EDX と同じ界面領域における、このMn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物相の、上記界面における水平方向の長さを求める。そして、界面の水水平方向の長さ1 μm に対して占める、この酸化物相の合計長さの割合を求めた。これを各々3 視野にて行い、それらの平均値を求めた。
(内部酸化物占有面積率)
内部酸化物は、鋼板の鋼生地表面からの深さが、図1(c)の場合のように、この鋼材の鋼生地表面から20μmまでの深さの鋼領域における内部酸化物を内部酸化物1、および鋼板の鋼生地表面からの深さが20μmを超えて30μm以下の鋼領域における内部酸化物を内部酸化物2として、これらの組成を分析した。組成分析は、これら各鋼領域におけるMn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の平均面積割合にて行う。先ず、これら各鋼領域におけるMn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物を、前記EDX により、それ以外の相と区別して特定する。そして、3 万倍の倍率のTEM(JEOL製電界放射型透過電子顕微鏡:JEM-2010F、加速電圧200kV ) により断面観察し、前記EDX と同じ界面領域における、このMn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物相の、10μm2当たりの視野面積 (地鉄面積) 内において占める面積割合を各々求めた。ここで、粒界酸化物の占める面積も、Mn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物に加える。これを各々3 視野にて行い、それらの平均値を求めた。
これら酸化構造の異なる各鋼板と、各例とも共通して表2に示す組成で、板厚1〜1.6mmの6000系アルミニウム合金板とを、JIS A 3137記載の十字引張試験片形状に加工して重ね合わせ、表4に示すa、b、c、d、e、fの各条件でスポット溶接を行い、異材接合した。ここで、後述する表5に示す剥離強度から評価される通り、表4に示すa〜dは不適切なスポット溶接条件、e、fは適切なスポット溶接各条件である。
なお、表4に示すスポット溶接は、共通して、直流抵抗溶接試験機を用い、表4に示す加圧力、溶接電流、溶接時間にて、1点当たりのスポット溶接を行った。また、共通して、Cu−Cr合金からなるドーム型の電極を用い、正極をアルミニウム材、負極を鋼材とした。
(界面反応層の厚さと形成範囲)
このようにして製作した各異材接合体の、界面反応層の厚さと形成範囲とを測定した。これらの結果を表5に示す。界面反応層の厚さ測定は、各スポット溶接部の中央にて切断し、樹脂に埋め込んで研磨をし、接合部全体に渡り0.5mm間隔でSEM観察を行った。反応層の厚さが1μm以上の場合は2000倍の視野にて、1μm未満の場合は10000倍の視野にて測定し、各スポット溶接部ごとに平均値を求め、30点のスポット溶接部の平均値を界面反応層の平均厚みとした。また、界面反応層の形成範囲は、各スポット溶接部において、スポット全面積に対する反応層形成面積の割合を求め、30点のスポット溶接部の平均値を求めた。
(アルミニウム合金材側の接合界面における元素量)
同じく、製作した各異材接合体の、アルミニウム合金材側の接合界面における、Feの含有量(質量%:表5では界面でのAl中Fe濃度と表示)を測定した。これらの結果を表5に示す。
分析には、EPMA:日本電子製X線マイクロアナライザー(JXA−8800RL)を使用し、加速電圧15kV、照射電流0.3μAと一定にして測定した。分析対象は、前記各スポット溶接部の中央にて切断した断面とし、アルミニウム合金材と鋼材との接合界面を中心に、アルミニウム合金材側と鋼材側とに各0.5mm入った内部まで分析した。そして、アルミニウム合金材内部側のアルミニウム合金材が元々含有しているFeの含有量を差し引き、アルミニウム合金材側の接合界面における、Feの含有量(質量%:表5では界面でのAl中Fe濃度と表示)とを測定した。
これら製作した各異材接合体の十字引張試験を行い、剥離強度を求めた。これらの結果も表5に示す。剥離強度は、A6022アルミニウム材同士のスポット溶接接合強度=1.0kNを参考にして、2.0kN以上であれば○、2.0kN未満であれば×とした。
表5から明らかな通り、表1、2に示す適正成分組成の鋼板と6000系アルミニウム合金板とを用い、表3に示す酸素分圧(露点)が好適な焼鈍条件D、E、F、Gで処理した各発明例1〜23は、焼鈍後の鋼板の外部酸化物層と内部酸化物とが本発明条件を満足する。特に、焼鈍条件Fは外部酸化物層のMn、Siを合計量で1at%以上含む酸化物の占める前記割合として、好ましい範囲である0.1%以上、30%未満、焼鈍条件Gはより好ましい範囲である0.1%以上、5%未満を満足する。また、これら酸化物条件を満足する鋼板を用い、溶接条件をe、fの適切なスポット溶接条件とした各発明例は、異材接合体接合界面のアルミニウム合金材側の接合界面における、Feの含有量が2.0質量%以下である。そして、更に、鋼材とアルミニウム合金材との接合界面に形成された前記FeとAlとの反応層の形成面積(形成割合)がスポット溶接接合面積の70%以上であり、この反応層の厚さも適切である。この結果、表5から明らかな通り、各発明例は異種接合体の接合強度(剥離強度)が2kN以上に高くなっていることが分かる。
一方、表5から明らかな通り、表1、2に示す適正成分組成の鋼板と6000系アルミニウム合金板とを用い、表3に示す酸素分圧(露点)が好適なD、E、F、Gの焼鈍条件で処理した各比較例24〜31は、当然ながら、焼鈍後の鋼板の外部酸化物層と内部酸化物が本発明条件内である。しかし、表4におけるa〜dの不適切なスポット溶接条件とした、これら各比較例24〜31は、アルミニウム合金材側の接合界面におけるFeの含有量や、鋼材とアルミニウム合金材との接合界面に形成された前記FeとAlとの反応層の形成面積(形成割合)、あるいは、この反応層の厚さなども不適切である。この結果、表5から明らかな通り、異材接合体の界面反応層の厚さと形成範囲が本発明条件を満足せず、異種接合体の接合強度が著しく低くなっていることが分かる。
また、比較例32〜38は、成分組成が適正な6000系アルミニウム合金板を用い、表3に示す酸素分圧(露点)が好適なEの焼鈍条件で処理し、溶接条件をe、fの適切なスポット溶接条件として、焼鈍後の鋼板の外部酸化物層と内部酸化物が概ね本発明条件内である。また、アルミニウム合金材側の接合界面におけるFeの含有量も概ね本発明条件内である。しかし、表1に示す鋼板成分組成19〜25が本発明範囲から外れて不適正なため、表5から明らかな通り、異種接合体の接合強度が著しく低くなっている。
比較例32はCが高すぎ、スポット溶接部に過冷組織が発生し、割れが発生していた。比較例33はSiが高すぎ、接合界面に最適なFeとAlとの反応層を形成できなかった。比較例34はMnが高すぎ、スポット溶接部に過冷組織が発生し、割れが発生していた。比較例35はAlが高すぎ、鋼材の延性が低下し、十字引張試験において脆性的に破断し、剥離強度が低かった。比較例36はNが高すぎ、鋼材の延性が低下し、十字引張試験において脆性的に破断し、剥離強度が低かった。比較例37はCrが高すぎ、スポット溶接部に過冷組織が発生し、十字引張試験において脆性的に破断し、剥離強度が低かった。比較例38はNbが高すぎ、鋼材の延性が低下し、十字引張試験において脆性的に破断し、剥離強度が低かった。
したがって、これらの事実から、本発明の鋼材側の成分組成や酸化物条件の臨界的な意義が裏付けられる。また、異材接合体の界面反応層の厚さと形成範囲の本発明条件の意義が分かる。また、異材接合体の界面反応層の厚さと形成範囲とが本発明条件を満足し、異材接合体の接合強度を高めるためには、酸化物条件を満足する鋼板を用いるだけではなく、溶接条件を適切とする必要があることが分かる。
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本発明によれば、スポット溶接の適用条件などの制約が少なく、汎用性に優れると共に、接合部に脆弱な反応層(金属間化合物層)などが生成して接合の信頼性を阻害することがなく、高い接合強度を有する接合部を得ることのできる、鋼材とアルミニウム合金材とを溶接接合した異材接合体および異材接合方法を提供できる。このような異材接合体および異材接合方法は、自動車、鉄道車両などの輸送分野、機械部品、建築構造物等における各種構造部材およびその溶接方法として有用に適用できる。
本発明の異材接合用の鋼板断面を示す模式図である。

Claims (9)

  1. 6000系アルミニウム合金材との異材接合用鋼材であって、この鋼材の組成を、質量%で、C:0.01〜0.30%、Si:0.1〜3.00%、Mn:0.1〜3.00%を各々含有するとともに、P:0.10%以下(0%を含む)、S:0.05%以下(0%を含む)、N:300ppm以下(0%を含む)に各々規制し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるものとし、この鋼材の鋼生地表面からの深さが20μmまでの鋼領域に存在する酸化物として、結晶粒界に存在する酸化物と、Mn、Siを合計量で1at%以上含む結晶粒内に存在する酸化物との占める割合が、この鋼領域に占める平均面積割合として、5%以上20%未満であり、この鋼材表面上に存在する、Mn、Siを合計量で1at%以上含む外部酸化物の占める割合が、鋼生地と外部酸化物層との界面の水平方向の長さ1μmに対して占めるこの酸化物の合計長さの平均割合として、0.1%以上50%未満であることを特徴とする異材接合用鋼材。
  2. 前記異材接合用鋼材が、更に、質量%で、Al:0.002〜0.1%を含有する請求項に記載の異材接合用鋼材。
  3. 前記異材接合用鋼材が、更に、質量%で、Nb:0.005〜0.10%、Ti:0.005〜0.10%、Zr:0.005〜0.10%、Cr:0.05〜3.00%、Mo:0.01〜3.00%、Cu:0.01〜3.00%、Ni:0.01〜3.00%、の1種または2種以上を含有する請求項1または2に記載の異材接合用鋼材。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の鋼材とアルミニウム合金材との異材接合体であって、上記アルミニウム合金材が、質量%で、Mg:0.1〜3.0%、Si:0.1〜2.5%、Cu:0.001〜1.0%を各々含有する6000系アルミニウム合金からなり、異材接合体の前記アルミニウム合金材側の接合界面におけるFeの含有量が2.0質量%以下であるとともに、上記接合界面にFeとAlとの反応層が形成されていることを特徴とする異材接合体。
  5. 前記異材接合体がスポット溶接されたものであり、スポット溶接箇所毎の条件として、前記鋼材とアルミニウム合金材との接合界面に形成された前記FeとAlとの反応層のナゲット深さ方向の平均厚みが0.1〜3μmの範囲であるとともに、前記FeとAlとの反応層の形成範囲が、スポット溶接面積の70%以上の面積である請求項に記載の異材接合体。
  6. 前記異材接合体の十字引張試験片により測定された剥離強度が2kN以上である請求項4または5に記載の異材接合体。
  7. 前記異材接合体が自動車の車体構造用である請求項4乃至6のいずれか1項に記載の異材接合体。
  8. 鋼材とアルミニウム合金材との異材接合方法であって、請求項1乃至3のいずれかに記載の鋼材と、質量%で、Mg:0.1〜3.0%、Si:0.1〜2.5%、Cu:0.001〜1.0%を各々含有する6000系アルミニウム合金からなるアルミニウム合金材とをスポット溶接またはフリクションスポット接合(摩擦攪拌接合)することを特徴とする異材接合方法。
  9. 前記鋼材とアルミニウム合金材との接合箇所毎の条件として、電極間加圧力2.0〜3.0kNにて、10〜35kAの電極間電流を、溶接されるアルミニウム合金材部分の厚みtmmとの関係で、200×tmsec以下の時間通電することにより、鋼材とアルミニウム合金材とをスポット溶接することを特徴とする請求項に記載の異材接合方法。
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