JP5134257B2 - 半導体パッケージ用樹脂組成物、半導体パッケージの成形方法および半導体パッケージ用樹脂組成物供給装置 - Google Patents
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Description
すなわち、エポキシ樹脂組成物を用いた低圧トランスファ成形では、粉末のエポキシ樹脂組成物をタブレット状に賦形してから、金型内のポットに投入し、加熱溶融させながらプランジャーで加圧することにより、金型キャビティ内に移送し、加熱硬化させる。しかしながら、この成形方法ではエポキシ樹脂組成物をタブレット状に賦形することが前提となるために、賦形の工程が必要である。また、成形される半導体パッケージの形状や大きさにより必要なタブレットの形状は種々異なるので、賦形には多数の金型を必要とする。
さらに、成形毎にタブレットの投入と熱溶融が必要であるために、成形サイクルを一定時間以下に短縮することができないという問題がある。また、固体のエポキシ樹脂組成物から金属異物等を除くのも容易ではない。一方、液状のエポキシ樹脂組成物を用いてディッピング、ポッティング、スクリーン印刷、転写またはディスペンスを行う場合、常温で液状であり、容易に流動するという液状樹脂組成物本来の基本性能を確保するために、固体のエポキシ樹脂組成物と比べて以下の致命的な問題がある。すなわち、フィラーの高充填化ができない、固体のエポキシ樹脂組成物を構成する高性能の固体エポキシ樹脂を採用することができないという問題である。
すなわち、本発明は、以下の半導体パッケージ用樹脂組成物、半導体パッケージの成形方法および半導体パッケージ用樹脂組成物供給装置を提供するものである。
1. エポキシ樹脂、硬化剤、潜在性を示す硬化促進剤および充填剤からなる半導体パッケージ用樹脂組成物であって、35℃以下において固体としての性状を示すと共に、45℃から105℃の温度範囲において液状化し、かつ170〜200℃の温度において3分間以内で硬化することを特徴とする賦形されていない半導体パッケージ用樹脂組成物。
2. 前記エポキシ樹脂がクレゾールノボラックタイプのエポキシ樹脂、ビフェニルタイプのエポキシ樹脂および多官能のエポキシ樹脂から選ばれるいずれか、前記硬化剤がフェノールノボラック樹脂またはアラルキルフェノール樹脂、前記潜在性を示す硬化促進剤がマイクロカプセル型の硬化触媒、包接タイプの硬化触媒、窒素系のジシアンジアミド、尿素系化合物、潜在性を示す高融点触媒、およびリン系触媒から選ばれるいずれかである上記1記載の半導体パッケージ用樹脂組成物。
3.半導体パッケージ用樹脂組成物がタブレット賦形されていない上記1または2に記載の半導体パッケージ用樹脂組成物。
4. 基板に接続された半導体素子を樹脂組成物にて封止して半導体パッケージを成形する方法において、保温タンクに収納され、液状化された上記1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物を、パイプを通して、上記半導体素子の封止に用いる金型に供給することを特徴とする半導体パッケージの成形方法。
5. 半導体素子の封止に用いる金型が、半導体封止用トランスファ成形装置に搭載された成形金型である上記4に記載の半導体パッケージの成形方法。
6. 45℃から105℃の範囲で加熱して液状化される上記3〜5のいずれかに記載の半導体パッケージの成形方法。
7. 少なくとも減圧機能、保温機能および加圧機能を備えた保温タンク、およびそれに接続するパイプを有し、かつ上記1〜3のいずれかに記載の半導体パッケージ用樹脂組成物を、上記パイプを通して半導体素子封止成形用金型のポットに搬送する機構を有することを特徴とする半導体パッケージ用樹脂組成物供給装置。
8. さらに、保温タンクを交換するためのタンク替え機構、該保温タンクの位置を上下左右に駆動するための駆動機構を有し、かつパイプがストッピング機構および樹脂組成物注入口を有する上記7に記載の半導体パッケージ用樹脂組成物供給装置。
上記硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、当量比で、通常0.7〜1.2程度、好ましくは0.9〜1.1である。
これらの硬化促進剤の使用量は、上記フェノール性水酸基含有化合物との合計量基準で0.1〜1.0質量%である。
充填材における球状シリカの割合は、通常80質量%以上、好ましくは85〜95質量%である。
本発明の樹脂組成物は、これらの配合成分を万能混合機などによって混合することにより得ることができる。なお、本発明の樹脂組成物を製造する際には、タンク詰めに際して減圧脱気を行うことが好ましく、信頼性を保持するためには再脱気を行うことがより好ましい。
この成形方法において、上記半導体素子は、ワイヤーボンディングおよびボールボンディングなどの方法で基板に接続されている。基板としては、リードフレーム基板および有機基板などが挙げられる。
図1を参照して、本発明の半導体パッケージ用樹脂組成物供給装置について説明する。本発明の樹脂組成物を成形装置に送り込む樹脂供給装置1は、当該樹脂組成物の供給源である保温タンク2、および加熱溶融時に減圧して樹脂組成物内部の気泡を除くための減圧弁3を基本構成とする。図1において、4は保温タンク2中の樹脂組成物を送出するためのパイプ、5は保温タンク2を交換するためのタンク替え機構、6は保温タンク2の位置を上下左右に駆動するための駆動機構、7は加圧弁である。パイプ4は、ストッピング機構8および樹脂組成物注入口9を有している。また、成形装置10において、11は上金型、12は下金型、13は金型のポット、14はプランジャー、15はランナー、16はキャビティである。
金型のポット13に対する注入口9の数および位置は、金型のポット13に適合した数および位置であることが望ましい。また、注入口9は、樹脂組成物を定量吐出するための機構を備えていることが好ましい。
上述した各機構は、マイクロコンピュータによって制御されることが好ましい。本発明の樹脂組成物供給装置は、新造の成形装置に組み込むことによって性能が発揮されるが、容易に既存の低圧トランスファ成形装置に付帯させることができる。
[実施例1]
万能混合機を用いて、エポキシ樹脂組成物を調製した。まず、クレゾールノボラックエポキシ樹脂(融点65℃)16質量部とフェノールノボラック樹脂(融点75℃)7質量部を85℃に加熱し、攪拌して溶融し、次に、カップリング剤(エポキシシラン)0.3質量部、ワックス(カルノウバ天然ワックス)0.3質量部および高粘度系シリコーンオイル(GE東芝シリコーン社製、商品名 10M)0.2質量部を加えた後、微細粉砕シリカ(平均粒径1μm、ふるい径45μm)4質量部を徐々に加え、次いで、球状シリカ(平均粒径12μm、ふるい径45μm)74質量部を徐々に加え、球状シリカを加え終わった後、すばやくトリフェニルホスフィン(粉砕平均粒径0.03mm)0.10質量部とジシアンジアミド(粉砕平均粒径0.03mm)0.10質量部との混合物を散布し、攪拌しながら減圧脱気して、樹脂タンクに注入し、すばやく冷却した。保管は冷凍(−40℃)で行った。使用する前日より冷蔵庫(5℃)に保管し、常温戻しを行った。この樹脂組成物は、75℃以下で固体状となり、80℃以上で液状を示した。
次に、図1に示す樹脂組成物供給装置Aと同様の基本構成を有する樹脂組成物供給装置にて、樹脂組成物供給プロセスの確認を行った。この樹脂組成物供給装置には上下左右駆動装置を設けず、手動にてノズル(図1の注入口9に対応)の位置を調整した。また、圧入パイプ(図1の参照番号4に対応)に1個のノズルのみを設けた状態で樹脂組成物供給プロセスの確認を行った。用いた樹脂組成物供給装置の主要項目は、樹脂タンク容量2L、圧入圧力0.2MPa、減圧能力133Pa、樹脂タンクの加熱温度90℃、パイプ径10.2mm、パイプ長(タンク出口からノズル先端まで)1200mmとして。
目視により判定した。
(2)離型性
DIPタイプのテストパッケージ金型を用いて成形を行い、離型性に支障があるか否かを確認した。
(3)内部巣
上記(2)で得られたDIP成形品をカットし、光学顕微鏡にて0.25μm以上のボイドの有無を確認した。
(4)プレッシャクッカーテスト(PCT)
アルミニウム配線を有するテスト素子をリードフレームに搭載し、金ワイヤーで接続した後、実施例1の条件で成形した。得られたパッケージについて121℃のプレッシャクッカーでテストを行い、断線とショートを観察した。
(5)サーマルサイクルテスト(TCT)
上記(4)と同様のパッケージについて、125℃と−55℃の温度サイクルにおける
断線とショートを観察した。
実施例1において、エポキシ樹脂組成物をタンクに入れずに平板として流し出し、急冷した後、粉砕し、樹脂粉とした後に、打錠用の金型を用いてタブレットを成形し、実施例1と同様の成形条件でトランジスタパッケージを成形した。その後、パッケージを200℃の条件で、1時間かけて後硬化を行った。その際、パッケージの成形状態、成形品の状態およびパッケージの信頼性を、上記の方法により評価した。結果を表1に示す。
硬化剤として有機酸無水物を用い、万能混合機にてエポキシ樹脂組成物を調製した。まず、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(液状)16質量部と有機酸無水物(液状;HHPA)7質量部脂を85℃に加熱し、攪拌して溶融し、次に、カップリング剤(エポキシシラン)0.3質量部、ワックス(カルノウバ天然ワックス)0.3質量部および高粘度系シリコーンオイル(GE東芝シリコーン社製、商品名 10M)0.2質量部を加えた後、微細粉砕シリカ(平均粒径1μm、ふるい径45μm)4質量部徐々に加え、次いで、球状シリカ(平均粒径12μm、ふるい径45μm)74質量部を徐々に加え、加え終わった後すばやくトリフェニルホスフィン(粉砕平均粒径0.03mm)0.15質量部とジシアンジアミド(粉砕平均粒径0.03mm)0.15質量部との混合物を散布し、攪拌しながら減圧脱気して、樹脂タンクに注入し、すばやく冷却した。保管は冷凍(−40℃)で行った。使用する前日より冷蔵庫(5℃)に保管し、常温戻しを行った。この樹脂組成物は、常温で液状を示した。
次に、実施例1で用いたものと同様の樹脂組成物供給装置および成形装置にて、成形を行った。成形条件は、金型温度190℃、成形圧力78MPa、成形時間3分間とした。成形後に、パッケージを200℃の条件で、1時間かけて後硬化を行った。その際、パッケージの成形状態、成形品の状態およびパッケージの信頼性を、上記の方法により評価した。結果を表1に示す。
2 保温タンク
3 減圧弁
4 パイプ
5 タンク替え機構
6 上下左右駆動台
7 加圧弁
8 ストッピング機構
9 注入口
10 成形装置
11 上金型
12 下金型
13 ポット
Claims (8)
- エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤および充填剤からなる半導体パッケージ用樹脂組成物であって、35℃以下において固体としての性状を示すと共に、45℃から105℃の温度範囲において液状化し、かつ170〜200℃の温度において3分間以内で硬化することを特徴とする賦形されていない半導体パッケージ用樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂がクレゾールノボラックタイプのエポキシ樹脂、ビフェニルタイプのエポキシ樹脂および多官能のエポキシ樹脂から選ばれるいずれか、前記硬化剤がフェノールノボラック樹脂またはアラルキルフェノール樹脂、前記硬化促進剤がマイクロカプセル型の硬化触媒、包接タイプの硬化触媒、窒素系のジシアンジアミド、尿素系化合物、潜在性を示す高融点触媒、およびリン系触媒から選ばれるいずれかである請求項1記載の半導体パッケージ用樹脂組成物。
- 半導体パッケージ用樹脂組成物がタブレット賦形されていない請求項1または2に記載の半導体パッケージ用樹脂組成物。
- 基板に接続された半導体素子を樹脂組成物にて封止して半導体パッケージを成形する方法において、保温タンクに収納され、液状化された請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物を、パイプを通して、上記半導体素子の封止に用いる金型に供給することを特徴とする半導体パッケージの成形方法。
- 半導体素子の封止に用いる金型が、半導体封止用トランスファ成形装置に搭載された成形金型である請求項4に記載の半導体パッケージの成形方法。
- 45℃から105℃の範囲で加熱して液状化される請求項3〜5のいずれかに記載の半導体パッケージの成形方法。
- 少なくとも減圧機能、保温機能および加圧機能を備えた保温タンク、およびそれに接続するパイプを有し、かつ請求項1〜3のいずれかに記載の半導体パッケージ用樹脂組成物を、上記パイプを通して半導体素子封止成形用金型のポットに搬送する機構を有することを特徴とする半導体パッケージ用樹脂組成物供給装置。
- さらに、保温タンクを交換するためのタンク替え機構、該保温タンクの位置を上下左右に駆動するための駆動機構を有し、かつパイプがストッピング機構および樹脂組成物注入口を有する請求項7に記載の半導体パッケージ用樹脂組成物供給装置。
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