以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる形態で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、端部の密着性の高い半導体装置を作製する工程について説明する。
図1に示すように、基板101上に剥離層102を形成し、剥離層102上に絶縁層103を形成し、絶縁層103上に素子形成層104を形成し、素子形成層104に接着剤105を用いて第1の可撓性基板106を貼りあわせる。
基板101としては、ガラス基板、石英基板の他、金属基板、ステンレス基板、シリコンウエハー等の一表面に絶縁層を形成したもの、本工程の処理温度に耐えうる耐熱性があるプラスチック基板等を用いる。ガラス基板や、一表面に絶縁層が形成された金属基板及びステンレス基板には、大きさや形状に制約がないため、例えば、基板101として、1辺が1メートル以上であって、矩形状のものを用いれば、生産性を格段に向上させることができる。この利点は、円形のシリコン基板を用いる場合と比較すると、大きな優位点である。
剥離層102は、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、珪素(Si)から選択された元素、又は元素を主成分とする合金材料、又は元素を主成分とする化合物材料からなる層を、単層又は積層して形成する。珪素を含む層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。
剥離層102が単層構造の場合、好ましくは、タングステン層、モリブデン層、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成する。又は、タングステンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、モリブデンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物若しくは酸化窒化物を含む層を形成する。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相当する。
剥離層102が積層構造の場合、好ましくは、1層目としてタングステン層、モリブデン層、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成し、2層目として、タングステン、モリブデン又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物、窒化物、酸化窒化物又は窒化酸化物を含む層を形成する。
剥離層102として、タングステン層とタングステンの酸化物を含む層の積層構造を形成する場合、タングステン層を形成し、その上層に酸化物で形成される絶縁層を形成することで、タングステン層と絶縁層との界面に、タングステンの酸化物を含む層が形成されることを活用してもよい。
タングステンの酸化物は、WOxで表される。Xは、2≦x≦3の範囲内にあり、xが2の場合(WO2)、xが2.5の場合(W2O5)、xが2.75の場合(W4O11)、xが3の場合(WO3)などがある。
また、上記の工程によると、基板101に接するように剥離層102を形成しているが、本発明はこの工程に制約されない。基板101に接するように下地となる絶縁層を形成し、その絶縁層に接するように剥離層102を設けてもよい。
絶縁層103は、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、無機化合物を用いて単層又は積層で形成する。無機化合物の代表例としては、酸化珪素、窒化酸化珪素、及び酸化窒化珪素等が挙げられる。また、絶縁層を積層で形成する場合、酸化珪素、窒化酸化珪素、及び酸化窒化珪素を積層して形成しても良い。また、剥離層102上に絶縁層を形成する前に、剥離層表面に、熱酸化処理、酸素プラズマ処理、N2Oプラズマ処理、オゾン水等の酸化力の強い溶液での処理等を行って酸化物層を形成してもよい。
素子形成層104は、絶縁層103上に形成される複数の薄膜集積回路で構成される。薄膜集積回路は、薄膜トランジスタ、ダイオード、抵抗、容量素子等の素子を適宜用いて形成される。なお、素子形成層104は有機化合物層を有する。
また、薄膜集積回路は、アンテナ、整流回路、保持容量、定電圧回路等の電源回路、復調回路、クロック生成・補正回路、コード認識及び判定回路、メモリコントローラ、メモリ、符号化回路、変調回路、インターフェースなどの演算処理手段(所謂CPUとしての機能を奏する。)等のいずれか複数の回路で構成される。なお、このような薄膜集積回路を有する半導体装置は、非接触でデータの伝送が可能な半導体装置として機能する。
また、薄膜集積回路は、画素回路、走査線駆動回路、信号線駆動回路、コントローラ、演算処理手段、メモリ、電源回路、音声処理回路、送受信回路、バッテリー、アンテナ、整流回路、保持容量、定電圧回路等の電源回路等のいずれか複数の回路で構成される。なお、このような薄膜集積回路を有する半導体装置は、表示装置として機能する。特に、アンテナ、整流回路、保持容量、定電圧回路等の電源回路を有することにより非接触で伝送されたデータの表示が可能な表示装置として機能する。
また、剥離層102、絶縁層103、及び素子形成層104として、SOI(silicon on insulator)基板、代表的にはSIMOX(separation by implanted oxygen)基板を用いて用いても良い。代表的には、シリコンウエハーを剥離層102とし、シリコンウエハー上の酸化珪素層を絶縁層103とし、その上に形成される単結晶シリコンで形成されるMOSトランジスタを有する層を素子形成層104としてもよい。この場合、図1(B)において、研削研磨装置や、エッチング剤を用いて、シリコンウエハーを除去して、剥離層102から絶縁層103及び素子形成層104を分離することができる。
接着剤105は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等に代表される有機樹脂を用いる。
第1の可撓性基板106としては、代表的には、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルスルホン)、ポリプロピレン、ポリプロピレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリサルフォン、ポリフタールアミド等からなる基板、又は繊維質な材料からなる紙を用いることができる。
又、第1の可撓性基板106として、表面が熱可塑性樹脂層であるフィルム(ラミネートフィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる))を用いてもよい。ラミネートフィルムは、最外層に設けられた熱可塑性樹脂層(接着層ではない)を加熱処理によって溶かし、加圧により接着することで、被処理体にフィルムを接着することが可能である。
次に、図1(B)に示すように、基板101から絶縁層103を剥離する。
剥離方法として、剥離層102と絶縁層103との界面で、基板101及び素子形成層104を物理的手段により剥離する。物理的手段とは、力学的手段または機械的手段を指し、何らかの力学的エネルギー(機械的エネルギー)を変化させる手段を指している。物理的手段は、代表的には機械的な力を加えること(例えば人間の手や把持具で引き剥がすことや、ローラーを回転させる分離処理)である。なお、接着剤105を用いて素子形成層104に第1の可撓性基板106を貼りあわせる前に、レーザ光を素子形成層104に照射して絶縁層103から素子形成層104にかけて形成される開口部(剥離層102の一部を露出する開口部)を形成してもよい。当該処理を行うことで、物理的手段に剥離する際、剥離層102と絶縁層103との界面で剥離しやすくなり、歩留まり及びスループットを向上させることができる。
また、剥離方法として、基板101に透光性を有する基板を用い、剥離層102に水素を含む非晶質珪素膜を用い、基板101側からのレーザ光を照射して剥離層102である非晶質珪素膜に含まれる水素を気化させて、基板101と剥離層102との間、または剥離層102と絶縁層103との間で剥離する方法を用いることができる。
また、基板101を機械的に研磨し除去する方法や、HF等の基板を溶解する溶液を用いて基板101を除去して、絶縁層103から基板101を剥離する方法を用いることができる。この場合、剥離層102を用いなくともよい。
また、素子形成層104に接着剤105を用いて第1の可撓性基板106に貼りあわせる前に、素子形成層104及び絶縁層103に開口部を形成し、該開口部にNF3、BrF3、ClF3等のフッ化ハロゲンガスを導入し、剥離層102をフッ化ハロゲンガスでエッチングし除去する。この後、素子形成層104に接着剤105を用いて第1の可撓性基板106を貼りあわせて、基板101から素子形成層104を剥離する方法を用いることができる。
また、接着剤105を用いて素子形成層104に第1の可撓性基板106を貼りあわせる前に、素子形成層104及び絶縁層103に開口部を形成し、該開口部にNF3、BrF3、ClF3等のフッ化ハロゲンガスを導入し、剥離層102の一部をフッ化ハロゲンガスでエッチングし除去する。この後、素子形成層104に接着剤105を用いて第1の可撓性基板106を貼りあわせて、基板101から素子形成層104を物理的手段により剥離する方法を用いることができる。
ここでは、図1(B)に示すように、物理的手段により、剥離層102と絶縁層103との間で分離し、基板101から素子形成層104を剥離する。
次に、図1(C)に示すように、絶縁層103の一部を選択的に除去し素子形成層104の一部を露出して、分離された絶縁層111を形成する。図12に示すように、素子形成層104において薄膜集積回路が形成される領域116の周辺部117と重複する絶縁層103を選択的に除去することが好ましい。絶縁層103の一部を選択的に除去する方法としては、ドライエッチング法やウエットエッチング法を用いた化学的除去方法や、ブレードを用いたダイシング法やレーザカット法等の物理的除去方法を適宜用いることができる。
上記物理的除去方法を用いることにより、素子形成層104の表面を若干エッチングする。このとき、エッチングされた表面には凹凸が形成される。このような凹凸があると、後に素子形成層104の表面に接着剤を用いて可撓性基板を貼り付ける場合、素子形成層104、接着剤114、及び第2の可撓性基板115の密着性が高まるため好ましい。
また、絶縁層103を選択的に除去したことにより露出される素子形成層104の表面は、有機化合物で形成されていることが好ましい。さらに、素子形成層104の表面が有機化合物層でない場合には、素子形成層の一部を除去して、素子形成層中の有機化合物層を露出すればよい。この結果、後に素子形成層104の表面に接着剤を用いて可撓性基板を貼り付ける場合、素子形成層と接着剤との密着性が高まる。
次に、図1(D)に示すように、分離された絶縁層111及び素子形成層104の露出部に、接着剤114を用いて第2の可撓性基板115を貼り付ける。接着剤114及び第2の可撓性基板115はそれぞれ、接着剤105及び第1の可撓性基板106と同じ材料を適宜用いることができる。ここでは、分離された絶縁層111の周囲において、素子形成層104の有機化合物層の表面と、有機化合物で形成される接着剤とが接着されているため、当該領域において密着性が高い。
次に、素子形成層104及び接着剤114が接着する領域、即ち第1の可撓性基板106、接着剤105、素子形成層104、接着剤114、第2の可撓性基板115が積層する領域を切断手段112により切断する。この結果、図1(E)に示すような、分離された第1の可撓性基板106a、分離された接着剤105a、分離された素子形成層104(以下、薄膜集積回路104aとも示す。)、分離された絶縁層111、分離された接着剤114a、及び分離された第2の可撓性基板115aで構成される半導体装置113を作製することができる。
ここでの半導体装置113は、端部において分離された絶縁層111が露呈していない。言い換えれば、分離された絶縁層111の端部は、分離された第1の可撓性基板106a及び分離された第2の可撓性基板115aの端部より内側に位置する。即ち、分離された絶縁層111と薄膜集積回路104aとの界面や、分離された絶縁層111と分離された接着剤114aとの界面等の密着性の悪い界面が露呈せず、分離された第1の可撓性基板106aと、分離された接着剤105aと、薄膜集積回路104aと、分離された接着剤114aと、分離された第2の可撓性基板115aとの界面が露呈している。このため、当該端部においてそれぞれの密着性が高い。切断手段112としては、ダイシング装置、スクライビング装置、レーザ照射装置等を適宜用いることができる。
なお、第1の可撓性基板として、表面が熱可塑性樹脂層である基板を用いる場合、接着剤を用いずとも、第1の可撓性基板に素子形成層を接着することが可能である。具体的には、第1の可撓性基板を加熱しながら素子形成層に圧着すると、表面の熱可塑性樹脂層が可塑化し、接着剤として機能し、素子形成層と第1の可撓性基板とを接着する。この後、第1の可撓性基板を冷却すると、熱可塑性樹脂層は硬化する。この結果、接着剤を用いずとも、素子形成層に第1の可撓性基板を接着することが可能である。なお、第2の可撓性基板として表面が熱可塑性樹脂層である基板を用いる場合も同様である。
第1の可撓性基板106及び第2の可撓性基板115として、表面が熱可塑性樹脂層である基板を用いると、図1(A)において第1の可撓性基板106は素子形成層104に接し、図1(D)において第2の可撓性基板115は素子形成層104に接する。また、当該基板を用いて作製された半導体装置は、分離された第1の可撓性基板106aと、薄膜集積回路104aと、分離された第2の可撓性基板115aとの界面が、端部において露呈される。
なお、図2(A)に示すように、素子形成層104上に厚さ5〜10μmの有機樹脂層107を設けてもよい。このように素子形成層104上に有機樹脂層107を形成することにより、剥離工程において素子形成層に亀裂が入ることを防止することができ、歩留まりを向上させることができる。この後、図2(B)〜(E)に示すように図1(B)〜(E)と同様の工程を経て、半導体装置118を作製することができる。
なお、半導体装置118は、分離された第1の可撓性基板106a、分離された接着剤105a、分離された有機樹脂層107a、薄膜集積回路104a、分離された絶縁層111、分離された接着剤114a、及び分離された第2の可撓性基板115aが積層される。ここでの半導体装置118は、端部において分離された絶縁層111が露呈していない。言い換えれば、分離された絶縁層111の端部は、分離された第1の可撓性基板106a及び分離された第2の可撓性基板115aの端部より内側に位置する。即ち、分離された絶縁層111と薄膜集積回路104aとの界面や、分離された絶縁層111と分離された接着剤114aとの界面等の密着性の悪い界面が露呈せず、分離された第1の可撓性基板106aと、分離された接着剤105aと、分離された有機樹脂層107aと、薄膜集積回路104aと、分離された接着剤114aと、分離された第2の可撓性基板115aとの界面が露呈している。このため、当該端部においてそれぞれの密着性が高い。
第1の可撓性基板106及び第2の可撓性基板115として、表面が熱可塑性樹脂層である基板を用いると、図2(A)において第1の可撓性基板106は有機樹脂層107に接し、図2(D)において第2の可撓性基板115は素子形成層104に接する。また、当該基板を用いて作製された半導体装置は、分離された第1の可撓性基板106aと、分離された有機樹脂層107aと、薄膜集積回路104aと、分離された第2の可撓性基板115aとの界面が、端部において露呈される。
本実施の形態により、薄膜集積回路を挟持する可撓性基板の密着性が高い半導体装置を作製方法することが可能である。この結果、防水性の半導体装置を作製することが可能である。即ち、信頼性の高い半導体装置を作製することが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態においては、実施の形態1と異なり絶縁層103の他に素子形成層104をエッチングした後、第2の可撓性基板を貼り付ける形態について、図3、4を用いて説明する。また、実施の形態1と異なり絶縁層103の他に素子形成層104及び有機樹脂層をエッチングした後、第2の可撓性基板を貼り付ける形態について、図5を用いて説明する。
図3(A)に示すように、実施の形態1と同様に、基板101上に剥離層102を形成し、剥離層102上に絶縁層103を形成し、絶縁層103上に素子形成層104を形成し、素子形成層104に接着剤105を用いて第1の可撓性基板106を貼りあわせる。
次に、図3(B)に示すように、実施の形態1と同様に、剥離層102から絶縁層103を剥離する。
次に、図3(C)に示すように、絶縁層103及び素子形成層104それぞれの一部を選択的に除去して接着剤105の一部を露出し、分離された絶縁層111及び分離された素子形成層104(以下、薄膜集積回路121とも示す。)を形成する。本実施の形態においても、素子形成層104において、薄膜集積回路が形成される領域の周辺部、及び当該領域に形成される絶縁層を選択的に除去することが好ましい。
次に、図3(D)に示すように、分離された絶縁層111及び接着剤105の露出部に、接着剤114を用いて第2の可撓性基板115を貼り付ける。接着剤114及び第2の可撓性基板115はそれぞれ、接着剤105及び第1の可撓性基板106と同じ材料を適宜用いることができる。ここでは、分離された絶縁層111及び薄膜集積回路121の周囲において、有機化合物で形成される接着剤105及び接着剤114が接着されているため、当該領域において密着性が高い。
次に、接着剤105、接着剤114が接着する領域、即ち第1の可撓性基板106、接着剤105、接着剤114、第2の可撓性基板115が積層する領域を切断手段112により切断する。この結果、図3(E)に示すような、分離された第1の可撓性基板106a、分離された接着剤105a、薄膜集積回路121、分離された絶縁層111、分離された接着剤114a、及び分離された第2の可撓性基板115aで構成される半導体装置122を作製することができる。
ここでの半導体装置122は、端部において分離された絶縁層111及び薄膜集積回路121が露呈していない。言い換えれば、分離された絶縁層111の端部及び薄膜集積回路121の端部は、分離された第1の可撓性基板106a及び分離された第2の可撓性基板115aの端部より内側に位置する。即ち、分離された絶縁層111と、薄膜集積回路121と、分離された接着剤114aとの密着性の悪い界面が露呈せず、分離された第1の可撓性基板106aと、分離された接着剤105aと、分離された接着剤114aと、分離された第2の可撓性基板115aとの界面が露呈している。このため、当該端部においてそれぞれの密着性が高い。切断手段112としては、実施の形態1に示すものを適宜用いることができる。
第1の可撓性基板106及び第2の可撓性基板115として、表面が熱可塑性樹脂層である基板を用いると、図3(A)において第1の可撓性基板106は素子形成層104に接し、図3(D)において第2の可撓性基板115は第1の可撓性基板106、分離された絶縁層111、及び薄膜集積回路121の端部に接する。また、当該基板を用いて作製された半導体装置は、分離された第1の可撓性基板106aと、分離された第2の可撓性基板115aとの界面が、端部において露呈される。
なお、図3(A)において素子形成層104上に有機樹脂層を設けてもよい。こののち、図3(C)において絶縁層103、素子形成層104の一部を選択的に除去して有機樹脂層の一部を露出する。この後、分離された絶縁層111及び露出された有機樹脂層に接着剤114を用いて第2の可撓性基板115を貼りあわせる。この後、図3(D)において、有機樹脂層と接着剤が接する領域、即ち第1の可撓性基板106、接着剤105、有機樹脂層、接着剤114、第2の可撓性基板115が積層する領域を切断手段112により切断する。
この結果、図4に示すような、分離された第1の可撓性基板106a、分離された接着剤105a、分離された有機樹脂層123、薄膜集積回路121、分離された絶縁層111、分離された接着剤114a、及び分離された第2の可撓性基板115aが積層された半導体装置124を提供することができる。ここでの半導体装置124は、端部において分離された絶縁層111及び薄膜集積回路121が露呈していない。言い換えれば、分離された絶縁層111の端部及び薄膜集積回路121の端部は、分離された第1の可撓性基板106a及び分離された第2の可撓性基板115aの端部より内側に位置する。即ち、分離された絶縁層111と、薄膜集積回路121と、分離された接着剤114aとの密着性の悪い界面が露呈せず、分離された第1の可撓性基板106aと、分離された接着剤105aと、分離された有機樹脂層123と、分離された接着剤114aと、分離された第2の可撓性基板115aとの界面が露呈している。このため、当該端部においてそれぞれの密着性が高い。
なお、第1の可撓性基板106及び第2の可撓性基板115として、表面が熱可塑性樹脂層である基板を用いると、分離された第1の可撓性基板106aと、分離された有機樹脂層123と、分離された第2の可撓性基板115aとの界面が、端部において露呈される半導体装置となる。
また、図5(A)に示すように、実施の形態1と同様に、基板101上に剥離層102を形成し、剥離層102上に絶縁層103を形成し、絶縁層103上に素子形成層104を形成し、素子形成層104上に有機樹脂層107を形成し、有機樹脂層107に接着剤105を用いて第1の可撓性基板106を貼りあわせる。
次に、図5(B)に示すように、実施の形態1と同様に、剥離層102から絶縁層103を剥離する。
次に、図5(C)に示すように、絶縁層103、素子形成層104、及び有機樹脂層107それぞれの一部を選択的に除去して接着剤105の一部を露出し、分離された絶縁層111、薄膜集積回路121、及び分離された有機樹脂層141を形成する。本実施の形態でも、素子形成層104において、薄膜集積回路が形成される領域の周辺部、及び当該領域に形成される絶縁層及び有機樹脂層を選択的に除去することが好ましい。
次に、図5(D)に示すように、分離された絶縁層111、薄膜集積回路121、有機樹脂層141、及び接着剤105の露出部に、接着剤114を用いて第2の可撓性基板115を貼り付ける。接着剤114及び第2の可撓性基板115はそれぞれ、接着剤105及び第1の可撓性基板106と同じ材料を適宜用いることができる。ここでは、分離された絶縁層111及び薄膜集積回路121の周囲において、接着剤105及び接着剤114が接着されているため、当該領域において密着性が高い。
次に、接着剤105、114、第1の可撓性基板106、及び第2の可撓性基板115が接着する領域を切断手段112により切断し、図5(E)に示すような、分離された第1の可撓性基板106a、分離された接着剤105a、分離された有機樹脂層141、薄膜集積回路121、分離された絶縁層111、分離された接着剤114a、及び分離された第2の可撓性基板115aで構成される半導体装置142を作製することができる。
ここでの半導体装置142は、端部において分離された絶縁層111、薄膜集積回路121、及び分離された有機樹脂層141が露呈していない。言い換えれば、分離された絶縁層111の端部、薄膜集積回路121の端部、及び分離された有機樹脂層141の端部は、分離された第1の可撓性基板106a及び分離された第2の可撓性基板115aの端部より内側に位置する。即ち、分離された絶縁層111と、薄膜集積回路121と、分離された有機樹脂層141と、分離された接着剤114aとの密着性の悪い界面が露呈せず、分離された第1の可撓性基板106aと、分離された接着剤105aと、分離された接着剤114aと、分離された第2の可撓性基板115aとの界面それぞれが露呈している。このため、当該端部においてそれぞれの密着性が高い。切断手段112としては、実施の形態1に示すものを適宜用いることができる。
なお、第1の可撓性基板106及び第2の可撓性基板115として、表面が熱可塑性樹脂層である基板を用いると、図5(A)において第1の可撓性基板106は有機樹脂層107に接し、図5(D)において第2の可撓性基板115は、第1の可撓性基板106、分離された絶縁層111、薄膜集積回路121の端部、及び分断された有機樹脂層107の端部に接する。また、当該基板を用いて作製された半導体装置は、分離された第1の可撓性基板106aと、分離された接着剤114aと、分離された第2の可撓性基板115aとの界面が、端部において露呈される。
本実施の形態により、薄膜集積回路を挟持する可撓性基板の密着性が高い半導体装置を作製方法することが可能である。この結果、防水性の半導体装置を作製することが可能である。即ち、信頼性の高い半導体装置を作製することが可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態においては、実施の形態2と異なり、絶縁層103及び素子形成層104の他に接着剤105をエッチングした後、分離された絶縁層111、薄膜集積回路121に可撓性基板を貼り付ける形態について、図6、7を用いて説明する。
図6(A)に示すように、実施の形態1と同様に、基板101上に剥離層102を形成し、剥離層102上に絶縁層103を形成し、絶縁層103上に素子形成層104を形成し、素子形成層104に接着剤105を用いて第1の可撓性基板106を貼りあわせる。
次に、図6(B)に示すように、実施の形態1と同様に、剥離層102から絶縁層103を剥離する。
次に、図6(C)に示すように、絶縁層103、素子形成層104、及び接着剤105それぞれの一部を選択的に除去して第1の可撓性基板106の一部を露出し、分離された絶縁層111、薄膜集積回路121、及び分離された接着剤131を形成する。本実施の形態でも、素子形成層104において、薄膜集積回路が形成される領域の周辺部、及び当該領域に形成される絶縁層及び接着剤を選択的に除去することが好ましい。
次に、図6(D)に示すように、分離された絶縁層111、薄膜集積回路121、及び分離された接着剤131、及び第1の可撓性基板106の露出部に、接着剤114を用いて第2の可撓性基板115を貼り付ける。接着剤114及び第2の可撓性基板115はそれぞれ、接着剤105及び第1の可撓性基板106と同じ材料を適宜用いることができる。ここでは、分離された絶縁層111及び薄膜集積回路121の周囲において、接着剤114及び第1の可撓性基板106が接着されているため、当該領域において密着性が高い。
次に、接着剤114及び第1の可撓性基板106が接着する領域、即ち第1の可撓性基板106、接着剤114、第2の可撓性基板115が積層する領域を切断手段112により切断する。この結果、図6(E)に示すような、分離された第1の可撓性基板106a、分離された接着剤131、薄膜集積回路121、分離された絶縁層111、分離された接着剤114a、及び分離された第2の可撓性基板115aが積層された半導体装置132を作製することができる。
ここでの半導体装置132は、端部において分離された絶縁層111、薄膜集積回路121、及び分離された接着剤131が露呈していない。言い換えれば、分離された絶縁層111の端部は、分離された第1の可撓性基板106a及び分離された第2の可撓性基板115aの端部より内側に位置する。即ち、分離された絶縁層111と、薄膜集積回路121と、分離された接着剤131と、分離された接着剤114aとの密着性の悪い界面が露呈せず、分離された第1の可撓性基板106aと、分離された接着剤114aと、分離された第2の可撓性基板115aとの界面が露呈している。このため、当該端部においてそれぞれの密着性が高い。切断手段112としては、実施の形態1に示すものを適宜用いることができる。
なお、第1の可撓性基板106及び第2の可撓性基板115として、表面が熱可塑性樹脂層である基板を用いると、図6(A)において第1の可撓性基板106は素子形成層104に接し、図6(D)において第2の可撓性基板115は、第1の可撓性基板106、絶縁層103と、薄膜集積回路121の端部に接する。また、当該基板を用いて作製された半導体装置は、分離された第1の可撓性基板106aと、分離された第2の可撓性基板115aとの界面が、端部において露呈される。
なお、図6(A)において素子形成層104上に有機樹脂層を設けてもよい。こののち、図6(C)において絶縁層103、素子形成層104、有機樹脂層、及び接着剤105それぞれの一部を選択的に除去する。この後、分離された絶縁層111及び露出された第1の可撓性基板106に接着剤を用いて第2の可撓性基板115を貼りあわせる。この後、図6(D)において、接着剤114、第1の可撓性基板106、及び第2の可撓性基板115が接する領域、即ち第1の可撓性基板106、接着剤114、第2の可撓性基板115が積層する領域を切断手段112により切断する。この結果、図7に示すような、分離された第1の可撓性基板106a、分離された接着剤131、分離された有機樹脂層133、薄膜集積回路121、分離された絶縁層111、分離された接着剤114a、及び分離された第2の可撓性基板115aが積層された半導体装置134を提供することができる。
ここでの半導体装置134は、端部において分離された絶縁層111、薄膜集積回路121、分離された有機樹脂層133、及び分離された接着剤131が露呈していない。言い換えれば、分離された絶縁層111の端部、薄膜集積回路121の端部、分離された有機樹脂層133の端部、及び分離された接着剤131の端部は、分離された第1の可撓性基板106a及び分離された第2の可撓性基板115aの端部より内側に位置する。即ち、分離された絶縁層111、薄膜集積回路121、分離された有機樹脂層133、分離された接着剤131と、分離された接着剤114aの密着性の悪い界面が露呈せず、分離された第1の可撓性基板106aと、分離された接着剤114aと、分離された第2の可撓性基板115aとの界面が露呈している。このため、当該端部においてそれぞれの密着性が高い。
なお、第1の可撓性基板106及び第2の可撓性基板115として、表面が熱可塑性樹脂層である基板を用いると、分離された第1の可撓性基板106aと分離された第2の可撓性基板115aとの界面が、端部において露呈される半導体装置となる。
本実施の形態により、薄膜集積回路を挟持する可撓性基板の密着性が高い半導体装置を作製方法することが可能である。この結果、防水性の半導体装置を作製することが可能である。即ち、信頼性の高い半導体装置を作製することが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態においては、基板に剥離層、絶縁層、及び素子形成層を積層し、剥離層から絶縁層を剥離し、絶縁層に接着剤を用いて第1の可撓性基板を貼りあわせた後、絶縁層から素子形成層までの一部を除去して接着剤の一部を露出し、第2の可撓性基板を貼り付ける形態について、図8及び図9を用いて説明する。
図8(A)に示すように、実施の形態1と同様に、基板101上に剥離層102を形成し、剥離層102上に絶縁層103を形成し、絶縁層103上に素子形成層104を形成する。次に、素子形成層104上に粘着部材108を貼りあわせる。
粘着部材108としては、光可塑型粘着フィルム、熱可塑型粘着フィルム、圧着フィルム等の粘着層を有する部材を用いることができる。尚、フィルムの代わりに、テープ、シート、基板等を適宜用いることができる。さらには、粘着部材の代わりに、静電気力や吸着力により素子形成層104の表面にテープ、シート、基板等の部材を着設してもよい。
次に、図8(B)に示すように、実施の形態1と同様に、剥離層102から絶縁層103を剥離する。
次に、図8(C)に示すように、絶縁層103に接着剤152を用いて第1の可撓性基板151を貼りあわせる。この後、粘着部材108を素子形成層104から剥す。
次に、図8(D)に示すように、素子形成層104及び絶縁層103それぞれの一部を選択的に除去して接着剤152の一部を露出すると共に、分離された絶縁層154、分離された素子形成層(以下、薄膜集積回路153とも示す。)を形成する。本実施の形態でも、素子形成層104において、薄膜集積回路が形成される領域の周辺部、及び当該領域に形成される絶縁層を選択的に除去することが好ましい。
なお、素子形成層104及び絶縁層103と共に、接着剤152の一部を選択的に除去して第1の可撓性基板151の一部を露出してもよい。
次に、図8(E)に示すように、薄膜集積回路153及び接着剤152の露出部に、接着剤155を用いて第2の可撓性基板156を貼り付ける。接着剤155及び第2の可撓性基板156はそれぞれ、接着剤105及び第1の可撓性基板106と同じ材料を適宜用いることができる。ここでは、分離された絶縁層154及び薄膜集積回路153の周囲において、接着剤155及び接着剤152が接着されているため、当該領域において密着性が高い。
なお、第1の可撓性基板151及び第2の可撓性基板156として、表面が熱可塑性樹脂層である基板を用いると、図8(C)において第1の可撓性基板151は絶縁層103に接し、図8(E)において第2の可撓性基板156は第1の可撓性基板151、薄膜集積回路153、及び分離された絶縁層154の端部に接する。また、当該基板を用いて作製された半導体装置は、分離された第1の可撓性基板151aと、分離された第2の可撓性基板156aとの界面が、端部において露呈される。
次に、接着剤152、155、第1の可撓性基板151、及び第2の可撓性基板156が接着する領域を切断手段112により切断する。この結果、図8(F)に示すような、分離された第1の可撓性基板151a、分離された接着剤152a、分離された絶縁層154、薄膜集積回路153、分離された接着剤155a、及び分離された第2の可撓性基板156aで構成される半導体装置157を作製することができる。
ここでの半導体装置157は、端部において分離された絶縁層154、及び薄膜集積回路153が露呈していない。言い換えれば、分離された絶縁層154の端部及び薄膜集積回路153の端部は、分離された第1の可撓性基板151a及び分離された第2の可撓性基板156aの端部より内側に位置する。即ち、分離された絶縁層154と、薄膜集積回路153と、分離された接着剤155aとの界面や、分離された絶縁層154と、薄膜集積回路153と、分離された接着剤152aとの界面等の密着性の悪い界面が露呈せず、分離された第1の可撓性基板151aと、分離された接着剤155aと、分離された接着剤152aと、分離された第2の可撓性基板156aとの界面が露呈している。このため、当該端部においてそれぞれの密着性が高い。切断手段112としては、実施の形態1に示すものを適宜用いることができる。
なお、図8(A)において、素子形成層104上に有機樹脂層を設けた後、有機樹脂層上に粘着部材108を貼りつけてもよい。この後、図8(D)において絶縁層103、素子形成層104、及び有機樹脂層それぞれの一部を選択的に除去して接着剤152の一部を露出する。この後、図8(E)において、分離された有機樹脂層、及び接着剤152の露出部に接着剤155を用いて第2の可撓性基板156を貼りあわせる。その後、第1の可撓性基板151、接着剤152、接着剤155、及び第2の可撓性基板156が接する領域を切断手段112により切断する。
この結果、図9(A)に示すような、分離された第1の可撓性基板151a、分離された接着剤152a、分離された絶縁層154、薄膜集積回路153、分離された有機樹脂層158、分離された接着剤155a、及び分離された第2の可撓性基板156aが積層された半導体装置159を提供することができる。
ここでの半導体装置159は、端部において分離された絶縁層154、薄膜集積回路153、及び分離された有機樹脂層158が露呈していない。言い換えれば、分離された絶縁層154の端部、薄膜集積回路153の端部、及び分離された有機樹脂層158の端部は、分離された第1の可撓性基板151a及び分離された第2の可撓性基板156aの端部より内側に位置する。即ち、分離された絶縁層154と、薄膜集積回路153と、分離された有機樹脂層158と、分離された接着剤155aとの界面や、分離された絶縁層154と、薄膜集積回路153と、分離された有機樹脂層158と、分離された接着剤152aとの界面等の密着性の悪い界面が露呈せず、分離された第1の可撓性基板151aと、分離された接着剤152aと、分離された接着剤155aと、分離された第2の可撓性基板156aとの界面が露呈している。このため、当該端部においてそれぞれの密着性が高い。
なお、第1の可撓性基板151及び第2の可撓性基板156として、表面が熱可塑性樹脂層である基板を用いると、分離された第1の可撓性基板151aと、分離された第2の可撓性基板156aとの界面が、端部において露呈される半導体装置となる。
さらには、図8(A)の素子形成層104内に形成される各薄膜集積回路の表面に接続端子を形成し、図8(E)の第2の可撓性基板156にアンテナとして機能する複数の導電層を有する基板を用い、接着剤155に異方性導電性接着剤を用いたのち、第1の可撓性基板151、接着剤152、異方性導電性接着剤、及び第2の可撓性基板156が接する領域を切断手段112により切断する。
この結果、図9(B)に示すような、分離された第1の可撓性基板151a、分離された接着剤152a、分離された絶縁層154、表面に接続端子165を有する薄膜集積回路153、分離された異方性導電接着剤164、及び分離された第2の可撓性基板162が積層された半導体装置166を提供することができる。
ここでの半導体装置166は、端部において分離された絶縁層154、及び薄膜集積回路153が露呈していない。言い換えれば、分離された絶縁層154の端部、及び薄膜集積回路153の端部は、分離された第1の可撓性基板151a及び分離された第2の可撓性基板162の端部より内側に位置する。即ち、分離された絶縁層154と、薄膜集積回路153と、分離された接着剤152aとの界面や、分離された絶縁層154と、薄膜集積回路153と、分離された異方性導電接着剤164との界面等の密着性の悪い界面が露呈せず、分離された第1の可撓性基板151aと、分離された接着剤152aと、分離された異方性導電接着剤164と、分離された第2の可撓性基板162との界面が露呈している。このため、当該端部においてそれぞれの密着性が高い。
なお、分離された異方性導電接着剤164には、導電性粒子163が分散されており、該導電性粒子により接続端子165、及び分離された第2の可撓性基板162上に設けられたアンテナとして機能する導電層161が電気的に接続されている。
異方性導電接着剤164としては、 分散した導電性粒子163(粒径が、数nm〜数十μm、好ましくは3〜7μm程度)を含有する接着性樹脂であり、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。また、導電性粒子163は、金、銀、銅、パラジウム、又は白金から選ばれた一元素、若しくは複数の元素で形成される。また、これらの元素の多層構造を有する粒子でも良い。更には、樹脂で形成された粒子の表面に、金、銀、銅、パラジウム、又は白金から選ばれた一元素、若しくは複数の元素で形成される薄膜が形成された導電性粒子を用いてもよい。
本実施の形態により、薄膜集積回路を挟持する可撓性基板の密着性が高い半導体装置を作製方法することが可能である。この結果、防水性の半導体装置を作製することが可能である。即ち、信頼性の高い半導体装置を作製することが可能である。
本実施例では、非接触でデータの伝送が可能な半導体装置の作製工程を図10、11を用いて説明する。なお、本実施例においては、実施例1及び図13で示すアンテナ及び電源部2002の定電圧回路2023の一部と、ロジック部2003のメモリ2038の追記メモリ2040およびクロック生成・補正回路2032の一部の断面図を示す。また、ロジック部2003のクロック生成・補正回路2032の一部として、nチャネル型TFT及びpチャネル型TFTを示し、メモリ2038の追記メモリ2040としてアクティブマトリクス型の有機メモリを示し、電源部2002の定電圧回路2023の一部としてnチャネル型TFTを示す。
図10(A)に示すように、基板901上に剥離層902を形成し、剥離層902上に絶縁層903を形成し、絶縁層903上に薄膜トランジスタ904及び薄膜トランジスタを構成する導電層を絶縁する層間絶縁層905を形成し、薄膜トランジスタの半導体層に接続するソース電極及びドレイン電極906、907、及び導電層908を形成する。
ここでは、基板901としてはガラス基板を用いる。剥離層902としては、スパッタリング法により厚さ30nmのタングステン層を形成する。つぎに、剥離層902の表面にN2Oプラズマを照射した後、絶縁層903として、厚さ200nmの酸化珪素層、厚さ50nmの窒化酸化珪素層、厚さ100nmの酸化窒化珪素層をそれぞれCVD法により順に形成する。
薄膜トランジスタ904は、ソース領域、ドレイン領域、及びチャネル形成領域を有する半導体層、ゲート絶縁層、ゲート電極で構成される。薄膜トランジスタ904は、各回路の機能に応じてnチャネル型TFTまたはpチャネル型TFTを適宜用いる。
半導体層は、結晶構造を有する半導体層である。厚さ66nmの非晶質珪素膜に連続発振レーザ光の照射若しくは繰り返し周波数が10MHz以上であって、パルス幅が1ナノ秒以下、好ましくは1乃至100ピコ秒である高繰返周波数超短パルス光を照射して結晶構造を有する半導体膜を形成する。この後、フォトリソグラフィー工程により形成されたレジストマスクを用いて選択的に結晶構造を有する半導体膜をエッチングして、結晶構造を有する半導体層を形成する。
ゲート絶縁層としては、CVD法により厚さ40nmの酸化珪素層を形成する。
ゲート電極としては、厚さ30nmの窒化タンタル層及び厚さ370nmのタングステン層を順にスパッタリング法を用いて積層させて形成する。
薄膜トランジスタを構成する導電層を絶縁する層間絶縁層905は、50nmの酸化窒化珪素層、厚さ100nmの窒化珪素層、厚さ600nmの酸化窒化珪素層をそれぞれCVD法を用いて順に形成する。
ソース電極及びドレイン電極906、907並びに導電層908は、チタン層、アルミニウム層、及びチタン層をスパッタリング法により順に形成した後、フォトリソグラフィー工程により形成したレジストマスクを用いて選択的にエッチングして形成する。
なお、薄膜トランジスタ904と同時に、図13に示すマスクROM2039を形成することができる。マスクROMは複数のトランジスタで形成する。その際、トランジスタの例えばドレイン領域と接続する配線用のコンタクトホールを開口するか開口しないかによってデータを書き込むことが可能であり、例えば開口する場合は1(オン)、開口しない場合は0(オフ)のデータ(情報)を、メモリセルに書き込むことが可能である。
層間絶縁層905上に形成されるフォトレジストを露光する工程において、ステッパなどの露光装置を用いてレチクル(フォトマスク)を通して露光する工程の前又は後に、上記コンタクトホールが開口される領域上のフォトレジストに電子ビーム又はレーザを照射する。その後、通常どおり現像、エッチング、フォトレジストの剥離などの工程をおこなう。こうすることで、レチクル(フォトマスク)を交換せずに、電子ビーム又はレーザの照射領域を選択するのみで、上記コンタクトホールを開口するパターンと開口しないパターンをつくり分けることができる。すなわち、電子ビーム又はレーザの照射領域を選択することで、製造時において、半導体装置毎に異なるデータが書き込まれたマスクROMを作製することが可能となる。
このようなマスクROMを用いて、製造時に半導体装置ごとの固有識別子(UID:Unique Identifier)等を形成することが可能となる。
次に、図10(B)に示すように、薄膜トランジスタ904、層間絶縁層905、ソース電極及びドレイン電極906、907、導電層908を覆う絶縁層911を形成する。次に、絶縁層911を介してソース電極またはドレイン電極906、907、導電層908に接続する導電層912〜914を形成する。次に、導電層912及び913の端部を覆う絶縁層915〜917を形成する。
絶縁層911は、非感光性ポリイミドをスピンコート法により塗布し、300℃で加熱した後、選択的にエッチングしてソース電極及びドレイン電極906、907及び導電層908の一部を露出する。また、絶縁層915〜917は、感光性ポリイミドをスピンコート法により塗布し、露光及び現像をして導電層912〜914の一部を露出し、300℃で加熱し焼成して形成する。なお、このときの絶縁層915〜917の厚さを1.5μmとする。導電層912〜914としては、厚さ200nmのチタン層をスパッタリング法を用いた形成した後、フォトリソグラフィー工程により形成したレジストマスクを用いて選択的にエッチングして形成する。
次に、図10(C)に示すように、導電層914上に厚さ5〜20μmの導電層918を形成する。ここでは、印刷法により銀粒子を有する組成物を印刷し、200℃で30分加熱して組成物を焼成して導電層918を形成する。なお、導電層914及び導電層918はアンテナとして機能する。
なお、導電層914をニッケル層で形成した後、基板をCuを含むメッキ液に浸して、メッキ法により導電層918を形成してもよい。Agは高価であるので、Cuを用いてメッキ法により導電層918を形成することで、コスト削減が可能である。
次に、図10(D)に示すように、導電層912、913、その端部を覆う絶縁層916、及び絶縁層915、917の一部の上に有機化合物を含む層919を蒸着し、有機化合物を含む層919上に導電層920を蒸着する。導電層912、有機化合物を含む層919、及び導電層920により記憶素子を形成することができる。有機化合物を含む層919は、トンネル効果により導電層920または導電層912から有機化合物を含む層919へ正孔又は電子の電荷を注入する層(厚さ1nm以上4nm以下)と、正孔輸送性を有する有機化合物又は電子輸送性を有する有機化合物とを用いて形成することができる。ここでは、有機化合物を含む層919として、メタルマスクを用いた蒸着法により1nmのCaF2層を形成した後、10nmのNPB層を形成する。導電層920としては、厚さ10nmのIn−Sn合金層と、厚さ100nmのアルミニウム層とをメタルマスクを用いた蒸着法により積層して形成する。
なお、有機化合物を含む層919として、CaF2の代わりにLiF、NaF、KF、RbF、CsF、BeF2、MgF2、SrF2、BaF2、AlF3、NF3、SF6、AgF、MnF3等に代表される絶縁性を有するフッ化物、LiCl、NaCl、KCl、BeCl2、CaCl2、BaCl2、AlCl3、SiCl4、GeCl4、SnCl4、AgCl、ZnCl2、TiCl4、TiCl3、ZrCl4、FeCl3、PdCl2、SbCl3、SbCl2、SrCl2、TlCl3、CuCl、CuCl2、MnCl2、RuCl2等に代表される絶縁性を有する塩化物等を用いることができる。また、NPBの代わりに、フタロシアニン(略称:H2Pc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、(ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム)(略称:BAlq)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、2,3−ビス(4−ジフェニルアミノフェニル)キノキサリン(略称:TPAQn)、2,7−ジ(N−カルバゾリル)−スピロ−9,9’−ビフルオレン(略称:SFDCz)、TPQ、9,10−ジ(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)等を用いることができる。
本実施例の記憶素子は、導電層912、920に電圧を印加させ、記憶素子の抵抗を変化させることによりデータ書き込みが可能である。また、導電層920を透光性導電層であるITO(indium tin oxide)やIZO(indium zinc oxide)、酸化珪素を有するITOで形成し、レーザ光や電子ビームを記憶素子に照射し、記憶素子の抵抗を変化さえることによりデータ書き込みが可能である。さらに、記憶素子の抵抗を測定することにより、データを読み出すことが可能である。
次に、図10(E)に示すように、絶縁層911、絶縁層915〜917、導電層920、導電層928上に有機樹脂やポリマーで形成される厚さ5〜10μmの絶縁層922を形成する。絶縁層922は封止材として機能し、外部から薄膜トランジスタ904への不純物の侵入を防ぐことができる。また、絶縁層922を設けることにより、後の剥離工程において薄膜トランジスタ904、アンテナとして機能する導電層914、918、記憶素子921が形成される層において亀裂が入ることを防止することができ、歩留まりを向上させることができる。ここでは、エポキシ樹脂を印刷法により印刷し、160℃で30分加熱して絶縁層922を形成する。
次に、絶縁層922上に第1の可撓性基板924を貼りつける。ここでは、第1の可撓性基板924として、熱可塑性材料で形成される層923を有するPETフィルムを用いる。また、第1の可撓性基板924を80〜120℃で熱圧着し、熱可塑性材料を可塑化した後、室温まで冷却することで、熱可塑性材料で形成させる層923を介して、絶縁層922と第1の可撓性基板924を接着する。
ここでは、絶縁層903から絶縁層922までの積層体を素子形成層925とする。
次に、図11(A)に示すように、剥離層902と絶縁層903との界面において分離して、剥離層902を有する基板901及び素子形成層925を物理的手段により剥離する。本実施例においては、剥離層と絶縁層の間に金属酸化膜を形成し、当該金属酸化膜において物理的手段により、素子形成層925を剥離する方法を用いる。本実施例において、物理的手段とは、基板901表面に粘着層を設け固定し、第1の可撓性基板924上で粘着層を有するローラーを回転させて、粘着層を有するローラーに第1の可撓性基板924を貼り付けると共に、剥離層902と絶縁層903との間で分離させることができる。
次に、図11(B)に示すように、素子形成層925において、薄膜集積回路が形成される領域の周辺部の絶縁層903から絶縁層922(つまり、絶縁層903、層間絶縁層905、絶縁層911、絶縁層915、及び絶縁層922)のそれぞれの一部を除去する。本実施例では、絶縁層903から絶縁層922の一部にレーザ光を照射して、絶縁層903から絶縁層922の一部を除去する。レーザ光としては、YAGレーザの第4高調波(波長266nm)を照射する。なお、レーザ光を照射した後、レーザ光照射領域においては、絶縁層922の一部が露出している。一部除去された絶縁層922を絶縁層926と示し、一部除去された絶縁層903を絶縁層927と示す。
次に、図11(C)に示すように、絶縁層927及び絶縁層926に第2の可撓性基板934を貼りあわせる。ここでは、第2の可撓性基板934としては、第1の可撓性基板924と同様に熱可塑性材料で形成される層933を有するPETフィルムを用いる。また、第1の可撓性基板924と同様に熱圧着し、熱可塑性材料を可塑化した後、室温まで冷却することで、熱可塑性材料で形成させる層933を介して、絶縁層927及び絶縁層926と、第2の可撓性基板934とを接着する。ここでは、第1の可撓性基板924、有機樹脂層で形成される絶縁層926、及び第2の可撓性基板934すべてが有機化合物で形成ており、これらが接着されている。このため、第1の可撓性基板924と、有機樹脂層で形成される絶縁層926と、第2の可撓性基板934との界面における密着性が高い。
次に、第1の可撓性基板924、絶縁層926、及び第2の可撓性基板934が接する領域にレーザ光935を照射して、第1の可撓性基板924及び第2の可撓性基板934で挟持される層を複数に分断する。この結果、図11(D)に示すような、分離された絶縁層927と分離された熱可塑性材料で形成される層933との界面や、分離された層間絶縁層905と分離された熱可塑性材料で形成される層933との界面などの密着性の悪い界面が露出せず、分離された第1の可撓性基板941と、分離された熱可塑性材料で形成させる層942と、分離された絶縁層943と、分離された熱可塑性材料で形成させる層944と、分離された第2の可撓性基板945との界面が露出された半導体装置936を作製する。ここでは、レーザ光935として、YAGレーザの第4高調波(波長266nm)を用いる。
以上の工程により、非接触でデータの伝送が可能で信頼性の高い半導体装置を作製することができる。