以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
図1を用いて、本発明のIDチップの構成について説明する。図1(A)に、本発明のIDチップの一形態を斜視図で示す。また図1(B)に、図1(A)のA−A’における断面図を示す。100は集積回路、101はアンテナに相当し、アンテナ101は集積回路100に電気的に接続されている。102は基板、103はカバー材に相当し、集積回路100は基板102とカバー材103の間に挟まれている。
なお図1(A)では、アンテナ101が、集積回路100と共に基板102とカバー材103の間に挟まれている様子を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、カバー材103の基板102とは反対側にアンテナ101を形成しておき、カバー材103に開口部を形成し、該開口部を介して集積回路100とアンテナ101を電気的に接続するようにしても良い。
次に、図1(B)の破線104で囲んだ、IDチップの断面の拡大図を、図1(C)に示す。TFT105は、集積回路100に用いられている半導体素子の1つに相当する。なお図1(C)では、集積回路100に用いられている半導体素子としてTFTを例示しているが、本発明はこの構成に限定されない。集積回路100に用いられる半導体素子はこれに限定されず、あらゆる回路素子を用いることができる。例えば、TFTの他に、記憶素子、ダイオード、光電変換素子、抵抗素子、コイル、容量素子、インダクタなどが代表的に挙げられる。
そしてTFT105は、封止膜106、107に挟まれている。具体的に図1(C)では、基板102とTFT105の間に封止膜106が、カバー材103とTFT105の間に封止膜107が、それぞれ設けられている。そして封止膜106は、基板102側から順に積層されたバリア膜106aと、応力緩和膜106bと、バリア膜106cとを有している。また封止膜107は、TFT105側から順に積層されたバリア膜107aと、応力緩和膜107bと、バリア膜107cとを有している。
なお図1(C)では、封止膜106、107がそれぞれ1つの応力緩和膜106b、107bを有する例について示しているが、本発明はこの構成に限定されない。バリア膜が3つ以上である場合、応力緩和膜を複数設けるようにしても良い。
バリア膜106a、106c、107a、107cには、Naなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属、または水分などが、半導体素子に用いられている半導体膜中に拡散するのを防ぐことができる、無機物からなる複数の絶縁膜を用いる。例えば、窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムまたは窒化酸化珪化アルミニウムなどを、バリア膜106a、106c、107a、107cとして用いることができる。
また応力緩和膜106b、107bには、バリア膜106a、106c、107a、107cよりも応力の小さい絶縁膜を用いることができる。例えば、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、ベンゾシクロブテンまたはエポキシ樹脂などを、応力緩和膜106b、107bとして用いることができる。
なお、図1ではカバー材103を用いてIDチップの機械的強度を高めている例を示しているが、本発明のIDチップは必ずしもカバー材103を用いる必要はない。例えば、封止膜107の表面に樹脂等を塗布することで、IDチップの機械的強度を高めるようにしても良い。
また、基板102の耐熱温度が、集積回路100の作製工程における熱処理に耐えうる程度であれば、基板102上に集積回路100を直接形成しても良い。ただし、例えばプラスチック基板など耐熱性に劣る基板を用いる場合、耐熱性を有する基板上に集積回路を形成した後、別途用意されたプラスチックなどのフレキシブルな基板に該集積回路を貼り合わせても良い。この場合、予め耐熱性を有する基板上に、集積回路と共に封止膜を形成し、集積回路と封止膜とを一緒にフレキシブルな基板上に貼り合わせても良い。或いは、フレキシブルな基板上に予め封止膜を形成しておき、該封止膜上に集積回路を貼り合わせるようにしても良い。
集積回路と封止膜とを一緒にフレキシブルな基板上に貼り合わせる場合、剥離、貼り合わせなどの一連の工程において、半導体素子が有する半導体膜に、アルカリ金属、アルカリ土類金属または水分などが拡散するのを封止膜によって、防ぐことができる。また上記一連の工程において、何かのタイミングで、封止膜または集積回路に応力がかかり、封止膜に含まれる複数のバリア膜のいずれかにクラックが入っても、他のバリア膜でアルカリ金属、アルカリ土類金属または水分の拡散の防止をカバーすることができる。さらに上記一連の工程において、封止膜または集積回路に応力がかかっても、応力を緩和することで、半導体素子の特性が劣化するのを防ぐことができる。
次に、本発明のIDチップの詳しい作製方法について説明する。なお本実施の形態では、半導体素子として絶縁分離されたTFTを例示するが、集積回路に含まれる半導体素子はこれに限定されず、あらゆる回路素子を用いることができる。
まず図2(A)に示すように、スパッタ法を用いて耐熱性を有する基板(第1の基板)500上に剥離層501を形成する。第1の基板500として、例えばバリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板等、後の作製工程における処理温度に耐え得る基板を用いる。
剥離層501は、非晶質シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコン、微結晶シリコン(セミアモルファスシリコンを含む)等、シリコンを主成分とする層を用いることができる。剥離層501は、スパッタ法、プラズマCVD法等を用いて形成することができる。本実施の形態では、膜厚500nm程度の非晶質シリコンをスパッタ法で形成し、剥離層501として用いる。なお剥離層501はシリコンに限定されず、エッチングにより選択的に除去できる材料で、剥離層501を形成すれば良い。
次に、剥離層501上に封止膜502を形成する。封止膜502は、少なくとも2以上のバリア膜と、該バリア膜の間に積層された1以上の応力緩和膜とを有していれば良い。
例えば本実施の形態では、剥離層501上にバリア膜502a、応力緩和膜502b、バリア膜502cが順に積層されている。そしてバリア膜502a、502cは、例えば窒化珪素を用い、スパッタ法で形成する。応力緩和膜502bには例えばポリイミドを用いる。
バリア膜502a、502cに用いる窒化珪素は、アルゴンを導入し、基板温度を150℃に保ち、スパッタ圧力0.4Pa程度で成膜を行なう。そしてターゲットとして珪素を用い、アルゴンの他に窒素及び水素を導入して成膜を行なう。窒化酸化珪素の場合、アルゴンを導入し、基板温度を150℃に保ち、スパッタ圧力0.4Pa程度で成膜を行なう。そしてターゲットとして珪素を用い、アルゴンの他に窒素、ニ酸化窒素及び水素を導入して成膜を行なう。なおターゲットとして酸化珪素を用いても良い。
バリア膜502a、502cの膜厚は50nm〜3μmの範囲であることが望ましい。本実施の形態では、窒化珪素を1μmの膜厚で形成した。なお、バリア膜の形成方法はスパッタのみに限定されず、実施者が適宜設定することができる。例えば、LPCVD法、プラズマCVD法等を用いて形成しても良い。
なおバリア膜502a、502cは、窒化珪素の他、窒化酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムまたは窒化酸化珪化アルミニウム(AlSiON)を用いることができる。窒化酸化珪化アルミニウムは熱伝導度が比較的高いので、バリア膜に用いることで、半導体素子で発生した熱を効率良く放熱することができる。
また、応力緩和膜502bには、透光性を有する樹脂を用いることができる。代表的には、ポリイミドの他、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、ベンゾシクロブテンもしくはエポキシ樹脂等を用いることができる。なお、上述した以外の樹脂を用いることもできる。ここでは、熱重合するタイプのポリイミドを塗布後、焼成して応力緩和膜502bを形成する。
応力緩和膜502bの膜厚は、200nm〜2μmの範囲であることが望ましい。本実施の形態では、ポリイミドを1μmの膜厚で形成した。
なお、バリア膜502a、応力緩和膜502b、バリア膜502cは、後に剥離層501を除去する際に選択比のとれる材料を用いる必要がある。
封止膜502は、後に半導体素子を第2の基板上に接着剤で貼り合わせる際に、第2の基板や接着剤中に含まれる、Naなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属、水分が、半導体素子に用いられている半導体膜中に拡散し、半導体素子の特性に悪影響を及ぼすのを防ぐために形成する。また封止膜502は、剥離層501をエッチングする際、エッチャントから半導体素子を保護する役割も有する。
次に、封止膜502上に半導体膜を形成する。半導体膜は、封止膜502を形成した後、大気に曝さずに形成することが望ましい。半導体膜の膜厚は20〜200nm(望ましくは40〜170nm、好ましくは50〜150nm)とする。なお半導体膜は、非晶質半導体であっても良いし、セミアモルファス半導体であっても良いし、多結晶半導体であっても良い。また半導体は珪素だけではなくシリコンゲルマニウムも用いることができる。シリコンゲルマニウムを用いる場合、ゲルマニウムの濃度は0.01〜4.5atomic%程度であることが好ましい。
なお半導体膜は、公知の技術により結晶化しても良い。公知の結晶化方法としては、レーザ光を用いたレーザ結晶化法、触媒元素を用いる結晶化法がある。或いは、触媒元素を用いる結晶化法とレーザ結晶化法とを組み合わせて用いることもできる。また、基板500として石英のような耐熱性に優れている基板を用いる場合、電熱炉を使用した熱結晶化方法、赤外光を用いたランプアニール結晶化法、触媒元素を用いる結晶化法と、950℃程度の高温アニールを組み合わせた結晶法を用いても良い。
例えばレーザ結晶化を用いる場合、レーザ結晶化の前に、レーザに対する半導体膜の耐性を高めるために、500℃、1時間の熱アニールを該半導体膜に対して行なう。そして連続発振が可能な固体レーザを用い、基本波の第2高調波〜第4高調波のレーザ光を照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、代表的には、Nd:YVO4レーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いるのが望ましい。具体的には、連続発振のYVO4レーザから射出されたレーザ光を非線形光学素子により高調波に変換し、出力10Wのレーザ光を得る。そして、好ましくは光学系により照射面にて矩形状または楕円形状のレーザ光に成形して、半導体膜に照射する。このときのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、走査速度を10〜2000cm/sec程度とし、照射する。
また、パルス発振のレーザ光の発振周波数を10MHz以上とし、通常用いられている数十Hz〜数百Hzの周波数帯よりも著しく高い周波数帯を用いてレーザ結晶化を行なっても良い。パルス発振でレーザ光を半導体膜に照射してから半導体膜が完全に固化するまでの時間は数十nsec〜数百nsecと言われている。よって上記周波数帯を用いることで、半導体膜がレーザ光によって溶融してから固化するまでに、次のパルスのレーザ光を照射できる。したがって、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができるので、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を有する半導体膜が形成される。具体的には、含まれる結晶粒の走査方向における幅が10〜30μm、走査方向に対して垂直な方向における幅が1〜5μm程度の結晶粒の集合を形成することができる。該走査方向に沿って長く延びた単結晶の結晶粒を形成することで、少なくともTFTのチャネル方向には結晶粒界のほとんど存在しない半導体膜の形成が可能となる。
なおレーザ結晶化は、連続発振の基本波のレーザ光と連続発振の高調波のレーザ光とを並行して照射するようにしても良いし、連続発振の基本波のレーザ光とパルス発振の高調波のレーザ光とを並行して照射するようにしても良い。
なお、希ガスや窒素などの不活性ガス雰囲気中でレーザ光を照射するようにしても良い。これにより、レーザ光照射による半導体表面の荒れを抑えることができ、界面準位密度のばらつきによって生じる閾値のばらつきを抑えることができる。
上述した半導体膜へのレーザ光の照射により、結晶性がより高められた半導体膜が形成される。なお、予め多結晶半導体を、スパッタ法、プラズマCVD法、熱CVD法などで形成するようにしても良い。
また本実施の形態では半導体膜を結晶化しているが、結晶化せずに非晶質珪素膜または微結晶半導体膜のまま、後述のプロセスに進んでも良い。非晶質半導体、微結晶半導体を用いたTFTは、多結晶半導体を用いたTFTよりも作製工程が少ない分、コストを抑え、歩留まりを高くすることができるというメリットを有している。
非晶質半導体は、珪化物気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的な珪化物気体としては、SiH4、Si2H6が挙げられる。この珪化物気体を、水素、水素とヘリウムで希釈して用いても良い。
なおセミアモルファス半導体とは、非晶質半導体と結晶構造を有する半導体(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造の半導体を含む膜である。このセミアモルファス半導体は、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質なものであり、その粒径を0.5〜20nmとして非単結晶半導体中に分散させて存在せしめることが可能である。セミアモルファス半導体は、そのラマンスペクトルが520cm-1よりも低波数側にシフトしており、またX線回折ではSi結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。また、未結合手(ダングリングボンド)の中和剤として水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。ここでは便宜上、このような半導体をセミアモルファス半導体(SAS)と呼ぶ。さらに、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで安定性が増し良好なセミアモルファス半導体が得られる。
またSASは珪化物気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的な珪化物気体としては、SiH4であり、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることができる。また水素や、水素にヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素を加えたガスで、この珪化物気体を希釈して用いることで、SASの形成を容易なものとすることができる。希釈率は2倍〜1000倍の範囲で珪化物気体を希釈することが好ましい。またさらに、珪化物気体中に、CH4、C2H6などの炭化物気体、GeH4、GeF4などのゲルマニウム化気体、F2などを混入させて、エネルギーバンド幅を1.5〜2.4eV、若しくは0.9〜1.1eVに調節しても良い。
例えば、SiH4にH2を添加したガスを用いる場合、或いはSiH4にF2を添加したガスを用いる場合、形成したセミアモルファス半導体を用いてTFTを作製すると、該TFTのサブスレッショルド係数(S値)を0.35V/sec以下、代表的には0.25〜0.09V/secとし、移動度を10cm2/Vsecとすることができる。そして上記セミアモルファス半導体を用いたTFTで、例えばリングオシレータを形成した場合、駆動電圧3〜5V程度で、10MHz以上で動作させることができる。そして、各段あたりの周波数特性を、駆動電圧3〜5V程度で、100kHz以上、好ましくは1MHz以上とすることができる。
次に、図2(A)に示すように半導体膜をパターニングし、島状の半導体膜503を形成する。そして図2(B)に示すように、該島状の半導体膜503を用いて、TFTに代表される各種の半導体素子を形成する。なお図2(B)では、封止膜502と島状の半導体膜503とが接しているが、半導体素子によっては、封止膜502と島状の半導体膜503との間に、電極や絶縁膜等が形成されていても良い。例えば半導体素子の1つであるボトムゲート型のTFTの場合、封止膜502と島状の半導体膜503との間に、ゲート電極とゲート絶縁膜が形成される。
図2(B)では、島状の半導体膜503を用いてトップゲート型のTFT504を形成する。具体的には、島状の半導体膜503を覆うようにゲート絶縁膜507を形成し、ゲート絶縁膜507上に導電膜を形成し、パターニングすることで、ゲート電極508を形成する。そして、ゲート電極508や、あるいはレジストを形成しパターニングしたものをマスクとして用い、島状の半導体膜503にn型を付与する不純物を添加し、ソース領域、ドレイン領域、さらにはLDD領域等を形成する。なおここではTFT504をn型とするが、p型のTFTの場合は、p型の導電性を付与する不純物を添加する。上記一連の工程によってTFT504を形成することができる。
なお、ゲート絶縁膜507を形成した後、3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜450℃で1〜12時間の熱処理を行ない、島状の半導体膜503を水素化する工程を行なっても良い。また、水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行っても良い。この水素化の工程により、熱的に励起された水素によりダングリングボンドを終端することができる。また、後の工程において可撓性を有する第2の基板上に半導体素子を貼り合わせた後、第2の基板を曲げることにより半導体膜中に欠陥が形成されたとしても、水素化により半導体膜中の水素の濃度を、1×1019〜1×1022atoms/cm3好ましくは1×1019〜5×1020atoms/cm3とすることで、半導体膜に含まれている水素によって該欠陥を終端させることができる。また該欠陥を終端させるために、半導体膜中にハロゲンを含ませておいても良い。
なおTFTの作製方法は上述した構成に限定されない。
次にTFT504を覆って、パッシベーション膜505を形成する。パッシベーション膜505は、アルカリ金属やアルカリ土類金属のTFT504への侵入を防ぐことができる、窒化珪素膜または窒化酸化珪素膜を用いるのが望ましい。上記構成により、TFT504が封止膜502とパッシベーション膜505とで覆われるため、Naなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属が、半導体素子に用いられている半導体膜中に拡散し、半導体素子の特性に悪影響を及ぼすのをより防ぐことができる。
次にパッシベーション膜505を覆って、第1の層間絶縁膜510を形成する。そして、ゲート絶縁膜507、パッシベーション膜505及び第1の層間絶縁膜510にコンタクトホールを形成した後、コンタクトホールを介してTFT504と接続する配線513、514を、第1の層間絶縁膜510に接するように形成する。
次に図2(C)に示すように、第1の層間絶縁膜510上に第2の層間絶縁膜515を形成する。第2の層間絶縁膜515は、配線514が一部露出する様な位置に開口部を有するように形成する。なお、第1の層間絶縁膜510、第2の層間絶縁膜515として、有機樹脂膜、無機絶縁膜、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む絶縁膜(以下、シロキサン系絶縁膜と呼ぶ)等を用いることができる。シロキサン系絶縁膜は、置換基に水素の他、フッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有していても良い。
次に図2(D)に示すように、第2の層間絶縁膜515上にアンテナ519を形成する。アンテナ519は、Ag、Au、Cu、Pd、Cr、Mo、Ti、Ta、W、Alなどの金属、金属化合物を1つまたは複数有する導電材料を用いることができる。そしてアンテナ519は、配線514と接続されている。なお図2(D)では、アンテナ519が配線514と直接接続されているが、本発明のIDチップはこの構成に限定されない。例えば別途形成した配線を用いて、アンテナ519と配線514とを電気的に接続するようにしても良い。
アンテナ519は印刷法、フォトリソグラフィ法、蒸着法または液滴吐出法などを用いて形成することができる。本実施の形態では、アンテナ519が単層の導電膜で形成されているが、複数の導電膜が積層されたアンテナ519を形成することも可能である。
なお液滴吐出法とは、所定の組成物を含む液滴を細孔から吐出して所定のパターンを形成する方法を意味し、インクジェット法などがその範疇に含まれる。また印刷法にはスクリーン印刷法、オフセット印刷法などが含まれる。印刷法、液滴吐出法を用いることで、露光用のマスクを用いずとも、アンテナ519を形成することが可能になる。また、液滴吐出法、印刷法だと、フォトリソグラフィ法と異なり、エッチングにより除去されてしまうような材料の無駄がない。また高価な露光用のマスクを用いなくとも良いので、IDチップの作製に費やされるコストを抑えることができる。
液滴吐出法または各種印刷法を用いる場合、例えば、CuをAgでコートした導電粒子なども用いることが可能である。なお液滴吐出法を用いてアンテナ519を形成する場合、該アンテナ519の密着性が高まるような処理を、第2の層間絶縁膜515の表面に施すことが望ましい。
密着性を高めることができる方法として、具体的には、例えば触媒作用により導電膜または絶縁膜の密着性を高めることができる金属または金属化合物を第2の層間絶縁膜515の表面に付着させる方法、形成される導電膜または絶縁膜との密着性が高い有機系の絶縁膜、金属、金属化合物を第2の層間絶縁膜515の表面に付着させる方法、第2の層間絶縁膜515の表面に大気圧下または減圧下においてプラズマ処理を施し、表面改質を行なう方法などが挙げられる。また、上記導電膜または絶縁膜との密着性が高い金属として、チタン、チタン酸化物の他、3d遷移元素であるSc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znなどが挙げられる。また金属化合物として、上述した金属の酸化物、窒化物、酸窒化物などが挙げられる。上記有機系の絶縁膜として、例えばポリイミド、シロキサン系絶縁膜等が挙げられる。
第2の層間絶縁膜515に付着させる金属または金属化合物が導電性を有する場合、アンテナの正常な動作が妨げられないように、そのシート抵抗を制御する。具体的には、導電性を有する金属または金属化合物の平均の厚さを、例えば1〜10nmとなるように制御したり、該金属または金属化合物を酸化により部分的に、または全体的に絶縁化したりすれば良い。或いは、密着性を高めたい領域以外は、付着した金属または金属化合物をエッチングにより選択的に除去しても良い。また金属または金属化合物を、予め基板の全面に付着させるのではなく、液滴吐出法、印刷法、ゾル−ゲル法などを用いて特定の領域にのみ選択的に付着させても良い。なお金属または金属化合物は、第2の層間絶縁膜515の表面において完全に連続した膜状である必要はなく、ある程度分散した状態であっても良い。
そしてアンテナ519を形成した後、アンテナ519を覆うように、第2の層間絶縁膜515上に保護層521を形成する。保護層521は、後に剥離層501をエッチングにより除去する際に、アンテナ519を保護することができる材料を用いる。例えば、水またはアルコール類に可溶なエポキシ系、アクリレート系、シリコン系の樹脂を全面に塗布することで保護層521を形成することができる。
本実施の形態では、スピンコート法で水溶性樹脂(東亜合成製:VL−WSHL10)を膜厚30μmとなるように塗布し、仮硬化させるために2分間の露光を行ったあと、UV光を裏面から2.5分、表面から10分、合計12.5分の露光を行って本硬化させて、保護層521を形成する。なお、複数の有機樹脂を積層する場合、有機樹脂同士では使用している溶媒によって塗布または焼成時に一部溶解したり、密着性が高くなりすぎたりする恐れがある。従って、第2の層間絶縁膜515と保護層521を共に同じ溶媒に可溶な有機樹脂を用いる場合、後の工程において保護層521の除去がスムーズに行なわれるように、第2の層間絶縁膜515を覆うように、無機絶縁膜(SiNX膜、SiNXOY膜、AlNX膜、またはAlNXOY膜)を形成しておくことが好ましい。
次に図3(A)に示すように、IDチップどうしを分離するために溝522を形成する。溝522は、剥離層501が露出する程度であれば良い。溝522の形成は、ダイシング、スクライビングなどを用いることができる。なお、第1の基板500上に形成されているIDチップを分離する必要がない場合、必ずしも溝522を形成する必要はない。
次に図3(B)に示すように、剥離層501をエッチングにより除去する。本実施の形態では、エッチングガスとしてハロゲン化物を用い、該ガスを溝522から導入する。本実施の形態では、例えばClF3(三フッ化塩素)を用い、温度:350℃、流量:300sccm、気圧:6Torr、時間:3hの条件で行なう。また、ClF3ガスに窒素を混ぜたガスを用いても良い。ClF3NF3(三フッ化窒素)、BrF3(三フッ化臭素)、HF(フッ化水素)等のハロゲン化物を用いることで、剥離層501が選択的にエッチングされ、第1の基板500をTFT504から剥離することができる。HFを用いる場合、剥離層には酸化珪素膜を用いる。なおハロゲン化物は、気体であっても液体であってもどちらでも良い。
次に図3(C)に示すように、剥離されたTFT504及びアンテナ519を、接着剤530を用いて第2の基板531に貼り合わせる。接着剤530は、第2の基板531と封止膜502とを貼り合わせることができる材料を用いる。接着剤530は、例えば反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤等の光硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。
第2の基板531として、フレキシブルな紙またはプラスチックなどの有機材料を用いることができる。または第2の基板531として、フレキシブル無機材料を用いていても良い。プラスチック基板は、極性基のついたポリノルボルネンからなるARTON(JSR製)を用いることができる。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるポリエステル、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミド、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂などが挙げられる。第2の基板531は集積回路において発生した熱を拡散させるために、2〜30W/mK程度の高い熱伝導率を有する方が望ましい。
次に図4(A)に示すように、保護層521を除去した後、アンテナ519を覆うように接着剤532を第2の層間絶縁膜515上に塗布し、カバー材533を貼り合わせる。カバー材533は第2の基板531と同様に、フレキシブルな紙またはプラスチックなどの有機材料を用いることができる。接着剤532の厚さは、例えば10〜200μmとすれば良い。
カバー材533の表面に、予め封止膜540を形成しておく。本実施の形態では、封止膜540は、カバー材533側から順に積層された、バリア膜540a、応力緩和膜540b、バリア膜540cを有している。バリア膜540a、応力緩和膜540b、バリア膜540cの構成及び作製方法については、封止膜502についての記述を参照することができるので、ここでは説明を省略する。カバー材533は、封止膜540が、カバー材533とTFT504の間に挟まれるように、第2の層間絶縁膜515に貼り合わせる。
また接着剤532は、カバー材533と第2の層間絶縁膜515及びアンテナ519とを貼り合わせることができる材料を用いる。接着剤532は、例えば反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤等の光硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。
上述した各工程を経て、IDチップが完成する。上記作製方法によって、トータルの膜厚0.3μm以上3μm以下、代表的には2μm程度の飛躍的に薄い集積回路を第2の基板531とカバー材533との間に形成することができる。なお集積回路の厚さは、半導体素子自体の厚さのみならず、接着剤530と接着剤532間に形成された各種絶縁膜及び層間絶縁膜の厚さを含めるものとする。またIDチップが有する集積回路の占める面積を、5mm四方(25mm2)以下、より望ましくは0.3mm四方(0.09mm2)〜4mm四方(16mm2)程度とすることができる。
なお集積回路を、第2の基板531とカバー材533の間のより中央に位置させることで、IDチップの機械的強度を高めることができる。具体的には、第2の基板531とカバー材533の間の距離をdとすると、第2の基板531と、集積回路の厚さ方向における中心との距離が、以下の数1を満たすように、接着剤530、接着剤532の厚さを制御することが望ましい。
また好ましくは、以下の数2を満たすように、接着剤530、接着剤532の厚さを制御する。
なおIDチップに用いられる半導体膜や絶縁膜等に、シリアルナンバーを刻印しておけば、例えばROMにデータを記憶させる前のIDチップが、盗難等により第三者に不正に渡ったとしても、シリアルナンバーからその流通のルートをある程度割り出すことが可能である。この場合、復元不可能な程度に半導体装置を分解しないと消せないような位置に、シリアルナンバーを刻印しておくとより効果的である。
なお図4(A)では、カバー材533を用いる例を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば図3(C)に示した工程まで終了したら、保護層521を除去せずに、図4(B)に示すように、保護層521を覆うように封止膜541を形成しても良い。封止膜541は、保護層521側から順に積層されたバリア膜541a、応力緩和膜541b、バリア膜541cを有する。バリア膜541a、応力緩和膜541b、バリア膜541cの構成及び作製方法については、封止膜502についての記述を参照することができるので、ここでは説明を省略する。
なお集積回路を第1の基板500から剥離する方法は、本実施の形態で示したように珪素膜のエッチングを用いる方法に限定されず、他の様々な方法を用いることができる。例えば、耐熱性の高い基板と集積回路の間に金属酸化膜を設け、該金属酸化膜を結晶化により脆弱化して集積回路を剥離することができる。また例えば、剥離層をレーザ光の照射により破壊し、集積回路を基板から剥離することもできる。また例えば、集積回路が形成された基板を機械的に削除または溶液やガスによるエッチングで除去することで、集積回路を基板から剥離することもできる。
またIDチップの可撓性を確保するために、封止膜502に接する接着剤530に有機樹脂を用いる場合、封止膜502が有するバリア膜502a、502cとして窒化珪素膜または窒化酸化珪素膜を用いることで、有機樹脂からNaなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属が半導体膜中に拡散するのを防ぐことができる。
また対象物の表面が曲面を有しており、それにより該曲面貼り合わされたIDチップの第2の基板が、錐面、柱面などの母線の移動によって描かれる曲面を有するように曲がってしまう場合、該母線の方向とTFTのキャリアが移動する方向とを揃えておくことが望ましい。上記構成により、第2の基板が曲がっても、それによってTFTの特性に影響が出るのを抑えることができる。また、島状の半導体膜が集積回路内において占める面積の割合を、1〜30%とすることで、第2の基板が曲がっても、それによってTFTの特性に影響が出るのをより抑えることができる。
なお本実施の形態では、アンテナを集積回路と同じ基板上に形成している例について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。別の基板上に形成したアンテナと集積回路とを、後に貼り合わせることで、電気的に接続するようにしても良い。
また本実施の形態では、封止膜502と集積回路とを共に剥離して基板に貼り合わせる例を示したが、本発明はこの構成に限定されない。集積回路を貼り合わせる基板に、予め封止膜を形成しておいても良い。ただしこの場合、剥離層と半導体素子との間に、アルカリ金属やアルカリ土類金属が、半導体素子に用いられている半導体膜中に拡散するのを防ぎ、剥離する工程において半導体素子を保護するための絶縁膜(下地膜)を形成しておく。
図14に、集積回路を貼り合わせる基板に予め封止膜を形成しておく場合の、IDチップの一形態を、断面図で示す。図14に示すように、基板560に予め封止膜561を形成しておく場合、集積回路が有するTFT562と封止膜561との間に、接着剤563を設け、TFT562と封止膜561とを貼り合わせる。そして接着剤563に含まれるアルカリ金属やアルカリ土類金属が、半導体素子に用いられている半導体膜中に拡散するのを防ぎ、剥離する工程においてTFT562を保護するための下地膜564を、TFT562と接着剤563の間に形成しておく。下地膜564は、Naなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属、または水分などが、半導体素子に用いられている半導体膜中に拡散するのを防ぐことができる、無機絶縁膜を用いる。例えば、窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムまたは窒化酸化珪化アルミニウムなどを、下地膜564として用いることができる。なお下地膜564は単数の絶縁膜を用いていても、複数の絶縁膜を用いていても良い。ただし下地膜564に複数の絶縁膜を用いる場合、該複数の絶縁膜のうちのいずれか1つが、上述した無機絶縁膜であれば良い。
或いは、集積回路を貼り合わせる基板に、予め封止膜を形成しておくことに加え、剥離層と半導体素子との間にも別の封止膜を形成しておいても良い。
さらに本実施の形態では、耐熱性の高い基板と集積回路の間に剥離層を設け、エッチングにより該剥離層を除去することで基板と集積回路とを剥離する方法について示したが、本発明のIDチップの作製方法は、この構成に限定されない。例えば、耐熱性の高い基板と集積回路の間に金属酸化膜を設け、該金属酸化膜を結晶化により脆弱化して集積回路を剥離しても良い。或いは、耐熱性の高い基板と集積回路の間に、水素を含む非晶質半導体膜を用いた剥離層を設け、レーザ光の照射により該剥離層を除去することで基板と集積回路とを剥離しても良い。或いは、集積回路が形成された耐熱性の高い基板を機械的に削除または溶液やガスによるエッチングで除去することで集積回路を基板から切り離しても良い。
なお一般的にIDチップで用いられている電波の周波数は、13.56MHz、2.45GHzが多く、該周波数の電波を検波できるようにIDチップを形成することが、汎用性を高める上で非常に重要である。
また本実施の形態のIDチップでは、半導体基板を用いて形成されたIDチップよりも電波が遮蔽されにくく、電波の遮蔽により信号が減衰するのを防ぐことができるというメリットを有している。よって、半導体基板を用いずに済むので、IDチップのコストを大幅に低くすることができる。例えば、直径12インチのシリコン基板を用いた場合と、730×920mm2のガラス基板を用いた場合とを比較する。前者のシリコン基板の面積は約73000mm2であるが、後者のガラス基板の面積は約672000mm2であり、ガラス基板はシリコン基板の約9.2倍に相当する。後者のガラス基板の面積は約672000mm2では、基板の分断により消費される面積を無視すると、1mm四方のIDチップが約672000個形成できる計算になり、該個数はシリコン基板の約9.2倍の数に相当する。そしてIDチップの量産化を行なうための設備投資は、730×920mm2のガラス基板を用いた場合の方が直径12インチのシリコン基板を用いた場合よりも工程数が少なくて済むため、額を3分の1で済ませることができる。さらに本発明では、集積回路を剥離した後、ガラス基板を再び利用できる。よって、破損したガラス基板を補填したり、ガラス基板の表面を清浄化したりする費用を踏まえても、シリコン基板を用いる場合より大幅にコストを抑えることができる。またガラス基板を再利用せずに廃棄していったとしても、730×920mm2のガラス基板の値段は、直径12インチのシリコン基板の半分程度で済むので、IDチップのコストを大幅に低くすることができることがわかる。
従って、730×920mm2のガラス基板を用いた場合、直径12インチのシリコン基板を用いた場合よりも、IDチップの値段を約30分の1程度に抑えることができることがわかる。IDチップは、使い捨てを前提とした用途も期待されているので、コストを大幅に低くすることができる本発明のIDチップは上記用途に非常に有用である。
本実施例では、本発明のIDチップに用いられるTFTの構成について説明する。
図13(A)に、本実施例のTFTの断面図を示す。401はnチャネル型TFT、402はpチャネル型TFTに相当する。nチャネル型TFT401を例に挙げて、より詳しい構成について説明する。
nチャネル型TFT401は活性層405を有しており、該活性層405は、ソース領域またはドレイン領域として用いる2つの不純物領域403と、該2つの不純物領域403の間に挟まれているチャネル形成領域404と、2つの不純物領域403とチャネル形成領域404の間に挟まれている2つのLDD(Light Doped Drain)領域410とを有している。またnチャネル型TFT401は、ゲート絶縁膜406と、ゲート電極407と、絶縁膜で形成された2つのサイドウォール408、409とを有している。
なお本実施例ではゲート電極407が、2層の導電膜407a、407bを有しているが、本発明はこの構成に限定されない。ゲート電極407は1層の導電膜で形成されていても良いし、2層以上の導電膜で形成されていても良い。ゲート電極407は、ゲート絶縁膜406を間に挟んで、活性層405が有するチャネル形成領域404と重なっている。またサイドウォール408、409は、ゲート絶縁膜406を間に挟んで、活性層405が有する2つのLDD領域410と重なっている。
サイドウォール408は、例えば膜厚100nmの酸化珪素膜をエッチングすることで、サイドウォール409は、例えば膜厚200nmのLTO膜(Low Temperature Oxide、低温酸化膜)をエッチングすることで形成することができる。本実施例では、サイドウォール408に用いられる酸化珪素膜をプラズマCVD法で形成し、サイドウォール409に用いられるLTO膜を、酸化珪素膜を減圧CVD法で形成する。なお酸化珪素膜には、窒素が混じっていても良いが、該窒素原子数は酸素原子数よりも少ないものとする。
不純物領域403及びLDD領域410は、ゲート電極407をマスクにして活性層405にn型の不純物をドーピングした後、サイドウォール408、409を形成し、該サイドウォール408、409マスクとして活性層405にn型の不純物をドーピングすることで、作り分けることができる。
なおpチャネル型TFT402は、nチャネル型TFT401と構成はほとんど同じであるが、pチャネル型TFT402が有する活性層411の構成のみ異なっている。活性層411はLDD領域を有しておらず、2つの不純物領域412と、該2つの不純物領域412に挟まれているチャネル形成領域413とを有している。そして、不純物領域412には、p型の不純物がドーピングされている。なお図13(A)では、pチャネル型TFT402がLDD領域を有していない例を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。pチャネル型TFT402がLDD領域を有していても良い。
図13(B)に、図13(A)に示したTFTにおいて、サイドウォールが1つである場合を示す。図13(B)に示すnチャネル型TFT421と、pチャネル型TFT422は、それぞれ1つのサイドウォール428、429を有している。サイドウォール428、429は、例えば膜厚100nmの酸化珪素膜をエッチングすることで形成することができる。本実施例では、サイドウォール428に用いられる酸化珪素膜をプラズマCVD法で形成する。なお酸化珪素膜には、窒素が混じっていても良いが、該窒素原子数は酸素原子数よりも少ないものとする。
次に図13(C)に、図13(B)に示したTFTにおいて、ゲート電極をマスクにしてゲート絶縁膜をエッチングしてから、サイドウォールを形成する例について説明する。図13(C)に示すnチャネル型TFT431と、pチャネル型TFT432は、それぞれゲート電極433、434と、ゲート絶縁膜435、436を有しており、ゲート絶縁膜435、436は、ゲート電極433、434をマスクとしてエッチングすることで形成されている。
なお本実施例ではゲート電極433、434が、それぞれ2層の導電膜433a、433bと、2層の導電膜434a、434bとを有しているが、本発明はこの構成に限定されない。ゲート電極433、434は1層の導電膜で形成されていても良いし、2層以上の導電膜で形成されていても良い。
次に図13(D)に、ボトムゲート型のTFTの構成を示す。441はnチャネル型TFT、442はpチャネル型TFTに相当する。nチャネル型TFT441を例に挙げて、より詳しい構成について説明する。
図13(D)において、nチャネル型TFT441は活性層445を有しており、該活性層445は、ソース領域またはドレイン領域として用いる2つの不純物領域443と、該2つの不純物領域443の間に挟まれているチャネル形成領域444と、2つの不純物領域443とチャネル形成領域444の間に挟まれている2つのLDD(Light Doped Drain)領域450とを有している。またnチャネル型TFT441は、ゲート絶縁膜446と、ゲート電極447と、絶縁膜で形成された保護膜448を有している。
ゲート電極447は、ゲート絶縁膜446を間に挟んで、活性層445が有するチャネル形成領域444と重なっている。ゲート絶縁膜446は、ゲート電極447が形成された後に形成されており、活性層445はゲート絶縁膜446が形成された後に形成されている。また保護膜448は、チャネル形成領域444を間に挟んでゲート絶縁膜446と重なっている。
保護膜448は、例えば膜厚100nmの酸化珪素膜をエッチングすることで形成することができる。本実施例では、保護膜448に用いられる酸化珪素膜をプラズマCVD法で形成する。なお酸化珪素膜には、窒素が混じっていても良いが、該窒素原子数は酸素原子数よりも少ないものとする。
不純物領域443及びLDD領域450は、レジストで形成したマスクを用いて活性層445にn型の不純物をドーピングした後、保護膜448を形成し、該保護膜448マスクとして活性層445にn型の不純物をドーピングすることで、作り分けることができる。
なおpチャネル型TFT442は、nチャネル型TFT441と構成はほとんど同じであるが、pチャネル型TFT442が有する活性層451の構成のみ異なっている。活性層451はLDD領域を有しておらず、2つの不純物領域452と、該2つの不純物領域452に挟まれているチャネル形成領域453とを有している。そして、不純物領域452には、p型の不純物がドーピングされている。なお図13(A)では、pチャネル型TFT442がLDD領域を有していない例を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。pチャネル型TFT442がLDD領域を有していても良い。
本実施例は、実施例1〜実施例7の構成と組み合わせて実施することが可能である。