本発明は、半導体装置、及び半導体装置の作製方法に関する。
近年、個々の対象物にID(個体識別番号)を与えることで、その対象物の履歴等の情報を明確にし、生産・管理等に役立てるといった個体認識技術が注目されている。その中でも、非接触でデータの送受信が可能な半導体装置の開発が進められている。このような半導体装置として、特に、RFID(Radio Frequency Identification)(IDタグ、ICタグ、ICチップ、RFタグ(Radio Frequency)、無線タグ、電子タグ、無線チップともよばれる)等が企業内、市場等で導入され始めている。
これらの半導体装置の多くは、アンテナと集積回路から構成される。例えば、集積回路として情報記憶部品がモジュール基板に実装され、アンテナを有しており、情報記憶部品とアンテナとは電気的に接続されている(例えば特許文献1参照。)。
特開2000―90222号公報
集積回路とアンテナとの信号の送受を信号線で行う場合、扱う周波数によっては、十分な伝搬特性が得られず、伝送損失が生じる。また、信号線の電磁シールド性が十分ではなく集積回路の信号配線への干渉などの電気的不良が生ずる。
そこで、本発明では、集積回路とアンテナとの信号の伝搬特性による損失を低減した高性能かつ信頼性の高い半導体装置を提供することを課題とする。
本発明の半導体装置の一は、第1の絶縁層上に第1の導電層と、第1の導電層上に第1の導電層に達する開口を含む第2の絶縁層と、第2の絶縁層上に集積回路部とアンテナとを電気的に接続する信号配線層及び信号配線層に隣接する第2の導電層とを有し、第2の導電層は、開口において第1の導電層と接しており、第1の導電層は、信号配線層と第2の絶縁層を介して重なっている。
本発明の半導体装置の一は、第1の絶縁層上に第1の導電層と、第1の導電層上に第1の導電層に達する第1の開口及び第2の開口を含む第2の絶縁層と、第2の絶縁層上に集積回路部とアンテナとを電気的に接続する信号配線層及び信号配線層を間に挟んで隣接する第2の導電層及び第3の導電層とを有し、第1の導電層は、第1の開口において第2の導電層と、第2の開口において第3の導電層と、それぞれ接している。
本発明の半導体装置の一は、第1の絶縁層上に集積回路部とアンテナとを電気的に接続する信号配線層及び信号配線層に隣接する第1の導電層と、信号配線層及び第1の導電層上に、第1の導電層に達する開口を含む第2の絶縁層と、第2の絶縁層上に第2の導電層とを有し、第2の導電層は、開口において第1の導電層と接しており、第2の導電層は、信号配線層と第2の絶縁層を介して重なっている。
本発明の半導体装置の一は、第1の絶縁層上に集積回路部とアンテナとを電気的に接続する信号配線層及び信号配線層を間に挟んで隣接する第1の導電層及び第2の導電層と、信号配線層、第1の導電層及び第2の導電層上に、第1の導電層に達する第1の開口及び第2の導電層に達する第2の開口を含む第2の絶縁層と、第2の絶縁層上に第3の導電層とを有し、第3の導電層は、第1の開口において第1の導電層と、第2の開口において第2の導電層と、それぞれ接している。
本発明の半導体装置の一は、第1の絶縁層上に第1の導電層と、第1の導電層上に第1の開口及び第2の開口を含む第2の絶縁層と、第2の絶縁層上に集積回路部とアンテナとを電気的に接続する信号配線層及び信号配線層を間に挟んで隣接する第2の導電層及び第3の導電層と、信号配線層、第2の導電層及び第3の導電層上に第2の導電層に達する第3の開口及び第3の導電層に達する第4の開口を含む第3の絶縁層と、第3の絶縁層上に第4の導電層とを有し、第1の導電層は、第1の開口において第2の導電層と、第2の開口において第3の導電層とそれぞれ接し、第4の導電層は、第3の開口において第2の導電層と、第4の開口において第3の導電層とそれぞれ接している。
本発明の半導体装置の作製方法の一は、第1の絶縁層上に第1の導電層を形成し、第1の導電層上に第1の導電層に達する開口を含む第2の絶縁層を形成し、第2の絶縁層上に導電膜を形成し、導電膜を加工して、第1の導電層と第2の絶縁層を介して重なり、かつ集積回路部とアンテナとを電気的に接続する信号配線層と、信号配線層に隣接し、かつ開口において第1の導電層と接する第2の導電層とを形成する。
本発明の半導体装置の作製方法の一は、第1の絶縁層上に第1の導電層を形成し、第1の導電層上に第1の導電層に達する第1の開口及び第2の開口を含む第2の絶縁層を形成し、第2の絶縁層上に導電膜を形成し、導電膜を加工して、第1の導電層と第2の絶縁層を介して重なり、かつ集積回路部とアンテナとを電気的に接続する信号配線層と、信号配線層に隣接し、かつ第1の開口及び第2の開口において第1の導電層と接する第2の導電層とを形成する。
本発明の半導体装置の作製方法の一は、第1の絶縁層上に導電膜を形成し、導電膜を加工して、集積回路部とアンテナとを電気的に接続する信号配線層と、信号配線層に隣接する第1の導電層とを形成し、信号配線層及び第1の導電層上に、第1の導電層に達する開口を含む第2の絶縁層を形成し、第2の絶縁層上に開口において第1の導電層と接する第2の導電層を形成する。
本発明の半導体装置の作製方法の一は、第1の絶縁層上に導電膜を形成し、導電膜を加工して、集積回路部とアンテナとを電気的に接続する信号配線層と、信号配線層を間に挟んで隣接する第1の導電層及び第2の導電層とを形成し、信号配線層、第1の導電層及び第2の導電層上に、第1の導電層に達する第1の開口及び第2の導電層に達する第2の開口を含む第2の絶縁層を形成し、第2の絶縁層上に第1の開口において第1の導電層と、第2の開口において第2の導電層とそれぞれ接する第3の導電層を形成する。
本発明の半導体装置の作製方法の一は、第1の絶縁層上に第1の導電層を形成し、第1の導電層上に第1の開口及び第2の開口を含む第2の絶縁層を形成し、第2の絶縁層上に導電膜を形成し、導電膜を加工して、集積回路部とアンテナとを電気的に接続する信号配線層と、信号配線層を間に挟んで隣接し、かつ第1の開口において第1の導電層と接する第2の導電層及び第2の開口において第1の導電層と接する第3の導電層とを形成し、信号配線層、第2の導電層及び第3の導電層上に第2の導電層に達する第3の開口及び第3の導電層に達する第4の開口を含む第3の絶縁層を形成し、第3の絶縁層上に第3の開口において第2の導電層と、第4の開口において第3の導電層とそれぞれ接する第4の導電層とを形成する。
本発明の半導体装置において、集積回路部に薄膜トランジスタ、又は記憶素子を有してもよく、集積回路部、信号配線層、及びアンテナは可撓性を有する基板上に有する構成としてもよい。また、集積回路、信号配線層、及びアンテナをガラス基板上に形成した後、ガラス基板より剥離し、可撓性を有する基板に転置してもよい。
本発明により、信号配線層を囲む形で導電層を配置することにより、アンテナからの受信または送信の信号の伝搬特性を向上できる。また、電磁シールド性に優れるため、集積回路の信号配線への干渉を防ぐことができる。よって、高性能かつ信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態は、本発明の半導体装置の一例であり、図1を用いて説明する。
図1(a)は本実施の形態の半導体装置の上面図、図1(b)は線A―Bによる断面図である。本実施の形態の半導体装置は、アンテナからの受信信号または送信信号のための信号配線層1、導電層2a、導電層2b、導電層2c、開口3a及び開口3bを含む絶縁層4、絶縁層5を有する。また導電層2a、導電層2b、導電層2cは信号配線層が受信送信する信号(例えば高周波信号)の基準となっており、任意の電位に設定される。導電層2a及び導電層2bと、導電層2cとは信号の伝搬方向に沿って複数のビアで接続した構造である。
導電層2a、導電層2b、及び信号配線層1は別工程で形成してもよいし、同工程、同材料で形成してもよい。同工程、同材料で作製する場合、開口3a及び開口3bを含む絶縁層4上に導電膜を形成し、導電膜をエッチング等で加工し、導電層2a、導電層2b、及び信号配線層1を形成するとよい。
信号配線層1を挟む形で導電層2a、導電層2bが信号配線層1に平行に2本配置されており、また、厚さ方向の下方向に導電層2cが配置されている。導電層2cは、信号配線層1の左右の導電層2a、導電層2bと複数のビアとなる開口3a、開口3bで接続されている。導電層2a、導電層2b、導電層2cは、信号配線層1より放射される電気信号を遮断する機能を有する。よって、信号配線層に対して積層体の厚さ方向の下方向と左右方向に導電層2a、導電層2b、導電層2cを設けることで電磁シールド性が向上し、アンテナからの受信信号または送信信号の伝搬特性が良くなり、高周波信号であっても伝送損失が軽減できる。
本発明により、信号配線層を囲む形で導電層を配置することにより、アンテナからの受信または送信の信号の伝搬特性を向上できる。また、電磁シールド性に優れるため、集積回路の信号配線への干渉を防ぐことができる。よって、高性能かつ信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態は、本発明の半導体装置の一例であり、図2を用いて説明する。
図2(a)は本実施の形態における半導体装置の上面図、図2(b)は線C―Dによる断面図である。本実施の形態の半導体装置は、アンテナからの受信信号または送信信号のための信号配線層21、導電層22a、導電層22b、導電層22c、開口23a及び開口23bを含む絶縁層24、絶縁層25を有する。また導電層22a、導電層22b、導電層22cは信号配線層が受信送信する信号(例えば高周波信号)の基準となっており、任意の電位に設定される。導電層22a及び導電層22bと、導電層22cとは信号の伝搬方向に沿って複数のビアで接続した構造である。
導電層22a、導電層22b、及び信号配線層21は別工程で形成してもよいし、同工程、同材料で形成してもよい。同工程、同材料で作製する場合、絶縁層25上に導電膜を形成し、導電膜をエッチング等で加工し、導電層22a、導電層22b、及び信号配線層21を形成するとよい。
信号配線層21を挟む形で導電層22a、導電層22bが信号配線層21に平行に2本配置されており、また、積層体の厚さ方向の上方向に導電層22cが配置されて、導電層22cは、信号配線層21の左右の導電層22a、導電層22bと複数のビアである開口23a、開口23bで接続されている。導電層22a、導電層22b、導電層22cは、信号配線層21より放射される電気信号を遮断する機能を有する。よって、信号配線層21に対して積層体の厚さ方向の上方向と左右方向に導電層22a、導電層22b、導電層22cを設けることで電磁シールド性が向上し、アンテナからの受信信号または送信信号の伝搬特性が良くなり、高周波信号であっても伝送損失が軽減できる。
本発明により、信号配線層を囲む形で導電層を配置することにより、アンテナからの受信または送信の信号の伝搬特性を向上できる。また、電磁シールド性に優れるため、集積回路の信号配線への干渉を防ぐことができる。よって、高性能かつ信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態は、本発明の半導体装置の一例であり、図3を用いて説明する。
図3(a)は本実施の形態における半導体装置の上面図、図3(b)は線E―Fによる断面図である。アンテナからの受信信号または送信信号のための信号配線層31、導電層32a、導電層32b、導電層32c、導電層32d、開口33a及び開口33bを含む絶縁層34及び絶縁層36、絶縁層35を有している。また導電層32a、導電層32b、導電層32c、導電層32dは信号配線層が受信送信する信号(例えば高周波信号)の基準となっており、任意の電位に設定される。導電層32a及び導電層32bと、導電層32c及び導電層32dとは信号の伝搬方向に沿って複数のビアで接続した構造である。
導電層32a、導電層32b、及び信号配線層31は別工程で形成してもよいし、同工程、同材料で形成してもよい。同工程、同材料で作製する場合、導電層32cに達する開口33a及び開口33bを含む絶縁層34上に導電膜を形成し、導電膜をエッチング等で加工し、導電層32a、導電層32b、及び信号配線層31を形成するとよい。
信号配線層31を挟む形で導電層32a、導電層32bが信号配線層31に平行に2本配置されており、また、積層体の厚さ方向の上方向に導電層32dが配置されており、下方向に導電層32cが配置されていて、導電層32c、導電層32dは、信号配線層31の左右の導電層32a、導電層32bと複数の開口33a、開口33bで接続されている。導電層32a、導電層32b、導電層32c、導電層32dは、信号配線層31より放射される電気信号を遮断する機能を有する。よって、信号配線層31に対して積層体の厚さ方向の上下方向と左右方向に導電層32a、導電層32b、導電層32c、導電層32dを設けることでより電磁シールド性が向上し、アンテナからの受信信号または送信信号の伝搬特性が良くなり、高周波信号であっても伝送損失が軽減できる。
本発明により、信号配線層を囲む形で導電層を配置することにより、アンテナからの受信または送信の信号の伝搬特性を向上できる。また、電磁シールド性に優れるため、集積回路の信号配線への干渉を防ぐことができる。よって、高性能かつ信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態は、本発明の半導体装置の一例であり、図4を用いて説明する。
図4(a)は本実施の形態における半導体装置の上面図、図4(b)は線G―Hによる断面図である。アンテナからの受信信号または送信信号のための信号配線層41、導電層42a、導電層42b、開口43a及び開口43bを含む絶縁層44及び絶縁層46、絶縁層45を有する。また導電層42a、導電層42bは信号配線層が受信送信する信号(例えば高周波信号)の基準となっており、任意の電位に設定される。導電層42aと、導電層42bとは信号の伝搬方向に沿って複数のビアで接続した構造である。
開口43a及び開口43bは、積層する絶縁層44及び絶縁層46に一回のエッチング工程で形成してもよいし、複数回行ってもよい。
信号配線層41を挟む形で積層体の厚さ方向の上方向に導電層42aが配置されており、積層体の厚さ方向の下方向に導電層42bが配置されていて、絶縁層46上の導電層42aは、絶縁層44下の導電層42bと複数の開口43a、開口43bで接続されている。導電層42a、導電層42bは、信号配線層41より放射される電気信号を遮断する機能を有する。また、複数の開口によって導電層42a及び導電層42bとは接続されており、絶縁層46及び絶縁層44中に存在する。よって、信号配線層41の左右方向にも、信号配線層41より放射される信号を遮断、反射する効果を有する導電層を有していることになる。従って信号配線層41に対して特に積層体の厚さ方向の上下方向、また厚さ方向に垂直な左右横方向の電磁シールド性が向上し、アンテナからの受信信号または送信信号の伝搬特性が良くなり、高周波信号であっても伝送損失が軽減できる。
本発明により、信号配線層を囲む形で導電層を配置することにより、アンテナからの受信または送信の信号の伝搬特性を向上できる。また、電磁シールド性に優れるため、集積回路の信号配線への干渉を防ぐことができる。よって、高性能かつ信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態は、本発明の半導体装置の一例であり、図5を用いて説明する。
図5(a)は本実施の形態における半導体装置の上面図、図5(b)は線I―Jによる断面図である。アンテナからの受信信号または送信信号のための信号配線層51、導電層52a、導電層52b、導電層52c、開口53aを含む絶縁層54、開口53bを含む絶縁層56、絶縁層55を有する。また導電層52a、導電層52b、導電層52cは信号配線層が受信送信する信号(例えば高周波信号)の基準となっており、任意の電位に設定される。導電層52bと、導電層52a、導電層52cとは信号の伝搬方向に沿って複数のビアで接続した構造である。
信号配線層51の横に信号配線層51に平行に導電層52bが配置されており、絶縁層56上積層体の厚さ方向の上方向に導電層52cが配置されており、絶縁層54下の下方向に導電層52aが配置されている。導電層52a、導電層52b、導電層52cは、複数の開口53a、開口53bで接続されている。このように、信号配線層を囲んで設けられる導電層は、左右対称の形状でなくてもよく、導電層52a、導電層52b、導電層52cのように異なった形状であってもよい。また導電層同士のコンタクトのための開口も開口53a、開口53bのようにずらして設けられてもよい。導電層の形状や数は、半導体装置の目的や要求される性能を満たすように設定すればよい。導電層52a、導電層52b、導電層52cは、信号配線層51より放射される電気信号を遮断する機能を有する。よって、本実施の形態では、信号配線層51に対して厚さ方向と導電層52bの方向の電磁シールド性が向上し、アンテナからの受信信号または送信信号の伝搬特性が良くなり、高周波信号であっても伝送損失が軽減できる。
本発明により、信号配線層を囲む形で導電層を配置することにより、アンテナからの受信または送信の信号の伝搬特性を向上できる。また、電磁シールド性に優れるため、集積回路の信号配線への干渉を防ぐことができる。よって、高性能かつ信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
本実施例は、本発明の半導体装置の一例であり、図6を用いて説明する。
図6は本実施例の半導体装置であるRFID63の構成図であり、RFID63はアンテナ61と集積回路62とで構成され、アンテナ61と集積回路62とは信号配線層のよって電気的に接続されている。
図7に図6の領域64の拡大図を示す。図7(A)は領域64の上面図であり、図7(B)は図7(A)における線L−Mによる断面図である。図7(A)(B)において、アンテナからの受信信号または送信信号のための信号配線層301、導電層302a、導電層302b、導電層302c、開口303a、開口303b及び開口303cを含む絶縁層304、絶縁層305である。絶縁層304の下には導電層310が形成され、絶縁層304に形成される導電層310に達する開口303a、303bで導電層310と導電層302a、導電層302cとがそれぞれ接し、電気的に接続する。
信号配線層301の左右に導電層302a、導電層302bが配置されており、信号配線層301が途中で分岐して2方向に分かれているが、分岐後も左右に導電層302a、導電層302b、導電層302cが配置されており、電磁シールド性の向上とクロストークを低減する効果がある。
図7(B)の上面図に示すように、配線層は、L字型に折れ曲がった各コーナー部であって直角三角形の一辺が10μm以下、または、配線の線幅の1/2以下で、線幅の1/5以上の大きさに角部を削除し、コーナー部を丸みをおびるパターンとする。即ち、上面からみたコーナー部における配線層の外周は曲線を形成するようにする。具体的には、コーナー部の外周縁に丸みを帯びさせるため、コーナー部を挟む互いに垂直な2つの第1直線と、これら2つの第1直線と約45度の角度をなす一つの第2直線と、で形成される直角 2等辺三角形の部分に相当する配線層の一部を除去する。除去すると新たに2つの鈍角の部分が配線層に形成されるが、マスク設計や、エッチング条件を適宜設定することにより、各鈍角部分に第1直線と第2直線との両方に接する曲線が形成されるように配線層をエッチングすることが好ましい。なお、前記直角2等辺三角形の互いに等しい2辺の長さは、配線幅の1/5以上1/2以下とする。またコーナー部の内周についても、コーナー部の外周に沿って内周が丸みを帯びるよう形成する。
このような配線層や導電層の配置において、コーナー部や配線幅が変化する部位の角部をなめらかにして、丸みを付けることにより、プラズマによるドライエッチの際、異常放電による微粉の発生を抑え、凹部では、洗浄のときに、たとえできた微粉であっても、それが角に集まりやすいのを洗い流す結果として歩留まり向上が甚だしく期待できるという効果を有する。すなわち、製造工程における塵や微粉の問題を解消することができる。また、配線の角部がラウンドをとることにより、電気的にも伝導させることが期待できる。また、多数の平行配線では、ゴミを洗い流すのにはきわめて好都合である。
本発明により、信号配線層を囲む形で導電層を配置することにより、アンテナからの受信または送信の信号の伝搬特性を向上できる。また、電磁シールド性に優れるため、集積回路の信号配線への干渉を防ぐことができる。よって、高性能かつ信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
本実施例では、薄膜トランジスタ及びアンテナを含む本発明の半導体装置の作製方法について、図面を参照して説明する。本実施例で示す半導体装置は、非接触でデータの読み出しと書き込みが可能であることを特徴としており、データの伝送形式は、一対のコイルを対向に配置して相互誘導によって交信を行う電磁結合方式、誘導電磁界によって交信する電磁誘導方式、電波を利用して交信する電波方式の3つに大別されるが、いずれの方式を用いてもよい。
基板80上に下地膜として、スパッタリング法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemical Vapor Deposition)などにより窒化酸化珪素膜(SiNO)を用いて絶縁層81aを10〜200nm(好ましくは50〜100nm)形成し、酸化窒化珪素膜(SiON)を用いて絶縁層81bを50〜200nm(好ましくは100〜150nm)積層する。また、塗布法、印刷法などによって絶縁層を形成しても良い。本実施例では、プラズマCVD法を用いて絶縁層81a、絶縁層81bを形成する。
絶縁層81a、絶縁層81bとしては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素などを用いることができ、単層でも2層、3層といった積層構造でもよい。なお本明細書中において酸化窒化珪素とは酸素の組成比が窒素の組成比より大きい物質であり、窒素を含む酸化珪素とも言える。同様に、窒化酸化珪素とは、窒素の組成比が酸素の組成比より大きい物質であり、酸素を含む窒化珪素とも言える。本実施例では、基板上にSiH4、NH3、N2O、N2及びH2を反応ガスとして窒化酸化珪素膜を膜厚50nm形成し、SiH4及びN2Oを反応ガスとして酸化窒化珪素膜を膜厚100nmで形成する。また窒化酸化珪素膜の膜厚を140nm、積層する酸化窒化珪素膜の膜厚を100nmとしてもよい。
次いで、絶縁層上に半導体膜を形成する。半導体膜は25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により成膜すればよい。本実施例では、非晶質半導体膜を、レーザ結晶化し、結晶性半導体膜とするものを用いるのが好ましい。
半導体膜を形成する材料は、シランやゲルマニウムに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製される非晶質半導体(以下「アモルファス半導体:AS」ともいう。)、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いはセミアモルファス(微結晶若しくはマイクロクリスタルとも呼ばれる。以下「SAS」ともいう。)半導体などを用いることができる。
SASは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいる。少なくとも膜中の一部の領域には、0.5〜20nmの結晶領域を観測することが出来、珪素を主成分とする場合にはラマンスペクトルが520cm−1よりも低波数側にシフトしている。X線回折では珪素結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合手(ダングリングボンド)を終端化させるため水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。SASは、珪素を含む気体をグロー放電分解(プラズマCVD)して形成する。珪素を含む気体としては、SiH4、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることが可能である。またF2、GeF4を混合させても良い。この珪素を含む気体をH2、又は、H2とHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈しても良い。希釈率は2〜1000倍の範囲、圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲、電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzである。基板加熱温度は300℃以下が好ましく、100〜200℃の基板加熱温度でも形成可能である。ここで、主に成膜時に取り込まれる不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分に由来する不純物は1×1020atoms/cm3以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019atoms/cm3以下、好ましくは1×1019atoms/cm3以下となるようにすることが好ましい。また、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで安定性が増し良好なSASが得られる。また半導体膜としてフッ素系ガスより形成されるSAS層に水素系ガスより形成されるSAS層を積層してもよい。
非晶質半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体としては代表的にはポリシリコンなどがあげられる。ポリシリコン(多結晶シリコン)には、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを添加し結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。もちろん、前述したように、セミアモルファス半導体又は半導体膜の一部に結晶相を含む半導体を用いることもできる。
また、半導体膜として、有機半導体材料を用い、印刷法、スプレー法、スピン塗布法、液滴吐出法などで形成することができる。この場合、上記エッチング工程が必要ないため、工程数を削減することが可能である。有機半導体としては、低分子材料、高分子材料などが用いられ、有機色素、導電性高分子材料などの材料も用いることができる。本発明に用いる有機半導体材料としては、その骨格が共役二重結合から構成されるπ電子共役系の高分子材料が望ましい。代表的には、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリチオフェン誘導体、ペンタセン等の可溶性の高分子材料を用いることができる。
その他にも本発明に用いることができる有機半導体材料としては、可溶性の前駆体を成膜した後で処理することにより半導体層を形成することができる材料がある。なお、このような有機半導体材料としては、ポリチエニレンビニレン、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)、ポリアセチレン、ポリアセチレン誘導体、ポリアリレンビニレンなどがある。
前駆体を有機半導体に変換する際には、加熱処理だけではなく塩化水素ガスなどの反応触媒を添加することがなされる。また、これらの可溶性有機半導体材料を溶解させる代表的な溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、クロロフォルム、ジクロロメタン、γブチルラクトン、ブチルセルソルブ、シクロヘキサン、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、シクロヘキサノン、2−ブタノン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)または、THF(テトラヒドロフラン)などを適用することができる。
半導体膜に、結晶性半導体膜を用いる場合、その結晶性半導体膜の作製方法は、公知の方法(レーザ結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を助長する元素を用いた熱結晶化法等)を用いれば良い。また、SASである微結晶半導体をレーザ照射して結晶化し、結晶性を高めることもできる。結晶化を助長する元素を導入しない場合は、非晶質半導体膜にレーザ光を照射する前に、窒素雰囲気下500℃で1時間加熱することによって非晶質半導体膜の含有水素濃度を1×1020atoms/cm3以下にまで放出させる。これは水素を多く含んだ非晶質半導体膜にレーザ光を照射すると非晶質半導体膜が破壊されてしまうからである。結晶化のための加熱処理は、加熱炉、レーザ照射、若しくはランプから発する光の照射(ランプアニールともいう)などを用いることができる。加熱方法としてGRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)法、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)法等のRTA法がある。GRTAとは高温のガスを用いて加熱処理を行う方法であり、LRTAとはランプ光により加熱処理を行う方法である。
非晶質半導体膜への金属元素の導入の仕方としては、金属元素を非晶質半導体膜の表面又はその内部に存在させ得る手法であれば特に限定はなく、例えばスパッタ法、CVD法、プラズマ処理法(プラズマCVD法も含む)、吸着法、金属塩の溶液を塗布する方法を使用することができる。このうち溶液を用いる方法は簡便であり、金属元素の濃度調整が容易であるという点で有用である。また、このとき非晶質半導体膜の表面のぬれ性を改善し、非晶質半導体膜の表面全体に水溶液を行き渡らせるため、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を成膜することが望ましい。
連続発振が可能な固体レーザを用い、基本波の第2高調波〜第4高調波のレーザ光を照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、代表的には、Nd:YVO4レーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いるのが望ましい。具体的には、連続発振のYVO4レーザから射出されたレーザ光を非線形光学素子により高調波に変換し、出力数W以上のレーザ光を得る。そして、好ましくは光学系により照射面にて矩形状または楕円形状のレーザ光に成形して、半導体膜に照射する。このときのエネルギー密度は0.001〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、走査速度を0.5〜2000cm/sec程度(好ましくは10〜200cm/sec)とし、照射する。
レーザのビーム形状は、線状とすると好ましい。その結果、スループットを向上させることができる。またさらにレーザは、半導体膜に対して入射角θ(0<θ<90度)を持たせて照射させるとよい。レーザの干渉を防止することができるからである。
このようなレーザと、半導体膜とを相対的に走査することにより、レーザ照射を行うことができる。またレーザ照射において、ビームを精度よく重ね合わせたり、レーザ照射開始位置やレーザ照射終了位置を制御するため、マーカを形成することもできる。マーカは非晶質半導体膜と同時に、基板上へ形成すればよい。
なおレーザは、連続発振またはパルス発振の気体レーザ、固体レーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザなどを用いることができる。気体レーザとして、エキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザ、He−Cdレーザなどがあり、固体レーザとして、YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、Y2O3レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザなどが挙げられる。
また、パルス発振のレーザ光の発振周波数を0.5MHz以上とし、通常用いられている数十Hz〜数百Hzの周波数帯よりも著しく高い周波数帯を用いてレーザ結晶化を行っても良い。パルス発振でレーザ光を半導体膜に照射してから半導体膜が完全に固化するまでの時間は数十nsec〜数百nsecと言われている。よって上記周波数帯を用いることで、半導体膜がレーザ光によって溶融してから固化するまでに、次のパルスのレーザ光を照射できる。したがって、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができるので、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を有する半導体膜が形成される。具体的には、含まれる結晶粒の走査方向における幅が10〜30μm、走査方向に対して垂直な方向における幅が1〜5μm程度の結晶粒の集合を形成することができる。該走査方向に沿って長く延びた単結晶の結晶粒を形成することで、少なくとも薄膜トランジスタのチャネル方向には結晶粒界のほとんど存在しない半導体膜の形成が可能となる。
また、希ガスや窒素などの不活性ガス雰囲気中でレーザ光を照射するようにしても良い。これにより、レーザ光の照射により半導体表面の荒れを抑えることができ、界面準位密度のばらつきによって生じるしきい値のばらつきを抑えることができる。
非晶質半導体膜の結晶化は、熱処理とレーザ光照射による結晶化を組み合わせてもよく、熱処理やレーザ光照射を単独で、複数回行っても良い。
本実施例では、絶縁層81b上に、非晶質半導体膜を形成し、非晶質半導体膜を結晶化させることによって結晶性半導体膜を形成する。非晶質半導体膜としては、SiH4、H2の反応ガスにより形成する非晶質珪素を用いる。本実施例において、絶縁層402a、絶縁層81b、非晶質半導体膜は、同チャンバー内で真空を破らずに330℃の同一温度下で、反応ガスを切り変えながら連続的に形成する。
非晶質半導体膜上に形成された酸化膜を除去した後、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を1〜5nm形成する。本実施例では、結晶化を助長する元素としてNiを用いる。酢酸ニッケル10ppmを含有した水溶液をスピンコーティング法により塗布する。
本実施例では、熱処理をRTA法により750℃で3分間行った後、半導体膜上に形成される酸化膜を除去し、レーザ光を照射する。非晶質半導体膜は以上の結晶化処理により結晶化し、結晶性半導体膜として形成される。
金属元素を用いた結晶化を行った場合、金属元素を低減、又は除去するためにゲッタリング工程を施す。本実施例では、非晶質半導体膜をゲッタリングシンクとして金属元素を捕獲する。まず、結晶性半導体膜上に酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を形成する。酸化膜は加熱処理によって厚膜化することが望ましい。次いでプラズマCVD法(本実施例における条件350W、35Pa)を用いて、非晶質半導体膜を50nmの膜厚で形成する。
その後、RTA法により744℃で3分間熱処理を行い、金属元素を低減、又は除去する。熱処理は窒素雰囲気下で行ってもよい。そして、ゲッタリングシンクとなっていた非晶質半導体膜、及び非晶質半導体膜上に形成された酸化膜をフッ酸等により除去し、金属元素が低減、又は除去された結晶性半導体膜を得ることができる。本実施例では、ゲッタリングシンクとなった非晶質半導体膜の除去をTMAH(Tetramethyl ammonium hydroxide)を用いて行う。
このようにして得られた半導体膜に対して、薄膜トランジスタのしきい値電圧を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行ってもよい。この不純物元素のドーピングは、結晶化工程の前の非晶質半導体膜に行ってもよい。非晶質半導体膜の状態で不純物元素をドーピングすると、その後の結晶化のための加熱処理によって、不純物の活性化も行うことができる。また、ドーピングの際に生じる欠陥等も改善することができる。
次に結晶性半導体膜をマスクを用いてエッチング加工する。本実施例では結晶性半導体膜上に形成された酸化膜を除去した後、新たに酸化膜を形成する。そして、フォトマスクを作製し、フォトリソグラフィ法を用いた加工処理により、半導体層79を形成する。
エッチング加工は、プラズマエッチング(ドライエッチング)又はウエットエッチングのどちらを採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF4、NF3、Cl2、BCl3、などのフッ素系又は塩素系のガスを用い、HeやArなどの不活性ガスを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層を形成する必要はない。
本発明において、配線層若しくは電極層を形成する導電層や、所定のパターンを形成するためのマスク層などを、液滴吐出法のような選択的にパターンを形成できる方法により形成してもよい。液滴吐出(噴出)法(その方式によっては、インクジェット法とも呼ばれる。)は、特定の目的に調合された組成物の液滴を選択的に吐出(噴出)して所定のパターン(導電層や絶縁層など)を形成することができる。この際、被形成領域にぬれ性や密着性を制御する処理を行ってもよい。また、パターンが転写、または描写できる方法、例えば印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)なども用いることができる。
本実施例において、用いるマスクは、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フッ化アリレンエーテル、透光性を有するポリイミドなどの有機材料、シロキサン系ポリマー等の重合によってできた化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いることもできる。或いは、感光剤を含む市販のレジスト材料を用いてもよく、例えば、代表的なポジ型レジストである、ノボラック樹脂と感光剤であるナフトキノンジアジド化合物、ネガ型レジストであるベース樹脂、ジフェニルシランジオール及び酸発生剤などを用いてもよい。液滴吐出法を用いる場合、いずれの材料を用いるとしても、その表面張力と粘度は、溶媒の濃度を調整したり、界面活性剤等を加えたりして適宜調整する。
半導体層上の酸化膜を除去し、半導体層79を覆うゲート絶縁層83を形成する。ゲート絶縁層はプラズマCVD法またはスパッタ法などを用い、厚さを10〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。ゲート絶縁層としては、窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素に代表される珪素の酸化物材料又は窒化物材料等の公知の材料で形成すればよく、積層でも単層でもよい。また、絶縁層は窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化珪素膜の3層の積層、酸化窒化珪素膜の単層、2層からなる積層でも良い。さらに半導体層とゲート絶縁層の間に、膜厚1〜100nm、好ましくは1〜10nm、さらに好ましくは2〜5nmである膜厚の薄い酸化珪素膜を形成してもよい。薄い酸化珪素膜の形成方法としては、GRTA法、LRTA法等を用いて半導体領域表面を酸化し、熱酸化膜を形成することで、膜厚の薄い酸化珪素膜を形成することができる。なお、低い成膜温度でゲートリーク電流が少ない緻密な絶縁膜を形成するには、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに含ませ、形成される絶縁膜中に混入させると良い。本実施例では、ゲート絶縁層83として酸化窒化珪素膜を膜厚115nm形成する。
また、基板、下地膜としての絶縁層、半導体層、ゲート絶縁層、層間絶縁層などを形成した後、プラズマ処理を用いて酸化または窒化を行うことにより前記基板、下地膜としての絶縁層、半導体層、ゲート絶縁層、層間絶縁層表面を酸化または窒化してもよい。プラズマ処理を用いて半導体層や絶縁層を酸化または窒化すると、半導体層や絶縁層の表面が改質され、CVD法やスパッタ法により形成した絶縁膜と比較してより緻密な絶縁膜とすることができる。よって、ピンホール等の欠陥を抑制し半導体装置の特性等を向上させることが可能となる。また上記の様なプラズマ処理は、ゲート電極層、ソース電極層、ドレイン電極層、配線層などにも行うことができ、窒化又は酸化を行うことによって窒化膜、酸化膜を形成することができる。
本実施例では、ゲート絶縁層83を形成後、図8(A)で示すように、プラズマ処理78を行い、ゲート絶縁層83を酸化、又は窒化する。上記図8では図示しないがプラズマ処理によって、ゲート絶縁層83上には酸化膜又は窒化膜が形成される。ゲート絶縁層83として酸化珪素(SiOx)または酸化窒化珪素(SiOxNy)(x>y)を用いた場合、酸素雰囲気下でプラズマ処理を行いゲート絶縁層83を酸化することによって、ゲート絶縁層の表面にはCVD法やスパッタ法等により形成されたゲート絶縁層と比較してピンホール等の欠陥の少ない緻密な膜を形成することができる。一方、窒素雰囲気下でプラズマ処理を行いゲート絶縁層83を窒化すると、ゲート絶縁層83の表面に絶縁膜として窒化酸化珪素(SiNxOy)(x>y)を設けることができる。また、一旦酸素雰囲気下でプラズマ処理を行うことによりゲート絶縁層83を酸化させた後に、再度窒素雰囲気下でプラズマ処理を行うことにより窒化させてもよい。
なお、プラズマ処理により膜を酸化する場合には、酸素雰囲気下(例えば、酸素(O2)と希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xeの少なくとも一つを含む)雰囲気下または酸素と水素(H2)と希ガス雰囲気下または一酸化二窒素と希ガス雰囲気下)でプラズマ処理を行う。一方、プラズマ処理により膜を窒化する場合には、窒素雰囲気下(例えば、窒素(N2)と希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xeの少なくとも一つを含む)雰囲気下または窒素と水素と希ガス雰囲気下またはNH3と希ガス雰囲気下)でプラズマ処理を行う。希ガスとしては、例えばArを用いることができる。また、ArとKrを混合したガスを用いてもよい。そのため、プラズマ処理によって形成される絶縁膜は、プラズマ処理に用いた希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xeの少なくとも一つを含む)を含んでおり、Arを用いた場合には絶縁膜にArが含まれている。
また、プラズマ処理は、上記ガスの雰囲気中において、電子密度が1×1011cm−3以上であり、プラズマの電子温度が1.5eV以下で行う。より詳しくいうと、電子密度が1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下で、プラズマの電子温度が0.5eV以上1.5eV以下で行う。プラズマの電子密度が高密度であり、基板80上に形成された被処理物(ここでは、ゲート絶縁層83)付近での電子温度が低いため、被処理物に対するプラズマによる損傷を防止することができる。また、プラズマの電子密度が1×1011cm−3以上と高密度であるため、プラズマ処理を用いて、被照射物を酸化または窒化することよって形成される酸化物または窒化膜は、CVD法やスパッタ法等により形成された膜と比較して膜厚等が均一性に優れ、且つ緻密な膜を形成することができる。また、プラズマの電子温度が1.5eV以下と低いため、従来のプラズマ処理や熱酸化法と比較して低温度で酸化または窒化処理を行うことができる。たとえば、ガラス基板の歪点よりも100度以上低い温度でプラズマ処理を行っても十分に酸化または窒化処理を行うことができる。なお、プラズマを形成するための周波数としては、マイクロ波(2.45GHz)等の高周波を用いることができる。なお、以下に特に断らない場合は、プラズマ処理として上記条件を用いて行うものとする。
このように、ゲート電極層を形成する前にプラズマ処理を行うことによって、半導体膜の端部においてゲート絶縁層の段切れ等による被覆不良が生じた場合であっても、被覆不良により露出した半導体膜を酸化または窒化することができるため、半導体層の端部におけるゲート絶縁層の被覆不良に起因するゲート電極層と半導体膜のショート等を防止することができる。
次いで、ゲート絶縁層83上にゲート電極層として用いる膜厚20〜100nmの第1の導電膜と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜とを積層して形成する。第1の導電膜及び第2の導電膜は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法等の公知の手法により形成することができる。第1の導電膜及び第2の導電膜はタンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ネオジウム(Nd)から選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、第1の導電膜及び第2の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、2層構造に限定されず、例えば、第1の導電膜として膜厚50nmのタングステン膜、第2の導電膜として膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、第3の導電膜として膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、第1の導電膜のタングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、第2の導電膜のアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、第3の導電膜の窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。また、単層構造であってもよい。本実施例では、第1の導電膜として窒化タンタル(TaN)を膜厚30nm形成し、第2の導電膜としてタングステン(W)を膜厚370nm形成する。
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスクを形成し、第1の導電膜及び第2の導電膜を所望の形状に加工し、第1のゲート電極層77a、及び第2のゲート電極層77bを形成する。ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極層に印加される電力量、基板側の電極層に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することにより、第1のゲート電極層77a、及び第2のゲート電極層77bを所望のテーパー形状を有するようにエッチングすることもできる。また、テーパー形状は、マスクの形状によっても角度等を制御することができる。
本実施例は、実施例4に示すレジストマスクを形成する際、光の透過率が異なる露光マスクを用いて行い、加工する導電層の形状を反映した膜厚の異なる領域を有するマスクを形成する。凹凸を有するマスクを用いることで、同一のエッチング工程でゲート電極層77a、ゲート電極層77bのように幅の異なる積層のゲート電極層と、配線層として同じ幅の導電層が積層した配線層を形成することができる。よって、少ない工程で多様な形状の導電層が形成できるため、それぞれ要求される機能を有するように設計することができ、また工程も簡略化する。
なお、エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガス又はO2を適宜用いることができる。本実施例では、CF4、Cl2、O2からなるエッチング用ガスを用いて第2の導電膜のエッチングを行い、連続してCF4、Cl2からなるエッチング用ガスを用いて第1の導電膜をエッチングする。
ゲート電極層を形成する際のエッチング工程によって、ゲート絶縁層は多少エッチングされ、膜厚が減る(いわゆる膜減り)ことがある。
次に、フォトリソグラフィ法により、レジストからなるマスクを形成して、半導体層79に、イオンドープ法又はイオン注入法により、n型を付与する不純物元素を添加して、n型不純物領域76a、n型不純物領域76bを形成する。n型を付与する不純物元素は、15族に属する元素を用いれば良く、例えばリン(P)、砒素(As)を用いる。本実施例ではnチャネル型薄膜トランジスタを作製する例を示すが、n型を付与する不純物元素の代わりに、p型を付与する不純物元素を用いれば、半導体層に、p型を付与する不純物元素を添加して、p型不純物領域を形成することができる。P型を付与する不純物元素は、例えばボロン(B)を用いる。本実施例のnチャネル型薄膜トランジスタは、濃度の異なる不純物領域を有しており、LDD(Lightly Doped drain)領域であるn型不純物領域76aは低濃度不純物領域、ソース領域又はドレイン領域を兼ねるn型不純物領域76bは高濃度不純物領域となっている。
なお、LDD領域を形成するためには、ゲート電極を2層以上の積層構造として、ゲート電極を短部にテーパーを有する形状にするようなエッチングや異方性エッチングを行って、ゲート電極を構成する下層の導電層をマスクとして用いる手法と、サイドウォールの絶縁層をマスクとして用いる手法がある。サイドウォールの絶縁層をマスクとして用いる手法は、LDD領域の幅の制御が容易であり、また、LDD領域を確実に形成することができるという利点もある。サイドウォールは、プラズマCVD法や減圧CVD(LPCVD)法を用いて、珪素を有する絶縁膜により形成することができる。
不純物元素を活性化するために加熱処理、強光の照射、又はレーザ光の照射を行ってもよい。活性化と同時にゲート絶縁層へのプラズマダメージやゲート絶縁層と半導体層との界面へのプラズマダメージを回復することができる。
次いで、パッシベーション膜として水素を含む絶縁層84を形成する(図8(B)参照。)。この絶縁層84としては、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを100〜200nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。絶縁層84は窒化珪素膜に限定されるものでなく、プラズマCVDを用いた窒化酸化珪素(SiNO)膜でもよく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
さらに、窒素雰囲気中で、300〜550℃で1〜12時間の熱処理を行い、半導体層を水素化する工程を行う。好ましくは、400〜500℃で行う。この工程は絶縁層84に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。この加熱処理は、絶縁層86を形成後に行ってもよい。この場合、絶縁層84と絶縁層86とをプラズマCVD法などを用いて連続的に形成してもよい。
次いで、ゲート電極層、ゲート絶縁層を覆う層間絶縁層として絶縁層86を形成する。本実施例では、絶縁層84として窒化酸化珪素膜を膜厚100nm形成し、絶縁層86として酸化窒化珪素膜を膜厚900nm形成し積層構造とする。また、ゲート電極層、ゲート絶縁層を覆って、酸化窒化珪素膜を膜厚30nm形成し、窒化酸化珪素膜を膜厚140nm形成し、酸化窒化珪素膜を膜厚800nm形成し、3層の積層構造としてもよい。絶縁層84及び絶縁層86は上記材料に限定されるものでなく、スパッタ法、またはプラズマCVDを用いた窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、酸化珪素膜でもよく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または3層以上の積層構造として用いても良い。
絶縁層84及び絶縁層86としては他に窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN)、ポリシラザン、その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、シロキサン樹脂を用いてもよい。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。また、有機絶縁性材料を用いてもよく、有機材料としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテンを用いることができる。平坦性のよい塗布法によってされる塗布膜を用いてもよい。
次いで、レジストからなるマスクを用いて絶縁層84及び絶縁層86、ゲート絶縁層83に半導体層に達するコンタクトホール(開口部)を形成する。エッチングは、用いる材料の選択比によって、一回で行っても複数回行っても良い。本実施例では、酸化窒化珪素膜である絶縁層86と、窒化酸化珪素膜である絶縁層84及びゲート絶縁層83とが選択比が取れる条件で、第1のエッチングを行い、絶縁層86を除去する。次に第2のエッチングによって、絶縁層84及びゲート絶縁層83を除去し、ソース領域又はドレイン領域であるn型不純物領域76bに達する開口部を形成する。本実施例では、第1のエッチングをウェットエッチングによって行い、第2のエッチングをドライエッチングによって行う。ウェットエッチングのエッチャントは、フッ化水素アンモニウム及びフッ化アンモニウムを含む混合溶液のようなフッ酸系の溶液を用いるとよい。エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガス又はO2を適宜用いることができる。また用いるエッチング用ガスに不活性気体を添加してもよい。添加する不活性元素としては、He、Ne、Ar、Kr、Xeから選ばれた一種または複数種の元素を用いることができる。
開口部を覆うように導電膜を形成し、導電膜をエッチングして、各ソース領域又はドレイン領域の一部とそれぞれ電気的に接続するソース電極層又はドレイン電極層91a、ソース電極層又はドレイン電極層91bを形成する。また、ソース電極層又はドレイン電極層91a、ソース電極層又はドレイン電極層91bの形成と同工程で、絶縁層86上に導電層87を形成する。ソース電極層又はドレイン電極層は、PVD法、CVD法、蒸着法等により導電膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することができる。また、液滴吐出法、印刷法、電界メッキ法等により、所定の場所に選択的に導電層を形成することができる。更にはリフロー法、ダマシン法を用いても良い。ソース電極層又はドレイン電極層の材料は、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Zr、Ba等の金属及びSi、Ge、又はその合金、若しくはその窒化物を用いて形成する。また、これらの積層構造としても良い。本実施例では、チタン(Ti)を膜厚60nm形成し、窒化チタン膜を膜厚40nm形成し、アルミニウムを膜厚700nm形成し、チタン(Ti)を膜厚200nm形成して積層構造とし、所望な形状に加工する。
上記工程を経て、後にアンテナとして機能する導電層と接続するn型の薄膜トランジスタ85が完成する(図8(C)参照。)。
本実施例に限定されず、薄膜トランジスタはチャネル形成領域が二つ形成されるダブルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。またソース、ドレイン領域の一方または両方にシリサイド層を形成してもよい。シリサイド層の材料としては、ニッケル、タングステン、モリブデン、コバルト、白金等を用いることができる。
なお、本実施例で示した薄膜トランジスタの作製方法に限らず、トップゲート型(順スタガ型)、ボトムゲート型(プレーナー型、逆スタガ型)、あるいはチャネル領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極層を有する、デュアルゲート型やその他の構造においても適用できる。
次いで、層間絶縁層となる絶縁層88を形成する。本発明において、平坦化のために設ける層間絶縁層としては、耐熱性および絶縁性が高く、且つ、平坦化率の高いものが要求されている。こうした絶縁層の形成方法としては、スピンコート法で代表される塗布法を用いると好ましい。
本実施例では、絶縁層88の材料としては、シロキサン樹脂を用いる。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
絶縁層88は、ディップ、スプレー塗布、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、CVD法、蒸着法等を採用することができる。液滴吐出法により絶縁層88を形成してもよい。液滴吐出法を用いた場合には材料液を節約することができる。また、液滴吐出法のようにパターンが転写、または描写できる方法、例えば印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)なども用いることができる。スピンコート、また、無機材料を用いてもよく、その際には、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素、を用いることができる。
絶縁層88は、シロキサン樹脂の他に、耐熱性が高く、平坦化性がよいものであれば、無機材料(酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、アルミナ膜など)、感光性または非感光性の有機材料(有機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト、ベンゾシクロブテンなど)、低誘電率材料などの一種、もしくは複数種からなる膜、またはこれらの膜の積層などを用いることができる。
その後、ゲート電極層77bに達する開口を形成し、開口にゲート電極層77bに接属する信号配線層89を形成する(図9(A)参照。)。信号配線層89は集積回路とアンテナとを電気的に接属する配線であり、信号配線層89上にアンテナとなる導電層90を形成し、アンテナと集積回路部とが電気的に接続する(図9(B)参照。)。
導電層87は、信号配線層89より放射される電気信号を遮断する機能を有する。よって、信号配線層89に対して特に積層体の厚さ方向の上下方向の電磁シールド性が向上し、アンテナからの受信信号または送信信号の伝搬特性が良くなる。
また本実施例で作製した半導体装置を、基板より剥離工程により剥離し、フレキシブルな基板上に接着することで、フレキシブルな基体上に設けることができ、可撓性を有する半導体装置を得ることができる。フレキシブルな基体とは、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなるフィルム、繊維質な材料からなる紙、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム、紙類等)と接着性合成樹脂フィルム(アクリル系合成樹脂、エポキシ系合成樹脂等)との積層フィルムなどに相当する。フィルムは、被処理体と加熱処理と加圧処理が行われるものであり、加熱処理と加圧処理を行う際には、フィルムの最表面に設けられた接着層か、又は最外層に設けられた層(接着層ではない)を加熱処理によって溶かし、加圧により接着する。また、基体に接着層が設けられていてもよいし、接着層が設けられていなくてもよい。接着層は、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂系接着剤、樹脂添加剤等の接着剤を含む層に相当する。
剥離、及び接着には、剥離層、接着層などを用いて行う。剥離工程として基板80上に剥離層を形成しておき、剥離層上に集積回路部を形成する。その後剥離層をp除去して集積回路部のみ剥離し、他のフィルム等の基板に接着する。剥離層の除去はドライエッチング又はウエットエッチングを用いればよい。
剥離層は、基板の全面に設けなくてもよく、必要に応じて、選択的に設けてもよい。
剥離層は、公知の手段(スパッタリング法やプラズマCVD法等)により、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、鉛(Pb)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、珪素(Si)から選択された元素または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる層を、単層又は積層して形成する。珪素を含む層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。
剥離層が単層構造の場合、例えば、タングステン層、モリブデン層またはタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成する。あるいは、タングステンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、モリブデンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層またはタングステンとモリブデンの混合物の酸化物若しくは酸化窒化物を含む層を形成する。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相当する。また、タングステンの酸化物は、酸化タングステンと表記することがある。
剥離層が積層構造の場合、1層目としてタングステン層、モリブデン層またはタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成し、2層目として、タングステン、モリブデンまたはタングステンとモリブデンの混合物の酸化物、窒化物、酸化窒化物又は窒化酸化物を形成する。
なお、剥離層として、タングステンを含む層とタングステンの酸化物を含む層の積層構造を形成する場合、タングステンを含む層を形成し、その上層に酸化珪素を含む層を形成することで、タングステン層と酸化珪素層との界面に、タングステンの酸化物を含む層が形成されることを活用してもよい。これは、タングステンの窒化物、酸化窒化物及び窒化酸化物を含む層を形成する場合も同様であり、タングステンを含む層を形成後、その上層に窒化珪素層、酸化窒化珪素層、窒化酸化珪素層を形成するとよい。また、タングステンの酸化物は、WOxで表され、Xは2〜3であり、Xが2の場合(WO2)、Xが2.5の場合(W2O5)、Xが2.75の場合(W4O11)、Xが3の場合(WO3)などがある。タングステンの酸化物を形成するにあたり、上記に挙げたXの値に特に制約はなく、エッチングレート等を基に、どの酸化物を形成するかを決めるとよい。なお、エッチングレートとして最も良いものは、酸素雰囲気下で、スパッタリング法により形成するタングステンの酸化物を含む層(WOx、0<X<3)である。従って、作製時間の短縮のため、剥離層として、酸素雰囲気下でスパッタリング法によりタングステンの酸化物を含む層を形成するとよい。上述の剥離層であると、エッチング剤は、フッ化ハロゲン又はハロゲン間化合物を含む気体又は液体を使用すればよい。例えば、フッ化ハロゲンを含む気体として三フッ化塩素(ClF3)を使用すればよい。
また、信号配線層がソース電極層又はドレイン電極層91a、ソース電極層又はドレイン電極層91bと同工程で形成される例を図10に示す。図10の半導体装置は、基板100上に設けられ、絶縁層101a、絶縁層101b、ゲート絶縁層103、薄膜トランジスタ105、絶縁層104、絶縁層106、信号配線層102、絶縁層108、信号配線層109、導電層107、アンテナである導電層110を有している。
図10において、信号配線層102は絶縁層108に設けられた開口により信号配線層109に接続し、アンテナである導電層110と電気的に接続する。信号配線層109と同工程で、導電層107が信号配線層102と絶縁層108を介して重畳するように形成される。導電層107は、信号配線層102より放射される電気信号を遮断する機能を有する。よって、信号配線層102に対して特に積層体の厚さ方向の上下方向の電磁シールド性が向上し、アンテナからの受信信号または送信信号の伝搬特性が良くなる。
本発明により、信号配線層を囲む形で導電層を配置することにより、アンテナからの受信または送信の信号の伝搬特性を向上できる。また、電磁シールド性に優れるため、集積回路の信号配線への干渉を防ぐことができる。よって、高性能かつ信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
本実施例では、実施例2で示す記憶装置を有する半導体装置の他の例に関して図面を用いて説明する。
本実施例で示す半導体装置は、非接触でデータの読み出しと書き込みが可能であることを特徴としており、データの伝送形式は、一対のコイルを対向に配置して相互誘導によって交信を行う電磁結合方式、誘導電磁界によって交信する電磁誘導方式、電波を利用して交信する電波方式の3つに大別されるが、いずれの方式を用いてもよい。
次に、記憶装置を有する半導体装置の一構成例に関して図11を用いて説明する。
図11は記憶装置を有する半導体装置を示しており、基板450上にトランジスタ466a、トランジスタ467a、トランジスタ467bが設けられ、絶縁層481、絶縁層482を介してトランジスタの上方に記憶素子474が設けられ、トランジスタ467a及びトランジスタ467bと接続する信号配線層473、配線層480上にアンテナとして機能する導電層495が設けられている。信号配線層473は、集積回路部のトランジスタ467aとアンテナとして機能する導電層495とを電気的に接続する。
記憶素子474はトランジスタ466と接続する第1の導電層464上に、絶縁層461及び第2の導電層472が積層して構成して設けられている。また、第2の導電層472、導電層495を覆って保護膜として機能する絶縁層483が形成され、絶縁層483上に絶縁層490を設けて基板491によって封止されている。また、絶縁層461は記憶素子ごとに絶縁層を分離するための隔壁となる絶縁層を設けているが、隣接する記憶素子において横方向への電界の影響が懸念されない場合は、全面に形成してもよい。
トランジスタ467aのソース電極層又はドレイン電極層と同工程で絶縁層486上に導電層485a、信号配線層473と同工程で導電層485b及び導電層485cが信号配線層473を囲むように形成される。導電層485a、導電層485b及び導電層485cは、信号配線層473より放射される電気信号を遮断する機能を有する。よって、信号配線層473に対して特に積層体の厚さ方向の上下方向の電磁シールド性が向上し、アンテナからの受信信号または送信信号の伝搬特性が良くなる。
第1の導電層464、信号配線層473の一部に開口部を有して絶縁層(隔壁、土手とも呼ばれる)484を形成する。絶縁層484としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又は無機シロキサン、有機シロキサンの絶縁材料で形成することができる。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フッ化アリレンエーテル、ポリイミドなどの有機材料、シロキサンポリマー等の重合によってできた化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いてもよい。作製法としては、プラズマCVD法や熱CVD法などの気相成長法やスパッタリング法を用いることができる。また、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)を用いることもできる。塗布法で得られるSOG膜なども用いることができる。
また、液滴吐出法により、絶縁層などを、組成物を吐出し形成した後、その平坦性を高めるために表面を圧力によってプレスして平坦化してもよい。プレスの方法としては、ローラー状のものを表面に走査することによって、凹凸をならすように軽減したり、平坦な板状な物で表面を垂直にプレスしたりしてもよい。プレスする時に、加熱工程を行っても良い。また溶剤等によって表面を軟化、または融解させエアナイフで表面の凹凸部を除去しても良い。また、CMP法を用いて研磨しても良い。この工程は、液滴吐出法によって凹凸が生じる場合に、その表面の平坦化する場合適用することができる。
絶縁層461は、有機絶縁物、電気的作用または光学的作用により導電性が変化する有機化合物、無機絶縁物、又は有機化合物と無機化合物とが混合してなる層で形成する。絶縁層461は、単層で設けてもよいし、複数の層を積層させて設けてもよい。また、有機化合物と無機化合物との混合層及び他の電気的作用または光学的作用により導電性が変化する有機化合物からなる層とを積層させて設けてもよい。
絶縁層461を構成することが可能な無機絶縁物としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素等を用いることができる。
絶縁層461を構成することが可能な有機絶縁物としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、エポキシ等に代表される有機樹脂を用いることができる。
また、絶縁層461を構成することが可能な、電気的作用または光学的作用により導電性が変化する有機化合物としては、正孔輸送性が高い有機化合物材料又は電子輸送性が高い有機化合物材料を用いることができる。
正孔輸送性の高い有機化合物材料としては、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:α−NPD)や4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:TPD)や4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略称:MTDATA)や4,4’−ビス(N−(4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物やフタロシアニン(略称:H2Pc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等のフタロシアニン化合物を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性が高い物質であれば、上記の物質以外のものを用いてもよい。
なお、有機化合物と無機化合物との混合層を設ける場合には、正孔輸送性の高い有機化合物材料と電子を受け取りやすい無機化合物材料とを混合させることが好ましい。このような構成とすることによって、本来内在的なキャリアをほとんど有さない有機化合物に多くのホールキャリアが発生し、極めて優れたホール注入性、ホール輸送性を示す。その結果、有機化合物層は優れた導電性を得ることが可能となる。
電子を受け取りやすい無機化合物材料として、周期表第4族乃至第12族のいずれかの遷移金属の金属酸化物、金属窒化物または金属酸化窒化物を用いることができる。具体的には、チタン酸化物(TiOx)、ジルコニウム酸化物(ZrOx)、バナジウム酸化物(VOx)、モリブデン酸化物(MoOx)、タングステン酸化物(WOx)、タンタル酸化物(TaOx)、ハフニウム酸化物(HfOx)、ニオブ酸化物(NbOx)、コバルト酸化物(Cox)、レニウム酸化物(ReOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、亜鉛酸化物(ZnO)、ニッケル酸化物(NiOx)、銅酸化物(CuOx)等を用いることができる。また、ここでは具体例として酸化物を例に挙げたが、もちろんこれらの窒化物や酸化窒化物を用いてもよい。
電子輸送性の高い有機化合物材料としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる材料を用いることができる。また、この他、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体などの材料も用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。但し、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記の物質以外のものを用いてもよい。
なお、有機化合物と無機化合物との混合層を設ける場合には、電子輸送性の高い有機化合物材料と電子を与えやすい無機化合物材料とを混合させることが好ましい。このような構成とすることによって、本来内在的なキャリアをほとんど有さない有機化合物に多くの電子キャリアが発生し、極めて優れた電子注入性、電子輸送性を示す。その結果、有機化合物層は優れた導電性を得ることが可能となる。
電子を与えやすい無機化合物材料として、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、希土類金属酸化物、アルカリ金属窒化物、アルカリ土類金属窒化物、希土類金属窒化物を用いることができる。具体的には、リチウム酸化物(LiOx)、ストロンチウム酸化物(SrOx)、バリウム酸化物(BaOx)、エルビウム酸化物(ErOx)、ナトリウム酸化物(NaOx)、リチウム窒化物(LiNx)、マグネシウム窒化物(MgNx)、カルシウム窒化物、イットリウム窒化物(YNx)、ランタン窒化物(LaNx)等を用いることができる。
さらには、無機化合物材料として、有機化合物から電子を受け取りやすい無機化合物材料または有機化合物に電子を与えやすい無機化合物材料であれば何でもよく、アルミニウム酸化物(AlOx)、ガリウム酸化物(GaOx)、ケイ素酸化物(SiOx)、ゲルマニウム酸化物(GeOx)、インジウム錫酸化物(ITO)等のほか、種々の金属酸化物、金属窒素化物または金属酸化窒化物を用いることができる。
また、絶縁層461が金属酸化物または金属窒化物の中から選ばれた化合物と正孔輸送性の高い化合物とから形成される場合、さらに立体障害の大きな(平面構造とは異なり空間的な広がりを有する構造をもつ)化合物を加えた構成としてもよい。立体障害の大きな化合物としては、5,6,11,12−テトラフェニルテトラセン(略称:ルブレン)が好ましい。但し、これ以外に、ヘキサフェニルベンゼン、t−ブチルペリレン、9,10−ジ(フェニル)アントラセン、クマリン545T等も用いることができる。この他、デンドリマー等も有効である。
さらには、電子輸送性の高い有機化合物材料で形成される層と、正孔輸送性の高い有機化合物材料層との間に、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン、ペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)ベンゼン、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6、クマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)や9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(略称:TBP)等の発光物質を設けてもよい。
また、絶縁層461には、光学的作用により、電気抵抗が変化する材料を用いることができる。例えば、光を吸収することによって酸を発生する化合物(光酸発生剤)をドープした共役高分子を用いることができる。共役高分子として、ポリアセチレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリフェニレンエチニレン類等を用いることができる。また、光酸発生剤としては、アリールスルホニウム塩、アリールヨードニウム塩、o−ニトロベンジルトシレート、アリールスルホン酸p−ニトロベンジルエステル、スルホニルアセトフェノン類、Fe−アレン錯体PF6塩等を用いることができる。
絶縁層461は、蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、CVD法等を用いて形成することができる。また、有機化合物と無機化合物とを含む混合層は、各々の材料を同時に成膜することにより形成することができ、抵抗加熱蒸着同士による共蒸着法、電子ビーム蒸着同士による共蒸着法、抵抗加熱蒸着と電子ビーム蒸着による共蒸着法、抵抗加熱蒸着とスパッタリングによる成膜、電子ビーム蒸着とスパッタリングによる成膜など、同種、異種の方法を組み合わせて形成することができる。他の形成方法として、スピンコート法、ゾル−ゲル法、印刷法または液滴吐出法等を用いてもよいし、上記方法とこれらを組み合わせて絶縁層461を形成してもよい。
なお、絶縁層461は、電気的作用又は光学的作用により記憶素子の導電性が変化する膜厚で形成する。
第2の導電層472、配線層480は、第1の導電層464と同様な材料を用いることができ、同様な工程で形成できる。本実施例において、記憶素子へのデータの書き込みは電気的作用または光学的作用を加えることによって行うが、光学的作用によりデータの書き込みを行う場合、第1の導電層464、または第2の導電層472のうち、一方または両方は透光性を有するように設ける。透光性を有する導電層は、透明な導電性材料を用いて形成するか、または、透明な導電性材料でなくても光を透過する厚さで形成する。透明な導電性材料としては、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などその他の透光性酸化物導電材料を用いることが可能である。ITO及び酸化珪素を含む酸化インジウムスズ(以下、ITSOと記す)や、酸化珪素を含んだ酸化インジウムに、さらに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したものを用いても良い。
第1の導電層464、第2の導電層472の材料には導電性の高い元素や化合物等用いる。本実施例で絶縁層461の材料には電気的作用や光学的作用により、結晶状態や導電性、形状が変化する物質を用いる。上記構成を有する記憶素子は電圧印加前後で導電性が変化するので、「初期状態」と「導電性変化後」とに対応した2つの値を記憶させることができる。
絶縁層483は、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又は珪素、酸素、水素からなる化合物のうちSi−O−Si結合を含む無機シロキサン、珪素に結合されている水素がメチルやフェニルのような有機基に置換された有機シロキサンの絶縁材料で形成することができる。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フッ化アリレンエーテル、ポリイミドなどの有機材料、シロキサンポリマー等の重合によってできた化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いてもよい。作製法としては、プラズマCVD法や熱CVD法などの気相成長法やスパッタリング法を用いることができる。また、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)を用いることもできる。塗布法で得られるSOG膜なども用いることができる。また、炭素膜、DLC膜を用いてもよい。DLC膜は室温から100℃以下の温度範囲で成膜可能であるため、絶縁層461が耐熱性の低い材料であっても上方に容易に成膜することができる。DLC膜は、プラズマCVD法(代表的には、RFプラズマCVD法、マイクロ波CVD法、電子サイクロトロン共鳴(ECR)CVD法、熱フィラメントCVD法など)、燃焼炎法、スパッタ法、イオンビーム蒸着法、レーザ蒸着法などで形成することができる。成膜に用いる反応ガスは、水素ガスと、炭化水素系のガス(例えばCH4、C2H2、C6H6など)とを用い、グロー放電によりイオン化し、負の自己バイアスがかかったカソードにイオンを加速衝突させて成膜する。また、CN膜は反応ガスとしてC2H4ガスとN2ガスとを用いて形成すればよい。DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高い。
アンテナとして機能する導電層495の材料としては、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)等から選ばれた一種の元素または当該元素を複数含む合金等を用いることができる。また、アンテナとして機能する導電層495の形成方法は、蒸着、スパッタ、CVD法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の各種印刷法または液滴吐出法等を用いることができる。
また、本実施例では、上記構成において、第1の導電層464と、絶縁層461との間に、整流性を有する素子を設けてもよい。整流性を有する素子とは、ゲート電極とドレイン電極を接続したトランジスタ、またはダイオードである。このように、整流性がある素子を設けることにより、1つの方向にしか電流が流れないために、誤差が減少し、読み出しマージンが向上する。なお、整流性を有する素子は、絶縁層461と第2の導電層472との間に設けてもよい。
また、記憶装置はパッシブマトリクス型でもアクティブマトリクス型でもよい。パッシブマトリクス型であると、複数の記憶素子がひとつの同じトランジスタに接続される。アクティブマトリクス型であると、記憶素子はそれぞれひとつのトランジスタに接続される。
なお、ここではトランジスタ467a、トランジスタ467bを含む素子形成層の上方に記憶素子474またはアンテナとして機能する導電層495を設けた場合を示しているが、この構成に限られず記憶素子474またはアンテナとして機能する導電層495を、素子形成層の下方や同一の層に設けることも可能である。素子形成層によって集積回路が構成されている。
また、本実施例のように集積回路部にアンテナとして機能する導電層を直接形成してもよいし、集積回路部とを含む基板と、アンテナとして機能する導電層が設けられた基板とを、接着性を有する樹脂により貼り合わせてもよい。この場合、集積回路部と導電層とは樹脂中に含まれる導電性微粒子を介して電気的に接続すればよい。また、銀ペースト、銅ペースト、カーボンペースト等の導電性接着剤や半田接合を行う方法を用いて集積回路部を含む基板と、アンテナとして機能する導電層が設けられた基板とを貼り合わせてもよい。
このように、記憶装置およびアンテナを備えた半導体装置を形成することができる。また、本実施例では、基板上にトランジスタを形成して素子形成層を設けることもできるし、基板としてSi等の半導体基板を用いて、基板上に電界効果トランジスタを形成することによって素子形成層を設けてもよい。また、基板としてSOI基板を用いて、その上に素子形成層を設けてもよい。この場合、SOI基板はウェハの貼り合わせによる方法や酸素イオンをSi基板内に打ち込むことにより内部に絶縁層を形成するSIMOXと呼ばれる方法を用いて形成すればよい。またトランジスタに接続するセンサを設けてもよい。
また、集積回路部は蒸着、スパッタ法、CVD法、印刷法または液滴吐出法等を用いて形成することができる。なお、各場所によって異なる方法を用いて形成してもかまわない。例えば、高速動作が必要とされるトランジスタは基板上にSi等からなる半導体層を形成した後に熱処理により結晶化させて設け、その後、素子形成層の上方にスイッチング素子として機能するトランジスタを印刷法や液滴吐出法を用いて有機トランジスタとして設けることができる。
なお、トランジスタに接続するセンサを設けてもよい。センサとしては、温度、湿度、照度、ガス(気体)、重力、圧力、音(振動)、加速度、その他の特性を物理的又は化学的手段により検出する素子が挙げられる。センサは、代表的には抵抗素子、容量結合素子、誘導結合素子、光起電力素子、光電変換素子、熱起電力素子、トランジスタ、サーミスタ、ダイオードなどの半導体素子で形成される。
なお、本実施例は、上記実施の形態、実施例と自由に組み合わせて行うことができる。また本実施例で示した、基板450、基板491は、可撓性を有する基板を用いており、可撓性を有する基板上に接着し、設置することで、可撓性を有する半導体装置を得ることができる。可撓性を有する基板とは、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなるフィルム、繊維質な材料からなる紙、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム、紙類等)と接着性合成樹脂フィルム(アクリル系合成樹脂、エポキシ系合成樹脂等)との積層フィルムなどに相当する。フィルムは、被処理体と加熱処理と加圧処理が行われるものであり、加熱処理と加圧処理を行う際には、フィルムの最表面に設けられた接着層か、又は最外層に設けられた層(接着層ではない)を加熱処理によって溶かし、加圧により接着する。また、基板に接着層が設けられていてもよいし、接着層が設けられていなくてもよい。接着層は、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂系接着剤、樹脂添加剤等の接着剤を含む層に相当する。
本発明により、信号配線層を囲む形で導電層を配置することにより、アンテナからの受信または送信の信号の伝搬特性を向上できる。また、電磁シールド性に優れるため、集積回路の信号配線への干渉を防ぐことができる。よって、高性能かつ信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
本実施例では本発明の半導体装置を作製する際用いることができる加工方法について説明する。
本実施例では、半導体装置の集積回路で用いられる薄膜トランジスタ、容量、配線等を形成する際、レジストを露光マスクによって所望の形状に加工したレジストパターンを用いる。
本実施例で用いる、回折格子パターン或いは半透膜からなる光強度低減機能を有する補助パターンを設置した露光マスクについて図16を用いて説明する。
図16(A)は、露光マスクの一部を拡大した上面図である。また、図16(A)に対応する露光マスクの一部の断面図を図16(B)に示す。図16(B)には露光マスクと、レジストが全面に塗布形成された基板とを対応させて図示している。
また図16は図15と対応しており、図16で作製したレジストパターン519は図15におけるダブルゲートTFT510を作製するために用いられている。
図16(A)において、露光マスクは、Crなどの金属膜からなる遮光部601a、601bと、補助パターンとして、半透膜602が設けられた部分とが設置されている。遮光部601aの幅は、t1と示し、遮光部601bの幅は、t2と示し、半透膜602が設けられた部分の幅はS1と示している。遮光部601bと遮光部601bとの間隔がS1とも言える。
図16(B)において、露光マスクは、透光性の基体600にMoSiNからなる半透膜602を設け、半透膜602と積層するようにCrなどの金属膜からなる遮光部601a、601bを設けている。半透膜602は他にMoSi、MoSiO、MoSiON、CrSiなどを用いて形成することができる。
図16(A)及び図16(B)に示す露光マスクを用いてレジスト膜の露光を行うと、非露光領域603aと露光領域603bが形成される。露光時には光が、遮光部の回り込みや半透膜を通過することによって図16(B)に示す露光領域603bが形成される。
そして、現像を行うと、露光領域603bが除去されて、図15(A)に示すレジストパターン519が得られる。
また、他の露光マスクの例として、複数のスリットを有する回折格子パターン612を遮光部601aと遮光部601bとの間に設けた露光マスクの上面図を図16(C)に示す。図16(C)に示す露光マスクを用いても同様に図15(A)に示すレジストパターン519が得られる。
また、他の露光マスクの例として、遮光部601aと遮光部601bとの間に露光限界以下の間隔を設けた露光マスクの上面図を図16(D)に示す。例えば、t1を6μm、t2を6μm、S1を1μmとした露光マスクを用いて最適な露光条件で露光した後、実施の形態1の作製工程に従えば、2つのチャネル形成領域の間隔が2μm未満であるダブルゲート構造のTFTを作製することができる。図16(D)に示す露光マスクを用いても同様に図15(A)に示すレジストパターン519が得られる。
このように図16に示す方法でレジスト膜を加工すると、工程を増やさずに選択的に微細な加工ができ、多様なレジストパターンが得られる。このようなレジストパターンを用いて、ダブルゲートTFT510、シングルゲートTFT520、容量530、配線540を作製した例を図15に示す。
図15(A)において、基板500、絶縁層508上に半導体層501、半導体層502、半導体層503が形成されている。半導体層501、半導体層502、半導体層503を覆うようにゲート絶縁層504、第1の導電膜505、第2の導電膜506が形成され、図16で示したように作製された形状の異なるレジストパターン519、レジストパターン529、レジストパターン539、レジストパターン549が形成されている。
レジストパターン519は2個所の凸部を有する形状であり、レジストパターン529は側端部になだらかな段差を有する形状であり、レジストパターン539は凸部が中央よりずれた位置にある形状であり、レジストパターン549は段差も凹凸もない形状である。
レジストパターン519、レジストパターン529、レジストパターン539、レジストパターン549を用いてエッチング処理による加工を行い、第1のゲート電極層511、第2のゲート電極層512a、第2のゲート電極層512b、第1のゲート電極層521、第2のゲート電極層522、第1のゲート電極層531、第2のゲート電極層532、第1の配線層541、及び第2の配線層542を形成する。第2のゲート電極層512a、第2のゲート電極層512b、第2のゲート電極層522、及び第2のゲート電極層532をマスクとして、半導体層501、半導体層502、半導体層503に一導電型を有する不純物元素を添加し、低濃度不純物領域514a、低濃度不純物領域514b、低濃度不純物領域514c、低濃度不純物領域524a、低濃度不純物領域524b、低濃度不純物領域534a、低濃度不純物領域534bを形成する(図15(B)参照。)。
さらに、第1のゲート電極層511、第2のゲート電極層512a、第2のゲート電極層512b、第1のゲート電極層521、第2のゲート電極層522、第1のゲート電極層531、第2のゲート電極層532をマスクとして、半導体層501、半導体層502、半導体層503に一導電型を有する不純物元素を添加し、高濃度不純物領域515a、高濃度不純物領域515b、低濃度不純物領域516a、低濃度不純物領域516b、高濃度不純物領域525a、高濃度不純物領域525b、低濃度不純物領域526a、低濃度不純物領域526b、高濃度不純物領域535a、高濃度不純物領域535b、低濃度不純物領域536a、低濃度不純物領域536bを形成する。また、レジストパターン513a、レジストパターン513b、レジストパターン523、レジストパターン533、レジストパターン543を除去し、ダブルゲートTFT510、シングルゲートTFT520、容量530、配線540が作製される(図15(C)参照。)。
添加する一導電型を付与する不純物元素としてn型を付与する不純物元素(例えばリン(P))とすれば、n型を有する不純物領域を有するnチャネル型TFTを作製することができ、添加する一導電型を付与する不純物元素としてp型を付与する不純物元素(例えばボロン(B))とすれば、p型を有する不純物領域を有するpチャネル型TFTを作製することができる。
また、一導電型を付与する不純物元素を添加するドーピング条件などを制御すれば、低濃度不純物領域を形成せず、全ての不純物領域を高濃度不純物領域とすることができる。本実施例では、2段階にわたり一導電型を付与する不純物元素を添加して異なる濃度の不純物領域を形成する例を示したが、一回の一導電型を付与する不純物元素を添加する工程で、図15(C)のような低濃度不純物領域と高濃度不純物領域を有するTFT、容量を作製することができる。
同一工程で、ダブルゲートTFT510、シングルゲートTFT520の2種類のTFTを作製することができる。ダブルゲートTFT510は、第1のゲート電極層511上に隣接する第2のゲート電極層512a、第2のゲート電極層512bを有している。第2のゲート電極層512a、第2のゲート電極層512bの間隔を短く形成することができるので、低濃度不純物領域514bの幅を狭くすることができ、TFTのサイズも小さくすることができる。よって微細化が可能なり、半導体装置の精密化、高性能化、軽量化などを達成することができる。
容量530は、第1のゲート電極層531を第2のゲート電極層より幅広い形状に形成できるので、低濃度不純物領域536bの領域を広く形成することができる。低濃度不純物領域とゲート電極層間で形成される容量の方が、不純物元素が添加されない領域537とゲート電極層間で形成される容量よりも大きいので、第1のゲート電極層531下の低濃度不純物領域536bを広く形成すると大きな容量を得ることができる。
配線540は、他のゲート電極層のように幅が狭くなることもなく第1の配線層541と第2の配線層542とがほぼ同じ幅で積層して形成することができるので、低抵抗な配線層を作製することができる。また、微細な配線層を作製することができる。
このように、本実施例を用いると、同一な工程で、所望とする性能に合わせた異なった形状で導電層や絶縁層の加工をすることができる。よって、異なる種類のTFTや、サイズの異なる配線層などを、工程を増加することなく作製することができる。本実施例は、実施の形態1乃至5、及び実施例1乃至3のそれぞれと自由に組み合わせることができる。
本実施例の半導体装置の構成について、図13を参照して説明する。図13に示すように、本発明の半導体装置28は、非接触でデータを交信する機能を有し、電源回路11、クロック発生回路12、データ復調/変調回路13、他の回路を制御する制御回路14、インターフェース回路15、記憶回路16、データバス17、アンテナ(アンテナコイル)18、センサ26、センサ回路27を有する。
電源回路11は、アンテナ18から入力された交流信号を基に、半導体装置28の内部の各回路に供給する各種電源を生成する回路である。クロック発生回路12は、アンテナ18から入力された交流信号を基に、半導体装置28の内部の各回路に供給する各種クロック信号を生成する回路である。データ復調/変調回路13は、リーダライタ19と交信するデータを復調/変調する機能を有する。制御回路14は、記憶回路16を制御する機能を有する。アンテナ18は、電磁波或いは電波の送受信を行う機能を有する。リーダライタ19は、半導体装置との交信、制御及びそのデータに関する処理を制御する。なお、半導体装置は上記構成に制約されず、例えば、電源電圧のリミッタ回路や暗号処理専用ハードウエアといった他の要素を追加した構成であってもよい。
記憶回路16は、一対の導電層間に絶縁層又は相変化層が挟まれた記憶素子を有することを特徴とする。なお、記憶回路16は、一対の導電層間に絶縁層又は相変化層が挟まれた記憶素子のみを有していてもよいし、他の構成の記憶回路を有していてもよい。他の構成の記憶回路とは、例えば、DRAM、SRAM、FeRAM、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM及びフラッシュメモリから選択される1つ又は複数に相当する。
センサ26は抵抗素子、容量結合素子、誘導結合素子、光起電力素子、光電変換素子、熱起電力素子、トランジスタ、サーミスタ、ダイオードなどの半導体素子で形成される。センサ回路27はインピーダンス、リアクタンス、インダクタンス、電圧又は電流の変化を検出し、アナログ/デジタル変換(A/D変換)して制御回路14に信号を出力する。
本発明によりプロセッサチップ(無線チップ、無線プロセッサ、無線メモリ、無線タグともよぶ)として機能する半導体装置を形成することができる。本発明の半導体装置の用途は広範にわたるが、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類、包装用容器類、書籍類、記録媒体、身の回り品、乗物類、食品類、衣類、保健用品類、生活用品類、薬品類及び電子機器等に設けて使用することができる。
紙幣、硬貨とは、市場に流通する金銭であり、特定の地域で貨幣と同じように通用するもの(金券)、記念コイン等を含む。有価証券類とは、小切手、証券、約束手形等を指し、プロセッサチップ190を設けることができる(図14(A)参照)。証書類とは、運転免許証、住民票等を指し、プロセッサチップ191を設けることができる(図14(B)参照)。乗物類とは、自転車等の車両、船舶等を指し、プロセッサチップ196を設けることができる(図14(G)参照)。無記名債券類とは、切手、おこめ券、各種ギフト券等を指す。包装用容器類とは、お弁当等の包装紙、ペットボトル等を指し、プロセッサチップ193を設けることができる(図14(D)参照)。書籍類とは、書物、本等を指し、プロセッサチップ194を設けることができる(図14(E)参照)。記録媒体とは、DVDソフト、ビデオテープ等を指、プロセッサチップ195を設けることができる(図14(F)参照)。身の回り品とは、鞄、眼鏡等を指し、プロセッサチップ197を設けることができる(図14(C)参照)。食品類とは、食料品、飲料等を指す。衣類とは、衣服、履物等を指す。保健用品類とは、医療器具、健康器具等を指す。生活用品類とは、家具、照明器具等を指す。薬品類とは、医薬品、農薬等を指す。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(テレビ受像機、薄型テレビ受像機)、携帯電話等を指す。
本発明の半導体装置は、プリント基板に実装したり、表面に貼ったり、埋め込んだりして、物品に固定される。例えば、本なら紙に埋め込んだり、有機樹脂からなるパッケージなら有機樹脂に埋め込んだりして、各物品に固定される。本発明の半導体装置は、小型、薄型、軽量を実現するため、物品に固定した後も、その物品自体のデザイン性を損なうことがない。また、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類等に本発明の半導体装置を設けることにより、認証機能を設けることができ、この認証機能を活用すれば、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に本発明の半導体装置を設けることにより、検品システム等のシステムの効率化を図ることができる。
また、物の管理や流通のシステムに応用することが可能な例を、図12を用いて説明する。ここでは、商品へプロセッサチップを実装する例を説明する。図12(A)に示すように、ビール瓶3400にラベル3401を用いてプロセッサチップ3402を実装する。
プロセッサチップ3402には、製造日、製造場所、使用材料等の基本事項を記録する。このような基本事項は、書き換える必要がないためマスクROMや本発明の記憶素子等の書き換え不能な記憶素子(メモリ)を用いて記録するとよい。製造日、製造場所、使用材料等の基本事項は、消費者が商品を購入する際に正確に入手したい情報である。このような情報を書き換え不可能な記憶素子に記録するということによって、情報の改ざんなどを防ぐことができるので、消費者へ信頼性のある正確な情報を伝達することができる。加えてプロセッサチップ3402には、各ビール瓶の配送先、配送日時等の個別事項を記録する。例えば、図12(B)に示すように、ビール瓶3400がベルトコンベア3412により流れ、ライタ装置3413を通過するときに、各配送先、配送日時を記録することができる。このような個別事項は、EEROM等の書き換え、消去可能なメモリを用いて記録するとよい。
また配達先から購入された商品情報がネットワークを通じて物流管理センターへ送信されると、この商品情報に基づき、ライタ装置又はライタ装置を制御するパーソナルコンピュータ等が配送先や配送日時を算出し、プロセッサチップへ記録するようなシステムを構築するとよい。
また配達はケース毎に行われるため、ケース毎、又は複数のケース毎にプロセッサチップを実装し、個別事項を記録することもできる。
このような複数の配達先が記録されうる商品は、プロセッサチップを実装することにより、手作業で行う入力にかかる時間を削減でき、それに起因した入力ミスを低減することができる。加えて物流管理の分野において最もコストのかかる人件費用を削減することができる。従って、プロセッサを実装したことにより、ミスの少ない、低コストな物流管理を行うことができる。
さらに配達先において、ビールに合う食料品や、ビールを使った料理法等の応用事項を記録してもよい。その結果、食料品等の宣伝を兼ねることができ、消費者の購買意欲を高めることができる。このような応用事項は、EEROM等の書き換え、消去可能なメモリを用いて記録するとよい。このようにプロセッサチップを実装することにより、消費者へ提供できる情報を増大させることができるため、消費者は安心して商品を購入することができる。
次に、本発明の半導体装置を実装した電子機器の一態様について図面を参照して説明する。ここで例示する電子機器は携帯電話機であり、筐体2700、2706、パネル2701、ハウジング2702、プリント配線基板2703、操作ボタン2704、バッテリ2705を有する(図13(B)参照)。パネル2701はハウジング2702に脱着自在に組み込まれ、ハウジング2702はプリント配線基板2703に嵌着される。ハウジング2702はパネル2701が組み込まれる電子機器に合わせて、形状や寸法が適宜変更される。プリント配線基板2703には、パッケージングされた複数の半導体装置が実装されており、このうちの1つとして、本発明の半導体装置を用いることができる。プリント配線基板2703に実装される複数の半導体装置は、コントローラ、中央処理ユニット(CPU、Central Processing Unit)、メモリ、電源回路、音声処理回路、送受信回路等のいずれかの機能を有する。
パネル2701は、接続フィルム2708を介して、プリント配線基板2703と組み合わされる。上記のパネル2701、ハウジング2702、プリント配線基板2703は、操作ボタン2704やバッテリ2705と共に、筐体2700、2706の内部に収納される。パネル2701が含む画素領域2709は、筐体2700に設けられた開口窓から視認できるように配置されている。
上記の通り、本発明の半導体装置は、小型、薄型、軽量であることを特徴としており、上記特徴により、電子機器の筐体2700、2706内部の限られた空間を有効に利用することができる。
また、本発明の半導体装置は、一対の導電層間に絶縁層が挟まれた単純な構造の記憶素子を有するため、安価な半導体装置を用いた電子機器を提供することができる。また、本発明の半導体装置は高集積化が容易なため、大容量の記憶回路を有する半導体装置を用いた電子機器を提供することができる。
また、本発明の半導体装置が有する記憶装置は、光学的作用又は電気的作用によりデータの書き込みを行うものであり、不揮発性であって、データの追記が可能であることを特徴とする。上記特徴により、書き換えによる偽造を防止することができ、新たなデータを追加して書き込むことができる。従って、高機能化と高付加価値化を実現した半導体装置を用いた電子機器を提供することができる。
なお、筐体2700、2706は、携帯電話機の外観形状を一例として示したものであり、本実施例に係る電子機器は、その機能や用途に応じて様々な態様に変容しうる。
本発明の実施の形態1で示す半導体装置を示した図である。
本発明の実施の形態2で示す半導体装置を示した図である。
本発明の実施の形態3で示す半導体装置を示した図である。
本発明の実施の形態4で示す半導体装置を示した図である。
本発明の実施の形態5で示す半導体装置を示した図である。
本発明の実施例1で示す、半導体装置の構成図である。
本発明の実施例1で示す、半導体装置の上面図及び断面図である。
本発明の実施例2で示す半導体装置の作製方法を示した図である。
本発明の実施例2で示す半導体装置の作製方法を示した図である。
本発明の実施例2で示す半導体装置を示した図である。
本発明の実施例3で示す半導体装置を示した図である。
本発明の実施例6で示す半導体装置の適用例を説明する図。
本発明の実施例5で示す半導体装置の適用例を説明する図。
本発明の実施例6で示す半導体装置の適用例を説明する図。
本発明の実施例4で示す半導体装置の作製方法を示した図である。
本発明に適用できる露光マスクの上面図及び断面図を示す図。(実施例4)