JP5131801B2 - アンヒドロ糖の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の課題は、単糖、単糖を構成成分として含む少糖あるいはこれらの配糖体を含む原料から安全かつ簡便にアンヒドロ糖を製造する方法を提供することにある。
1.単糖、単糖が2〜10個結合した少糖あるいはこれらの配糖体の中から選ばれる少なくとも1種の糖化合物原料を、沸点150℃以上の非プロトン性有機溶媒の存在下、常圧下で100℃〜300℃の温度で加熱することを特徴とする下記一般式(1)
2.単糖がグルコース、マンノースおよびガラクトースから選ばれ、単糖が2〜10個結合した少糖がスクロースおよびマルトオリゴ糖から選ばれる前記1に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
3.糖化合物原料が、単糖、単糖が2〜10個結合した少糖あるいはこれらの配糖体が含まれている原料であって、上記単糖を構成成分として含む多糖が混在していてもよい前記1に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
4.混在していてもよい多糖が、デンプン、セルロース、デキストラン、グリコーゲン、マンナン、ガラクタン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、アラビノガラクタン、ヘミセルロース、パルプ、紙、藁、木材、穀類およびバガスから選択される前記3に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
5.前記有機溶媒が、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、スルホナール、3−スルホレン、1−メチル−2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチル酢酸エステル、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサン酸)エステル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ニトロトルエン類、ニトロキシレン類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クレゾール類、エチルフェノール類、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、およびトリエチレングリコールモノエチルエーテルから選択される少なくとも1種である前記1記載のアンヒドロ糖の製造方法。
6.有機溶媒が、スルホラン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)単独、およびこれら有機溶媒のいずれかにプロピレンカーボネートまたはテトラエチレングリコールジメチルエーテルを加えた混合溶媒系である前記5に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
7.加熱方法が、油浴、砂浴、金属あるいは金属塩浴、流動層、電気炉またはマイクロ波照射である前記1に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
8.加熱方法がマイクロ波照射である前記7に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
生成したアンヒドロ糖を含む反応混合物は、抽出操作を要することなく、直接シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて、非プロトン性有機溶媒およびアンヒドロ糖のいずれもそれぞれの溶出画分から溶離液を減圧留去するだけで容易に回収、精製できる。あるいは、反応混合物に3倍容量以上の酢酸エチル、アルコール類、ヘキサン、トルエンなど少なくとも1種類以上の有機溶媒を混合し、固体を析出させ、固体をろ過し、同じ有機溶媒で洗浄する。ろ液からは、上記と同様に非プロトン性有機溶媒およびアンヒドロ糖のいずれも容易に回収、精製できる。析出した固体は、種々の少糖の混合物であり、これを原料として非プロトン性有機溶媒中で同じ反応を繰り返すことにより、再度アンヒドロ糖を製造できる。従って、抗癌剤や抗HIV剤の原料、生分解性高分子、光学異性体分割剤や多分岐多糖などとして有用なアンヒドロ糖を安価に供給できる。
非プロトン性有機溶媒の例としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、スルホナール、3−スルホレン、1−メチル−2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチル酢酸エステル、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサン酸)エステル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ニトロトルエン類、ニトロキシレン類、ジメチルスルホキシド(DMSO)などがあげられる。
本発明において、原料と有機溶媒との割合は、単糖、少糖あるいはこれらの配糖体を含む原料1質量部に対して、有機溶媒を2〜200質量部、好ましくは5〜100質量部である。
反応温度および加熱時間は、単糖、少糖あるいはこれらの配糖体を含む原料および有機溶媒の種類および仕込み濃度等によって変わるが、反応温度は、通常100℃〜300℃、好ましくは160℃〜280℃である。100℃より低い温度では脱水反応が進行せず、300℃以上の温度では、タールおよび炭化物が生成し目的物の分離精製が難しくなる。
本発明の方法で使用する反応装置は、上記の条件で反応できるものであれば特に限定されるものではなく、連続式反応装置でも回分式反応装置でもよい。本発明の反応は常圧下で実施できるため、耐圧容器の必要はなく、100℃以上300℃までの反応温度に耐えうるものであればよい。
あるいは、反応混合物に3倍容量以上の酢酸エチル、アルコール類、ヘキサン、トルエンなど少なくとも1種類以上の有機溶媒と混合し、固体を析出させ、固体をろ過し、同じ有機溶媒で洗浄する。ろ液からは、上記と同様に非プロトン性有機溶媒およびアンヒドロ糖のいずれも容易に回収、精製できる。析出した固体は、種々の少糖の混合物であり、これを原料として非プロトン性有機溶媒中で同じ反応を繰り返すことにより、再度アンヒドロ糖を製造できる。
従って、本発明により、抗癌剤や抗HIV剤の原料、生分解性高分子、光学異性体分割剤や多分岐多糖などの出発物質として有用なアンヒドロ糖を安価に供給できる。
試験管に撹拌子、グルコース(和光純薬工業(株))1000mgおよびスルホラン(アルドリッチ社)10mLを加え、フラスコを温度制御可能なマイクロ波照射装置(2450MHz、300W)の所定の場所に置いた。熱電対および空気冷却管をフラスコにセットし撹拌を始め、設定温度を240℃とし4分間マイクロ波を照射し、放冷した。設定温度になるまで90秒を要した。レボグルコサンおよび1,6−アンヒドログルコフラノースの収率は、反応混合物の一部をトリメチルシリル化しガスクロマトグラフを用いて分析したところ、それぞれ43%および16%であった。
反応混合物を直接、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した(シリカゲル、40mL)。酢酸エチル/ヘキサン混合溶媒(1/1)でスルホランを溶出させ、続いて、酢酸エチル/メタノール混合溶媒(20/1→10/1)でアンヒドロ糖(レボグルコサンをおよび1,6−アンヒドログルコフラノース)を溶出させた。溶出溶媒を減圧留去することによりアンヒドロ糖を510mg得た(収率57%)。このアンヒドロ糖をイソプロピルアルコール/酢酸エチル混合溶媒から再結晶することによりレボグルコサンの結晶を320mg、母液190mg(レボグルコサン/1,6−アンヒドログルコフラノース=2/5)を得た。なお、スルホランの留出画分から酢酸エチルおよびヘキサンを減圧留去し、スルホランを回収した。
試験管に撹拌子、マンノース(和光純薬工業(株))1000mgおよびスルホラン(アルドリッチ社)10mLを加え、実施例1と同様の操作により、設定温度を255℃とし4分間マイクロ波を照射し、放冷した。設定温度になるまで100秒を要した。マンノサンおよび1,6−アンヒドロマンノフラノースの収率はガスクロマトグラフを用いて分析したところ、それぞれ35%および2.6%であった。
試験管に撹拌子、ガラクトース(和光純薬工業(株))1000mgおよびスルホラン(アルドリッチ社)10mLを加え、実施例1と同様の操作により、設定温度を255℃とし4分間マイクロ波を照射し、放冷した。設定温度になるまで100秒を要した。ガラクトサンおよび1,6−アンヒドロガラクトフラノースの収率はガスクロマトグラフを用いて分析したところ、それぞれ19%および26%であった。
試験管に撹拌子、スクロース(和光純薬工業(株))1000mgおよびスルホラン(アルドリッチ社)10mLを加え、実施例1と同様の操作により、設定温度を255℃とし4分間マイクロ波を照射し、放冷した。設定温度になるまで100秒を要した。レボグルコサンおよび1,6−アンヒドログルコフラノースの収率は、ガスクロマトグラフを用いて分析したところ、それぞれ21%および5%であった。
試験管に撹拌子、フジオリゴ#450P(グルコース1.0%、マルトース7.8%、マルトトリオース10.2%、マルトテトラオース50.5%、マルトペンタオース2.5%、マルトヘキサオース以上のその他の少糖28.0%)(日本食品加工(株))1000mgおよびスルホラン(アルドリッチ社)10mLを加え、実施例1と同様の操作により、設定温度を240℃とし4分間マイクロ波を照射し、放冷した。設定温度になるまで90秒を要した。レボグルコサンおよび1,6−アンヒドログルコフラノースの収率は、ガスクロマトグラフを用いて分析したところ、それぞれ43%および12%であった。
反応混合物をよく撹拌しながら酢酸エチル50mLを加え、析出した固体をろ過し、固体を酢酸エチル15mLで洗浄した。ろ液をガスクロマトグラフで分析したところ、レボグルコサンおよび1,6−アンヒドログルコフラノースの収率は、それぞれ42%および12%であった。
析出固体を390mg回収した(収率39%)。析出固体をゲル浸透クロマトグラフィーで分析すると種々の少糖の混合物であることがわかった。析出固体390mgにスルホラン(アルドリッチ社)5mLを加え、上記と同じ条件で反応を再度行った。反応混合物中のレボグルコサンおよび1,6−アンヒドログルコフラノースの収率は、ガスクロマトグラフを用いて分析したところ、それぞれ26%および8%であった。2回分の反応を合わせると、レボグルコサンおよび1,6−アンヒドログルコフラノースのガスクロマトグラフ分析による収率は、それぞれ52%および15%であった。
Claims (8)
- 単糖が、グルコース、マンノースおよびガラクトースから選ばれ、単糖が2〜10個結合した少糖がスクロースおよびマルトオリゴ糖から選ばれる請求項1に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
- 糖化合物原料が、単糖、単糖が2〜10個結合した少糖あるいはこれらの配糖体が含まれている原料であって、上記単糖を構成成分として含む多糖が混在していてもよい請求項1に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
- 混在していてもよい多糖が、デンプン、セルロース、デキストラン、グリコーゲン、マンナン、ガラクタン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、アラビノガラクタン、ヘミセルロース、パルプ、紙、藁、木材、穀類およびバガスから選択される請求項3に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
- 前記有機溶媒が、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、スルホナール、3−スルホレン、1−メチル−2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチル酢酸エステル、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサン酸)エステル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ニトロトルエン類、ニトロキシレン類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クレゾール類、エチルフェノール類、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、およびトリエチレングリコールモノエチルエーテルから選択される少なくとも1種である請求項1記載のアンヒドロ糖の製造方法。
- 有機溶媒が、スルホラン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)単独、およびこれら有機溶媒のいずれかにプロピレンカーボネートまたはテトラエチレングリコールジメチルエーテルを加えた混合溶媒系である請求項5に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
- 加熱方法が、油浴、砂浴、金属あるいは金属塩浴、流動層、電気炉またはマイクロ波照射である請求項1に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
- 加熱方法がマイクロ波照射である請求項7に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
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