JP5131801B2 - アンヒドロ糖の製造方法 - Google Patents

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本発明は、単糖、少糖あるいはこれらの配糖体を含む原料を、有機溶媒の存在下で加熱することを特徴とするアンヒドロ糖の製造方法に関する。
6単糖由来のアンヒドロ糖としては、それぞれグルコース、マンノース、ガラクトースなどの無水物であるレボグルコサン、マンノサン、ガラクトサンなど一般式(1)で示される1,6−アンヒドロヘキソピラノース、一般式(2)で示される1,6−アンヒドロヘキソフラノースなどがある。リボース、キシロースなどペントース由来のアンヒドロ糖としては、一般式(3)で示される1,4−アンヒドロペントピラノース等が挙げられる。
Figure 0005131801
Figure 0005131801
Figure 0005131801
これらアンヒドロ糖の中でもレボグルコサンは、抗癌剤や抗HIV剤の原料や生分解性高分子原料などとして有用である。さらに、マンノサンやガラクトサンとともに光学異性体分割剤や多分岐多糖の出発原料としても有用であることが知られ、様々な分野で注目されている。
従来、レボグルコサンの製造方法としては、(1)セルロース成分を含む原料を有機溶媒と共に耐圧容器に入れ250〜350℃に加熱する熱分解法(特開平2−101093号公報;特許文献1)、(2)超臨界アセトンを耐圧容器に圧送しながらセルロースを250〜340℃で10時間かける熱分解法(J. Anal. Appl. Pyrolysis(1991), 19,119〜129;非特許文献1)、(3)ヘキソースからなる多糖類を主として含む原料をスルホランとともに耐圧容器に入れ、300℃以上の温度で熱分解する方法(特開2003−342289号公報;特許文献2、J. Anal. Appl. Pyrolysis(2003), 70, 303〜313;非特許文献2)、および(4)セルロース成分にマイクロ波を照射するマイクロ波熱分解法(J. Wood Sci. (2001), 47, 502〜506;非特許文献3)が知られている。
上記(1)〜(3)の従来技術では、試料のセルロース成分が有機溶媒中に均一に懸濁していないため実験の再現性やスケールアップが困難であるばかりか、反応系が高圧になるため安全で簡便な製造方法ではない。また、従来技術(3)の非特許文献では、レボグルコサンの最大収率が36%であるのに対して、特開2003−342289号公報では90%以上の高収率で得られるとあり,矛盾している。さらには、スルホランなどの非プロトン性有機溶媒を用いているが、これら非プロトン性有機溶媒からレボグルコサンを精製する方法が記述されていないため,実用化に問題がある。従来技術(4)では、その操作が煩雑であると共に純度の高いセルロースを用いてもレボグルコサンの最大収率は12%である。また、生成物として、気体、液体(木酢液および木タール)のほかに固体(炭化物)も生成してしまう。さらには、複雑な成分からなる木タール中からレボグルコサンを分離するためには多大な労力と時間を要する。一方、非特許文献1に、1,6−アンヒドログルコフラノースの生成が確認されているが、その生成量はごく僅かなものである。
特開平2−101093号公報 特開2003−342289号公報 J.Anal.Appl.Pyrolysis(1991),19,119〜129 J.Anal.Appl.Pyrolysis(2003),70,303〜313 J.Wood Sci.(2001),47,502〜506
以上のように、従来のレボグルコサンや1,6−アンヒドログルコフラノースに代表されるアンヒドロ糖の製造方法は、収率が低いこと、あるいは精製方法が確立されていないこと等の解決すべき課題が多々あり実用化には至っていないのが現状であり、安全かつ簡便で、高収率でアンヒドロ糖が得られる製造方法の確立が望まれている。
本発明の課題は、単糖、単糖を構成成分として含む少糖あるいはこれらの配糖体を含む原料から安全かつ簡便にアンヒドロ糖を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記問題点を改善すべく鋭意研究を重ねた結果、単糖、少糖あるいはこれらの配糖体を含む原料を有機溶媒中で100℃〜300℃の温度で加熱することによりアンヒドロ糖が生成することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は下記のアンヒドロ糖の製造方法を提供する。
1.単糖、単糖が2〜10個結合した少糖あるいはこれらの配糖体の中から選ばれる少なくとも1種の糖化合物原料を、沸点150℃以上の非プロトン性有機溶媒の存在下、常圧下で100℃〜300℃の温度で加熱することを特徴とする下記一般式(1)
Figure 0005131801
及び一般式(2)
Figure 0005131801
で示されるアンヒドロ糖の製造方法。
2.単糖がグルコース、マンノースおよびガラクトースから選ばれ、単糖が2〜10個結合した少糖がスクロースおよびマルトオリゴ糖から選ばれる前記1に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
3.糖化合物原料が、単糖、単糖が2〜10個結合した少糖あるいはこれらの配糖体が含まれている原料であって、上記単糖を構成成分として含む多糖が混在していてもよい前記1に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
4.混在していてもよい多糖が、デンプン、セルロース、デキストラン、グリコーゲン、マンナン、ガラクタン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、アラビノガラクタン、ヘミセルロース、パルプ、紙、藁、木材、穀類およびバガスから選択される前記3に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
5.前記有機溶媒が、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、スルホナール、3−スルホレン、1−メチル−2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチル酢酸エステル、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサン酸)エステル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ニトロトルエン類、ニトロキシレン類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クレゾール類、エチルフェノール類、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、およびトリエチレングリコールモノエチルエーテルから選択される少なくとも1種である前記1記載のアンヒドロ糖の製造方法。
6.有機溶媒が、スルホラン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)単独、およびこれら有機溶媒のいずれかにプロピレンカーボネートまたはテトラエチレングリコールジメチルエーテルを加えた混合溶媒系である前記5に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
7.加熱方法が、油浴、砂浴、金属あるいは金属塩浴、流動層、電気炉またはマイクロ波照射である前記1に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
8.加熱方法がマイクロ波照射である前記7に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
本発明によれば、二酸化炭素や低級炭化水素などの熱分解ガス、タールおよび炭化物などの生成が極めて少なく、常圧下でも原料の脱水反応や解重合反応によりアンヒドロ糖を得ることができる。常圧下でも実施できるため製造装置を簡略化できるだけでなく、安全かつ簡便に操作ができる。
生成したアンヒドロ糖を含む反応混合物は、抽出操作を要することなく、直接シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて、非プロトン性有機溶媒およびアンヒドロ糖のいずれもそれぞれの溶出画分から溶離液を減圧留去するだけで容易に回収、精製できる。あるいは、反応混合物に3倍容量以上の酢酸エチル、アルコール類、ヘキサン、トルエンなど少なくとも1種類以上の有機溶媒を混合し、固体を析出させ、固体をろ過し、同じ有機溶媒で洗浄する。ろ液からは、上記と同様に非プロトン性有機溶媒およびアンヒドロ糖のいずれも容易に回収、精製できる。析出した固体は、種々の少糖の混合物であり、これを原料として非プロトン性有機溶媒中で同じ反応を繰り返すことにより、再度アンヒドロ糖を製造できる。従って、抗癌剤や抗HIV剤の原料、生分解性高分子、光学異性体分割剤や多分岐多糖などとして有用なアンヒドロ糖を安価に供給できる。
本発明では、単糖、少糖あるいはこれらの配糖体を含む原料を有機溶媒の存在下で加熱しアンヒドロ糖を生成させる。ここでいうアンヒドロ糖は、下記一般式(1)で示されるレボグルコサン、マンノサン、ガラクトサンなどの1,6−アンヒドロヘキソピラノース
Figure 0005131801
下記一般式(2)で示される1,6−アンヒドロヘキソフラノース
Figure 0005131801
および/または下記一般式(3)
Figure 0005131801
で示される1,4−アンヒドロペントピラノース等のアンヒドロ糖である。
本発明で使用する原料は、単糖、少糖あるいはこれらの配糖体を含む物質である。単糖としては、グルコース、マンノース、ガラクトース、グロース、アロース、アルトロース、イドース、タロース、リボース、キシロース、アラビノース、リキソース等が挙げられ、少糖としては、前記単糖10個以下を構成成分として含むもの、例えばスクロース、マルトース、イソマルトース、セロビオース、トレハロース、トレハルロース、パラチノース、ニゲロース、ラクトース、ラクチュロース、グリコシルスクロース、ラクトスクロース、パノース、ラフィノース、シクロデキストリン類およびその誘導体、分岐シクロデキストリン類、シクロデキストラン、マルトオリゴ糖(グルコースがα−1,4結合した少糖の総称)、イソマルトオリゴ糖(グルコースがα−1,6結合した少糖の総称)、セロオリゴ糖(グルコースがβ−1,4結合した少糖の総称)、ガラクトオリゴ糖、マンノオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖および大豆オリゴ糖等が挙げられ、これらの配糖体としては、フェニルグリコピラノシド類、アルブチン、カルミン酸、エスクリン、ヘリシン、フロリジン、サリシン、ストロファンチン、アミグダリン、グリシルリジン、ヘスペリジン、ルチン等が挙げられる。中でもグルコース、マンノース、ガラクトース、スクロース、マルトース、イソマルトース、セロビオース、トレハロース、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、シクロデキストリン類が特に好ましい。
また、本発明で使用する原料は、単糖、少糖あるいはこれらの配糖体が含まれていれば特に限定されるものではなく、上記単糖を構成成分として含む多糖であるデンプン、セルロース、デキストラン、グリコーゲン、マンナン、ガラクタン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、アラビノガラクタン、ヘミセルロース、パルプ、紙、藁、木材、キチン、キトサン、絹、米・蕎麦などの穀類およびバガス等が混在していてもよい。特に、デンプン、セルロース、デキストラン、グリコーゲン、マンナン、パルプなどの混在が好ましい。また、キチン、キトサン、カラギーナン、アルギン酸など上記単糖を構成成分として含まない多糖、さらに、タンパク質、脂質やリグニンなどの天然高分子、あるいはナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等の合成高分子が混在した原料全般を使用することができる。さらには、本発明で使用する原料は、単糖、少糖あるいはこれらの配糖体を含む原料が含まれていれば特に限定されるものではなく、水分を含んでいてもよい。水分を含んだ単糖、少糖あるいはこれらの配糖体を含む原料として、蜂蜜、糖蜜、水飴などのシロップ類、ビートやサトウキビ、キャベツやジャガイモなどの野菜や根菜類、ブドウやミカンなどの果物、各種穀類、トウモロコシ、豆類などが挙げられる。さらに、酒類やジュースなど種々の飲料、ベーカリー製品、洋菓子、和菓子、ジャム、デザートなど、単糖、少糖あるいはこれらの配糖体を含む原料から構成される種々の飲食料品に適用できる。本発明で使用する加熱温度が100℃以上であるため、原料に含まれている水分や脱水反応で生成した水分が水蒸気として反応系外に散逸するため、その水分含量は特に限定されるものではないが、水分含量が原料に対して、90%以下、好ましくは50%以下のものを使用する。
本発明では、100℃〜300℃の温度範囲で加熱して脱水反応を行うために有機溶媒を使用する。脱水反応を促進するには非プロトン性有機溶媒が好ましい。非プロトン性有機溶媒は沸点が150℃以上であれば特に限定されない。
非プロトン性有機溶媒の例としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、スルホナール、3−スルホレン、1−メチル−2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチル酢酸エステル、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサン酸)エステル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ニトロトルエン類、ニトロキシレン類、ジメチルスルホキシド(DMSO)などがあげられる。
これらの非プロトン性有機溶媒は単独で用いてもよいし、2種類以上の混合溶媒として用いてもよい。また、非プロトン性有機溶媒に比べて少量であれば、メタノール、エタノール、酢酸エチル、アセトン、酢酸、ギ酸、クレゾール類、エチルフェノール類、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのプロトン性の有機溶媒を混合して用いてもよい。
特に好ましい有機溶媒としては、スルホラン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)単独、およびこれら有機溶媒のいずれかにプロピレンカーボネートまたはテトラエチレングリコールジメチルエーテルを加えた混合溶媒系である。これら混合溶媒の割合は特に限定されないが、プロピレンカーボネートまたはテトラエチレングリコールジメチルエーテルの割合が50%以下の割合で混合することが好ましい。
本発明において、原料と有機溶媒との割合は、単糖、少糖あるいはこれらの配糖体を含む原料1質量部に対して、有機溶媒を2〜200質量部、好ましくは5〜100質量部である。
本発明の製造方法は、単糖、少糖あるいはこれらの配糖体を含む原料を非プロトン性有機溶媒中で、常圧下において実施できる。
反応温度および加熱時間は、単糖、少糖あるいはこれらの配糖体を含む原料および有機溶媒の種類および仕込み濃度等によって変わるが、反応温度は、通常100℃〜300℃、好ましくは160℃〜280℃である。100℃より低い温度では脱水反応が進行せず、300℃以上の温度では、タールおよび炭化物が生成し目的物の分離精製が難しくなる。
加熱時間は、反応系でアンヒドロ糖の生成が最大になる時間であり、使用する原料、有機溶媒の種類および加熱温度により異なるが、1分〜30分間で行うが、好ましくは2分〜10分間程度である。加熱時間が長すぎると原料および生成したアンヒドロ糖の過分解反応あるいは重合反応が進行し、目的物の収率は低下する。
本発明の方法で使用する反応装置は、上記の条件で反応できるものであれば特に限定されるものではなく、連続式反応装置でも回分式反応装置でもよい。本発明の反応は常圧下で実施できるため、耐圧容器の必要はなく、100℃以上300℃までの反応温度に耐えうるものであればよい。
本発明の製造方法を実施する加熱方法は、一般的な加熱方法でよく、加熱方法は特に限定されるものではなく、油浴、砂浴、金属あるいは金属塩浴、流動層、電気炉またはマイクロ波照射などを用いることができるが、分子振動により反応混合物自体を加熱でき、反応液の温度上昇を速やかに進行させ、加熱設定温度までの到達時間を短縮する等の点からマイクロ波加熱方式が好ましい。
本発明の製造方法で生成するアンヒドロ糖の単離・精製は、特に限定されないが、例えば、反応混合物を直接シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて分画し、アンヒドロ糖の溶出画分から溶出溶媒を留去することにより精製できる。用いる溶出溶媒としては、酢酸エチル、メタノール、ヘキサン等が好ましく、これらを適宜混合させて極性を調整し、非プロトン性有機溶媒および目的とするアンヒドロ糖を溶出させて分離する。例えば、非プロトン性有機溶媒として用いたスルホラン中からアンヒドロ糖を精製する場合、酢酸エチル/ヘキサン混合溶媒(1/1)で先ずスルホランを溶出させ、その後、酢酸エチル/メタノール混合溶媒(20/1→10/1)でアンヒドロ糖を溶出させる。それぞれの溶出画分から溶出溶媒を留去する事によりスルホランおよびアンヒドロ糖が得られる。
あるいは、反応混合物に3倍容量以上の酢酸エチル、アルコール類、ヘキサン、トルエンなど少なくとも1種類以上の有機溶媒と混合し、固体を析出させ、固体をろ過し、同じ有機溶媒で洗浄する。ろ液からは、上記と同様に非プロトン性有機溶媒およびアンヒドロ糖のいずれも容易に回収、精製できる。析出した固体は、種々の少糖の混合物であり、これを原料として非プロトン性有機溶媒中で同じ反応を繰り返すことにより、再度アンヒドロ糖を製造できる。
従って、本発明により、抗癌剤や抗HIV剤の原料、生分解性高分子、光学異性体分割剤や多分岐多糖などの出発物質として有用なアンヒドロ糖を安価に供給できる。

以下、本発明を実施例により詳述するが、下記の実施例に限定されるものではない。
実施例1
試験管に撹拌子、グルコース(和光純薬工業(株))1000mgおよびスルホラン(アルドリッチ社)10mLを加え、フラスコを温度制御可能なマイクロ波照射装置(2450MHz、300W)の所定の場所に置いた。熱電対および空気冷却管をフラスコにセットし撹拌を始め、設定温度を240℃とし4分間マイクロ波を照射し、放冷した。設定温度になるまで90秒を要した。レボグルコサンおよび1,6−アンヒドログルコフラノースの収率は、反応混合物の一部をトリメチルシリル化しガスクロマトグラフを用いて分析したところ、それぞれ43%および16%であった。
反応混合物を直接、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した(シリカゲル、40mL)。酢酸エチル/ヘキサン混合溶媒(1/1)でスルホランを溶出させ、続いて、酢酸エチル/メタノール混合溶媒(20/1→10/1)でアンヒドロ糖(レボグルコサンをおよび1,6−アンヒドログルコフラノース)を溶出させた。溶出溶媒を減圧留去することによりアンヒドロ糖を510mg得た(収率57%)。このアンヒドロ糖をイソプロピルアルコール/酢酸エチル混合溶媒から再結晶することによりレボグルコサンの結晶を320mg、母液190mg(レボグルコサン/1,6−アンヒドログルコフラノース=2/5)を得た。なお、スルホランの留出画分から酢酸エチルおよびヘキサンを減圧留去し、スルホランを回収した。
実施例2
試験管に撹拌子、マンノース(和光純薬工業(株))1000mgおよびスルホラン(アルドリッチ社)10mLを加え、実施例1と同様の操作により、設定温度を255℃とし4分間マイクロ波を照射し、放冷した。設定温度になるまで100秒を要した。マンノサンおよび1,6−アンヒドロマンノフラノースの収率はガスクロマトグラフを用いて分析したところ、それぞれ35%および2.6%であった。
実施例3
試験管に撹拌子、ガラクトース(和光純薬工業(株))1000mgおよびスルホラン(アルドリッチ社)10mLを加え、実施例1と同様の操作により、設定温度を255℃とし4分間マイクロ波を照射し、放冷した。設定温度になるまで100秒を要した。ガラクトサンおよび1,6−アンヒドロガラクトフラノースの収率はガスクロマトグラフを用いて分析したところ、それぞれ19%および26%であった。
実施例4
試験管に撹拌子、スクロース(和光純薬工業(株))1000mgおよびスルホラン(アルドリッチ社)10mLを加え、実施例1と同様の操作により、設定温度を255℃とし4分間マイクロ波を照射し、放冷した。設定温度になるまで100秒を要した。レボグルコサンおよび1,6−アンヒドログルコフラノースの収率は、ガスクロマトグラフを用いて分析したところ、それぞれ21%および5%であった。
実施例5
試験管に撹拌子、フジオリゴ#450P(グルコース1.0%、マルトース7.8%、マルトトリオース10.2%、マルトテトラオース50.5%、マルトペンタオース2.5%、マルトヘキサオース以上のその他の少糖28.0%)(日本食品加工(株))1000mgおよびスルホラン(アルドリッチ社)10mLを加え、実施例1と同様の操作により、設定温度を240℃とし4分間マイクロ波を照射し、放冷した。設定温度になるまで90秒を要した。レボグルコサンおよび1,6−アンヒドログルコフラノースの収率は、ガスクロマトグラフを用いて分析したところ、それぞれ43%および12%であった。
反応混合物をよく撹拌しながら酢酸エチル50mLを加え、析出した固体をろ過し、固体を酢酸エチル15mLで洗浄した。ろ液をガスクロマトグラフで分析したところ、レボグルコサンおよび1,6−アンヒドログルコフラノースの収率は、それぞれ42%および12%であった。
析出固体を390mg回収した(収率39%)。析出固体をゲル浸透クロマトグラフィーで分析すると種々の少糖の混合物であることがわかった。析出固体390mgにスルホラン(アルドリッチ社)5mLを加え、上記と同じ条件で反応を再度行った。反応混合物中のレボグルコサンおよび1,6−アンヒドログルコフラノースの収率は、ガスクロマトグラフを用いて分析したところ、それぞれ26%および8%であった。2回分の反応を合わせると、レボグルコサンおよび1,6−アンヒドログルコフラノースのガスクロマトグラフ分析による収率は、それぞれ52%および15%であった。
実施例6〜8
試験管に撹拌子、グルコース(和光純薬工業(株))およびイオン交換水より調整した含水グルコース試料500mgおよびスルホラン(アルドリッチ社)5mLを加え、実施例1と同様の操作により、設定温度を240℃とし4分間マイクロ波を照射した。アンヒドロ糖(レボグルコサンおよび1,6−アンヒドログルコフラノース)のガスクロマトグラフ分析による収率を実施例1とともに表1に示す。このことより含水率80%のグルコースを用いてもアンヒドロ糖の収率は良好であり、本発明が水分を含んだ糖化合物を原料に対しても適用できることがわかる。
Figure 0005131801

Claims (8)

  1. 単糖、単糖が2〜10個結合した少糖あるいはこれらの配糖体の中から選ばれる少なくとも1種の糖化合物原料を、沸点150℃以上の非プロトン性有機溶媒の存在下、常圧下で100℃〜300℃の温度で加熱することを特徴とする下記一般式(1)
    Figure 0005131801
    及び一般式(2)
    Figure 0005131801

    で示されるアンヒドロ糖の製造方法。
  2. 単糖が、グルコース、マンノースおよびガラクトースから選ばれ、単糖が2〜10個結合した少糖がスクロースおよびマルトオリゴ糖から選ばれる請求項1に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
  3. 糖化合物原料が、単糖、単糖が2〜10個結合した少糖あるいはこれらの配糖体が含まれている原料であって、上記単糖を構成成分として含む多糖が混在していてもよい請求項1に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
  4. 混在していてもよい多糖が、デンプン、セルロース、デキストラン、グリコーゲン、マンナン、ガラクタン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、アラビノガラクタン、ヘミセルロース、パルプ、紙、藁、木材、穀類およびバガスから選択される請求項3に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
  5. 前記有機溶媒が、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、スルホナール、3−スルホレン、1−メチル−2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチル酢酸エステル、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサン酸)エステル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ニトロトルエン類、ニトロキシレン類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クレゾール類、エチルフェノール類、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、およびトリエチレングリコールモノエチルエーテルから選択される少なくとも1種である請求項1記載のアンヒドロ糖の製造方法。
  6. 有機溶媒が、スルホラン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)単独、およびこれら有機溶媒のいずれかにプロピレンカーボネートまたはテトラエチレングリコールジメチルエーテルを加えた混合溶媒系である請求項5に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
  7. 加熱方法が、油浴、砂浴、金属あるいは金属塩浴、流動層、電気炉またはマイクロ波照射である請求項1に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
  8. 加熱方法がマイクロ波照射である請求項7に記載のアンヒドロ糖の製造方法。
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