JP5131759B2 - 時計装置 - Google Patents

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本発明は、蛍光素材を用いることによってその表示機能及び装飾性を向上して
なる時計装置に関する。
一般に、指針を照明する方法としては、蛍光素材を指針に設けて発光部とし、その発光部に紫外線を照射する方法が知られている。蛍光素材は、ルミネッセンスにより光を放出する。つまり、紫外線等の特定波長の光によって励起されて可視光を放出する。尚、通常の蛍光素材は、励起の光を止めると可視光の放出も直ぐに止まる発光寿命が短いものである。但し、発光寿命が長いもの、すなわち光をためて発光する性状のものもあり、これが蓄光素材と呼ばれるものである。
指針に蛍光素材を利用することによれば、暗所における時刻の表示機能を向上することが可能である。また、装飾性が向上するという利点もある。この種の時計は、特許文献1乃至3にも開示されている。
特開平7−174866号公報 特開平8−95509号公報 特開2000−292558号公報
さて近年、時計の機能及びデザインはますます多様化されており、前述した蛍光素材についても、これをより有効に利用すべく更なる工夫が求められている。例えば、指針に蛍光素材を設ける場合、通常は、蛍光素材を含む塗料を指針の表面に塗布するところ、その蛍光素材に対する発光手段の光の照射効率が非常に重要な問題とされる。
すなわち、特許文献1及び2のように、時計の筐体の見返し部等に発光手段を設ける場合は、指針の表面に対する発光手段の光の角度を確保する必要から、文字板に対して発光手段を指針よりも正面前方に配置しなければならない。特に、壁掛け時計や置き時計のような比較的大型の時計であれば、発光手段と蛍光素材との距離も長くなるので、十分な光量を確保するためには、指針の表面に対する光の角度を大きく設定せざるを得ず、これが時計のデザインを制約してしまうという不都合があった。また、特許文献3のように、文字板の背部に発光手段を設け、その光を導光体で導くように構成することも可能であるが、構成部材の複雑化や、光量のロスが伴うという不都合があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、指針の発光部に設けられた蛍光素材を励起するにあたり、その構造をより合理化してなる時計装置を提供することである。
本願第1請求項に記載した発明は、文字板と、前記文字板の正面に配置された指針と、前記指針を回転するムーブメントとを備えた時計装置において、前記指針は、蛍光素材が設けられた発光部を備えるとともに、前記指針の外部には、前記蛍光素材を励起する光を前記発光部に照射する発光手段を設け、前記発光部は、導光体からなるプレート状の部材を前記指針に装着するとともに、前記文字板と対向する面に前記蛍光素材を設けてなり、前記発光手段の光は、前記発光部の厚さ方向の面から前記発光部の内部に入射して前記蛍光素材にもたらされ、前記指針の正面からは、前記導光体を透して前記蛍光素材の放射する可視光が見えるようにしたものであり、前記指針には、前記発光部を装着する孔部を設け、前記発光部は、前記指針の正面側に位置決めされる鍔部を備え、前記指針の正面側から前記孔部に貫通して装着し、前記発光手段の光は、前記孔部から前記文字板側に食み出した前記発光部の厚さ方向の面から前記発光部の内部に入射するようにした構成の時計装置である。
本発明によれば、指針の発光部に設けられた蛍光素材を励起するにあたり、その構造をより合理化してなる時計装置を得ることができる。
以下に、本発明の第1実施例を図1乃至図7に基づいて説明する。本例の時計装置1は、標準時刻電波を受信して、その標準時刻電波の情報に基づいて表示時刻を修正するアナログ式の電波修正時計である。この時計装置1は、当該時計装置1を制御する所要のプログラムを格納した制御手段(図示はせず)と、文字板100と、文字板100の正面に配置された指針210,220,230と、指針210,220,230を回転するムーブメント300と、それらを収納する筐体400と備えている。文字板100は、筐体400の正面に支持された透明カバー410に覆われている。時刻表示部は、文字板100及び指針210,220,230にて構成されている。図中の10は、標準時刻電波を受信するためのアンテナである。
指針としては、時針210、分針220、及び秒針230を備えている。ムーブメント300は、文字板100の背部に設けられており、文字板100の正面側に突出した指針パイプ310を介して各指針210,220,230をそれぞれ所定の速度で回転する構成となっている。文字板100の中央には、指針パイプ310を貫通する通孔101が設けられている。時針210、分針220、及び秒針230は、共通の回転軸Aを中心に回転する。
本例の場合、時針210及び分針220は、蛍光素材が設けられた第1発光部211及び第2発光部221をそれぞれ備えるとともに、それらの外部には、各発光部211,221の蛍光素材を励起する光を発光部211,221に照射する発光手段500を設けている。
発光手段500は、指針210,220,230の回転軸を中心に等角ピッチで複数個配置している。図例では、120°の間隔で3個のブラックライトを文字板100の中央方向に向けて配置している。12時方向、4時方向、8時方向の3個である。これらの発光手段500の指向は、文字板100に対し平行となっている。筐体400は、文字板100の正面縁部を覆う見返し部を有するものであり、これらの発光手段500は、見返し部の内部に配置されている。
また、文字板100の背部には、環境の明るさを検出するための光センサ600が設けられており、文字板100の要所には、光センサ600に対応する透光部102が設けられている。制御手段は、環境が暗くなるとかかる発光手段500の点灯を開始し、明るくなると点灯を終了する。例えば、夜間に部屋の照明を消すと、それに伴い発光手段500が点灯し、各発光部211,221が光る。故に、時刻表示部を見る者は、暗所においても時刻を視認することができる。発光手段500は、日が昇り明るくなると消灯する。
次に、本例の発光部211,221について説明する。各発光部211,221は、導光体からなるプレート状の部材を指針210,220に装着するとともに、文字板100と対向する面に蛍光素材を設けてなるものである。発光手段500の光は、発光部211,221の厚さ方向の面から発光部211,221の内部に入射して蛍光素材にもたらされる。指針210,220の正面からは、導光体を透して蛍光素材の放射する可視光が見える構成となっている。
時針210の要所には、指針パイプ310を装着する孔部、すなわち指針パイプ装着部210aと、第1発光部211を装着する孔部、すなわち発光部装着部210bが設けられている。また同様に、本例の分針220の要所には、指針パイプ310を装着する孔部、すなわち指針パイプ装着部220aと、第2発光部221を装着する孔部、すなわち発光部装着部220bが設けられている。
図例した第1発光部211は、時針210の正面側から発光部装着部210bに貫通して装着される。この第1発光部211は、所定の厚さの本体部211aと、時針210の正面側に位置決めされる鍔部211bとを備えるとともに、本体部211aの文字板100側の面に蛍光素材を含む塗料211cを塗布してなるものである。本体部211aは、発光部装着部210bに対し圧入、フック止め、溶着、又は接着により固定されている。
発光部500の光は、発光部装着部210bから文字板100側に食み出した本体部211aの側面、すなわち第1発光部211の厚さ方向の面から第1発光部211の内部に入射し、蛍光素材にもたらされる。時針210が回転していようとも、第1発光部211の厚さ方向の面には、常に発光手段500の光が十分に照射される。そして、蛍光素材が励起されると、時針210を正面から見た場合、第1発光部211が光って見える。図5中の白矢印aは、第1発光部211に対する発光手段500からの光の方向を示している。白矢印bは、蛍光素材が導光体を透して放射する可視光の方向を示している。尚、第2発光部221の構成は、第1発光部211の構成と同様である。故に図示は省略する。
尚、蛍光素材としては、発光寿命が短い通常の蛍光素材と、発光寿命が長い蓄光素材とを混合した塗料を採用している。或は、発光寿命が短い通常の蛍光素材を含む塗料と、発光寿命が長い蓄光素材を含む塗料とを採用し、それらの塗料を発光部211,221にそれぞれ散点状に塗布するなどしてもよい。また、このように設けた塗料の表面には、光の反射面を貼着又は蒸着して設けてもよい。かかる反射面を設けることによれば、文字板100側に漏れる光を防止することができ、光量のロスを低減することが可能である。
本例の時計装置1は、電波修正時計であり、受信環境が向上する夜間に、自動的に標準時刻電波を受信するものとなっている。標準時刻電波を受信する間は、ノイズの影響を回避するために発光手段500を消灯する。ここで、発光寿命が短い通常の蛍光素材のみの場合は、発光部211,221の光が失われて、時刻の確認が不可能となる。そこで、蓄光素材を用いることにより、発光部211,221の光が完全に失われる事態を回避する構成となっている。発光部211,221は、発光手段500の光が断たれても、ある程度の時間は燐光を放ち、標準時刻電波の受信は、その間に行われる。このような構成によると、受信時においても時刻表示機能を確保することができ、極めて合理的である。
以上説明した本例の時計装置によると、比較的大型の時計であっても、指針に設けた蛍光素材に効率よく光を照射することが可能である。例えば、従来のように蛍光素材を含む塗料を指針の表面に塗布すると、指針の表面に対する発光手段の光の角度を確保する必要から、文字板に対して発光手段を指針よりも正面前方に配置しなければならないが、本例によると、そのような不都合を回避することができる。かかる効果は、時計装置のデザインや内部レイアウトの汎用性を向上するという点において、極めて有効な効果である。尚、本例における各部の構成は、特許請求の範囲に記載した技術的範囲において適宜に設計変更が可能であり、図例説明したものに限定されないことは勿論である。
例えば、発光手段として紫外線及び可視光を放射するLEDを採用するとともに、発光部の裏面に印刷や微細な凹凸を設け、これに発光手段の可視光を照射するように構成してもよい。つまり、発光部がルミネッセンスによる光と反射光とによって発光するように構成することも可能である。
次に、本発明の第2実施例を図7及び図8に基づいて説明する。本例の場合、発光手段としては、第1発光部211に光を照射する第1発光手段510と、第2発光部221に光を照射する第2発光手段520とを備えている。第1発光手段510は、回転軸Aを中心に所定の間隔で複数個配置するとともに、第2発光手段520もまた、回転軸Aを中心に所定の間隔で複数個配置した。
本例の第1発光手段510及び第2発光手段520は、前述した実施例と同様に、それぞれ12時方向、4時方向、8時方向に配置されている。また、文字板100には、回転軸Aを中心とする円筒面状の段部110が設けられており、第1発光手段510は、この段部110の面から第1発光部211に光を照射するものとなっている。
第1発光部211及び第2発光部221は、指針210,220の構造上、回転軸Aからの距離、並びに文字板100に対する前後方向の位置が多少異なる。従って、本例のように、各指針210,220に対応する発光手段510,520を設けると、光の照射の効率を向上するという点で、より効果的である。
このように、各発光部211,221に対応する発光手段をそれぞれ設けることも可能である。
本発明の時計装置は、夜間における時刻表示機能を備えた壁掛け時計や置き時計として好適に利用することが可能である。
本発明の第1実施例に係り、時計装置を示す正面図である。 本発明の第1実施例に係り、時計装置を示す透視側面図である。 本発明の第1実施例に係り、時計装置の要部を示す透視側面図である。 本発明の第1実施例に係り、(a)は時針の正面図、(b)は時針の側面断面図、(c)は分針の正面図、(d)は分針の側面断面図である。 本発明の第1実施例に係り、発光部を装着した時針の要部を示す側面図である。 本発明の第1実施例に係り、図5の分解図である。 本発明の第2実施例に係り、時計装置を示す正面図である。 本発明の第2実施例に係り、時計装置の要部を示す透視側面図である。
符号の説明
1 電波修正時計
10 アンテナ
100 文字板
101 通孔
102 透光部
110 段部
210 時針(指針)
210a 指針パイプ装着部
210b 発光部装着部
211 第1発光部
211a プレート部
211b 鍔部
211c 塗料
220 分針(指針)
220a 指針パイプ装着部
220b 発光部装着部
221 第2発光部
230 秒針(指針)
300 ムーブメント
310 指針パイプ
400 筐体
410 透明カバー
500 発光手段
510 第1発光手段
520 第2発光手段
600 光センサ
A 回転軸

Claims (1)

  1. 文字板と、前記文字板の正面に配置された指針と、前記指針を回転するムーブメントとを備えた時計装置において、
    前記指針は、蛍光素材が設けられた発光部を備えるとともに、前記指針の外部には、前記蛍光素材を励起する光を前記発光部に照射する発光手段を設け、
    前記発光部は、導光体からなるプレート状の部材を前記指針に装着するとともに、前記文字板と対向する面に前記蛍光素材を設けてなり、
    前記発光手段の光は、前記発光部の厚さ方向の面から前記発光部の内部に入射して前記蛍光素材にもたらされ、
    前記指針の正面からは、前記導光体を透して前記蛍光素材の放射する可視光が見えるようにしたものであり、
    前記指針には、前記発光部を装着する孔部を設け、
    前記発光部は、前記指針の正面側に位置決めされる鍔部を備え、前記指針の正面側から前記孔部に貫通して装着し、
    前記発光手段の光は、前記孔部から前記文字板側に食み出した前記発光部の厚さ方向の面から前記発光部の内部に入射するようにしたことを特徴とする時計装置。
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