JP5130781B2 - 過酸化水素製造装置並びにそれを用いた空調機、空気清浄機及び加湿器 - Google Patents
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Description
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における過酸化水素製造装置を示す概略断面図である。図2は、過酸化水素製造装置の電解セル部の概略断面図を示す。
図1に示すように、過酸化水素製造装置の電解セル1は、水素イオン伝導性を有する電解質膜である高分子電解質膜2、この高分子電解質膜2の一方の面に接するように配設された陽極電極3、高分子電解質膜2の他方の面に接するように配設された陰極電極4で構成されており、さらに、陽極電極3には陽極端子5、陰極電極4には陰極端子6が取付けられており、電解セル1は電解槽7の側壁の一部をなすように構成され、高分子電解質膜2はOリング8を介して電解槽7に固定フランジ9により固定、シールされている。電解槽7には水10が貯えられている。水供給手段として、水槽12の底面に超音波発生器13が備えられた噴霧装置11と、噴霧装置11に接続された水供給管16とにより構成され、また、酸素含有ガス供給手段として、酸素含有ガス供給装置17と、この酸素含有ガス供給装置17に接続されたガス吹出し用の孔19を有するガス供給管18とにより構成されている。陰極電極4から滴下される過酸化水素を含有した液滴21を受ける過酸化水素回収槽22が陰極電極4の下方に設置されている。また、電解セル1には、陽極端子5と陰極端子6を介して直流電圧を印加する電源24が接続されている。
電源24により、陽極電極3と陰極電極4の間に連続的もしくは断続的に1.5〜10Vの直流電圧を印加しながら電解セル1を動作させる。まず、電解槽7に貯えられた水10は、陽極電極3を通過して高分子電解質膜2に接触する。そして、水は高分子電解質膜2に吸収され、高分子電解質膜2内を拡散し、高分子電解質膜2に保持される。陽極電極3では、供給された水が反応式(1)で示すように酸素(O2)と水素イオン(H+)とに分けられる。電源24により直流電圧を印加すると、電流が流れ、陽極電極3の表面から酸素分子が生成され、酸素の気泡25が発生する。
陽極: 2H2O → O2+ 4H+ + 4e− (1)
高分子電解質膜2は、気体を透過せず、電気絶縁性があり、水および水素イオン(H+)のみを伝導する材質、例えば、パーフルオロスルホン酸膜でできており、陰極電極4に空気などの酸素(O2)を含有する酸素含有ガスおよび水(H2O)が供給されると、陰極電極4上で高分子電解質膜2との界面に達した陽極電極3から伝導した水素イオン(H+)、および水素イオン(H+)に起因する還元性物質と酸素ガス(O2)が反応し、反応式(2)で示す還元反応によって過酸化水素(H2O2)が生成される。生成された過酸化水素含む液滴21は滴下され、過酸化水素回収槽22にて回収され徐々に蓄積される。
陰極電極4への酸素ガスの供給は、酸素含有ガス供給装置17から送出された酸素ガスがガス供給管18の孔19を通して陰極電極4表面に吹き付けることにより行なわれる。また、陰極電極4への水の供給は、水槽12の水14を超音波発生器13による超音波(1kHz〜2MHz)振動を用いて直径数μm程度に微細化した霧状の水滴15を水供給管16から噴霧させ、この水滴15を、ガス供給管18の孔19から吹出された酸素ガスによって陰極電極4表面に押し付けて液滴20として付着させるものである。
さらに、陰極電極4では酸素(O2)が更に還元されて水(H2O)が生成する反応(3)と水素イオン(H+)が直接還元されて、水素(H2)が発生する反応式(4)も進行する。
陰極: O2 + 4H+ + 4e− → 2H2O (3)
2H+ + 2e− → H2 (4)
図3〜図5は、実施の形態1の過酸化水素製造装置を用いた実施例1による過酸化水素生成特性の測定結果を示す。
電解セル1を構成する材料としては、陽極電極3の基材は、チタン製エキスパンドメタル(1インチ平方あたりのメッシュ数80、線径0.1mm)、酸化触媒は酸化イリジウム(担持密度0.6mg/cm2、無電解めっきで形成)を用いた。陰極電極4は、炭素繊維(繊維径10μm、空隙率70%)を基材としてその上に、炭素粉末と高分子電解質(パーフルオロスルホン酸)粉末を分散した溶液を重量比で1:3の割合で混合し、50〜400μm厚で塗布した後、50℃、真空下で乾燥して還元触媒層4bを形成した。高分子電解質膜2はパーフルオロスルホン酸である。
生成条件としては、印加電圧が2.0〜2.2V、温度が25℃、導入する酸素ガス流量が10〜50cc/min、陽極電極3と陰極電極4の面積が19cm2、陽極電極3には空気中から冷却によって水分を回収する状況を想定して、常温のイオン交換水を電解槽7中に50cc入れた。また、過酸化水素回収槽22に100ccの常温のイオン交換水を入れた。陰極電極4で発生した過酸化水素は液滴21として回収され、過酸化水素回収槽22内に徐々に蓄積される。過酸化水素濃度の経時変化は過酸化水素回収槽22の一部に紫外線吸光光度計(図示せず)を取付けて180〜250nmの範囲の波長を用いて測定した。
図3は、過飽和度W1/W2が1.7、2.4、3.3となるように供給する水滴量を制御した場合に、陰極電極4の表面に形成される液滴径の時間変化を示している。過飽和度1.7(A)の場合には20μm径、過飽和度2.4(B)の場合には50μm径の液滴20が形成され、過飽和度3.3(C)の場合には時間に伴って400μm径程度まで液滴径が増大した。なお、過飽和度1.01の場合には、1μm径の液滴20が形成された。
次に、過飽和度W1/W2を調節して液滴径を一定に保持して過酸化水素の発生速度を測定した結果を図4に示す。液滴径が1μmにおける過酸化水素の生成速度を1とすると、液滴径200μmでは10、液滴径400μmでは1となった。液滴径が1μm以下では、撥水処理されているため陰極電極4の内部に水が浸透しないため、過酸化水素の発生量が急激に減少する。
図5は、本発明の実施の形態2における過酸化水素製造装置を示す概略断面図である。
図5に示すように、電解セル1と水供給管29は水平に設置され、電解セル1が底面をなす電解槽7には水10が貯えられている。水供給手段としては、酸素含有ガス供給装置17と酸素含有ガス供給装置17に接続されたガス供給管18と、ガス供給管18に接続された水槽12と水槽12に接続された孔30を有する水供給管29とから構成されるものであり、酸素含有ガス供給手段としては、水供給手段を兼用するものである。さらに、陰極電極4の下方には過酸化水素を含む液滴21を回収するための過酸化水素回収槽22が設置されている。図1と同一符号は、同一または相当部分を示すので、説明を省略する。
実施の形態2では、必要な酸素含有ガスに対して、電解セル1の陰極電極4の表面温度における飽和水蒸気濃度以上の水蒸気を含んでいればよく、電解セル1が加熱されていても有効である。
図6は、本発明の実施の形態3における過酸化水素製造装置を示す概略断面図である。
図6に示すように、電解セル1とガス供給管18は水平に設置され、電解セル1が底面をなす電解槽7には水10が貯えられている。陰極電極への水供給手段としては、酸素含有ガス供給装置17と酸素含有ガス供給装置17に接続されたガス供給管18と陰極電極4の下方に設置された過酸化水素回収槽22から構成されるものであり、ガス供給管18は水平に配置されており、酸素含有ガスを吹出す孔19を有し、過酸化水素回収槽22に貯えられた水23に浸漬されている。また、酸素含有ガス供給手段としては、水供給手段を兼用するものである。図1および図5と同一符号は、同一または相当部分を示すので、説明を省略する。
必要とする過酸化水素の生成量に応じて過酸化水素回収槽22の水量、水温、酸素含有ガス流量及び陰極電極4と水面までの距離dを決める。
図6に示す実施の形態3の過酸化水素製造装置を用いた実施例2による過酸化水素生成特性の測定結果を示す。
実施例1と同様、電解セル1を構成する材料としては、陽極電極3の基材は、チタン製エキスパンドメタル(1インチ平方あたりのメッシュ数80、線径0.1mm)、酸化触媒は酸化イリジウム(担持密度0.6mg/cm2、無電解めっきで形成)を用いた。陰極電極4は、炭素繊維(繊維径10μm、空隙率70%)を基材としてその上に、炭素粉末と高分子電解質(パーフルオロスルホン酸)粉末を分散した溶液を重量比で1:3の割合で混合し、50〜400μm厚で塗布した後、50℃、真空下で乾燥して還元触媒層4bを形成した。高分子電解質膜2はパーフルオロスルホン酸である。
生成条件としては、印加電圧が2.0〜2.2V、温度が25℃、導入する酸素ガス流量が10〜50cc/min、陽極電極3と陰極電極4の面積が19cm2、陽極電極3には空気中から冷却によって水分を回収する状況を想定して、常温のイオン交換水を電解槽7中に50cc入れた。また、過酸化水素回収槽22に100ccの常温のイオン交換水を入れた。陰極電極4で発生した過酸化水素は過酸化水素回収槽22内に徐々に蓄積される。
図7に実施例2での過酸化水素の生成速度(単位時間あたりの発生量)を測定した結果を実線で示す。ギャップ長dが0の場合の発生速度を1として、その相対値を示している。ギャップ長dが0〜20mmにおいて特異的に生成速度が速い領域があり、最大で10になることがわかった。また、ギャップ長dが20mm以上となると急激に発生速度が減少し、0.15程度に漸近した。なお、酸素含有ガスの供給を止めると過酸化水素の生成速度は、d=10mmで0.1、d=30mmで0となる。
上述の手法を用いて、酸素と水の重量比について評価した結果を説明する。ギャップ長d<0の場合には陰極電極4の全面が水で覆われるが、酸素含有ガスを内包した水滴32が陰極電極4の表面に衝突するので、酸素/水の重量比率は1/80,000であり、ある程度の過酸化水素発生量は得られる。ギャップ長dが0〜20mmの範囲において、ギャップ長dに対する酸素と水の重量比率を測定すると、d=0〜20mmの範囲では酸素/水の重量比率は100/1〜1/5,000の範囲にあることがわかった。陰極電極4における酸素と水素イオンの接触確率が高まった結果、過酸化水素生成速度が急激に向上したと考えられる。一方、ギャップ長d>20mmでは酸素/水の重量比率は500/1〜100/1となり、酸素のみが供給されて水がほとんど届かないため、d>20mmのイオン伝導膜の水素イオン伝導性が著しく低下する。その結果、過酸化水素の生成速度は激減する。必要とする過酸化水素の生成量に応じて過酸化水素回収槽22の水量、水温、酸素含有ガス流量及びギャップ長dを決めればよい。
実施の形態3の過酸化水素製造装置を用いて、水23に添加剤を混合した実施例3による過酸化水素の生成速度の測定結果について述べる。
過酸化水素生成条件としては、印加電圧が2.0〜2.2V、温度が25℃、陽極電極3と陰極電極4の面積が19cm2である。電解セル1を構成する材料は、実施例1と同じであるので説明を省略する。添加剤として酢酸を100mg/L添加した場合(A)と添加剤を添加しない実施例2の場合(B)における過酸化水素の生成速度を比較した結果を図8に示す。過酸化水素の生成速度のギャップ長dに対する依存性は実施例2と同様の傾向を示すが、過酸化水素の生成速度は2〜3倍に増大した。これは、添加剤により酸素含有ガスを内包した水滴同士の融合が抑制された結果、より細かい水滴を高密度に形成できたためと考えられる。
添加剤により陰極電極4に接触する水滴32をより細かく、高密度にすると、陰極電極4に十分な量の酸素を供給拡散させるとともに、前記イオン伝導膜の全面においてより均一に水素イオン伝導性を得ることが可能になる。その結果、陰極電極4における酸素と水素イオンの接触確率が高まり、過酸化水素の生成効率が上がるといった従来にはない顕著な効果を得ることができる。
図9は、本発明の実施の形態4における過酸化水素製造装置を示す概略断面図である。
図9に示すように、実施の形態4は実施の形態3において、電解槽7を傾斜させ電解セル1を過酸化水素回収槽22の水23の水面に対して、角度θで設置したものである。ガス供給管18の孔19は陰極電極4の水面に近い側に形成されている。図1および図6と同一符号は、同一または相当部分を示すので、説明を省略する。
傾斜させた陰極電極4の水面に近い側のみから酸素含有ガスを含む水滴を供給することで、陰極電極4に到達した水滴を一定方向に流すことができる。その結果、水滴が陰極電極4の表面で滞留しないため、水滴が融合し大きな液滴となることを防止することができる。
過酸化水素を生成する電解セル1の動作については、実施の形態1から3と同じであるので説明を省略する。
実施の形態4の過酸化水素製造装置を用いて、電解セル1を過酸化水素回収槽22の水23の水面に対して傾斜させた影響について述べる。
過酸化水素の生成条件としては、印加電圧が2.0〜2.2V、温度が25℃、陽極電極3と陰極電極4の面積が19cm2である。電解セル1を構成する材料は、実施例1と同じであるので説明を省略する。
陰極電極4の水面に最も近い箇所(点Aとする)と最も遠い場所(点Bとする)として、点Aの水面からの距離をL1[mm]とし、陰極電極4の傾斜方向の長さをL2[mm]と定義する。L2=40[mm]、L1=2[mm]の条件において、角度θ=0度の場合の過酸化水素の生成速度を1とすると、θ=2度では2.0、θ=5度では1.5、θ=10度では0.7となった。また、θ=20度では0.5、θ=30度では0.3となった。
したがって、電解セル1の水面に対する傾斜角度をθ[度]とすると、θの範囲は0.1〜20度程度が望ましい。過酸化水素の生成量を更に向上するためには、陰極電極4の水面に最も近い箇所(点Aとする)と最も遠い場所(点Bとする)について、水面からの距離を0〜20mmの範囲内に設置することが望ましい。例えば、点Aの水面からの距離をL1[mm]とし、陰極電極4の傾斜方向の長さをL2[mm]とすると、角度θは、以下の式(5)のように決定される。
L1<L2×tanθ+L1<20 (5)
図10は、本発明の実施の形態5における過酸化水素製造装置を示す概略断面図である。図11は、実施の形態5の過酸化水素製造装置のヘッダ部の構成を示す図である。図11において、(a)はヘッダ部の上面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図、(d)は(a)のC−C断面図、(e)はヘッダ部側面図、(f)は(e)のD−D断面図、(g)は(b)のE−E断面図である。
実施の形態5の過酸化水素製造装置を用いて、実施例5によるヘッダ33を用いて余分な気泡を吸引し、除去する効果について述べる。
過酸化水素の生成条件としては、印加電圧が2.0〜2.2V、温度が25℃、陽極電極3と陰極電極4の面積が19cm2である。この実施例5では、酸素含有ガスとして100%の濃度の酸素ガスを用い、その流量は50cc/minに設定した。また、水面とヘッダとの距離hは、1mmと設定した。電解セル1を構成する材料は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
ポンプ36を作動させない場合の最大の過酸化水素の生成速度を1とすると、ポンプ36のガス吸引流量が10cc/minでの生成速度が1.2、20cc/minでは1.5、50cc/minでは2.0、75cc/minでは1.5、100cc/minでは1.0であった。このことから、余分な気泡を吸引し、除去することにより過酸化水素の生成効率を向上させることができるが明らかになった。
酸素ガスの流量が50cc/min以外の場合にも詳細に検討した結果、酸素含有ガス供給装置の供給ガス流量をQ1とポンプ36の吸引流量をQ2との関係は、以下の式(6)
0.1×Q1<Q2<2×Q1 (6)
を満たせばよい。
ここで、水面とヘッダとの距離hが10mm〜0.1mmであれば、酸素/水の重量比率を100/1〜1/1,000の範囲に設定することができる。ただし、酸素の濃度が100%ではない酸素含有ガスを用いる場合は、酸素量に換算して考えればよい。
図12は、本発明の実施の形態6における過酸化水素製造装置を示す概略断面図である。
図12に示すように、電解セル1は過酸化水素回収槽22の上に設置され、過酸化水素回収槽22の水23の水面と陰極電極4とは間隔が空けられている。酸素含有ガス供給手段としては、酸素含有ガス供給装置17と酸素含有ガス供給装置に接続されたガス供給管18で構成され、ガス供給管18により水23の水面に酸素含有ガスを放出させ、陰極電極4に供給するものである。水供給手段としては、過酸化水素回収槽22に設置された搖動体42により構成されるもので、搖動体42を左右に移動させることにより、水を陰極電極4に供給するものである。図1と同一符号は、同一または相当部分を示すので、説明を省略する。
揺動手段としては、上述のように水中に板状の搖動体を垂直に設置して、その搖動体を左右に移動させるもの、水面に板状の搖動体を平行に設置してその搖動体で水面を叩くもの、超音波素子を用いて水面を振動させるものなどが考えられる。揺動手段で水を陰極電極4に供給するとともに酸素ガス含有ガス供給装置17から酸素含有ガスを陰極電極4に供給することにより、必要な水と酸素を陰極電極4に供給し、過酸化水素を生成させることができる。
実施の形態6の過酸化水素製造装置を用いて、実施例6によるいくつかの搖動手段を用いた過酸化水素の生成特性について述べる。
過酸化水素の生成条件としては、印加電圧が2.0〜2.2V、温度が25℃、陽極電極3と陰極電極4の面積が19cm2である。電解セル1を構成する材料は、実施例1と同じであるので説明を省略する。
陰極電極4と水面までの距離を5mmに設定して、揺動手段を停止した状態での最大の過酸化水素の生成速度を1とすると、水中に垂直に設置した板状の揺動体42を左右に0.1〜10Hz程度の周期で移動させた場合には、過酸化水素の生成速度は、5〜50の範囲で増加した。水面に平行に設置した板状の搖動体で0.1〜10Hzの周期で叩いた場合には、過酸化水素の生成速度は、5〜40の範囲で増加した。また、100〜10MHzの範囲の超音波素子を用いて水面を振動させた場合には、過酸化水素の生成速度は、2〜100の範囲で増加した。さらに、陰極電極4から水面までの距離を1〜50mmの範囲で変化させても、揺動体42による過酸化水素の生成速度を増大させる効果(停止の場合と比較して)があることが確認された。
これにより、揺動手段を用いると、水面から陰極電極4までの距離が5mmの場合においては、酸素/水の重量比率を100/1〜1/3,000の範囲に設定できることが確認された。
図13に示すように、電解セル1は過酸化水素回収槽22の上に設置され、過酸化水素回収槽22の水23の水面と陰極電極4とは間隔が空けられている。酸素含有ガス供給手段としては、酸素含有ガス供給装置17と酸素含有ガス供給装置に接続されたガス供給管18で構成され、ガス供給管18により水23の水面に酸素含有ガスを放出させ、陰極電極4に供給するものである。水供給手段としては、電解槽7に設置された搖動手段である回転モータ44により構成されるもので、電解槽7を回転させることにより、陰極電極4に水を供給するものである。図1と同一符号は、同一または相当部分を示すので、説明を省略する。
図14は、本発明の実施の形態4における過酸化水素製造装置を冷暖房機能を有する空調機に設置した例を示す概略断面図である。空気中の水蒸気は熱交換器45の表面において冷却され、熱交換器45の表面で凝縮され凝縮水46となる(凝縮水のことを以下「ドレン水」と呼ぶ)。熱交換器45の表面は親水化処理されているため、ある一定以上の凝縮水46が付着すると自然落下を始めて、ドレン水47として、ドレンパン48に回収される。次に、ドレン水47は水供給手段49によって一定速度で過酸化水素製造装置50の陰極電極に供給され、さらに、陰極電極には送風ファン(図示せず)によって送出された空気が供給される。生成された過酸化水素52は過酸化水素供給手段51によって熱交換器45の表面に散布され、熱交換器45の表面に発生、付着するカビや細菌などを除去する。
図15は、本発明の実施の形態8における過酸化水素製造装置を設置した空調機による熱交換器に付着させた菌体に対する除菌効果を実施例7の測定結果で示す。以下のような設定条件で試験を実施した。過酸化水素の生成条件としては、実施の形態2において、電流値0.5〜5A、温度25℃、酸素含有ガスとして供給する空気流量が20〜100cc/min、陽極電極3と陰極電極4の面積が19cm2、陰極電極4と水面までのギャップ長dは5mmである。また、電解セル1を構成する材料は実施例1と同様のものを用いた。
図16は、本発明の実施の形態9における過酸化水素製造装置を業務用に使用される空気清浄機に設置した例を示す概略断面図である。図16に示すように、空気を循環させる送風機53、温湿度調整を行なう冷却コイル54及び加熱コイル55及び過酸化水素を空気と接触させる水膜を形成する除菌エレメント56が装置内部に設置されて空気清浄機62が構成されている。
また、除菌エレメント56に過酸化水素を供給するための手段として過酸化水素製造装置50が設けられ、生成された過酸化水素がポンプ57、流量調整弁58を介して、散水ヘッダ59より除菌エレメント56に供給されるように構成されている。そして、除菌エレメント56設置側(図16中、左側)から、除菌対象となる空気60が空気清浄機62内に吸引されるように構成されている。また、水膜を形成する除菌エレメント56の中央部にはパッドが配設され、その上面には分散マット(図示せず)が取付けられている。そして、この分散マットに流量調整弁58に接続された散水ヘッダ59を介して過酸化水素が供給されるように構成されている。さらに、パッドの下部にはドレンパン48が配設され、パッドを流下した過酸化水素を含むドレン水47を装置外部に排出できるように構成されている。
図17は、本発明の実施の形態10における過酸化水素製造装置を加湿器に設置した例を示す概略断面図である。図17に示すように加湿器は、空気を加湿するための水を貯めておく貯水タンク63、加湿素子64から水を回収するドレンパン48、ドレンパン48から貯水タンク63にドレン水47を送る配管67、貯水タンク63と加湿素子64を結ぶ配管68などから構成されている。
2 高分子電解質膜
3 陽極電極
4 陰極電極
7 電解槽
13 超音波発生器
15 水供給管
17 酸素含有ガス供給装置
18、34 ガス供給管
22 過酸化水素回収槽
24 電源
33 ヘッダ
35 ガス吸引管
36 ポンプ
42 搖動体
44 回転モータ
45 熱交換器
50 過酸化水素製造装置
56 除菌エレメント
64 加湿素子
Claims (9)
- 水素イオン伝導性を有する電解質膜と前記電解質膜の第1の面に接して配設された陽極電極と前記電解質膜の第2の面に接して配設された陰極電極とにより構成される電解セルと、
前記陽極電極面が槽の内壁の一部を構成し、水を貯える電解槽と、
前記陽極電極と前記陰極電極とに直流電圧を印加する電源と、
超音波発生器により霧状の水滴を発生させて、前記陰極電極の前記電解質膜側の面に対向する表面とガス吹出し孔との間に水を供給する水供給手段と、
前記陰極電極の前記表面に前記ガス吹出し孔から酸素含有ガスを吹き付けて、前記陰極電極の前記表面と前記ガス吹出し孔との間に供給された前記霧状の水滴を前記陰極電極の前記表面に液滴として付着させる酸素含有ガス供給手段と、
前記電解セルにて生成された過酸化水素を回収する過酸化水素回収槽と、
を備えたことを特徴とする過酸化水素製造装置。 - 陰極電極は撥水化処理された炭素繊維基材と、前記炭素繊維基材の電解質膜側の面に形成された還元触媒層と、
を含む請求項1に記載の過酸化水素製造装置。 - 陽極電極と陰極電極との間に断続的に直流電圧を印加する、請求項1または2に記載の過酸化水素製造装置。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の過酸化水素製造装置を備え、前記過酸化水素製造装置により製造される過酸化水素を用いて熱交換器を洗浄する機能を有する空調機。
- ドレン水を過酸化水素製造装置の陰極電極に供給する手段を備える請求項4に記載の空調機。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の過酸化水素製造装置を備え、前記過酸化水素製造装置製造により製造される過酸化水素を用いて空気を除菌する機能を有する空気清浄機。
- 生成された過酸化水素を、除菌エレメントの上方に設置された散水ヘッダから前記除菌エレメントに供給する、請求項6に記載の空気清浄機。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の過酸化水素製造装置を備え、前記過酸化水素製造装置により製造される過酸化水素を用いて加湿素子を洗浄する機能を有する加湿器。
- ドレン水を過酸化水素製造装置の陰極電極に供給する手段を備える請求項8に記載の加湿器。
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JP2007123172A JP5130781B2 (ja) | 2007-05-08 | 2007-05-08 | 過酸化水素製造装置並びにそれを用いた空調機、空気清浄機及び加湿器 |
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