JP5129636B2 - 連続鋳造用ノズル - Google Patents

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Description

本発明は、溶融金属の連続鋳造用ノズル、とくに、溶融金属が通過する内孔を軸方向に有する管状の耐火物構造体からなり、この管状の耐火物構造体の一部又は全部の領域が、半径方向外側に向かって順に、内孔に面する内孔側層及び前記内孔側層の半径方向外側に隣接する外周側層とを備える連続鋳造用ノズルに関する。
なお、本発明において「管状」とは、内孔を軸方向に有するすべての形状を指し、その軸方向と直交する方向の断面形状は問わないものとする。すなわち、軸方向と直交する方向の断面形状は円形に限らず、楕円形状、矩形、多角形等であってもよい。
連続鋳造用ノズルの内孔壁は強い溶鋼流に曝されるので、摩耗や溶損による損耗が発生しやすく、とくに溶鋼流に偏流を伴う場合はその損耗が顕著となる。また、近年は、鋼の高級化等に伴うアルミナ等の溶鋼中の非金属介在物の増加等もあって、連続鋳造用ノズルの内孔壁におけるアルミナを中心とする介在物の付着ないしは内孔の閉塞等も、連続鋳造用ノズルの寿命を決定する大きな要素の一つとなっている。
このような状況の中、内孔壁の耐食性や耐摩耗性の向上、内孔壁への非金属介在物等の付着ないし内孔の閉塞の低減等を目的として、連続鋳造用ノズルの内孔側にその外周側の耐火物(本体部としてアルミナ−黒鉛質が一般的である)とは異なる、例えば高Al質、CaO質、MgO質等の耐火物を配置した、いわゆる多層構造の連続鋳造用ノズルが使用されるようになってきた。
ところが、内孔側にその外周側とは異なる材質の耐火物を配置すると、前述のような内孔側に配置される耐火物は、その外周側の耐火物よりも熱膨張率が大きいことから、とくに溶鋼通過初期に、その熱膨張差によって連続鋳造用ノズルに破壊が生じやすい。
この連続鋳造用ノズルの破壊に対しては、従来から種々の対策が提案されている。
例えば、特許文献1には、内孔側の耐火物自体に応力緩和若しくは吸収機能を付与、又は、内孔側の耐火物と外周側の耐火物との間に応力緩和若しくは吸収機能を有する中間層を配置することで、熱膨張差による連続鋳造用ノズルの破壊を防止することが示されている。
また、特許文献2には、黒鉛を含有しない耐火物の成形体を複数に分割するとともに、これらの耐火物の成形体間に目地部を設けてロングノズルの内面の少なくとも一部に一体配設した連続鋳造用ロングノズルが示されている。
このような多層構造の連続鋳造用ノズルにおける破壊の対策は、溶鋼通過初期に生じる、内孔側層の熱膨張に起因する外周側層への圧縮応力の緩和を主としている。これによって、1回の溶鋼温度での使用における、溶鋼通過初期の破壊を抑制する効果は得られる。
しかし、このような多層構造の連続鋳造用ノズル、とくに内孔側の層を分割した場合には、層間への溶鋼の侵入や層間の剥離、脱落等、ひいては連続鋳造用ノズル全体の破壊を惹き起こしやすいという問題がある。
とくに近年はコスト低減等の要請から、連続鋳造用ノズルの再使用、すなわち一度使用した連続鋳造用ノズルを室温(又は室温近く)まで冷却した後に再び操業に供することが多くなってきており、このような再使用の場合には、層に多数の損傷が発生したり、層間や分割部分の空間が拡大する等により、連続鋳造用ノズルの部分的又は全体的な破壊が進行しやすい。このような状態の連続鋳造用ノズルを操業に供した場合には、その亀裂や空間に溶鋼が侵入して凝固し、その後膨脹することで連続鋳造用ノズルが破壊する危険性が高くなる。
そこで、このような問題を回避するため、層間に組織を分断する境界や応力緩和機能を有する部分を備えない、一体的構造(各層ごとのはい土を境目なく充填して同時に加圧成形することで得るので「同時成形」ともいう。以下単に「一体構造」という。)の連続鋳造用ノズルが指向されている。
しかし、このような一体構造で多層構造の連続鋳造用ノズルには、溶鋼注湯の操業に供した後の冷却過程で、内孔側層に亀裂や剥離(亀裂や剥離を以下単に「破壊等」という。)を生じ、さらにはその破壊等が外周側層にも至って、連続鋳造用ノズルを再使用することができなくなるという問題がある。
すなわち、一体構造で多層構造の連続鋳造用ノズルでは、健全な状態で一定時間の連続鋳造を終えても、一体構造であるが故に、室温までの冷却過程において内孔側層に不特定方向の亀裂が発生しやすく、さらにはその亀裂を起点として外周側層にも亀裂が生じ、また内孔側層の剥離も散見される。このような亀裂や剥離の内在する連続鋳造用ノズルを再び連続鋳造に供すると、予熱や連続鋳造中に亀裂や剥離が拡大又は進行したり、亀裂や剥離によって生じた空間部分に溶鋼等が侵入して凝固し、その侵入した鋼が再度熱膨脹する等の悪循環を招いてさらに連続鋳造用ノズルの破壊等を進行させる。
特開2006−130555号公報 実開平05−093646号公報
本発明が解決しようとする課題は、一体構造で多層構造を有する管状の連続鋳造用ノズルにおいて、一度溶鋼温度までの昇温を伴う使用(溶鋼鋳造)をした連続鋳造用ノズルを室温又は室温近くまで冷却(以下単に「使用及び冷却」という。)した後に再使用する(以下単に「再使用」という。)場合の内孔側層、及びそれに起因する連続鋳造用ノズル全体の破壊等を防止することにある。
本発明者が鋭意研究した結果、一体構造で多層構造を有する管状の連続鋳造用ノズルにおいて、使用及び冷却した後に内孔側層又はそれを起点にその外周側にも発生する亀裂や剥離は、半径方向に隣接する層間の耐火物の残存収縮率の差に起因することがわかった。そして、この残存収縮率の差を0.25%以下とすることで、前述の亀裂や剥離の発生を低減できるとの知見を得るに至った。
すなわち、本発明は、溶融金属が通過する内孔を軸方向に有する管状の耐火物構造体からなり、この管状の耐火物構造体の一部又は全部の領域が、半径方向外側に向かって順に、内孔に面する内孔側層及び前記内孔側層の半径方向外側に隣接する外周側層とを備え、かつ、前記内孔側層用の耐火物の1500℃熱間の寸法を基準として室温まで冷却した際の寸法変化率(以下「残存収縮率」という。)が前記外周側層用の耐火物の残存収縮率よりも大きい連続鋳造用ノズルにおいて、前記内孔側層用の耐火物の残存収縮率から前記外周側層用の耐火物の残存収縮率を引いた値(差)が、0.25%以下であることを特徴とするものである。
本発明では、耐火物構造体を3層以上の複数層から構成することができ、この場合、半径方向に隣接する層の、相対的に内孔側にある層用の耐火物の残存収縮率からそれに接する外周側の層用の耐火物の残存収縮率を引いた値(差)が、0.25%以下となるようにする。
ここで、本発明において「耐火物の残存収縮率」とは、耐火物の1500℃熱間における寸法を基準点(ゼロ)として、その耐火物を室温まで冷却した際の耐火物の線変化率(%)をいう。この熱間及び室温における耐火物の寸法の測定は、JIS R 2207−1又はこれに準じた方法(但し、非酸化雰囲気内)により行うことができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず本発明者は、5MPaの加重下、非酸化雰囲気中1000℃及び1500℃で、連続鋳造用ノズル用の耐火物各種につき約1時間後のクリープ特性を調査した結果、1000℃では約0.1〜約0.3%、1500℃では約0.4〜約2.0%変形することを知見した。
このように、耐火物が破壊しない程度の応力が存在する熱間の状態で長時間保持した場合、時間の経過と共に耐火物、とくに外周側層の耐火物のクリープによって、外周側層と内孔側層は一定の変形後に内部の応力が軽減ないしは消失して均衡した状態の形状となる。
すなわち、操業中、1500℃を超える溶鋼に長時間曝されている間に、半径方向に隣接する相互の耐火物層は、相対的に応力を緩和して平衡な状態となっているとみなすことができる。
ところが、操業中には熱応力が内在しない(または破壊に関して無視できる程度に小さい)状態になっていても、多層構造の各層の耐火物は、各層を構成する耐火物の材質が異なるので冷却過程で異なる膨脹・収縮挙動を示す。冷却過程では多くの材質は収縮挙動を示し、室温での寸法すなわち残存の変化寸法は収縮となる。なお、一部の未安定ジルコニア含有の耐火物等では膨脹を伴う挙動を示す材質もあるが、このような材質の膨脹挙動は1000℃前後の数百℃の範囲で生じ、室温においては収縮となっているので、このような特殊な挙動の材質も室温における寸法変化率を考慮すればよい。
ここで、多層構造の管状の連続鋳造用ノズルのなかでも、耐用性を高める目的で内孔側に高耐食性、高い付着防止性等の高機能の耐火物からなる層を配置しているものが、冷却時に内孔側層の亀裂や破壊を生じやすい。その理由は、このような高機能の耐火物の多くは、相対的に、その外周側層の耐火物よりも熱膨張率が大きく、また熱間での寸法を基準とする室温までの冷却に伴う収縮代も大きいことにある。
このように、内孔側層の熱膨脹及び収縮代が外周側層よりも大きい状態で隣接する各層内には、冷却過程ないし冷却後に、内孔側層には引張り、外周側層には圧縮の応力が発生する。しかも、層間が連続の一体構造であるので、相互に応力を緩和することはなく、一定の応力を超えると何れかの層が破壊する。耐火物は引張り強度が圧縮強度に比較して圧倒的に小さいので、内孔側層に破壊等が生じやすくなる。
以上をまとめると、各層の耐火物は、前述のとおり操業中の1500℃の熱間でほぼ平衡な状態になっており、さらには密着した状態であるので、冷却後の収縮の大きさの違いに応じた応力が、層相互の間に生じる。そして収縮が相対的に大きい内孔側層内部の円周方向と軸方向に引張り応力を生じ、その内孔側層に亀裂や剥離を生じる。
以上のことから、本発明は、前述の残存収縮率、すなわち耐火物の1500℃熱間における寸法を基準点(ゼロ)として、その耐火物を室温まで冷却した際の耐火物の線変化率(%)を課題解決のための指標として採用し、その具体的な条件として、半径方向に隣接する、内孔側層の耐火物と外周側層の耐火物との残存収縮率の差を0.25%以下にすることとしたものである。
また、前記の耐火物構造体が3層以上の複数層からなっている場合には、半径方向に隣接する層相互の耐火物のそれぞれの残存収縮率の差を、0.25%以下にする。例えば、内孔側から順に第1層から第3層の3層構造を有する場合には、第1層と第2層間の残存収縮率の差(第1層−第2層)を0.25%以下、第2層と第3層間の残存収縮率の差(第2層−第3層)を0.25%以下にする。
この残存収縮率の差が0.25%を超えると、内孔側層(第1層)に亀裂が発生する。
なお、この0.25%以下という条件は、室温における単軸圧縮法による静弾性率(以下単に「弾性率」という。)が2.0(GPa)以上6.0(GPa)以下程度の連続鋳造用ノズルに使用される耐火物を前提にしている。
本発明によれば、内孔側に高耐食性、高い付着防止性等の高機能の層を配置して耐用性を高めた、多層構造を有する管状の連続鋳造用ノズルにおいて、連続鋳造の操業に供した後に室温近くまで冷却されて再使用する場合の、内孔側層、及び連続鋳造用ノズル全体の破壊等を防止することができる。
これにより、連続鋳造用ノズルの安定性等を大幅に向上させることができ、また多層化による連続鋳造用ノズルの高機能化、高耐用化等の実現を促進することができる。
図1は、本発明の連続鋳造用ノズルの一例として、取鍋からタンディッシュに溶鋼を注入する際に使用するロングノズルを示す軸方向断面図である。
図1において、4は内孔側層3と外周側層1からなる2層構造の領域、5は内孔側層3と外周側層1とは別材質の外周側層2からなる2層構造の領域を示す。
各層の耐火物の材質を例示すると、外周側層1の耐火物は、最も耐熱衝撃性にすぐれた本体部のアルミナ−黒鉛質の材質、外周側層2の耐火物は、タンディッシュの溶鋼表面に存在するスラグ等に対する耐食性を強化した、例えば、ジルコニアを含有するジルコニア−黒鉛質の材質、内孔側層3の耐火物は、内孔を通過する溶鋼による衝撃や摩耗に対して耐摩耗性等を強化した、例えば、マグネシアを含有するアルミナ質(含有する炭素が5%質量以下程度の低炭素等)等の材質である。
そして、各層の耐火物の残存収縮率は、本発明にしたがって、(内孔側層3−外周側層1)≦0.25%、(内孔側層3−外周側層2)≦0.25%とすれば、内孔側層3に亀裂等の破壊を生じることはない。
図2は、図1の5の領域において、その最外周部に、外周側層2の耐火物よりもさらに耐食性に優れる、例えばジルコニア−黒鉛質等の材質からなる最外周層6を配した例の軸方向断面図である。
このように耐火物構造体が半径方向に3層からなる場合、各層の残存収縮率は、(内孔側層3−外周側層2)≦0.25%、(外周側層2−最外周層6)≦0.25%とすれば、外周側層2及び内孔側層3に亀裂等の破壊を生じることはない。
このような本発明の連続鋳造用ノズルの構造を得るには、各層ごとの耐火物につき、目標とする耐食性、耐摩耗性、耐熱衝撃性等に応じて構成する成分等を選択し、鉱物組成、粒度構成等の制御、成形時の圧力を変化させる等による組織の密度等を制御する、等により、隣接する層相互間の残存収縮率の差が0.25%以下になるように調製する。
例えば、層を構成する耐火物の原料配合において、黒鉛と熱膨脹率及び残存収縮率の大きいコランダムやペリクレース等からなる耐火骨材との割合、又は熱膨脹率及び残存収縮率の異なる耐火骨材相互の割合を調製すること等により、各層の残存収縮率のレベルを設定することができる。
なお、2層構造では層相互間の残存収縮率の差を0.25%以下にできないような場合(例えば、外周側の層の耐食性をより大きくする場合等)は、3層以上の多層構造にすることで、隣接する層間ごとに相互の残存収縮率の差を0.25%以下にし、内孔側層から外周側に向けて順次段階的に配置することにより、最も内孔側の層と最も外周側の層との間の相対的な残存収縮率の差が0.25%を超えても、各層及び連続鋳造用ノズルは破壊しない。
以下、本発明の作用効果を確認するために行った実験例及び実操業例を説明する。
[実験例A]
実験例Aは、内孔側層と外周側層の残存収縮率の差と耐火物に発生する応力の最大値(以下「発生応力最大値」という。)の関係を有限要素法(Finite Element Method、以下「FEM」という。)により解析した結果、及び、各残存収縮率の差に対応する耐火物の実試料による加熱及び冷却試験の結果を示す。
すなわち、この実験例Aは、FEM解析により残存収縮率の差と発生応力最大値の関係を求め、それを耐火物の実試料による加熱及び冷却試験での亀裂・損傷の発生状況と対比して、残存収縮率の差及び発生応力最大値と耐火物多層構造体の破壊の関係を検証することを目的としたものである。
FEM解析は、MSC.Software Corporation製のFEMソフトウェアMSC.Marcにより行った。
このFEM解析では、1500℃に熱せられた連続鋳造用ノズルが常温に冷却された場合に発生する応力を見積もるために、連続鋳造用ノズルの直胴部の一部、高さ2.5mmの部分(図3(a)のA部分)を図3(b)に示すように軸対称要素でモデル化し、モデルの上端の軸方向変位を0に拘束し、軸方向変位が一定値になるようにモデル下端を多点拘束した条件で、初期温度1500℃として温度を25℃にした場合の応力を計算した。ここで、モデル下端の多点拘束の処理は、ノズルの全長は変化できるが、端部の効果は発生しないような条件を付与するものである。
さらに、FEM解析のそれぞれの残存収縮率の差に合致する実耐火物試料による加熱及び冷却試験を行った。
この試験では、内孔径100mm、内孔側層の厚み10mm、外周側層の厚み30mm、高さ320mm、内孔側層の耐火物の弾性率6.0GPa、外周側層の耐火物の弾性率5.0GPaの条件の下、内孔側層の耐火物の残存収縮率と外周側層の耐火物の残存収縮率をそれぞれ耐火物内の黒鉛とアルミナ及びマグネシアとの含有割合、並びに結合剤の量を変化させて調製した。
なお、試料の作製は、一般的に用いられる連続鋳造用ノズルの製造方法(CIP成形、還元焼成、加工等を含む)により行った。
これらの試料を窒素ガス雰囲気にて1500℃まで昇温した後室温まで冷却し、試料の外観を目視で観察して亀裂や損傷の有無を調査した。
表1にこの実耐火物試料による試験の結果と前述のFEM解析結果を示す。
実耐火物試料による試験の結果、耐火物の残存収縮率の差が0.25%以下の実施例1〜3では亀裂や損傷は生じなかったが、残存収縮率の差が0.25%を超える比較例1〜3では内孔側層に亀裂が生じた。
この結果をFEM解析による発生応力最大値と対比してみると、残存収縮率の差が0.25%では発生応力最大値は14.5MPaであった。
なお、このFEM解析による発生応力最大値は、条件、仮定により絶対値は異なるので、相対的性質の値であって、絶対値として基準とすることには馴染まないが、本実験においては、同条件、同仮定の解析の下、実耐火物の実験との対比を行っているので、基準として用いることができる。
これらの結果から、連続鋳造用ノズルの内孔側層と外周側層の残存収縮率の差を0.25%以下、本実験例において適用した条件でのFEM解析による発生応力最大値を14.5MPa以下にすれば破壊しないことがわかった。
[実験例B]
実験例Bは、耐火物の種々の物性と発生応力最大値との関係をFEMの解析により調査した結果である。
FEMの解析の基本的な条件は実験例Aと同様である。
ここでは、管状の耐火物構造体の外径、内孔側層及び外周側層のそれぞれの厚み、内孔側層及び外周側層のそれぞれの弾性率、残存収縮率の差の各要素につき解析した。
具体的には、外径は108〜252(mm)、内孔側層の厚みは6〜14(mm)、外周側層の厚みは18〜42(mm)、内孔側層の弾性率は3.6〜6.0(GPa)、外周側層の弾性率は3.0〜5.0(GPa)、残存収縮率の差は−0.15〜0.65(%)(残存収縮率の差は内孔側層の残存収縮率から外周側層の残存収縮率を引いた値。このときの外周側層の残存収縮率は0.75(%)に固定)の範囲とした。
なお、前記のそれぞれの要素の値を変化させる解析において、変化させる要素以外の要素については次の値を用いた。
残存収縮率の差はその最大許容値である0.25(%)(内孔側層1.00%、外周側層0.75%)、内孔側層の弾性率は内孔側層に適用する材質の最大値と考えられる最大値である6.0(GPa)、外周側層の弾性率は外周側層に適用する材質の最大値と考えられる5.0(GPa)、外径は180(mm)、内孔側層の厚みは10(mm)、外周側層の厚みは30(mm)。
図4に解析結果を示す。
図4に示すとおり、内孔側層と外周側層のそれぞれの弾性率と残存収縮率の差が発生応力最大値に影響を及ぼすこと、外径、内孔側層の厚み、外周側層の厚みは殆ど影響を及ぼさないことがわかる。
このうち、内孔側層の弾性率、外周側層の弾性率については、これが変化しても発生応力最大値はいずれも14.5MPa未満に止まっており、内孔側層ないしは連続鋳造用ノズル全体の損傷を生じる危険は殆ど無いと判断できる。
これに対し、残存収縮率の差については、その差の大きさによっては発生応力最大値が14.5MPaを超える場合があり、内孔側層ないしは連続鋳造用ノズル全体の損傷を生じる危険性が高いことがわかる。
実験例A及び実験例Bの結果をまとめると、内孔側層ないしは連続鋳造用ノズル全体の損傷を防止するためには、残存収縮率の差を0.25%以下にする必要があり、外径、厚み、弾性率等の要因は考慮する必要がないことがわかる。
なお、耐火物の強度(曲げ強度)は、本発明が対象としている残存収縮に伴う破壊現象に対しては大きく影響していないことを別途のFEM解析や実験により確認した。この理由は明確ではないが、次のようなことが考えられ、曲げ強度の大小と損傷とは直接的に相関を論ずることは困難であった。
(1)曲げ強度は微小体積の引張強度なので、大きい体積に引張応力が発生する場合には合わない。
(2)曲げ強度が小さい材質は組織の結合力が弱くクリープしやすい。すなわち、とくに熱間から徐々に冷却する過程での残存収縮に伴い発生する損傷のような、長い時間の中で微細に応力が変化し続ける現象においてはクリープの影響があるため、却って曲げ強度が小さい程クリープ量も大きくなる現象がある。
[実操業例]
本発明にしたがって連続鋳造の取鍋からタンディッシュへの溶鋼の注入に使用するロングノズルを作製し、従来技術のロングノズルと共に実操業に供し、本発明の効果を確認した。
実施例、比較例共に図1に示す同形状で、上部内孔径は約90mm、下部内孔径は約150mm、全長約1500mmである。
実施例は、内孔側層には残存収縮率0.95%、外周側層には残存収縮率0.74%の黒鉛含有の耐火物を配置したもので、内孔側層と外周側層の残存収縮率の差は0.21%である。
比較例は、内孔側層には残存収縮率0.95%、外周側層には残存収縮率0.44%の黒鉛含有の耐火物を配置したもので、内孔側層と外周側層の残存収縮率の差は0.51%である。
実施例及び比較例それぞれn=8にて、それぞれ約350分間の溶鋼注入に供した後大気中で室温に達するまで自然冷却し、内孔側層及び外周側層の状態を、外観の目視観察にて調査した。
この結果、いずれの実施例も外周側層はもちろん内孔側層も健全であった。また、実施例では、全数を再使用に供したが、破壊等を生じることなく良好に鋳造の操業を行うことができた。
これに対し、比較例の約70%には内孔側層に縦(軸)方向及び横(水平)方向の亀裂が、内孔側層表面を矩形状に分割するように全周に亘って観られた。また、比較例の一部には、外周側層の外表面にも横(水平)方向の亀裂が発生しているものも観られた。さらに縦方向の中央付近にも横方向の亀裂が観られた。
本発明の連続鋳造用ノズルの一例として、取鍋からタンディッシュに溶鋼を注入する際に使用するロングノズルを示す軸方向断面図である。 図1の5の領域を3層構造とした例を示す要部の軸方向断面図である。 FEM解析のモデルを示し、(a)はFEMのモデル化部分(A部分)の位置、(b)は(a)中のA部分のFEMモデルを示す。 耐火物の種々の物性と発生応力最大値との関係をFEM解析した結果を示す。
符号の説明
1、2 外周側層
3 内孔側層
4 外周側層1と内孔側層3との2層構造領域
5 外周側層2と内孔側層3との2層構造領域
6 最外周層

Claims (2)

  1. 溶融金属が通過する内孔を軸方向に有する管状の耐火物構造体からなり、この管状の耐火物構造体の一部又は全部の領域が、半径方向外側に向かって順に、内孔に面する内孔側層及び前記内孔側層の半径方向外側に隣接する外周側層とを備え、かつ、前記内孔側層用の耐火物の1500℃熱間の寸法を基準として室温まで冷却した際の寸法変化率(以下「残存収縮率」という。)が前記外周側層用の耐火物の残存収縮率よりも大きい連続鋳造用ノズルにおいて、
    前記内孔側層用の耐火物の残存収縮率から前記外周側層用の耐火物の残存収縮率を引いた値(差)が、0.25%以下であることを特徴とする連続鋳造用ノズル。
  2. 前記耐火物構造体が3層以上の複数層からなっていて、半径方向に隣接する層の、相対的に内孔側にある層用の耐火物の残存収縮率からそれに接する外周側の層用の耐火物の残存収縮率を引いた値(差)が、0.25%以下である請求項1に記載の連続鋳造用ノズル。
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