JP6638144B2 - 取鍋パッキンの取り付け方法 - Google Patents

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Description

本発明は、取鍋の底部に設けられたスライドバルブ(注入孔)に取り付けられる取鍋パッキンの使用方法に関する。
従来より、溶鋼を収容する取鍋の底部には、スライドして開閉することにより当該取鍋内の溶鋼を出湯するスライドバルブ(注入孔)が設けられている。
このスライドバルブは、取鍋の底部に固定され、溶鋼を外部へ案内する上ノズルと、取鍋の底部に設けられ、水平方向にスライドするスライドバルブプレートと、スライドバルブプレートの下部に設けられ、上ノズルから流出してきた溶鋼を外部(タンディッシュ)へ出湯する下ノズルとを有している。
取鍋内の溶鋼をタンディッシュへ出湯するに際しては、スライドバルブプレートを水平方向にスライドさせて、上ノズル、スライドバルブプレート、及び、下ノズルを連通状態にして、スライドバルブを開状態にすることにより、溶鋼を出湯することができる。
このようなスライドバルブに関する技術としては、例えば、特許文献1〜3に開示されているものがある。
特許文献1は、下ノズルを取鍋へ取り付ける方法であって、地金侵入の防止を目的としている。
詳しくは、パッキンを過不足なく確実に硬化させ、確実に地金差しを防止する技術であり、取鍋に設けられた下プレートに下ノズルを取り付ける取鍋への下ノズル取付方法において、下プレートと下ノズルとの間にフェノール樹脂含有のパッキンを介在させ、次に以下の条件を満たすように、パッキンを加熱する。加熱後のパッキンの表面温度を350℃以上、加熱時間を10分以内、加熱総熱量をパッキンの重量単位に換算した値を40MJ/kg以上。
特許文献2は、ノズル接合部の複合シール部材の技術であって、品質、生産性、歩留まり向上を目的としている。
詳しくは、安定的な連続鋳造操作を可能とし、品質や生産性・歩留向上、および低コスト化を図り安定性に伴う高品質の鋳造に寄与することを目的とした技術であり、アルミナ、ジルコニア、ジルコニア−アルミナなどのジルコニア質セラミックス、シリカ質セラミックス、アルミナ、マグネシア・スピネル質セラミックスなど耐食性で、軟化温度が1400℃以上の高い耐火材で構成され、外率で10〜20質量%の有機質ないしレジン質のバインダーなどを含有する成形体を内径40〜70mm、外径80〜150mm、厚さ2〜6mmの環状成形体に加圧成形し、シート状の環状成形体をそれぞれ製作する。
特許文献3は、耐火物性パッキングを挟持する耐火物構造体の技術であって、組み立て構成の容易化を目的としている。
詳しくは、予め目地材を装着した製品とし、作業現場でのモルタル混練作業の必要がなく、装着作業に熟練度が要求されず、ダボ部を設けることにより梱包、搬送時に目地材の損傷がなく、作業現場での管理項目が減り、安定した使用が可能であり、スライドバルブ装置の装着作業の機械化が可能である溶融金属流量制御装置を提供するものである。
すなわち、ボトムプレート、スライドプレート、シールプレート、シュートノズル及び浸漬ノズルの組立体からなる溶融金属流量制御装置において、ボトムプレート、シュートノズル、浸漬ノズルのいずれか1つ以上の上端面に、溶鋼流通孔を囲繞してリング状のダボ部を設け、該ダボ部内方の上端面にプレフォームモルタル及び又はシート状パッキンからなる目地材を予め装着した、溶融金属流量制御装置である。
特開2008−207195号公報 特開2003−25060号公報 特開昭55−109550号公報
ところで、下ノズル(チェンジノズル)は、溶鋼を出湯するスライドバルブの下プレートに取り付けられていて、取鍋内の溶鋼を安定的に出湯するために数チャージ使用すると、取鍋の整備時に交換されている。すなわち、下ノズルは、比較的頻繁に交換されるものである。
この下ノズルの取り付け方法は、一般的にねじ込み式となっていて、下ノズルはスライドバルブのプレートに対して、取鍋パッキンを介在させて、締め込むように取り付けられる。
取鍋パッキンは、下ノズルを交換する度に交換されるものであり、下ノズルを交換して取り付ける際には、スライドバルブの下プレートと下ノズルとの間に挿入され、その間で圧縮される。交換の際には、溶鋼が外部へ漏洩することを防ぐため、取鍋パッキンに対して、表面全体に所定の圧力が均等にかかっている必要がある。
しかしながら、下ノズルの交換は作業者が手作業で行うので、取鍋パッキンに対して、表面全体に所定の圧力を均等にかけにくい。すなわち、下ノズルを手作業で取り付ける際に、締込トルク管理などを厳格に行って、取鍋パッキンの表面全体に、所定の圧力が均等にかかるようにすることは難しい。そのため、不均等に圧縮された取鍋パッキンにおいては、スライドバルブの下プレートと下ノズルとの間で、波打つような偏り、剥離や千切れなどの不具合が生じる虞がある。
例えば、特許文献1は、取鍋に下ノズルを取り付ける際に適した技術であるが、下ノズルの取り付け時において、取鍋パッキンの温度や圧縮率を適切に行わないと、非常に低い可能性であるが、取鍋パッキンの剥離や千切れが生じてしまい、溶鋼差しを発生させてしまうことが考えられる。より良く取り付け作業を行うためには、種々の規定が必要であると考える。
特許文献2,3は、下ノズルの取り付ける際において、取鍋パッキンの温度や圧縮率が不適切であると、取鍋パッキンの剥離や千切れを引き起こす虞があると考えられる。また、同文献は、取り付け時に取鍋パッキンの加熱を実施しないため、硬化不十分となり、溶鋼差しが発生する虞がある。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、取鍋に設けられたスライドバルブにおいて、取鍋パッキンの偏りや千切れなどを防止するとともに、下ノズルとスライドバルブを構成するプレート間への溶鋼の侵入、及び、外部への漏洩を防止することができる取鍋パッキンの使用方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明にかかる取鍋パッキンの使用方法は、製鋼工程における、転炉から排出された溶
鋼を搬送する取鍋の底部には、前記取鍋の底部に取り付けられ、当該取鍋内部に装入された溶鋼を排鋼するための筒状の上ノズルと、前記上ノズルの下方に配備され、上プレートと下プレートの2枚からなる板状のスライドバルブと、前記スライドバルブの下方に配備され、当該スライドバルブを介して上ノズルと連通可能とされた筒状の下ノズルと、で構成される溶鋼排出部が設けられていて、前記溶鋼排出部を構成する下ノズルは、外周壁に雄ネジが形成されたノズルケースに、排鋼の際に溶鋼が通過する孔部を避けるように覆われていて、前記取鍋の底部側に設けられている雌ネジに対して、前記ノズルケースの雄ネジをねじ込んで締め付けることで、前記下ノズルが前記取鍋の底部に取り付けられるものであり、成分に関し、Al2O3が65mass%以上70mass%以下で、SiO2が20mass%以上25mass%以下で、Cが3mass%以上5mass%以下とされていて、バインダーとして用いられるフェノール樹脂が10mass%以上20mass%以下、含有する取鍋パッキンを、前記下プレートと前記下ノズルの間に挿入して使用する方法において、挿入前の前記取鍋パッキンの厚みが、7.5mm以上8.5mm以下であり、挿入時における前記取鍋パッキンの表面温度を、30℃以上40℃以下とし、前記取鍋パッキンの締付比率が、0.24以下になるように、前記ノズルケースを締め込んで、前記下プレートと前記下ノズルの間に挿入された当該取鍋パッキンを圧縮し、圧縮後に前記取鍋パッキンの温度を、出鋼で使用する前に350℃以上に加熱することを特徴とする。
本発明によれば、取鍋に設けられたスライドバルブにおいて、取鍋パッキンの偏りや千切れなどを防止するとともに、下ノズルとスライドバルブを構成するプレート間への溶鋼の侵入、及び、外部への漏洩を防止することができる。
取鍋の使用用途、すなわち製鋼工程の概略を模式的に示した図である。 取鍋の構成を模式的に示した側方断面図である。 上ノズル、スライドバルブ(注入孔)、下ノズルの各構成を拡大して示した断面図である。 下ノズルの取り付け部の概略を模式的に示した図である。 下ノズルを支持する部材と、下ノズルが挿入されるノズルケースの概略を模式的に示した図である。 下ノズルの取り付け方法を模式的に示した図である。 取鍋パッキンにかかるモーメントと応力を模式的に示した図である。 保持温度が30℃を下回った状態で、取鍋パッキンを締め付けた際の時間経過に対する、取鍋パッキン内部に生じている応力について示したグラフである。 保持温度が40℃を上回った状態で、取鍋パッキンを締め付けた際の時間経過に対する、取鍋パッキン内部に生じている応力について示したグラフである。 締付比率0.24以下で、取鍋パッキンを締め付けた際の時間経過に対する、取鍋パッキン内部に生じている応力について示したグラフである。 締付比率0.24より上回って、取鍋パッキンを締め付けた際の時間経過に対する、取鍋パッキン内部に生じている応力について示したグラフである。 取鍋の概略を模式的に示した図である。 上ノズルの概略を模式的に示した図である。 スライドバルブを構成するプレート(上及び下)の概略を模式的に示した図である。 下ノズルの概略を模式的に示した図である。 本発明の取鍋パッキンの概略を模式的に示した図である。 本発明の取鍋パッキンの加熱方法の概略を模式的に示した図である。 取鍋の使用サイクルの概略を模式的に示した図である。 取鍋パッキンと下ノズル(耐火物)間への地金(溶鋼)侵入状態を模式的に示した図である。 取鍋パッキンの偏り状態を模式的に示した図である。 取鍋パッキンの千切れ状態を模式的に示した図である。
以下、本発明にかかる取鍋パッキンの使用方法の実施形態を、図を参照して説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。従って、本発明の技術的範囲は、本実施形態に開示内容だけに限定されるものではない。
本発明にかかる取鍋パッキンの使用方法は、鉄鋼業界の製鋼分野において使用される、溶鋼33を収容する容器である取鍋1に、スライドバルブ11の下ノズルを取り付ける際に、その取鍋1と下ノズルの接合部に使用する環状の取鍋パッキン18に関する技術であり、使用前の取鍋パッキン18の保持温度を30℃〜40℃にしておき、取鍋パッキン18の圧縮比率が0.24以下となるように圧縮して取り付けて、取り付け後に、取鍋パッキン18を350℃以上に加熱する。
まず、本発明が適用される取鍋1について説明する。
図1は、取鍋1の使用用途を簡略的に示した模式図である。図2は、取鍋1の形状に関しての概略を模式的に示した断面図である。図3は、取鍋1の底部2に設けられているスライドバルブ11(注入孔)の概略を模式的に示した断面図である。
図1に示すように、溶鋼33は、転炉30から取鍋1内に排出されると、取鍋1によって連続鋳造設備31に搬送される。取鍋1内の溶鋼33は、連鋳工程において、内部が耐火物6で施工されたタンディッシュ32と呼ばれる、連続鋳造設備31の中間容器に排出される。溶鋼33は、このタンディッシュ32を経由して、連続鋳造設備31の鋳型内に鋳込まれる。
図2に示すように、取鍋1は、転炉30から排出された高温の溶鋼33を受け、その後、次の工程である溶鋼処理、連続鋳造設備31に搬送するための鉄製の容器である。その取鍋1の内部には、耐火物6が施工されている。この耐火物6に関しては、取鍋1内の底部2と側壁部3にはアルミナ・マグネシア材質のキャスタブル6cが施工されていて、スラグライン部4にはマグネシア・カーボン材質の煉瓦6dが施工されている。
取鍋1からタンディッシュ32への溶鋼33の排出においては、上ノズル7、スライドバルブ11、及び下ノズルからなる溶鋼排出部により行われる。
図2、図3に示すように、上ノズル7(インサートノズル)は、取鍋1の内部に装入された溶鋼33を排鋼するためものであり、耐火物で形成された筒状の部材である。この上ノズル7は、少なくとも1つ以上、鉄皮5の内側表面に耐火物6が施工されている取鍋1の底部2に開けられた貫通孔に挿入して取り付けられている。すなわち、取鍋1は、底部2に貫通して取り付けられた上ノズル7により、外部と連通状態とされている。
この上ノズル7の下面には、凹み8が形成されていて、この凹み8に溶鋼33の排出を制御するスライドバルブ11の上プレート12に形成されている凸部13が嵌入される。すなわち、上ノズル7の下方には、スライドバルブ11が配備されている。
図3に示すように、スライドバルブ11は、上ノズル7と、上ノズル7の下方に間隔を空けて配備された筒状の下ノズルとの間に配備されていて、筒状の上ノズル7と下ノズルとを連通可能とするものである。
スライドバルブ11は、上下2枚セットで構成されたプレート状耐火物であり、取鍋1の底部2に取り付けられた、内部が空洞のハウジング9に収容されている。
上プレート12は取鍋1の底部2であって、ハウジング9の上部に取り付けられていて、下プレートは上プレート12の下方に接するように配備されている。
上プレート12には、上下方向に貫通した孔が形成されていて、貫通した孔の周囲は上方に凸形状に形成されている。その上を向く凸部13は、上ノズル7の下面に形成されている凹み8に嵌合されることで、上プレート12が移動不能に固定される。
つまり、上プレート12は、貫通した孔が上ノズル7の孔と、略一致させて連通状態となるように、取鍋1の底部2に取り付けられている。
一方、下プレートは、上プレート12の下面側に配置されていて、上下方向に貫通した孔が形成されている。その貫通した孔の周囲は、下方に凸状に形成されている。その下を向く凸部15は、下ノズルの上面に形成されている凹み17に嵌合されることで、下プレートと下ノズルが一体的に固定される。すなわち、下プレートの下方には、下ノズルが配備されている。
また、下プレートは、スライド部材に支持されていて、そのスライド部材の一端には油圧シリンダ10が設けられている。この下プレートは、油圧シリンダ10の駆動により、上プレート12の下面を水平方向に摺動(スライド)するようになっている。
すなわち、下プレートは、スライド部材の一端に設けられた油圧シリンダ10を伸縮させることで、スライド部材のスライドに伴って、上プレート12の下面を摺動しながら水平方向にスライドする。
さて、下ノズル(チェンジノズル)は、取鍋1の内部から排出されてきた溶鋼33を下方に案内するためものであり、耐火物で形成された筒状の部材である。下ノズルは、上ノズル7及びスライドバルブ11の下方に配備されている。この下ノズルは、当該スライドバルブ11を介して、上ノズル7と連通可能とされている。
この下ノズル16は、筒状のノズルケース20(ホルダ)を介して、スライド部材に取り付けられている。すなわち、下ノズル16は、排鋼の際に溶鋼33が通過する孔部(出湯孔19)を避けるように、ノズルケース20に覆われている。
下ノズル16の上面には、円形状の凹み17が形成されていて、その凹み17には取鍋パッキン18(詳細は後述)が挿入されるようになっている。
ノズルケース20は、内周径が下ノズル16の外周径と略同じ径或いはやや大きい径とされていて、下ノズル16が嵌り込むように形成された筒部材である。すなわち、ノズルケース20は、下ノズル16を外嵌して保持するものである。
図3〜図6に示すように、ノズルケース20の上部の外周壁には、水平方向に凸状の突起21(係止部)が複数形成されている。これら複数の突起21は、一方方向に傾斜させた上で、一定の間隔を空けて設けられていて、雄ネジとされている。
一方、取鍋1の底部2側に設けられているスライド部材には、下ノズル16を支持する下ノズル支持部材22が設けられている。この下ノズル支持部材22は、内周径がノズルケース20の外周径と略同じ径或いはやや大きい径とされている環状のリング部材である。
また、下ノズル支持部材22の内周壁には、水平方向に凹状の溝23(被係止部)が複数形成されている。これら複数の溝23は、一方方向に傾斜させた上で、一定の間隔を空けて設けられていて、雌ネジとされている。
すなわち、下ノズル支持部材22の溝23は、ノズルケース20の突起21と対となるように、複数設けられている。
なお、図5(a)、図5(b)に示すように、本実施形態の下ノズル支持部材22においては、内周壁に溝23を、一方方向に傾斜し且つ、一定の間隔を空けて、3つ設けている。また、図5(c)、図5(d)に示すように、本実施形態のノズルケース20においては、外周壁に突起21を、一方方向に傾斜し且つ、一定の間隔を空けて、3つ設けている。
一方、図4、図6に示すように、下ノズル16を取鍋1の底部2に取り付ける方法としては、まず、下ノズル16の上面の凹み17に取鍋パッキン18を載置して、その取鍋パッキン18を載置した下ノズル16をノズルケース20に挿入する。
その上で、ノズルケース20を下ノズル支持部材22に付き合わせて、ノズルケース20の突起21を下ノズル支持部材22の溝23に嵌め込む。そして、ノズルケース20を一方方向に回転させて、嵌め込まれている突起21を溝23に沿って上方に移動させる。つまり、ノズルケース20を下ノズル支持部材22内に挿入し、下ノズル支持部材22の溝23(雌ネジ)に対して、ノズルケース20の突起21(雄ネジ)をねじ込んで締め付ける。例えば、図6の左図中の破線で示した突起21から一点鎖線で示した突起21まで移動させる。
そうすると、突起21(係止部)が溝23(被係止部)内で係止されるようになり、下ノズル16がノズルケース20及び下ノズル支持部材22を介して、下プレート14を支持するスライド部材に着脱自在に取り付けられることとなる。
このとき、下ノズル16と下プレート14の間に挿入された取鍋パッキン18の厚みは、ノズルケース20のねじ込みにより、下ノズル16によって圧縮されて、薄くなっている。
例えば、図6に示すように、挿入前の取鍋パッキン18の厚みが7.5mm以上8.5mm以下の場合、下ノズル16に押圧されると、その厚みが1mm〜2mm程度に圧縮される。
下ノズル16を、下プレート14を支持するスライド部材に取り付け、上プレートの孔、下プレート14の孔、上ノズル7の孔及び下ノズル16の孔を略一致させて全体を連通状態にして、スライドバルブ11を開状態にすることで、溶鋼33が流通する出湯孔19が形成され、この出湯孔19から取鍋1内の溶鋼33をタンディッシュ32に出湯することができる。
溶鋼33の出湯後に、下プレート14を水平方向にスライドさせて、下プレート14及び下ノズル16の各孔を水平方向にずらして連通状態を遮断して、スライドバルブ11を閉状態とすることで、例えば、次の溶鋼33を受けることができる。
以上、上ノズル7、スライドバルブ11及び下ノズル16の具体的な構成としては、例えば、特許第4836828号公報に記載されているようなものである。
本実施形態の取鍋パッキン18においては、Al2O3が65mass%以上70mass%以下で、SiO2が20mass%以上25mass%以下で、Cが3mass%以上5mass%以下とされた成分を含むものを採用している。
さて、溶鋼33は、取鍋1からタンディッシュ32へ溶鋼33を注入する際において、スライドバルブ11を開状態とされたことにより形成された出湯孔19内を、長時間通過することとなる。
そのため、取鍋パッキン18及び、上ノズル7、スライドバルブ11及び下ノズル16からなる溶鋼排出部は、溶鋼33の通過初期における熱衝撃に対する耐熱衝撃性や、出湯孔19を通過する溶鋼33の磨耗による化学的侵食に対する耐食性が要求される。
上記の要求特性を満足するために、取鍋パッキン18においては、65mass%以上70mass%以下のアルミナが含有されている中に、3mass%以上5mass%以下のカーボンを添加することで、スラグ34や溶鋼33との濡れ性を低下させて耐食性を向上させるとともに、熱伝導率を向上させることで、温度勾配による膨張差から発生する熱衝撃に対する耐性を向上させることができる。
また、熱膨張率がアルミナより低いシリカを20mass%以上25mass%以下、取鍋パッキン18に添加することで、更に耐熱衝撃性を向上させることができる。
また、本実施形態の取鍋パッキン18においては、バインダーとして用いられるフェノール樹脂を10mass%以上20mass%以下、含有するものを採用している。
上記した成分(Al2O3,SiO2,C)を含有する取鍋パッキン18に、フェノールとホルムアルデヒドを原料とした熱硬化性樹脂を10mass%以上20mass%以下含有させることで、取鍋パッキン18及び溶鋼排出部全体を軟化質に保持し、下ノズル16の取り付け時に、取鍋パッキン18と下プレート14の接触面にムラなく均一に密着させることができる。
取鍋パッキン18は、所定の厚みを有するドーナツ状の板材であって、内孔を下プレート14の孔と下ノズル16の孔に合わせるように、下プレート14と下ノズル16の間に挿入される。
ここで、下プレート14と下ノズル16の間に挿入する前の取鍋パッキン18の厚みに関して、述べることとする。
図7は、取鍋パッキン18の厚みが厚い場合に発生する、モーメントによる偏りの発生状況を模式的に示した図である。
下ノズル16を保持するノズルケース20の締め付けに関しては、作業者が手作業で行うため、締め込み初期においては、下ノズル16が下プレート14に対して平行でない状態で挿入されることとなる。
図7に示すように、締め付け時の取鍋パッキン18は、上面及び下面で生じる摩擦で、水平方向にねじれながら、不均等に圧縮される。このとき、取鍋パッキン18に掛かる圧力のうち、平均よりも高い圧力をP、平均より低い圧力をpとする(P>p)。なお、平均圧力とは、「取鍋パッキンに付与される力を取鍋パッキンの面積で除した値」である。また、パラメータに関し、摩擦係数をμ、取鍋パッキン18の厚みをH、取鍋パッキン18の幅([外径−内径]/2)をIとする。
取鍋パッキン18が水平方向にねじれる際に、取鍋パッキン18にはPμ/IHのせん断応力が発生し、変位が生じて弾性変形する。
取鍋パッキン18の厚みが7.5mmより薄い場合、断面積(取鍋パッキンの径方向に沿った断面での面積)が小さいため、かかる応力が大きくなって、千切れてしまうこととなる。
一方で、取鍋パッキン18の厚みが8.5mmより厚い場合、上面及び下面で生じる摩擦による曲げモーメントが大きくなることとなる。例えば、pの圧力が加わっている部位のモーメントをmとし、Pの圧力が加わっている部位をMとすると、m=H/2×p×μ×2=Hpμ、M=H/2×P×μ×2=HPμとなり、P>pであることから、M>mとなって不均等な圧縮となり、加わる力が弱い部位において、波打つような偏りが発生する。
以上より、本実施形態においては、挿入前の取鍋パッキン18の厚みを、7.5mm以上8.5mm以下と規定している。なお、取鍋パッキン18に関し、摩擦係数μ≧0.75、表面粗さRa≦50μmであると好ましい。
続いて、下プレート14と下ノズル16の間に挿入する時の取鍋パッキン18の表面温度について、説明する。
取鍋パッキン18は、液体状の熱硬化性樹脂(フェノール樹脂)を含有するため、下プレート14と下ノズル16の間に挿入して締め付けた後においては、応力緩和と、加熱による収縮による応力低下が発生する。つまり、取鍋パッキン18内部に生じる応力が低下することとなる。
しかし、下プレート14と下ノズル16の間に挿入して締め付けて、加熱した後の最終的な取鍋パッキン18内部に生じる応力は、湯(溶鋼33)漏れなどの不具合が発生しない最低限の応力以上、有していなければならない。
さて、取鍋パッキン18は、付与される温度によりヤング率が変化する。例えば、温度が上昇すると、取鍋パッキン18のヤング率は低下することとなる。一方、温度が低下すると、取鍋パッキン18のヤング率は上昇することとなる。
図8は、保持温度が30℃を下回った状態で、取鍋パッキン18を締め付けた際の時間経過に対する、取鍋パッキン18内部に生じている応力について示した図である。
図8の左図に示すように、本実施形態においては、取鍋パッキン18内部に生じている応力の測定を3箇所で行い、その測定点をA点、B点、C点で示す。
また、取鍋パッキン18かかる圧力Pに関しては、測定点Aの圧力をP1、測定点Bの圧力をP2、測定点Cの圧力P3とし、(P1>P2>P3)としている。
また、湯漏れ等の不具合が発生しない必要最低限の取鍋パッキン18の締付力をFCとし、時間経過と共に変化する取鍋パッキン18内部に生じる応力をFfとする。加熱収縮後における応力Ffに関しては、測定点Aの応力をFf-A、測定点Bの応力をFf-B、測定点Cの応力をFf-Cとする。
図8の右図(グラフ)に示すように、保持温度を30℃より下回った状態で且つ、締付比率0.24以下で、取鍋パッキン18を締め込んだ場合、各測定点の応力(Ff-A、Ff-B、Ff-C)は必要最低限の締付力FCを上回って、FC<FFとなるが、上でも述べたように保持温度が低いと、取鍋パッキン18のヤング率が高くなるため、取鍋パッキン18を圧縮する過程で、当該取鍋パッキン18に偏りが生じてしまうこととなる。つまり、各測定点で生じる応力(Ff-A、Ff-B、Ff-C)が異なる。
一方、図9は、保持温度が40℃を上回った状態で、取鍋パッキン18を締め付けた際の時間経過に対する、取鍋パッキン18内部に生じている応力について示したグラフである。
図9に示すように、保持温度が40℃を上回った状態で、取鍋パッキン18を締め込んだ場合、弾性率が非常に低く且つ、塑性域拡大のため、応力緩和代が大きくなり、応力Ffは必要最低限の締付力FCを下回って、Fc>Ffとなってしまうこととなる。
以上より、本実施形態においては、挿入時における取鍋パッキン18の表面温度を、30℃以上40℃以下と規定している。
次に、取鍋パッキン18の締付比率について、説明する。
取鍋パッキン18の締付比率に関し、(締め付け後の取鍋パッキン18の厚み/締付初期(挿入前)の取鍋パッキン18の厚み)と定義する。
図10は、締付比率0.24以下で、取鍋パッキン18を締め込んだ際の時間経過に対する、取鍋パッキン18内部に生じている応力について示したグラフである。
図10に示すように、保持温度を30℃以上40℃以下とし、且つ締付比率0.24以下で、取鍋パッキン18を締め込んだ場合、常にFf>Fcとなり、湯漏れなどが発生しなく良好である。
一方、図11は、締付比率0.24を上回って、取鍋パッキン18を締め込んだ際の時間経過に対する、取鍋パッキン18内部に生じている応力について示したグラフである。
図11に示すように、保持温度を30℃以上40℃以下とし、且つ締付比率0.24を上回って、取鍋パッキン18を締め込んだ場合、加熱収縮後にFf<Fcとなってしまい、湯漏れなどの不具合が発生する可能性が非常に高い。
図10に戻って、取鍋パッキン18を締め付けた時の締付比率が低い(0.24以下)、すなわち体積変化率が高いと、応力Ffが大きくなる。また、締め付け後の加熱に伴って、取鍋パッキン18が収縮する際においては、応力低下の減少幅が小さくなるので、最終的な応力Ffは向上することとなる。
以上より、本実施形態においては、取鍋パッキン18の締付比率が、0.24以下になるように、ノズルケース20を締め込んで、スライドバルブ11の下プレート14と下ノズル16の間に挿入された当該取鍋パッキン18を圧縮することとしている。
さて、締め付けた後の取鍋パッキン18を加熱する際には、以下に述べるようにすることが望ましい。
出鋼で使用するに際しては、取鍋パッキン18に含有されているバインダー(フェノール樹脂)を揮発させ、且つ含有原料(Al2O3,SiO2,C)を焼結させて、確実に固体となった状態であることが望ましい。
例えば、取鍋パッキン18の加熱温度が350℃以上でない場合、含有するバインダーが揮発せずに残存してしまうとともに、含有原料の焼結が進行しない。
そのため、締め付けた後に取鍋パッキン18を加熱する際においては、出鋼で使用する前に350℃以上に加熱する必要である。
以上より、本実施形態においては、圧縮後に取鍋パッキン18を、350℃以上に加熱することとしている。
以上、本発明を用いることで、締め付け時の取鍋パッキン18の偏り・千切れを防止することができるので、スライドバルブ11を開いて出湯孔19を形成し、その出湯孔19(ノズル)内を通過させる際に、その溶鋼33が下ノズル16と下プレート14間へ侵入してしまうことを防止するとともに、溶鋼33の漏洩などの出鋼時のトラブルを未然に防止することができる。
[実験例]
以下に、本発明における取鍋パッキン18の使用方法に基づいて行った本実験例について、述べる。
まず、本実験例の実施条件について述べる。
図12に示すように、本実験例で用いた取鍋1は、炭素含有量が2質量%以下である溶鋼33を保持するための溶鋼容器であって、その溶鋼容器に関し、外側から順に、鉄皮5、永久耐火物6a層、およびワーク耐火6b層を有する耐火物ライニング構造を備えるものである。
取鍋1の鉄皮5は、有底筒状の容器であって、上方視で楕円形状である。この鉄皮5は、高さが4.3m程度(4270mm)で、短径が4.3m程度(4330mm)で、長径が4.5m程度(4510mm)で、厚みが20mm以上で形成されている。また、鉄皮5の底部2は湾曲していて、その径Rは12000mmである。また取鍋1の深さは、3.7m程度(3693mm)である。
永久耐火物6aに関しては、高アルミナ質のものを鉄皮5側に施工し、ワーク耐火物6b側にろう石質のものを施工して、2層構造としている。また、ワーク耐火物6bに関しては、湯面と触れる部位(スラグライン部4)には定形のMgO-Cレンガ6dを施工し、湯面と触れない部位(メタルライン部)にはアルミナ・マグネシア材質の不定形耐火物(キャスタブル)6cを施工している。
図13に示すように、上ノズル7は、取鍋1の底部2に取り付けられていて、その全長が325mmで、上面の外周径が166mmで、底面の外周径が210mmで、孔径(内周径)が85mmまたは80mmで形成された筒状の部材である。
上ノズル7の材質としては、アルミナ−カーボン質の耐火物を採用し、製造時に800℃程度で加熱し、含有されているバインダーを揮発させたものである。
図14に示すように、上プレート及び下プレート14は、全長が510mmで、幅が240mmで、厚みが40mmの板状の耐火物で形成された長尺の板材である。この下上プレート及びプレートには、孔がそれぞれ1つ開口されている。その孔の中心は、短辺のうちの一方端側から、180mm離れた位置で且つ、長辺側から120mm離れた(等間隔)位置である。また、上プレート及び下プレート14の孔径は、上記した上ノズル7の孔径と同径(85mmまたは80mm)である。
一方、上プレート及び下プレート14の材質としては、アルミナ−カーボン質の耐火物にジルコニアを添加したものを採用している。
上プレートの孔と下プレート14の孔が長手方向において、反対側となる、すなわち連通しないように、上プレートと下プレート14を重ね合わせる。この状態が、スライドバルブ11の閉状態である。
そして、油圧シリンダ10により、下プレート14を水平方向に平行移動させて孔の位置を合わせて連通状態にして、スライドバルブ11を開状態とすることで、溶鋼33を排出することができる。
図15に示すように、下ノズル16は、長さが277mm(276mm〜278mm)で、上面の外周径が182mmで、下面の外周径が148mmで形成された筒状の耐火物である。下ノズル16の材質としては、アルミナ質の耐火物を採用している。なお、下ノズル16の孔径は、上記した上ノズル7、上プレート及び下プレート14の孔径と同径(85mmまたは80mm)である。
図16に示すように、取鍋パッキン18は、成分が上で詳しく述べた通りであって、外周径が170mm(範囲:165mm以上175mm以下)で、内周径が80mm(範囲:79.5mm以上80.5mm以下)で、厚さが8mm(範囲:7.5mm以上8.5mm以下)で形成されたリング状の部材である。
取鍋パッキン18の保温方法としては、保温庫内で、一定時間保温することとしている。
保温庫は、内部が密閉状態とされていて、その内部に温度計とヒーターが取り付けられ且つ、設定温度を維持するようにヒーターが稼動する構成のものである。
保温時間としては、最低でも取鍋パッキン18を使用する1時間前に入れて保温しておく。また、長くとも保温庫に入れてから24時間以内に、取鍋パッキン18を使用することが望ましい。なお、保温時間が24時間を越えた取鍋パッキン18は、廃棄する。
図17に示すように、取鍋パッキン18の加熱方法としては、取鍋1を立たせた状態(同右図)から、取鍋1を横に倒してスライドバルブ11を全開にした状態にする(同左図)。この状態で出湯孔19に木炭35(燃焼対象物)を載置する。このとき、取鍋パッキン18の近傍に木炭35がくるように、当該木炭35を載置するのが好ましい。
次に、木炭35とは別に紙等の可燃物を出湯孔19に入れて火を付けることにより種火とし、木炭35を燃焼させる。木炭35を燃焼させる際は、下ノズル16側から出湯孔19にパイプ36を挿入して、そのパイプ36から酸素を吹き込む。このようにすることで、木炭35の燃焼により、熱が取鍋パッキン18側へ伝わり、当該取鍋パッキン18が加熱されることになる。また、上プレート及び下プレート14の予熱で加熱させるとよい。
本実験例においては、出鋼温度が1510℃以上1700℃未満の溶鋼33を使用した。取鍋1内の溶鋼温度を測定するにあたっては、転炉30での吹煉終了時に、測温機を溶鋼33内に装入して測定した。
図18に示すように、取鍋1は、転炉30に搬送されて溶鋼33を受鋼する。溶鋼33が装入された取鍋1は、溶鋼処理の工程に搬送されて、溶鋼33中の成分調整及び介在物除去が実施される。溶鋼処理後には、取鍋1は、連続鋳造設備31に搬送され、溶鋼33をタンディッシュ32に注入(排出)する。空となった取鍋1は、また転炉30に搬送されて溶鋼33を受鋼する。取鍋1は、このような操業サイクルで使用されている。
転炉30に搬送されて溶鋼33を受鋼してから、連続鋳造設備31に搬送されて、溶鋼33をタンディッシュ32に注入開始するまでの間の経過時間を、取鍋1における溶鋼33の滞留時間とする。
操業サイクルにおいては、取鍋1における溶鋼33の滞留時間を30分以上300分未満とし、その溶鋼滞留時間の後に、溶鋼33をタンディッシュ32に注入を開始する。また、連続鋳造設備31における、溶鋼33の注入の開始から終了までの時間(注入実施時間)を、28分以上120分未満とする。
なお、タンディッシュ32への溶鋼注入終了後から、転炉30にて次の溶鋼33を受鋼するまでの取鍋1内が空となった時間を、取鍋1における溶鋼33の未受鋼時間とする。この取鍋1における溶鋼33の未受鋼時間としては、50分以上360分未満とする。
次に、本発明の取鍋パッキン18の使用方法の実験結果について、図と表に従って説明する。
表1,2に、本発明と比較するために行った、取鍋パッキン18の使用方法の実験結果を示す(比較例1〜7)。なお、表1,2は、一続きのものであり、説明しやすくするため、2分割としている。
表1,2に示すように、比較例の実験番号1は、取鍋パッキン18の締付比率が0.51で、0.24を大きく上回っていて満たしていない。その結果、地金が侵入してしまったので、不適である。比較例の実験番号2は、取鍋パッキン18の締付比率が0.31で、0.24を上回っていて満たしていない。その結果、地金が侵入してしまったので、不適である。
比較例の実験番号3は、取鍋パッキン18の加熱温度が152℃で、350℃を大きく下回っていて、満たしていない。その結果、硬化不十分で地金が侵入してしまったので、不適である。比較例の実験番号4は、挿入前における取鍋パッキン18の保持温度が29℃で、30℃以上40℃以下を満たしていない。つまり、締め付け前の取鍋パッキン18の保温不足である。その結果、締め付け時において、取鍋パッキン18の偏りが発生してしまい、地金が侵入してしまったので、不適である。
比較例の実験番号5は、挿入前における取鍋パッキン18の厚みが7.4mmであり、7.5mm以上8.5mm以下を満たしていない。その結果、締め付け時において、取鍋パッキン18が千切れてしまったので、不適である。比較例の実験番号6は、挿入前における取鍋パッキン18の保持温度が41℃で、30℃以上40℃以下を満たさない。その結果、軟化して取鍋パッキン18が千切れてしまったので、不適である。比較例の実験番号7は、挿入前における取鍋パッキン18の厚みが8.6mmであり、7.5mm以上8.5mm以下を満たさない。その結果、締め付け時において、取鍋パッキン18の偏りが発生してしまったので、不適である。
比較例の実験番号1〜4においては、以下に示すような不具合が発生した。
締め付け時に取鍋パッキン18が損傷しているため、溶鋼33を取鍋1からタンディッシュ32に注入している際に、溶鋼33が下ノズル16と下プレート14間から外部に漏れるトラブルが発生した。
もしくは、図19示すように、交換後の下プレート14と下ノズル16を改修する際に、取鍋パッキン18が介在する凹み17を目視で確認すると、下プレート14及び下ノズル16のいずれか、もしくはその両方で、孔(出湯孔19)から径外方向に1mmを超える長さの地金、取鍋パッキン18と下ノズル16(耐火物)間への溶鋼33の侵入があった。
比較例の実験番号4,7においては、以下に示すような不具合が発生した。
図20に示すように、スライドバルブ11から下ノズル16を取り外して、取鍋パッキン18の厚みをノギスで測定し且つ、目視で確認すると、外周側と内周側(内孔)との間で、外周縁と内周縁を結ぶ皺が複数生じていることが確認できた。
図20中のa-a断面を参照すると、同図中の4つの直線のうち、中央の2つの直線(間隔が5mm以内)で囲まれた内側を、内周側(内孔)から観察すると、圧縮された際の平均厚み以上の厚みとなっていることが確認できる。一方で、その厚い部位を挟んだ両外側(間隔が5mm以内)を、内周側から観察すると、圧縮された際の平均厚み以下の厚みとなっていることが確認できる。
以上より、比較例の実験番号4,7においては、取鍋パッキン18に偏りが発生してしまうこととなる。
比較例の実験番号5,6においては、以下に示すような不具合が発生した。
図21に示すように、取鍋パッキン18を締め付けて加熱した後に、取り外して観察すると、元の状態は環状であったものが、その一部がせん断され(千切れ)てしまい、面の連続性が途切れて環状ではなくなっていた。
一方、表3,4に、本発明の取鍋パッキン18の使用方法に従って処理を行った実験結果を示す(実施例の実験番号8〜14)。なお、表3,4は、一続きのものであり、説明しやすくするため、2分割としている。
表3,4に示すように、実施例の実験番号8は、挿入前の取鍋パッキン18の厚みが8.3mmであり、7.5mm以上8.5mm以下の規定を満たしている。挿入時における取鍋パッキン18の表面温度が35℃であり、30℃以上40℃以下の規定を満たしている。取鍋パッキン18の締付比率が0.23であり、0.24以下の規定を満たしている。圧縮後の取鍋パッキン18の加熱温度が466℃であり、350℃以上の規定を満たしている。
以上より、地金(溶鋼33)の侵入を起こってなく、取鍋パッキン18の偏りも起こってなく、取鍋パッキン18の千切れも起こってないので、良好である。
表3,4に示すように、実施例の実験番号12は、挿入前の取鍋パッキン18の厚みが7.7mmであり、7.5mm以上8.5mm以下の規定を満たしている。挿入時における取鍋パッキン18の表面温度が31℃であり、30℃以上40℃以下の規定を満たしている。取鍋パッキン18の締付比率が0.24であり、0.24以下の規定を満たしている。圧縮後の取鍋パッキン18の加熱温度が442℃であり、350℃以上の規定を満たしている。
以上より、地金(溶鋼33)の侵入を起こってなく、取鍋パッキン18の偏りも起こってなく、取鍋パッキン18の千切れも起こってないので、良好である。
表3,4に示すように、実施例の実験番号14は、挿入前の取鍋パッキン18の厚みが8.0mmであり、7.5mm以上8.5mm以下の規定を満たしている。挿入時における取鍋パッキン18の表面温度が32℃であり、30℃以上40℃以下の規定を満たしている。取鍋パッキン18の締付比率が0.22であり、0.24以下の規定を満たしている。圧縮後の取鍋パッキン18の加熱温度が527℃であり、350℃以上の規定を満たしている。
以上より、地金(溶鋼33)の侵入を起こってなく、取鍋パッキン18の偏りも起こってなく、取鍋パッキン18の千切れも起こってないので、良好である。
すなわち、本発明に従って、取鍋パッキン18をスライドバルブ11と下ノズル16の間に取り付ければ、表3,4に示す実施例の実験番号8〜14のように、取鍋パッキン18の不具合を回避し、溶鋼33の侵入、溶鋼33の漏洩などの操業トラブルを防止することが可能となる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 取鍋
2 底部
3 側壁部
4 スラグライン部
5 鉄皮
6 耐火物
6a 永久耐火物
6b ワーク耐火物
6c アルミナ・マグネシア材質のキャスタブル(不定形耐火物)
6d マグネシア・カーボン材質の煉瓦(MgO-Cレンガ)
7 上ノズル
8 凹み
9 ハウジング
10 油圧シリンダ
11 スライドバルブ
12 上プレート
13 凸部(上向き)
14 下プレート
15 凸部(下向き)
16 下ノズル
17 凹み
18 取鍋パッキン
19 出湯孔
20 ノズルケース
21 突起(雄ネジ・係止部)
22 下ノズル支持部材(カセット)
23 溝(雌ネジ・被係止部)
30 転炉
31 連続鋳造設備
32 タンディッシュ
33 溶鋼
34 スラグ
35 木炭
36 パイプ

Claims (1)

  1. 製鋼工程における、転炉から排出された溶鋼を搬送する取鍋の底部には、
    前記取鍋の底部に取り付けられ、当該取鍋内部に装入された溶鋼を排鋼するための筒状の上ノズルと、
    前記上ノズルの下方に配備され、上プレートと下プレートの2枚からなる板状のスライドバルブと、
    前記スライドバルブの下方に配備され、当該スライドバルブを介して上ノズルと連通可能とされた筒状の下ノズルと、で構成される溶鋼排出部が設けられていて、
    前記溶鋼排出部を構成する下ノズルは、外周壁に雄ネジが形成されたノズルケースに、排鋼の際に溶鋼が通過する孔部を避けるように覆われていて、前記取鍋の底部側に設けられている雌ネジに対して、前記ノズルケースの雄ネジをねじ込んで締め付けることで、前記下ノズルが前記取鍋の底部に取り付けられるものであり、
    成分に関し、Al2O3が65mass%以上70mass%以下で、SiO2が20mass%以上25mass%以下で、Cが3mass%以上5mass%以下とされていて、バインダーとして用いられるフェノール樹脂が10mass%以上20mass%以下、含有する取鍋パッキンを、前記下プレートと前記下ノズルの間に挿入して使用する方法において、
    挿入前の前記取鍋パッキンの厚みが、7.5mm以上8.5mm以下であり、
    挿入時における前記取鍋パッキンの表面温度を、30℃以上40℃以下とし、
    前記取鍋パッキンの締付比率が、0.24以下になるように、前記ノズルケースを締め込んで、前記下プレートと前記下ノズルの間に挿入された当該取鍋パッキンを圧縮し、
    圧縮後に前記取鍋パッキンの温度を、出鋼で使用する前に350℃以上に加熱する
    ことを特徴とする取鍋パッキンの使用方法。
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