JP5127018B2 - 保護膜用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は保護膜形成用に好適な樹脂組成物に関し、特にガラス基板等の表面に形成された着色膜(例えば、着色樹脂膜)上に設けられる保護膜として耐熱性に優れた膜を与える樹脂組成物に関する。
液晶表示素子は、多種類の液晶材料の混合体と、それらを一定の方向に配列するための配向膜とから主に構成されており、基板、液晶素子、偏光板、カラーフィルター、透明導電膜などの層を重ねることで液晶表示装置となる。透明導電膜としてはIndium Tin Oxide(以下、ITOという。)層が知られているが、ITO層形成際は、スパッタリングが施されるために素子表面が局部的に高温に曝される。また、液晶表示素子はその製造工程中に、溶剤、酸、アルカリ溶液等に浸漬される。このような過酷な条件から素子の劣化や損傷を防止するために、これらに対する耐性を有する保護膜の形成が一般的に行われている。このような保護膜は上記要求特性の他、液晶汚染度が低いこと、平滑性を有していること、保護膜を形成する基材及び保護膜上に形成される層に対する密着性が良好であること、液晶表示の明るさを低下させないために可視光透過率が高いこと、着色、白化、黄変等の経時変化のないこと、衝撃、歪などに耐えられる靭性を有すること等が要求されている。更に、生産性、取り扱い上の理由から、塗布時の、或いは長期間保存時の高い経時安定性が望まれている。
従来、保護膜用材料としては、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が提案されているが、特に、近年、配向膜形成やITOの蒸着温度の高温化に伴い、耐熱性に対する要求が強くなってきており、すべての要求特性を満足するというバランスのとれた材料は未だ見出せていないのが現状である。
例えば、メラミン樹脂は耐熱性は良いがガラス基板との密着性が極端に悪く、基板やフィルター上でハジキを生じやすいという問題点がある。ポリイミド樹脂は高い耐熱性を有する反面、透明性が不十分な上に樹脂の保存安定性に欠ける点や、溶解性が悪く使用できる有機溶剤がカラーフィルターを侵す恐れがあるというような問題がある。アクリル樹脂は可視光透過率には優れているが耐熱性が不十分であり、高温下で膜表面にしわやクラックが生じるという問題点がある。このような問題を解決すべく、エポキシ樹脂で被覆された透明フィラーを用いた組成物が提案されているが、フィラーの純度や保存安定性の面で不十分である。(特許文献1参照。)
又、エポキシ基を有するアクリル樹脂や、エポキシ樹脂とo−クレゾールノボラック系硬化剤を用いた保護膜(特許文献2,3参照。)も検討されているが、密着性が不十分であったり、或いは、やはりITO蒸着時の熱による膜の黄変、しわ、クラックのため透過率が低下したりするといった問題点がある。黄変性を克服すべく、硬化剤に酸無水物を使用する試みもなされているが、その反応性、吸湿性の点から保存安定性に問題があり、更に、溶解性の点で使用できる有機溶剤が限られている上、その溶剤の安全性に問題がある等の問題点が残されている。
特開平11−315249号公報 特開平5−140274号公報 特開平5−140267号公報
本発明は、高い表面硬度と耐熱性を有し、可視光透明性を満足する、特に高温下でのITO蒸着時の耐性に優れた液晶表示用カラーフィルター着色樹脂膜の保護膜形成用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは前記のような特性を持つ組成物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有するエポキシ樹脂を用いることにより、優れたITO蒸着耐性、耐アルカリ性を有する保護膜用組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
(1)水酸基を有するエポキシ樹脂とアルコキシシラン部分縮合物とを脱アルコール縮合反応させて得られるアルコキシ基を有するシラン変性エポキシ樹脂 (A)、硬化剤(B)及び硬化促進剤(C)を含むことを特徴とする保護膜用エポキシ樹脂組成物、
(2)溶剤(D)を含むことを特徴とする上記(1)に記載の保護膜用エポキシ樹脂組成物、
(3)水酸基を有するエポキシ樹脂がビスフェノールA型エポキシ樹脂である上記(1)又は(2)に記載の保護膜用エポキシ樹脂組成物、
(4)硬化剤(B)が環状テルペン骨格を有する多価フェノール化合物である上記(1)ないし(3)のいずれか一項に記載の保護膜用エポキシ樹脂組成物、
(5)環状テルペン骨格を有する多価フェノール化合物が、環状テルペン化合物1分子にフェノール類2分子を付加させた化合物である上記(4)に記載の保護膜用エポキシ樹脂組成物、
(6)環状テルペン骨格を有する多価フェノール化合物が、環状テルペン化合物1分子にフェノール類2分子を付加させた化合物に、酸性触媒の存在下にさらにアルデヒド類及び/又はケトン類を縮合反応させて得られた化合物である上記(4)に記載の保護膜用エポキシ樹脂組成物、
(7)環状テルペン骨格を有する多価フェノール化合物のフェノール骨格が、フェノール、o−クレゾール、2,6−キシレノール及びo−アリルフェノールからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である上記(4)ないし(6)のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物、
(8)硬化促進剤(C)が、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ−〔1,2−a〕ベンズイミダゾールである上記(1)ないし(7)のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物、
(9)カラーフィルターの保護膜用である上記(1)ないし(8)のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物、
(10)上記(1)ないし(9)のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる保護膜、
(11)上記(10)に記載の保護膜を有するカラーフィルターを備えた液晶表示装置、
に関する。
本発明の保護膜用エポキシ樹脂組成物は、保存安定性に優れており作業性も良好であるうえ、これを硬化して得られる保護膜は透明性、耐熱性、硬度、耐アルカリ性に優れ、また、特に高いITO蒸着耐性を有している。このため、本発明の保護膜用エポキシ樹脂組成物は着色樹脂膜の保護に有利で、特にカラー液晶表示装置においてその信頼性を向上することができるという大きな特徴がある。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、以下において「%」および「部」は、特記しない限りそれぞれ「重量%」及び「重量部」を意味する。
本発明の保護膜用エポキシ樹脂組成物に用いられるエポキシ樹脂(A)は、エポキシ樹脂とアルコキシシラン部分縮合物とを、特開2001−59011号公報に記載の方法等により、脱アルコール縮合反応させて得られるアルコキシ基を有するシラン変性エポキシ樹脂である。
上記エポキシ樹脂(A)の原料となるエポキシ樹脂とは、縮合反応可能な水酸基を有していれば特に制限は無いが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、4,4’−ビフェノール、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジメチルビスフェノールS型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、エピコート828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、エピコート807(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)(いずれもジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名)などとして市場より入手可能である。
上記エポキシ樹脂(A)の原料となるアルコキシシラン部分縮合物とは、加水分解性アルコキシシランの縮合物であり、加水分解性アルコキシシランとしては例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン類、フェニルトリメトキシシラン等のアリールトリアルコキシシラン類、ビニルトリメトキシシラン等の官能基を有するトリアルコキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン類が挙げられる。
エポキシ樹脂(A)は、例えば、荒川化学工業株式会社よりコンポセランシリーズ(ビスフェノールA型樹脂とメトキシシランとの縮合反応物(商品名:コンポセランHBEP125)、ビスフェノールA型樹脂とメチル基を有するメトキシシランとの縮合反応物(商品名:コンポセランE103B))等として入手することが出来る。
本発明の保護膜用エポキシ樹脂組成物には、エポキシ樹脂(A)の他に、本発明の目的を損ねない範囲で他のエポキシ樹脂を配合することができる。
使用しうる他のエポキシ樹脂としては、例えばポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂、各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂、脂環式多官能エポキシ樹脂、脂肪族系多官能エポキシ樹脂、複素環式多官能エポキシ樹脂、グリシジルエステル系多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン系多官能エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノール類をグリシジル化した多官能エポキシ樹脂等が挙げられる。
ポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂としては例えば、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニル]プロパンのグリシジルエーテル化合物、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル−4,4’−ビフェノール、ジメチル−4,4’−ビフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、フロログリシノール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン等のポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂が挙げられる。該多官能エポキシ樹脂は、例えば、三井化学株式会社より2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン(商品名:VG3101L)、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニル]プロパンのグリシジルエーテル化合物(商品名:VG3101)等として入手することが出来る。
各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂としては例えば、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等のビスフェノール類、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂、キシリレン骨格を有するフェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラック樹脂、ビフェニル骨格を有するフェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格を有するフェノールノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物等が挙げられる。該多官能エポキシ樹脂は、例えば、クレゾールノボラック樹脂としては日本化薬株式会社製のEOCN1020、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としてはジャパンエポキシレジン株式会社製のエピコート828として入手することが出来る。
脂環式多官能エポキシ樹脂としては、例えばシクロヘキサン等の脂環式多官能エポキシ樹脂が挙げられ、具体的にはダイセル化学工業社製のセロキサイド2080、セロキサイド3000、セロキサイド2021〔(3,4−3’,4’−エポキシシクロ)ヘキシルメチル−ヘキサンカルボキシレート〕、EHPE3150等がある。脂肪族系多官能エポキシ樹脂としては例えば、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールのグリシジルエーテル化物が挙げられる。複素環式多官能エポキシ樹脂としては例えば、イソシアヌル環、ヒダントイン環等の複素環を有する複素環式多官能エポキシ樹脂が挙げられ、具体的には日本化薬株式会社製のXD−1000等がある。グリシジルエステル系エポキシ樹脂としては例えば、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のカルボン酸エステル類からなるエポキシ樹脂が挙げられる。グリシジルアミン系多官能エポキシ樹脂としては例えば、アニリン、トルイジン等のアミン類をグリシジル化したエポキシ樹脂が挙げられる。ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂としては例えば、ブロム化ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールF、ブロム化ビスフェノールS、ブロム化フェノールノボラック、ブロム化クレゾールノボラック、クロル化ビスフェノールS、クロル化ビスフェノールA等が挙げられ、具体的にはブロム化ビスフェノールSとして日本化薬株式会社製のBREN−S(商品名)等がある。
これらのエポキシ樹脂のうち、耐熱性、透明性を考慮すると、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニル]プロパンのグリシジルエーテル化合物、ビスフェノールA、フルオレン骨格を有するフェノールノボラック樹脂、シクロヘキサン等の脂肪族環骨格を有する脂環式多官能エポキシ樹脂、ペンタエリスリトール等の多価アルコールのグリシジルエーテル類が好ましい。
エポキシ樹脂(A)配合量としては、組み合わせる樹脂成分により異なるが、エポキシ樹脂成分(エポキシ樹脂(A)又はエポキシ樹脂(A)と(A)以外の他のエポキシ樹脂を使用する場合はエポキシ樹脂(A)と(A)以外の他のエポキシ樹脂の全量を併せてエポキシ樹脂成分という。以下同様。)中、通常10〜100重量%、好ましくは25〜100重量%、更に好ましくは40〜100重量%配合するのが良い。25重量%より少ない場合は、耐ITO性を付与することが困難になる場合がある。
本発明の保護膜用エポキシ樹脂組成物に用いられる硬化剤としては、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、カルボン酸系硬化剤、アミン系硬化剤、ヒドラジド系硬化剤等が挙げられるが、経時安定性、耐湿性、溶剤溶解性の面から、フェノール系硬化剤(環状テルペン骨格を有する多価フェノール化合物等)が好ましい。これらの硬化剤は単独でも用いられるが、複数を使用することもできる。併用する場合には、得られる硬化物の耐熱耐黄変性、可視光透過率等の物性を低下させない範囲で、使用するのが好ましい。フェノール系硬化剤は、一般的に高温負荷時に甚だしく黄変し、可視光透明用途には用いることは困難であったが、環状テルペン骨格を有する多価フェノール化合物においては高温下の黄変がほとんど無い。
本発明の保護膜用エポキシ樹脂組成物において硬化剤として使用しうる環状テルペン骨格を有する多価フェノール化合物としては、分子中に環状テルペン骨格とフェノール性水酸基を2以上有する化合物であれば特に制限はない。具体的には、例えば特許2572293号に詳細に記載されているように、環状テルペン化合物とフェノール類とを反応させて、環状テルペン化合物1分子にフェノール類が約2分子の割合で付加した環状テルペン骨格を有する多価フェノール化合物、またはそれを酸性触媒の存在下にアルデヒド類及びケトン類からなる群から選ばれる1種以上と縮合させて得られる化合物(高分子量化した環状テルペン骨格を有する多価フェノール化合物)等である。
上記環状テルペン骨格を有する多価フェノール化合物の原料として使用される環状テルペン化合物としては、例えばリモネン(下記式(1))、リモネンの光学異性体であるジペンテン、α型ピネン(下記式(2))、β型ピネン(下記式(3))、α型テルピネン(下記式(4))、β型テルピネン(下記式(5))、γ型テルピネン(下記式(6))、3,8型メタンジエン(下記式(7))、2,4型メタンジエン(下記式(8))、テルピノーレン(下記式(9))等のモノテルペン化合物(イソプレン単位2個が生合成により環化結合した化合物)が挙げられる。
Figure 0005127018
環状テルペン化合物に付加させるフェノール類としては例えば、フェノール、o−クレゾール、2,6−キシレノール及びo−アリルフェノール等の非置換又は炭素数1〜3のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基等で置換されたフェノールが挙げられる。これらの中でフェノール又はo−クレゾールが好ましく、フェノールが特に好ましい。
また、高分子量化した環状テルペン骨格を有する多価フェノール化合物の製造に使用されるアルデヒド類又はケトン類としては例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、アセトン、シクロヘキサノン等の炭素数1〜6の脂肪族アルデヒド若しくはケトン又はヒドロキシ基などの置換基を有してもよいベンズアルデヒドなどが挙げられる。
環状テルペン化合物とフェノール類との反応には、通常芳香族炭化水素類、アルコール類、エーテル類等の溶媒が使用され、またそれとアルデヒド類及びケトン類からなる群から選ばれる1種以上との縮合には、酸性触媒として、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、三フッ化ホウ素等が使用される。
こうして得られた環状テルペン骨格を有する多価フェノール化合物は、リモネンとフェノールを反応させた化合物を例にとると下記式(I)と式(II)の化合物の混合物であると推定される。
Figure 0005127018
環状テルペン骨格を有する多価フェノール化合物は、例えば市場からノボラック型テルペン骨格を有するフェノール樹脂(商品名:エピキュアMP402FPY、ジャパンエポキシレジン株式会社製)等として容易に入手可能である。
酸無水物系硬化剤としては例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコール無水トリメリット酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の芳香族カルボン酸無水物、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族カルボン酸の無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ナジック酸無水物、ヘット酸無水物、ハイミック酸無水物等の脂環式カルボン酸無水物が挙げられる。
カルボン酸系硬化剤としては例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの炭素数2〜22の脂肪族ポリカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、ナフタレンジ(又はテトラ)カルボン酸等の芳香族カルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等の脂環式ポリカルボン酸等が挙げられる。
アミン系硬化剤としては例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、m−キシリレンジアミン等の芳香族アミン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、イソフォロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ポリエーテルジアミン等の脂肪族アミン、ジシアンジアミド、1−(o−トリル)ビグアニド等のグアニジン類が挙げられる。
フェノール系硬化剤としては、上記の環状テルペン骨格を有する多価フェノール化合物の他に、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェニルフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル−4,4’−ビフェノール、ジメチル−4,4’−ビフェニルフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂、キシリレン骨格を有するフェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラック樹脂、ビフェニル骨格を有するフェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格を有するフェノールノボラック樹脂、フラン骨格を有するフェノールノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂等が挙げられる。
ヒドラジド系硬化剤としては例えば、カルボジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオヒドラジド、ヘキサデカンジオヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、4,4’−ビスベンゼンジヒドラジド、1,4−ナフトエ酸ジヒドラジド、2,6−ピリジンジヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、N,N’−ヘキサメチレンビスセミカルバジド、イタコン酸ジヒドラジド等のジヒドラジド系硬化剤、ピロメリット酸トリヒドラジド、エチレンジアミン四酢酸テトラヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド等の多官能ヒドラジド系硬化剤が挙げられる。
硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂成分を1モルとすると通常0.2〜1.8モル、好ましくは0.4〜1.4モル、更に好ましくは0.6〜1.2モルの範囲である。
本発明においては、必要に応じて、硬化促進剤を使用することができる。本発明において使用されうる硬化促進剤としては、イミダゾール系硬化促進剤が用いられるが、他にエポキシ樹脂の硬化を促進する触媒として知られている化合物、例えば第3級アミン類、ホスフィン類等を併用して用いることが出来る。
イミダゾール系硬化促進剤としては例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ−〔1,2−a〕ベンズイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−エチル,4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール又は1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾール等の各種イミダゾール化合物が挙げられる。
通常、本発明の保護膜用エポキシ樹脂組成物に用いうる硬化促進剤の使用量は、エポキシ樹脂成分100部に対して0.1ないし10部であるが、これらイミダゾール系硬化促進剤を使用する場合の使用量としては、エポキシ樹脂成分100部に対して通常0.1部以上、好ましくは0.3部以上、更に好ましくは0.5部以上であり、かつ7部以下、好ましくは5部以下、より好ましくは4部以下、更に好ましくは3.5部以下である。イミダゾール系硬化促進剤の使用量が少ない場合、充分な架橋反応が起こりにくく、保護膜の耐熱性に悪影響を及ぼし、又、多すぎる場合、経時安定性や硬化時の耐黄変性、耐液晶汚染性を低下させる可能性が有る。
本発明の保護膜用エポキシ樹脂組成物には必要に応じて、溶剤(D)を使用することができる。使用しうる溶剤(D)としては、アルコール類、グリコールエーテル類、アルキレングリコールエーテルアセテート類、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類、エーテル類等が挙げられる。具体的には、アルコール類としては例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられ、炭素数1〜4の低級アルコールが好ましい。グリコールエーテル類としては例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキレングリコールの炭素数1〜4の低級エーテルが好ましい。アルキレングリコールエーテルアセテート類としては例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジメチルジプロピレングリコール、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチルエトキシプロピオラート等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキレングリコールの炭素数1〜4の低級エーテルアセテートが好ましい。芳香族炭化水素類としては例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。ケトン類としては例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等が挙げられる。エステル類としては例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸プロピル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸プロピル、3−エトキシプロピオン酸ブチル等が挙げられ、ヒドロキシ基、炭素数1〜4の低級アルキル基で置換されていてもよい炭素数2〜4の脂肪酸の炭素数1〜4のアルキルエステルが好ましい。エーテル類としてはテトラヒドロフラン等が挙げられる。
これらのうち、エポキシ樹脂成分、硬化剤、硬化促進剤の溶解性、及び有機溶媒との反応性、揮発による濃度的な経時変化、人体に対する毒性等を考慮すると、本発明においてはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジメチルジプロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の炭素数2〜3のアルキレングリコールの炭素数1〜4の低級エーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、エステル類を用いることが好ましい。
又、これら溶剤(D)の使用量については特に限定はされず、所望膜厚、表面平滑性、成膜方法等に応じ、調節し、塗布適性を付与すればよい。
本発明の保護膜用エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、カップリング剤、界面活性剤、酸化安定剤、光安定剤、耐湿性向上剤、チキソトロピー付与剤、消泡剤、他の各種の樹脂、粘着付与剤、帯電防止剤、滑剤、紫外線吸収剤等の添加剤を配合することもできる。
用いうるカップリング剤としては例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、イソプロピル(N−エチルアミノエチルアミノ)チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、チタニウムジ(ジオクチルピロフォスフェート)オキシアセテート、テトライソプロピルジ(ジオクチルフォスファイト)チタネート、ネオアルコキシトリ(p−N−(β−アミノエチル)アミノフェニル)チタネート等のチタン系カップリング剤、Zr−アセチルアセトネート、Zr−メタクリレート、Zr−プロピオネート、ネオアルコキシジルコネート、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ドデカノイル)ベンゼンスルフォニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノエチル)ジルコネート、ネオアルコキシトリス(m−アミノフェニル)ジルコネート、アンモニウムジルコニウムカーボネート、Al−アセチルアセトネート、Al−メタクリレート、Al−プロピオネート等のジルコニウム、或いはアルミニウム系カップリング剤が挙げられる。これらの中でシラン系カップリング剤が好ましく、エポキシ基を有するシランカップリング剤、例えばエポキシシラン系カップリング剤サイラエースS−510がより好ましい。カップリング剤を使用する事により基材との密着性が向上し、かつ耐湿信頼性に優れた保護膜が得られる。
カップリング剤を用いる場合の使用量はエポキシ樹脂成分100部に対して、0.1〜5部、好ましくは0.5〜4部程度である。
又、本発明の保護膜用エポキシ樹脂組成物には保護膜用エポキシ樹脂組成物の塗布適性を向上させるために界面活性剤を用いることが出来る。例えばシリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が用いられ、市場からはメガファックF470(フッ素系界面活性剤:大日本インキ株式会社製)等として容易に入手可能である。界面活性剤の添加量としては、エポキシ樹脂成分と硬化剤と硬化促進剤の全量が100部のとき、通常0.001〜1.0部、好ましくは0.1〜0.5部である。
本発明の保護膜用エポキシ樹脂組成物は、アルコキシ基を有するシラン変性エポキシ樹脂 (A)、硬化剤、硬化促進剤、並びに必要に応じエポキシ樹脂(A)以外のエポキシ樹脂、各種添加剤を有機溶媒中に均一に溶解させることにより得られる。このものはそのままワニスとして使用することが可能である。この場合、通常、固形分濃度が10%以上、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上で、かつ50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下程度になるよう調製すればよい。この濃度は塗布などの効率等を考えれば25℃における粘度が2〜30mPa・s、好ましくは4〜15mPa・sになるように組成比を適宜調整する。
本発明の保護膜用エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる塗膜は、ガラス、木、金属、プラスチック等の種々の材料に対して優れた密着性を有し、平滑性、高温時耐黄変性、透明性、靭性に優れていることから、例えば各種保護膜等として、特に有機EL素子やプラズマディスプレイパネルといった高可視光透過率を要求される箇所における塗膜(高可視光透過率塗膜)として有用である。本発明の保護膜用エポキシ樹脂組成物において、高可視光透過性を満たすものとしては、膜厚1μmになるように成膜した時の透過率が、400nmにおいて95%以上であるものが好ましい。また、更に本発明の保護膜用エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる塗膜は特にITO成膜時の高温耐性に優れることより、液晶表示用カラーフィルター等の着色樹脂膜の上に保護膜を形成させる場合あるいは液晶表示用カラーフィルターの平滑層の形成に際し特に有用である。
本発明の保護膜用エポキシ樹脂組成物をカラーフィルター等の保護膜として使用する場合は、通常スピンコート法により塗布が行われる。膜厚は通常、硬化後0.1〜10μmに、好ましくは0.5〜8μmになるような条件で塗布される。この際、塗布作業を効率的に行うため、本発明の組成物の25℃における粘度を2mPa・s以上、好ましくは4mPa・s以上、更に好ましくは5mPa・s以上で、かつ、30mPa・s以下、好ましくは15mPa・s以下、より好ましくは13mPa・s以下になるように、通常溶剤(D)の使用量を調整する。塗布後の乾燥、硬化条件は使用した溶媒を含む各成分の種類及びその使用割合によって最適な条件を選択する必要があるが、通常、70〜100℃でプリベークし溶剤を除去した後、150〜250℃で10分〜1.5時間ポストベークを行い硬化させる。硬化温度は一定でなくても良く、例えば昇温させながら硬化を行ってもよい。プリベーク溶媒除去、及びポストベーク硬化はオーブン、ホットプレート等を用いて行うことができる。
本発明の保護膜を有するカラーフィルターは液晶表示装置等に好適に使用することができる。通常の液晶表示装置はカラーフィルター部(必要に応じてITO成膜、ITOパターニングが施される)、液晶部、バックライト部及び偏光フィルム部から構成されるので、そのカラーフィルター部に本発明の保護膜を施したカラーフィルターを使用することにより、本発明の液晶表示装置とすることができる。
以下、実施例を以って本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
表1の実施例1の欄に示す組成(数値は「部」)のものを混合し、溶解せしめて、粘度約7.5mPa・s(R型粘度計、10rpmでの測定値)の本発明の保護膜用エポキシ樹脂組成物を調製した。次に厚さ0.7mmのガラス基板上に、この保護膜用エポキシ樹脂組成物をスピンコーターを用いて、硬化後の厚さが1.5μmになるように塗布し、100℃、2分の条件でプリベークを行った後、230℃、30分の条件で硬化し、透明な本発明の保護膜を得た。本発明の保護膜の評価結果(評価方法は後述)を表2に示す。
実施例2〜3、比較例1
表1の実施例2〜3及び比較例1〜2の各欄に示す組成のものを用いた以外は実施例1と同様に行い保護膜を作成した。これらの評価結果を表2に示した。
実施例4、5、6
表1の実施例1〜3の各欄に示す組成の本発明の保護膜用エポキシ樹脂組成物を用い、ガラス基板の代わりに微細パターン化したカラーフィルター(ガラス基板の表面に着色樹脂膜が形成されたもの)を用いた以外は実施例1と同様にして得られた保護膜につき評価した結果を表3に示した。
表1
実施例1,4 実施例2,5 実施例3,6 比較例1
エポキシ樹脂A 197 98.5
(純分100) (純分50)
エポキシ樹脂B 100
(純分50)
エポキシ樹脂C 50 50 100
硬化剤 12 31 32 74
促進剤 2 2 2 2
添加剤A 0.5 0.5 0.5 0.5
添加剤B 1 1 1 1
溶剤 232 356 386 505
表1中の各成分の詳細は、以下のとおりである。
エポキシ樹脂A:ビスフェノールA型樹脂とメトキシシランとの縮合反応物(商品名:コンポセランHBEP125、エポキシ当量:約870g/eq、溶剤:ジメチルジプロピレングリコール、純分:51%、荒川化学工業株式会社製)
エポキシ樹脂B:ビスフェノールA型樹脂とメチル基を有するメトキシシランとの縮合反応物(商品名:コンポセランE103B、エポキシ当量:約700g/eq、溶剤:ジメチルジプロピレングリコール、純分:50%、荒川化学工業株式会社製)
エポキシ樹脂C:2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニル]プロパンのグリシジルエーテル化合物(商品名:VG3101、エポキシ当量:約211g/eq、三井化学工業株式会社製から濃縮してして得たもの)
硬化剤 :ノボラック型テルペン骨格を有するフェノール樹脂(水酸基当量:174g/eq、商品名:エピキュアMP402FPY、ジャパンエポキシレジン株式会社製)
促進剤 :2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ−〔1,2−a〕ベンズイミダゾール(商品名キュアゾールTBZ、四国化成株式会社製)
添加剤A :フッ素系界面活性剤メガファックF470(大日本インキ株式会社製)
添加剤B :エポキシシラン系カップリング剤サイラエースS−510(株式会社チッソ製)
溶剤 :プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
表2
実施例 比較例
1 2 3 4 5 6 1
ITO試験 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ×
透明性 ○ ○ ○ ― ― ― ○
耐熱性 ○ ○ ○ ― ― ― ○
硬度(Hv) 650 534 510 ― ― ― 430
耐アルカリ性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
表2において評価方法、及び判定基準は以下のとおりである。
1.ITO試験
実施例1〜6、比較例1の保護膜を240℃の条件でITOを2500Å膜厚、シート抵抗値10Ω/cmになるようにスパッタした時の膜状態を観察し、外観変化のないものを○、部分的に皺、クラックの発生しているものを△、全体的に皺、クラックが発生し、白濁しているものを×とした。
2.透明性
実施例1〜3、比較例1の保護膜を、分光光度計で測定し、1μあたりの膜厚に換算した際の400nmの透過率が95%以上であるものを○、90〜95%のものを△、90%以下のものを×とした。
3.耐熱性試験
実施例1〜3、比較例1の保護膜を、250℃のオーブンにそれぞれ60分間放置し、保護膜の黄変性を目視により判定した。判定基準は、高温放置する前の塗膜に比較し、○がほとんど変化なし、△がやや黄変するもの、×が黄変し使用に耐えないものを示した。
5.硬度
表面皮膜物性試験機(株式会社フィッシャー・インストルメンツ製フィッシャースコープH−100C−HCU)を使用し、ガラス基板に1.5μmの膜厚になるよう作成した試験片の2mN荷重下でのヴィッカース硬度(Hv)を測定した。
6.耐アルカリ性
実施例1〜6、比較例1の保護膜を、60℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液に30分浸漬した後の、塗膜の状態を観察した。判定基準は、光学顕微鏡下1000倍で塗膜表面を観察した時、外観変化の無いものを○、表面荒れの認められるものを△、塗膜剥がれのあるものを×とした。
表2の結果より明らかなように、本発明の保護膜は、高い表面硬度を有し、かつ透明性、耐熱性、硬度、耐アルカリ性に優れ、特に高温下での優れたITO蒸着耐性を有している。このことから、本発明の組成物においては硬化剤、特に環状テルペン骨格を有する多価フェノール化合物である硬化剤がITO蒸着耐性、透明性、耐熱性、硬度、耐アルカリ性に優れた保護膜を与えることがわかる。

Claims (9)

  1. 水酸基を有するエポキシ樹脂とアルコキシシラン部分縮合物とを脱アルコール縮合反応させて得られるアルコキシ基を有するシラン変性エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)及び硬化促進剤(C)を含む保護膜用エポキシ樹脂組成物であって、硬化剤(B)が環状テルペン骨格を有する多価フェノール化合物であり、硬化促進剤(C)が2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ−〔1,2−a〕ベンズイミダゾールである保護膜用エポキシ樹脂組成物。
  2. 溶剤(D)を含むことを特徴とする請求項1に記載の保護膜用エポキシ樹脂組成物。
  3. 水酸基を有するエポキシ樹脂がビスフェノールA型エポキシ樹脂である請求項1又は請求項2に記載の保護膜用エポキシ樹脂組成物。
  4. 環状テルペン骨格を有する多価フェノール化合物が、環状テルペン化合物1分子にフェノール類2分子を付加させた化合物である請求項に記載の保護膜用エポキシ樹脂組成物。
  5. 環状テルペン骨格を有する多価フェノール化合物が、環状テルペン化合物1分子にフェノール類2分子を付加させた化合物に、酸性触媒の存在下にさらにアルデヒド類及び/又はケトン類を縮合反応させて得られた化合物である請求項に記載の保護膜用エポキシ樹脂組成物。
  6. 環状テルペン骨格を有する多価フェノール化合物のフェノール骨格が、フェノール、o−クレゾール、2,6−キシレノール及びo−アリルフェノールからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である請求項3ないし請求項5のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. カラーフィルターの保護膜用である請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる保護膜。
  9. 請求項に記載の保護膜を有するカラーフィルターを備えた液晶表示装置。
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