JP5125609B2 - 制動力配分制御装置 - Google Patents

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    • B60T8/176Brake regulation specially adapted to prevent excessive wheel slip during vehicle deceleration, e.g. ABS
    • B60T8/1766Proportioning of brake forces according to vehicle axle loads, e.g. front to rear of vehicle

Description

本発明は、各輪に発生させる制動力の配分を制御することにより、高い減速度を発生させることが可能となる制動力配分制御装置に関するものである。
従来、この種の制動力配分制御装置として、特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載された制動力配分制御装置では、車両の姿勢を良好に保ちながら各輪の能力を最大限に発揮するために、加速度センサを用いて輪荷重比に応じて制動力を配分することで、各輪の負荷を適正に分配できるようにしている。なお、ここでいう各輪の能力とは、各輪のタイヤと路面との間の路面摩擦係数μの利用率(μ利用率)のことを意味している(例えば、特許文献2参照)。
特開平6−16117号公報 特開2005−145256号公報
しかしながら、特許文献1に示される制動力配分制御装置では、積載状態が大きく変動すると各輪の分担荷重比を推定することができず、各輪の能力を最大限に発揮すること、つまり各輪が発生させられ得る制動力を発生させることができなくなる。これにより、ドライバが要求する減速度を確保できず、制動距離が伸びてしまうという問題が生じる。
本発明は上記点に鑑みて、積載状態が大きく変化した場合のように各輪の分担荷重比が正しく推定できなくても、制動力が低下して制動距離が伸びることを防止できる制動力配分制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明者らは、車輪スリップが輪荷重の指標であることに基づき、各輪間の車輪スリップの差に基づいて制動力制御を行うことを見出した。これについて図20を参照して説明する。
図20は、輪荷重の大きさに応じたスリップ率と制動力の関係を示す。この図に示されるように、制動力は輪荷重が異なっていてもスリップ率10%前後でピークとなる。そして、ある制動力Fxを与えたとき、輪荷重の増加に伴いスリップ率は減少するという関係がある。したがって、スリップ率は輪荷重の指標とみなすことができ、スリップ率を用いて輪荷重の推測を行うことができる。なお、スリップ率は車輪スリップを示す指標であるので、車輪スリップを示す別の指標に置き換えても、同様に、輪荷重を推定できる。
ここで、輪荷重比に応じて正しく制動力が配分されていれば、各輪の車輪スリップは同一となる。そのため各輪間の車輪スリップの差が生じれば、それは輪荷重推定を誤って制動力を配分していることになる。したがって、各輪の車輪スリップの差に基づいて各輪に発生させる制動力を制御すれば、各車輪の能力を最大限に発揮することが可能となる。
そこで、請求項1に記載の発明では、車輪スリップが大きい車輪を基準輪と決定し、基準輪よりスリップの小さい車輪を作用輪と決定して、作用輪のスリップ量が基準輪のスリップ量に近づくように作用輪の制動力を増加させている。これにより、実際の輪荷重に対応した制動力より与えられた制動力が小さいためにスリップ量が小さくなっている車輪に対し、適正な制動力に近づくように制動力が増加され、各車輪の制動力を最大限に発揮することができる。
具体的には、請求項に記載の発明では、各輪目標制動力演算手段(13)により、車輪接地荷重推定手段(12)による推定荷重に基づいて各輪の制動力の目標値となる目標制動力を演算し、この演算された目標制動力を発生させるべく、各輪の制動力を個別に制御できる各輪制動力発生装置(2)に対して目標制動力を示す出力を発生させる制動力配分制御装置において、車体に取り付けられた各輪の車輪速度を取得する車輪速度取得手段(6)にて取得された各輪の車輪速度に基づいて、各輪の車輪スリップに相当するスリップ相当量を演算するスリップ相当量演算手段(16)と、スリップ相当量演算手段(16)にて演算された各輪の中でスリップ相当量が最も大きい車輪を決定し、該最も大きい車輪のスリップ相当量に近づくように、スリップ相当量が最も大きい車輪以外の車輪の目標制動力を増加させる補正を行う各輪目標制動力補正手段と、を備え、各輪目標制動力補正手段は、最も大きい車輪のスリップ相当量に近づくように、スリップ相当量が最も大きい車輪以外の車輪の目標制動力を増加させるべく、車輪接地荷重推定手段(12)による推定荷重を補正する荷重推定補正手段(17)を備えていることを特徴としている。
このように、車輪スリップ相当量が最大となる車輪を決定したのち、該最も大きい車輪のスリップ相当量と制御の対象輪のスリップ相当量との差を演算し、その差に応じて目標制動力を増加させるようにしている。これにより、スリップ相当量の差に応じた応答性にて各輪のスリップ相当量が最も大きい車輪のスリップ相当量に近づくように車輪接地荷重推定手段(12)による推定荷重を補正することで目標制動力を高めている。
スリップ相当量が最も大きい車輪が最も能力を発揮可能、つまりμ利用率を高めることにより発生させ得る制動力をより発生させられていると考えられる。したがって、スリップ相当量が最も大きい車輪よりもスリップ相当量が小さい輪に関して、スリップ相当量が最も大きい車輪のスリップ相当量との差に基づいて推定荷重を補正することで発生させるべき制動力を補正し、制動力を増大させるようにすれば、各車輪の能力を最大限に発揮することが可能となる。
例えば、請求項に記載したように、荷重推定補正手段(17)は、スリップ相当量が最も大きい車輪のスリップ相当量と各輪のうち制御対象となる対象輪の車輪スリップ相当量との差が予め決められた規定値を超えていれば、対象輪の推定荷重を増加させる補正を行うことで目標制動力を増加させる補正を行うことができる。
請求項に記載の発明では、荷重推定補正手段(17)は、複数の右側輪の中からスリップ相当量が最も大きい車輪を決定し、複数の右側輪の中でスリップ相当量が最も大きい車輪のスリップ相当量と複数の右側輪のうちの対象輪のスリップ相当量との差が規定値を超えるか比較することにより対象輪の推定荷重を増加させる補正を行って目標制動力を増加させる補正を行うと共に、複数の左側輪の中からスリップ相当量が最も大きい車輪を決定し、複数の左側輪の中でスリップ相当量が最も大きい車輪のスリップ相当量と複数の左側輪のうちの対象輪のスリップ相当量との差が規定値を超えるか比較することにより対象輪の推定荷重を増加させる補正を行って目標制動力を増加させる補正を行うことを特徴としている。
このように、スリップ相当量に基づく目標制動力の補正を行う際に、スリップ相当量の比較を右側輪と左側輪でそれぞれ分けて行い、右側輪と左側輪とで別々に補正を行うようにしている。このように、右側輪と左側輪とで別々に補正を行えば、それぞれの側で適切な制動力を発生させられるため、各車輪の能力を最大限に発揮することが可能となる。
請求項に記載の発明では、荷重推定補正手段(17)は、複数の前輪の中からスリップ相当量が最も大きい車輪を決定し、複数の前輪の中でスリップ相当量が最も大きい車輪のスリップ相当量と複数の前輪のうちの対象輪のスリップ相当量との差が規定値を超えるか比較することにより対象輪の推定荷重を増加させる補正を行って目標制動力を増加させる補正を行うと共に、複数の後輪の中からスリップ相当量が最も大きい車輪を決定し、複数の後輪の中でスリップ相当量が最も大きい車輪のスリップ相当量と複数の後輪のうちの対象輪のスリップ相当量との差が規定値を超えるか比較することにより対象輪の推定荷重を増加させる補正を行って目標制動力を増加させる補正を行うことを特徴としている。
このように、スリップ相当量に基づく目標制動力の補正を行う際に、スリップ相当量の比較を前輪と後輪でそれぞれ分けて行い、前輪と後輪とで別々に補正を行うようにしている。このように、前輪と後輪とで別々に補正を行えば、前輪の左右および後輪の左右それぞれで制動力をバランスさせられるため、車両の姿勢を良好に保ちながら各車輪の能力を最大限に発揮することが可能となる。
請求項に記載の発明は、上記請求項に記載の発明におけるスリップ相当量に基づく補正を推定荷重に対して行うのではなく、接地荷重の推定に用いられる車両諸元を補正することにより行うものである。具体的には、スリップ相当量演算手段(16)にて演算された各輪の中でスリップ相当量が最も大きい車輪を決定し、該最も大きい車輪のスリップ相当量に近づくように、スリップ相当量が最も大きい車輪以外の車輪の目標制動力を増加させるべく、車輪接地荷重推定手段(12)による接地荷重の推定に用いられる車両諸元を補正する車両諸元補正手段(18)を備えていることを特徴としている。これにより、請求項と同様の効果を得ることができる。
請求項6ないし8に関しても請求項2ないし4と同様の手法により、車輪接地荷重推定手段(12)による接地荷重の推定に用いられる車両諸元の補正を行うことを特徴としている。これにより、請求項2ないし4と同様の効果を得ることができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかる車両用の制動力配分制御装置1のブロック図である。以下、この図を参照して制動力配分制御装置1の構成について説明する。
本実施形態の制動力配分制御装置1は、各種センサの検出結果に基づいて各輪目標制動力を求めると共にその各輪目標制動力を補正し、補正後の各輪目標制動力を制動力配分制御装置2に伝えることにより、各輪に対して各輪目標制動力に相当する制動力を発生させるものである。例えば、ブレーキ用の電子制御装置(以下、ECUという)等がここでいう制動力配分制御装置1に相当している。なお、制動力配分制御装置2は、油圧に基づいて制動力を付与する油圧ブレーキもしくは電気的に発生させる加圧力に基づいて制動力を付与する電動ブレーキなど、各輪に制動力を発生することができるものであれば、空気圧によるブレーキやモータを使った回生ブレーキなどのように、周知となっているどのようなものであっても良いため、ここでは制動力配分制御装置2の詳細については説明を省略する。
図1に示すように、制動力配分制御装置1には、目標減速度演算部11、荷重推定部12、各輪目標制動力演算部13および各輪目標制動力補正部14等が備えられている。
目標減速度演算部11では、ドライバによるブレーキペダルやブレーキレバー等の図示しないブレーキ操作部材の操作量に対応した目標減速度を演算する。具体的には、目標減速度演算部11には、ブレーキ操作部材の操作量に応じて変動する図示しないマスタシリンダ(以下、M/Cという)内のブレーキ液圧(以下、M/C圧という)を検出するM/C圧センサ3の検出信号が入力されており、目標減速度演算部11は、このM/C圧センサ3の検出信号に基づいて目標減速度を演算している。
図2は、M/C圧と目標減速度との関係の一例を示した特性図である。この図に示されるようにM/C圧が大きくなる程、目標減速度が大きくなる関係になっており、この関係を示す関数もしくは特性マップが目標減速度演算部11に記憶されている。このため、目標減速度演算部11では、検出されたM/C圧と対応する目標減速度をその特性マップもしくはそれと対応する関数を用いて演算する。
なお、ここではM/C圧センサ3の検出信号に基づいてドライバによるブレーキ操作部材の操作量を検出しているが、その他にも、図示しない踏力センサやストロークセンサ等の検出信号に基づいて検出しても良い。勿論、これらのうちの複数のセンサを用いてブレーキ操作部材の操作量を検出しても構わない。さらに、他の制御装置の出力等にて減速度を指示する量があるならば、それをもって目標減速度としても良い。
荷重推定部12では、各輪に掛かる荷重を推定する。具体的には、荷重推定部12は、前後加速度センサ4の検出信号、横加速度センサ5の検出信号および予め車両諸元記憶部15に記憶しておいた車両諸元を取得し、これらに基づいて荷重推定を行う。例えば、右前輪に掛かる推定荷重WFRに関しては次式のように表すことができる。
(数1)
FR =WFR0+ΔWGx/2+ΔWGy
数式1中において、ΔWGxおよびΔWGyは、それぞれ、前後方向荷重移動量と左右方向(左右方向)荷重移動量であり、下記の数式2、3として表される。
(数2)
ΔWGx=M×Gx×H/L
(数3)
ΔWGy=(WF0+ΔWGx)×Gy×H/b
ただし、上記各数式中、Mは車体重量、Hは重心高、Lはホイールベース、bはトレッド幅、Gxは前後方向加速度、Gyは左右方向(横方向)加速度、WFR0は右前輪の静止時輪荷重(初期輪荷重)、WF0は左右両輪分の前輪の静止時軸荷重(初期軸荷重)である。これら各値のうち、車体重量M、重心高H、ホイールベースL、トレッド幅b、右前輪の静止時輪荷重WFR0、左右両輪分の前輪の静止時軸荷重WF0に関しては、車両諸元として予め記憶されている値であり、前後方向加速度Gxおよび左右方向加速度Gyは前後加速度センサ4や横加速度センサ5の検出信号に基づいて演算される値である。
このようにして右前輪に掛かる荷重WFRを演算することができる。同様に、他の車輪に掛かる推定荷重についても、上記右前輪に掛かる推定荷重WFRのようにして周知の手法により演算することができる。
なお、本実施形態では、制動力配分制御装置1に予め車両諸元記憶部15を備えておき、そこに車両諸元の値を記憶させているが、車両に搭載される他のECUなどに記憶されているのであれば、そこからデータを導出するようにしても構わない。
また、ここでは前後方向加速度Gxと左右方向加速度Gyを得るために、前後加速度センサ4や横加速度センサ5の検出信号を用いているが、これらを例えば車輪速度と舵角に基づいて得ることも可能であるため、必ずしも前後加速度センサ4や横加速度センサ5の検出信号を用いなければならない訳ではない。
各輪目標制動力演算部13は、目標減速度演算部11で演算された目標減速度と荷重推定部12で演算された各輪の推定荷重に比例して配分することにより、各輪標準目標制動力の演算を行う。
各輪目標制動力補正部14では、各輪目標制動力演算部13で演算した各輪標準目標制動力を補正し、補正後の各輪目標制動力(以下、各輪補正後目標制動力という)を発生させるべく、各輪制動力発生装置2に対して目標制動力を発生させるための指示信号(例えば油圧ブレーキであれば油圧指示値、電動ブレーキであれば電流指示値等を意味する)を出力する。
具体的には、制動力配分制御装置1には車輪速度センサ6の検出信号を取得して各輪の車輪スリップを演算する車輪スリップ演算部16が備えられており、各輪目標制動力補正部14に対してこの車輪スリップ演算部16にて演算された車輪スリップの値が入力されるようになっている。このため、各輪目標制動力補正部14は、取得した車輪スリップに基づいて各輪目標制動力を補正する。この補正の手法に関しては後で詳細に説明するが、上述したように、輪荷重比に応じて正しく制動力が配分されていれば、各輪の車輪スリップは同一となるため、各輪間の車輪スリップの差が生じれば、それは輪荷重推定を誤って制動力を配分していることになるのに対し、各輪の車輪スリップの差に基づいて各輪目標制動力を補正することで各輪に発生させる制動力を補正すれば、各車輪の能力を最大限に発揮することが可能となる。
次に、上記のように構成された制動力配分制御装置1における作動について説明する。ただし、本実施形態では、目標減速度演算部11における目標減速度の演算手法や荷重推定部12における荷重推定の手法に関しては、上述した通りのことを所定の演算周期毎に実行しているだけであるため、ここでは本実施形態の特徴となる各輪目標制動力補正部14による各輪目標制動力の補正方法について説明する。図3は、各輪目標制動力補正部14で実行する各輪目標制動力補正処理のフローチャートである。各輪目標制動力補正部14は、予め記憶してあるプログラムにしたがって、図3に示す各輪目標制動力補正処理を4輪それぞれに対して所定の演算周期ごとに実行する。
まず、ステップ100では、最大スリップ輪を決定する。この処理は、車輪速度センサ6の検出信号に基づいて演算された各輪の車輪スリップの中から最も大きい値の車輪を選択することにより行われる。なお、各輪の車輪スリップは、各輪の車輪速度から周知の手法により演算される推定車体速度と各輪の車輪速度との差から求められている。
そして、ステップ105に進み、対象輪が最大スリップ輪であるか否かを判定する。対象輪とは、現在各輪目標制動力補正処理を行っている対象となる車輪のことであり、4輪のうちの1輪が該当する。ここで、対象輪が最大スリップ輪、つまり車輪スリップが最も大きな車輪であればステップ110に進み、目標制動力補正量を0に設定してステップ125に進む。すなわち、上述したようにスリップ率が10%程度のところで制動力が最大となることから、例えばアンチスキッド制御(以下、ABS制御という)や横滑り防止制御(以下、ESC制御という)のような車両を安定化させるための制動力を調整する制御に入っていなければ、最大スリップ輪となっている車輪が最も能力を発揮可能と考えられる。したがって、最大スリップ輪に対しては目標制動力補正を行う必要がないため、目標制動力補正量を0に設定する。
ただし、ABS制御やESC制御等が働いている期間は本来の意図と反した補正が行われる可能性がある。このため、ABS制御やESC制御が終了して通常の接地荷重に基づいた配分制御が行われると車両挙動に悪影響が出る可能性がある。したがって、ABS制御やESC制御が行われている期間は上記補正を行わないようにすると良い。
一方、ステップ105で否定判定されれば、ステップ115に進む。ステップ115では、最大スリップ輪の車輪スリップと対象輪の車輪スリップとの差が規定値(閾値)以内であるか否かを判定する。そして、その差が規定値以内であれば各輪目標制動力補正量の前回値を補正することなくそのまま用いれば良いため、そのままステップ125に進み、規定値を超えていれば補正を行う必要があるため、ステップ120に進む。
ステップ120では、目標制動力補正量を演算する。目標制動力補正量は、次式に示すように、各輪目標制動力補正量の前回値に対して一定増加量分を加算することにより演算される。
(数4)
各輪目標制動力補正量=各輪目標制動力補正量(前回値)+一定増加量
この後、ステップ125において、次式に示すように、各輪標準目標制動力に対して各輪目標制動力補正量を加算することにより、各輪補正後目標制動力を演算する。
(数5)
各輪補正後目標制動力=各輪標準目標制動力+各輪目標制動力補正量
そして、ステップ130において、すべての輪が判定を終了したか否かを判定し、4輪すべてに関して終了していれば、本処理を終了し、4輪すべて終了していなければ、終了していない輪に関してステップ105以降の処理を繰り返す。
以上説明したように、本実施形態の制動力配分制御装置1では、4輪のうち車輪スリップが最大の車輪である最大スリップ輪を決定したのち、最大スリップ輪の車輪スリップと制御の対象輪の車輪スリップとの差を演算し、その差に応じた各輪目標制動力補正量を設定している。具体的には、その差が規定値を超えていれば各輪目標制動力補正量の前回値に対して一定増加量を加算することにより各輪目標制動力補正量を増加させ、超えていなければ各輪目標制動力補正量の前回値をそのまま用いることで、車輪スリップの差に応じた応答性にて各輪の車輪スリップが最大スリップ輪の車輪スリップに近づくように目標制動力を高めている。
つまり、上述したように、輪荷重比に応じて正しく制動力が配分されていれば、各輪の車輪スリップは同一となるため、各輪間の車輪スリップの差が生じれば、それは輪荷重推定を誤って制動力を配分していることになる。このため、最大スリップ輪となっている車輪が最も能力を発揮可能と考えられる。したがって、最大スリップ輪よりも車輪スリップが小さい輪に関して、最大スリップ輪の車輪スリップとの差に基づいて発生させるべき制動力を補正し、制動力を増大させるようにすれば、各車輪の能力を最大限に発揮することが可能となる。これにより、積載状態が大きく変化した場合のように各輪の分担荷重比が正しく推定できなくても、制動力が低下して制動距離が伸びることを防止できる。
なお、特開平9−86375号公報において、ABS制御が開始後に、後輪の制動力を増加させるものがあるが、このような手法では、ABS制御が開始されなければ後輪の制動力は増加せず、得られる減速度が低下する。しかしながら、本実施形態のように、ABS制御等に関わらず、最大スリップ輪の車輪スリップと制御の対象輪の車輪スリップとの差に応じて各輪制動力補正量を設定することにより、ABS制御が開始されなくても高い制動力を得ることが可能となる。
また、特開平8−198076号公報において、車両の姿勢を安定させるために、スリップ率の大きい車輪の制動力を下げる手法が記載されているが、このような手法では最も能力が発揮できていない車輪に合せて、他の車輪の制動力を下げる制御となるため、制動力が低下することになる。しかしながら、本実施形態のように、車輪スリップが最も大きい車輪の車輪スリップに合せて他の車輪の制動力を高めるようにすることで、高い制動力を得ることが可能となる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して車輪スリップに基づく各輪目標制動力補正を行う際に、車輪スリップの比較を右側2輪と左側2輪でそれぞれ分けて行い、右側2輪と左側2輪とで別々に補正量を決定するという点を変更したものである。したがって、本実施形態の制動力配分制御装置1の基本構成は第1実施形態と同様であり、各輪目標制動力補正部14で実行する各輪目標制動力補正処理のみが異なっているため、この異なっている部分についてのみ説明する。
図4は、本実施形態にかかる制動力配分制御装置1の各輪目標制動力補正部14で実行する各輪目標制動力補正処理のフローチャートである。各輪目標制動力補正部14は、予め記憶してあるプログラムにしたがって、図4に示す各輪目標制動力補正処理を4輪それぞれに対して所定の演算周期ごとに実行する。
まず、ステップ200では、左右輪それぞれの最大スリップ輪を決定する。この処理は、上述したステップ100と同様の手法により、左右輪それぞれの中から車輪スリップが大きい輪を選択することにより行われる。
そして、ステップ205に進み、対象輪が対象輪の属する側の最大スリップ輪であるか否かを判定する。ここでいう対象輪の属する側とは、対象輪が右前後輪のいずれかであれば右側、左前後輪のいずれかであれば左側のことを意味している。ここで、対象輪が対象輪の属する側の最大スリップ輪であればステップ210に進み、目標制動力補正量を0に設定してステップ225に進む。
一方、ステップ205で否定判定されれば、ステップ215に進む。ステップ215では、対象輪が属する側の最大スリップ輪の車輪スリップと対象輪の車輪スリップとの差が規定値(閾値)以内であるか否かを判定する。そして、その差が規定値以内であれば各輪目標制動力補正量の前回値を補正することなくそのまま用いれば良いため、そのままステップ225に進み、規定値を超えていれば補正を行う必要があるため、ステップ220に進む。
そして、ステップ220において上述したステップ120と同様の手法により目標制動力補正量を演算したのち、ステップ225において上述したステップ125と同様の手法により各輪補正後目標制動力を演算する。最後に、ステップ230において、すべての輪が判定を終了したかを判定し、4輪すべてに関して終了するまで上記処理を繰り返したのち本処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態の制動力配分制御装置1では、車輪スリップに基づく各輪目標制動力補正を行う際に、車輪スリップの比較を右側2輪と左側2輪でそれぞれ分けて行い、右側2輪と左側2輪とで別々に補正量を決定するようにしている。このように、右側2輪と左側2輪とで別々に補正量を決定すれば、それぞれの側で適切な制動力を発生させられるため、車両の姿勢を良好に保ちながら各車輪の能力を最大限に発揮することが可能となる。また、積載状態が大きく変化した場合のように各輪の分担荷重比が正しく推定できなくても、制動力が低下して制動距離が伸びることを防止できる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して車輪スリップに基づく各輪目標制動力補正を行う際に、車輪スリップの比較を前輪2輪と後輪2輪でそれぞれ分けて行い、前輪2輪と後輪2輪とで別々に補正量を決定するという点を変更したものである。したがって、本実施形態の制動力配分制御装置1の基本構成は第1実施形態と同様であり、各輪目標制動力補正部14で実行する各輪目標制動力補正処理のみが異なっているため、この異なっている部分についてのみ説明する。
図5は、本実施形態にかかる制動力配分制御装置1の各輪目標制動力補正部14で実行する各輪目標制動力補正処理のフローチャートである。各輪目標制動力補正部14は、予め記憶してあるプログラムにしたがって、図5に示す各輪目標制動力補正処理を4輪それぞれに対して所定の演算周期ごとに実行する。
まず、ステップ300では、前後輪それぞれの最大スリップ輪を決定する。この処理は、上述したステップ100と同様の手法により、前輪と後輪それぞれの中から車輪スリップが大きい輪を選択することにより行われる。
そして、ステップ305に進み、対象輪が対象輪の属する側の最大スリップ輪であるか否かを判定する。ここでいう対象輪の属する側とは、対象輪が両前輪のいずれかであれば前輪側、両後輪のいずれかであれば後輪側のことを意味している。ここで、対象輪が対象輪の属する側の最大スリップ輪であればステップ310に進み、目標制動力補正量を0に設定してステップ325に進む。
一方、ステップ305で否定判定されれば、ステップ315に進む。ステップ315では、対象輪が属する側の最大スリップ輪の車輪スリップと対象輪の車輪スリップとの差が規定値(閾値)以内であるか否かを判定する。そして、その差が規定値以内であれば各輪目標制動力補正量の前回値を補正することなくそのまま用いれば良いため、そのままステップ325に進み、規定値を超えていれば補正を行う必要があるため、ステップ320に進む。
そして、ステップ320において上述したステップ120と同様の手法により目標制動力補正量を演算したのち、ステップ325において上述したステップ125と同様の手法により各輪補正後目標制動力を演算する。最後に、ステップ330において、すべての輪が判定を終了したかを判定し、4輪すべてに関して終了するまで上記処理を繰り返したのち本処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態の制動力配分制御装置1では、車輪スリップに基づく各輪目標制動力補正を行う際に、車輪スリップの比較を前輪2輪と後輪2輪でそれぞれ分けて行い、前輪2輪と後輪2輪とで別々に補正量を決定するようにしている。このように、前輪2輪と後輪2輪とで別々に補正量を決定すれば、両前輪の制動力および両後輪の制動力をバランスさせられるため、車両の姿勢を良好に保ちながら各車輪の能力を最大限に発揮することが可能となる。また、積載状態が大きく変化した場合のように各輪の分担荷重比が正しく推定できなくても、制動力が低下して制動距離が伸びることを防止できる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して車輪スリップに基づく各輪目標制動力補正を行う際に、前輪側と後輪側それぞれで基準となる車輪スリップを決定し、補正量を右側2輪内で同一にすると共に左側2輪内で同一として目標制動力補正を行うという点を変更したものである。したがって、本実施形態の制動力配分制御装置1の基本構成は第1実施形態と同様であり、各輪目標制動力補正部14で実行する各輪目標制動力補正処理のみが異なっているため、この異なっている部分についてのみ説明する。
図6は、本実施形態にかかる制動力配分制御装置1の各輪目標制動力補正部14で実行する各輪目標制動力補正処理のフローチャートである。各輪目標制動力補正部14は、予め記憶してあるプログラムにしたがって、図6に示す各輪目標制動力補正処理を4輪それぞれに対して所定の演算周期ごとに実行する。
まず、ステップ400では、前輪スリップと後輪スリップを決定する。前輪スリップとは両前輪のスリップ状態を代表して表した基準となる車輪スリップを意味しており、後輪スリップとは両後輪のスリップ状態を代表して表した基準となる車輪スリップを意味している。これらは、以下の(1)〜(5)に示される組み合わせとして表される。
(1)両前輪の車輪スリップの平均値と両後輪の車輪スリップの平均値
(2)両前輪の車輪スリップのうちの最大値と両後輪の車輪スリップのうちの最大値
(3)両前輪の車輪スリップのうちの最大値と両後輪の車輪スリップのうちの最小値
(4)両前輪の車輪スリップのうちの最小値と両後輪の車輪スリップのうちの最大値
(5)両前輪の車輪スリップのうちの最小値と両後輪の車輪スリップのうちの最小値
次に、ステップ405では、ステップ400で決定した前輪スリップが後輪スリップよりも大きいか否かを判定する。そして、前輪スリップの方が後輪スリップよりも大きければステップ410に進み、後輪スリップの方が前輪スリップよりも大きければステップ430に進む。
ステップ410では、前輪スリップと後輪スリップの差(以下、スリップ差という)を演算する。その後、ステップ415において、スリップ差が規定値以内か否かを判定し、スリップ差が規定値以内でなければ補正量を変更すべくステップ420に進む。そして、ステップ420にて、後輪側目標制動力補正量を演算する。後輪側目標制動力補正量は、次式に示すように、後輪側目標制動力補正量の前回値に対して一定増加量を加算することにより演算される。
(数6)
後輪側目標制動力補正量=後輪側目標制動力補正量(前回値)+一定増加量
また、ステップ415において、スリップ差が規定値以内であると判定されれば、補正量を変更する必要がないため、後輪側目標制動力補正量を補正することなくステップ425に進む。そして、ステップ425において、車輪スリップが大きい前輪側目標制動力補正量を0に設定したのち、ステップ450に進む。
一方、ステップ430では、後輪スリップと前輪スリップのスリップ差を演算する。その後、ステップ435において、スリップ差が規定値以内か否かを判定し、スリップ差が規定値以内でなければ補正量を変更すべくステップ440に進む。そして、ステップ440にて、前輪側目標制動力補正量を演算する。前輪側目標制動力補正量は、次式に示すように、前輪側目標制動力補正量の前回値に対して一定増加量を加算することにより演算される。
(数7)
前輪側目標制動力補正量=前輪側目標制動力補正量(前回値)+一定増加量
また、ステップ435において、スリップ差が規定値以内であると判定されれば、補正量を変更する必要がないため、前輪側の目標制動力補正量を補正することなくステップ445に進む。そして、ステップ445において、車輪スリップが大きい後輪側の目標制動力補正量を0に設定したのち、ステップ450に進む。
この後、ステップ450にて対象輪が前輪か否かを判定し、前輪であればステップ455に進み、数式8に基づいて各輪補正後目標制動力を演算し、後輪であればステップ460に進み、数式9に基づいて各輪補正後目標制動力を演算する。なお、これらの数式中に示した前輪側目標制動力補正量および後輪側目標制動力補正量は、上述したステップ420、425、440、445において設定された値を意味している。
(数8)
各輪補正後目標制動力=各輪標準目標制動力+前輪側目標制動力補正量
(数9)
各輪補正後目標制動力=各輪標準目標制動力+後輪側目標制動力補正量
最後に、ステップ465において、すべての輪が判定を終了したかを判定し、4輪すべてに関して終了するまで上記処理を繰り返したのち本処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態の制動力配分制御装置1では、車輪スリップに基づく各輪目標制動力補正を行う際に、前輪側と後輪側それぞれで基準となる車輪スリップを決定し、補正量を右側2輪内で同一にすると共に左側2輪内で同一として目標制動力補正を行うようにしている。このようにすれば、前輪もしくは後輪のいずれかが他方よりも車輪スリップが大きくなったとしても、車両左右において前後輪の制動力を同一にしつつ、車両の姿勢を良好に保ちながら各車輪の能力を最大限に発揮することが可能となる。また、積載状態が大きく変化した場合のように各輪の分担荷重比が正しく推定できなくても、制動力が低下して制動距離が伸びることを防止できる。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して車輪スリップに基づく各輪目標制動力補正を行う際に、右側輪と左側輪それぞれで基準となる車輪スリップを決定し、補正量を両前輪内で同一にすると共に両後輪内で同一として目標制動力補正を行うという点を変更したものである。したがって、本実施形態の制動力配分制御装置1の基本構成は第1実施形態と同様であり、各輪目標制動力補正部14で実行する各輪目標制動力補正処理のみが異なっているため、この異なっている部分についてのみ説明する。
図7は、本実施形態にかかる制動力配分制御装置1の各輪目標制動力補正部14で実行する各輪目標制動力補正処理のフローチャートである。各輪目標制動力補正部14は、予め記憶してあるプログラムにしたがって、図7に示す各輪目標制動力補正処理を4輪それぞれに対して所定の演算周期ごとに実行する。
まず、ステップ500では、右輪スリップと左輪スリップを決定する。右輪スリップとは両右輪のスリップ状態を代表して表した基準となる車輪スリップを意味しており、左輪スリップとは両左輪のスリップ状態を代表して表した基準となる車輪スリップを意味している。これらは、以下の(1)〜(5)に示される組み合わせとして表される。
(1)両右輪の車輪スリップの平均値と両左輪の車輪スリップの平均値
(2)両右輪の車輪スリップのうちの最大値と両左輪の車輪スリップのうちの最大値
(3)両右輪の車輪スリップのうちの最大値と両左輪の車輪スリップのうちの最小値
(4)両右輪の車輪スリップのうちの最小値と両左輪の車輪スリップのうちの最大値
(5)両右輪の車輪スリップのうちの最小値と両左輪の車輪スリップのうちの最小値
次に、ステップ505では、ステップ500で決定した右輪スリップが左輪スリップよりも大きいか否かを判定する。そして、右輪スリップの方が左輪スリップよりも大きければステップ510に進み、左輪スリップの方が右輪スリップよりも大きければステップ530に進む。
ステップ510では、右輪スリップと左輪スリップの差(以下、スリップ差という)を演算する。その後、ステップ515において、スリップ差が規定値以内か否かを判定し、スリップ差が規定値以内でなければ補正量を変更すべくステップ520に進む。そして、ステップ520にて、左輪側目標制動力補正量を演算する。左輪側目標制動力補正量は、次式に示すように、左輪側目標制動力補正量の前回値に対して一定増加量を加算することにより演算される。
(数10)
左輪側目標制動力補正量=左輪側目標制動力補正量(前回値)+一定増加量
また、ステップ515において、スリップ差が規定値以内であると判定されれば、補正量を変更する必要がないため、左輪側目標制動力補正量を補正することなくステップ525に進む。そして、ステップ525において、車輪スリップが大きい右輪側目標制動力補正量を0に設定したのち、ステップ550に進む。
一方、ステップ530では、左輪スリップと右輪スリップのスリップ差を演算する。その後、ステップ535において、スリップ差が規定値以内か否かを判定し、スリップ差が規定値以内でなければ補正量を変更すべくステップ540に進む。そして、ステップ540にて、右輪側目標制動力補正量を演算する。右輪側目標制動力補正量は、次式に示すように、右輪側目標制動力補正量の前回値に対して一定増加量を加算することにより演算される。
(数11)
右輪側目標制動力補正量=右輪側目標制動力補正量(前回値)+一定増加量
また、ステップ535において、スリップ差が規定値以内であると判定されれば、補正量を変更する必要がないため、右輪側の目標制動力補正量を補正することなくステップ545に進む。そして、ステップ545において、車輪スリップが大きい左輪側の目標制動力補正量を0に設定したのち、ステップ550に進む。
この後、ステップ550にて対象輪が右輪か否かを判定し、右輪であればステップ555に進み、数式12に基づいて各輪補正後目標制動力を演算し、左輪であればステップ560に進み、数式13に基づいて各輪補正後目標制動力を演算する。なお、これらの数式中に示した右輪側目標制動力補正量および左輪側目標制動力補正量は、上述したステップ520、525、540、545において設定された値を意味している。
(数12)
各輪補正後目標制動力=各輪標準目標制動力+右輪側目標制動力補正量
(数13)
各輪補正後目標制動力=各輪標準目標制動力+左輪側目標制動力補正量
最後に、ステップ565において、すべての輪が判定を終了したかを判定し、4輪すべてに関して終了するまで上記処理を繰り返したのち本処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態の制動力配分制御装置1では、車輪スリップに基づく各輪目標制動力補正を行う際に、右側輪と左側輪それぞれで基準となる車輪スリップを決定し、補正量を両前輪内で同一にすると共に両後輪内で同一として目標制動力補正を行うようにしている。このようにすれば、例えば旋回中などにおいて右輪側もしくは左輪側のいずれかが他方よりも車輪スリップが大きくなったとしても、車両前後において両輪の制動力を同一にできるため、車両の姿勢を良好に保ちながら各車輪の能力を最大限に発揮することが可能となる。また、積載状態が大きく変化した場合のように各輪の分担荷重比が正しく推定できなくても、制動力が低下して制動距離が伸びることを防止できる。
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態のように車輪スリップに基づいて各輪目標制動力補正を行うのではなく、荷重推定値を補正し、補正後の荷重推定値に基づいて各輪目標制動力を演算するものである。
図8は、本実施形態にかかる車両用の制動力配分制御装置1のブロック図である。この図に示されるように、第1実施形態に対して各輪目標制動力補正部14に関係するブロックが省略されているが、その代わりに、荷重推定部12で得られた推定荷重を補正するための荷重推定補正部17が備えられている。そして、この荷重推定補正部17に対して車輪スリップ演算部16にて演算された車輪スリップの値が入力されるようになっている。
荷重推定補正部17は、取得した車輪スリップに基づいて推定荷重を補正する。上述したように、輪荷重比に応じて正しく制動力が配分されていれば、各輪の車輪スリップは同一となるため、各輪間の車輪スリップの差が生じれば、それは輪荷重推定を誤って制動力を配分していることになる。これに対し、各輪の車輪スリップの差に基づいて推定荷重を補正することで各輪に発生させる制動力を補正すれば、各車輪の能力を最大限に発揮することが可能となる。
次に、本実施形態にかかる制動力配分制御装置1における作動について説明する。図9は、本実施形態にかかる制動力配分制御装置1の荷重推定補正部17で実行する荷重推定補正処理のフローチャートである。荷重推定補正部17は、予め記憶してあるプログラムにしたがって、図9に示す荷重推定補正処理を4輪それぞれに対して所定の演算周期ごとに実行する。
まず、ステップ600では、最大スリップ輪を決定する。この処理は、上述したステップ100と同様の手法により行われる。
そして、ステップ605に進み、対象輪が最大スリップ輪であるか否かを判定したのち、対象輪が最大スリップ輪、つまり車輪スリップが最も大きな車輪であればステップ610に進み、各輪荷重推定補正量を0に設定してステップ625に進む。すなわち、上述したようにスリップ率が10%程度のところで制動力が最大となることから、例えばABS制御やESC制御に入っていなければ、最大スリップ輪となっている車輪が最も能力を発揮可能と考えられる。したがって、最大スリップ輪に対しては荷重推定補正を行う必要がないため、各輪荷重推定補正量を0に設定する。
一方、ステップ605で否定判定されれば、ステップ615に進む。ステップ615では、最大スリップ輪の車輪スリップと対象輪の車輪スリップとの差が規定値(閾値)以内であるか否かを判定する。そして、その差が規定値以内であれば各輪荷重推定補正量の前回値を補正することなくそのまま用いれば良いため、そのままステップ625に進み、規定値を超えていれば補正を行う必要があるため、ステップ620に進む。
ステップ620では、各輪荷重推定補正量を演算する。各輪荷重推定補正量は、次式に示すように、各輪荷重推定補正量の前回値に対して一定増加量分を加算することにより演算される。
(数14)
各輪荷重推定補正量=各輪荷重推定補正量(前回値)+一定増加量
この後、ステップ625において、次式に示すように、各輪標準輪荷重に対して各輪荷重推定補正量を加算することにより、各輪補正後輪荷重を演算する。
(数15)
各輪補正後輪荷重=各輪標準輪荷重+各輪荷重推定補正量
そして、ステップ630において、すべての輪が判定を終了したかを判定し、4輪すべてに関して終了していれば、本処理を終了し、4輪すべて終了していなければ、終了していない輪に関してステップ605以降の処理を繰り返す。
以上説明したように、本実施形態の制動力配分制御装置1では、4輪のうち車輪スリップが最大の車輪である最大スリップ輪を決定したのち、最大スリップ輪の車輪スリップと制御の対象輪の車輪スリップとの差を演算し、その差に応じた各輪荷重推定補正量を設定している。具体的には、その差が規定値を超えていれば各輪荷重推定補正量の前回値に対して一定増加量を加算することにより各輪荷重推定補正量を増加させ、超えていなければ各輪荷重推定補正量の前回値をそのまま用いることで、車輪スリップの差に応じた応答性にて各輪の車輪スリップが最大スリップ輪の車輪スリップに近づくように制動力を高めている。
つまり、上述したように、輪荷重比に応じて正しく制動力が配分されていれば、各輪の車輪スリップは同一となるため、各輪間の車輪スリップの差が生じれば、それは輪荷重推定を誤って制動力を配分していることになる。このため、最大スリップ輪となっている車輪が最も能力を発揮可能と考えられる。したがって、最大スリップ輪よりも車輪スリップが小さい輪に関して、最大スリップ輪の車輪スリップとの差に基づいて発生させるべき制動力を補正し、制動力を増大させるようにすれば、各車輪の能力を最大限に発揮することが可能となる。また、積載状態が大きく変化した場合のように各輪の分担荷重比が正しく推定できなくても、制動力が低下して制動距離が伸びることを防止できる。
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態について説明する。本実施形態は、第6実施形態に対して車輪スリップに基づく各輪荷重推定補正を行う際に、車輪スリップの比較を右側2輪と左側2輪でそれぞれ分けて行い、右側2輪と左側2輪とで別々に補正量を決定するという点を変更したものである。したがって、本実施形態の制動力配分制御装置1の基本構成は第6実施形態と同様であり、荷重推定補正部17で実行する荷重推定補正処理のみが異なっているため、この異なっている部分についてのみ説明する。
図10は、本実施形態にかかる制動力配分制御装置1の荷重推定補正部17で実行する荷重推定補正処理のフローチャートである。荷重推定補正部17は、予め記憶してあるプログラムにしたがって、図10に示す荷重推定補正処理を4輪それぞれに対して所定の演算周期ごとに実行する。
まず、ステップ700では、左右輪それぞれの最大スリップ輪を決定する。この処理は、上述したステップ100と同様の手法により、左右輪それぞれの中から車輪スリップが大きい輪を選択することにより行われる。
そして、ステップ705に進み、対象輪が対象輪の属する側の最大スリップ輪であるか否かを判定する。ここで、対象輪が対象輪の属する側の最大スリップ輪であればステップ710に進み、各輪荷重推定補正量を0に設定してステップ725に進む。
一方、ステップ705で否定判定されれば、ステップ715に進む。ステップ715では、対象輪が属する側の最大スリップ輪の車輪スリップと対象輪の車輪スリップとの差が規定値(閾値)以内であるか否かを判定する。そして、その差が規定値以内であれば各輪荷重推定補正量の前回値を補正することなくそのまま用いれば良いため、そのままステップ725に進み、規定値を超えていれば補正を行う必要があるため、ステップ720に進む。
そして、ステップ720において上述したステップ620と同様の手法により各輪荷重推定補正量を演算したのち、ステップ725において上述したステップ625と同様の手法により各輪補正後輪荷重を演算する。最後に、ステップ730において、すべての輪が判定を終了したかを判定し、4輪すべてに関して終了するまで上記処理を繰り返したのち本処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態の制動力配分制御装置1では、車輪スリップに基づく各輪荷重推定補正を行う際に、車輪スリップの比較を右側2輪と左側2輪でそれぞれ分けて行い、右側2輪と左側2輪とで別々に補正量を決定するようにしている。このように、右側2輪と左側2輪とで別々に補正量を決定すれば、それぞれの側で適切な制動力を発生させられるため、車両の姿勢を良好に保ちながら各車輪の能力を最大限に発揮することが可能となる。また、積載状態が大きく変化した場合のように各輪の分担荷重比が正しく推定できなくても、制動力が低下して制動距離が伸びることを防止できる。
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態について説明する。本実施形態は、第6実施形態に対して車輪スリップに基づく各輪荷重推定補正を行う際に、車輪スリップの比較を前輪2輪と後輪2輪でそれぞれ分けて行い、前輪2輪と後輪2輪とで別々に補正量を決定するという点を変更したものである。したがって、本実施形態の制動力配分制御装置1の基本構成は第6実施形態と同様であり、荷重推定補正部17で実行する荷重推定補正処理のみが異なっているため、この異なっている部分についてのみ説明する。
図11は、本実施形態にかかる制動力配分制御装置1の荷重推定補正部17で実行する荷重推定補正処理のフローチャートである。荷重推定補正部17は、予め記憶してあるプログラムにしたがって、図11に示す荷重推定補正処理を4輪それぞれに対して所定の演算周期ごとに実行する。
まず、ステップ800では、前後輪それぞれの最大スリップ輪を決定する。この処理は、上述したステップ100と同様の手法により、前輪と後輪それぞれの中から車輪スリップが大きい輪を選択することにより行われる。
そして、ステップ805に進み、対象輪が対象輪の属する側の最大スリップ輪であるか否かを判定する。ここで、対象輪が対象輪の属する側の最大スリップ輪であればステップ810に進み、各輪荷重推定補正量を0に設定してステップ825に進む。
一方、ステップ805で否定判定されれば、ステップ815に進む。ステップ815では、対象輪が属する側の最大スリップ輪の車輪スリップと対象輪の車輪スリップとの差が規定値(閾値)以内であるか否かを判定する。そして、その差が規定値以内であれば各輪荷重推定補正量の前回値を補正することなくそのまま用いれば良いため、そのままステップ825に進み、規定値を超えていれば補正を行う必要があるため、ステップ820に進む。
そして、ステップ820において上述したステップ620と同様の手法により各輪荷重推定補正量を演算したのち、ステップ825において上述したステップ625と同様の手法により各輪補正後輪荷重を演算する。最後に、ステップ830において、すべての輪が判定を終了したかを判定し、4輪すべてに関して終了するまで上記処理を繰り返したのち本処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態の制動力配分制御装置1では、車輪スリップに基づく各輪荷重推定補正を行う際に、車輪スリップの比較を前輪2輪と後輪2輪でそれぞれ分けて行い、前輪2輪と後輪2輪とで別々に補正量を決定するようにしている。このように、前輪2輪と後輪2輪とで別々に補正量を決定すれば、両前輪の制動力および両後輪の制動力をバランスさせられるため、車両の姿勢を良好に保ちながら各車輪の能力を最大限に発揮することが可能となる。また、積載状態が大きく変化した場合のように各輪の分担荷重比が正しく推定できなくても、制動力が低下して制動距離が伸びることを防止できる。
(第9実施形態)
本発明の第9実施形態について説明する。本実施形態は、第6実施形態に対して車輪スリップに基づく各輪荷重推定補正を行う際に、前輪側と後輪側それぞれで基準となる車輪スリップを決定し、補正量を右側2輪内で同一にすると共に左側2輪内で同一として輪荷重補正を行うという点を変更したものである。したがって、本実施形態の制動力配分制御装置1の基本構成は第6実施形態と同様であり、荷重推定補正部17で実行する荷重推定補正処理のみが異なっているため、この異なっている部分についてのみ説明する。
図12は、本実施形態にかかる制動力配分制御装置1の荷重推定補正部17で実行する荷重推定補正処理のフローチャートである。荷重推定補正部17は、予め記憶してあるプログラムにしたがって、図12に示す荷重推定補正処理を4輪それぞれに対して所定の演算周期ごとに実行する。
まず、ステップ900では、前輪スリップと後輪スリップを決定する。前輪スリップとは両前輪のスリップ状態を代表して表した基準となる車輪スリップを意味しており、後輪スリップとは両後輪のスリップ状態を代表して表した基準となる車輪スリップを意味している。これらは、上述したステップ400と同様の組み合せから決定される。
次に、ステップ905では、ステップ900で決定した前輪スリップが後輪スリップよりも大きいか否かを判定する。そして、前輪スリップの方が後輪スリップよりも大きければステップ910に進み、後輪スリップの方が前輪スリップよりも大きければステップ930に進む。
ステップ910では、前輪スリップと後輪スリップのスリップ差を演算する。その後、ステップ915において、スリップ差が規定値以内か否かを判定し、スリップ差が規定値以内でなければ補正量を変更すべくステップ920に進む。そして、ステップ920にて、後輪側荷重推定補正量を演算する。後輪側荷重推定補正量は、次式に示すように、後輪側荷重推定補正量の前回値に対して一定増加量を加算することにより演算される。
(数16)
後輪側荷重推定補正量=後輪側荷重推定補正量(前回値)+一定増加量
また、ステップ915において、スリップ差が規定値以内であると判定されれば、補正量を変更する必要がないため、後輪側荷重推定補正量を補正することなくステップ925に進む。そして、ステップ925において、車輪スリップが大きい前輪側荷重推定補正量を0に設定したのち、ステップ950に進む。
一方、ステップ930では、後輪スリップと前輪スリップのスリップ差を演算する。その後、ステップ935において、スリップ差が規定値以内か否かを判定し、スリップ差が規定値以内でなければ補正量を変更すべくステップ940に進む。そして、ステップ940にて、前輪側荷重推定補正量を演算する。前輪側荷重推定補正量は、次式に示すように、前輪側荷重推定補正量の前回値に対して一定増加量を加算することにより演算される。
(数17)
前輪側荷重推定補正量=前輪側荷重推定補正量(前回値)+一定増加量
また、ステップ935において、スリップ差が規定値以内であると判定されれば、補正量を変更する必要がないため、前輪側荷重推定補正量を補正することなくステップ945に進む。そして、ステップ945において、車輪スリップが大きい後輪側荷重推定補正量を0に設定したのち、ステップ950に進む。
この後、ステップ950にて対象輪が前輪か否かを判定し、前輪であればステップ955に進み、数式18に基づいて各輪補正後目標制動力を演算し、後輪であればステップ960に進み、数式19に基づいて各輪補正後目標制動力を演算する。
なお、これらの数式中に示した前輪側荷重推定補正量および後輪側荷重推定補正量は、上述したステップ920、925、940、945において設定された値を意味している。
(数18)
各輪補正後輪荷重=各輪標準輪荷重+前輪側荷重推定補正量
(数19)
各輪補正後輪荷重=各輪標準輪荷重+後輪側荷重推定補正量
最後に、ステップ965において、すべての輪が判定を終了したかを判定し、4輪すべてに関して終了するまで上記処理を繰り返したのち本処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態の制動力配分制御装置1では、車輪スリップに基づく各輪荷重推定補正を行う際に、前輪側と後輪側それぞれで基準となる車輪スリップを決定し、補正量を右側2輪内で同一にすると共に左側2輪内で同一として輪荷重補正を行うようにしている。このようにすれば、前輪もしくは後輪のいずれかが他方よりも車輪スリップが大きくなったとしても、車両左右において前後輪の制動力を同一にしつつ、各車輪の能力を最大限に発揮することが可能となる。また、積載状態が大きく変化した場合のように各輪の分担荷重比が正しく推定できなくても、制動力が低下して制動距離が伸びることを防止できる。
(第10実施形態)
本発明の第10実施形態について説明する。本実施形態は、第6実施形態に対して車輪スリップに基づく各輪輪荷重補正を行う際に、右側輪と左側輪それぞれで基準となる車輪スリップを決定し、補正量を両前輪内で同一にすると共に両後輪内で同一として輪荷重補正を行うという点を変更したものである。したがって、本実施形態の制動力配分制御装置1の基本構成は第6実施形態と同様であり、荷重推定補正部17で実行する各輪輪荷重補正処理のみが異なっているため、この異なっている部分についてのみ説明する。
図13は、本実施形態にかかる制動力配分制御装置1の荷重推定補正部17で実行する各輪輪荷重補正処理のフローチャートである。荷重推定補正部17は、予め記憶してあるプログラムにしたがって、図13に示す各輪輪荷重補正処理を4輪それぞれに対して所定の演算周期ごとに実行する。
まず、ステップ1000では、右輪スリップと左輪スリップを決定する。右輪スリップとは両右輪のスリップ状態を代表して表した基準となる車輪スリップを意味しており、左輪スリップとは両左輪のスリップ状態を代表して表した基準となる車輪スリップを意味している。これらは、上述したステップ500と同様の組み合せから決定される。
次に、ステップ1005では、ステップ1000で決定した右輪スリップが左輪スリップよりも大きいか否かを判定する。そして、右輪スリップの方が左輪スリップよりも大きければステップ1010に進み、左輪スリップの方が右輪スリップよりも大きければステップ1030に進む。
ステップ1010では、右輪スリップと左輪スリップのスリップ差を演算する。その後、ステップ1015において、スリップ差が規定値以内か否かを判定し、スリップ差が規定値以内でなければ補正量を変更すべくステップ1020に進む。そして、ステップ1020にて、左輪側荷重推定補正量を演算する。左輪側荷重推定補正量は、次式に示すように、左輪側荷重推定補正量の前回値に対して一定増加量を加算することにより演算される。
(数20)
左輪側荷重推定補正量=左輪側荷重推定補正量(前回値)+一定増加量
また、ステップ1015において、スリップ差が規定値以内であると判定されれば、補正量を変更する必要がないため、左輪側荷重推定補正量を補正することなくステップ1025に進む。そして、ステップ1025において、車輪スリップが大きい右輪側荷重推定補正量を0に設定したのち、ステップ1050に進む。
一方、ステップ1030では、左輪スリップと右輪スリップのスリップ差を演算する。その後、ステップ1035において、スリップ差が規定値以内か否かを判定し、スリップ差が規定値以内でなければ補正量を変更すべくステップ1040に進む。そして、ステップ1040にて、右輪側荷重推定補正量を演算する。右輪側荷重推定補正量は、次式に示すように、右輪側荷重推定補正量の前回値に対して一定増加量を加算することにより演算される。
(数21)
右輪側荷重推定補正量=右輪側荷重推定補正量(前回値)+一定増加量
また、ステップ1035において、スリップ差が規定値以内であると判定されれば、補正量を変更する必要がないため、右輪側荷重推定補正量を補正することなくステップ1045に進む。そして、ステップ1045において、車輪スリップが大きい左輪側荷重推定補正量を0に設定したのち、ステップ1050に進む。
この後、ステップ1050にて対象輪が右輪か否かを判定し、右輪であればステップ1055に進み、数式22に基づいて各輪補正後輪荷重を演算し、左輪であればステップ1060に進み、数式23に基づいて各輪補正後輪荷重を演算する。なお、これらの数式中に示した右輪側荷重推定補正量および左輪側荷重推定補正量は、上述したステップ1020、1025、1040、1045において設定された値を意味している。
(数22)
各輪補正後輪荷重=各輪標準輪荷重+右輪側荷重推定補正量
(数23)
各輪補正後輪荷重=各輪標準輪荷重+左輪側荷重推定補正量
最後に、ステップ1065において、すべての輪が判定を終了したかを判定し、4輪すべてに関して終了するまで上記処理を繰り返したのち本処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態の制動力配分制御装置1では、車輪スリップに基づく各輪輪荷重補正を行う際に、右側輪と左側輪それぞれで基準となる車輪スリップを決定し、補正量を両前輪内で同一にすると共に両後輪内で同一として輪荷重補正を行うようにしている。このようにすれば、例えば旋回中などにおいて右輪側もしくは左輪側のいずれかが他方よりも車輪スリップが大きくなったとしても、車両前後において両輪の制動力を同一にできるため、車両の姿勢を良好に保ちながら各車輪の能力を最大限に発揮することが可能となる。また、積載状態が大きく変化した場合のように各輪の分担荷重比が正しく推定できなくても、制動力が低下して制動距離が伸びることを防止できる。
(第11実施形態)
本発明の第11実施形態について説明する。本実施形態も、第1実施形態のように車輪スリップに基づいて各輪目標制動力補正を行うのではないが、第6実施形態と異なり、荷重推定値を補正するのではなく、荷重推定に用いられる車両諸元の値を補正し、それに基づいて荷重推定を行うものである。
図14は、本実施形態にかかる車両用の制動力配分制御装置1のブロック図である。この図に示されるように、第1実施形態に対して各輪目標制動力補正部14に関係するブロックが省略されているが、その代わりに、車両諸元を補正するための車両諸元補正部18が備えられている。車両諸元補正部18に対して車輪スリップ演算部16にて演算された車輪スリップの値が入力されるようになっている。
車両諸元補正部18は、取得した車輪スリップに基づいて車両諸元の各値を補正する。上述したように、輪荷重比に応じて正しく制動力が配分されていれば、各輪の車輪スリップは同一となるため、各輪間の車輪スリップの差が生じれば、それは輪荷重推定を誤って制動力を配分していることになる。これに対し、各輪の車輪スリップの差に基づいて車両諸元を補正することで荷重推定が正確に行われるようにすれば、結果的に各輪に発生させる制動力を補正でき、各車輪の能力を最大限に発揮することが可能となる。
次に、本実施形態にかかる制動力配分制御装置1における作動について説明する。図15は、本実施形態にかかる制動力配分制御装置1の車両諸元補正部18で実行する車両諸元補正処理のフローチャートである。車両諸元補正部18は、予め記憶してあるプログラムにしたがって、図15に示す車両諸元補正処理を4輪それぞれに対して所定の演算周期ごとに実行する。
まず、ステップ1100では、最大スリップ輪を決定する。この処理は、上述したステップ100と同様の手法により行われる。
そして、ステップ1105に進み、対象輪が最大スリップ輪であるか否かを判定したのち、対象輪が最大スリップ輪、つまり車輪スリップが最も大きな車輪であればステップ1110に進み、各輪輪荷重補正量を0に設定してステップ1125に進む。すなわち、上述したようにスリップ率が10%程度のところで制動力が最大となることから、例えばABS制御やESC制御に入っていなければ、最大スリップ輪となっている車輪が最も能力を発揮可能と考えられる。したがって、最大スリップ輪に対しては車両諸元補正を行う必要がないため、各輪輪荷重補正量を0に設定する。
一方、ステップ1105で否定判定されれば、ステップ1115に進む。ステップ1115では、最大スリップ輪の車輪スリップと対象輪の車輪スリップとの差が規定値(閾値)以内であるか否かを判定する。そして、その差が規定値以内であれば各輪輪荷重補正量の前回値を補正することなくそのまま用いれば良いため、そのままステップ1125に進み、規定値を超えていれば補正を行う必要があるため、ステップ1120に進む。
ステップ1120では、各輪輪荷重補正量を演算する。各輪輪荷重補正量は、次式に示すように、各輪輪荷重補正量の前回値に対して一定増加量分を加算することにより演算される。
(数24)
各輪輪荷重補正量=各輪輪荷重補正量(前回値)+一定増加量
この後、ステップ1125において、次式に示すように、各輪静止時輪荷重に対して各輪輪荷重補正量を加算することにより、各輪補正後静止時輪荷重を演算する。
(数25)
各輪補正後静止時輪荷重=各輪静止時輪荷重+各輪輪荷重補正量
そして、ステップ1130において、すべての輪が判定を終了したかを判定し、4輪すべてに関して終了していれば、本処理を終了し、4輪すべて終了していなければ、終了していない輪に関してステップ1105以降の処理を繰り返す。このようにして、各輪補正後静止時輪荷重が演算されると、この各輪補正後静止時輪荷重が上述した数式1に示した右前輪の静止時輪荷重WFR0等に置き換えられ、荷重推定部12における荷重推定の際に用いられることになる。
したがって、車輪スリップに基づいて補正した車両諸元を用いて荷重推定を行うことができ、より的確な荷重推定を行うことが可能となる。
以上説明したように、本実施形態の制動力配分制御装置1では、4輪のうち車輪スリップが最大の車輪である最大スリップ輪を決定したのち、最大スリップ輪の車輪スリップと制御の対象輪の車輪スリップとの差を演算し、その差に応じた各輪輪荷重補正量を設定している。具体的には、その差が規定値を超えていれば各輪輪荷重補正量の前回値に対して一定増加量を加算することにより各輪輪荷重補正量を増加させ、超えていなければ各輪輪荷重補正量の前回値をそのまま用いることで、車輪スリップの差に応じた応答性にて各輪の車輪スリップが最大スリップ輪の車輪スリップに近づくように制動力を高めている。
つまり、上述したように、輪荷重比に応じて正しく制動力が配分されていれば、各輪の車輪スリップは同一となるため、各輪間の車輪スリップの差が生じれば、それは輪荷重推定を誤って制動力を配分していることになる。このため、最大スリップ輪となっている車輪が最も能力を発揮可能と考えられる。したがって、最大スリップ輪よりも車輪スリップが小さい輪に関して、最大スリップ輪の車輪スリップとの差に基づいて発生させるべき制動力を補正し、制動力を増大させるようにすれば、各車輪の能力を最大限に発揮することが可能となる。また、積載状態が大きく変化した場合のように各輪の分担荷重比が正しく推定できなくても、制動力が低下して制動距離が伸びることを防止できる。
(第12実施形態)
本発明の第12実施形態について説明する。本実施形態は、第11実施形態に対して車輪スリップに基づく車両諸元補正を行う際に、車輪スリップの比較を右側2輪と左側2輪でそれぞれ分けて行い、右側2輪と左側2輪とで別々に補正量を決定するという点を変更したものである。したがって、本実施形態の制動力配分制御装置1の基本構成は第11実施形態と同様であり、車両諸元補正部18で実行する車両諸元補正処理のみが異なっているため、この異なっている部分についてのみ説明する。
図16は、本実施形態にかかる制動力配分制御装置1の車両諸元補正部18で実行する車両諸元補正処理のフローチャートである。車両諸元補正部18は、予め記憶してあるプログラムにしたがって、図16に示す車両諸元補正処理を4輪それぞれに対して所定の演算周期ごとに実行する。
まず、ステップ1200では、左右輪それぞれの最大スリップ輪を決定する。この処理は、上述したステップ100と同様の手法により、左右輪それぞれの中から車輪スリップが大きい輪を選択することにより行われる。
そして、ステップ1205に進み、対象輪が対象輪の属する側の最大スリップ輪であるか否かを判定する。ここで、対象輪が対象輪の属する側の最大スリップ輪であればステップ1210に進み、各輪輪荷重補正量を0に設定してステップ1225に進む。
一方、ステップ1205で否定判定されれば、ステップ1215に進む。ステップ1215では、対象輪が属する側の最大スリップ輪の車輪スリップと対象輪の車輪スリップとの差が規定値(閾値)以内であるか否かを判定する。そして、その差が規定値以内であれば各輪輪荷重補正量の前回値を補正することなくそのまま用いれば良いため、そのままステップ1225に進み、規定値を超えていれば補正を行う必要があるため、ステップ1220に進む。
そして、ステップ1220において上述したステップ1120と同様の手法により各輪輪荷重補正量を演算したのち、ステップ1225において上述したステップ1125と同様の手法により各輪補正後静止時輪荷重を演算する。最後に、ステップ1230において、すべての輪が判定を終了したかを判定し、4輪すべてに関して終了するまで上記処理を繰り返したのち本処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態の制動力配分制御装置1では、車輪スリップに基づく車両諸元補正を行う際に、車輪スリップの比較を右側2輪と左側2輪でそれぞれ分けて行い、右側2輪と左側2輪とで別々に補正量を決定するようにしている。このように、右側2輪と左側2輪とで別々に補正量を決定すれば、それぞれの側で適切な制動力を発生させられるため、車両の姿勢を良好に保ちながら各車輪の能力を最大限に発揮することが可能となる。また、積載状態が大きく変化した場合のように各輪の分担荷重比が正しく推定できなくても、制動力が低下して制動距離が伸びることを防止できる。
(第13実施形態)
本発明の第13実施形態について説明する。本実施形態は、第11実施形態に対して車輪スリップに基づく車両諸元補正を行う際に、車輪スリップの比較を前輪2輪と後輪2輪でそれぞれ分けて行い、前輪2輪と後輪2輪とで別々に補正量を決定するという点を変更したものである。したがって、本実施形態の制動力配分制御装置1の基本構成は第11実施形態と同様であり、車両諸元補正部18で実行する車両諸元補正処理のみが異なっているため、この異なっている部分についてのみ説明する。
図17は、本実施形態にかかる制動力配分制御装置1の車両諸元補正部18で実行する車両諸元補正処理のフローチャートである。車両諸元補正部18は、予め記憶してあるプログラムにしたがって、図17に示す車両諸元補正処理を4輪それぞれに対して所定の演算周期ごとに実行する。
まず、ステップ1300では、前後輪それぞれの最大スリップ輪を決定する。この処理は、上述したステップ100と同様の手法により、前輪と後輪それぞれの中から車輪スリップが大きい輪を選択することにより行われる。
そして、ステップ1305に進み、対象輪が対象輪の属する側の最大スリップ輪であるか否かを判定する。ここで、対象輪が対象輪の属する側の最大スリップ輪であればステップ1310に進み、各輪輪荷重補正量を0に設定してステップ1325に進む。
一方、ステップ1305で否定判定されれば、ステップ1315に進む。ステップ1315では、対象輪が属する側の最大スリップ輪の車輪スリップと対象輪の車輪スリップとの差が規定値(閾値)以内であるか否かを判定する。そして、その差が規定値以内であれば各輪輪荷重補正量の前回値を補正することなくそのまま用いれば良いため、そのままステップ1325に進み、規定値を超えていれば補正を行う必要があるため、ステップ1320に進む。
そして、ステップ1320において上述したステップ1120と同様の手法により各輪輪荷重補正量を演算したのち、ステップ1325において上述したステップ1125と同様の手法により各輪補正後静止時輪荷重を演算する。最後に、ステップ1330において、すべての輪が判定を終了したかを判定し、4輪すべてに関して終了するまで上記処理を繰り返したのち本処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態の制動力配分制御装置1では、車輪スリップに基づく車両諸元補正を行う際に、車輪スリップの比較を前輪2輪と後輪2輪でそれぞれ分けて行い、前輪2輪と後輪2輪とで別々に補正量を決定するようにしている。このように、前輪2輪と後輪2輪とで別々に補正量を決定すれば、両前輪の制動力および両後輪の制動力をバランスさせられるため、車両の姿勢を良好に保ちながら各車輪の能力を最大限に発揮することが可能となる。また、積載状態が大きく変化した場合のように各輪の分担荷重比が正しく推定できなくても、制動力が低下して制動距離が伸びることを防止できる。
(第14実施形態)
本発明の第14実施形態について説明する。本実施形態は、第11実施形態に対して車輪スリップに基づく車両諸元補正を行う際に、前輪側と後輪側それぞれで基準となる車輪スリップを決定し、補正量を右側2輪内で同一にすると共に左側2輪内で同一として輪荷重補正を行うという点を変更したものである。したがって、本実施形態の制動力配分制御装置1の基本構成は第11実施形態と同様であり、車両諸元補正部18で実行する車両諸元補正処理のみが異なっているため、この異なっている部分についてのみ説明する。
図18は、本実施形態にかかる制動力配分制御装置1の荷重推定補正部17で実行する荷重推定補正処理のフローチャートである。荷重推定補正部17は、予め記憶してあるプログラムにしたがって、図18に示す荷重推定補正処理を4輪それぞれに対して所定の演算周期ごとに実行する。
まず、ステップ1400では、前輪スリップと後輪スリップを決定する。前輪スリップとは両前輪のスリップ状態を代表して表した基準となる車輪スリップを意味しており、後輪スリップとは両後輪のスリップ状態を代表して表した基準となる車輪スリップを意味している。これらは、上述したステップ400と同様の組み合せから決定される。
次に、ステップ1405では、ステップ1400で決定した前輪スリップが後輪スリップよりも大きいか否かを判定する。そして、前輪スリップの方が後輪スリップよりも大きければステップ1410に進み、後輪スリップの方が前輪スリップよりも大きければステップ1430に進む。
ステップ1410では、前輪スリップと後輪スリップのスリップ差を演算する。その後、ステップ1415において、スリップ差が規定値以内か否かを判定し、スリップ差が規定値以内でなければ補正量を変更すべくステップ1420に進む。そして、ステップ1420にて、後輪側輪荷重補正量を演算する。後輪側輪荷重補正量は、次式に示すように、後輪側輪荷重補正量の前回値に対して一定増加量を加算することにより演算される。
(数26)
後輪側輪荷重補正量=後輪側輪荷重補正量(前回値)+一定増加量
また、ステップ1415において、スリップ差が規定値以内であると判定されれば、補正量を変更する必要がないため、後輪側輪荷重補正量を補正することなくステップ1425に進む。そして、ステップ1425において、車輪スリップが大きい前輪側輪荷重補正量を0に設定したのち、ステップ1450に進む。
一方、ステップ1430では、後輪スリップと前輪スリップのスリップ差を演算する。その後、ステップ1435において、スリップ差が規定値以内か否かを判定し、スリップ差が規定値以内でなければ補正量を変更すべくステップ1440に進む。そして、ステップ1440にて、前輪側輪荷重補正量を演算する。前輪側輪荷重補正量は、次式に示すように、前輪側輪荷重補正量の前回値に対して一定増加量を加算することにより演算される。
(数27)
前輪側輪荷重補正量=前輪側輪荷重補正量(前回値)+一定増加量
また、ステップ1435において、スリップ差が規定値以内であると判定されれば、補正量を変更する必要がないため、前輪側輪荷重補正量を補正することなくステップ1445に進む。そして、ステップ1445において、車輪スリップが大きい後輪側輪荷重補正量を0に設定したのち、ステップ1450に進む。
この後、ステップ1450にて対象輪が前輪か否かを判定し、前輪であればステップ1455に進み、数式28に基づいて各輪補正後目標制動力を演算し、後輪であればステップ1460に進み、数式29に基づいて各輪補正後目標制動力を演算する。なお、これらの数式中に示した前輪側輪荷重補正量および後輪側輪荷重補正量は、上述したステップ1420、1425、1440、1445において設定された値を意味している。
(数28)
各輪補正後静止時輪荷重=各輪静止時輪荷重+前輪側輪荷重補正量
(数29)
各輪補正後静止時輪荷重=各輪静止時輪荷重+後輪側輪荷重補正量
最後に、ステップ1465において、すべての輪が判定を終了したかを判定し、4輪すべてに関して終了するまで上記処理を繰り返したのち本処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態の制動力配分制御装置1では、車輪スリップに基づく車両諸元補正を行う際に、前輪側と後輪側それぞれで基準となる車輪スリップを決定し、補正量を右側2輪内で同一にすると共に左側2輪内で同一として輪荷重補正を行うようにしている。このようにすれば、前輪もしくは後輪のいずれかが他方よりも車輪スリップが大きくなったとしても、車両左右において前後輪の制動力を同一にしつつ、各車輪の能力を最大限に発揮することが可能となる。また、積載状態が大きく変化した場合のように各輪の分担荷重比が正しく推定できなくても、制動力が低下して制動距離が伸びることを防止できる。
(第15実施形態)
本発明の第15実施形態について説明する。本実施形態は、第11実施形態に対して車輪スリップに基づく各輪輪荷重補正を行う際に、右側輪と左側輪それぞれで基準となる車輪スリップを決定し、補正量を両前輪内で同一にすると共に両後輪内で同一として輪荷重補正を行うという点を変更したものである。したがって、本実施形態の制動力配分制御装置1の基本構成は第11実施形態と同様であり、荷重推定補正部17で実行する各輪輪荷重補正処理のみが異なっているため、この異なっている部分についてのみ説明する。
図19は、本実施形態にかかる制動力配分制御装置1の荷重推定補正部17で実行する各輪輪荷重補正処理のフローチャートである。荷重推定補正部17は、予め記憶してあるプログラムにしたがって、図19に示す各輪輪荷重補正処理を4輪それぞれに対して所定の演算周期ごとに実行する。
まず、ステップ1500では、右輪スリップと左輪スリップを決定する。右輪スリップとは両右輪のスリップ状態を代表して表した基準となる車輪スリップを意味しており、左輪スリップとは両左輪のスリップ状態を代表して表した基準となる車輪スリップを意味している。これらは、上述したステップ500と同様の組み合せから決定される。
次に、ステップ1505では、ステップ1500で決定した右輪スリップが左輪スリップよりも大きいか否かを判定する。そして、右輪スリップの方が左輪スリップよりも大きければステップ1510に進み、左輪スリップの方が右輪スリップよりも大きければステップ1530に進む。
ステップ1510では、右輪スリップと左輪スリップのスリップ差を演算する。その後、ステップ1515において、スリップ差が規定値以内か否かを判定し、スリップ差が規定値以内でなければ補正量を変更すべくステップ1520に進む。そして、ステップ1520にて、左輪側輪荷重補正量を演算する。左輪側輪荷重補正量は、次式に示すように、左輪側輪荷重補正量の前回値に対して一定増加量を加算することにより演算される。
(数30)
左輪側輪荷重補正量=左輪側輪荷重補正量(前回値)+一定増加量
また、ステップ1515において、スリップ差が規定値以内であると判定されれば、補正量を変更する必要がないため、左輪側輪荷重補正量を補正することなくステップ1525に進む。そして、ステップ1525において、車輪スリップが大きい右輪側輪荷重補正量を0に設定したのち、ステップ1550に進む。
一方、ステップ1530では、左輪スリップと右輪スリップのスリップ差を演算する。その後、ステップ1535において、スリップ差が規定値以内か否かを判定し、スリップ差が規定値以内でなければ補正量を変更すべくステップ1540に進む。そして、ステップ1540にて、右輪側輪荷重補正量を演算する。右輪側輪荷重補正量は、次式に示すように、右輪側輪荷重補正量の前回値に対して一定増加量を加算することにより演算される。
(数31)
右輪側輪荷重補正量=右輪側輪荷重補正量(前回値)+一定増加量
また、ステップ1535において、スリップ差が規定値以内であると判定されれば、補正量を変更する必要がないため、右輪側輪荷重補正量を補正することなくステップ1545に進む。そして、ステップ1545において、車輪スリップが大きい左輪側輪荷重補正量を0に設定したのち、ステップ1550に進む。
この後、ステップ1550にて対象輪が右輪か否かを判定し、右輪であればステップ1555に進み、数式22に基づいて各輪補正後静止時輪荷重を演算し、左輪であればステップ1560に進み、数式23に基づいて各輪補正後静止時輪荷重を演算する。なお、これらの数式中に示した右輪側輪荷重補正量および左輪側輪荷重補正量は、上述したステップ1520、1525、1540、1545において設定された値を意味している。
(数32)
各輪補正後静止時輪荷重=各輪静止時輪荷重+右輪側輪荷重補正量
(数33)
各輪補正後静止時輪荷重=各輪静止時輪荷重+左輪側輪荷重補正量
最後に、ステップ1565において、すべての輪が判定を終了したかを判定し、4輪すべてに関して終了するまで上記処理を繰り返したのち本処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態の制動力配分制御装置1では、車輪スリップに基づく各輪輪荷重補正を行う際に、右側輪と左側輪それぞれで基準となる車輪スリップを決定し、補正量を両前輪内で同一にすると共に両後輪内で同一として輪荷重補正を行うようにしている。このようにすれば、例えば旋回中などにおいて右輪側もしくは左輪側のいずれかが他方よりも車輪スリップが大きくなったとしても、車両前後において両輪の制動力を同一にできるため、車両の姿勢を良好に保ちながら各車輪の能力を最大限に発揮することが可能となる。また、積載状態が大きく変化した場合のように各輪の分担荷重比が正しく推定できなくても、制動力が低下して制動距離が伸びることを防止できる。
(他の実施形態)
(1)以上説明した各実施形態で、スリップ差が規定値以内であるかの判定で、一旦いずれかの輪が規定値以上の値を示した場合、全輪がABS作動状態になるまで各輪目標制動力補正量の前回値に一定量を足したもので各輪目標制動力補正量を更新することにしても良い。また、各輪目標制動力補正量の更新を停止するABS作動状態の条件は、いずれか一輪もしくは複数を選択した状態としても良く、それらを組み合わせた状態を条件としても良い。
(2)また、以上の各実施形態で、ステップ110、210、310、425、445、525、545、610、710、810、925、945、1025、1045、1110、1210、1310、1425、1445、1525、1545で行われる補正対象外の輪であるために各輪目標制動力補正量や各輪荷重推定補正量もしくは各輪輪荷重補正量を0とする処理で、制動力の急激な変化を避けるために、補正量を0に向け漸減させる処理をしても良い。また、漸減させるか否かを0に向けて変化させる前の各輪目標制動力補正量や各輪荷重推定補正量もしくは各輪輪荷重補正量の大きさによって決めても良い。
(3)また、以上の各実施形態では、前後左右輪の判定の順番に必然性はなく、順番を入れ替えても良い。また、各輪の情報を保存しておけば、各輪を判定する順番はどのようなものであっても良い。
(4)また、上記各実施形態は、車両の持つ輪が4輪であると限定するものではなく、たとえば後輪が左右それぞれ2輪である等の場合にも、それぞれの輪について適用することができる。
(5)また、上記各実施形態では、各輪目標制動力補正部14で各輪目標制動力補正量前回値に足される増加量、荷重推定補正部17で各輪荷重推定補正量に足される増加量、車両諸元補正部18で各輪輪荷重補正量に足される増加量を一定増加量としているが、スリップの差の大きさに応じて決定される増加量としても良い。
(6)また、上記第11〜15実施形態の車両諸元補正処理では、各輪の静止時荷重に対して補正を行う例を示したが、他の車両諸元の値を補正するようにしても良い。また、各輪の輪荷重から重心高を逆算して補正を行うこともできる。さらに、各輪の静止時輪荷重に影響を与える車両諸元の値に対して補正を行うことで、静止時輪荷重を補正するようにしても、静止時輪荷重を直接補正する場合と同様の効果を得ることができる。なお、静止時輪荷重は、前後加速度、横加速度により荷重移動が起こらない場合の輪荷重と同等である。
(7)また、一般に車速が低い領域ではスリップ状態を算出する精度が低くなるため、車速が規定値よりも低い場合には上記した各種補正を行わないようにしても良い。また、ブレーキペダル急踏み時には、前後輪の制動力増加勾配に差が生じ易いので、制動力増加勾配の低い輪は勾配の高い輪に比べてスリップ状態が小さくなり易い。したがって、ブレーキペダル急踏み時には上記した各種補正を行わないようにしても良い。
(8)また、上記各実施形態において、各輪目標制動力補正量や各輪荷重推定補正量もしくは各輪輪荷重補正量の履歴を保存しておき、過去数回分の補正量の平均値などを算出し、補正時に初期補正量として与えて上記した各種補正を行うようにしても良い。
(9)また、補正対象となる輪と最大スリップの輪などのように補正対象でない輪とが上記した各種補正を行うことで交互もしくは頻繁に入れ替わる状態となった場合、補正終了が近いとみなし、各種補正量の一定増加量を漸減させるか、もしくは、各種補正量の更新を一時停止させる処理を行っても良い。
(10)また、補正値の更新が起こらなくなるか、または十分に変化が少なくなって補正が終了したとみなせる状態で、補正後の制動力、荷重推定、車両諸元に対する補正量と補正前の諸元値を用いて車両諸元を逆算し、車両諸元を更新すると良い。
その際、車両に対する乗降り、積み下ろしなどのように車両諸元が変化する可能性がある行動、例えばドアの開閉やトランクの開閉動作が行われた場合に、補正量を初期化(初期補正量に戻す場合を含む)する処理を行うようにしても良い。
(11)また、補正に際して、一部でも輪荷重が推定できる状態、例えば前輪や後輪のどちらかのサスペンションストロークが測定でき、輪荷重を算出できる場合ならば、測定値のある部分はその測定値を直接使用し、他の輪に関してはその測定値を考慮して補正を行うこともできる。
(12)上記各実施形態では車輪スリップを示す指標となるスリップ相当量として、車輪スリップそのものを用いたが、車輪スリップを示す任意のスリップ相当量、例えばスリップ率と入れ替えて各処理を行っても成立する。
(13)なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。
本発明の第1実施形態にかかる車両用の制動力配分制御装置1のブロック図である。 M/C圧と目標減速度との関係の一例を示した特性図である。 各輪目標制動力補正部14で実行する各輪目標制動力補正処理のフローチャートである。 本発明の第2実施形態にかかる制動力配分制御装置1の各輪目標制動力補正部14で実行する各輪目標制動力補正処理のフローチャートである。 本発明の第3実施形態にかかる制動力配分制御装置1の各輪目標制動力補正部14で実行する各輪目標制動力補正処理のフローチャートである。 本発明の第4実施形態にかかる制動力配分制御装置1の各輪目標制動力補正部14で実行する各輪目標制動力補正処理のフローチャートである。 本発明の第5実施形態にかかる制動力配分制御装置1の各輪目標制動力補正部14で実行する各輪目標制動力補正処理のフローチャートである。 本発明の第6実施形態にかかる車両用の制動力配分制御装置1のブロック図である。 荷重推定補正部17で実行する荷重推定補正処理のフローチャートである。 本発明の第7実施形態にかかる制動力配分制御装置1の荷重推定補正部17で実行する荷重推定補正処理のフローチャートである。 本発明の第8実施形態にかかる制動力配分制御装置1の荷重推定補正部17で実行する荷重推定補正処理のフローチャートである。 本発明の第9実施形態にかかる制動力配分制御装置1の荷重推定補正部17で実行する荷重推定補正処理のフローチャートである。 本発明の第10実施形態にかかる制動力配分制御装置1の荷重推定補正部17で実行する荷重推定補正処理のフローチャートである。 本発明の第11実施形態にかかる車両用の制動力配分制御装置1のブロック図である。 車両諸元補正部18で実行する車両諸元補正処理のフローチャートである。 本発明の第12実施形態にかかる制動力配分制御装置1の車両諸元補正部18で実行する車両諸元補正処理のフローチャートである。 本発明の第13実施形態にかかる制動力配分制御装置1の車両諸元補正部18で実行する車両諸元補正処理のフローチャートである。 本発明の第14実施形態にかかる制動力配分制御装置1の車両諸元補正部18で実行する車両諸元補正処理のフローチャートである。 本発明の第15実施形態にかかる制動力配分制御装置1の車両諸元補正部18で実行する車両諸元補正処理のフローチャートである。 輪荷重の大きさに応じたスリップ率と制動力の関係を示した図である。
符号の説明
1…制動力配分制御装置、2…制動力配分制御装置、3…M/C圧センサ、4…前後加速度センサ、5…横加速度センサ、6…車輪速度センサ、11…目標減速度演算部、12…荷重推定部、13…各輪目標制動力演算部、14…各輪目標制動力補正部、15…車両諸元記憶部、16…車輪スリップ演算部、17…荷重推定補正部、18…車両諸元補正部

Claims (8)

  1. 車体の加速度を取得する車体加速度取得手段(4、5)にて取得された前記車体加速度に基づき、各輪の接地荷重を推定する車輪接地荷重推定手段(12)と、
    前記車輪接地荷重推定手段(12)による推定荷重に基づいて前記各輪の制動力の目標値となる目標制動力を演算する各輪目標制動力演算手段(13)と、を有し、
    前記各輪目標制動力演算手段(13)にて演算された前記目標制動力を発生させるべく、前記各輪の制動力を個別に制御できる各輪制動力発生装置(2)に対して前記目標制動力を示す出力を発生させる制動力配分制御装置において、
    前記車体に取り付けられた前記各輪の車輪速度を取得する車輪速度取得手段(6)にて取得された前記各輪の前記車輪速度に基づいて、前記各輪の車輪スリップに相当するスリップ相当量を演算するスリップ相当量演算手段(16)と、
    前記スリップ相当量演算手段(16)にて演算された前記各輪の中で前記スリップ相当量が最も大きい車輪を基準輪として決定し、該最も大きい車輪の前記スリップ相当量に近づくように、前記基準輪よりスリップの小さい作用輪である前記スリップ相当量が最も大きい車輪以外の車輪の前記目標制動力を増加させる補正を行う各輪目標制動力補正手段と、を備え
    前記各輪目標制動力補正手段は、
    前記最も大きい車輪の前記スリップ相当量に近づくように、前記スリップ相当量が最も大きい車輪以外の車輪の前記目標制動力を増加させるべく、前記車輪接地荷重推定手段(12)による前記推定荷重を補正する荷重推定補正手段(17)を備えることを特徴とする制動力配分制御装置。
  2. 前記荷重推定補正手段(17)は、前記スリップ相当量が最も大きい車輪の前記スリップ相当量と前記各輪のうち制御対象となる対象輪の前記車輪スリップ相当量との差が予め決められた規定値を超えていれば、前記対象輪の前記推定荷重を増加させる補正を行うことを特徴とする請求項に記載の制動力配分制御装置。
  3. 前記荷重推定補正手段(17)は、
    複数の右側輪の中から前記スリップ相当量が最も大きい車輪を決定し、前記複数の右側輪の中で前記スリップ相当量が最も大きい車輪の前記スリップ相当量と前記複数の右側輪のうちの前記対象輪のスリップ相当量との差が前記規定値を超えるか比較することにより前記対象輪の前記推定荷重を増加させる補正を行うと共に、
    複数の左側輪の中から前記スリップ相当量が最も大きい車輪を決定し、前記複数の左側輪の中で前記スリップ相当量が最も大きい車輪の前記スリップ相当量と前記複数の左側輪のうちの前記対象輪のスリップ相当量との差が前記規定値を超えるか比較することにより前記対象輪の前記推定荷重を増加させる補正を行うことを特徴とする請求項に記載の制動力配分制御装置。
  4. 前記荷重推定補正手段(17)は、
    複数の前輪の中から前記スリップ相当量が最も大きい車輪を決定し、前記複数の前輪の中で前記スリップ相当量が最も大きい車輪の前記スリップ相当量と前記複数の前輪のうちの前記対象輪のスリップ相当量との差が前記規定値を超えるか比較することにより前記対象輪の前記推定荷重を増加させる補正を行うと共に、
    複数の後輪の中から前記スリップ相当量が最も大きい車輪を決定し、前記複数の後輪の中で前記スリップ相当量が最も大きい車輪の前記スリップ相当量と前記複数の後輪のうちの前記対象輪のスリップ相当量との差が前記規定値を超えるか比較することにより前記対象輪の前記推定荷重を増加させる補正を行うことを特徴とする請求項に記載の制動力配分制御装置。
  5. 車体の加速度を取得する車体加速度取得手段(4、5)にて取得された前記車体加速度と、予め設定しておいた車両諸元に基づき、各輪の接地荷重を推定する車輪接地荷重推定手段(12)と、
    前記車輪接地荷重推定手段(12)による推定荷重に基づいて前記各輪の制動力の目標値となる目標制動力を演算する各輪目標制動力演算手段(13)と、を有し、
    前記各輪目標制動力演算手段(13)にて演算された前記目標制動力を発生させるべく、前記各輪の制動力を個別に制御できる各輪制動力発生装置(2)に対して前記目標制動力を示す出力を発生させる制動力配分制御装置において、
    前記車体に取り付けられた前記各輪の車輪速度を取得する車輪速度取得手段(6)にて取得された前記各輪の前記車輪速度に基づいて、前記各輪の車輪スリップに相当するスリップ相当量を演算するスリップ相当量演算手段(16)と、
    前記スリップ相当量演算手段(16)にて演算された前記各輪の中で前記スリップ相当量が最も大きい車輪を基準輪として決定し、該最も大きい車輪の前記スリップ相当量に近づくように、前記基準輪よりスリップの小さい作用輪である前記スリップ相当量が最も大きい車輪以外の車輪の前記目標制動力を増加させる補正を行う各輪目標制動力補正手段と、を備え
    前記各輪目標制動力補正手段は、
    前記最も大きい車輪の前記スリップ相当量に近づくように、前記スリップ相当量が最も大きい車輪以外の車輪の前記目標制動力を増加させるべく、前記車輪接地荷重推定手段(12)による前記接地荷重の推定に用いられる前記車両諸元を補正する車両諸元補正手段(18)を備えることを特徴とする請求項1に記載の制動力配分制御装置。
  6. 前記車両諸元補正手段(18)は、前記スリップ相当量が最も大きい車輪の前記スリップ相当量と前記各輪のうち制御対象となる対象輪の前記車輪スリップ相当量との差が予め決められた規定値を超えていれば、前記対象輪の前記車両諸元の補正を行うことを特徴とする請求項に記載の制動力配分制御装置。
  7. 前記車両諸元補正手段(18)は、
    複数の右側輪の中から前記スリップ相当量が最も大きい車輪を決定し、前記複数の右側輪の中で前記スリップ相当量が最も大きい車輪の前記スリップ相当量と前記複数の右側輪のうちの前記対象輪のスリップ相当量との差が前記規定値を超えるか比較することにより前記対象輪の前記車両諸元の補正を行うと共に、
    複数の左側輪の中から前記スリップ相当量が最も大きい車輪を決定し、前記複数の左側輪の中で前記スリップ相当量が最も大きい車輪の前記スリップ相当量と前記複数の左側輪のうちの前記対象輪のスリップ相当量との差が前記規定値を超えるか比較することにより前記対象輪の前記車両諸元の補正を行うことを特徴とする請求項に記載の制動力配分制御装置。
  8. 前記車両諸元補正手段(18)は、
    複数の前輪の中から前記スリップ相当量が最も大きい車輪を決定し、前記複数の前輪の中で前記スリップ相当量が最も大きい車輪の前記スリップ相当量と前記複数の前輪のうちの前記対象輪のスリップ相当量との差が前記規定値を超えるか比較することにより前記対象輪の前記車両諸元の補正を行うと共に、
    複数の後輪の中から前記スリップ相当量が最も大きい車輪を決定し、前記複数の後輪の中で前記スリップ相当量が最も大きい車輪の前記スリップ相当量と前記複数の後輪のうちの前記対象輪のスリップ相当量との差が前記規定値を超えるか比較することにより前記対象輪の前記車両諸元の補正を行うことを特徴とする請求項に記載の制動力配分制御装置。
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