JP5125432B2 - 電動パワーステアリング装置の制御装置及びモータの制御装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置の制御装置及びモータの制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、モータを用いて自動車等車両の操舵機構に操舵補助力を付与する電動パワーステアリング装置の制御装置、及び電動パワーステアリング装置に適用可能なモータの制御装置に関し、特に断線異常の場合にその異常のある部位を特定する電動パワーステアリング制御装置及びモータの制御装置に関する。
自動車等の車両では、操舵者の操舵に際してモータを制御して、その結果発生した回転トルクによりハンドルに操舵補助力(操舵アシスト力)を付与する電動パワーステアリング装置(以下、EPSともいう。)が広く用いられている。
図10は、一般的なEPSの概略構成を示す図である。
図10に示すように、EPSにおいては、操舵者が操舵するハンドル31に直結したシャフト32は、減速ギア33、ユニバーサルジョイント34a及び34b、ラックアンドピニオン35を経て車輪のタイロッド36に結合されている。シャフト32には、ハンドル31の操舵トルクを検出するトルクセンサ40が付設されている。また、ハンドル31に操舵アシスト力を付与するモータ50が、減速ギア33を介してシャフト32に結合されている。モータ50の回転を制御する制御装置(以下、ECUと称す)60には、操舵者によるイグニションキー72の操作によりバッテリ71から電線を経て電流が供給されて、当該ECU60はトルクセンサ40で検出された操舵トルクTと、車速センサ80で検出された車速Vに基づいてアシスト指令の電流指令値の演算を行い、モータ50に供給する電流を制御して、アシスト制御を実現している。
図11は、従来のECUの概略構成を示すブロック図である。
モータ50を制御するモータ制御装置としてのECU60は、従来、図11に示すブロック図のように構成されている。ECU60は、主としてCPUシステムで構成され、内部メモリに格納されたプログラムを実行することによって動作する。
ECU60は、中央処理装置(以下、CPUという)61、プリドライバ62、モータ駆動部63及びモータ電流検出回路64から構成され、CPU61の内部メモリに格納されたプログラムを実行することにより、トルクセンサ40で検出された操舵トルクT、車速センサ80で検出された車速Vに基づいて、3相モータ50のスター接続された駆動コイルA、B、Cに供給する電流の電流制御値を生成するとともに、この電流制御値とモータ電流検出回路64で検出したモータ電流iとに基づいて決定されるデューティ比のPWM(パルス幅変調)信号をプリドライバ62に供給して、制御を行っている。
プリドライバ62は、CPU61から供給されるPWM信号に基づいて、モータ駆動部63を構成するパワーMOSFET(電界効果トランジスタ、以下FETという)Q1〜Q6の各ゲートに供給するパルス電圧を生成する。
モータ駆動部63は、Hブリッジ回路を構成する6個のFET Q1〜Q6からなり、プリドライバ62からゲート毎に供給されるパルス電圧によって、直列に接続された上下部のFETが交互にON、OFFを繰り返し、このとき流れる電流をモータ50の駆動コイルA、B、Cに供給することによってモータ50を回転駆動して操舵アシスト力を発生する。
このように構成されるECU60を備えたEPSは、軽自動車・小型自動車は言うに及ばす、近年ではSUV(Sport Utility Vehicle:スポーツ多目的車)等の車両重量の大きな自動車にも広く搭載されている。これら大型自動車では、車両重量が大きいこともあって軽自動車・小型自動車より大きな操舵アシスト力を必要とし、高出力のモータ及び大電力のモータ駆動部63が使用されている。このため、例えば車両の運転中に、上述したモータ駆動部63に異常が発生すると、モータ50が停止してハンドルに操舵アシスト力を付与することができなくなり、操舵フィーリングを損なってしまう虞がある。
ここで、その異常を検出するものとしては、Hブリッジ回路の電源側および接地側にそれぞれ配置した電流検出抵抗の電圧値の変化で短絡(ショート)による異常を検出するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平6−233450号公報
しかしながら、この従来の例では、ショートによる異常があることを検出しても、その異常した部位および異常の内容を特定することができなかった。また、このとき異常が検出された場合には、常にアシスト制御を直ちに停止する処置がとられていた。このため、実際は操舵アシストできる可能性が残されているにも係らず、ECU60は直ちにモータ50の駆動を停止する制御を行う他なく、例えば重量が大きいSUV等の車両でアシスト制御を停止した場合、駐車場等における据え切りや走行において、操舵者の操舵フィーリングが損なってしまうという不都合があった。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、異常が発生した際に、異常のある部位若しくは異常の内容を特定することができるとともに、異常の部位および異常の内容に応じてモータの制御を継続することができる、電動パワーステアリング装置の制御装置、及び電動パワーステアリング装置に適用可能なモータの制御装置を提供することにある。
本発明の目的は、下記の構成により達成される。
(1) モータの各相に駆動電流をそれぞれ供給するため当該モータの相に対応して電源と接地間に接続された上下の駆動素子をそれぞれ有してHブリッジ回路が構成されるモータ駆動部と、当該駆動素子をそれぞれ駆動制御する駆動素子制御手段と、を備え、操舵機構に操舵補助力を付与するため前記モータを制御する電動パワーステアリング装置の制御装置において、
さらに、
前記モ−タ駆動部の断線異常を検出する断線異常検出部と、
前記モータの端子に接続されて、その各相の端子電圧を検出するモータ端子電圧検出部と、
を備え、
前記断線異常検出部により前記モータ駆動部の断線異常が検出された場合に、前記モータの制御を一旦停止して、
前記駆動素子制御手段により複数の前記駆動素子のうち任意の1つの駆動素子のみを駆動し、このときの端子電圧を前記モータ端子電圧検出部により検出し、
前記モータ端子電圧検出部により検出された各相の端子電圧の和が所定の範囲内であるか否かの判定に基づいて、異常のある部位を特定する
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置の制御装置
(2) 前記端子電圧は、前記電源と前記接地間に直列に接続された複数の抵抗によって分圧された値である
ことを特徴とする上記(1)の電動パワーステアリングの制御装置
(3) その特定された異常のある部位に基づき前記モータの制御が継続可能か否かを判定し、
この特定の結果、前記モータの制御が継続可能であると判定される場合には、その特定された異常のある部位を用いずに前記モータの制御を継続し、前記モータの制御が継続不可能であると判断された場合には、前記モータの制御を停止する
ことを特徴とする上記(1)又は(2)の電動パワーステアリング装置の制御装置
(4) モータの各相に駆動電流をそれぞれ供給するため当該モータの相に対応して電源と接地間に接続された上下の駆動素子をそれぞれ有してHブリッジ回路が構成されるモータ駆動部と、当該駆動素子をそれぞれ駆動制御する駆動素子制御手段と、を備え、前記モータを制御するモータの制御装置において、
さらに、
前記モ−タ駆動部の断線異常を検出する断線異常検出部と、
前記モータの端子に接続されて、その各相の端子電圧を検出するモータ端子電圧検出部と、
を備え、
前記断線異常検出部により前記モータ駆動部の断線異常が検出された場合に、前記モータの制御を一旦停止して、
前記駆動素子制御手段により複数の前記駆動素子のうち任意の1つの駆動素子のみを駆動し、このときの端子電圧を前記モータ端子電圧検出部により検出し、
前記モータ端子電圧検出部により検出された各相の端子電圧の和が所定の範囲内であるか否かの判定に基づいて、異常のある部位を特定する
ことを特徴とするモータの制御装置
(5) 前記端子電圧は、前記電源と前記接地間に直列に接続された複数の抵抗によって分圧された値である
ことを特徴とする上記(4)のモータの制御装置
(6) その特定された異常のある部位に基づき前記モータの制御が継続可能か否かを判定し、
この特定の結果、前記モータの制御が継続可能であると判定される場合には、その特定された異常のある部位を用いずに前記モータの制御を継続し、前記モータの制御が継続不可能であると判断された場合には、前記モータの制御を停止する
ことを特徴とする上記(4)又は(5)のモータの制御装置。
本発明によれば、異常が発生した際に、異常のある部位若しくは異常の内容を特定することができるとともに、異常の部位および異常の内容に応じてモータの制御を継続することができる。
すなわち、断線異常検出部によりモータ駆動部の断線異常が検出された場合には、モータの制御を停止して、異常のある部位を特定し、この特定された異常のある部位に基づきモータの制御が継続可能か否かを判断する。その判断の結果、継続可能であると判断された場合には、その特定された異常のある部位を制御装置本体から切り離してモータの制御を継続する。これにより、残存するアシスト制御の機能を利用できて、急激なアシスト力の低下を防止する等の処置を講ずることができる。このため、操舵フィーリングが急に損なうような状況を回避することができ、結果的に操舵安全性を確保することができる。一方、継続不可能であると判断された場合には、モータを停止するので、安全を確保することができる。
以下、本発明に係る電動パワーステアリング装置の制御装置に関し、複数の好適な実施形態について説明する。なお、モータの制御装置についても、同様な実施形態で実現可能である。
(第1実施形態)
まず、本発明に係る第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置の制御装置(以下、ECUという。)の概略構成を示すブロック図であり、図2は第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置の制御装置における制御方法を示すフローチャートの前段部、図3は第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置の制御装置における制御方法を示すフローチャートの後段部である。
図1に示すように、ECU1は、中央処理装置(CPU)11と、プリドライバ12と、モータ駆動部(駆動素子制御手段)13と、断線異常検出部14と、モータ端子電圧検出部15と、を備えて構成される。
ECU1には、スター接続されたA〜Cの3相からなる駆動コイルを備えた3相ブラシレスモータ(以下、モータという。)2が接続され、当該ECU1はモータ駆動部13から各相の駆動コイルに駆動電流を供給することによってロータを回転させてモータ2を制御する。
CPU11は、マイクロコンピュータと、RAM及びROM等から構成されるコンピュータシステムであって、ROMに格納されたプログラムを実行することにより、トルクセンサ3で検出した操舵トルクTと車速センサ4で検出した車両の走行速度Vとに基づいて、モータ2に供給する電流の制御目標値である電流指令値を生成し、この生成された電流指令値に基づいて決定されるデューティ指令値で、モータ駆動部13を構成する駆動素子であるパワーMOSFETQ1〜Q6をON、OFFするためのPWM(パルス幅変調)信号を出力する。
また、CPU11はFETQ1〜Q6のゲートを駆動する許可を与える制御信号(以下、FET駆動許可信号という。)を出力する。この制御信号の駆動許可をOFF(不許可)することによって、FETQ1〜Q6すべてのドレイン・ソース間が強制的にOFF状態にされ、モータ2に駆動電流を供給することができなくなる。
なお、ECU1は、不図示のインターフェイス回路を有しており、例えばCPU11などで演算処理ができるように、操舵トルクTなどのアナログ信号をデジタル信号に適宜変換する処理を実行している。
また、プリドライバ12は、CPU11から出力されるPWM信号に基づいて、モータ駆動部13を構成するFETQ1〜Q6の各ゲートを駆動するためのパルス電圧を生成して、FETQ1〜Q6ゲートを駆動制御するドライバICである。
モータ駆動部13は、モータ2の相に対応して、モータ2のスター接続された3相の駆動コイルA、B、Cをそれぞれ駆動する3つのインバータと、モータ駆動部13から3相ブラシレスモータ2のA相およびB相に供給される駆動電流を導通(ON)、遮断(OFF)するためのリレーRYA、RYBと、を有している。
なお、C相はリレーを介することなくモータ2に直接接続されている。
各インバータは、インバータ電源VRの電圧と接地の電位間にカスケード接続された大電流、高耐圧のNチャネルパワーMOSFETQ1〜Q6によってHブリッジ回路が構成され、プリドライバ12から、例えば上部のFETQ1、Q2、Q3のゲートに正相のパルス電圧が入力される間に、下部のFETQ4、Q5、Q6のゲートに逆相のパルス電圧が入力され、上下部のFETQ1〜Q6が相補駆動して交互にON、OFF動作を繰り返すことにより、所望のパルス幅を有する駆動電流を、リレーRYA、RYBを介して或いは直接モータ2の駆動コイルA、B、Cそれぞれに供給するものである。
FETQ1〜Q6は、スイッチング動作に伴って発生する熱を効果的に放散して過度の温度上昇を回避するために、例えば、アルミ合金等からなる放熱板上に実装されている。
断線異常検出部14は、前記インバータとインバータ電源VRとの間に接続され、例えば、実電流と電流指令値とが異なる状態が所定時間以上継続した場合には、断線異常があるとして断線異常を検出する。この検出結果はCPU11に送られ、CPU11において、後述するように通常のアシスト動作を継続するか否かが判断される。
モータ端子電圧検出部15は、モータ2のスター接続された各相駆動コイルA、B、Cの端子電圧をインバータ電源VRと接地間に直列に接続された抵抗によって検出するものである。検出された各相の端子電圧VA、VB、VCはCPU11に送られ、CPU11は、この検出された端子電圧VA、VB、VCに基づいて異常のある部位の特定を行う。
ここで、断線異常がなく正常な場合には、モータ駆動部13の上部のFETQ1〜FETQ3をONとすると、このとき検出される端子電圧VA、VB、VCは、理想的には
VA=VB=VC=VR・・・(1)
となり、ばらつきやマージン等αを考慮すると
VR−α<VA,VB,VC<VR+α・・・(2)
の関係を満足することとなる。
また、下部のFETQ4〜FETQ6をONとすると、このとき検出される端子電圧VA、VB、VCは、理想的には
VA=VB=VC=0・・・(3)
となり、ばらつきやマージン等αを考慮すると
0≦VA,VB,VC<0+α・・・(4)
の関係を満足することとなる。したがって、端子電圧VA、VB、VCが上記(2)式あるいは上記(4)式の範囲にない場合には、異常が発生したと判断することができる。
なお、モータ端子電圧検出部15により検出された端子電圧VA、VB、VCは、例えばその検出方法によりスイッチングに応じた矩形波となるため、この検出された端子電圧はハードウェア又はソフトウェアの少なくとも一方で実現されたフィルタリング処理手段により平均化されることが望ましい。
次に、以上のように構成された本実施形態に係るECU1について、異常があるか否かの判定、異常がある場合にその部位の特定、そしてその異常に応じたアシスト制御の動作手順について、図2および図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
図2に示すように、スタートしたら(ステップSS)、断線異常検出部14が、例えば電流指令値と実電流との差が所定の許容範囲内であるか否かを検出して、この検出結果をCPU11に送り、CPU11はこの検出結果に基づき断線異常の判断を行う(ステップS101)。そして、その電流の差が許容範囲内である場合には断線異常は無いと判断して、通常のアシスト制御を継続する(ステップS102)。
一方、ステップS101においてモータ駆動部13の電流指令値と実電流との差が許容範囲外であり、且つ実電流の方が少ない状態が一定時間以上継続した場合には、断線異常が発生した可能性があると判定して、CPU11は一旦アシスト制御を停止して異常のある部位およびその内容の特定を行う。特定方法としては、プリドライバ12が任意の(本実施形態では所定の順序に従って)FETQ1〜Q6を1個ずつONにして、このときモータ端子電圧検出部15がモータ2の各相の端子電圧VA、VB、VCを検出してCPU11に送り、CPU11が異常のある部位の特定を行う。
このため、まず、FETQ1をONするとともに、FETQ2〜FETQ6についてはOFFにして駆動を停止させる(ステップS103)。このとき、リレーRY1、RY2はすべてONとする。その後、例えばモータ2に付設された不図示のレゾルバなどによりモータ2の回転数を検出して、高い場合には低くなるまで待機する(ステップS104)。なお、このとき、カウンタなどを用いて処理してもよい。
そして、回転数が低いと判断されたとき、モータ端子電圧検出部15がモータ2の各相の端子電圧VA、VB、VCを検出して、この検出結果をCPU11へ送る。
CPU11では、送られてきた端子電圧VA、VB、VCに基づいて、まず、モータ駆動部13のA相上部であるFETQ1の異常の有無の判定を行うため、A相の端子電圧VAが、インバータ電圧VRに対して、VR−α<VA<VR+αの範囲内(すなわち、(2)式の範囲内)であるか否かを判断する(ステップS105)。範囲内でない場合には、FETQ1に異常があることを記憶して(ステップS106)、ステップS113に進む。
一方、その範囲内である場合にはFETQ1は正常であると判断して、リレーRYAの外側であるモータ2の端子の異常の有無の判定を行う。すなわち、まず、B相の端子電圧VBについて、VR−α<VB<VR+αの範囲内(すなわち、(2)式の範囲内)であるか否かを判断する(ステップS107)。その範囲内にないと判断された場合には、さらにC相の端子電圧VCについて、VR−α<VC<VR+αの範囲内(すなわち、(2)式の範囲内)であるか否かを判断して(ステップS108)、範囲内にあると判断した場合には、モータ2のB相に異常があると記憶して(ステップS109)、ステップS113へ進む。
なお、以下モータ2および当該モータ2の端子を合わせてモータ部2aということとする。
一方、ステップS108において範囲内にない、すなわち、端子電圧VBも端子電圧VCも(2)式の範囲内にないと判断された場合には、モータ2のA相に異常があると記憶して(ステップS110)、ステップS113へ進む。また、ステップS7において、端子電圧VBが(2)式の範囲内にあると判断された場合には、端子電圧VCがVR−α<VC<VR+αの範囲内(すなわち、(2)式の範囲内)であるか否かを判断して(ステップS111)、範囲内にないと判断された場合には、モータ2のC相に異常があることを記憶して(ステップS112)、ステップS113へ進む。
続いて、FETQ1をONからOFFにするとともに、FETQ2をOFFからONに切り換えて(ステップS113)、モータ駆動部13のB相上部(すなわち、FETQ2)の異常の有無を判定する。モータ2の回転数を検出して(ステップS114)、高い場合には低くなるまで待機する。回転数が低いと判断されたとき、B相の端子電圧VBを検出して、VR−α<VB<VR+αの範囲内(すなわち、(2)式の範囲内)であるか否かを判断する(ステップS115)。範囲内でない場合には、モータ駆動部13のB相上部であるFETQ2に異常があると記憶して(ステップS116)、次に進む。一方、ステップS115において(2)式の範囲内であると判断された場合には、FETQ2は異常無しとして次に進む。
続いて、FETQ2をONからOFFにするとともに、FETQ3をOFFからONに切り換えて(ステップS117)、モータ駆動部13のC相上部(すなわち、FETQ3)の異常の有無を判定する。モータ2の回転数を検出して(ステップS118)、高い場合には低くなるまで待機する。回転数が低いと判断されたとき、C相の端子電圧VCを検出して、VR−α<VC<VR+αの範囲内(すなわち、(2)式の範囲内)であるか否かを判断する(ステップS119)。範囲内でない場合には、モータ駆動部13のC相上部であるFETQ3に異常があると記憶して(ステップS120)、次に進む。一方、ステップS115において範囲内であると判断された場合には、FETQ3は異常無しとして次に進む。
前述したSS〜S120の後、引き続いて、図3に示すように、モータ駆動部13の下部FETQ4〜FETQ6の異常の有無を判定する。
まず、FETQ3をONからOFFにするとともに、FETQ4をOFFからONに切り換えて(ステップS121)、モータ駆動部13のA相下部(FETQ4)の異常の有無を判定する。モータ2の回転数を検出して(ステップS122)、高い場合には低くなるまで待機する。回転数が低いと判断されたとき、A相の端子電圧VAを検出して、0≦VA<αの範囲内(すなわち、(4)式の範囲内)であるか否かを判断する(ステップS123)。(4)式の範囲内でない場合には、モータ駆動部13のA相下部であるFETQ4に異常があると記憶して(ステップS124)、次に進む。一方、ステップS123において(4)式の範囲内であると判断された場合には、FETQ4は異常無しとして次に進む。
続いて、プリドライバ12がFETQ4をONからOFFにするとともに、FETQ5をOFFからONに切り換えて(ステップS125)、モータ駆動部13のB相下部(FETQ5)の異常の有無を判定する。モータ2の回転数を検出して(ステップS126)、高い場合には低くなるまで待機する。回転数が低いと判断されたとき、B相の端子電圧VBを検出して、0≦VB<αの範囲内(すなわち、(4)式の範囲内)であるか否かを判断する(ステップS127)。(4)式の範囲内でない場合には、モータ駆動部13のB相下部であるFETQ5に異常があると記憶して(ステップS128)、次に進む。一方、ステップS127において(4)式の範囲内であると判断された場合には、FETQ5は異常無しとして次に進む。
続いて、FETQ5をONからOFFにするとともに、FETQ6をOFFからONに切り換えて(ステップS129)、モータ駆動部13のC相下部(FETQ6)の異常の有無を判定するする。モータ2の回転数を検出して(ステップS130)、高い場合には低くなるまで待機する。回転数が低いと判断されたとき、C相の端子電圧VCを検出して、0≦VC<αの範囲内(すなわち、(4)式の範囲内)であるか否かを判断する(ステップS131)。(4)式の範囲内でない場合には、モータ駆動部13のC相下部であるFETQ6に異常があると記憶して(ステップS132)、次に進む。一方、ステップS131において(2)式の範囲内であると判断された場合には、FETQ6は異常無しとして次に進む。
以上のようにして、モータ駆動部13及びモータ2の各相の異常の判定が完了したら、記録された異常情報に基づき複数相に異常があったか否かを判断し(ステップS133)、複数相に異常があった場合にはさらにモータ駆動部の上下部でそれぞれ1箇所ずつの異常か否かを判断し(ステップS134)、上下部で1個ずつでない場合、すなわち上下部いずれかで2個以上の異常がある場合、又はモータ2とモータ駆動部13の両方に異常がある場合にはアシスト制御を禁止(停止)する(ステップS135)。
一方、ステップS133で異常が1つの相のみと判断された場合には、リレーRYA、RYB或いはFET駆動許可信号により、当該1つの相を電気的に遮断し、他の2相を用いてアシスト制御を再開する(ステップS136)。また、ステップS134でモータ駆動部13上下部にそれぞれ1個ずつの異常と判断された場合にも、正常なFETゲートを駆動許可してアシスト制御可能であるため、CPU11はFET駆動許可をプリドライバ12に発し、プリドライバ12は正常な2相を用いてアシスト制御を再開する(ステップS136)。
したがって、本実施形態によれば、断線異常検出部14により断線異常が検出された場合に、モータ駆動部13とモータ部2aとのいずれかに異常があると判定してアシスト制御を一旦停止して、複数のFETQ1〜Q6のうち任意の1つのFETのみを駆動し、このときの端子電圧VA、VB、VCをモータ端子電圧検出部15により検出する。そして、検出された各相の端子電圧VA、VB、VCとインバータ電圧VRとの差が所定の範囲内にない相が異常であると特定することができるので、モ−タ駆動部13あるいはモータ部2aのいずれか1相のみに異常があると特定される場合には、正常な他の相を使用してアシスト制御を継続することができる。また、複数相に異常がある場合でも、モータ駆動部13の上下部に1個ずつ異常があると特定された場合には、正常な、残りのFETを駆動してアシスト制御を行うことが可能であるため、アシスト制御を再開することができる。
これにより、残存するアシスト制御の機能を利用できて、急激なアシスト力の低下を防止する等の処置を講ずることができる。このため、操舵フィーリングが急に損なうような状況を回避することができ、結果的に操舵安全性を確保することができる。すなわち、この特定した異常のある部位に応じて、アシストの制御の継続/停止を選択的に実施するので、結果的に車両の操舵安全性を向上することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図4は第2実施形態に係る電動パワーステアリング装置の制御装置の概略構成を示すブロック図、図5は第2実施形態に係る異常のある部位を特定するための特定パターンを示す表、図6は第2実施形態に係る電動パワーステアリング装置の制御装置における制御方法を示すフローチャートである。
前述した第1実施形態に係るECU1においては、モータ2の端子電圧VA、VB、VCを検出し、この検出された端子電圧VA、VB、VCの個々の値を用いて異常判断を行ったが、本実施形態に係るECU1B(図4参照)においては、検出された各相の端子電圧VA、VB、VCの和を算出して異常のある部位を特定する。すなわち、本実施形態では、端子電圧VA、VB、VCの和で異常を判定することにより、各フローステップで各相の異常をモータ駆動部13とモータ2とに区別して個別に判定する必要がなく、前述した第1実施形態の場合よりも迅速に異常のある部位を特定することができる。
なお、図4に示すように、本実施形態に係るECU1Bの構成は、前述した第1実施形態に係るECU1の場合と同様なので、共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明は省略することとする。
本実施形態に係るECU1Bでは、断線異常検出分14により断線異常が検出された場合に、CPU11は一旦アシスト制御を停止し、モータ端子電圧検出部15によって検出された端子電圧VA、VB、VCがCPU11に送られ、CPU11は各相の端子電圧VA、VB、VCに基づいて異常のある部位を特定し、アシスト制御を再開するか否かを判断する。
図5には、特定の部位の異常時における各相の端子電圧VA、VB、VCの和(VA+VB+VC)のそれぞれのパターンが示されている。モータ駆動部13の下部のFETQ4〜Q6のいずれか1つを駆動ONしており、その相が異常であれば端子電圧VA、VB、VCの和は、理想的には
VA+VB+VC=2×β×VR・・・(5)
となり、駆動ONしている相が正常であるなら、
VA+VB+VC=0・・・(6)
となる。なお、βは分圧比である。
以上より、マージンαを考慮して、
VA+VB+VC<2×β×VR−α・・・(7)
の関係を満足する場合、駆動ONしている相が正常と判断することができる。
また、モータ駆動部13の上部のFETQ1〜Q3のいずれか1つが駆動許可されており、そのFETQ1〜Q3が正常な場合には、端子電圧VA、VB、VCの和はマージンαを考慮して、
VA+VB+VC≧3×VR−α・・・(8)
の関係を満足することとなる。このことから、1つFETが駆動ON時に、(7)式および(8)式の範囲外である場合には、異常であると判断する。
次に、本実施形態に係るECU1Bにおける制御手順を、図6のフローチャートを参照しながら説明する。
図6に示すように、スタートしたら(ステップSS)、断線異常検出部14が例えば電流指令値と実電流との差が所定の許容範囲内であるか否かを検出して断線異常の判断を行い(ステップS201)、電流の差が許容範囲内である場合には断線異常は無いと判断して、通常のアシスト制御を継続する(ステップS202)。一方、ステップS201においてモータ駆動部13の電流指令値と実電流との差が許容範囲外であり、且つ実電流の方が少ない状態が一定時間以上継続した場合には、断線異常が発生した可能性があるため、一旦アシスト制御を停止し、以下のようにして異常のある部位およびその内容の特定を行う。
まず、FETQ4だけをゲート駆動許可してONとし、FETQ1〜FETQ3およびFETQ5、FETQ6をOFFとする。また、リレーRYA、RYBはすべてONとする(ステップS203)。そして、モータ2の回転数を検出して、高い場合には低くなるまで待機する(ステップS204)。回転数が低いと判断されたとき、モータ端子電圧検出部15がモータ2の各相の端子電圧VA、VB、VCを検出してCPU11に送り、CPU11はこの端子電圧VA、VB、VCの和(VA+VB+VC)を算出して、VA+VB+VC<2×β×VR−α(すなわち、(7)式)であるか否かを判断する(ステップS205)。その端子電圧VA、VB、VCの和が2×β×VR−αに等しいか或いはそれ以上の場合には、A相、すなわち、モータ駆動部13のA相あるいはモータ2aのA相に異常があること(図5中「FETQ4駆動」の行の白抜き部分を参照)を記憶し(ステップS206)、A相を除いたB相およびC相の2相でアシスト制御を再開する(ステップS207)。
なお、異常がある相を除くには、その該当する相に、リレーRYA、RYBを介して駆動電流を遮断したり、或いはFET駆動許可信号をOFFにしたりして電気的に遮断すればよい。
一方、ステップS205において端子電圧VA、VB、VCの和が(7)式の範囲内であると判断された場合には、FETQ4をONからOFFに切り換えるとともに、FETQ5をOFFからONに切り換える(ステップS208)。そして、モータ2の回転数を検出して、高い場合には低くなるまで待機する(ステップS209)。回転数が低いと判断されるとき、モータ2の各相の端子電圧VA、VB、VCを検出し、この端子電圧VA、VB、VCの和(VA+VB+VC)を算出して、VA+VB+VC<2×β×VR−αであるか否かを判断する(ステップS210)。端子電圧VA、VB、VCの和が2×β×VR−αに等しいか或いはそれ以上の場合には、B相、すなわち、モータ駆動部13のB相あるいはモータ2aのB相に異常があること(図5中「FETQ5駆動」行の白抜き部分を参照)を記憶して(ステップS211)、B相を除いたA相およびC相の2相でアシスト制御を再開する(ステップS212)。
また、ステップS210においてその端子電圧VA、VB、VC和が(7)式の範囲内であると判断された場合には、FETQ5をONからOFFに切り換えるとともに、FETQ6をOFFからONに切り換える(ステップS213)。そして、モータ2の回転数を検出して、高い場合には低くなるまで待機する(ステップS214)。回転数が低いと判断されるとき、モータ2の各相の端子電圧VA、VB、VCを検出し、この端子電圧VA、VB、VCの和(VA+VB+VC)を算出して、VA+VB+VC<2×β×VR−αであるか否かを判断する(ステップS215)。その端子電圧VA、VB、VCの和が2×β×VR−αに等しいか或いはそれ以上の場合には、C相、すなわち、モータ駆動部13のC相あるいはモータ2aのC相に異常があること(図5中「FETQ6駆動」行の白抜き部分を参照)を記憶して(ステップS216)、C相を除いたA相およびB相の2相でアシスト制御を再開する(ステップS217)。
また、ステップS215においてその端子電圧VA、VB、VC和が(7)式の範囲内であると判断された場合には、FETQ6をONからOFFに切り換えるとともに、FETQ1をOFFからONに切り換える(ステップS218)。そして、モータ2の回転数を検出して、高い場合には低くなるまで待機する(ステップS219)。回転数が低いと判断されたとき、モータ2の各相の端子電圧VA、VB、VCを検出し、この端子電圧VA、VB、VCの和(VA+VB+VC)を算出して、VA+VB+VC≧3×VR−α(すなわち、(8)式)であるか否かを判断する(ステップS220)。その端子電圧VA、VB、VCの和が3×VR−αより低い場合には、モータ駆動部13のA相に異常があること(図5中「FETQ1駆動」行の白抜き部分を参照)を記憶して(ステップS221)、A相を除いたB相およびC相の2相でアシスト制御を再開する(ステップS222)。
続いて、ステップS220において和が3×VR−αと等しいかそれ以上であると判断された場合には、FETQ1をONからOFFに切り換えるとともに、FETQ2をOFFからONに切り換える(ステップS223)。そして、モータ2の回転数を検出して、高い場合には低くなるまで待機する(ステップS224)。回転数が低いと判断されたとき、モータ2の各相の端子電圧VA、VB、VCを検出し、この端子電圧VA、VB、VCの和(VA+VB+VC)を算出して、VA+VB+VC≧3×VR−αであるか否かを判断する(ステップS225)。その端子電圧VA、VB、VCの和が3×VR−αより低い場合には、モータ駆動部13のB相に異常があること(図5中「FETQ2駆動」行の白抜き部分を参照)を記憶して(ステップS226)、B相を除いたA相およびC相の2相でアシスト制御を再開する(ステップS227)。
また、ステップS225においてその端子電圧VA、VB、VCの和が3×VR−αと等しいかそれ以上であると判断された場合には、ステップS201で断線異常有りと判断された上でA相およびB相に異常無しとされるので、C相に異常があることを記憶して(ステップS228)、C相を除いたA相およびB相の2相でアシスト制御を再開する(ステップS229)。
したがって、本実施形態によれば、断線異常検出部14により断線異常が検出された場合に、モータ駆動部13とモータ部2aとのいずれかに異常があると判定して、複数のFETのうち任意の1つのFETのみを駆動して、このときの端子電圧VA、VB、VCをモータ端子電圧検出部15により検出する。そして、検出された各相の端子電圧VA、VB、VCの和を算出し、端子電圧VA、VB、VCの和が所定の範囲内にない相が異常であると特定することができるので、モータ駆動部13とモータ2とに区別して個別に判定する必要がなく、前述した第1実施形態の場合よりも迅速に異常のある部位を特定することができる。そして、いずれか1相のみに異常があると特定される場合には、正常な他の相を使用してアシスト制御を継続することができ、正常な2相を駆動してアシスト制御を行うことが可能であるため、アシスト制御を再開する。
これにより、残存するアシスト制御の機能を利用できて、急激なアシスト力の低下を防止する等の処置を講ずることができる。このため、操舵フィーリングが急に損なうような状況を回避することができ、結果的に操舵安全性を確保することができる。すなわち、この異常を特定した部位に応じて、アシストの制御の継続/停止を選択的に実施するので、結果的に車両の操舵安全性を向上することができる。
(第3実施形態)
さらに次に、本発明に係る第3実施形態について説明する。
図7は第3実施形態に係る電動パワーステアリング装置の制御装置の概略構成を示すブロック図、図8は第3実施形態に係る異常のある部位を特定するための特定パターンを示す表、図9は第3実施形態に係る電動パワーステアリング装置の制御装置における制御方法を示すフローチャートである。
前述した第1実施形態および第2実施形態に係るモータの制御装置1、1Bにおいては、モータ2の端子電圧VA、VB、VCを検出し、この端子電圧VA、VB、VCに基づいて異常のある部位の特定を行ったが、本実施形態では、各相の電流を検出し、この検出された電流に基づき異常のある部位を特定するものである。
なお、図7において、前述した第1実施形態および第2実施形態に係るモータの制御装置1、1Bと共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明は省略することとする。
本実施形態に係るECU1Cにおいては、前述したモータ端子電圧検出部15に代わって、各相の電流を検出する電流検出部16が設けられている。この電流検出部16では、各相に抵抗が直列に配されて、この抵抗における電圧効果により電流を検出して、この検出された各相の電流Ia、Ib、IcがCPU11に送られる。
すなわち、本実施形態では、断線異常が検出された際CPU11は特定の電流パターンで電流指令を実施し、そのときに検出された各相の電流がCPU11に送られ、そしてCPU11は送られてきた各相の電流の絶対値(|Ia|、|Ib|、|Ic|)に基づいて異常のある部位を特定する。
この電流パターンとしては、例えば、パターンAではA相(50A)からB相(25A)、C相(25A)へ、パターンBではB相(25A)、C相(25A)からA相(50A)へ、パターンCではB相(50A)からA相(25A)、C相(25A)へ変化するものが例示として挙げられる。
なお、その他、全ての相(或いはFETQ1〜Q6)を使用するものであれば特に限定するものではない。また、FETQ1〜Q6に流れる電流が過大な場合には、更なる異常の原因ともなるので、電流を制限して変化させるのが望ましい。
図8には、前述したパターンA〜Cの電流指令を実施した際に、異常のある部位を特定する特定パターンが示されている。なお、図8中の「2相でアシスト再開」は、異常がある相をリレーRYA、RYBを介して駆動電流を遮断したり、或いはFET駆動許可信号をOFFにしたりして電気的に遮断して、正常な2相でモータ2を制御することを意味している。
次に、ECU1Cにおける制御手順を、図9に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
図9に示すように、スタートしたら(ステップSS)、断線異常検出部14が、例えば電流指令値と実電流との差が所定の許容範囲内であるか否かを検出して断線異常の判断を行い(ステップS301)、この電流の差が許容範囲内である場合には断線異常は無いと判断して、通常のアシスト制御を継続する(ステップS302)。一方、ステップS301においてモータ駆動部13の電流指令値と実電流との差が許容範囲外であり、且つ実電流の方が少ない状態が一定時間以上継続した場合には、断線異常が発生した可能性があるため、一旦アシスト制御を休止し、以下のようにして異常のある部位およびその内容の特定を行う。
まず、リレーRYAおよびリレーRYBをONとし(ステップS303)、例えば前述した電流パターンAを実施する。すなわち、FETQ1、FETQ5、FETQ6を駆動許可して、A相からB、C相への電流指令を実施し(ステップS304)、電流検出部16が|Ia|、|Ib|、|Ic|を算出する。なお、このとき誤判定を防止するため、カウントや継続時間等の判定手段を適宜用いるのが望ましい。
次に、例えば前述した電流パターンBを実施する。すなわち、FETQ2、FETQ3、FETQ4を駆動許可してB、C相からA相への電流指令を実施し(ステップS305)、|Ia|、|Ib|、|Ic|を算出する。そして、パターンAの|Ia|、|Ib|、|Ic|、およびパターンBの|Ia|、|Ib|、|Ic|から、図8の特定パターンに基づいて異常のある部位を特定する(ステップS306)。
さらに、異常のある部位がA相(モータ駆動部13又はモータ2a)か或いはプリドライバ12の異常であるか否かを判断して(ステップS307)、異常のある部位がA相(モータ駆動部13又はモータ2a)か或いはプリドライバ12の異常である場合には、例えば電流パターンCを実施する。すなわち、FETQ2、FETQ6を駆動許可して、B相からA、C相への電流指令を実施し(ステップS308)、|Ia|、|Ib|、|Ic|を算出する。
そして、パターンA〜パターンCの電流|Ia|、|Ib|、|Ic|から、図8に示す特定パターンに基づいて異常のある部位を特定する(ステップS309)。特定された異常のある部位がプリドライバ12か否かを判断して(ステップS310)、プリドライバ12が異常であると判断された場合には、アシスト制御を禁止する(ステップS311)。一方、異常のある部位がプリドライバ12でない場合、およびステップS307においてA相およびプリドライバ12の異常でないと判断された場合には、異常であると特定された相を除いた2相でアシスト制御を再開する(ステップS312)。
したがって、本実施形態によれば、断線異常検出部14により断線異常が検出された場合に、モータ駆動部13とモータ部2aとプリドライバ12のいずれかに異常があると判定し、FETQ1〜Q6を所定の電流パターンで駆動して全ての相に電流が流れるようにする。このときの各相の電流Ia、Ib、Icを電流検出部16により検出して、電流|Ia|、|Ib|、|Ic|の値から異常のある部位を特定し、プリドライバ12が異常でない場合には、正常な他の相を使用してアシスト制御を継続することができ、正常な2相を駆動してアシスト制御を行うことが可能であるため、アシスト制御を再開する。
これにより、残存するアシスト制御の機能を利用できて、急激なアシスト力の低下を防止する等の処置を講ずることができる。このため、操舵フィーリングが急に損なうような状況を回避することができ、結果的に操舵安全性を確保することができる。すなわち、この異常を特定した部位に応じて、アシストの制御の継続/停止を選択的に実施するので、結果的に車両の操舵安全性を向上することができる。
なお、本発明のモータの制御装置は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、前述した各実施形態においては、モータ2を3相駆動する場合について説明したが、これに限らず、例えば2相の場合にも適用可能である。
また、前述した実施形態においては、電動パワーステアリング装置に用いられるモータを例示したが、これに限るものではなく、その他のモータを制御する必要があるシステムにも適宜適用することができる。
第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置の制御装置の概略構成を示すブロック図である。 第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置の制御装置における制御方法を示すフローチャートの前段部である。 第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置の制御装置における制御方法を示すフローチャートの後段部である。 第2実施形態に係る電動パワーステアリング装置の制御装置の概略構成を示すブロック図である。 第2実施形態に係る異常のある部位を特定するための特定パターンを示す表である。 第2実施形態に係る電動パワーステアリング装置の制御装置における制御方法を示すフローチャートである。 第3実施形態に係る電動パワーステアリング装置の制御装置の概略構成を示すブロック図である。 第3実施形態に係る異常のある部位を特定するための特定パターンを示す表である。 第3実施形態に係る電動パワーステアリング装置の制御装置における制御方法を示すフローチャートである。 一般的な電動パワーステアリング装置の概略構成を示す図である。 従来の電動パワーステアリング装置の制御装置の概略構成を示すブロック図である。
符号の説明
1、1B、1C ECU(制御装置)
2 モータ
12 プリドライバ(駆動素子制御手段)
13 モータ駆動部
14 断線異常検出部
15 モータ端子電圧検出部
16 電流検出部
FETQ1〜Q6 駆動素子
VR インバータ電源

Claims (6)

  1. モータの各相に駆動電流をそれぞれ供給するため当該モータの相に対応して電源と接地間に接続された上下の駆動素子をそれぞれ有してHブリッジ回路が構成されるモータ駆動部と、当該駆動素子をそれぞれ駆動制御する駆動素子制御手段と、を備え、操舵機構に操舵補助力を付与するため前記モータを制御する電動パワーステアリング装置の制御装置において、
    さらに、
    前記モ−タ駆動部の断線異常を検出する断線異常検出部と、
    前記モータの端子に接続されて、その各相の端子電圧を検出するモータ端子電圧検出部と、
    を備え、
    前記断線異常検出部により前記モータ駆動部の断線異常が検出された場合に、前記モータの制御を一旦停止して、
    前記駆動素子制御手段により複数の前記駆動素子のうち任意の1つの駆動素子のみを駆動し、このときの端子電圧を前記モータ端子電圧検出部により検出し、
    前記モータ端子電圧検出部により検出された各相の端子電圧の和が所定の範囲内であるか否かの判定に基づいて、異常のある部位を特定する
    ことを特徴とする電動パワーステアリング装置の制御装置。
  2. 前記端子電圧は、前記電源と前記接地間に直列に接続された複数の抵抗によって分圧された値である
    ことを特徴とする請求項に記載の電動パワーステアリングの制御装置。
  3. その特定された異常のある部位に基づき前記モータの制御が継続可能か否かを判定し、
    この特定の結果、前記モータの制御が継続可能であると判定される場合には、その特定された異常のある部位を用いずに前記モータの制御を継続し、前記モータの制御が継続不可能であると判断された場合には、前記モータの制御を停止する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  4. モータの各相に駆動電流をそれぞれ供給するため当該モータの相に対応して電源と接地間に接続された上下の駆動素子をそれぞれ有してHブリッジ回路が構成されるモータ駆動部と、当該駆動素子をそれぞれ駆動制御する駆動素子制御手段と、を備え、前記モータを制御するモータの制御装置において、
    さらに、
    前記モ−タ駆動部の断線異常を検出する断線異常検出部と、
    前記モータの端子に接続されて、その各相の端子電圧を検出するモータ端子電圧検出部と、
    を備え、
    前記断線異常検出部により前記モータ駆動部の断線異常が検出された場合に、前記モータの制御を一旦停止して、
    前記駆動素子制御手段により複数の前記駆動素子のうち任意の1つの駆動素子のみを駆動し、このときの端子電圧を前記モータ端子電圧検出部により検出し、
    前記モータ端子電圧検出部により検出された各相の端子電圧の和が所定の範囲内であるか否かの判定に基づいて、異常のある部位を特定する
    ことを特徴とするモータの制御装置。
  5. 前記端子電圧は、前記電源と前記接地間に直列に接続された複数の抵抗によって分圧された値である
    ことを特徴とする請求項に記載のモータの制御装置。
  6. その特定された異常のある部位に基づき前記モータの制御が継続可能か否かを判定し、
    この特定の結果、前記モータの制御が継続可能であると判定される場合には、その特定された異常のある部位を用いずに前記モータの制御を継続し、前記モータの制御が継続不可能であると判断された場合には、前記モータの制御を停止する
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載のモータの制御装置。
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