JP5125406B2 - 旋回装置およびそれを備えた円筒研削盤 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の工具軸を有する旋回台を旋回可能に設けた旋回装置およびそれを備えた円筒研削盤に関するものである。
複数の砥石を支持した砥石軸を有する砥石台(旋回台)を旋回可能に設け、砥石台を旋回機構によって所定の角度位置に旋回させ、複数の砥石によって工作物に各種研削加工を行えるようにした工程集約型の円筒研削盤として、例えば、特許文献1に記載されているようなものが知られている。
特許文献1に記載された円筒研削盤は、砥石軸の一端に平砥石(G1)を、他端にアンギュラ砥石(G2)を取付け、平砥石による研削加工の場合には、砥石軸がテーブルの送り方向と平行となるように砥石台を中心軸(13)を中心にして所定角度旋回させ、アンギュラ砥石による研削加工の場合には、アンギュラ砥石の研削面がテーブルの送り方向と平行となるように砥石台を中心軸を中心にして所定角度旋回させるようになっている。
特開2000−108026号公報
この種の円筒研削盤においては、砥石台を旋回するウォーム・ウォームホィール機構からなる旋回駆動部と、砥石台を所定の角度位置に位置決めするハースカップリングからなる位置決め固定部が、砥石台の上下方向(旋回軸線方向)に大きく離間されているため、砥石軸位置がベッド上面より高い位置になってしまい、モーメント剛性が低下して、研削抵抗によって砥石台が傾きやすくなる問題がある。
本発明は、上記した従来の問題を解消するためになされたもので、砥石軸位置を低くでき、研削抵抗によって旋回台を傾きにくくした旋回装置およびそれを備えた円筒研削盤を提供することを目的とするものである。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る旋回装置の発明の特徴は、支持台上に、複数の工具軸を設置した旋回台を旋回軸を中心に旋回可能に設けた旋回装置において、前記旋回台と前記支持台との間に、前記複数の工具軸の回転中心を含む面によって分割される環状空間部を形成し、該環状空間部に前記旋回台を旋回駆動するダイレクトドライブモータを配設し、前記ダイレクトドライブモータは、前記旋回台側に固定されたロータと、前記支持台側に固定されたステータからなり、前記ロータおよび前記ステータの軸方向の中心を前記面上に略一致させたことである。
請求項2に係る旋回装置の発明の特徴は、請求項1において、前記工具軸は、砥石軸であり、前記工具は、円筒砥石であることである。
請求項3に係る旋回装置の発明の特徴は、請求項1または請求項2において、前記旋回台を前記支持台に固定するブレーキ手段を備えていることである。
請求項4に係る旋回装置の発明の特徴は、請求項1ないし請求項3の何れか1項において、前記支持台に大径円筒部と小径円筒部が同心上に形成され、前記旋回台に中間円筒部が前記大径円筒部と前記小径円筒部との間に同心上に形成され、前記中間円筒部と前記大径円筒部との間に前記ダイレクトドライブモータが配設され、前記中間円筒部と前記小径円筒部との間に前記ブレーキ手段が配設されていることである。
請求項5に係る円筒研削盤の発明の特徴は、請求項2ないし請求項4の何れか1項に記載の旋回装置を備えていることである。
請求項1に係る旋回装置の発明によれば、旋回台と支持台との間に、複数の工具軸の回転中心を含む面によって分割される環状空間部を形成し、環状空間部に旋回台を旋回駆動するダイレクトドライブモータを配設したので、支持台に対する旋回台の高さ寸法を抑制でき、工具による加工時に発生する加工反力によって、旋回台が倒れる(傾く)のを抑制することができる。
しかも、ダイレクトドライブモータのロータとステータの軸方向の中心が面上に略一致するように配置されているので、旋回台の旋回重心付近を駆動することができるとともに、旋回台の高さ寸法を抑制することができる。
請求項2に係る旋回装置の発明によれば、工具軸は、砥石軸であり、工具は、円筒砥石であるので、円筒砥石による研削加工時に発生する研削抵抗によって、砥石軸を支持した旋回台の倒れ(傾き)を抑制でき、円筒砥石による工作物の研削精度を向上することができる。
請求項3に係る旋回装置の発明によれば、旋回台を支持台に固定するブレーキ手段を備えているので、旋回台を所定の角度位置で確実に固定することができる。
請求項4に係る旋回装置の発明によれば、支持台に大径円筒部と小径円筒部が同心上に形成され、旋回台に中間円筒部が大径円筒部と小径円筒部との間に同心上に形成され、中間円筒部と大径円筒部との間にダイレクトドライブモータが配設され、中間円筒部と小径円筒部との間にブレーキ手段が配設されているので、ダイレクトドライブモータとブレーキ手段を旋回台の旋回軸線方向にオーバラップして配置することが可能となり、ブレーキ手段を備えた旋回装置においても、旋回台の高さ寸法が大きくなることがない。
請求項5に係る円筒研削盤の発明によれば、請求項2ないし請求項4の何れか1項に記載の旋回装置を備えているので、旋回台の旋回重心付近を駆動することができるとともに、旋回台の高さ寸法を抑制することができ、モーメント剛性を高くすることができる。従って、円筒砥石による研削加工時に作用する研削抵抗によって、支持台に対する旋回台の倒れ(傾き)を抑制できるようになり、工作物Wの研削精度を向上できる円筒研削盤を具現化することができる。

以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、砥石旋回装置20を備えた円筒研削盤10の全体を示すもので、当該円筒研削盤10のベッド11上には、工作物テーブル12が水平なZ軸方向に移動可能に案内支持され、Z軸サーボモータ75によりZ軸方向に移動されるようになっている。工作物テーブル12上には主軸台13と心押台14とが対向して配置され、主軸台13および心押台14には工作物Wの両端を支持するセンタ15、16が設けられている。両センタ15、16にて支持された工作物Wは、主軸台13に設置された主軸駆動モータ17により図略の駆動金具を介して工作物テーブル12の移動方向(Z軸方向)と平行な軸線の回りに回転駆動されるようになっている。
また、ベッド11上には、砥石テーブル18が工作物テーブル12の移動方向と直交する水平なX軸方向に移動可能に案内支持され、X軸サーボモータ71によりX軸方向に進退移動されるようになっている。砥石テーブル18上には、砥石旋回装置20が設置されている。
砥石旋回装置20は、図2に示すように、砥石テーブル18上に固定された支持台21と、この支持台21に旋回軸22を中心にしてB軸(図1参照)の回りに水平面内で旋回可能に支持された旋回台23を有している。旋回台23には、複数(2つ)の砥石軸25,26が互いに平行な水平軸線の回りに回転可能に支持され、これら砥石軸25、26に円筒砥石27、28が取付けられている。円筒砥石27、28は、砥石軸25、26に平行な研削面27a、28aを有し、これら研削面27a、28aに直交する面S1に旋回軸22の中心が含まれるように、円筒砥石27、28が位置されている(図1参照)。
砥石旋回装置20の旋回台23は、平面から見て矩形状を呈している。旋回台23の4つの側面のうち、対向する2つの側面31、32(以下、第1側面31、第2側面32という)には、第1および第2砥石保持手段33、34がそれぞれ設けられている。各砥石保持手段33、34は基本的に同じ構成であるので、以下、第1側面31に設けられた第1砥石保持手段33の構成について説明する。
旋回台23の第1側面31には、図1に示すように、一対の軸受部35、36が水平方向に所定の間隔を有して設置され、これら軸受部35、36によって砥石軸25が水平な軸線の回りに回転可能に両持ち支持されている。砥石軸25は、旋回台23が旋回軸22を中心にして旋回された際に、工作物Wの回転軸線と平行となる角度位置で位置決めされるようになっている。
砥石軸25は、一例として、図3に示すように、軸方向の中央部で分割かつ結合可能な2つの砥石軸部25a、25bによって構成され、一方の砥石軸部25aは、一方の軸受部35に設けられたラジアル軸受37によって回転可能かつ摺動可能に軸承されている。他方の砥石軸部25bは、他方の軸受部36に設けられたラジアル軸受38およびスラスト軸受39によって一方の砥石軸部25aと同一の軸線上に回転のみ可能に軸承されている。他方の砥石軸部25b上にはプーリ41が取付けられ、このプーリ41は、旋回台23上に設置された砥石駆動モータ42のモータ軸上に取付けられたプーリ43とベルト44を介して回転連結されている。
2つの砥石軸部25a、25bの各対向端部には、テーパ軸25a1と、このテーパ軸25a1に合致嵌合するテーパ穴25b1がそれぞれ形成され、これらテーパ軸25a1とテーパ穴25b1とのテーパ嵌合および両軸部25a、25bの端面接合との二面拘束によって、2つの砥石軸部25a、25bが芯出し結合されるようになっている。テーパ軸25a1とテーパ穴25b1は通常図略の結合手段によって一体結合されている。また、円筒砥石27の交換時には、結合手段が解除されて2つの砥石軸部25a、25bが分離され、円筒砥石27は、砥石軸部25a、25bが分離された状態で、それらの間より着脱可能となっている。
2つの砥石軸部25a、25bの一方(25b)には、フランジ部45が設けられ、このフランジ部45に砥石軸部25bに嵌合された円筒砥石27がボルト46によって固定されるようになっている。この際、円筒砥石27は、その研削面27aの幅方向の中心より研削面27aに直交する面S1(図1参照)に旋回台23の旋回中心(旋回軸22の中心)が一致する位置に保持されている。
これによって、円筒砥石27による工作物Wの研削加工時に発生する研削抵抗によって、旋回台23に旋回軸22回りの旋回モーメントを発生させないようにしている。
旋回台23の第1側面31には、円筒砥石27に対応して凹部31aが形成され、この凹部31aに円筒砥石27の外周の一部が侵入するようになっている。円筒砥石27の外周の一部を旋回台23の凹部31aに侵入させることにより、円筒砥石27の径が大きい場合でも、旋回台23の第1側面31から砥石軸25の中心位置までの距離が大きくなるのを抑制し、砥石軸25の支持剛性の低下を防止するようにしている。
上記した軸受部35、36、砥石軸25、円筒砥石27等によって、第1砥石保持手段33を構成している。
旋回台23の第2側面32に設けられる第2砥石保持手段34も上記した第1保持手段33と同様に構成され、第2砥石保持手段34に保持される円筒砥石28は、その研削面28aの幅方向の中心より研削面28aに直交する面S1に旋回台23の旋回中心(旋回軸22の中心)が一致する位置に保持されている。
なお、第2砥石保持手段34に保持された砥石軸26は、旋回台23上に設置された砥石駆動モータ47により、ベルト伝動装置48を介して回転されるようになっている。
本発明の実施の形態においては、工作物Wは、一例としてカムシャフトからなっており、カムシャフトWには、円周上一部に凹部を有する凹カムWaを軸線方向に間隔を有して複数備えている。カムシャフト上の凹カムWaを荒研削加工する一方の円筒砥石27は大径とされ、凹カムWaを定められたプロフィルに仕上げ研削する他方の円筒砥石28は小径とされ、これら大径および小径の2種類の円筒砥石27、28を用いて、凹カムWaを高能率に研削加工できるようにしている。
砥石旋回装置20の支持台21には、図2に示すように、第1および第2保持手段33、34の各砥石軸25、26の回転中心を含む面S2の高さ位置に、大径の円筒部21aが形成され、この大径円筒部21aの中心部に大径円筒部21aと同心的に旋回軸22が鉛直軸線方向に立設されている。また、支持台21には大径円筒部21aと同心的に小径円筒部21bが形成され、小径円筒部21bは旋回軸22に嵌装固定されている。
一方、旋回台23には、中間円筒部23aが支持台21に形成した大径円筒部21aと小径円筒部21bと同心的に形成され、中間円筒部23aは、大径円筒部21aと小径円筒部21bとの間に配置されている。支持台21の大径円筒部21aには、クロスローラベアリング51の外輪が旋回軸22と同心的に固定され、このクロスローラベアリング51の内輪に旋回台23の中間円筒部23aが連結され、旋回台23はクロスローラベアリング51を介して旋回軸22を中心にして旋回可能に支持台21に支持されている。
支持台21の大径円筒部21aと旋回台23の中間円筒部23aとの間には、上記した面S2の高さ位置に、第1環状空間部24aが形成されている。すなわち、第1環状空間部24aは、面S2によって分割される高さ位置に形成されている。また、支持台21の小径円筒部21bと旋回台23の中間円筒部23aとの間には、面S2によって分割される第2環状空間部24bが形成されている。第1環状空間部24aには、ダイレクトドライブモータ52が配設され、このダイレクトドライブモータ52によって旋回台23が旋回駆動されるようになっている。第2環状空間部24bには、ブレーキ手段56が配設され、このブレーキ手段56によって旋回台23が支持台21に対して固定されるようになっている。
ダイレクトドライブモータ52は、旋回台23の中間円筒部23aの外周に固着されたロータ53と、支持台21の大径円筒部21aの内周に固定されたステータ54とによって構成されている。この場合、ロータ53およびステータ54の軸線方向の中心を、面S2にできるだけ近づけるように、すなわち、面S2に略一致するように配置するのが望ましい。ロータ53の外周には、平板状の永久磁石が複数接着され、これら永久磁石に対向してステータ54の内周には複数のコイルが巻回され、コイルへの通電によって発生する磁束を永久磁石に作用させることにより、ロータ53が回転され、旋回台23が旋回される。
ダイレクトドライブモータ52のロータ53の回転によって旋回される旋回台23の旋回角度は、支持台21に設置されたエンコーダ55によって検出される。旋回台23はエンコーダ55の検出信号に基づいて所定の角度位置に停止され、ブレーキ手段56によってその角度位置に固定されるようになっている。
ブレーキ手段56は、支持台21の小径円筒部21b外周に設けられたブレーキ用シリンダ57と、このブレーキ用シリンダ57に上下方向に摺動可能に嵌装されたピストン58と、旋回台21の中間円筒部23aに固定された摩擦板59とによって構成されている。そして、中間円筒部23aのフランジ部とピストン58との間で、摩擦板59を挟持することにより、旋回台23を支持台21に固定できるようになっている。
このように、旋回台23を旋回する旋回駆動機構としてのダイレクトドライブモータ52を、支持台21の大径円筒部21aと旋回台23の中間円筒部23aとの間に形成した第1環状空間部24aに配置することにより、ダイレクトドライブモータ52を砥石保持装置33、34の各砥石軸25、26の回転中心を含む面S2の高さ位置付近に配置することが可能となる。これによって、旋回台23の旋回重心付近を駆動することができるとともに、旋回台23の高さ寸法を抑制することができ、モーメント剛性を高くすることができる。
また、旋回台23を固定するブレーキ手段56を、支持台21の小径円筒部21bと旋回台23の中間円筒部23aとの間に形成した第2環状空間部24bに配置することにより、ブレーキ手段56を、ダイレクトドライブモータ52と旋回台23の旋回軸線方向にオーバラップして配置、すなわち、同じ高さ位置に重合的に配置することが可能となり、ブレーキ手段56を設けても、旋回台23の高さ寸法が大きくなることがない。
この結果、円筒砥石27、28による研削加工時に作用する研削抵抗によって、支持台21に対する旋回台23の倒れ(傾き)を抑制できるようになり、工作物Wの研削精度を向上できるようになる。
なお、工作物テーブル12に設置された主軸台13には、図1に示すように、円筒砥石27、28をツルーイングするためのツルーイング工具67を備えたツルーイング装置68が配設されている。ツルーイング装置68は、砥石軸25、26をZ軸と平行に位置決めした状態で、砥石テーブル18のX軸方向の切込み前進と、工作物テーブル12のZ軸方向のトラバースによって、円筒砥石27、28の各研削面27a、28aをツルーイングするようになっている。
円筒研削盤10を制御する数値制御装置60は、図4に示すように、中央処理装置61と、種々の制御値およびプログラムを記憶するメモリ62と、インターフェィス63、64とによって主に構成されている。メモリ62には、研削加工サイクルを実行するに必要なデータ等が記憶されている。数値制御装置60には、入力装置65を介して各種のデータが入力されるようになっており、入力装置65は、データの入力を行うためのキーボード、データの表示を行う表示装置を備えている。
数値制御装置60は、X軸モータ駆動ユニット70を介して砥石テーブル18をX軸方向へ移動させるX軸サーボモータ71に駆動信号を与えるようになっており、X軸サーボモータ71に取付けられたエンコーダ72がX軸サーボモータ71の回転位置、すなわち、砥石テーブル18のX軸方向位置をX軸モータ駆動ユニット70および数値制御装置60へ送出するように構成されている。また、数値制御装置60は、Z軸モータ駆動ユニット74を介して工作物テーブル12をZ軸方向へ移動させるZ軸サーボモータ75に駆動信号を与えるようになっており、Z軸サーボモータ75に取付けられたエンコーダ76がZ軸サーボモータ75の回転位置、すなわち、工作物テーブル12のZ軸方向位置をZ軸モータ駆動ユニット74および数値制御装置60へ送出するように構成されている。
さらに、数値制御装置60は、B軸モータ駆動ユニット78を介して旋回台23をB軸の回りに旋回させるダイレクトドライブモータ52に駆動信号を与えるようになっており、ダイレクトドライブモータ52に連結されたエンコーダ55がダイレクトドライブモータ52の回転位置、すなわち、旋回台23の旋回位置をB軸モータ駆動ユニット78および数値制御装置60へ送出するように構成されている。
次に、上記のように構成された実施の形態における動作を説明する。図1に示すように、砥石旋回装置20の各砥石保持装置33、34に保持された2つに円筒砥石27、28の一方、すなわち、荒研削用の円筒砥石27によって、工作物(カムシャフト)W上の1つの加工部(凹カム部)Waに対応するZ軸方向位置に工作物テーブル12が位置決めされた状態で、研削加工サイクルの開始が指令される。かかる研削加工サイクル開始指令に基づいて、砥石軸25が砥石駆動モータ42によって回転駆動されるとともに、主軸台13と心押台14のセンタ15、16にて両端を支持された工作物Wが主軸駆動モータ17によって回転駆動される。
続いて、砥石テーブル18がX軸サーボモータ71によりX軸方向に前進され、荒研削用の円筒砥石27によって工作物Wの加工部Waをプランジ加工によって荒研削加工する。加工部Waの荒研削加工が終了すると、砥石テーブル18がX軸サーボモータ71によりX軸方向に後退されるとともに、工作物テーブル12がZ軸サーボモータ75によりZ軸方向に所定量インデックスされ、次の加工部Waが円筒砥石27に対応する位置に位置決めされる。その状態で、再び砥石テーブル18がX軸サーボモータ71によりX軸方向に前進され、荒研削用の円筒砥石27によって次の加工部Waをプランジ加工によって荒研削加工する。
かかる工作物Wの加工部Waをプランジ加工によって荒研削加工する際、荒研削用の円筒砥石27に研削抵抗が作用するが、本実施の形態においては、旋回台23を旋回する旋回駆動機構(ダイレクトドライブモータ52)を砥石保持装置33、34の各砥石軸25、26の回転中心を含む面S2の高さ位置付近に配置したことにより、旋回台23の高さ寸法を低く抑えることができるようになり、研削抵抗による旋回台23の倒れ(傾斜)を抑制することができる。
また、本実施の形態においては、荒研削用の円筒砥石27に作用する研削抵抗が、旋回軸22の中心を向くように作用するため、研削抵抗によって旋回台23に旋回軸22回りの旋回モーメントが発生しないので、旋回台23を固定するために、必ずしもブレーキ手段56を用いなくても、ダイレクトドライブモータ52のサーボロック機能を用いて固定することも可能となる。
しかしながら、円筒砥石27、28による研削加工によって発生する研削抵抗を、旋回軸22の中心を向くように構成することにより、研削抵抗によって旋回台23に旋回軸22回りの旋回モーメントが発生しないように構成することは、本発明にとって必ずしも必要な要件ではない。
工作物Wの加工部Waの荒研削加工が終了すると、砥石テーブル18がX軸サーボモータ71によりX軸方向に後退され、次いで、数値制御装置60の指令に基づいて、砥石テーブル18上の旋回台23がダイレクトドライブモータ52によりB軸(旋回軸22)の回りに180°旋回され、砥石旋回装置20上の仕上げ研削用の円筒砥石28を支持した砥石軸26が工作物Wの回転軸線に平行になる角度位置に位置決めされる。その状態で、ブレーキ手段56によって旋回台23が支持台21に固定される。
続いて、砥石テーブル18がX軸サーボモータ71によりX軸方向に前進され、仕上げ研削用の円筒砥石28によって工作物Wの加工部Waを順次プランジ加工によって仕上げ研削加工し、工作物Wの研削加工が終了する。
上記した実施の形態においては、旋回台23の側面31、32に円筒砥石27、28を支持した砥石軸25、26を保持した砥石保持手段33、34を配設した円筒研削盤10を例に説明したが、本発明は必ずしも研削盤に限定されるものではなく、例えば、クランクシャフトあるいはカムシャフトを旋削加工する複数の工具を設けた旋回可能な工具台を備えた旋削装置にも適用できるものである。
上記した実施の形態においては、砥石旋回装置20の旋回台23上に2つの円筒砥石27,28を設けた例について説明したが、旋回台23上に設ける円筒砥石は、必ずしも2つである必要はなく、複数であればよい。また、円筒砥石も平砥石に限定されるものではなく、少なくとも1つをアンギュラ型の円筒砥石としたものであってもよい。
なお、上記した実施の形態においては、円筒砥石27、28を取付けた砥石軸25、26を両持ちで支持することにより、円筒砥石27,28の支持剛性を向上させ、さらに、円筒砥石27、26の交換を容易に行えるように、砥石軸25、26を軸方向に分割かつ結合できるようにしたが、砥石軸の両持ち支持構成ならびに砥石軸の分割構成は、本発明にとって必ずしも必要な要件ではなく、例えば、円筒砥石を片持ちで支持したり、円筒砥石の交換を砥石軸毎行うようにすることもできる。
斯様に、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の形態を採り得ることは勿論である。
本発明の実施の形態を示す旋回装置を備えた円筒研削盤の平面図である。 旋回装置の断面を示す図である。 砥石保持手段の一例を示す断面図である。 円筒研削盤の制御装置を示す制御ブロック図である。
符号の説明
10…円筒研削盤、12…工作物テーブル、18…砥石テーブル、20…砥石旋回装置、21…支持台、21a…大径円筒部、21b…小径円筒部、22…旋回軸、23…旋回台、23a…中間円筒部、24a、24b…環状空間部、25、26…砥石軸、27、28…円筒砥石、33、34…砥石保持手段、52…ダイレクトドライブモータ、53…ロータ、53…ステータ、56…ブレーキ手段、60…数値制御装置、71…X軸サーボモータ、75…Z軸サーボモータ、S2…面。

Claims (5)

  1. 支持台上に、複数の工具軸を設置した旋回台を旋回軸を中心に旋回可能に設けた旋回装置において、
    前記旋回台と前記支持台との間に、前記複数の工具軸の回転中心を含む面によって分割される環状空間部を形成し、該環状空間部に前記旋回台を旋回駆動するダイレクトドライブモータを配設し、
    前記ダイレクトドライブモータは、前記旋回台側に固定されたロータと、前記支持台側に固定されたステータからなり、前記ロータおよび前記ステータの軸方向の中心を前記面上に略一致させたことを特徴とする旋回装置。
  2. 請求項1において、前記工具軸は、砥石軸であり、前記工具は、円筒砥石であることを特徴とする旋回装置。
  3. 請求項1または請求項2において、前記旋回台を前記支持台に固定するブレーキ手段を備えていることを特徴とする旋回装置。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか1項において、前記支持台に大径円筒部と小径円筒部が同心上に形成され、前記旋回台に中間円筒部が前記大径円筒部と前記小径円筒部との間に同心上に形成され、前記中間円筒部と前記大径円筒部との間に前記ダイレクトドライブモータが配設され、前記中間円筒部と前記小径円筒部との間に前記ブレーキ手段が配設されていることを特徴とする旋回装置。
  5. 請求項2ないし請求項4の何れか1項に記載の旋回装置を備えた円筒研削盤。
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