JP5124764B2 - バイオディーゼル燃料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、バイオディーゼル燃料の製造方法に関する。
バイオディーゼル燃料とは植物油とメタノール等の直鎖低級アルコールを原料として、適当な触媒を作用させることによって得られる燃料であり、軽油の代替燃料として世界的に注目を集めている。国内では廃食油を原料とした取り組みが多くなされている。比較的簡単に製造できるが、原料や製造方法が不適切な場合には、使用する車の故障を引き起こすこともある。
廃食油には脂肪酸や水分が多く含まれるため、反応を行うとアルカリ触媒である水酸化カリウム等が脂肪酸と反応して触媒量が減少し、反応速度が低下し未反応分が多くなる。また、原料の廃食油中の水分が多い場合には、アルカリ触媒によって、原料である油脂や生成したバイオディーゼル燃料からセッケンを生成するため、収率の低下をまねく。
一般的には、廃食油に含まれる脂肪酸を中和する量の触媒を余分に添加して反応をさせる。しかしながら、アルカリ触媒の量を増やすことによって副反応であるセッケンの生成も進行する。したがって、この方法では、後処理として水洗が必要になり、廃水処理にかかるコストが高く、廃水処理に大きなエネルギーを要するため、効果的な方法ではない(例えば、特許文献1)。
特開平10−182518号公報
本発明の課題は、後処理として水洗をしなくとも、高純度のバイオディーゼル燃料を製造しうる方法を提供することである。
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)下記の工程:
(i)廃食油をアルカリ触媒の存在下で直鎖低級アルコールと反応させてバイオディーゼル燃料を製造する際に副生される廃グリセリンと、原料として用いる廃食油とを混合した後、グリセリン相を除去する前処理工程;及び
(ii)廃食油にアルカリ触媒及び直鎖低級アルコールを加え、エステル交換反応を行い、副生したグリセリン相を分離するエステル交換反応工程
を含むバイオディーゼル燃料の製造方法。
(2)直鎖低級アルコールがメタノール又はエタノールである前記(1)に記載の方法。
(3)前処理に用いる廃グリセリンがアルカリ触媒を含む前記(1)又は(2)に記載の方法。
(4)前記(ii)のエステル交換反応工程を二段反応で行う前記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)前記(ii)のエステル交換反応工程で分離されたグリセリン相を前記(i)の前処理工程の廃グリセリンとして用いる前記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)前記(ii)のエステル交換反応工程でグリセリン相を分離して得られる粗製バイオディーゼル燃料とグリセリンとを混合した後、グリセリン相を分離して、バイオディーゼル燃料を得る前記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)粗製バイオディーゼル燃料とグリセリンとを混合した後、グリセリン相を分離して、バイオディーゼル燃料を得ることを含むバイオディーゼル燃料の精製方法。
本発明によれば、後処理として水洗をしなくとも、高純度のバイオディーゼル燃料を製造することができる。
本発明のバイオディーゼル燃料の製造方法において原料として用いる廃食油は、バイオディーゼル燃料の原料となりうるものであれば、特に制限はなく、例えば、菜種油、ひまわり油、大豆油、パーム油、サラダ油、オリーブ油等の植物油脂の廃食油を含むものが挙げられる。
前処理前の廃食油の酸価は、通常5以下、好ましくは3以下であり、水分量は、通常0.5重量%以下、好ましくは0.2重量%以下である。ここで、酸価とは油脂1gに含まれている遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数をいい、この値は、油脂によって一定のものではなく、その純度や保存状態の良否によっても異なるため、油脂の品位を決定するのに大切な特性値の一つである。
廃グリセリン(副生グリセリン)は、バイオディーゼル燃料を製造する際に副生される不要物質であり、通常は廃棄されるのみである。しかし、この中には触媒として用いられた水酸化カリウムなどのアルカリ成分が含まれているため、廃食油と混合撹拌することによって廃食油中の脂肪酸と反応して、それらを取り除くことが可能である。また、廃グリセリンには反応で使われなかった余剰のメタノールも含まれているため、前処理でバイオディーゼル燃料生成反応が進行して収率向上に寄与することも考えられる。更に、グリセリンは水も溶解するため、廃グリセリンによる前処理により、廃食油に含まれる水分の量も低減することもできることが分かった。このように、脂肪酸と水分の量を低減させることによって、廃食油からバイオディーゼル燃料を生成する際に未反応分を低減させることが容易になる。すなわち、触媒及びメタノール等の直鎖低級アルコールの量を低減した上で、収率を維持することができる。また、この前処理剤は反応によって必ず生じる物質であるため、コストはかからない。
前処理に用いられる廃グリセリン中のアルカリ金属(カリウム、ナトリウムなど)の濃度は、通常2〜10重量%、好ましくは4〜8重量%であり、水分量は、通常5重量%以下、好ましくは2重量%以下である。
前処理に用いる廃グリセリンの使用量は、原料として用いる廃食油100重量部に対して、通常5〜20重量部、好ましくは10〜15重量部である。前処理における処理温度は、通常30〜65℃、好ましくは35〜55℃であり、混合撹拌時間は、通常5分〜1時間、好ましくは10分〜30分である。
廃食油と廃グリセリンを混合撹拌した後、静置(静置時間は、通常30分〜8時間、好ましくは1時間〜6時間)又は遠心分離(通常20分以下)することによってグリセリンの相が下、食油の相が上に分離する。そこから上の相である食油を、比重差を利用した分離により取り出してエステル交換反応に供する。前処理により、廃食油の酸価及び水分量は低下する。廃グリセリンに精製グリセリンや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を添加すると更に効果は向上する。
前記(ii)のエステル交換反応工程に用いるアルカリ触媒としては、バイオディーゼル燃料の製造に用いうるものであれば、特に制限はなく、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物が挙げられる。直鎖低級アルコールとしては、バイオディーゼル燃料の製造に用いうるものであれば、特に制限はなく、例えば、メタノール、エタノールが挙げられる。
反応温度は、通常30〜65℃、好ましくは35〜55℃であり、反応時間は、通常20〜90分、好ましくは30〜60分である。
現在、京都市が有するような大きなプラントにおいては、製造された燃料の組成も分析してヨーロッパの規格と同等の規格を満たすことを目標に製造している。その一方で国内では、地方自治体や廃棄物処理業者、運送業者等が小規模なプラントを購入してバイオディーゼル燃料の製造を行っている。このような小規模なプラントにおいても、製造方法を工夫して質のよい燃料を製造することが必要である。
小規模装置を用いる場合にもヨーロッパ等の品質規格と同等の品質をもったバイオディーゼル燃料(以下、場合により「BDF」という。)を製造できる方法が望まれている。BDFの主な成分は脂肪酸のメチルエステル(ME)等のアルキルエステルであり、植物油脂を中心とした廃油から製造する限りは、適切な反応プロセス及び精製システムがあれば規格を満足できるものと考えられる。しかし、小規模装置においては、コストと品質のバランスが問題となる。
主な不純物として考えられるものは、原料である植物油脂の主成分であるトリグリセリド(TG)、中間生成物であるジグリセリド(DG)及びモノグリセリド(MG)、廃油に多く含まれる脂肪酸や水分、BDFを製造する際の一方の原料成分であるメタノール、副生成物であるグリセリン、更には触媒として使用する水酸化カリウムとそれから生成する脂肪酸のカリウム塩(セッケン)などが考えられる。
これらの成分を製品であるBDFから除くには、反応プロセスにおいて濃度を下げられる物質と、後工程である分離プロセスにおいて除去すべき物質とに分けられる。したがって、それぞれに対応した方法を採用することが好ましい。
以上のことから、廃食油を原料として、前記の不純物が粗製BDFに含まれないような反応プロセスを採用することが好ましい。そのためには、図1に示す反応経路においてMEを100%近く得ることができればよい。この反応は逐次反応であることから、中間生成物であるジグリセリド及びモノグリセリドが残らないように反応時間を長く取るなどの方法が考えられる。しかし、生成した低級アルキルエステル(例えば、メチルエステル)は触媒と反応して脂肪酸のカリウム塩(セッケン)になるので、反応時間を長くすることは好ましくない。
ヨーロッパの規格においては、TG、DG及びMGの濃度はそれぞれ、0.2%以下、0.2%以下、0.8%以下にしなければならず、全グリセリンで0.25%以下とされている。一方、米国の規格(ASTMD6751)では、個別の濃度は示されておらず、全グリセリンとして0.24%以下とされている。
TG、DG及びMGの合計濃度を1.2%以下にするために、通常は反応原料の一つであるメタノール等の低級アルコールを過剰に加えて反応を行い、反応しなかった過剰の低級アルコールは反応終了後に蒸留等によって分離している。
しかしながら、この方法では蒸留といった操作が必要となり、加熱のコストなどがかかる。
そこで、TG、DG及びMGの合計濃度を1.2%以下にすることを目標として、二段で反応を行い、反応原料の一つである低級アルコールの使用量を少なくしながらも、油の未反応分を低減する反応操作について検討を行った。
この方法では、二段階で回分反応を行った際に、未反応分を規格値以下に抑えられ、例えば、低級アルコール量は通常の1/2程度、過剰低級アルコール量は通常の1/3以下となり、低級アルコールを分離するための余分なプロセスが不要となる。この方法においては、前述したように前処理した廃食油を原料として使用することによって、より効果が高くなる。
二段反応における低級アルコールの使用量は、原料として用いる廃食油1kg当たり、メタノールの場合、一段目反応では、通常120〜160g、好ましくは130〜150gであり、二段目反応では、通常15〜50g、好ましくは20〜40gであり、エタノールの場合、一段目反応では、通常180〜220g、好ましくは190〜210gであり、二段目反応では、通常25〜65g、好ましくは35〜55gである。
また、一段目反応における反応温度は、通常30〜65℃、好ましくは35〜55℃であり、反応時間は、通常20〜90分、好ましくは30〜60分であり、二段目反応における反応温度は、通常30〜65℃、好ましくは35〜55℃であり、反応時間は、通常20〜90分、好ましくは30〜60分である。
エステル交換反応により副生したグリセリン相は、例えば比重差によって分離され、必要に応じて、精製することなく、そのまま前処理工程の廃グリセリンとして用いられ、また、例えば蒸留により精製すると、後述する後処理(精製工程)で用いることが可能である。
また、二段目反応においては、反応の終了時に後述する後処理で使用するグリセリンを添加することによって、過剰な低級アルコール、触媒、セッケンをグリセリン相に溶解することができ、反応後の分離を容易にすることができる。
本発明は、更に、粗製バイオディーゼル燃料とグリセリンとを混合した後、グリセリン相を分離して、バイオディーゼル燃料を得ることを含むバイオディーゼル燃料の精製方法を提供するものである。
この精製方法において、対象となる粗製バイオディーゼル燃料は、廃食油から製造されたものに限定されず、新油から製造された粗製バイオディーゼル燃料も対象となる。
この精製方法は、前記の二段反応によるバイオディーゼル燃料の製造方法と組み合わせるとより効果的である。
この精製方法は、反応で生成したバイオディーゼル燃料に含まれるアルカリ金属、水分、低級アルコールを低減することを目的とするものである。
バイオディーゼル燃料の規格によると、除去すべき不純物は、カリウム、水分、メタノール、グリセリンである。これらの中で特にカリウムはその分離が困難な物質である。カリウムがセッケンとしてバイオディーゼル燃料に残存すると、貯蔵タンク内に析出したり、車に供給された後にタンク内に析出するおそれがあるため、できるだけバイオディーゼル燃料中の濃度を下げなければならない。EU規格では5ppmとされている。
一般的にはバイオディーゼル燃料を10〜20%の水によって水洗することによって、カリウム成分を除去するが、水洗後の排水をそのまま環境に排出することはできないため、水処理施設が必要となり、バイオディーゼル燃料の製造コストを押し上げることとなる。また、水処理によってバイオディーゼル燃料に水が溶解するために、水分除去のためのプロセスも必要となり、加熱に要するエネルギーが余分にかかる。
そこで、本発明の精製方法ではグリセリンを後処理剤として使用することとした。これは、反応でも生成する物質であるため、この処理で使用したグリセリンは反応で生成するグリセリンと混合して前処理剤として利用できる。また、グリセリンは水分や低級アルコールの除去にも効果があるため、この処理後に行う脱水や脱低級アルコールの操作において負荷を小さくすることができる。
ここで用いるグリセリンとしては、市販のグリセリンなどの精製グリセリンを用いることが好ましいが、当該後処理に1回程度使用したものであれば再使用することができ、また前記のエステル交換反応により副生したグリセリンを蒸留等により精製して用いることもできる。グリセリンの使用量は、粗製バイオディーゼル燃料100重量部に対して、通常3〜20重量部、好ましくは5〜10重量部である。
この後処理における処理温度は、通常30〜65℃、好ましくは35〜55℃であり、混合撹拌時間は、通常10分〜1時間、好ましくは20分〜30分である。
粗製バイオディーゼル燃料とグリセリンを混合撹拌して、静置(静置時間は、通常30分〜8時間、好ましくは1時間〜6時間)又は遠心分離(通常20分以下)することによってグリセリンの相が下、バイオディーゼル燃料の相が上に分離する。そこからバイオディーゼル燃料相を取り出すことによって精製バイオディーゼル燃料を得ることができる。
以上のようにして得られた精製バイオディーゼル燃料は、必要に応じて、公知の方法にしたがって、加熱処理を行い、メタノール及び水分を除去する。
前記の前処理、二段反応によるバイオディーゼル燃料の製造方法及び後処理を組み合わせたバイオディーゼル燃料製造プロセスを図2に示す。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、酸価、水分量、メタノール濃度及びカリウム濃度の測定は次のようにして行った。
酸価の測定:メタノールとジエチルエーテルの容量比が1:2の混液に測定する油を入れ、フェノールフタレインを指示薬として0.1N水酸化カリウム水溶液で滴定を行うことによって酸価を求めた。
油相中の水分量の測定:カールフィッシャー水分計(京都電子工業株式会社、MKA−610−ST)を使用して、水分の測定を行った。測定原理は容量滴定法である。
メタノール濃度の測定:油相中のメタノールの分析は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によった。カラムにはGPC用のカラム(Shim-pack、GPC-801、株式会社島津製作所)を使用し、テトラヒドロフランを溶媒とし、検出器には示差屈折計を用いた。
カリウム濃度の測定方法:フレーム原子吸光光度計(AAnalyst2000、株式会社パーキンエルマージャパン)を用いた。測定する油をメタノールに溶解させ、それを試料溶液とした。また、既知の濃度の標準溶液を使って検量線を作成し、測定結果よりカリウム濃度を求めた。
(実施例1)
廃食油(混合油;酸価:5.3、水分量0.09重量%)(以下「サンプルA」という。)及び廃食油(混合油;酸価:6.0、水分量0.19重量%)(以下「サンプルB」という。)を、廃食油をエステル交換法(メタノール及び水酸化カリウムを使用)でバイオディーゼル燃料を製造する際に副生された廃グリセリン(カリウム濃度:6.1%、水分量1.2重量%)と混合撹拌後、静置した。
廃グリセリンの使用量は、一回の反応によって発生する量とした。一回前の製造によって生成した廃グリセリンを保存し、次の反応時に使用した。廃食油と廃グリセリンを混合撹拌して、静置することによってグリセリンの相が下、食油の相が上に分離した。そこから上の相である食油を取り出して処理前後の酸価(脂肪酸量)と水分量を測定した。得られた食油は次の反応プロセスに供することになる。前処理の結果を図3に示す。二つのサンプルとも酸価は約1低下し、水分量も約0.05重量%まで低下することを示し、前処理の効果が示された。
(実施例2)
廃食油又は植物性油を主とする原料油に含まれた脂肪酸を除去するために、バイオディーゼル燃料製造工程(メタノール及び水酸化カリウムを使用)において排出されたグリセリンを使って、原料油の前処理を行った。廃食油(混合油;酸価:3.5、水分量0.08重量%)300gに対し、排出されたグリセリン(カリウム濃度:6.1%、水分量0.8重量%)50gを混合し、容器中で40℃、10分間撹拌した。次に1時間静置した後、下相のグリセリン相を除いた。上相の油相を反応の原料として供した。脂肪酸の含有量を表す指標である酸価は、前処理前に3.5であったものが前処理後には2.0に下がった。
廃食油300gに対して、水酸化カリウム4gをメタノール47gに溶解させたものを混合して、55℃で攪拌混合を1時間行った。その後、攪拌を止めて加温をやめたまま8時間静置した後、二相に分離した上の相に含まれる成分の分析を行ったところ、処理をしない廃食油を原料とすると、未反応分が11.3%残ったが、前処理をした廃食油を原料とした場合には、未反応分は2.5%であった。
(実施例3)
メチルエステルの収率を高めるためには、多くの文献や実プロセスにおいて、原料の一つであるメタノールを大過剰として反応は行われている。過剰なメタノールは通常フラッシュ蒸留などの方法によって分離回収して再利用されている。本実施例では、小規模な装置においては、このような回収部分を入れないことを可能にするため、添加する過剰なメタノール量を必要な限り少なくなるような条件を探した。
実験装置を図4に示す。セパラブルフラスコに廃食油を300g入れ、一段目の反応として水酸化カリウム3.6gをメタノール42gに溶解させたものを混合して、37℃で攪拌混合しながら反応を1時間行った。反応終了後、1時間静置した後に分液ロートにて上相のメチルエステル相を分離し、再びセパラブルフラスコに入れた。二段目の反応として水酸化カリウム0.8gをメタノール9.3gに溶解させたものを混合して、37℃で攪拌混合しながら反応を1時間行った。その後、8時間静置した後、上相をバイオディーゼル燃料として取り出した。生成物に含まれる成分の分析は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって行った。使用したカラムはShim-pack GPC-801(株式会社島津製作所)である。
油の未反応分を規格値以下に抑えるための条件を表1に示す。この表には一般的な条件として、文献(藤井ら、日本機械学会第7回環境工学総合シンポジウム‘97講演論文集、PP.175-178 (1997))の数値も加えた。反応で消費するメタノールは廃食油1kg当たり110〜120gであるので、一般的な方法では消費量以上の180g程度の未反応メタノールがでてくるが、本条件では50g程度に抑えることができる。なお、本条件においても、廃グリセリンによる前処理をしない場合には、メタノールは220g必要であった。
Figure 0005124764
(実施例4)
廃食油を原料として製造されたバイオディーゼル燃料からアルカリセッケン及びメタノールを除去するために、グリセリンを使って後処理を行った。実施例2と同様にして水酸化カリウム触媒を使って製造されたバイオディーゼル燃料300gに対し、グリセリン15gを混合し、容器中で40℃、30分間撹拌した。次に1時間静置した後、下相のグリセリン相を除いた。処理前のバイオディーゼル燃料中のカリウム濃度は374ppmであったが、処理後には28ppmと低下した。また、メタノール濃度は3.3%から1.4%へ低下した。処理後のバイオディーゼル燃料に対して、同じ処理をもう1回行った。この時のカリウム濃度は3ppmとなり、メタノール濃度は0.5%まで低下した。
(実施例5)
廃食油を原料として製造されたバイオディーゼル燃料からアルカリセッケン及びメタノールを除去するために、グリセリンを使って後処理を行った。実施例2と同様にして水酸化カリウム触媒を使って製造されたバイオディーゼル燃料300gに対し、実施例4の2回目の処理で使用して下相から分離されたグリセリン15gを混合し、容器中で40℃、30分間撹拌した。次に1時間静置した後、下相のグリセリン相を除いた。上相のバイオディーゼル燃料300gに対し、グリセリン15gを混合し、容器中で40℃、30分間撹拌した。次に1時間静置した後、下相のグリセリン相を除いた。このグリセリンは以降の後処理において、1回目の洗浄に利用することができる。処理前のバイオディーゼル燃料中のカリウム濃度は380ppmであったが、処理後には26ppmと低下した。また、メタノール濃度は3.7%から1.1%へ低下した。
脂肪酸メチルエステル生成反応経路を示す図である。 前処理、二段反応によるバイオディーゼル燃料の製造方法及び後処理を組み合わせたバイオディーゼル燃料製造プロセスを示す図である。 前処理の結果を示す図である。 フラスコ規模での実験装置を示す図である。

Claims (4)

  1. 下記の工程:
    (i)廃食油をアルカリ触媒の存在下でメタノール及びエタノールから選ばれる直鎖低級アルコールと反応させてバイオディーゼル燃料を製造する際に副生される廃グリセリンと、原料として用いる廃食油とを混合した後、グリセリン相を除去する前処理工程;
    (ii)廃食油にアルカリ触媒と、メタノール及びエタノールから選ばれる直鎖低級アルコールを加え、エステル交換反応を行い、副生したグリセリン相を分離するエステル交換反応工程;及び
    (iii)前記(ii)のエステル交換反応工程でグリセリン相を分離して得られる粗製バイオディーゼル燃料とグリセリンとを混合した後、グリセリン相を分離して、バイオディーゼル燃料を得る後処理工程
    を含み、後処理として水洗をしないバイオディーゼル燃料の製造方法。
  2. 前記(ii)のエステル交換反応工程を二段反応で行う請求項記載の方法。
  3. 前処理に用いる廃グリセリンがアルカリ触媒を含む請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記(ii)のエステル交換反応工程で分離されたグリセリン相を前記(i)の前処理工程の廃グリセリンとして用いる請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
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