JP3533061B2 - 廃食用油等から高級脂肪酸のメチルエステルとグリセリンとを連続的に製造する方法および装置 - Google Patents
廃食用油等から高級脂肪酸のメチルエステルとグリセリンとを連続的に製造する方法および装置Info
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Description
廃油脂を原料としてディーゼル燃料等に利用できる高級
脂肪酸のメチルエステルを連続的に生成する方法および
その装置に関する。
軽油等をはじめとする石油系の化石燃料が様々な分野で
使用されている。しかし、これらの石油類は、燃焼の
際、排気ガスとして有害な硫黄酸化物等も同時に生成
し、大気汚染の原因となるため、汚染の少ないエネルギ
ー源の開発が望まれている。
種油、パーム油、大豆油、胡麻油、コーン油、紅花油と
いった食用油等の油脂は、硫黄を含有しないため、大気
汚染の少ない新たなエネルギー源として注目されていた
が、石油等に比較して非常に高価であった。
題の解決にも寄与することから使用済みの廃食用油を利
用する提案がなされている。しかし、廃食用油は食物の
加工に利用された結果酸化されており、その程度は一様
でなく、回収された廃食用油は黒く濁り、粘度が高く、
燃料として利用可能なレベルにまで処理をするには処理
工程が複雑であり、また、燃料として利用するには精製
コストの点で無理があり、低コストに抑える製造方法の
開発が待たれていた。
るため、廃食用油をアルカリ触媒の存在下でメタノール
とエステル交換反応を行わせ、ジーゼル燃料として使用
可能な脂肪酸エステルとその副生物を回収する次のよう
な方法を開発した。
油100部、メタノール18部、触媒としてのカセイソ
ーダ1部の割合で仕込み、内温40〜65℃で1時間撹
拌させるもので、この加温・撹拌過程で、次のような、
エステル交換反応(1)と副反応として鹸化(2)と遊
離脂肪酸の中和(3)がおこり、グリセリンと高級脂肪
酸メチルエステル、副生物としてセッケンが生成する。
H3 OH→ 3CH3 OOCR + C3 H5 (O
H)3 (2)C3 H5 (OCOR)3 + 3NaOH→
C3 H5 (OH)3 + 3RCOONa(セッケン) (3)RCOOH + NaOH→ RCOONa
(セッケン) + H2 O 撹拌を止め30分間静置して高級脂肪酸メチルエステル・
セッケンとグリセリンとを比重差により2層に分離し比
重の大きいグリセリン層を下から抜取り、反応釜の中に
残った高級脂肪酸メチルエステルとこれに含まれる微量
のアルカリ溶存メタノールおよびセッケンに、水(約4
0℃)を体積で約10%加えて撹拌し、残留しているアル
カリ溶存メタノールや生成したセッケンを水に移行さ
せ、静置して2層に分離させ、下層の水洗水を抜取りさ
らに数回同様の操作で水洗を行う。最後に真空加熱によ
り生成物を脱水乾燥して純度の高い高級脂肪酸メチルエ
ステルを得る。
あるため、生産性が低く、自動化が難しいため、回収費
用が高くつくという問題があった。
廃食用油から高級脂肪酸メチルエステル及び副生物を回
収する方法は、バッチ処理であるため、自動化が難しい
ため生産性が低く、回収費用が高くつくという問題があ
った。
なされたもので、廃食用油その他の廃油脂からなる高級
脂肪酸グリセライドから、ジーゼル燃料として使用でき
る高級脂肪酸メチルエステルを連続的に生産する方法及
び装置を提供することを目的とする。本発明によれば、
高級脂肪酸メチルエステルを連続的に生産できるため自
動化が可能であり、生産コストの低減化を図ることがで
きる。
高級脂肪酸のメチルエステルを連続的に製造する方法
は、廃食用油その他の廃油脂からなる高級脂肪酸グリセ
ライド、メタノール及びアルカリ触媒を、一部が高温領
域に配設された配管内を通過させ前記配管内で反応さ
せ、分離操作を経て高級脂肪酸のメチルエステルとグリ
セリンとを連続的に分離状態で製造する方法において、
前記高温領域が、通過原料を40〜65℃の反応温度ま
で急速に昇温させる温水からなる原料昇温領域と、通過
原料を40〜65℃の反応温度に保持する前記原料昇温
領域に続く、高温雰囲気からなる反応領域とを有し、前
記分離操作は、前記反応領域を通過した反応生成物を、
前記反応生成物の流れを減速させつつ比重分離する流路
を備えたセパレータによりグリセリンと高級脂肪酸のメ
チルエステルとに分離し回収することを特徴としてい
る。
高級脂肪酸メチルエステルに微酸性の中和水を添加して
余剰アルカリ、メタノール及び副生した脂肪酸のナトリ
ウムセッケンを水層に移行させた後、前記高級脂肪酸メ
チルエステルの流れを減速させつつ比重分離する流路を
備えた水セパレータにより、高級脂肪酸メチルエステル
と水とを分離することにより、より精製された高級脂肪
酸メチルエステルを得ることができる。
グリセリンを添加混合して含有水をグリセリン側に移行
させた後、高級脂肪酸メチルエステルの流れを減速させ
つつ比重分離する流路を備えたセパレータにより分離し
たり、あるいは遠心分離器を用いて比重の大きい水を分
離することにより行われる。
のメチルエステルを連続的に製造する装置は、廃食用油
その他の廃油脂を貯蔵する廃食用油タンクと、アルカリ
を溶解したメタノールを貯蔵するメタノールタンクと、
前記廃食用油タンクと前記メタノールタンクからそれぞ
れ別の配管を介して所定の比率で廃食用油とアルカリを
溶解したメタノールとを圧送する定量ポンプと、前記所
定の割合で圧送される廃食用油その他の廃油脂とアルカ
リ触媒を溶解したメタノールとを混合し配管に送入する
ラインミキサと、通過原料を40〜65℃の反応温度ま
で急速に昇温させる蛇管状またはコイル状の配管が配設
された温水からなる原料昇温領域と、通過原料を40〜
65℃の反応温度に保持する前記原料昇温領域に続く蛇
管状又はコイル状の長管が配設された恒温雰囲気からな
る反応領域と、前記反応領域の出口端に配設され前記長
管から排出される反応生成物の流れを減速させつつ比重
分離する流路を備え、分離した高級脂肪酸メチルエステ
ルとグリセリンとをそれぞれ配管を介して別個に排出す
るセパレータとから構成されている。
タから配管を介して排出された高級脂肪酸メチルエステ
ルに微酸性の中和水を圧入・混合するラインミキサと、
前記中和水を圧入・混合された高級脂肪酸メチルエステ
ルの流れを減速させつつ比重分離する流路を備え、高級
脂肪酸メチルエステルと塩を溶解する水とに分離しそれ
ぞれ配管を介して別個に送出する第1の水セパレータ
と、前記第1の水セパレータから配管を介して送出され
た高級脂肪酸メチルエステルに洗浄水を圧入・混合する
ラインミキサと、前記洗浄水を圧入・混合された高級脂
肪酸メチルエステルの流れを減速させつつ比重分離する
流路を備え、高級脂肪酸メチルエステルと洗浄水とに分
離しそれぞれ配管を介して別個に送出する第2の水セパ
レータと、前記第2の水セパレータから配管を介して送
出された高級脂肪酸メチルエステルを脱水する脱水装置
と、前記定量ポンプの送出量、前記原料昇温領域及び前
記反応領域の温度を制御する制御装置とを備えることも
できる。
それぞれタンクに貯留しており、アルカリ触媒はメタノ
ールに溶解してある。これらの原料を一部が高温領域に
配設された配管内を通過させることによって、配管内で
エステル交換反応を起こさせる。
ルおよび粗製グリセリン、副反応の鹸化により生成した
セッケンを後段のグリセリンセパレータに導入し、連続
的に分離・精製する。
は、その後、副生物であるセッケンやアルカリ溶存メタ
ノール等の不純物を除去するため、水洗を行う。その際
に高級脂肪酸メチルエステルとグリセリンを分離した第
1のセパレータの出口配管に接続している混合装置に、
定量ポンプを使用してpH=2〜3に調整した微酸性の
水溶液を圧入し、混合する。
である(ただし、例として酸は塩酸を用いている。) (1)NaOH + HCl → NaCl + H
2 O この際に生成した塩および残留しているセッケンやアル
カリ溶存メタノールは、水層に溶解して、第2のセパレ
ータに導入し、水洗水を流れている状況下で分離する。
を脱水器にかけ、目的物質である脂肪酸エステルが得ら
れる。
の形態を説明する。本発明の典型的なプロセスを、図1
のフロー図を用いて説明する。原料の廃食油その他の廃
油脂(以下、廃食油という。)は廃食用油タンク1に収
容されており、メタノールは5%カセイソーダ溶液とし
てメタノールタンク2に収容されている。原料の廃食油
としては、なたね油、紅花油、大豆油などといった食用
油の廃油脂が挙げられるが、これらに限らず様々な油脂
を原料に用いることができる。
ンプによりタンク1,2から送り出され所定の比率で混
合される。メタノールは、反応当量に対して過剰に用い
られ、反応終了後過剰分はグリセリン層中に溶解してい
るので、中和処理後、蒸留により回収される。
混合されて共通配管に送出される。混合装置3として
は、ラインミキサーを使用する。または混合装置3を用
いなくとも配管を流れる状況下で自然に混合するため、
必ずしも用いる必要はない。
配管中を通過しつつ加温・保温システム4により反応温
度に昇温・保持されてエステル交換反応が行われる。
に配管を蛇管状またはコイル状に配置した加温槽5と、
加温槽の配管に続く長い配管を蛇管状またはコイル状に
して内部に発熱体を配置した恒温室内に配置した保温槽
6とから構成されている。
の加温槽5で、40〜65℃の所定の反応温度まで、好
ましくは45〜55℃の反応温度まで急速に昇温され、
続いて保温槽6内の40〜65℃の所定の反応温度、好
ましくは45〜55℃の反応温度に保温された長管内を
必要な反応時間、例えば直径12〜20mmの長管にした
場合、約250m の長さで約15分で通過させながら反応
させる。長管を時間をかけて通過し、通過する過程で廃
食用油は高級脂肪酸メチルエステル層とグリセリン層に
エステル交換される。長管の温度を40〜65℃にした
のは、39℃以下では反応速度が遅くなり、66℃以上
ではセッケンの生成が多くみられるので好ましくない。
リセリンセパレータ7に送られて粗製高級脂肪酸メチル
エステルと粗製グリセリンに分離される。このグリセリ
ンセパレータ7は床面積の広い浅い容器からなり、反応
生成物は、この浅い容器の一方から他方にほとんど静置
に近い状態でゆっくり連続的に流れる過程で比重差によ
り2層に分かれる。このグリセリンセパレータ7は、末
端出口側において、上下に排出コックが設けられ、2層
の界面近傍に図示を省略した覗き窓が形成されている。
そして、この覗き窓から界面の変化に注意しながら、粗
製高級脂肪酸メチルエステルは連続して排出し、また粗
製グリセリンが間欠的に抜き取られる。なお、覗き窓の
他に粗製エステル層と粗製グリセリン層の界面の高さを
検出するレベル計を設けておき、この界面が所定の範囲
内にあるように粗製グリセリンの抜取りコックを自動で
開閉させるように構成することもできる。
製高級脂肪酸メチルエステルには、混合装置8において
中和水タンク9から送られてくる所定の量の塩酸でpH
=2〜3に調整した酸性の水が添加されカセイソーダの
一部が中和される。中和水洗された粗製高級脂肪酸メチ
ルエステルは水セパレータ10に送出され、高級脂肪酸
メチルエステルの層と遊離脂肪酸とアルカリの副反応に
よって生成した脂肪酸のナトリウムセッケンと余剰メタ
ノールとの中和によって生成した塩を溶解する水層に分
離される。そして、これらを溶解する水層は、系外に間
欠的に排出され、連続的に排出する高級脂肪酸メチルエ
ステルの層は洗浄装置11において洗浄水タンク12か
ら供給された0.5%硫酸亜鉛水溶液と混合される。こ
こで高級脂肪酸メチルエステル中になお残留しているナ
トリウムセッケンが油や水に不溶な亜鉛セッケンの沈殿
になり、余剰メタノールや塩は洗浄水中に移行する。次
いで水セパレータ12に送られて2層に分離され下層の
洗浄水は間欠的に排出され、中間層を形成する亜鉛金属
セッケンも一部排出される。上層の連続的に排出される
高級脂肪酸メチルエステルは脱水装置13において残留
する水が除去され最終的に精製された高級脂肪酸メチル
エステルがタンク14に貯留される。脱水装置13とし
ては、例えば、遠心分離器を使用する方法や、無水グリ
セリンを添加して水分をグリセリンに移行させ、この水
分を吸収したグリセリンをセパレータを使用して比重分
離して除去する方法やバッチ法にて真空下で加熱脱水す
る方法などが用いられる。なお、高級脂肪酸メチルエス
テルと中和水や洗浄水との混合は前述した吸込口と吐出
口を一本の金属または樹脂のフレキシブルホースで繋ぐ
状態のスクリュー型ミニポンプが適している。この装置
では、混合を必要とする液はポンプのスクリューで高速
回転で撹拌されてポンプ吐出口から出て行き、この回路
に流入した分だけが回路からでていき余分な量は再びス
クリュー型ミニポンプで撹拌され、短時間で効率よく撹
拌が行われる仕組みになっている。
た粗製グリセリンは、蒸留装置15により溶解している
メタノールが蒸留回収により除去され精製グリセリンタ
ンクに収容される。また、蒸留回収されたメタノールは
出発原料として再使用される。 以上のような方法およ
び装置により、エステル反応を効率的にし、さらには低
コストで高級脂肪酸メチルエステルを製造することがで
きる。この高級脂肪酸メチルエステルは濾紙による濾過
を経て、そのままジーゼルエンジン燃料として使用可能
であり、高い付加価値を得ることができる。
り監視し、かつ自動制御が可能であるから、従来のバッ
チ式による方法と異なり、連続して反応かつ精製できて
生産能力を高めることができ、安全性に優れ、設備も小
型化できる。
説明する。図2は、本発明の装置の実施の一例を示した
フローチャート、図3は本発明の一実施例の製造装置の
側面図、図4は同平面図、図5は同側面図である。
収容した1600リットル容量の原料タンクを示し、3
1はアルカリ触媒を溶解したメタノールを貯蔵する35
0リットル容量のメタノールタンクを示している。これ
らのタンク30,31の底部には出口配管32が設けら
れ、定量ポンプ33,34によりラインミキサー35に
供給される。原料タンク30側の定量ポンプ33は12
0〜160リットル/h、好ましくは150リットル/
h、メタノールタンク31側は20〜40リットル/
h、好ましくは35リットル/hで、それぞれ原料廃食
用油とメタノールを混合装置35に供給する。なお、配
管としては、全体を通して内径1.5〜2.0cmのもの
が用いられている。
置36に送られ、ここで蛇管状またはコイル状の長管で
急速に40〜65℃、好ましくは45〜55℃まで昇温
される。加温装置36の外周にはスチームジャケット3
7が配置され、内部には加熱媒体に水道水38が収容さ
れている。供給された原料は加温装置36内の撹拌機4
0で撹拌されながら加温が不均一に行われるのを防止し
ている。
たは樹脂のフレキシブルホースからなる長い配管42を
蛇行或いはコイル状に形成させて配設したものである。
長管42は、反応が十分に行われる長さを有すれば良
く、直径1.5〜2.0cmの長管にした場合、約250
〜300m 、好ましくは250m の長さにするのが好適
である。この場合の反応時間は約15分程度である。保
温装置41には自動的に室内の温度を調節するヒータが
下部に設置されている。保温装置41の室内温度は40
〜65℃、好ましくは45〜55℃に調節するのが好適
である。混合溶液は、加温装置36と保温装置41を所
定の時間をかけて通過する過程でエステル交換反応を行
う。
箱型に形成され、底部分をスチーム或いは温水で加温さ
れている内容積100〜150リットルのグリセリンセ
パレータ43に送出される。
製高級脂肪酸メチルエステルは150リットル容量の中
和水タンク44から供給される酸性の中和水と混合装置
45内で混合され、残存するカセイソーダの一部が中和
される。中和水洗された粗製高級脂肪酸メチルエステル
は1次洗浄水セパレータ46で高級脂肪酸メチルエステ
ル層と水層に分離され、水は排出され高級脂肪酸メチル
エステルはさらに混合装置47において0.5%硫酸亜
鉛水溶液で洗浄され、遠心分離器48により水分と亜鉛
金属セッケン沈殿物が分離除去され精製高級脂肪酸メチ
ルエステルが高級脂肪酸メチルエステルタンク49に貯
蔵される。
ット50で加温された密閉グリセリンタンク51に貯蔵さ
れ、図示を省略した常圧蒸留装置によりメタノールが蒸
留されて回収後、再利用される。
溶解したメタノール液とを、定量ポンプを使用して廃食
油136kg/h、0.5%カセイソーダメタノール液2
7.7kg/hの流量で混合装置35に送出して内径15 mm
の共通配管に合流させる。その混合物の合流点の圧力は
1.0〜1.5ゲージ圧である。
5℃の加温槽36に通して加温したのち、適当な反応時
間になるように長さを調節した蛇管42を配設した保温
室41にて40〜65℃で混合しながら所定時間をかけ
て通過させる。この保温槽41内の蛇管42の全長は2
50m であり、混合物は16分間かけて通過し、通過す
る過程でエステル交換反応が完結する。この時の反応率
は96%であった。なお、反応率は、いずれも精製した
脂肪酸エステルを400g 採取し、真空3mmHgにて真空
蒸留した時の蒸留収率によって求めた。
の第1セパレータ43に導入し、ここで余剰メタノー
ル、余剰アルカリ、副生脂肪酸のナトリウムセッケンを
含む、粗製グリセリンを沈降させて高級脂肪酸メチルエ
ステルと2層にして両者を分離した。
の端の先端上部より128.6kg/hの速度で脂肪酸エス
テルを流出させ、同時に末端下部のコックより、沈降し
た粗製グリセリンを30分毎に間欠的に抜取った。
り付けた液面計(ガラス窓)をのぞき脂肪酸エステルと
粗製グリセリンの境界線が1cmほど下がるまでコックを
少し開き5〜6分かけてゆっくり抜取る。この時の粗製
グリセリンの量は12〜13kgであった。
ンを除去した脂肪酸エステルにpH=2〜3に調整した
酸性水を中和水タンク44から定量ポンプを使用して1
3.6kg/hで配管に圧入し、配管に設置した混合装置4
7内で混合させる。微酸性水を使用することにより油と
水の分離が容易になる。ここでは、残存する触媒のカセ
イソーダの一部が塩酸と反応して食塩ができる。これが
油の乳化を抑制する。
回目の水洗をされた脂肪酸エステルは第2のセパレータ
46の末端上部より連続して排出し洗浄水は末端下部の
コックより1時間に1回間欠的に排出する。
と同様で、脂肪酸エステルと洗浄水の境界が1cm下がる
までコックを少し開き5〜6分かけてゆっくり排出す
る。この時の洗浄水の量は約15kgであった。
ルの流れている配管に洗浄水(0.5%硫酸亜鉛水溶
液)を流量13.6kg/hに制御して添加し、2回目の水
洗を行う。
経て、第3のセパレータ10に入り、末端上部より2回
目の水洗をした脂肪酸エステルを連続して排出し、末端
下部より2回目の洗浄水を1時間に1回の割合で排出す
る。排出の操作は脂肪酸エステルと脂肪酸エステルと洗
浄水の境界が1cm下がるまでコック10aを少し開き、
5〜6分かけてゆっくり排出する。この時の排出量は約
13kgであった。以上の方法で連続運転を7時間継続
して行い、約900kg(1000リットル)の脂肪酸エ
ステルを製造した。
ク11にて最高温度75℃に達するまで、真空加熱して
脱水乾燥を行い、精製脂肪酸エステルを得た。以上の実
施条件にて様々な実験を行った。
ダを混合したメタノール(以下カセイソーダメタノール
液とする。)との混合比率と反応効率の相関を実験によ
り求めた結果である。カセイソーダメタノール液は、
0.5%のものである。ここで用いたメタノールは9
9.8%のものを用いた。
食油」、カセイソーダメタノール液(流量kg/h) は「N
aOH、MeOH」、カセイソーダメタノール液の対廃
食油の割合(%)を「対廃食油」と表す。
17%以上21%が適当で20〜21%が好ましいが、
これより過剰に加えることになんら問題はないが、経済
性において限界がある。表2は、メタノールを反応後に
再利用することが可能かどうか実験した結果である。9
9.8%メタノールを使用した場合と、99.8%メタ
ノールを100部に、反応工程で回収したメタノールを
17部混合したものを使用した場合とを比較した。
し回収メタノール17部(純度85%程度)を混合使用し
た場合の廃食油流量kg/hと0.5%カセイソーダメタノ
ールkg/hと反応率である。
7部使用した場合でも反応率にそれほど差異は認められ
ない。従って、反応にメタノールを再利用することは製
造コストを下げるためにもすすめるべきであると考えら
れる。反応により生成した粗製グリセリンをセパレータ
にて分離するがその粗製グリセリンは撹拌付きの300
1ステンレス製タンクに貯めて塩酸を加えて中和する。
次に余分のメタノールを蒸留回収する。残りは静置する
と粗製脂肪酸と粗製グリセリンが上下に2層を形成す
る。その3者の成分組成を表3に記載した。
(C)を示した。消費量(C)は、(メタノール仕込み
量)−0.85×(60分毎に排出する粗製グリセリン
からの85%メタノール回収量)で示す。表中において、
「MeOH仕込み量(kg/h)」はメタノール仕込み量、グ
リセリン(kg/h)は粗製グリセリンの排出量、「回収Me
OH(%)」は粗製グリセリンからのメタノール回収
量、「対廃食油」は廃食油136kg/h に対するメタノ
ール消費量(kg/h)を表す。表中の〔 〕に示した数値
は、回収メタノールの純度を85%とした場合に純度10
0%に換算した数値である。
(%)は100×C/136(C:消費したメタノール
の重量)であり、No.5、6、7についてはそれぞれ
12.3%、11.8%、11.6%となる。但し、こ
の中には未回収のメタノールも含まれる。
分のメタノール(%)を示している。
用する事により廃油100部に対してメタノールの消費
量は11.6〜12.3%と少なくなることが確認でき
た。
応工程で流量を一定のままで、廃食油とメタノールの反
応混合液を50℃に加温する時間(反応時間)を保温槽
の蛇管の長さを調節することにより加減した結果を表5
に記載する。
く、13分に短くするとやや反応率が低下していること
が分かる。したがって、加温する時間が16分以上になる
よう保温槽の中の蛇管の長さを調節する必要がある。脂
肪酸エステルの脱水工程に際し、乾燥する手段のひとつ
であるバッチ式では真空加熱が完璧であるが設備費が高
い。そこで、我々は連続的にグリセリン無水物を使用し
て脱水する方法を見出したため、この手段にて実験をお
こなった。
水洗した脂肪酸エステルにグリセリン無水物を少量添加
し、特殊な混合装置を経由して特殊なセパレータを通し
末端上部より脱水した脂肪酸エステルを得ることができ
る。セパレータ末端上部より排出した水洗処理後の白濁
した脂肪酸エステルの流れている配管に、定量ポンプで
グリセリン添加量0.45%と0.7%について送入実
験した。それぞれ添加した白濁した脂肪酸エステルは混
合装置を経由してセパレータを通す。セパレータ末端上
部より排出した脂肪酸エステルの状態で両者の条件を比
較したところ、0.45%の場合は半透明で 0.7%の場
合は完全に透明な脱水脂肪酸エステルが得られた。従っ
て、脂肪酸エステルをグリセリン無水物を使用して脱水
処理する場合のグリセリン無水物の添加量は0.7%以
上が好ましい。脱水に使用したグリセリンは、セパレー
ターの末端下部よりコックを少し開けて5〜6分かけて
間欠的に抜取る。抜取ったグリセリンは、真空加熱また
は常圧加熱処理により脱水処理を行い再使用することも
可能である。
食油から、燃料となる脂肪酸エステルを製造する際に、
工程反応効率を上げることができ、さらに製造コストを
下げることができる。
を必要としないため、作業の省力化が可能であり他の付
属設備に労力を転用できる。従って、廃食油から、燃料
となる脂肪酸エステルを製造する製造コストを下げるこ
とができる上、危険物に対しより一層安全性が高まる。
ート図
熱槽、4…保温槽、5…第1のセパレータ、6…中和水
タンク、7…混合装置、8…第2のセパレータ、9…混
合装置、10…第3のセパレータ、11…洗浄
Claims (5)
- 【請求項1】 廃食用油その他の廃油脂からなる高級脂
肪酸グリセライド、メタノール及びアルカリ触媒を、一
部が高温領域に配設された配管内を通過させ前記配管内
で反応させ、分離操作を経て高級脂肪酸のメチルエステ
ルとグリセリンとを連続的に分離状態で製造する方法に
おいて、 前記高温領域が、通過原料を40〜65℃の反応温度ま
で急速に昇温させる温水からなる原料昇温領域と、通過
原料を40〜65℃の反応温度に保持する前記原料昇温
領域に続く高温雰囲気からなる反応領域とを有し、 前記分離操作は、前記反応領域を通過した反応生成物
を、前記反応生成物の流れを減速させつつ比重分離する
流路を備えたセパレータにより グリセリンと高級脂肪酸
のメチルエステルとに分離し回収することを特徴とする
廃食用油等から高級脂肪酸のメチルエステルとグリセリ
ンとを連続的に製造する方法。 - 【請求項2】 前記分離した高級脂肪酸メチルエステル
に微酸性の中和水を添加して余剰アルカリの一部を中和
することで高級脂肪酸メチルエステルと水の分離性を高
め、生成した塩及び余剰アルカリ、メタノール及び副生
した脂肪酸のナトリウムセッケンを水層に移行させた
後、前記高級脂肪酸メチルエステルの流れを減速させつ
つ比重分離する流路を備えた水セパレータにより、高級
脂肪酸メチルエステルと水とを分離することを特徴とす
る請求項1記載の廃食用油等から高級脂肪酸のメチルエ
ステルとグリセリンとを連続的に製造する方法。 - 【請求項3】 さらに、分離した高級脂肪酸メチルエス
テルに無水グリセリンを添加混合した後、前記高級脂肪
酸メチルエステルの流れを減速させつつ比重分離する流
路を備えたセパレータにより、脱水された高級脂肪酸メ
チルエステルと水を含んだグリセリンとを分離すること
により行われる請求項2記載の廃食用油等から高級脂肪
酸のメチルエステルとグリセリンとを連続的に製造する
方法。 - 【請求項4】 廃食用油その他の廃油脂を貯蔵する廃食
用油タンクと、 アルカリを溶解したメタノールを貯蔵するメタノールタ
ンクと、 前記廃食用油タンクと前記メタノールタンクからそれぞ
れ別の配管を介して所定の比率で廃食用油とアルカリを
溶解したメタノールとを圧送する定量ポンプと、 前記所定の割合で圧送される廃食用油その他の廃油脂と
アルカリ触媒を溶解したメタノールとを混合し配管に送
入するラインミキサと、 通過原料を40〜65℃の反応温度まで急速に昇温させ
る蛇管状またはコイル状の配管が配設された温水からな
る原料昇温領域と、 通過原料を40〜65℃の反応温度に保持する前記原料
昇温領域に続く蛇管状又はコイル状の長管が配設された
恒温雰囲気からなる反応領域と、 前記反応領域の 出口端に配設され前記長管から排出され
る反応生成物の流れを減速させつつ比重分離する流路を
備え、分離した高級脂肪酸メチルエステルとグリセリン
とをそれぞれ配管を介して別個に排出するセパレータと
を有することを特徴とする廃食用油その他の廃油脂から
高級脂肪酸のメチルエステルとグリセリンとを連続的に
製造する装置。 - 【請求項5】 前記セパレータから配管を介して排出さ
れた高級脂肪酸メチルエステルに微酸性の中和水を圧入
・混合するラインミキサと、 前記中和水を圧入・混合された高級脂肪酸メチルエステ
ルの流れを減速させつつ比重分離する流路を備え、高級
脂肪酸メチルエステルと中和水とに分離しそれぞれ配管
を介して別個に送出する第1の水セパレータと、 前記第1の水セパレータから配管を介して送出された高
級脂肪酸メチルエステルに洗浄水を圧入・混合するライ
ンミキサと、 前記洗浄水を圧入・混合された高級脂肪酸メチルエステ
ルの流れを減速させつつ比重分離する流路を備え、高級
脂肪酸メチルエステルと洗浄水とに分離しそれぞれ配管
を介して別個に送出する第2の水セパレータと、 前記第2の水セパレータから配管を介して送出された高
級脂肪酸メチルエステルを脱水する脱水装置と、 前記定量ポンプの送出量、前記原料昇温領域及び前記反
応領域の温度を制御する制御装置とを有することを特徴
とする請求項4記載の廃食用油等から高級脂肪酸のメチ
ルエステルとグリセリンとを連続的に製造する装置。
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- 1996-12-27 JP JP35103596A patent/JP3533061B2/ja not_active Expired - Fee Related
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