JP5123514B2 - 通電試験用プローブおよび通電試験用プローブ組立体 - Google Patents

通電試験用プローブおよび通電試験用プローブ組立体 Download PDF

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Description

本発明は、半導体ウエハに作り込まれた多数の半導体集積回路の通電試験に用いるのに好適な通電試験用プローブおよびこのプローブが組み込まれたプローブ組立体に関する。
半導体ウエハに作り込まれた多数の半導体集積回路は、各チップに分離されるに先立ち、一般的に、仕様書通りに製造されているか否かの通電試験を受ける。この通電試験には、各半導体集積回路である被検査体の電極に接続される通電試験用プローブを備えるプローブ組立体が用いられ、該プローブ組立体を経て被検査体はテスタに接続される。
このプローブ組立体に用いられる従来のプローブに、板状のプローブ本体部と、該プローブ本体部に設けられ被検査体の電極に当接される針先部とを備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。プローブ本体部は、プローブ基板への取付け部分と、該取付け部分から前記プローブ基板の下方へ該プローブ基板から間隔をおいてこれに沿って横方向に伸びる一対のアーム部分と、該両アーム部分の先端を結合すべく該アーム部分に一体に形成された台座部分とを備え、該台座部分に前記針先部が設けられる。特許文献1によれば、前記プローブ本体部を高靱性の導電材料で形成し、該プローブ本体部の台座部分の下端に設けられる針先部を硬度に優れた高硬度金属材料で形成することが提案されている。
プローブ本体部を靭性に優れた金属材料で形成することにより、プローブの針先部が被検査体の電極に押し付けられたとき、プローブ本体部のアーム部分の弾性変形を高めて針先部を適正かつ確実に前記電極に接続させることができる。また、プローブに、該プローブのアーム部分に前記した弾性変形を生じさせるオーバドライブ力が作用すると、前記アーム部分の弾性変形に伴い、前記針先部の針先が電極上を滑るが、この針先部を高硬度材料で形成することにより、針先の摩耗が抑制され、摩耗によるプローブの耐久性の低下が防止される。
しかしながら、台座部の下面から突出する微細な針先部を高硬度金属材料で形成すると、針先部の針先に負荷荷重が作用したときに、この針先部の脆さが欠損や破断を生じる原因となることがある。そのため、針先部の欠損あるいは破断を確実に防止することが望まれていた。
国際公開第2006/075408号パンフレット
そこで、本発明の目的は、プローブの針先部の欠損あるいは破断を防止し、プローブの耐久性を高めることにある。
本発明は、靱性を示す金属材料で形成され、平坦面を有する針本体部と、該針本体部の前記平坦面から突出して設けられる針先部とを備え、前記針先部の少なくとも前記平坦面から突出する部分は、その全域で、前記針本体部を形成する靱性金属材料よりも高い硬度を示す第1の金属材料層と、該第1の金属材料層よりも優れた靭性を示す第2の金属材料層との積層構造を有することを特徴とする。
本発明では、前記針先部が高硬度の第1の金属材料層と、これよりも靭性に富んだ第2の金属材料層との積層構造で形成されていることから、第1の高硬度金属材料に欠ける粘りが第2の金属層により補われる。したがって、耐摩耗性に優れ、欠損や破断を生じることのない針先部を有するプローブが提供されることから、その耐久性が高められる。
前記針本体部を板状に形成し、前記針先部を前記針本体部の板厚方向に積層された積層構造で形成することができる。これにより、例えばフォトリソグラフィ技術および電気メッキ法を用いて比較的容易に本発明のプローブを形成することができる。
前記第2の金属材料層を前記針本体部を形成する靱性金属材料で形成することができる。この第2の金属材料層と針本体部との材料の共通化により、前記針本体部と前記針先部の第2の金属材料層との一体化を図ることができるので、プローブの製造設備の簡素化と共に前記針本体部と針先部との機械的結合強度を高めることができる。
前記第1の金属材料層の厚さ寸法は前記第2の金属材料層のそれよりも大きくすることが望ましい。これにより、前記針先部に必要な耐摩耗性をより確実に与えることができる。
前記針本体部に前記針先部が設けられる台座部分を形成し、前記針先部の前記第2の金属材料層を前記台座部分と同一材料で一体的に形成することができる。この金属材料の共通化によっても、前記針本体部と前記針先部の第2の金属材料層との一体化を図ることができるので、プローブの製造設備の簡素化と共に前記針本体部と針先部との機械的結合強度を高めることができる。
前記針先部は、前記第1の金属材料層と、該金属材料層の両面を覆う一対の前記第2の金属材料層とを有するサンドイッチのような積層構造とすることができる。この場合、高硬度の第1の金属材料層の両面が靭性に富む第2の金属材料層によって覆われることから、該第2の金属材料層間の第1の金属材料層がその破断や破損の原因となる外傷を受け難く、針先部の脆さによる耐久性の低下を効果的に防止することができる。
前記針本体部は、従来におけると同様な取付け部分と、該取付け部分からその高さ方向へ相互に間隔をおいて横方向へ伸長する一対のアーム部分と、該アーム部分に連結された台座部分とで形成することができる。前記台座部分は、前記アーム部分の伸長端を連結すべく該アーム部分から見て前記取付け部分が位置する側と反対側へ伸長して形成されており、該台座部分の伸長端に前記針先部が形成される。
本発明に係るプローブを従来の通電試験用プローブ組立体に組み込むことができる。
本発明によれば、前記したように、針先部を高硬度の第1の金属材料層と、靭性に優れた第2の金属材料層との積層構造で形成することにより、両金属材料層の両特性を効果的に発揮させることができるので、プローブの針先部の耐摩耗性を高めると共にその欠損あるいは破断を防止し、プローブの耐久性の向上を図ることができる。
本発明に係るプローブ組立体10は、図1に示されているように、半導体ウエハ12に形成された多数の集積回路(図示せず)の通電試験に用いられる。半導体ウエハ12は、その一方の面に形成された多数の電極12aを上方に向けて、例えば、真空チャック14上に取り外し可能に保持される。プローブ組立体10は、真空チャック14上の半導体ウエハ12に形成された前記集積回路の通電試験のために、真空チャック14上の半導体ウエハ12へ向けおよびこれから遠ざかる方向へ、真空チャック14との間で相対的に移動可能に図示しないフレーム部材に支持されている。
プローブ組立体10は、プリント配線基板16と、該プリント配線基板にセラミックス基板18を介して積層されたプローブ基板20とを備える。プローブ基板20の一方の面には、本発明に係る多数のプローブ22が整列して取り付けられている。セラミックス基板18およびプローブ基板20は、該プローブ基板に取り付けられたプローブ22が下方に向くように、セラミックスのような誘電体材料からなる従来よく知られた取付リング組立体24を介して、プリント配線基板16の下面に積層するように、プリント配線基板16に組み付けられている。
プリント配線基板16の上面には、金属材料からなり、プリント配線基板16の前記上面の部分的な露出を許す補強部材26が配置されている。プローブ基板20、セラミックス基板18、プリント配線基板16、補強部材26および取付リング組立体24は、図示しないがボルトのような従来におけると同様な結合部材により、一体的に組み付けられている。
プローブ基板20には、図示しないが従来よく知られた導電路が形成されており、プローブ22はそれぞれに対応した前記各導電路に固定的に接続されるように、プローブ基板20に取り付けられている。プローブ22に対応したプローブ基板20の前記各導電路は、従来よく知られているように、セラミックス基板18およびプリント配線基板16をそれぞれ貫通して形成された各導電路(いずれも図示せず)を経て、プリント配線基板16の上面の補強部材26から露出する領域に配列されたソケット(図示せず)に電気的に接続されており、該ソケットを経て、図示しないテスタ本体の回路に接続されている。
したがって、プローブ組立体10の各プローブ22が、被検査体である半導体ウエハ12の対応する電極12aに当接するように、プローブ組立体10と真空チャック14とを相近づけるように移動させることにより、電極12aを前記テスタ本体の回路に接続することができ、被検査体12の通電試験を行うことができる。
各プローブ22を拡大して示す図2を参照するに、各プローブ22は、例えばニッケルあるいはニッケルクロム合金のような金属材料からなる平板状のプローブ本体部22aと、例えばロジウムのような硬質金属材料を基層とする針先部22bとを備える。これら両部22a、22bは、共に比較的良好な導電性を示す。ニッケルあるいはニッケルクロム合金からなるプローブ本体部22aは、針先部22bの基層を構成するロジウムよりも靭性に富み、他方、このロジウムはプローブ本体部22aを構成する前記金属材料よりも硬度が高い。
プローブ本体部22aは、前記した金属材料の他、例えばニッケルリン合金、ニッケルタングステン合金、ニッケルコバルト合金のようなニッケル合金、燐青銅、パラジウムコバルト合金のような靭性に優れた高靱性の金属材料で形成することができる。また、針先部22bの基層は、ロジウム以外の高硬質金属材料で適宜形成することができる。
プローブ本体部22aは、図示の例では、横方向が長さ方向となる矩形の取付け部分28と、該取付け部分の一側から下方に伸長する連結部分30と、該連結部分から取付け部分28の下縁に間隔をおいて横方向へ伸長するアーム部分32、32と、該アーム部分の伸長端に連結された台座部分34とを備える。また、図示の例では、前記アーム部として、取付け部分28の高さ方向すなわち連結部分30の伸長方向へ相互に間隔をおいて形成された一対のアーム部分32、32が形成されており、両アーム部分32、32の伸長端を連結する台座部分34は、一対のアーム部分32から見て取付け部分28が位置する側と反対側へ伸長する。
この台座部分34の伸長端は、平坦な端面34aであり、該端面から突出するように針先部22bが設けられている。針先部22bは、図2(a)に示されているように、その横方向寸法を突出方向へ向けて漸減する台形の平面形状を有する基部分36と、該基部分の平行な一対の対辺のうちの短辺から伸長する矩形平面形状を有する柱体部分38とを備える。この柱体部分38の先端面は、図2(a)および図2(b)に示す例では、柱体部分38の軸線にほぼ直角な平坦面38aである。例えば、針先部22bの台座部分34から突出する高さ寸法Hは、35±3μmであり、針先部22bの厚さ寸法Tは約15μmあるいは12.5μmであり、その柱体部分38の横方向寸法Lは15±2μmである。これらの寸法H、TおよびLは、適宜選択することができる。また、柱体部分38の先端面を下方へ向けて球状に突出させることができ、柱体部分38の先端を尖端とすることができる。
針先部22bは、その基部分36および柱体部分38の全体にわたって、図2(b)および図3に示されているように、前記した高硬質を基層とする積層構造を有する。すなわち、針先部22bは、図2および図3に示す例では、前記したロジウムのような硬質金属材料からなる第1の金属材料層40aと、該金属材料層を基層としてその両側を覆って配置された一対の第2の金属材料層40b、40bとからなる3層の積層構造を有する。各層40aおよび40bは、プローブ本体部22aの板厚方向に順次積層されている。針先部22bの柱体部分38が台座部分34の端面34aから突出するように、その基部分36の前記した平行な一対の対辺のうちの長辺を含む縁部側がプローブ本体部22aの台座部分34に埋設されている。これにより針先部22bは、プローブ本体部22aに固定されている。
針先部22bの両第2の金属材料層40bは、靭性に富んだ金属材料からなり、該両層間の第1の金属材料層40aと相互に固着されている。両第2の金属材料層40bは、針先部22bとプローブ本体部22aとの結合強度を高めるために両金属材料層40bとプローブ本体部22aとの一体化を図り、また後述する製造設備の簡素化を図る上で、プローブ本体部22aの金属材料と同一金属材料で構成することが望ましい。
針先部22bの厚さ寸法Tが前記したように約15μmあるいは12.5μmであるとき、例えば1〜2μmの厚さ寸法t1を有する各第2の金属材料層40b、40bが形成される。第1の金属材料層40aの厚さ寸法は、針先部22bの厚さ寸法Tから両第2の金属材料層40b、40bの厚さ寸法t1を減じた値(T−2t1)となる。
針先部22bの基層である硬質金属材料からなる第1の金属材料層40aは、針先部22bの心材として該針先部の主として耐摩耗性を担う。また第1の金属材料層40aの両側面を覆う各第2の金属材料層40b、40bは、その靭性によって外部からの衝撃を吸収することにより、第1の金属材料層40aに亀裂や傷が入ることを防止する。
図4(a)に示すように、針先部22bの厚さ寸法Tを変えることなく、両第2の金属材料層40b、40bを例えば2〜3μmの厚さ寸法t2で形成することができる。
また、図4(b)に示すように、針先部22bの厚さ寸法Tを変えることなく、2つの第1の金属材料層40aと3つの第2の金属材料層40bとを交互に積層することによって、全5層の積層構造を有する針先部22bを用いることができる。3つの第2の金属材料層40bの厚さ寸法t1は、例えば図3に示した例におけると同様な厚さ寸法1〜2μmとすることができる。
さらに、針先部22bの厚さ寸法Tを変えることなく、図4(c)に示すように、単一の第1の金属材料層40aと単一の第2の金属材料層40bの2層構造で針先部22bを形成することができる。この単一の第1の金属材料層40aの厚さ寸法tは、例えば1〜3μmの範囲で所望の厚さ寸法を選択することができる。
いずれにしても、針先部22bに所望の靭性と耐摩耗性とを付与する上で、所望層数の第1の金属材料層40aと第2の金属材料層40bとを有する多層構造を採用することができる。また第1の金属材料層40aおよび第2の金属材料層40bの厚さ寸法および針先部22bの厚さ寸法Tを必要に応じて適宜設定することができる。
本発明に係る各プローブ22は、取付け部分28の上縁がプローブ基板20の前記導電路に接続されるように、プローブ基板20に固定される。このプローブ22が設けられたプローブ組立体10は、前記したように各プローブ22の針先である針先部22bの先端面38a(図1参照)が対応する電極12aに当接するように、用いられる。
このとき、1枚の半導体ウエハ12を複数のチップ領域に分割してチップ領域毎にプローブ組立体10で通電試験をする場合、一部のプローブ22がチップ領域を外れ、プローブ22の針先38aが半導体ウエハ12の傾斜縁に対応した位置に来ることがある。この状態で、プローブ組立体10が各プローブ22のアーム部分32に弾性変形を生じさせるオーバドライブ力で半導体ウエハ12に押し付けられると、前記傾斜縁に対応するプローブ22の先端面38aが前記傾斜縁に案内されることから、該傾斜縁の案内作用により、このプローブ22の針先部22bには、曲げを伴う過負荷が作用することがある。
本発明に係るプローブ22では、針先部22bに、このような過負荷が作用しても、耐摩耗性に優れた第1の金属材料層40aを覆う高靱性の第2の金属材料層40bが第1の金属材料層40aに亀裂や傷が入ることを防止する。したがって、この亀裂や傷に起因する第1の金属材料層40aの破断や破損の発生を防止することができるので、針先部22bの欠損や破断が防止され、プローブ22の耐久性が高められる。
プローブ22の製造方法の一例を図5の製造工程図に沿って説明する。図5(a)に示すように、ステンレス製の平坦な表面を有する基台50上に、後に除去される犠牲層52のためのフォトリソマスク54が、従来よく知られたホトレジスト層への選択露光および現像処理により形成される。フォトリソマスク54から露出する基台50の表面部分に例えば銅のような犠牲層材料が電気メッキ法により所定の厚さに堆積され、これにより犠牲層52が形成される。
フォトリソマスク54の除した後、図5(b)に示すように、新たな第2のフォトリソマスク56が基台50の表面部分および犠牲層52を覆って形成される。この第2のフォトリソマスク56は、基台50の前記表面に、プローブ22の取付け部分28、連結部分30、一対のアーム部分32および台座部分34を備えるプローブ本体部22aの平面形状を形作る。
基台50の第2のフォトリソマスク56から露出する表面部分には、図5(c)に示すように、例えばニッケルクロムのような高靱性の金属材料58が、電気メッキ法により、ほぼ犠牲層52の厚さに等しい厚さで堆積される。この金属材料の堆積により、基台50上には、プローブ本体部22aの全体の形状が、プローブ本体部22aの厚さ寸法の例えばほぼ3分の1の厚さに形成される。
その後、第2のフォトリソマスク56が除去され、図5(d)に示すように、針先部22bのための第3のフォトリソマスク60が、基台50上の犠牲層52およびプローブ本体部22aの所定領域を露出させるように、形成される。この第3のフォトリソマスク60は、犠牲層52およびプローブ本体部22aのうち、針先部22bの平面形状に対応した所定の領域を部分的に露出させる。
第3のフォトリソマスク60から露出する領域には、図5(e)に示すように、ロジウムのような高硬質金属材料62および高靱性の金属材料58が電気メッキ法により所定の厚さに順次堆積される。このとき、例えば図4(c)に示した2層の針先部22bのためには、高硬質金属材料62および高靱性金属材料58が所定の厚さの各単一層を形成するように順次堆積される。また、例えば図3および図4(a)に示した3層の針先部22bあるいは図4(b)に示した5層の針先部22bの形成のためには、高硬質金属材料62および高靱性金属材料58が必要層数に応じて、それぞれ所定の厚さに反復して順次堆積される。
この高硬質金属材料62および高靱性金属材料58の堆積により、第1の金属材料層40aおよび第2の金属材料層40bの積層構造を有する針先部22bが形成される。この電気メッキ法により堆積された針先部22bは、第1の金属材料層40aおよび第2の金属材料層40bがそれらの堆積に伴い強固に結合して形成されるので、格別な接着剤を用いることなく、各層40a、40bを結合することができ、また針先部22bの側面とプローブ本体部22aのための高靱性金属材料58とを固定的に強固に結合することができる。
針先部22bの形成後、第3のフォトリソマスク60が除去され、図5(f)に示すように、新たに第4のフォトリソマスク64が形成される。この第のフォトリソマスク64は、プローブ本体部22aの残部の形成のために、堆積された針先部22bのプローブ本体部22aへの埋設部分を含む領域であって、プローブ本体部22aの平面形状に対応した領域を露出させる。
第4のフォトリソマスク64から露出する領域には、前記したと同様な高靱性の金属材料58が堆積され、これによりプローブ本体部22aの残部が形成されることにより、図5(g)に示されているように、基台50上には、図3ないし図4に示したような多層構造を有する針先部22bおよびプローブ本体部22aを備えるプローブ22が形成される。このプローブ22を取り巻くフォトリソマスク64が除去され、また犠牲層52が除去された後、プローブ22が基台50上から剥離される。
第2の金属材料層40bをプローブ本体部22aの金属材料と異なる靭性金属材料からなる金属材料層で形成することができる。しかしながら、図5に沿って説明したようなフォトリソグラフィ技術および電気メッキ法を用いてプローブ22を形成する場合、前記したように、プローブ本体部22aと針先部22bの第2の金属材料層40bとを同一金属材料で形成することにより、格別な接着手段を用いることなく両者22a、40bの強固な結合を得ることができる。また第2の金属材料層40bをプローブ本体部22aとは異なる靭性金属材料を用いる場合に比較してプローブ22の構成材料の種類の簡素化を図ることができるので、その製造設備の簡素化を図ることができる。
図3および図4に示したような直線断面形状を有する針先部22bに代えて、図6(a)および図6(b)に示すような従来よく知られたクランク状の断面形状を有する針先部22bに、前記したと同様な第1の金属材料層40aおよび第2の金属材料層40bからなる積層構造を適用することができる。
このようなクランク状の断面の針先部22bを有するプローブ22の製造工程の一例が図7に示されている。図7(a)に示されているように、図5(a)に示したと同様な基台50上に、犠牲層52のためのフォトリソマスク54が形成される。フォトリソマスク54から露出する基台50の表面部分に電気メッキ法により犠牲層52が形成される。
フォトリソマスク54の除した後、図7(b)に示すように、新たな第2のフォトリソマスク56が基台50の表面部分および犠牲層52を覆って形成される。このとき、クランク状の断面形状を有する針先部22bの形成のために、第2のフォトリソマスク56は、犠牲層52の長手方向の一半を露出させるように、形成される。
基台50の第2のフォトリソマスク56から露出する表面部分および犠牲層52上の第2のフォトリソマスク56から露出する領域には、図7(c)に示すように、ロジウムのような高硬質金属材料62および高靱性の金属材料58が電気メッキ法により所定の厚さに順次堆積される。図7(c)に示す例では、2層の針先部22bのために、高硬質金属材料62および高靱性金属材料58が所定の厚さの各単一層を形成するように順次堆積されているが、図5に沿って説明した例におけると同様に、高硬質金属材料62および高靱性金属材料58が必要層数に応じて、それぞれ所定の厚さに反復して順次堆積される。
この高硬質金属材料62および高靱性金属材料58の堆積により、第1の金属材料層40aおよび第2の金属材料層40bの積層構造を有する針先部22bが形成される。この針先部22bの形成のための高硬質金属材料62および高靱性金属材料58の堆積に際し、第2のフォトリソマスク56の露出領域には、犠牲層52によって段部が形成されていることから、図6(a)、(b)に示したような多層構造を有するクランク状の断面形状を有する針先部22bが形成される。
針先部22bの形成後、第2のフォトリソマスク56が除去され、図7(d)に示すように、新たに第3のフォトリソマスク60が形成される。この第3のフォトリソマスク60は、プローブ本体部22aの形成のために、堆積された針先部22bのプローブ本体部22aへの埋設部分を含む領域であって、プローブ本体部22aの平面形状に対応した領域を露出させる。
この第3のフォトリソマスク60から露出する領域には、前記したと同様な高靱性の金属材料58が堆積され、これにより取付け部分28、連結部分30、一対のアーム部分32および台座部分34を備えるプローブ本体部22aが形成される。その後、このプローブ22を取り巻くフォトリソマスク60が除去され、また犠牲層52が除去された後、プローブ22が基台50上から剥離される。その結果、図6に示したような多層構造を有するクランク状の断面形状を有する針先部22bと、プローブ本体部22aとを備えるプローブ22が形成される。
本発明は、上記実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない限り、種々に変更することができる。
本発明に係る多層構造の針先部を有するプローブを備えたプローブ組立体をその一部を破断して示す模式図である。 図1に示したプローブを拡大して示し、(a)はその正面図であり、また(b)はその側面図である。 図2に示したプローブの針先部を拡大して示す断面図である。 本発明の他の具体例を示す図3と同様な図面であり、(a)は3層構造の例を示し、(b)は5層構造の例を示し、(c)は2層構造の例を示す。 図2乃至図4に示したプローブの製造工程を示す説明図である。 本発明のさらに他の具体例を示す図4と同様な図面であり、(a)は2層構造の例を示し、(b)は3層構造の例を示す。 図6に示したプローブの製造工程を示す説明図である。
符号の説明
10 プローブ組立体
20 プローブ基板
22 プローブ
22a プローブ本体部
22b 針先部
28 取付け部分
32 アーム部分
34 台座部分
38a 針先の平坦面
40a 第1の金属材料層
40b 第2の金属材料層

Claims (8)

  1. 靱性を示す金属材料で形成され、平坦面を有する針本体部と、該針本体部の前記平坦面から突出して設けられる針先部とを備え、前記針先部の少なくとも前記平坦面から突出する部分は、その全域で、前記針本体部を形成する靱性金属材料よりも高い硬度を示す第1の金属材料層と、該第1の金属材料層よりも優れた靭性を示す第2の金属材料層との積層構造を有する通電試験用プローブ。
  2. 前記針本体部は板状部材で形成され、前記針先部は前記針本体部の板厚方向に積層された積層構造を有する、請求項1に記載の通電試験用プローブ。
  3. 前記第2の金属材料層は前記針本体部を形成する前記靱性金属材料と同一金属材料からなる、請求項1に記載の通電試験用プローブ。
  4. 前記第1の金属材料層の厚さ寸法は前記第2の金属材料層のそれよりも大きい、請求項1に記載の通電試験用プローブ。
  5. 前記針本体部は、前記針先部が設けられる台座部分を有し、前記第2の金属材料層が前記台座部分と同一金属材料で一体的に形成されている、請求項1に記載の通電試験用プローブ。
  6. 前記針先部は、前記第1の金属材料層と、該金属材料層の両面を覆う一対の前記第2の金属材料層とを有する積層構造を有する、請求項1に記載の通電試験用プローブ。
  7. 前記針本体部は、取付け部分と、該取付け部分からその高さ方向へ相互に間隔をおいて横方向へ伸長する一対のアーム部分を備え、該アーム部分の伸長端を連結すべく該アーム部分から見て前記取付け部分が位置する側と反対側へ前記台座部分が伸長して形成されており、該台座部分の伸長端に前記針先部が形成されている、請求項1に記載の通電試験用プローブ。
  8. 複数の導電路が形成されたプローブ基板と、該プローブ基板に設けられ、対応する前記導電路に電気的に接続される請求項1に記載の通電用プローブとを備える通電試験用プローブ組立体。
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