JP5228207B2 - 検査用プローブ - Google Patents

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Description

本発明は検査用プローブに関する。
近年、半導体集積回路、フラットパネルディスプレイ(FPD)等の電子デバイス基板あるいは回路配線基板等の検体に配設されている端子用電極は、益々微小ピッチ化する傾向にある。そこで、これ等の電子デバイスあるいは回路配線板の通電検査では、通電検査装置側において、これ等の電極ピッチに対応した微小ピッチのリード(導線)が配設された検査用プローブが必須になっている。
従来から、微小ピッチのリードが配設されて成る検査用プローブはフォトリソグラフィを用いた微細加工により製造される(例えば、特許文献1,2参照)。このフォトリソグラフィを用いる製造では、プローブ用基板の平坦な表面に基板の端部まで配設された細長導電層のリードが形成される。その後、例えば、リードの先端部が基板の縁端から突出するように基板端部の所定領域が切除され、そのリードの先端部がプローブ用基板の縁端から突出した弾性接片(以下、接触子ともいう)になる検査用プローブが作製される。このような検査用プローブにおけるリード構造を、その平面図である図12(a)、および、リードの拡大断面図である図12(b)に示す。
図12(a)に示すように、例えばセラミックス製の基板101上に所要数(図12では9本)の適正な弾性特性をもつリード102が形成される。ここで、例えば、それ等の先端部102aは、接触子として基端部102bのピッチよりも狭められ、検体の端子用電極に応じた微小ピッチでビーム状に配設されて、基板101の一縁端から突出している。そして、リード102は、導電性の密着層103上に導体層104が積層した構造になっている。この密着層103には基板101との接着力を高める例えばスパッタリング法で成膜するクロム(Cr)、チタン(Ti)等の接着金属材料が用いられ、導体層104には例えばメッキ法で成膜するニッケル(Ni)合金等の所要の弾性特性をもつ金属材料が使用される。ここで、密着層103は例えばNi合金層103b/密着金属層103aの2層構造にされる。
しかし、従来の例えば図12に示した検査用プローブでは、上記ビーム状のリードの先端部102aのピッチが例えば20〜30μm程度になり、リードの線幅が10〜20μm程度以下になってくると、リード102の剥がれが生じ易くなってくる。これは、本願発明者の解析結果から判明したことであるが、主に、検査用プローブの製造工程で行われるウェットエッチングにより、図12に示すような密着金属層103a側壁にサイドエッチング部105が生じることによる。ウェットエッチングは、例えば、リード102の下部に予め形成した例えば銅(Cu)から成る犠牲層を除去する場合や、メッキ形成の給電層として形成した密着層103を除去する場合等に使用される。この犠牲層は、リード102の先端部102aを基板101の縁端から安定して突出させるために必要になる。
そして、その後のプローブ製造工程において、基板101の外形加工後の切削屑を除去するための例えばメラミンフォームやベルクリン等のスクラブによるリード102上からの水洗浄、あるいは接着剤等の付着物を除去するための超音波洗浄により、リード102の基板101からの剥がれが起こり易くなる。また、検体の通電検査において、検体の端子用電極に加圧接触する際の接触力のために接触子の根元部分に応力が集中し剥がれが生じるようになる。これ等のリード102の剥がれは従来の例えば70μmピッチの場合では全く起こらない問題であった。
そこで、上記リードの基板からの剥離を防止する方法して、例えばリードを基板に埋め込むように形成することが提示されている(例えば、特許文献3参照)。このような検査用プローブにおけるリード構造をその概略断面図である図13に示す。図13に示すように、例えば樹脂などの有機高分子材料から成る支持基板201の一主面(表面)側にその底部が埋め込まれてリード202が形成される。ここで、リード202の底部には拡幅部203が設けられ支持基板201内に強固に固定されるようになっている。なお、このようなリード202の支持基板201への埋め込みは、例えば軟化状態の樹脂にリード202を挿設しその樹脂を熱硬化させることにより行われる。
しかし、このように形成される検査用プローブでは、支持基板201に挿設されるリード202の位置ズレが起こり易く、リード202の高精度の配設が難しくなる。そして、その製造工程は図12で説明した検査用プローブの場合に較べて増大する。また、この検査用プローブでは、図13に説明した支持基板201の他主面(裏面)側を例えば剛性を有するセラミックス材料あるいは可撓性を有する各種材料から成るプローブベース部材に貼り付けて使用されることから、極めて強力な接着剤を用いた貼付作業が必須になる。このように、この従来技術では、最終的な検査用プローブ製品の製造工程が増加しタクトタイムが長くなり、その製造コストが増大するようになる。
ところで、上述した検査用プローブの他にも例えば回路配線基板のような電子部品のように絶縁基板上に微細な回路配線(導線)を配設する場合であっても、配線の基板面からの剥がれは、その配線幅が例えば10μm以下に小さくなってくると同様に起こってくる問題である。
特許第2599895号公報 特開2007−3263号公報 特開2006−29861号公報
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、表面が絶縁性を有する基板上に配設される導線の線幅が微細になっても、上述したような導線の基板からの剥離を容易に防止できるようにすることを主目的とする。そして、その配線構造体が低コストにしかも安定的に製造でき、微小ピッチ化する検体の端子用電極に効果的に対応できる高精度で微小ピッチのリードを有する検査用プローブを簡便に低コストで提供できるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するために、第一の発明にかかる検査用プローブは、絶縁性の基板と、前記基板表面に形成される導電性の密着層と前記密着層の上部に積層される導電層とからなり前記基板上に複数配設されるリードと、前記リードのそれぞれから延びて前記基板の縁端から突出する接触子とを有する検査用プローブであって、前記基板の表面を被覆して形成され前記密着層をその縁端に沿って被覆し前記密着層の上面に開口部を備えて前記開口部を通して前記導体層が積層される側壁保護絶縁層と、前記密着層あるいは前記導体層を構成している金属の拡散を防止する金属中間層として前記密着層と前記導体層の間に形成される金属拡散防止層と、前記リードおよび前記側壁保護絶縁層を被覆する被覆絶縁層とを具備し、検体の通電検査をするために前記接触子が前記検体の電極に弾性接触する、構成になっている。
本発明の構成により、表面が絶縁性を有する基板上に配設される導線の配線幅が微細になっても、導線の基板からの剥離が容易に防止できる。そして、その配線構造体が低コストにしかも安定的に製造できる。また、微小ピッチ化する検体の端子用電極に効果的に対応できる高精度で微小ピッチのリードを有する検査用プローブが簡便に低コストで提供できる。
以下、本発明の実施形態のいくつかについて図面を参照して説明する。なお、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は一部省略される。但し、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態にかかる配線構造体、検査用プローブ、およびその製造方法ついて図1ないし図7を参照して説明する。図1は本実施形態にかかる配線構造体の一例を示す一部拡大断面図である。図2はその配線構造体をリードに用いた検査用プローブの平面図である。そして、図3および図4は配線構造体あるいは検査用プローブのリードの製造方法の一例を示す製造工程別断面図である。図5ないし図7は上記配線構造体のいくつかの変形例を示す断面図あるいは平面図である。
本実施形態にかかる配線構造体では、図1に示すように少なくとも表面が絶縁性を有する基板11上に、導電性の密着層12が細長配線パターン状に接着して配設されている。そして、密着層12の縁端に沿って被覆しその上面に開口部13を有する側壁保護絶縁層14が基板11表面を被覆し形成されている。ここで、側壁保護絶縁層14は基板11および密着層12との密着性に優れた絶縁膜により成る。
そして、側壁保護絶縁層14の上記開口部13を通して密着層12に接続する金属拡散防止層15が形成され、その上部に例えばメッキ下地層16を介して導体層17が積層されている。このようにして、配線構造体18は、導電性の密着層12、金属拡散防止層15、メッキ下地層16および導体層17から成る細長配線パターン状の積層構造になっている。
基板11は、例えば回路配線基板を構成する樹脂等の有機高分子材料から成っていてもよいし、例えばジルコニア、アルミナ、ガラスセラミックス等のセラミックス材料、ガラス、シリコン等の無機絶縁体材料から成る。あるいは、その他の材料を含んだ複合体から成る。ここで、少なくとも基板の表面は絶縁性を有する構造になっている。
導電性の密着層12は、例えばスパッタリング法、蒸着法等で成膜され、図1に示したように例えば接着金属層12b/密着金属層12aの2層構造になっていてもよいし、密着金属層12aのみで構成されていても構わない。ここで、密着金属層12aには、基板11との接着力に優れた金属材料が使用され、例えば、Ti、Cr、Ti−Cr合金、Ti−タングステン(W)合金、Cr−Cu合金等が挙げられる。また、接着金属層12bには、密着金属層12aおよび金属拡散防止層15との接着性に優れる金属材料が使用され、例えば、Ni−Fe合金、Cu等が挙げられる。その他にも、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、窒化タングステン(WN)等の高融点金属の窒化材料から成る金属バリア膜が用いられてもよい。
側壁保護絶縁層14としては、上述したように基板11および密着層12との密着性に優れた絶縁体材料が使用され、例えばメッキレジストのような有機絶縁体膜、シリコン酸化膜(SiO膜)、アルミナ膜(Al膜)、シリコン窒化膜(SiN膜)、シリコン酸窒化膜(SiON膜)のような無機絶縁体膜が挙げられる。この側壁保護絶縁層14が配線構造体18の密着層12の縁端およびその側壁を保護する。
金属拡散防止層15は、例えば密着層12と上層の金属層との固相反応を防止する金属材料から成る。その好適な金属材料としては、無電解メッキが可能なNi、Ni合金が挙げられる。Ni合金としては、例えばNi−リン(P)合金、Ni−Ti合金、Ni−Cr合金、Ni−バナジウム(V)合金、Ni−Fe合金、Ni−Co合金等が挙げられる。また、この金属拡散防止層15は、開口部13を充填することで密着層12の上部を平坦化し、密着層12と導体層17との接着力を高める機能も有している。
メッキ下地層16は、スパッタリング法等により成膜するNi、Ni−Fe合金等が使用される。このメッキ下地層16は導体層17の電解メッキにおける給電層が細長配線パターン状に加工されたものである。
導体層17は、通常、メッキ法で成膜され、Cu、Cu合金、金(Au)、Ni、Ni合金等が使用される。ここで、Ni合金としては、Ni−Fe、Ni−マンガン(Mn)、Ni−コバルト(Co)、Ni−W等が挙げられる。なお、成膜方法は、メッキ法に限られるものではなくスパッタ法や蒸着法を用いて成膜しても良い。また、導体層17表面にその被覆金属層が形成されていてもよい。このような被覆金属層として、例えばAu−Co合金、Au−Pd合金のようなAu合金やPd−Co合金、Ir合金等が挙げられる。
上記配線構造体18は、導電性の密着層12を構成する接着金属層12bが金属拡散防止の機能を有する場合、接着金属層12bが金属拡散防止層15として兼用できることから金属拡散防止層15が除かれた構造にしてもよい。あるいは、導体層17の電解メッキにおいて給電層として接着金属層12bを用いると、メッキ下地層16も除いた構造にすることができる。また、上記金属拡散防止層15を形成し、この層を電解メッキの給電層として導体層17を形成した構造にすることもできる。但し、導体層17を形成するため、電解メッキを行うための給電用の配線として、引出し線を形成し連結する必要がある。なお、引出し線は、外形加工時に切断される。このように、本発明の配線構造体18は、導電性の密着層12の密着金属層12aと導体層17を基本構成とし、その間に種々の機能を有する金属中間層が介装された構造にできる。
上述した配線構造体18は、例えば回路配線基板のような電子部品の基板上の導線として使用され、例えば樹脂等の有機高分子材料から成る基板11表面に複数本に配設される。
また、上記配線構造体18、図2に示すように検査用プローブ19のリード20に好適に用いられる。この場合には、導体層17には、所要の弾性特性を有する例えばNi−Fe合金のような金属材料が用いられる。その他に、Ni−Fe、Ni−Mn、Ni−Co等のNi合金が適宜に使用される。
従来技術で説明したように、検査用プローブ19は、検体の通電検査において検体の端子用電極に加圧接触する際の接触力のために、その接触子の根元部分に大きな応力が集中する。このため、この場合の配線構造体18はなるべく簡素な構造が好ましい。そこで、例えば、接着金属層12b、金属拡散防止層15、メッキ下地層16および導体層17を例えばNi合金の同一の金属材料にするとよい。そして、密着層12の金属密着層12aとしては、例えばTi、Cr、Ti−Cr合金等の金属材料とし、上記2種類の金属材料の積層したリード20にすると好適である。
あるいは、配線構造体18のところで説明したように、密着層12の密着金属層12aと導体層17を基本構成とし、他の金属中間層を除いた構造にしてもよい。この積層構造における金属層の組み合わせは配線構造体18と同様に種々の態様がある。しかし、開口部13が深くなる場合には、この開口部13を充填する金属拡散防止層15を形成し密着層12の上部を平坦化して、導体層17との接着力を高めるようにする。
検査用プローブ19では、図2に示されるように、適正な弾性特性を有する配線構造体18から成るリード20が例えばセラミックス製の基板11上に所要数(図2では9本)形成されている。そして、それ等の先端部20aは接触子として基端部20bのピッチよりも狭められ、検体の端子用電極に応じた微小ピッチでビーム状に配設される。基板11の一縁端から突出した弾性接片が接触子になる。ここで、配線構造体18の表面部に上述した被覆金属層が形成され、この被覆金属層が検体の端子用電極に加圧接触するようになっていてもよい。
そして、リード20の基端部20bは、図示しないが、はんだ、異方性導電フィルム(ACF;Anisotropic Conductive Film)、バンプ等の接合部を介して例えばフレキシブル配線板に接続され、通電検査装置に電気的につながるようになっている。
次に、本実施形態にかかる配線構造体18あるいは検査用プローブのリード20の製造方法ついて説明する。
図3(a)に示すように、その厚さが数百μmになるセラミックス製の基板11を使用する。ここで、その表面は、所要の粗さに加工する研削加工がなされ、その加工歪み層を除去する研磨加工が施されている。そして、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等により、基板11に対し大きな接着力を有する金属材料を成膜する。例えば膜厚が100nm程度のTi、CrあるいはTi−Cr合金等から成る密着金属膜21、例えば膜厚が150〜300nm程度のNi−Fe合金あるいはCu等から成る接着金属膜22を連続して成膜する。
次に、図3(b)に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術等を用いた接着金属膜22および密着金属膜21のエッチング加工により、密着金属層12aおよび接着金属層12bから成る密着層12を形成する。ここで、エッチング加工用のエッチングマスクは、例えばスクリーン印刷法によるフォトレジスト膜の形成およびそのレジスト膜の露光・現像により形成される。そして、エッチング加工は、イオンミリング法、化学薬液によるウェットエッチング等により行う。
そして、図3(c)に示すように密着層12表面に開口部13を有する側壁保護絶縁層14を形成する。ここで、側壁保護絶縁層14としてはメッキレジストのような感光性の有機絶縁体膜を用いると好適である。例えば、感光性ポリイミドから成る例えば膜厚500nm程度のメッキレジストの塗布、焼きしめを行い、その露光・現像および再焼きしめの工程を経て、極めて簡便に開口部13を有する側壁保護絶縁層14を形成することができる。なお、側壁保護絶縁層14は、上述した無機絶縁体膜の例えば化学気相成長(CVD)法による成膜と、公知のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術を用いた開口部13形成によっても容易に設けることもできる。この場合、無機絶縁体膜の膜厚は例えば100〜300nm程度でよい。
次に、図3(d)に示すように、例えばNi、Ni合金から成る金属拡散防止層15を、例えば無電解メッキ法により、開口部13で露出する接着金属層12bに接着して形成する。ここで、密着層12をメッキ給電層とした電解メッキにより金属拡散防止層15を形成するようにしてもよい。この場合、電解メッキを行うための給電用の配線として、引出し線を形成する。
続いて、図4(a)に示すように、側壁保護絶縁層14および金属拡散防止層15の全面を被覆するように、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等により、メッキ下地膜23を成膜する。ここで、メッキ下地膜23は、例えばNi、Ni合金等から成る。
次に、図4(b)に示すように、例えばスクリーン印刷法によるメッキ用のレジスト膜の形成およびそのレジスト膜のフォトリソグラフィ技術による露光・現像によって、所望のメッキ用のレジストパターン24をメッキ下地膜23上に形成する。ここで、レジストパターン24は、上記導体層17に対応する開口パターンを有し、その膜厚が例えば10〜35μm程度になる。なお、これ等の開口パターンは、フォトリソグラフィにおいて周知である異なる層間の位置合わせ手法により、金属拡散防止層15のパターンに位置合わせして形成される。
そして、これ等のレジストパターン24の開口内のメッキ下地膜23上に電解メッキにより、例えば膜厚が20μm程度の導体層17を成長させる。ここで、導体層17は、Cu、Cu合金、Au、Au合金、あるいは所要の弾性特性をもつ金属材料例えばNi合金から成り、電解メッキの給電層として機能するメッキ下地膜23上に積層して形成される。
次に、上記レジストパターン24をアセトン、NMP(N−メチルピロリドン)等の溶剤を用いて除去する。そして、イオンミリング、ウェットエッチング法等により、導体層17をエッチングマスクにしてメッキ下地層23をエッチングし図1に説明した配線構造体18あるいは検査用プローブのリード20を形成する。
なお、検査用プローブ19の製造では、側壁保護絶縁層14は、基板11上に配設されたリード20に設けられ、その先端部20aの領域には形成しないのが好ましい。ここでは、複数の検査用プローブ(例えば8個)用のリード20が、一枚の基板に一括して作製される。そして、その後の工程で、ダイシング、サンドブラスト、レーザ加工等により、一枚の基板は8個の検査用プローブに分割され切り取られ外形加工等が施されて、図2に示した検査用プローブ19になる。
最後に、図示しないが、リード20の基端部20bに、はんだ、ACF、バンプ等の接合部を介して例えばフレキシブル配線板に接続し、通電検査装置に電気的につながるようにする。このようにして、本実施形態の検査用プローブが完成する。
次に、本実施形態の変形例について図5ないし図7を参照して説明する。図5および図6は配線構造体18の種々の変形例を示す断面図であり、図7は検査用プローブの平面図とその一部拡大断面図である。以下、図1の場合と異なるところを主に説明する。
図5(a)の場合では、導電性の密着層12、その側壁保護絶縁層14および金属拡散防止層15は図1の場合と同一構造であり、メッキ下地層16および導体層17の配線幅が小さくなっている。そして、図5(b)では、金属拡散防止層15の配線幅も同様に小さくなっている。更に、図5(c)では、金属拡散防止層15はその線幅が側壁保護絶縁層14の開口部13と同じ程度に小さくなっている。また、図6(a)の場合には、金属拡散防止層15、メッキ下地層16および導体層17の配線幅が側壁保護絶縁層14の開口部13と同じ程度に小さくなっている。そして、図6(b)の場合には、密着層12が2つ以上に分割され、側壁保護絶縁層14においてそれぞれに設けられた開口部13を通して接続する金属拡散防止層15が形成されている。このような金属拡散防止層15上にメッキ下地層16および導体層17が積層して形成されている。
図7の場合では、被覆絶縁層25が、図7(b)に拡大して示す配線構造体18から成るリード20の先端部20aおよび基端部20bを除き、それ等の上面および側面を被覆して、検査用プローブ19の基板11表面に形成されている。ここで、被覆絶縁層25としては基板11との密着性のよい無機絶縁体膜がよく、例えばSiO膜、SiON膜あるいはSiN膜が挙げられる。あるいは、非導電性フィルム(NCF;Non-Conductive Film)等のような接着用の有機絶縁体膜であっても被覆絶縁層25として適用される。ここで、これ等の絶縁体膜は5μm以下の膜厚が好ましい。
無機絶縁体膜から成る被覆絶縁層25の形成では、上記無機絶縁体膜が、上記実施形態で説明したのと同様な製造方法で検査用プローブを形成した後に、例えば、マスク治具(シャドウマスク)を用いたスパッタリングにより、基板11表面上から、配線構造体18から成るリード20の先端部20aおよび基端部20bを除く領域に選択的に成膜される。ここで、被覆絶縁層25がSiON膜の場合、そのSi、O、Nの組成は種々に変えることができる。そして、基板11、側壁保護絶縁層14あるいはリード20との熱膨張係数の差を低減させ、クラック発生が生じないようにする。
図7に示した変形例では、上記実施形態で説明したのと同じ効果が奏される上に、更に、リード20間の短絡防止および基板11表面でのリード20の剥離防止が強化される。これ等の強化効果は、検査用プローブ19における接触子の微小ピッチ化あるいは多ピン化において顕著に現れてくる。
上記実施形態においては、リード20および接触子であるその先端部20aの導電体材料としてNi系金属材料の他に、例えばロジウム(Rh)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、Cu合金等を使用してもよい。また、被覆金属層として、耐酸化性の金属材料あるいは酸化しても導電性を有する金属材料からなり、検体の端子用電極に対する耐磨耗性を有するものが選択されてもよい。例えばAu−Co合金のようなAu合金の他に、Rh、Pt、Pd、Ru、Ir、Cu合金等が使用できる。
また、上記実施形態において、側壁保護絶縁層14は、細長導電層となる配線構造体18あるいはリード20の長手方向の所々に形成される構造になっていても構わない。そして、この側壁保護絶縁層14は基板11を部分的に被覆して形成されてもよい。特に検査用プローブ19の場合では、上述したようにリード20の先端部20aには上記側壁保護絶縁層14を設けないようにする。
本実施形態では、上述したように配線構造体18あるいはリード20の導電性の密着層12は、その縁端および側壁が側壁保護絶縁層14により被覆され保護される構造になる。このため、従来技術で説明したような密着層12にサイドエッチング部が形成されることが皆無になり、配線構造体18あるいはリード20が微小ピッチになってもその剥離の虞は解消される。そして、検査用プローブの多数回使用において上記界面での剥がれが生じることがなくなる。また、配線構造体18あるいはリード20の基板11上における配設/配置が高精度にできることから、例えば検査用プローブ19は、通電検査における検体の端子用電極の微小ピッチ化および多ピン化に簡便に対応できるようになる。
また、本実施形態では、側壁保護絶縁層14が密着層12の縁端に沿い被覆し保護していることから、プローブ製造工程において、配線構造体18あるいはリード20の剥がれの心配をすることなく、基板11の外形加工後の切削屑の除去あるいは接着剤等の付着物を除去するための超音波洗浄を実施することができるため、切削屑や付着物の無い検査用プローブ製品を製造が可能となる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態にかかる配線構造体、検査用プローブ、およびその製造方法ついて図8ないし図11を参照して説明する。図8は本実施形態にかかる配線構造体の一例を示す一部拡大断面図である。図9は配線構造体あるいは検査用プローブのリードの製造方法の一例を示す製造工程別断面図である。図10および図11は上記配線構造体のいくつかの変形例を示す断面図である。
第2の実施形態にかかる配線構造体18では、図8に示すように、第1の実施形態で説明したように基板11上に、例えば細長配線パターン状の開口部26を有する側壁保護絶縁層27が形成され、導電性の密着層12が上記開口部26内に埋め込まれるように配線パターン状に配設されている。ここで、側壁保護絶縁層27は基板11との密着性に優れた絶縁膜により成る。
そして、第1の実施形態で説明したのと同様に、側壁保護絶縁層14の上記開口部26を通して密着層12に接続する金属拡散防止層15、その上部のメッキ下地層16および導体層17が形成されている。このようにして、密着層12、金属拡散防止層15、メッキ下地層16および導体層17から成る積層構造の配線構造体18が配線パターン状に形成される。なお、第2の実施形態の配線構造体18に使用される各部の材料は第1の実施形態で説明したのと同じである。
また、上記配線構造体18において、第1の実施形態で説明したように、導電性の密着層12の密着金属層12aと導体層17を基本構成とし、その間に種々の機能を有する金属中間層が介装された構造にすることができる。なお、第2の実施形態では、側壁保護絶縁層27の開口部26に密着層12が埋め込まれることから、その上方の平坦性が第1の実施形態の場合よりも向上する。このために、この場合には金属拡散防止層15を省くことが容易になる。そして、この配線構造体18は、回路配線基板のような電子部品の基板上の導線、あるいは検査用プローブ19のリード20に適宜に適用される。
次に、第2の実施形態にかかる配線構造体18あるいは検査用プローブのリードの製造方法ついて説明する。
図9(a)に示すように、例えばセラミックス製の基板11表面上に、例えば200〜400nm程度の所定の膜厚のSiO膜等の無機絶縁体膜をCVD法により成膜する。そして、この無機絶縁体膜から成り開口部26を有する側壁保護絶縁層27を、公知のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術を用いたフォトレジストから成るエッチングマスク28のパターン転写により形成する。
次に、いわゆるリフトオフ法により密着層12を形成するために、図9(b)に示すように、異方性スパッタリング法により例えば膜厚が100nm程度のTi、CrあるいはTi−Cr合金等から成る密着金属膜21、例えば膜厚が150nm程度のNi合金あるいはCu等から成る接着金属膜22を順次に成膜し積層させる。ここで、密着金属膜21および接着金属膜22は、開口部26の露出する基板11表面と有機材料から成るエッチングマスク28表面に形成される。上記密着金属膜21および接着金属膜22の全厚さは開口部26の深さよりも大きくなっても構わない。
次に、上記エッチングマスク28を溶剤により除去すると共に、その表面の密着金属膜21および接着金属膜22をリフトオフし除去する。このようなリフトオフ法により、図9(c)に示すように、側壁保護絶縁層27の開口部26に埋め込むように密着層12を形成する。ここで、密着層12が開口部26を完全に充填してもよいし、少し上方に突き出るようになも構わない。
次に、図9(d)に示すように、第1の実施形態で説明したのと同様に、金属拡散防止層15を例えば無電解メッキ法により、開口部26で露出する接着金属層12bに接着して形成する。この場合でも、密着層12をメッキ給電層とした電解メッキにより金属拡散防止層15を形成してもよい。
そして、図示しないが、第1の実施形態の図4で説明したのと同様にして、メッキ下地層16および導体層17を形成して図8に示したような配線構造体18が基板11上に形成される。
なお、図8に示した配線構造体18をリード20にした検査用プローブ19も第1の実施形態で説明したように製造される。
次に、第2の実施形態の変形例について図10および図11を参照して説明する。図10および図11は配線構造体の種々の変形例を示す断面図である。以下、図8の場合と異なるところを主に説明する。
図10(a)の場合では、導電性の密着層12、その側壁保護絶縁層27および金属拡散防止層15は図8の場合と同一構造であり、メッキ下地層16および導体層17の配線幅が図8の場合より小さくなっている。図10(b)では、上記メッキ下地層16および導体層17の配線幅が更に小さくなっている。そして、図10(c)では、金属拡散防止層15はその配線幅が側壁保護絶縁層27の開口部26と同じになっている。
また、図11(a)の場合には、金属拡散防止層15、メッキ下地層16および導体層17の配線幅が側壁保護絶縁層27の開口部26と同じ程度になっている。そして、図11(b)の場合には、導電性の密着層12が2つ以上に分割され、側壁保護絶縁層27においてそれぞれに設けられた開口部26を通して接続する金属拡散防止層15が形成されている。このような金属拡散防止層15上にメッキ下地層16および導体層17が積層して形成されている。そして、図11(c)の場合には、被覆絶縁層25が、側壁保護絶縁層27表面および配線構造体18の露出面を被覆するように形成されている。ここで、被覆絶縁層25は第1の実施形態で説明したような無機絶縁体膜あるいは有機絶縁体膜が使用される。
本実施形態では、側壁保護絶縁層27の開口部26に密着層12が埋め込まれることから、密着層12の上部が平坦化され易い。このために、例えば金属拡散防止層15の形成を省くことが容易になり、配線構造体18あるいは検査用プローブの製造コストを低減させることができる。そして、第1の実施形態で説明したのと同じ効果を奏することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明を限定するものでない。当業者にあっては、具体的な実施態様において本発明の技術思想および技術範囲から逸脱せずに種々の変形・変更を加えることが可能である。
例えば、検査用プローブ19はその接触子が基板11の縁端から突出しない構造になっていてもよい。但し、この場合には、リード20は適度な弾性と靭性を有する導電体材料により形成される。あるいは、検査用プローブ19の基板11が可撓性を有してもよい。
また、上記実施形態において、電解メッキにより成長させる導体層17は、レジストパターン24の開口を埋め更にその一部がレジストパターン24の上部にオーバーフローするようになってもよい。但し、この場合には、いわゆる化学的機械研磨(CMP)により、導体層17が選択的に研磨できるスラリーを用い、上記導体層17を開口に充填させるように上記オーバーフロー分を研磨除去する。
また、第2の実施形態においても、側壁保護絶縁層27は、細長導電層となる配線構造体18あるいはリード20の長手方向の所々に形成される構造になっていても構わない。そして、この側壁保護絶縁層27は基板11を部分的に被覆して形成されてもよい。そして、配線構造体18を検査用プローブ19のリード20とする場合には、上述したようにリード20の先端部20aに側壁保護絶縁層27を設けないようにすることができる。
本発明の第1の実施形態にかかる配線構造体の一例を示す一部拡大断面図である。 本発明の第1の実施形態にかかる配線構造体をリードに用いた検査用プローブの平面図である。 本発明の第1の実施形態にかかる配線構造体あるいは検査用プローブのリードの製造方法の一例を示す製造工程別断面図である。 図3に続く配線構造体あるいは検査用プローブのリードの製造方法を示す製造工程別断面図である。 本発明の第1の実施形態にかかる配線構造体のいくつかの変形例を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態にかかる配線構造体の別の変形例を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態にかかる検査用プローブの変形例を示し、(a)は平面図、(b)は断面図である。 本発明の第2の実施形態にかかる配線構造体の一例を示す一部拡大断面図である。 本発明の第2の実施形態にかかる配線構造体あるいは検査用プローブのリードの製造方法の一例を示す製造工程別断面図である。 本発明の第2の実施形態にかかる配線構造体のいくつかの変形例を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態にかかる配線構造体の別の変形例を示す断面図である。 従来技術における検査用プローブの説明に供する図であり、(a)検査用プローブの平面図、(b)は検査用プローブのリードの拡大断面図である。 別の従来技術における検査用プローブのリードの拡大断面図である。
符号の説明
11…基板,12…密着層,12a…密着金属層,12b…接着金属層,13,26…開口部,14,27…側壁保護絶縁層,15…金属拡散防止層,16…メッキ下地層,17…導体層,18…配線構造体,19…検査用プローブ,20…リード,20a…先端部,20b…基端部,21…密着金属膜,22…接着金属膜,23…メッキ下地膜,24…レジストパターン,25…被覆絶縁層,28…エッチングマスク

Claims (1)

  1. 絶縁性の基板と、前記基板表面に形成される導電性の密着層と前記密着層の上部に積層される導電層とからなり前記基板上に複数配設されるリードと、前記リードのそれぞれから延びて前記基板の縁端から突出する接触子とを有する検査用プローブであって、
    前記基板の表面を被覆して形成され前記密着層をその縁端に沿って被覆し前記密着層の上面に開口部を備えて前記開口部を通して前記導体層が積層される側壁保護絶縁層と、
    前記密着層あるいは前記導体層を構成している金属の拡散を防止する金属中間層として前記密着層と前記導体層の間に形成される金属拡散防止層と、
    前記リードおよび前記側壁保護絶縁層を被覆する被覆絶縁層とを具備し、
    検体の通電検査をするために前記接触子が前記検体の電極に弾性接触する検査用プローブ。
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