本発明は、ハード乱数を発生させる乱数発生手段と、乱数発生手段からハード乱数を取得する乱数取得手段と、乱数取得手段で取得されたハード乱数を判定する乱数判定手段とを有し主要な遊技制御を司るメイン制御装置と、メイン制御装置から種々の指令を受けて演出制御を司るサブ制御装置とを備えたパチンコ遊技機に適用され、前記ハード乱数の異常を検出する乱数異常検出手段をメイン制御装置とサブ制御装置とに亙って設けたものである。以下、発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
図1、図2に示すように、パチンコ遊技機1には、遊技ホールに取付けられる外枠に開閉枠2が開閉自在に装着され、開閉枠2に開閉扉3が開閉自在に装着されている。開閉枠2に遊技盤4が装着され、その遊技盤4の前面側に遊技領域4aが形成されている。開閉扉3に窓3aが形成され、その窓3aに透明板3bが装着され、その透明板3bにより遊技領域4aの前側が覆われている。
開閉扉3には、窓3aの下側に遊技球を貯留する貯留皿5が設けられ、その貯留皿5に演出ボタン装置6が装着されている。また、開閉扉3には、貯留皿5の右下側に発射ハンドル7が装着され、その発射ハンドル7が回動操作されると、貯留皿5から発射位置に導入された遊技球が発射され、貯留皿5に複数の遊技球が存在する場合には、複数の遊技球が約0.6秒間隔で連続発射される。発射された遊技球はガイドレール8で案内され遊技領域4aの上部に投入される。
図2、図3に示すように、遊技盤4には、多数の障害釘(図示略)の他、第1始動口10、第2始動口装置11、ゲート12、大入賞口装置13、複数の一般入賞口14、センタ役物15、画像表示器16、可動役物装置17、遊技表示盤19が図2に示す配置で装着され、遊技盤4の裏面側に遊技制御装置20が装着されている。
第1始動口10には入賞した遊技球を検出する第1始動口スイッチ10aが付設され、ゲート12には通過した遊技球を検出するゲートSW12aが付設され、各一般入賞口14には入賞した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ14aが付設されている。尚、「SW」はスイッチを意味する。
第2始動口装置11は、第2始動口11a、第2始動口11aを開閉する開閉部材11b、第2始動口11aに入賞した遊技球を検出する第2始動口SW11c、開閉部材11bを開閉駆動する第2始動口SOL11dを有する。尚、「SOL」はソレノイドアクチュエータを意味する。開閉部材11bは、閉位置で第2始動口11aへの遊技球の入賞を不可能にし、開位置で第2始動口11aへの遊技球の入賞を可能にする。
大入賞口装置13は、大入賞口13a、大入賞口13aを開閉する開閉部材13b、大入賞口13aに入賞した遊技球を検出する大入賞口SW13c、開閉部材13bを開閉駆動する大入賞口SOL13dを有する。開閉部材13bは、閉位置で大入賞口13aへの遊技球の入賞を不可能にし、開位置で大入賞口13aへの遊技球の入賞を可能にする。
センタ役物15は、遊技盤4の前面よりも前方へ張出すように、遊技盤4の上部から中央部分に亙って遊技領域4aの半分以上を占めるサイズで設けられ、このセンタ役物15に画像表示器16と可動役物装置17が装着されている。
遊技表示盤19は、第1特別図柄表示器19a、第2特別図柄表示器19b、普通図柄表示器19c、第1特別図柄保留ランプ19d、第2特別図柄保留ランプ19e、普通図柄保留ランプ19fを備えている。
第1特別図柄表示器19aには、第1始動口10への遊技球の入賞に基づいて第1特別図柄が図柄変動後に停止表示され、第2特別図柄表示器19bには、第2始動口11aへの遊技球の入賞に基づいて第2特別図柄が図柄変動後に停止表示される。第1又は第2特別図柄表示器19a又は19bに大当り図柄が停止表示された場合、大当り遊技状態が発生して、大入賞口装置13が、開閉部材13bを開閉動作させ、通常は閉塞の大入賞口13aを複数ラウンドに亙って開閉させる。
普通図柄表示器19cには、ゲート12への遊技球の入賞(通過)に基づいて普通図柄が図柄変動後に停止表示される。普通図柄表示器19cに当り図柄が停止表示された場合、補助遊技が発生して、第2始動口装置11が、開閉部材11bを開閉動作させ、通常は閉塞の第2始動口11aを1又は複数回開閉させる。
第1特別図柄保留ランプ19dには、第1始動口10に入賞した遊技球の所謂第1保留数が最大で4個表示され、第2特別図柄保留ランプ19eには、第2始動口11aに入賞した遊技球の所謂第2保留数が最大で4個表示され、普通図柄保留ランプ19fには、ゲート12に入賞した遊技球の所謂普図保留数が最大で4個表示される。
発射ハンドル7を回動操作することで、遊技領域4aの上部に発射投入された遊技球は、複数の障害釘に当たって方向を変えながら落下して、入賞口10,11a,13a,14の何れかに入賞した場合、そこから遊技領域4a外へ排出され、入賞口10,11a,13a,14の何れにも入賞しなかった場合には、最終的に、遊技領域4aの下端部に形成されたアウト口9から遊技領域4a外へ排出される。
図3に示すように、遊技制御装置20は、主要な遊技制御を司るメイン制御装置21と、メイン制御装置21から種々の指令を受けて演出制御を司るサブ制御装置25とを備えている。メイン制御装置21は、遊技制御基板22にCPUとROMとRAMとハード乱数発生回路とを備えて構成されている。遊技制御基板22は盤用外部情報端子基板23に接続されている。
サブ制御装置25は、払出制御基板26、演出制御基板27、画像制御基板28、ランプ制御基板29に夫々CPUとROMとRAMを備えて構成され、演出制御基板27には更にRTCを備えて構成されている。払出制御基板26は枠用外部情報端子基板24に接続されている。尚、「RTC」はリアルタイムクロックを意味する。
遊技制御基板22は、第1,第2始動口SW10a,11c、ゲートSW12a、大入賞口SW13c、一般入賞口SW14aからの球検出信号と、払出制御基板26からの制御情報を受けて、第2始動口SOL11d、大入賞口SOL13d、図柄表示器19a〜19c、図柄保留ランプ19d〜19fを制御し、払出制御基板26と演出制御基板27と盤用外部情報端子基板23に制御情報(遊技情報)を出力する。
払出制御基板26は、遊技制御基板22からの制御情報と、払出球検出SW31、球有り検出SW32、満タン検出SW33からの球検出信号を受けて、払出モータ30を制御し、入賞口10,11a,13a,14への遊技球の入賞1個について、入賞口10,11a,13a,14毎に設定された数の遊技球を貯留皿5に払出し、遊技制御基板22と枠用外部情報端子基板24に制御情報(払出情報)を出力する。
演出制御基板27は、遊技制御基板22からの制御情報と、演出ボタン装置6からのボタン操作信号を受けて、画像制御基板28に制御情報を出力し、更に、画像制御基板28からの制御情報を受けて、ランプ制御基板29に制御情報を出力する。画像制御基板28は、演出制御基板27からの制御情報を受けて、画像表示器16とスピーカ34とを制御し、演出制御基板27に制御情報を出力する。ランプ制御基板29は、演出制御基板27からの制御情報を受けて、主に画像制御基板28による制御に同期させて、枠ランプ35と盤ランプ36と可動役物装置17とを制御する。
図4に示すように、メイン制御装置21(遊技制御基板22)は、乱数発生手段40、乱数取得手段41、乱数判定手段42を備え、メイン制御装置21とサブ制御装置25(演出制御基板27)とに亙って乱数異常検出手段50が設けられている。乱数発生手段40は、遊技制御基板22のハード乱数発生回路によって構成され、乱数取得手段41と乱数判定手段42は、遊技制御基板22のCPU、ROM、RAMによって構成され、乱数異常検出手段50は、遊技制御基板22及び演出制御基板27のCPU、ROM、RAMによって構成されている。
乱数発生手段40は、大当り判定用の大当り乱数である16ビット構成のハード乱数を発生させる。この場合、ハード乱数を微小時間(0.1μs)(第1の微小時間)毎に0〜65535の範囲内でランダムに更新しつつ発生させる。つまり、乱数発生手段40で発生可能なハード乱数の全数は65536個になる。
乱数取得手段41は、乱数発生手段40からハード乱数を取得する。この場合、第1又は第2始動口10又は11aに遊技球が入賞したタイミングで、所定条件(第1又は第2保留数が4未満)が成立している場合に、乱数発生手段40からハード乱数を取得する。
乱数判定手段42は、乱数取得手段41で取得されたハード乱数を判定する。この場合、乱数取得手段41で取得された大当り乱数(ハード乱数)が予め設定された大当り特定値か否か判定する。大当り特定値は205個設定され、乱数発生手段40で発生可能な大当り乱数の全数(65536個)に対して大当り特定値の数の割合は約1/320である。つまり、約1/320の確率で大当り判定となる。尚、乱数取得手段41で取得されたハード乱数は、乱数判定手段42で順次判定され、そのため、少なくとも乱数判定手段42で判定される迄の間、RAMに一時的に記憶される。
乱数異常検出手段50は、ハード乱数の異常を検出する本案特有のもので、メイン制御装置21に設けられた乱数取得部51と乱数判定部52と乱数情報出力部53と、サブ制御装置25に設けられた異常判定部54と第1,第2記憶部55,56とを備えている。
乱数取得部51は、乱数発生手段40から複数のハード乱数を順次取得する。この場合、乱数取得手段41が乱数発生手段40からハード乱数を取得するのとは別に、微小時間(4ms)(第2の微小時間)毎に乱数発生手段40からハード乱数を取得する。4ms毎に大当り乱数を取得する場合、10万個の大当り乱数を400秒で取得可能である。
乱数判定部52は、乱数取得部51で取得された各ハード乱数(大当り乱数)が予め設定された特定値(通常遊技状態と時短遊技状態における大当り特定値)か否か判定する。乱数判定手段42で大当り判定となる確率と同様に、約1/320の確率で特定値と判定される。
乱数情報出力部53は、乱数判定部52による各ハード乱数についての判定情報を含む乱数情報をサブ制御装置25に出力する。この場合、乱数情報出力部53は、判定情報として、乱数判定部52により肯定判定された場合には肯定判定情報(肯定判定コマンド)を出力し、否定判定された場合には否定判定情報(否定判定コマンド)を出力する。
異常判定部54は、メイン制御装置21から受ける乱数情報に基づいて、乱数取得部51で取得されたハード乱数の数が所定数に達した場合に、乱数判定部52により特定値と判定されたハード乱数の数が、乱数発生手段40で発生可能なハード乱数の全数に対する特定値の数の割合に基づいて決められた設定範囲内の数か否か判定する。
言い換えれば、異常判定部54は、メイン制御装置21から受ける乱数情報に基づいて、乱数取得部51で取得されたハード乱数の数が所定数に達した場合に、その所定数に対して乱数判定部52により特定値と判定されたハード乱数の数の割合が、乱数発生手段40で発生可能なハード乱数の全数に対する特定値の数の割合に基づいて決められた設定範囲内の割合か否か判定することにもなる。
具体的に、異常判定部54は、乱数情報出力部53から肯定判定コマンド又は否定判定コマンドを受ける度に、そのコマンドから、乱数取得部51で取得された大当り乱数(ハード乱数)の乱数取得数(肯定判定コマンドと否定判定コマンドの受信総数)と、乱数判定部52により特定値と判定された大当り乱数の特定値判定数(肯定判定コマンドの受信総数)とを算出する。
そして、乱数取得部51で取得された大当り乱数の数が、乱数発生手段40で発生可能な大当り乱数の全数(65536個)以上の10万個に達した場合に、乱数判定部52により大当り特定値と判定された大当り乱数の数が、乱数発生手段40で発生可能な大当り乱数の全数(65536個)に対する特定値の数(205個)の割合(約1/320)に基づいて決められた設定範囲内の数(156(≒100000×205/65536×1/2)〜626(≒100000×205/65536×2))か否か判定する。
第1記憶部55には、乱数取得部51で取得されたハード乱数の乱数取得数が記憶され、第2記憶部56には、乱数判定部52により特定値と判定されたハード乱数の特定値判定数が記憶される。そして、異常判定部54は、第1,第2記憶部55,56の情報に基づいて前記の判定を行う。
また、サブ制御装置25は、第1記憶部55に記憶されたハード乱数の数が所定数(10万個)に達した場合、乱数取得部51によるハード乱数の取得を中止させるとともに、第1,第2記憶部55,56の情報をリセットし、その後、一定条件が成立した場合に乱数取得部51によるハード乱数の取得を開始させる。この一定条件は、具体的に、一定時間(1時間)経過したことで成立する。
また、サブ制御装置25は、異常判定部54が否定判定した場合に、報知機器58を制御してハード乱数の異常を報知する。具体的に、報知機器58は、画像表示器16、スピーカ34、枠ランプ35、盤ランプ36の少なくとも1つで構成されている。
更に、サブ制御装置25は、異常判定部54が否定判定した場合に、乱数異常情報を枠用外部情報端子基板24を介して外部のデータ処理装置であるホールコンピュータ59に出力し、ホールコンピュータ59は、サブ制御装置25から乱数異常情報を受けた場合に、ハード乱数に異常があるパチンコ遊技機1を特定し報知する。
次に、メイン制御装置21とサブ制御装置25が実行する処理をフローチャートに基づいて説明する。
先ず、図5に示すように、遊技制御基板22における微小時間(4ms)毎のタイマ割込処理では、乱数更新処理(S1)、スイッチ処理(S2)、図柄処理(S3)、電動役物処理(S4)、賞球処理(S5)、ハード乱数異常検出メイン側処理(S6)、出力処理(S7)が順次実行され、リターンする。
図6に示すように、S2の始動口SW処理では、第1始動口SW10aがオンの場合(S11;Yes )、第1保留数U1が4未満の場合に(S12;Yes )、第1保留数U1がU1+1に加算され(S13)、第1乱数(大当り乱数、大当り図柄乱数等)が取得・格納され(S14)、第1保留数増加コマンドがセットされる(S15)。S11;No或いはS12;No或いはS15の後はS16へ移行する。
次に、第2始動口SW11dがオンの場合(S16;Yes )、第2保留数U2が4未満の場合に(S17;Yes )、第2保留数U2がU2+1に加算され(S18)、第2乱数(大当り乱数、大当り図柄乱数等)が取得・格納され(S19)、第2保留数増加コマンドがセットされる(S20)。S16;No或いはS17;No或いはS20の後はリターンする。尚、S15、S20でセットされたコマンド、及び、その他のステップでセットされたコマンドについては、S7の出力処理により演出制御基板27に送信される。
図7に示すように、S3の特別図柄処理では、当り遊技フラグがON(つまり、大当り遊技中や小当り遊技中)でない場合(S31;No)、第1,第2特別図柄の両方が変動中でない場合に(S32;No)、S33へ移行する。S31;Yes の場合はリターンし、S32;Yes の場合はS42へ移行する。
次に、第2保留数U2が1以上の場合(S33;Yes )、第2保留数U2がU2−1に減算され(S34)、第2保留数U2が0の場合(S33;No)、第1保留数U1が1以上の場合に(S35;Yes )、第1保留数U1がU1−1に減算される(S36)。S34又はS36の後、客待ちフラグがOFFにされ(S37)、特別図柄判定処理(S38)が実行され、続いて、変動パターン選択処理(S39)が実行される。S35;Noの場合、客待ち設定処理(S46)が実行されて、リターンする。
図8に示すように、S38の特別図柄判定処理では、先ず、大当り乱数判定処理(S51)が実行され、ここで、図9に示す大当り乱数判定テーブルと、S34経由の場合には最も先に取得した第2保留乱数の大当り乱数とに基づいて、また、S36経由の場合には、最も先に取得した第1保留乱数の大当り乱数とに基づいて、大当りか否か判定され、大当りでない場合には、小当りか否か判定される。
図9の大当り乱数判定テーブルでは、通常遊技状態と時短遊技状態において、大当り乱数の全数(65536個)の約1/320の割合に相当する個数(205個)の大当り特定値が設定されており、確変遊技状態と潜確遊技状態において、大当り乱数の全数の約1/32の割合に相当する個数(2050個)の大当り特定値が設定されており、大当り乱数が複数の大当り特定値の何れかであるか否かで大当りか否かが判定される。
また、前記4つの遊技状態において、大当り乱数の全数の約3/320の割合に相当する個数(615個)の、大当り特定値以外の小当り特定値が設定されており、大当り乱数が複数の小当り特定値の何れかであるか否かで小当りか否かが判定される。
そして、図8に示すように、大当りの場合(S52;Yes )、S34経由の場合には、第2特別図柄として、最も先に取得した第2保留乱数の大当り図柄乱数に基づいて、また、S36を経由の場合には、第1特別図柄として、最も先に取得した第1保留乱数の大当り図柄乱数に基づいて、確変図柄、時短図柄、突確図柄、潜確図柄の5種類の大当り図柄の何れか1つが選択設定される(S54)。小当りの場合(S52;No、S55;Yes )、小当り図柄が設定され(S56)、小当りでない場合(S52;No、S55;Yes )、即ちハズレの場合、ハズレ図柄が設定される(S57)。
ここで、大当りの場合、大入賞口13aが複数ラウンドに亙って開閉する大当り遊技状態になり、その後、確変図柄と突確図柄で大当りとなった場合には確変遊技状態へ移行し、時短図柄で大当りとなった場合には時短遊技状態へ移行し、潜確図柄で大当りとなった場合には潜確遊技状態へ移行する。また、時短遊技状態への移行後、S51の大当り乱数判定処理(即ち、特別図柄の図柄変動)が100回(又は数10回)行われた後は、通常遊技状態へ移行する。尚、小当りの場合、現状の遊技状態が維持される。
図7に示すように、S39の変動パターン選択処理では、S38で設定された特別図柄の種類等から、遊技演出用に変動パターン(変動時間)が選択設定される。その後、第1又は第2特別図柄が変動開始され(S40)、S38で設定された特別図柄の種類とS39で設定された変動パターン(変動時間)の情報を含む変動開始コマンドがセットされる(S41)。尚、S42;Noの場合はリターンする。
次に、S39で設定された変動時間が経過した場合(S42;Yes )、第1又は第2特別図柄が変動停止され(S43)、ここで、S38で設定された特別図柄が第1又は第2特別図柄表示器19a又は19bに表示される。続いて、変動停止コマンドがセットされ(S44)、停止中処理(S45)が実行され、リターンする。停止中処理では、遊技状態を移行させる為の処理等が実行される。
次に、S6のハード乱数異常検出メイン側処理について、図10、図11に基づいて詳しく説明する。尚、F1は異常検出実行フラグ、F2は異常検出終了フラグ、F3は異常検出中断フラグ、Aは乱数取得数、Tは異常検出中断タイマを示し、これらは全て電源投入時に0に初期設定されるものとする。
図10に示すように、このハード乱数異常検出メイン側処理では、先ず、異常検出実行フラグF1が1か否か判定される(S61)。S61;Yes の場合、ハード乱数(大当り乱数)がハード乱数発生回路から取得され(S62)、乱数取得数AがA+1に加算される(S63)。S62においては、図6のS14又はS19でハード乱数がされたときには、そのハード乱数を使用するようにしてもよいし、別途ハード乱数を取得するようにしてもよい。次に、今回取得のハード乱数が特定値(通常遊技状態と時短遊技状態における大当り特定値)か否か判定される(S64)。
S64;Yes の場合、肯定判定コマンドがセットされ(S65)、S64;Noの場合、否定判定コマンドがセットされ(S66)。S65又はS66の後、A=X(10万個)か否か判定される(S67)。S67;Yes の場合、異常検出終了フラグF2が1にセットされ(S68)、異常検出終了コマンドがセットされ(S69)、F1,Aが共に0にリセットされ(S70)、リターンする。S67;Noの場合はリターンする。
S65、S66、S69でセットされたコマンドは、S7の出力処理において、サブ制御装置25へ出力される。一方、S61;Noの場合、乱数異常検出開始判定処理(S71)が実行され、リターンする。
図11に示すように、S71の乱数異常検出開始判定処理では、先ず、異常検出中断フラグF3が1か否か判定される(S81)。S81;Noの場合、異常検出終了フラグF2が1か否か判定される(S82)。S82;Yes の場合、F2が0にリセットされ(S83)、異常検出中断フラグF3が1にセットされ(S84)、続いて、異常検出中断タイマTが計時開始され(S85)、リターンする。
一方、S81;Yes の場合、T≧Tc(1時間)か否か検出される(S86)。尚、Tcについては適宜設定(変更)可能である。S86;Yes の場合、異常検出中断タイマTが0にリセットされ(S87)、異常検出中断フラグF3が0にリセットされる(S88)。S86;Noの場合はリターンする。S82;No或いはS88の後、異常検出実行フラグF1が1にセットされ(S89)、その後、特定値設定処理(S90)が実行される。
S90の特定値設定処理では、特定値として大当り特定値を設定する処理が行われる。本実施例では、この特定値設定処理では毎回、特定値として通常遊技状態と時短遊技状態における大当り特定値を設定するため、S90を省略可能である。
図10、図11に示すフローチャートから判るように、電源投入時は、先ず、S6のスタートからS61;No→S71→S81;No→S82;Noとなるため、S89において、異常検出実行フラグF1が1にセットされ、故に、次のS6のスタートからはS61;Yes →S62→・・・となるため、電源投入後直ぐに、ハード乱数の異常判定を行うために、ハード乱数を取得判定する処理等が実行される。
そして、一旦S61;Yes になると、乱数取得数Aが10万個になるまで、4ms毎に、S6のスタートからS61〜S67が繰返し実行され、そして、異常検出実行フラグF1が1にセットされてから400秒経過して、乱数取得数Aが10万個に達すると、S67;Yes となって、S68において、異常検出終了フラグF2が1にセットされ、S70において、異常検出実行フラグF1が0にリセットされる。
故に、次のS6のスタートからS61;No→S71→S81;No→S82;Yes →・・・となり、S83において、異常検出終了フラグF2が0にリセットされ、S84において、異常検出中断フラグF3が1にセットされ、S85において、異常検出中断タイマTが計時開始される。
故に、更に次のS6のスタートからはS61;No→S71→S81;Yes →・・・となり、異常検出中断タイマTが1時間になるまで、ハード乱数を取得判定する処理等が中断され、S61;No→S71→S81;Yes →S86;Noが繰返し実行される。そして、異常検出中断タイマTが1時間になると、S89において、異常検出実行フラグF1が1にセットされ、故に、次のS6のスタートからはS61;Yes →S62→・・・となるため、再度、ハード乱数を取得判定する処理等が実行される。
尚、図10に示すハード乱数取得判定処理の実行中に、遊技球が始動口10,11aに入賞した場合、この実遊技におけるハード乱数の取得判定処理は行われるが、その際、この実遊技におけるハード乱数取得判定処理と、ハード乱数異常検出処理とは相互に干渉を受けることなく並行して実行される。
次に、図12に示すように、演出制御基板27における微小時間(4ms)毎のタイマ割込処理では、コマンド受信処理(S101)、演出ボタン処理(S102)、ハード乱数異常検出サブ側処理(S103)、コマンド送信処理(S104)が順次実行され、リターンする。
図13に示すように、S101のコマンド受信処理では、保留数増加コマンドを受信した場合(S111;Yes )、保留数加算処理(S112)が実行されて、保留数コマンドがセットされる(S113)。変動開始コマンドを受信した場合(S114;Yes )、演出選択処理(S115)が実行される。変動停止コマンドを受信した場合(S116;Yes )、変動演出終了中処理(S117)が実行される。オープニングコマンドを受信した場合(S118;Yes )、当り演出選択処理(S119)が実行される。エンディングコマンドを受信した場合(S120;Yes )、エンディング演出選択処理(S121)が実行される。最後に、客待ちコマンド受信処理(S122)が実行され、リターンする。
次に、S103のハード乱数異常検出サブ側処理について、図14に基づいて詳しく説明する。尚、Bは特定値判定数、Cは乱数取得数を示し、これらは電源投入時に0に初期設定されるものとする。
図14に示すように、このハード乱数異常検出サブ側処理では、先ず、メイン制御装置21から肯定判定コマンドを受信したか否か判定される(S131)。S131;Yes の場合、特定値判定数BがB+1に加算され(S132)、続いて、乱数取得数CがC+1に加算される(S133)。一方、S131;Noの場合、メイン制御装置21から否定判定コマンドを受信したか否か判定される(S134)。S134;Yes の場合、乱数取得数CのみがC+1に加算される(S133)。
S133の後又はS134;Noの場合、メイン制御装置21から異常検出終了コマンドを受信したか否か判定される(S135)。S135;Noの場合はリターンし、S135;Yes の場合、C=X(10万個)か否か判定される(S136)。S136;Yes の場合、Y(156個)≦B≦Z(626個)か否か判定され(S137)、S137;Noの場合、乱数異常報知コマンドがセットされる(S138)。S137;Yes 又はS138の後、B,Cが共に0にリセットされ(S139)、リターンする。
S138でセットされた乱数異常報知コマンドは、S104のコマンド送信処理において、画像制御基板28とランプ制御基板29の少なくとも一方とホールコンピュータ59に送信される。画像制御基板28が乱数異常報知コマンドを受けた場合、画像表示器16に乱数異常を示す表示(例えば、画面の一部に「乱数異常有り」の表示)を行わせ、ランプ制御基板29が乱数異常報知コマンドを受けた場合、枠ランプ35や盤ランプ36に乱数異常を示す点灯(例えば、遊技演出とは異なる特殊な点滅)を行わせる。
一方、S136;Noの場合、エラー処理(S140)が実行され、リターンする。S136;Noの場合にエラー処理とするのは、ハード乱数異常検出のメイン側処理とサブ側処理が整合しないため、つまり、メイン側処理で算出のAとサブ側処理で算出のCとが一致しないためであり、そこで、エラー処理として、異常判定が正常に行われないことが防止される。尚、S140のエラー処理では、例えば、画像表示器16を用いて、そのエラーの旨を表示させてもよい。尚、S136とS140を省略してもよい。つまり、S133の後又はS134;Noの場合、C=X(10万個)か否か判定され(S136)、S136;Yes の場合はS137へ移行し、S136;Noの場合はリターンする。
このパチンコ遊技機1によれば次の効果を奏する。
メイン制御装置21とサブ制御装置25とに亙ってハード乱数の異常を検出する乱数異常検出手段50を設け、その乱数異常検出手段50が、メイン制御装置21に設けられた乱数取得部51と乱数判定部52と乱数情報出力部53と、サブ制御装置25に設けられた異常判定部54とを有し、異常判定部54が、乱数判定部52による各ハード乱数についての判定情報を含む乱数情報に基づいて、乱数取得部51で取得されたハード乱数の数が所定数に達した場合に、乱数判定部52により特定値と判定されたハード乱数の数が、乱数発生手段40で発生可能なハード乱数の全数に対する特定値の数の割合に基づいて決められた設定範囲内の数か否か判定する。
つまり、乱数発生手段40で発生可能なハード乱数の全数に対する特定値の数の割合を基に、実際に取得されたハード乱数の数と特定値と判定された数から、ハード乱数に異常があるか否かを検出して、パチンコ遊技機1の本来のハード乱数発生回路を含む性能が維持されているか否か検証することができる。ハード乱数に異常がある場合、乱数発生手段40(ハード乱数発生回路)の故障や通信線の断線、更に不正があること等を想定して、パチンコ遊技機1の本来の性能がでるように改善を図ることができる。
乱数情報出力部53は、判定情報として、乱数判定部52により肯定判定された場合には肯定判定情報を出力し、否定判定された場合には否定判定情報を出力するので、サブ制御装置25が、乱数取得部51で取得されたハード乱数の数と、乱数判定部52で特定値と判定されたハード乱数の数とを正確に得て、異常判定部54での判定を確実に実行することができる。
乱数異常検出手段50は、乱数取得部51で取得されたハード乱数の数を記憶する第1記憶部55と、乱数判定部52により特定値と判定されたハード乱数の数を記憶する第2記憶部56とをサブ制御装置25に設け、異常判定部54は、第1,第2記憶部55,56の情報に基づいて判定するので、乱数取得部51で取得されたハード乱数の数が所定数に達した場合に、乱数判定部52により特定値と判定されたハード乱数の数が前記設定範囲内の数か否かを確実に整然と処理し判定することができる。
第1記憶部55に記憶されたハード乱数の数が所定数に達した場合、乱数取得部51によるハード乱数の取得を中止させるとともに、第1,第2記憶部55,56の情報をリセットし、その後、一定条件が成立した場合に乱数取得部51によるハード乱数の取得を開始させるので、ハード乱数の取得判定及びその後の異常判定を連続的に実行するのではなく、一定条件の成立毎に断続的に実行し、ハード乱数に異常があるか否かを定期的にチェックすることができる。
サブ制御装置25は、異常判定部54が否定判定した場合に、報知機器58を制御してハード乱数の異常を報知するので、パチンコ遊技機1に付設の報知機器58を用いてハード乱数の異常を報知することができる。また、サブ制御装置25は、異常判定部54が否定判定した場合に、乱数異常情報を外部のホールコンピュータ59に出力するので、遊技ホールに設置のホールコンピュータ59を用いて、ハード乱数に異常があるパチンコ遊技機1を特定し報知することができる。
メイン制御装置21に、乱数異常検出手段50の乱数取得部51と乱数判定部52と乱数情報出力部53を設け、サブ制御装置25に異常判定部54を設けたので、これら51〜54を全てメイン制御装置21に設けた場合と比べて、メイン制御装置21の負荷を分散し低減することができる。
ここで、サブ制御装置25において、異常判定部54が否定判定した場合に、報知機器58を制御してハード乱数の異常を報知する処理を省略してもよい。これにより、サブ制御装置25の負荷増大を抑制することができ、更に、報知機器58でハード乱数の異常を報知することで遊技者に不安を抱かせるという要因を排除することができる。或いは、サブ制御装置25において、異常判定部54が否定判定した場合に、乱数異常報知コマンドをホールコンピュータ59に出力する処理を省略することも可能である。
乱数発生手段40は、大当り判定用のハード乱数を発生させるので、この大当り判定用のハード乱数に異常がある場合、遊技者又は遊技ホールに不利益が生じるが、この大当り判定用のハード乱数の異常を検出して、遊技者又は遊技ホールに不利益が生じることを防止することができる。そして、特定値は、乱数判定手段42で判定された場合には大当り判定となる大当り特定値(通常遊技状態と時短遊技状態における大当り特定値)であるので、パチンコ遊技機1の本来の大当り確率が維持されているか検証することができる。
乱数取得部51は、微小時間(4ms)毎に乱数発生手段40からハード乱数を取得し、所定数が乱数発生手段40で発生可能なハード乱数の全数(65535個)以上の数(10万個)であるので、異常判定部54によるハード乱数に異常があるか否かの判定を、迅速に且つ精度良く実施することができる。
次に、実施例1を部分的に変更した以下の実施例について説明する。尚、実施例1と実質的に同じものについては説明を省略する。