JP5120883B2 - ナノギャップ素子の駆動方法及びナノギャップ素子を備える記憶装置 - Google Patents
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具体的には、例えば、酸化シリコンと金という安定な材料からなり、傾斜蒸着という簡便な製造方法により製造され、スイッチング動作を安定的に繰り返し行うことができるスイッチング素子が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、抵抗状態が“高”と“低”の2つでは、1素子あたり2値の情報(1ビットの情報)しか記憶することができない。
また、例えば、第1導電型の半導体基板において第2導電型のソース領域及びドレイン領域を設けると共に、基板上に絶縁膜を設け、絶縁膜上にコントロールゲート部を設け、絶縁膜中にフローティングゲート部を設けたフローティングゲート型半導体メモリに、2値以上8値以下の多値情報を記憶させる方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、例えば、基板と、基板の表面に設けられ半導体のチャネル形成領域と、チャネル形成領域を挟んで基板表面に形成され、動作時にソース又はドレインとなる第1及び第2不純物領域と、チャネル形成領域上に積層された複数の膜からなるゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、チャネル形成領域に対向した面内及び膜厚方向に離散化されてゲート絶縁膜内に形成され、動作時にホットエレクトロンが主に注入される電荷蓄積手段と、を有する不揮発性半導体記憶装置に、2ビット以上の多値情報を記憶させる方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
また、例えば、基板上に積層されて形成され、強磁性トンネル接合素子をそれぞれ有する第1及び第2のメモリエレメントと、第1及び第2のメモリエレメントの間に配置され、これらの第1及び第2のメモリエレメントの情報書換えのために共有される第1の電流印加ラインと、第1のメモリエレメントに対して第2のメモリエレメントとは反対側に配置され、第1のメモリエレメントの情報書換えのために用いられる第2の電流印加ラインと、第2のメモリエレメントに対して第1のメモリエレメントとは反対側に配置され、第2のメモリエレメントの情報書換えのために用いられる第3の電流印加ラインと、を含む強磁性トンネル接合素子を用いた記憶装置に、2ビットの多値情報を記憶させる方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
絶縁性基板と、前記絶縁性基板に設けられた第1電極及び第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、前記第1電極と前記第2電極との間への所定電圧の印加により抵抗状態が切り替わるナノメートルオーダーの間隙を有する電極間間隙部と、を有するナノギャップ素子の駆動方法において、
前記ナノギャップ素子の抵抗状態は、3つ以上に区分され、
前記第1電極と前記第2電極との間に、各抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加する印加ステップを備え、
前記印加ステップは、現在の抵抗状態である印加前抵抗状態と、目的とする抵抗状態である目的抵抗状態と、の間に他の抵抗状態が1つ以上存在する場合には、当該他の抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを電圧値の大きさ順に印加した後、当該目的抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加することを特徴とする。
請求項1に記載のナノギャップ素子の駆動方法において、
前記印加前抵抗状態が、前記目的抵抗状態よりも高い場合、
前記印加ステップで前記目的抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加した後、前記ナノギャップ素子の抵抗状態を判定する判定ステップと、
前記判定ステップで判定された前記ナノギャップ素子の抵抗状態が前記目的抵抗状態よりも低い場合には、前記目的抵抗状態に対応する電圧値よりも大きい電圧値の電圧パルスを印加し、その後、当該目的抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加するとともに、前記判定ステップで判定された前記ナノギャップ素子の抵抗状態が前記目的抵抗状態よりも高い場合には、前記印加前抵抗状態に対応する電圧値と当該目的抵抗状態に対応する電圧値との間の電圧値の電圧パルスを印加し、その後、当該目的抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加する第2印加ステップと、
を備え、
前記判定ステップで判定された前記ナノギャップ素子の抵抗状態が前記目的抵抗状態になるまで、前記判定ステップ及び前記第2印加ステップを繰り返して行うことを特徴とする。
請求項1に記載のナノギャップ素子の駆動方法において、
前記印加前抵抗状態が、前記目的抵抗状態よりも低い場合、
前記印加ステップで前記目的抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加した後、前記ナノギャップ素子の抵抗状態を判定する判定ステップと、
前記判定ステップで判定された前記ナノギャップ素子の抵抗状態が前記目的抵抗状態よりも低い場合には、当該目的抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加するとともに、前記判定ステップで判定された前記ナノギャップ素子の抵抗状態が前記目的抵抗状態よりも高い場合には、前記目的抵抗状態に対応する電圧値よりも小さい電圧値の電圧パルスを印加し、その後、当該目的抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加する第2印加ステップと、
を備え、
前記判定ステップで判定された前記ナノギャップ素子の抵抗状態が、前記目的とする抵抗状態になるまで、前記判定ステップ及び前記第2印加ステップを繰り返して行うことを特徴とする。
絶縁性基板と、前記絶縁性基板に設けられた第1電極及び第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、前記第1電極と前記第2電極との間への所定電圧の印加により抵抗状態が切り替わるナノメートルオーダーの間隙を有する電極間間隙部と、を有するナノギャップ素子を備える記憶装置において、
前記ナノギャップ素子の抵抗状態は、3つ以上に区分され、
前記第1電極と前記第2電極との間に、各抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加する印加手段を備え、
前記印加手段は、現在の抵抗状態である印加前抵抗状態と、目的とする抵抗状態である目的抵抗状態と、の間に他の抵抗状態が1つ以上存在する場合には、当該他の抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを電圧値の大きさ順に印加した後、当該目的抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加することを特徴とする。
また、印加前抵抗状態と目的抵抗状態との間に他の抵抗状態が1つ以上存在する場合には、印加する電圧パルスの電圧値を段階的に大きくしたり小さくしたりすることによって、抵抗状態が切り替わるきっかけを段階的に与えることができるため、ナノギャップ素子の抵抗状態を各抵抗状態へと確実に切り替えることができる。
したがって、ナノギャップ素子に3値以上の多値情報を好適に記憶させることができる。
まず、記憶装置1000の構成について、図1〜図3を参照して説明する。
記憶装置1000は、複数のメモリ素子をアレイ状に配置したメモリ素子アレイを備えた、データの記憶を行う装置である。ここで、本発明の記憶装置1000においては、メモリ素子は、ナノギャップ素子10であり、メモリ素子アレイは、ナノギャップ素子アレイ100である。
ナノギャップ素子アレイ100は、例えば、複数のナノギャップ素子10をアレイ状(例えば、2次元アレイ状)に配置した高密度メモリである。
ナノギャップ素子10は、例えば、ナノギャップ電極間(電極間間隙部4の間隙)の抵抗状態を切り替えて、データの記憶を行うメモリ素子である。
ここで、ナノギャップ素子10の抵抗状態は、ナノギャップ素子10に印加する電圧パルスの電圧値(波高値)の大きさに応じて、3つ以上に区分される。すなわち、ナノギャップ素子10の抵抗状態は、ナノギャップ素子10に印加する電圧パルスの電圧値の大きさに応じて、例えば、図4に示すように、「第1抵抗状態」、「第2抵抗状態」、…、「第n抵抗状態(n=3,4,5,…)」に区分される。
絶縁性基板1の構造及び材質は、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、絶縁性基板1の表面の形状は、平面であっても良いし、凹凸を有していても良い。また、絶縁性基板1は、例えば、Si等の半導体基板の表面に酸化膜等を設けたものであっても良いし、基板そのものが絶縁性とされたものであっても良い。
絶縁性基板1の材質としては、例えば、ガラス、酸化珪素(SiO2)などの酸化物、窒化珪素(SiN)などの窒化物等が好ましく、このうち、酸化珪素(SiO2)が、第1電極2及び第2電極3との密着性と、その製造における自由度と、が大きい点で好適となっている。
第1電極2の形状は、特に限定されるものではなく、適宜任意に変更することができる。
第1電極2の材質は、特に限定されるものではなく、例えば、金、銀、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウム、コバルト、クロム、ロジウム、銅、タングステン、タンタル、カーボン、及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。ここで、第1電極2は、絶縁性基板1との接着性を強化するために、例えば、異なる金属を2層以上重ねて用いても良い。具体的には、例えば、第1電極2は、クロム及び金の積層(多層)構造としても良い。
第2電極3の形状は、特に限定されるものではなく、適宜任意に変更することができる。
第2電極3の材質は、特に限定されるものではなく、例えば、金、銀、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウム、コバルト、クロム、ロジウム、銅、タングステン、タンタル、カーボン、及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。ここで、第2電極3は、絶縁性基板1との接着性を強化するために、例えば、異なる金属を2層以上重ねて用いても良い。具体的には、例えば、第2電極3は、クロム及び金の積層(多層)構造としても良い。
具体的には、電極間間隙部4は、例えば、第1電極2と第2電極3との間への所定電圧の印加により抵抗状態が切り替わるナノメートルオーダーの間隙を有するものである。すなわち、第1電極2と第2電極3との間(ナノギャップ電極間)の距離(間隔)Gは、ナノメートルオーダーとなるよう設定されている。
また、第1電極2と第2電極3との間には、例えば、当該第1電極2と第2電極3の構成材料などからなる島部分(中州部分)が形成されていても良い。この場合には、例えば、第1電極2と島部分との間、第2電極3と島部分との間に所定の間隙(電極間間隙部4の間隙)が形成されて、第1電極2と第2電極3とが短絡していなければ良い。
電圧印加部200は、例えば、ナノギャップ素子アレイ100が有する複数のナノギャップ素子10と、制御部400と、などに接続されている。
電圧印加部200は、例えば、印加手段として、制御部400から入力される制御信号に従って、ナノギャップ素子10の第1電極2と第2電極3との間に電圧(電圧パルス)を印加することによって、ナノギャップ素子10にデータを書き込んだり、ナノギャップ素子10からデータを消去したりする。
読み出し部300は、例えば、ナノギャップ素子アレイ100が有する複数のナノギャップ素子10と、制御部400と、などに接続されている。
読み出し部300は、例えば、制御部400から入力される制御信号に従って、ナノギャップ素子10からデータを読み出して、当該読み出し結果を制御部400に出力する。
制御部400は、例えば、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)410と、RAM(Random Access Memory)420と、記憶部430と、などを備えて構成される。
ここで、所定のパルス幅としては、例えば、数ナノ秒〜数百マイクロ秒が好ましい。
なお、図5に示す「第1抵抗状態」に対応する電圧値である“12V”、「第2抵抗状態」に対応する電圧値である“10V”、「第3抵抗状態」に対応する電圧値である“8V”及び「第4抵抗状態」に対応する電圧値である“5V”は例示であり、各抵抗状態に対応する電圧値は、抵抗状態が高いほど、対応する電圧値が大きくなるよう設定されているのであれば任意である。
また、例えば、印加前抵抗状態が目的抵抗状態よりも低く、印加前抵抗状態と目的抵抗状態とが隣り合う場合、すなわち、例えば、印加前抵抗状態が「第3抵抗状態」であり、目的抵抗状態が「第2抵抗状態」である場合は、印加前抵抗状態と目的抵抗状態との間に他の抵抗状態が1つ以上存在しない場合であるため、目的抵抗状態に対応する電圧値(「第2抵抗状態」に対応する電圧値(例えば、10V))の電圧パルスを印加する。
また、例えば、印加前抵抗状態が目的抵抗状態よりも低く、印加前抵抗状態と目的抵抗状態とが隣り合わない場合、すなわち、例えば、印加前抵抗状態が「第4抵抗状態」であり、目的抵抗状態が「第1抵抗状態」である場合は、印加前抵抗状態と目的抵抗状態との間に他の抵抗状態が1つ以上存在する場合であるため、当該他の抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを電圧値の大きさ順(電圧値の小さい順)に印加した後、すなわち、「第3抵抗状態」に対応する電圧値(例えば、8V)の電圧を印加して、「第2抵抗状態」に対応する電圧値(例えば、10V)の電圧を印加した後、目的抵抗状態に対応する電圧値(「第1抵抗状態」に対応する電圧値(例えば、12V))の電圧パルスを印加する。無論、印加前抵抗状態と目的抵抗状態との間に他の抵抗状態が1つのみ存在する場合は、当該他の抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加した後、目的抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加することになる。
なお、目的抵抗状態に対応する電圧値よりも大きい電圧値の電圧パルスの印加回数は、1回であっても良いし、複数回であっても良い。当該印加回数が複数回である場合、電圧値の小さい順(例えば、10V→12Vの順)に印加すると、ナノギャップ素子10の抵抗状態を徐々に高抵抗状態側に移行させることができるため、確実性が増す。
なお、印加前抵抗状態に対応する電圧値と目的抵抗状態に対応する電圧値との間の電圧値の電圧パルスの印加回数は、1回であっても良いし、複数回であっても良い。当該印加回数が複数である場合、電圧値の大きい順に印加すると、ナノギャップ素子10の抵抗状態を徐々に低抵抗状態側に移行させることができるため、確実性が増す。
なお、ナノギャップ素子10の抵抗状態を高抵抗状態側へ切り替えるきっかけを与えるために、印加前抵抗状態に対応する電圧値(「第3抵抗状態」に対応する電圧値)と目的抵抗状態に対応する電圧値(「第2抵抗状態」に対応する電圧値)との間の電圧値(例えば、9Vなど)の電圧パルスを印加し、その後、再度、目的抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加するようにしても良い。この場合、印加前抵抗状態に対応する電圧値と目的抵抗状態に対応する電圧値との間の電圧値の電圧パルスの印加回数は、1回であっても良いし、複数回であっても良い。当該印加回数が複数である場合、電圧値の小さい順に印加すると、ナノギャップ素子10の抵抗状態を徐々に高抵抗状態側に移行させることができるため、確実性が増す。
なお、目的抵抗状態に対応する電圧値よりも小さい電圧値の電圧パルスの印加回数は、1回であっても良いし、複数回であっても良い。当該印加回数が複数回である場合、電圧値の大きい順(例えば、7V→5Vの順)に印加すると、ナノギャップ素子10の抵抗状態を徐々に低抵抗状態側に移行させることができるため、確実性が増す。
記憶装置1000によるナノギャップ素子10の駆動方法について、図6及び図7のフローチャートを参照して説明する。
また、ステップS22及びS23が、請求項1の印加ステップとなり、ステップS24が、請求項3の判定ステップとなり、ステップS25、S26、S27及びステップS23が、請求項3の第2印加ステップとなる。
以下に、具体的な実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、ナノギャップ素子10を製造した。
絶縁性基板1として、Si基板上に厚さ300nmの酸化膜(SiO2)を付けたものを準備した。
次いで、第1電極2及び第2電極3との接着性を強化するために、絶縁性基板1上に、クロムを蒸着した。
次いで、クロムが蒸着された絶縁性基板1上に、傾斜蒸着により金を蒸着することによって、第1電極2及び第2電極3を形成し、ナノギャップ素子10を製造した。
具体的には、本発明の記憶装置1000が備えるナノギャップ素子10の第1電極2及び第2電極3の間に、電圧値(波高値)の大きさ順に電圧パルスを印加し、各電圧パルスの印加後に、ナノギャップ素子10のナノギャップ電極間(電極間間隙部4の間隙)の抵抗値を測定した。
電圧パルスは、パルスジェネレータを用いて印加し、抵抗値は、半導体パラメータアナライザーを用いて測定した。各電圧パルスのパルス幅(1回の電圧パルスの印加時間)をそれぞれ1マイクロ秒とした。
その結果を、図8に示す。
図8(a)は、電圧値の大きい順に電圧パルスを印加した場合、すなわち、8V→7V→6V→5V→4V→3V→2.5Vの順に電圧パルスを印加した場合の結果であり、図8(b)は、電圧値の小さい順に電圧パルスを印加した場合、すなわち、2.5V→3V→4V→5V→6V→7V→8Vの順に電圧パルスを印加した場合の結果である。
具体的には、ナノギャップ素子10の抵抗状態は、印加する電圧パルスの電圧値を8Vから2.5Vへと段階的に小さくしていくことで、電圧値8Vに対応する抵抗状態と、電圧値7Vに対応する抵抗状態と、電圧値6Vに対応する抵抗状態と、電圧値5V以下に対応する抵抗状態と、の4つに区分でき、各抵抗状態へと確実に切り替わることが分かった。そして、印加する電圧パルスの電圧値を8Vから2.5Vへと段階的に小さくしていく場合には、例えば、電圧値8Vに対応する抵抗状態に“11”、電圧値7Vに対応する抵抗状態に“10”、電圧値6Vに対応する抵抗状態に“01”、電圧値5V以下に対応する抵抗状態に“00”を割り当てることによって、ナノギャップ素子10に4値の情報を記憶させることができることが分かった。
具体的には、ナノギャップ素子10の抵抗状態は、印加する電圧パルスの電圧値を2.5Vから8Vへと段階的に大きくしていくことで、電圧値4V以下に対応する抵抗状態と、電圧値5Vに対応する抵抗状態と、電圧値6Vに対応する抵抗状態と、電圧値7V以上に対応する抵抗状態と、の4つに区分でき、各抵抗状態へと確実に切り替わることが分かった。そして、印加する電圧パルスの電圧値を2.5Vから8Vへと段階的に大きくしていく場合には、例えば、電圧値4V以下に対応する抵抗状態に“00”、電圧値5Vに対応する抵抗状態に“01”、電圧値6Vに対応する抵抗状態“10”、電圧値7V以上に対応する抵抗状態に“11”を割り当てることによって、ナノギャップ素子10に4値の情報を記憶させることができることが分かった。
また、本発明のナノギャップ素子10の駆動方法によって、ナノギャップ素子10の抵抗状態を各抵抗状態に好適に切り替えることができることが分かった。
したがって、本発明のナノギャップ素子10の駆動方法によって、ナノギャップ素子10に3値以上の多値情報を好適に記憶させることができることが分かった。
まず、実施例1で製造したナノギャップ素子10の抵抗状態を、例えば、図9に示すように、「抵抗状態A」、「抵抗状態B」、「抵抗状態C」及び「抵抗状態D」の4つに区分し、各抵抗状態に応じて、ナノギャップ電極間(電極間間隙部4の間隙)の抵抗値に閾値を設けた。具体的には、抵抗値が2GΩ以上であれば「抵抗状態A」であり、抵抗値が100MΩ以上1GΩ以下であれば「抵抗状態B」であり、抵抗状態が5MΩ以上50MΩ以下であれば「抵抗状態C」であり、抵抗値が2MΩ以下であれば「抵抗状態D」であるとした。
具体的には、図10に示すフローチャートに従って、ナノギャップ素子10の第1電極2及び第2電極3の間に電圧パルスを印加して、ナノギャップ素子10の抵抗状態を、「抵抗状態A」→「抵抗状態B」→「抵抗状態C」→「抵抗状態D」→「抵抗状態A」→…の順に切り替えた。各電圧パルスのパルス幅(1回の電圧パルスの印加時間)をそれぞれ1マイクロ秒とした。
ここで、電圧パルスは、パルスジェネレータを用いて印加した。
ここで、抵抗値は、半導体パラメータアナライザーを用いて測定した。
なお、ステップS51〜ステップS53の処理は、図7のステップS23〜ステップS27の処理に対応する。
なお、ステップS55〜ステップS58の処理は、図6のステップS15〜ステップS20の処理に対応する。
なお、ステップS60〜ステップS63の処理は、図6のステップS15〜ステップS20の処理に対応する。
なお、ステップS65〜ステップS67の処理は、図6のステップS15〜ステップS20の処理に対応する。
図11の白四角プロット(□)は抵抗値が2GΩ以上であると判断された際の抵抗値(すなわち、ステップS54で記録した、抵抗状態が「抵抗状態A」になったと判断された際の抵抗値)、黒丸プロット(●)は抵抗値が100MΩ以上1GΩ以下であると判断された際の抵抗値(すなわち、ステップS59で記録した、抵抗状態が「抵抗状態B」になったと判断された際の抵抗値)、白三角プロット(△)は抵抗値が5MΩ以上50MΩ以下であると判断された際の抵抗値(すなわち、ステップS64で記録した、抵抗状態が「抵抗状態C」になったと判断された際の抵抗値)、黒逆三角プロット(▼)は抵抗値が2MΩ以下であると判断された際の抵抗値(すなわち、ステップS69で記録した、抵抗状態が「抵抗状態D」になったと判断された際の抵抗値)である。
図12の水玉模様のハッチングが施されたバーは抵抗値が2GΩ以上であると判断された際の抵抗値(図11の白四角プロット(□))を整理したもの、格子模様のハッチングが施されたバーは100MΩ以上1GΩ以下であると判断された際の抵抗値(図11の黒丸プロット(●))を整理したもの、斜線模様のハッチングが施されたバーは抵抗値が5MΩ以上50MΩ以下であると判断された際の抵抗値(図11の白三角プロット(△))を整理したもの、横線模様のハッチングが施されたバーは抵抗値が2MΩ以下であると判断された際の抵抗値(図11の黒逆三角プロット(▼))を整理したものである。
また、本発明のナノギャップ素子10の駆動方法(図6及び図7)によって、ナノギャップ素子10の抵抗状態を各抵抗状態に確実に切り替えることができることが分かった。
また、ナノギャップ素子10の抵抗状態の切り替わりには、繰り返し耐性があることが分かった。
したがって、本発明のナノギャップ素子10の駆動方法によって、ナノギャップ素子10に3値以上の多値情報を何度も確実に記憶させることができることが分かった。
また、印加前抵抗状態と目的抵抗状態との間に他の抵抗状態が1つ以上存在する場合には、印加する電圧パルスの電圧値を段階的に大きくしたり小さくしたりすることによって、抵抗状態が切り替わるきっかけを段階的に与えることができるため、ナノギャップ素子10の抵抗状態を各抵抗状態へと確実に切り替えることができる。具体的には、印加前抵抗状態が目的抵抗状態よりも高い場合(印加前抵抗状態>目的抵抗状態である場合)であって、印加前抵抗状態と目的抵抗状態との間に他の抵抗状態が1つ以上存在する場合には、他の抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを電圧値の大きい順に印加した後、目的抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加することによって、印加する電圧パルスの電圧値を段階的に小さくして、高抵抗状態側から低抵抗状態側へと切り替わるきっかけを段階的に与えるようになっており、印加前抵抗状態が目的抵抗状態よりも低い場合(印加前抵抗状態<目的抵抗状態である場合)であって、印加前抵抗状態と目的抵抗状態との間に他の抵抗状態が1つ以上存在する場合には、他の抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを電圧値の小さい順に印加した後、目的抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加することによって、印加する電圧パルスの電圧値を段階的に大きくして、低抵抗状態側から高抵抗状態側へと切り替わるきっかけを段階的に与えるようになっているため、ナノギャップ素子10の抵抗状態を各抵抗状態へと確実に切り替えることができる。
したがって、ナノギャップ素子10に3値以上の多値情報を好適に記憶させることができる。
したがって、ナノギャップ素子10に3値以上の多値情報を確実に記憶させることができる。
したがって、ナノギャップ素子10に3値以上の多値情報を確実に記憶させることができる。
2 第1電極
3 第2電極
4 電極間間隙部
10 ナノギャップ素子
200 電圧印加部(印加手段)
1000 記憶装置
Claims (4)
- 絶縁性基板と、前記絶縁性基板に設けられた第1電極及び第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、前記第1電極と前記第2電極との間への所定電圧の印加により抵抗状態が切り替わるナノメートルオーダーの間隙を有する電極間間隙部と、を有するナノギャップ素子の駆動方法において、
前記ナノギャップ素子の抵抗状態は、3つ以上に区分され、
前記第1電極と前記第2電極との間に、各抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加する印加ステップを備え、
前記印加ステップは、現在の抵抗状態である印加前抵抗状態と、目的とする抵抗状態である目的抵抗状態と、の間に他の抵抗状態が1つ以上存在する場合には、当該他の抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを電圧値の大きさ順に印加した後、当該目的抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加することを特徴とするナノギャップ素子の駆動方法。 - 請求項1に記載のナノギャップ素子の駆動方法において、
前記印加前抵抗状態が、前記目的抵抗状態よりも高い場合、
前記印加ステップで前記目的抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加した後、前記ナノギャップ素子の抵抗状態を判定する判定ステップと、
前記判定ステップで判定された前記ナノギャップ素子の抵抗状態が前記目的抵抗状態よりも低い場合には、前記目的抵抗状態に対応する電圧値よりも大きい電圧値の電圧パルスを印加し、その後、当該目的抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加するとともに、前記判定ステップで判定された前記ナノギャップ素子の抵抗状態が前記目的抵抗状態よりも高い場合には、前記印加前抵抗状態に対応する電圧値と当該目的抵抗状態に対応する電圧値との間の電圧値の電圧パルスを印加し、その後、当該目的抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加する第2印加ステップと、
を備え、
前記判定ステップで判定された前記ナノギャップ素子の抵抗状態が前記目的抵抗状態になるまで、前記判定ステップ及び前記第2印加ステップを繰り返して行うことを特徴とするナノギャップ素子の駆動方法。 - 請求項1に記載のナノギャップ素子の駆動方法において、
前記印加前抵抗状態が、前記目的抵抗状態よりも低い場合、
前記印加ステップで前記目的抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加した後、前記ナノギャップ素子の抵抗状態を判定する判定ステップと、
前記判定ステップで判定された前記ナノギャップ素子の抵抗状態が前記目的抵抗状態よりも低い場合には、当該目的抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加するとともに、前記判定ステップで判定された前記ナノギャップ素子の抵抗状態が前記目的抵抗状態よりも高い場合には、前記目的抵抗状態に対応する電圧値よりも小さい電圧値の電圧パルスを印加し、その後、当該目的抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加する第2印加ステップと、
を備え、
前記判定ステップで判定された前記ナノギャップ素子の抵抗状態が、前記目的とする抵抗状態になるまで、前記判定ステップ及び前記第2印加ステップを繰り返して行うことを特徴とするナノギャップ素子の駆動方法。 - 絶縁性基板と、前記絶縁性基板に設けられた第1電極及び第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、前記第1電極と前記第2電極との間への所定電圧の印加により抵抗状態が切り替わるナノメートルオーダーの間隙を有する電極間間隙部と、を有するナノギャップ素子を備える記憶装置において、
前記ナノギャップ素子の抵抗状態は、3つ以上に区分され、
前記第1電極と前記第2電極との間に、各抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加する印加手段を備え、
前記印加手段は、現在の抵抗状態である印加前抵抗状態と、目的とする抵抗状態である目的抵抗状態と、の間に他の抵抗状態が1つ以上存在する場合には、当該他の抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを電圧値の大きさ順に印加した後、当該目的抵抗状態に対応する電圧値の電圧パルスを印加することを特徴とする記憶装置。
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