JP5120764B2 - 水栓装置 - Google Patents
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Description
蓄電する手段としては、過去はニッカド電池のような二次電池を用いていたが、二次電池は、劣化によって数年で交換が必要になるという問題があり、現在はコンデンサに蓄電する方式が主流となっている。
そこで、一次電池とコンデンサの間に充電制御手段を設けて、一次電池が不必要に消費されるのを防止する考案がある(特許文献2参照)。
そして、電磁弁の通電など、コンデンサの負荷に大電流を要する場合、すなわちコンデンサの出力電流が大きく一時的にコンデンサ電圧が低下する時だけ、充電制御手段をオフして一次電池によるバックアップを切り離している。これにより、コンデンサの電荷よりも先に一次電池が消費されることを防止している。
しかし、一次電池は予備の電源であるため、できるだけ消費しない方が良い。そのためには、バックアップ電圧をなるべく低くして、コンデンサに蓄電された電荷を限界まで使い切る方が良い。
発電機の出力によってコンデンサを充電するには、発電機出力を整流するダイオードブリッジや、コンデンサのリーク電流を防止するダイオードなどが必要になる。ここで、コンデンサ電圧が低ければ、回路中のダイオードの順方向電圧降下の損失割合が相対的に増える。
また、発電機からコンデンサに充電される「電力」は、「コンデンサ電圧」×「充電電流」で決まる。充電される「電力」を一定とすれば、「コンデンサ電圧」が低い程、「充電電流」は大きくなる。発電機はマグネットとコイルで構成され、コイルは数Ωから数10Ωの抵抗を持つ。よって、充電電流が増えると、発電機内の抵抗の損失が増える。
以上が、第1の問題である。
コンデンサの出力には、前述のように電圧変換回路がつながっており、コンデンサの電圧を水栓装置の回路や電磁弁駆動に適した電圧に変換している。ここで、一次電池の消耗を避けるためにコンデンサのバックアップ電圧をできるだけ低くするという考えならば、電圧変換回路は必然的に昇圧回路になる。
すると、発電した電力に対して電磁弁を駆動した後の余剰電力が少なくなり、最悪の場合は、発電をしてもコンデンサの電圧が上昇しない可能性がある。
特に、水栓装置の使用条件が、低水圧、低流量、1回の吐水時間が短いなど、発電に対する条件が良くない現場で、その可能性が高い。
前記コンデンサの電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段の出力が前記一次電池から前記コンデンサへの充電を開始するバックアップ電圧以下になると前記充電制御手段をオン制御するとともに、前記バックアップ電圧を可変して設定可能なバックアップ電圧設定手段を設けたので、
水栓装置が設置された環境の使用状況に応じてバックアップ電圧の設定・変更が可能となり、一次電池の消費を抑えながら発電出力を効率良く利用できる、最もバランスがとれた動作条件の選択ができる。
例えば、駅、オフィス、家庭といった設置場所の違いや、水圧、流量、使用者人数などの条件に応じ、最適なバックアップ電圧を任意に設定でき、また、簡単に変更が可能となる。
発電量が多ければバックアップ電圧を低くして一次電池の消耗を抑えることができる。逆の見方をすれば、発電量が少なければバックアップ電圧を高くして、発電電力を効率良く利用できる。その選択を自動的に行うことで、バックアップ電圧の設定の手間を省き、かつ、間違いのない設定ができる。
1日を周期として、充電電圧の平均値は最も高く、かつ、コンデンサの充放電量が最大となるように動作するため、回路的に損失の少ない状態でコンデンサの容量を最大限に生かすこととなり、一次電池が消費される可能性を低減できる。
最新の1日24時間分の発電量を把握し、特に平日・休日の差が少なく、日々の使用が平均している現場で、バックアップ電圧が精度良く設定され、最適な動作が可能となる。
特に、日々の水栓の使用頻度にばらつきが大きい現場で、バックアップ電圧の設定を誤る可能性を減らすことができる。
図1は本発明の実施例である水栓装置の回路図である。
なお、水栓制御手段3にとってセンサ2は必須ではなく、水栓装置の水路の開閉の制御条件となるものであれば、手動の操作スイッチやタイマーなどでも良い。
なお、電磁弁4は、流路の開/閉の切替時以外に電流を消費しない、ラッチング式の電磁弁であり、電磁弁通電手段5は、電磁弁4を開/閉するために正/逆通電するHブリッジ回路である。そして、マイコン1のポート操作により、電磁弁4の開通電または閉通電が行われる。
また、コンデンサ6の電圧をVCとすると、VCはマイコン1のA/D変換ポートに入力されており、マイコン1(水栓制御手段)はコンデンサ6の充電電圧VCを監視することができる。
9は、発電手段8によってコンデンサ6を充電する際、コンデンサ6の電圧が、所定の最高電圧を越えて、コンデンサ6自身や、それにつながる電圧変換手段7、水栓制御手段3などを過電圧で破壊しないための充電電圧制限手段である。
単純にコンデンサ6の充電を停止すると、発電手段8の出力電流がゼロとなり、水力発電機が水栓装置の流路の抵抗として機能しなくなり、水栓装置の流量が増加する。
このように、水力発電の場合、コンデンサの充電状態によって発電手段の出力電流を変化させると、使用者の意図とは無関係に水栓装置の流量が変化する。
一次電池10によるコンデンサ6の充電の制御は、マイコン1のポート出力によって前記トランジスタがオン/オフすることで成される。
以上説明した水栓装置の全体の構成を図13に示す。
S002で人体を感知していない場合はS004で止水中かチェックし、止水中でなければS006で電磁弁4を閉通電して止水状態とする。
こうして、センサ2の感知中は吐水、感知中でない場合は止水、という動作になる。
S008では、コンデンサ6の電圧VCをチェックするため、VCのA/D変換を行い、S009でVCがVTH以下に低下していないかチェックする。
つまり、コンデンサ6の充電は、図2のメインルーチンをループしながら、ある時間をかけて行い、VCがVTHに達すると充電を停止する。
例えば設定スイッチ12が、複数段階の選択が可能なロータリー式のスイッチであれば、読み込んだスイッチ状態に応じて、予め決めていたVTHの数値をマイコンのROMテーブルから読み込んで設定する方法がある。
或いは、設定スイッチ12が可変抵抗であれば、読み込んだ抵抗値に比例するようにVTHを計算しても良い。
例えば、非常に利用者の多い駅に水栓装置が取り付けられる場合を考える。
このような現場では、水栓装置の使用頻度が高く、発電手段8の発電能力も高い。仮に、夜間にコンデンサ6の電圧が低下して電圧変換手段7などの回路損失が増えたとしても、水栓の使用者が多いために昼間のうちにコンデンサ6の電圧は確実に回複する。
一般家庭では、数人の家族が使うだけなので、駅などに比較すれば、極端に使用頻度が低く、発電量も少ない。
この場合、コンデンサ6の電圧が低くなって回路損失が増えると、発電によってコンデンサ6の電圧を回復できない恐れがある。その場合、一次電池が絶えず消費し、発電した電力も効率的に使われない状態となる。
よって、水栓装置の使用頻度が少ない場合、コンデンサ6のバックアップ電圧VTHを高めに設定して、コンデンサの充電や電圧変換手段の回路損失を抑える方が良い。
なお、バックアップ電圧が低め、高めの2つの例を説明したが、現場によっては、中間という設定としても良い。また、使用状況に応じて定期的に再調整することもできる。
また、この設定スイッチ12の調整は、公共の現場ならば水栓装置の施工者もしくは管理者が行い、家庭であれば施工者もしくは使用者が行えばよい。
つまり、時計の「時」「分」のうち、「時」にあたる変数であるが、時計のように時刻を合わせる必要はない。
S204では吐水中か否かをチェックし、吐水中であった場合、S205で吐水時間(h)を加算する。これにより、吐水時間(h)には、時刻がhである1時間の吐水時間(水栓装置の流路を開いている時間)の合計値が入る。
水栓装置の発電手段8は流路に設けられた水力発電機であり、発電量は発電機が回っている時間、すなわち流路が開いている時間である吐水時間に比例する(水圧などの変動要素は除く)。つまり、吐水時間(h)は、1日を周期として24の時間帯に分割し、その時間帯毎の発電量を記憶する変数と言うことができる。
よって、S206で過去24時間の吐水時間の合計を計算することにより、過去24時間の発電量を間接的に計算することができる。
この時、吐水時間の合計が多い場合、すなわち発電量が多い場合は、仮にコンデンサ6の電圧が大きく低下しても、十分な発電量によってコンデンサ6の充電電圧は回復する。その際に、コンデンサ6の電圧が低いために回路効率が低下していても、それを上回る発電が予想される。
よって、バックアップ電圧VTHは低めに設定する方が良い。
その場合、電圧変換手段7の効率が低いために、一次電池10の消費が更に増える傾向となる。よって、バックアップ電圧VTHは高めに設定して、回路効率の良い状態で動かす方が良い。
VTH=(充電制限電圧)−(24時間の合計吐水時間)×(比例定数)
充電制限電圧とは、充電電圧制限手段9によって決まるコンデンサ6の充電電圧の上限で、発電手段によるコンデンサの充電の最高電圧である。比例定数は、発電手段8の発電量と吐水時間の関係、コンデンサ6の容量、水栓制御手段3及び電磁弁4の消費、動作マージンなどから決定する。
VTHの2乗=(充電制限電圧)の2乗−(24時間の合計吐水時間)×(比例定数)
という式からVTHを決定する方が、演算はやや複雑になるが、より適切な値となる。
コンデンサ6は、回路の消費量よりも発電量の方が多い期間に充電され、その逆に発電量が少ない期間に放電する。発電量が少ない時にコンデンサをバックアップするのが一次電池であるが、一次電池によるバックアップが必要となるまでコンデンサが放電してしまう状況は、可能な限り避ける制御方式が好ましい。
つまり、コンデンサの充放電の周期として、第一に考慮すべき周期が24時間である。24時間の発電量が分かれば、夜間に放電したコンデンサの電圧が、昼間にどれだけ上昇できるかが計算でき、24時間周期のコンデンサの充放電を制御できる。
これが24時間を計算する理由である。
なお、1週間を越えると次の周期は1ヶ月となるが、1ヶ月の周期で水栓装置の使用状態が規則的に変化する用途は通常、考えられない。
S307では、過去3日間の合計吐水時間から24時間の吐水時間の平均値(3で割れば良い)を計算し、S308でVTHを計算する。
そして、S401からS405を繰り返すことで、1時間毎の吐水時間の合計値が1週間分のデータとして記憶される。つまり、水栓装置の1週間の使用パターンが、1時間毎に記憶されることになる。また、7日を168の時間帯に分割し、その時間帯毎に発電量を記憶していると言うこともできる。
これは、現在から24時間の吐水時間の合計を、1週間前の同じ時間帯のデータから推測することを目的としている。
これにより、VC上昇(h)には、時刻がhである1時間の、VCの電圧上昇分の合計値が入る。
S508では、過去24時間のVCの上昇電圧の合計値からVTHを設定する。この時、VCの上昇電圧の合計値が大きいという事は、発電量が多いという事を意味する。その場合、仮にコンデンサ6の電圧が大きく低下しても、十分な発電量によって電圧は回復する。その際に、コンデンサ6の電圧が低いために回路効率が低下していても、それを上回る発電が予想される。
よって、バックアップ電圧VTHは低めに設定する方が良い。
VCの上昇電圧の合計値が少ない場合は、上記の逆で、VTHは高めに設定する方が良い。
まず図8は、バックアップ電圧VTHが高過ぎる例である。図8の横軸は時間、縦軸はコンデンサ6の電圧であり、時間経過に沿ってコンデンサの電圧が変化する様子を示している。時間は昼間と夜間をそれぞれ12時間とし、約2日分の変化を示している。
よって、例えばオフィスであれば、昼間とは午前8時から午後8時、夜間とは、午後8時から翌朝の午前8時というように考える。当然、昼と夜が12時間ずつとは限らないが、パターンを簡略化するために12時間ずつとする。
その要因は、水栓装置の発電能力に対して、バックアップ電圧VTHが高過ぎる点である。
まず、図8に対してVTHを下げることで、夜間の一次電池10の消費が無くなっている。そのために昼間の発電がスタートする時点のコンデンサ電圧は下がっているが、図9の発電能力があれば、昼間の12時間の間に充電制限電圧まで上昇できている。
これが、発電した電力も一次電池も共に使われない、理想的な状態である。
この場合、常時、コンデンサ電圧が低い状態にあり、先に説明したように、コンデンサの充電回路の損失が多く、電圧変換手段7の効率が低い状態で動作することになり、一次電池10の消費を更に増やしてしまう。
まず、VTHを上げることで、昼間が終わる時にコンデンサ電圧は充電制限電圧近くに達している。VTHが高めに設定されているため、夜間に入ると間もなく一次電池10によるバックアップが始まるが、電圧が高い状態で動作するため、回路損失が少なく、電圧変換手段7の効率が高い状態で動作することになり、最も無駄が少ない条件で一次電池10を消費できる。
基本的に、発電量が多い程、VTHを低く、発電量が少ない程、VTHを高く設定するように演算するが、その演算の方法は以下の考えに従う。
このように、日曜日は終日発電されることなくコンデンサ電圧が低下することが予測されるので、VTHを高く設定しておき、コンデンサ電圧が低下して回路損失が多く、電圧変換手段7の効率が低い状態で動作することを避けている。
そして図12では、コンデンサ電圧はVTHの低下よりも遅い速度で低下している。なお、予測される発電量が図12より少なければ、VTHの低下速度は遅くなり、コンデンサ電圧はVTHでバックアップされながら低下するという事もある。つまり、図12のコンデンサ電圧とVTHの関係は一例に過ぎない。
月曜の昼間(朝)になると、水栓装置の使用が始まり発電が行われコンデンサ電圧が上昇する。そして月曜の夜間に入る時には充電制限電圧に達している。
しかし、図12では、コンデンサ電圧が高い状態でバックアップを行うため、一次電池10の消費も有効に使われる。つまり、発電量を予測することで、効率的な一次電池の消費を実現できている。
2…センサ
3…水栓制御手段
4…電磁弁
5…電磁弁通電手段
6…コンデンサ
7…電圧変換手段
8…発電手段
9…充電電圧制限手段
10…一次電池
11…充電制御手段
12…設定スイッチ
Claims (9)
- 発電手段と、前記発電手段と電気的に並列に接続された一次電池と、前記発電手段の出力または前記一次電池によって充電されるコンデンサと、前記一次電池と前記コンデンサとの間に直列に設けられ前記一次電池から前記コンデンサへの充電をオン/オフ制御する充電制御手段と、前記コンデンサの電圧を所定の電圧に変換し給電を行う電圧変換手段と、該電圧変換手段からの給電により作動する水栓制御手段と、を有する水栓装置において、前記コンデンサの電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段の出力が前記一次電池から前記コンデンサへの充電を開始するバックアップ電圧以下になると前記充電制御手段をオン制御するとともに、前記バックアップ電圧を可変して設定可能なバックアップ電圧設定手段を設けたことを特徴とする水栓装置。
- 請求項1に記載の水栓装置において、前記バックアップ電圧設定手段は、複数段階に切り替え可能な操作スイッチであることを特徴とする水栓装置。
- 請求項1に記載の水栓装置において、前記発電手段の発電量を検出する発電量検出手段を備え、前記バックアップ電圧設定手段は、前記発電量検出手段の発電量出力に応じてバックアップ電圧を設定するものであり、前記発電量が所定の発電量より大きい場合、前記バックアップ電圧を所定のバックアップ電圧より低く設定することを特徴とする水栓装置。
- 請求項3に記載の水栓装置において、1日若しくは7日を周期として時間を計時する計時手段と、前記発電手段の出力による前記コンデンサの充電電圧を所定の最高電圧以下になるように制限する充電電圧制限手段とを備え、前記バックアップ電圧設定手段は、前記所定の最高電圧から、前記発電量出力の1日分の積算電力量により前記コンデンサが充電され上昇する電圧分を差し引いた電圧を、前記バックアップ電圧とすることを特徴とする水栓装置。
- 請求項4に記載の水栓装置において、前記1日の周期を複数の時間帯に分割して前記発電量出力を記憶する記憶手段を備え、前記発電量出力を1日分について前記記憶手段に記憶し、前記バックアップ電圧設定手段は前記1日分の積算電力量に基づいて、前記バックアップ電圧の設定を行うことを特徴とする水栓装置。
- 請求項5に記載の水栓装置において、前記1日分の積算電力量を複数日に亘り記憶し、前記バックアップ電圧設定手段は前記複数日に記憶された発電量から1日あたりの発電量の平均値を計算し、該平均値に基づいて前記バックアップ電圧の設定を行うことを特徴とする水栓装置。
- 請求項4に記載の水栓装置において、7日を1周期として複数の時間帯に分割して前記発電量検出手段によって検出された発電量を記憶する記憶手段を備え、前記バックアップ電圧設定手段は、前記分割された時間帯ごとの発電量から、現時点から24時間以内の発電量を予測し、該24時間以内の発電量の予測値に基づいて前記バックアップ電圧の設定を行うことを特徴とする水栓装置。
- 請求項3乃至7の何れか1項に記載の水栓装置において、前記発電量検出手段は、前記発電手段が設けられた流路を開閉する電磁弁が開いている時間によって前記発電手段の発電量を検出することを特徴とする水栓装置。
- 請求項3乃至7の何れか1項に記載の水栓装置において、前記発電量検出手段は、前記発電手段が設けられた流路を開閉する電磁弁が開いている時間の前記コンデンサの電圧の変化によって前記発電手段の発電量を検出することを特徴とする水栓装置。
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