以下、下記の順序に従って本技術を説明する。
(1)本実施形態の構成:
(2)駆動周期調整処理の第1実施形態:
(3)駆動周期調整処理の第2実施形態:
(4)駆動周期調整処理の第3実施形態:
(5)駆動周期調整処理の第4実施形態:
(6)駆動周期調整処理の第5実施形態:
(7)まとめ:
(1)本実施形態の構成:
図1は、本実施形態に係る自動水栓装置1の概略を断面的に示した図であり、自動水栓装置1は、対象物(人体や物体等)を検出して自動的な吐水を行うものであり、洗面台に備え付けられる洗面器2に対して吐水を行う。
洗面器2は、洗面カウンタ3の上面に設けられる。洗面カウンタ3上には、洗面器2のボール面2aに対して水を吐出するためのスパウトを構成する水栓4が設けられる。水栓4は、水を吐出する吐水口4aを有し、この吐水口4aから吐出される水が洗面器2のボール面2a内に吐出されるように設けられる。
水栓4が吐水口4aから吐出する水は、給水路5により供給される。給水路5は、水道管等の給水源から供給される水を吐水口4aへと導く。洗面器2には、排水路6が接続されている。排水路6は、吐水口4aから洗面器2のボール面2a内に吐水された水を排出する。
自動水栓装置1は、電磁弁11と、センサ12と、制御部13とを備える。電磁弁11は、給水路5に設けられ、給水路5の開閉を行う。電磁弁11が開くと、給水路5から供給される水が吐水口4aから吐出される吐水状態となり、電磁弁11が閉じると、給水路5から供給される水が吐水口4aから吐出されない止水状態となる。
電磁弁11は、制御部13に接続されており、電磁弁11の開閉動作は、制御部13によって制御される。電磁弁11は、制御部13からの制御信号に従って電気的に制御され、給水路5の開閉を行う。このように、電磁弁11は、吐水口4aから吐水される水の給水路5を開閉する給水バルブとして機能する。
センサ12は、吐水口4aに接近する対象物を検出する。この吐水口4aの吐水先が、センサ12の検知領域となる。センサ12は、赤外線を投光し、投光した赤外線を受けた人体等の対象物から反射した赤外線を受光することにより、対象物の位置や動きを検出する。
センサ12は、洗面台の使用者側(図1において左側)に向けて赤外線を投光するように配置される。センサ12は、吐水口4aに人体が近づいてきたことや、吐水口4aに近づいた人体から吐水口4aに向けて手が差し出されたこと等を検出するために用いられる。
センサ12は、制御部13に接続される。制御部13は、センサ12の出力する信号を入力され、この信号に基づいて対象物の位置や動き等を検知する。なお、本実施形態では、センサとして赤外線を用いる赤外線センサを採用してあるが、例えば超音波やミリ波、マイクロ波等を用いるセンサ等であってもよいし、センサは、伝播波のドップラ効果を利用したドップラセンサであってもよい。
制御部13は、センサ12の出力する信号に基づいて電磁弁11の開閉動作を制御する。このため、制御部13には、上記のとおりセンサ12からの出力信号が入力される。また、制御部13からは、電磁弁11に対する制御信号が出力される。
以上のように、本実施形態の自動水栓装置1は、電磁弁11と、センサ12と、制御部13とを備え、制御部13により、センサ12による検出信号に基づいて、電磁弁11の開閉動作を制御することで、吐水口4aに接近する対象物の検出、つまり人体検出を行うことで、洗面台の使用者の動き等に応じた吐水を行う。
これら電磁弁11と、センサ12と、制御部13は、電源部14から供給される電源電圧により駆動されている。以下、本実施形態の自動水栓装置1の電源部14の詳細について説明する。
図2は、本実施形態の電源部14を説明するための要部回路図である。同図に示すように、本実施形態にかかる電源部14は、発電機41、一次電池としての電池42、保護部43、蓄電部を構成するコンデンサ44、電圧変換回路45、RCフィルタ回路46、電磁弁駆動回路47、充電制御回路48を備えている。なお、同図には、電源部14の電源電圧供給対象として、制御部13や電磁弁11の一部(ソレノイドコイル11a)も示してある。
発電機41は、自動水栓装置の所定の流路(例えば、給水路5)に設けられた水力発電機と、当該水力発電機の出力を全波整流するダイオードブリッジ回路を備える。水力発電機は、所定の流路を流れる水により発電し、ダイオードブリッジ回路は、発電機が生成した交流を直流に変換して出力する。
発電機の出力端子T1は、保護部43を介して、電解コンデンサであるコンデンサ44の正極端子T2に接続されている。これにより、コンデンサ44は、発電機41の出力する直流によって充電される。なお、コンデンサ44の容量は、後述するように電磁弁11の駆動電源として使用されるため、大容量(例えば、1ファラッド前後)であることが好ましい。
保護部43は、発電機41の出力電圧を監視しており、当該出力電圧が一定値を超えると、発電機の出力電圧を伝送するラインL1を、抵抗を介してグランドに接続するようになっている。これにより、保護部43は、コンデンサ44に対する過充電を防止し、発電機41の負荷変動を抑制している。また、発電機41の負荷変動に伴う所定の流路における流量変動が軽減される。
電圧変換回路45は、コンデンサ44の電圧を、電磁弁11の駆動や制御部13の駆動に適した電圧に変換する。図2では、電圧変換回路45は昇圧回路の構成としてあり、制御部13から制御線L2を介して入力される駆動パルスのデューティ比により、出力電圧のレベルを制御可能になっている。なお、同図においては、電圧変換回路45は、コイルとダイオードを用いたスイッチング型の昇圧回路の構成としてあるが、この構成に限るものではなく、例えばコンデンサとダイオードを用いたチャージポンプ回路の構成としてもよい。
RCフィルタ回路46は、電圧変換回路45と電磁弁駆動回路47の間を接続している。これにより、電磁弁11の駆動によりRCフィルタ回路を構成するコンデンサでの電荷が消費されて電圧が低下した際に、電圧変換回路45に対する電圧低下の影響を緩和することができる。
電磁弁駆動回路47は、電圧変換回路45とRCフィルタ回路46を介してコンデンサから電源電圧を供給されており、電磁弁11のソレノイドコイル11aに通電することにより、電磁弁11を開/閉駆動する。図2においては、電磁弁駆動回路47は、4つのMOSFETにより構成され、電磁弁11のソレノイドコイル11aを負荷とするH型ブリッジ回路の構成としてある。
このH型ブリッジ回路を構成する各MOSFETのゲート端子は、それぞれマイクロコンピュータ31の出力ポートに接続されている。これにより、電磁弁駆動回路47は、マイクロコンピュータ31の制御により、電磁弁11を開/閉駆動することになる。例えば、ソレノイドコイルの一方向に通電(正通電)した場合は、電磁弁11は開駆動し、ソレノイドコイルの他の方向に通電(逆通電)した場合は、電磁弁11は閉駆動することになる。なお、電磁弁11は、電磁弁の開/閉の切替時以外に電流を消費しないラッチング式の電磁弁することが好ましい。
コンデンサ44は、電圧変換回路45とRCフィルタ回路46を介して制御部13に対しても電源電圧を供給しており、制御部13は、このコンデンサ44から供給される電圧により駆動されている。本実施形態において、制御部13は、マイクロコンピュータ31により構成されている。
マイクロコンピュータ31は、センサ12から入力される対象物の検出結果に基づいて、電磁弁駆動回路47を駆動する。例えば、センサ12から対象物の検出信号を入力されると、電磁弁駆動回路47を駆動して電磁弁11を開駆動させ、センサ12から対象物の検出信号が入力されなくなると、電磁弁駆動回路47を駆動して電磁弁11を閉駆動させる。これにより、対象物の検出中は吐水口14aから吐水させ、対象物を検出しなくなると吐水口14aからの吐水を停止させることができる。
また、マイクロコンピュータ31は、センサ12の駆動周期も制御している。センサ12の駆動周期(以下単に「駆動周期」と記載する。)とは、センサ12に所定の周期で間欠的な検出動作を行わせる際の動作周期である。例えば、センサ12の動作を2msec間隔で周期的に行う場合、駆動周期は2msecとなる。この場合、センサ12は、2msecごとに、発光ダイオード等で構成される投光部から赤外線を投光し、これにより対象物10から反射された赤外線が、フォトダイオード等で構成される受光部によって受光され、この受光量に応じた信号がセンサ出力S1として出力される。
また、マイクロコンピュータ31は、センサ12の駆動周期を、自動水栓装置1の使用頻度に応じて制御している。マイクロコンピュータ31は、各時間帯における自動水栓装置1の使用回数等の使用履歴を記憶しており、当該使用履歴に基づいて、使用頻度が高い時間帯ほどセンサ12の駆動周期が短くなるように制御し、使用頻度が低い時間帯ほどセンサ12の駆動周期が長くなるように制御する。これにより、使用頻度の高い時間帯においては自動水栓装置1の反応性を向上させて利用者の利便性を高めつつ、使用頻度の低い時間帯においてはセンサ12の電力消費を抑えて省電力化を実現している。
図3は、時間帯毎のセンサの駆動周期の1例を示す図である。同図においては、一日を2時間毎に12の時間帯に区分してあり、各時間帯に対してセンサ12の駆動周期を設定してある。ここでは、駆動周期を「高」「中」「低」の3段階としてあり、使用頻度の高い夕方〜深夜の時間帯等には「低」の周期を割り当ててあり、使用頻度の高い昼間の時間帯等には「高」の周期を割り当ててあり、その中間的な使用頻度である朝方や昼下がりの時間帯等には「中」の周期を割り当ててある。
ただし、使用頻度の低い時間帯などは所定の流路に水が流れず、発電機41からコンデンサへ充電されないため、コンデンサ自身のリーク電流や電圧変換回路の昇圧制御ICの電力消費によってコンデンサ44の電圧が低下するおそれがある。コンデンサ44の電圧が低下すると、電磁弁11を駆動できなくなったり、制御部13に供給される駆動電圧がマイクロコンピュータ31やセンサ12の仕様よりも低下して、誤動作したりする可能性がある。
そこで、制御部13のマイクロコンピュータ31やセンサ12に対しては、電池42から直接に電源電圧を供給可能になっている。具体的には、図2に示すように、電池42と、マイクロコンピュータ31やセンサ12の電源入力端子とをダイオード49にて接続してある。なお、ダイオード49は、アノードを電池42に向け、カソードを、ラインL3に向けて接続してある。ラインL3は、電圧変換回路45の出力電圧をマイクロコンピュータ31やセンサ12の電源入力端子に導くラインである。
また、電圧変換回路45の出力電圧は、電池42の出力電圧より高く設定してある。例えば、電池42としてリチウム電池を使った場合、その出力は高くても3.1V程度であり、電池が消耗すると3V以下に低下する。この時、電圧変換回路45の出力電圧を3.3Vとすれば電池42の出力電圧より高くなる。
従って、コンデンサ44が十分に充電された状態においては、ラインL3の電圧が電池42の電圧よりも高くなるが、ダイオード49の逆流防止作用により、ラインL3から電池42への充電は発生しないようになっている。むろん、コンデンサ44の充電が低下した場合には、ラインL3の電圧が電池42の電圧よりも低くなるため、ラインL3から電池42への充電は発生せず、電池42からラインL3へ電源電圧が供給されることになる。
これにより、電圧変換回路45の出力電圧が電池42の出力電圧よりも高い時は、コンデンサ44が制御部13の電源となり、電圧変換回路45の出力電圧が電池42の出力電圧よりも低い時は、電池42が制御部13の電源となる。
また、マイクロコンピュータ31は、マイクロコンピュータ31の制御によりコンデンサ44に対して電池42から充電が行われるようにするため、コンデンサの充電量を監視する機能と、電池42とコンデンサ44の正極端子の接続を制御する機能とを有している。
具体的には、マイクロコンピュータ31のA/D変換ポートは、コンデンサ44の充電量を監視するため、ラインL4を介してコンデンサ44の正極端子に接続されている。これにより、マイクロコンピュータ31は、コンデンサ44に充電されている電圧を監視することができる。
また、マイクロコンピュータ31は、電池42とコンデンサ44の正極端子との間を接続する充電制御回路48を、制御線L5を介して制御可能になっている。充電制御回路48は、接続をオン/オフするトランジスタ、充電電流の最大値を制限する抵抗、及びコンデンサ44から電池42への逆充電を防止するダイオードを備えている。この充電制御回路48のトランジスタのゲートが、制御線L5を介してマイクロコンピュータ31の所定のポートに接続されている。これにより、マイクロコンピュータ31は、電池42からコンデンサ44への充電をオン/オフ制御することができる。
以上のように構成されたマイクロコンピュータ31は、コンデンサ44の充電量が所定の閾値を下回ったことを検知すると、充電制御回路48のトランジスタをオンさせ、その後、コンデンサの充電量が所定の閾値を上回ったことを検知すると、トランジスタをオフさせる。これにより、コンデンサ44の充電量は、使用頻度の低い時間帯にも一定電圧以上に維持される。
ところで、以上説明した構成に対し、電池42からコンデンサ44への充電を行うか判断するための閾値を状況に応じて可変するという上述した特許文献1に記載されている技術や、電圧変換回路45における昇圧効率を向上させるという上述した特許文献2に記載されている技術を適用することにより、電池42の寿命を延ばすことが出来る。その他、センサ12の駆動周期を物体検知状況に応じて適宜に変更したりする等、様々な工夫を行う事によっても電池42の寿命を延ばすことが出来る。
しかしながら、従来の技術では、このようにして電池に残された電気を有効活用できるようになっていなかった。そこで、本実施形態では、以下に説明する駆動周期調整処理の第1実施形態や第2実施形態を行うことにより、各種の工夫によって電池に残された電気を、有効活用する手法を提案している。
なお、以下の説明においては、駆動周期調整処理の実行時点までにコンスタントに電池が消費された場合の電池消費量を「理想電池消費量」、駆動周期調整処理の実行時点において電池42に残されている電気量を「電池残量」、「理想電池消費量」に対する「電池残量」の余剰分を「余剰電池残量」として、説明を行っている。
(2)駆動周期調整処理の第1実施形態:
駆動周期調整処理の第1実施形態では、余剰電池残量が発生した場合に、センサ12の駆動周期を上昇させることにより、余剰電池残量を消費しつつセンサ12の検出効率を向上させている。これにより、利用者の利便性が向上する。また、電池42からコンデンサ44への充電回数に基づいて余剰電池残量を推定している。よって、簡易且つ効率的な処理で、余剰電池残量を特定することが出来る。
図4は、駆動周期調整処理の第1実施形態のフローチャートである。なお、本実施形態においては、マイクロコンピュータ31が同図に示す処理を実行している。処理が開始されると、直近にステップS100で条件成立した時から一定時間が経過しているか判断する(S100)。
この一定期間は、例えば、一日、半日、一時間、等、様々に設定する事が出来る。なお、マイクロコンピュータ31は、内部もしくは外部のタイマ回路からクロック信号を供給されており、当該クロック信号に基づいて時間の経過や現在の日時を特定することが出来るようになっている。
ステップS100において一定時間が経過していないと判断された場合は(S100:No)、一定時間が経過するまでステップS100の判断処理を繰り返し実行する。これにより、一定時間置きに電池の余剰電力に応じた駆動周期の調整を実行することができる。
一方、ステップS100において一定時間が経過していると判断された場合は(S100:Yes)、駆動周期の調整が必要か否かを判断する(S105)。本実施形態においては、この調整の要否を、一定時間内に行われた電池42からコンデンサ44への充電回数に基づいて判断している。この充電回数は、一定時間内の電池の消費量を示す情報であり、電池の残量を間接的に示している。
なお、マイクロコンピュータ31は、上述したように、電池42からコンデンサ44への充電を制御しており、一定時間内に電池42からコンデンサ44への充電を指令した回数を、内部もしくは外部の記憶部に記憶させている。従って、マイクロコンピュータ31は、記憶部に記憶されている情報を参照することにより、一定時間内に電池42からコンデンサ44への充電を指令した回数を取得することが出来る。
ステップS105においては、充電回数が既定値以上の場合、余剰電池残量は発生していないため、駆動周期の調整は不要と判断する(S105:No)。この場合、ステップS100に戻り、更に一定期間が経過するまで待機することになる。
なお、ここで言う既定値は、当該製品の保証期間に応じて決定される。すなわち、既定値は、既定値相当の充電を一定の頻度でコンスタントに実行した場合に、製品の保証期間の経過時に、自動水栓装置1においての電池42の寿命が尽きるように設定されている。例えば、製品における電池42の寿命の保証期間を10年としてある場合に、1日あたりに電池42からコンデンサ44へ20回のチャージを行うと10年経過したときに電池42の寿命が尽きるのであれば、既定値は20回ということになる。なお、電池42の寿命とは、本自動水栓装置1においての利用出来なくなることを意味しており、必ずしも、電池電圧が0になることを意味するものではない。
本実施形態では、このようにして既定値相当の充電を一定の頻度でコンスタントに実行した場合の現時点での電池42の電池残量を、「理想電池消費量」と呼び、現時点で実際に電池42に残されている電気量を「電池残量」と呼び、「理想電池消費量」に対する「電池残量」の余剰分が「余剰電池残量」を呼んでいる。
一方、ステップS105においては、充電回数が既定値未満の場合、余剰電池残量が発生しているため、駆動周期の調整が必要であると判断する(S105:Yes)。この場合、余剰電池残量にて実行可能な処理を特定する(S110)。
図5は、余剰電池残量の算出を説明する図である。マイクロコンピュータ31は、同図に示す規定値C0に係る情報を記憶しており、各時間帯P1,P2,P3,P4においてカウントされる充電回数C1,C2,C3,C4と規定値C0との差分を演算する。同図においては、時間帯P1,P2の充電回数C1,C2は既定値C0よりも小さいため、電池42に余剰電池残量が発生する。一方、時間帯P3の充電回数C3は既定値C0と等しく、また時間帯P4の充電回数C4は既定値C0よりも大きいため、電池42に余剰電池残量が発生しない。
また,マイクロコンピュータ31は、1回当たりの電池42からコンデンサ44へ充電したときに消費される単位電気量E1に係る情報を記憶している。そして、既定値C0と実際の充電回数C1,C2との差分ΔC1,ΔC2に対して、単位電気量E1を乗じることにより、余剰電池残量ΔE1,ΔE2を得ることが出来る。なお、以下の説明で充電回数の差分や余剰電池残量を概念的に説明する際は、1,2・・・等の数字を省いて、差分ΔC、余剰電池残量ΔEと記載することにする。
次に、余剰電池残量ΔEにて変更可能な範囲でセンサ12の駆動周期を増加する(S115)。本実施形態においては、時間帯毎に駆動周期を設定しているため、駆動周期の調整についても時間帯毎に行っており、使用頻度の低い「低」や「中」の時間帯について駆動頻度が高くなるようにセンサ12の駆動周期を調整する。これにより、元々の駆動周期の設定において反応性の低かった時間帯について、余剰電池残量を用いて反応性を向上することが出来る。
また、使用頻度の低い「中」や「低」の時間帯のうち、使用頻度の高い「高」の時間帯に隣接する時間帯について優先的に駆動頻度が度が高くなるようにセンサ12の駆動周期を調整する。これにより、使用頻度の低い時間帯の内、使用状況次第では使用頻度が高くなる可能性の高い時間帯について、余剰電池残量を用いて反応性を向上することが出来る。
図6は、余剰電池残量に応じた駆動周期の調整の1例を示す図である。上述したように、本実施形態における駆動周期は、時間帯毎に、「高」「中」「低」の3段階の何れかが設定されている。ここで、マイクロコンピュータ31の記憶部には、図6(a)に示す、設定を「低」から「中」に変更した場合に増加する電池消費量Δd1の情報や、設定を「中」から「高」に変更した場合に増加する電池消費量Δd2が記憶されている。
マイクロコンピュータ31は、図6(b)に示すように、使用頻度の高い時間帯に隣接している時間帯を、余剰電池残量ΔEの範囲内で順次に選択し、駆動周期のレベルを1レベルずつ上昇させていく。図6(b)では、使用頻度の高い8時〜14時の3つの時間帯に隣接する、4時〜8時の2つの時間帯と14時〜18時の2つの時間帯における駆動周期を、変更前の設定が「低」の時間帯については「中」に、変更前の設定が「中」の時間帯について「高」に、それぞれ変更している。
これにより、駆動周期を高く設定されていた時間帯に隣接している時間帯について、優先的に駆動周期が上昇するように調整する事が出来る。よって、センサ12の駆動周期は、余剰電池残量の範囲内で、各時間帯の使用頻度に応じて反応性が向上するように調整される。また、駆動周期を調整した時間帯については、もともとの駆動周期の設定における大小関係が残るように調整される。例えば、4〜6時の時間帯に係る駆動周期の設定(調整前:「低」、調整後:「中」)と6〜8時の時間帯に係る駆動周期の設定(調整前:「中」、調整後:「高」)の間の大小関係は、設定の前後で維持されている。よって、駆動周期の調整の前後で、時間帯の間で、反応性の大小関係が逆転することがない。
なお、本実施形態では、余剰電池残量ΔEや電池消費量Δd1,Δd2に基づいて、駆動周期を変更するか判断しているが、むろん、充電回数の差分ΔCの各数値と、駆動周期のレベルを上昇可能な時間帯の数とのルックアップテーブル等を予め用意しておいて、充電回数の差分C2に基づいて、直接に駆動周期のレベルを上昇可能な時間帯の数を求められるようにしてもよい。また、駆動周期のレベルについても、予め電池消費量Δd1と電池消費量Δd2が等しくなるようにしておけば、レベルを上昇可能な時間帯の数を簡単に特定することができるようになる。
(3)駆動周期調整処理の第2実施形態:
駆動周期調整処理の第2実施形態では、余剰電池残量が発生した場合に、使用頻度の高い時間帯についてセンサ12の駆動周期を上昇させることにより、余剰電池残量を消費しつつセンサ12の検出効率を向上させている。これにより、使用頻度の高い時間帯における反応性をより向上させ、利用者の利便性を向上してある。なお、駆動周期調整処理の第2実施形態は、駆動周期を上昇させる時間帯の選択手法を除くと駆動周期調整処理の第1実施形態と同様であるため、処理の流れ等については説明を省略する。
図7は、駆動周期調整処理の第2実施形態における余剰電池残量に応じた駆動周期の調整の1例を示す図である。駆動周期調整処理の第2実施形態を実行するマイクロコンピュータ31の記憶部には、図7(a)に示す、1区分の設定を「低」から「中」に変更した場合に増加する電池消費量Δd1や、1区分の設定を「中」から「高1」に変更した場合に増加する電池消費量Δd2や、1区分の設定を「高1」から「高2」に変更した場合に増加する電池消費量Δd3の情報が記憶されている。なお、「高2」は「高1」に比べて駆動周期が高くなっている。
マイクロコンピュータ31は、図7(b)に示すように、使用頻度の高い時間帯を余剰電池残量ΔEの範囲内で順次に選択し、駆動周期のレベルを1レベルずつ上昇させていく。図7(b)では、使用頻度の高い8時〜14時の3つの時間帯における駆動周期を、変更前の設定が「高1」の時間帯については「高2」に、変更前の設定が「中」の時間帯について「高1」に、それぞれ変更している。
これにより、駆動周期をもともと高く設定されていた時間帯について、優先的に駆動周期が上昇するように調整する事が出来る。また、駆動周期を調整した時間帯については、もともとの使用頻度に応じた駆動周期の大小関係を残るように調整される。よって、センサ12の駆動周期は、余剰電池残量の範囲内で、各時間帯の使用頻度の高い時間帯ほど、より反応性が向上するように調整される。
(4)駆動周期調整処理の第3実施形態:
駆動周期調整処理の第3実施形態では、余剰電池残量が発生した場合に、使用頻度の低い時間帯についてセンサ12の駆動周期を上昇させたり、使用頻度の高い時間帯についてセンサ12の駆動周期を上昇させたりすることにより、余剰電池残量を消費しつつセンサ12の検出効率を向上させる点は、上述した駆動周期調整処理の第1実施形態や第2実施形態と同様であるが、電池42の交換後に実行した総充電回数に基づいて駆動周期の調整の実行可否を判定する処理を追加した点で相違する。
図8は、駆動周期調整処理の第3実施形態の流れを示したフローチャートである。なお、駆動周期調整処理の第3実施形態は、ステップS307に係る総充電回数に基づく判断処理を除くと、駆動周期調整処理の第1実施形態と同様の処理であるため、図4と共通する処理については図4と同じステップ番号を付し、説明を省略する。
図8においては、ステップS100において条件成立すると(S100:Yes)、駆動周期の調整が必要か否かを、一定時間内の充電回数に基づいて判断する(S105)。ここで、一定時間内の充電回数が既定値未満の場合は、余剰電池残量が発生しているため、駆動周期の調整が必要であると判断する(S105:Yes)。この場合、次に、駆動周期の調整が必要か否かを、総充電回数に基づいて判断する(S307)。
この総充電回数も現在までの電池の消費量を示す情報の1つであり、電池の残量を間接的に示している。マイクロコンピュータ31は、電池42が交換されてから電池42からコンデンサ44への充電を指令した総回数を、内部もしくは外部の記憶部に記憶させており、マイクロコンピュータ31は、記憶部に記憶されている情報を参照することにより、一定時間内に電池42からコンデンサ44への充電を指令した総回数を総充電回数として取得することが出来る。
図9は、総充電回数とその既定値との関係を示す図である。同図において、縦軸は、総充電回数の残量を示し、横軸は電池42の使用を開始してからの時間を示す。電池42からコンデンサ44へ充電可能な最大の回数を示す最大総充電可能回数はCtmaxであり、保証期間Ymaxの経過時に、総充電可能回数の残量が0になるように調整されている。
すなわち、図9に示すように、総充電回数の残量は、時間の経過と共に一定量ずつ徐々に減少していくため、電池42の使用開始から現時点までの時間経過が分かれば、現時点における理想的な総充電回数(総充電回数の既定値Ct0)を特定することが出来る。
なお、ここで言う総充電回数の既定値Ct0は、既定値相当の充電を一定の頻度でコンスタントに実行した場合に、電池42を交換してから現時点までにトータルで実行されるべき充電回数である。例えば、製品における電池42の寿命の保証期間を10年としてある場合に、1日あたりに電池42からコンデンサ44へ20回のチャージを行うと10年経過したときに電池42の寿命が尽きるのであれば、現時点が5年目(365日×5=1825日)とすると、現時点における総充電回数の既定値は36500回となる。
ここで、現時点での総充電回数が、図9に示すCt1のように、現時点における総充電回数の既定値よりも小さい場合は、トータルで見たときに余剰電池残量ΔEが発生している。一方、現時点での総充電回数が、図9に示すCt2のように、総充電回数の既定値よりも大きい場合は、仮に一定時間内の充電回数がその既定値未満であっても、トータルで見たときには余剰電池残量ΔEは発生していないことになる。
よって、一定時間内の充電回数がその規定値未満であっても(S105:Yes)、総充電回数が、その現時点における既定値以上の場合は(S307:No)、駆動周期の調整は不要と判断してステップS100に戻り、更に一定期間が経過するまで待機することになる。一方、一定時間内の充電回数がその規定値未満であって(S105:Yes)、総充電回数が、その現時点における既定値未満の場合は(S307:Yes)、駆動周期の調整が必要であると判断して余剰電池残量ΔEにて実行可能な処理を特定する(S110)。
以上説明した駆動周期調整処理の第3実施形態によれば、電池42の使用開始時点から現時点までに使用された電気量を勘案して電池42に余剰が発生している場合のみ、余剰電池残量ΔEの範囲内で、駆動周期を低く設定されていた時間帯もしくは駆動周期を高く設定されていた時間帯について、駆動周期が上昇するように調整することになる。よって、電池42の残量を、電池42からの充電を一定の頻度でコンスタントに実行した場合の電池残量に近づけつつ、余剰電池残量ΔEを利用して、センサ12の反応性を向上することが出来る。
(5)駆動周期調整処理の第4実施形態:
駆動周期調整処理の第4実施形態では、上述した第3実施形態と同様に、電池42を交換してから実行した総充電回数Ctに基づいて駆動周期の調整の実行可否を判断する点で共通するが、一定期間内の充電回数に基づく調整の要否の判断を行わずに、総充電回数とその現時点での既定値に基づいて駆動周期の調整を決定している点で相違する。
図10は、駆動周期調整処理の第4実施形態を示すフローチャートである。なお駆動周期調整処理の第4実施形態は、充電回数に基づく駆動周期の調整の要否判断を除くと、駆動周期調整処理の第3実施形態と共通するため、図8と同じステップ番号を付して、必要な箇所についてのみ説明を行う事にする。
同図において、ステップS100において条件成立すると、総充電回数に基づく駆動周期の必要性を判断する(S307)。そして、ステップS307の判断において条件成立すると(S307:Yes)、総充電回数に基づいて、余剰電池残量にて実行可能な処理を特定する(S110)。
図11は、総充電回数に基づく余剰電池残量ΔtEの算出を説明する図である。同図に示すように、マイクロコンピュータ31は、同図に示す規定値Ct0に係る情報を記憶しており、現時点までにカウントされた総充電回数Ct1若しくは総充電回数Ct2と、規定値Ct0との差分ΔCtを演算する。
ここで、総充電回数が図11に示すCt1の場合は、既定値C0よりも小さいため、電池42に余剰電池残量が発生するが、総充電回数が図11に示すCt2の場合は、既定値C0よりも大きいため、電池42に余剰電池残量が発生しない。
また,マイクロコンピュータ31は、1回当たりの電池42からコンデンサ44へ充電したときに消費される単位電気量E1に係る情報を記憶している。そして、既定値Ct0と実際の総充電回数Ct1との差分ΔCt1に対して、単位電気量E1を乗じることにより、総充電回数に基づく余剰電池残量ΔEt1を得ることが出来る。
そして、余剰電池残量ΔEt1にて変更可能な範囲でセンサ12の駆動周期を調整する(S115)。なお、この調整手法は、上述した各実施形態におけるS115と同様であるため、説明を省略する。
以上説明した駆動周期調整処理の第4実施形態によれば、電池42の使用開始時点からトータルで見た場合の余剰電池残量ΔEtの範囲内で、駆動周期を低く高く設定されていた時間帯について優先的に駆動周期が上昇するように調整する事が出来る。よって、
上述した第3実施形態に比べて、電池42の残量を、総充電回数の既定値に相当する電池残量により近づけつつセンサの反応性を向上することが出来る。
(6)駆動周期調整処理の第5実施形態:
以上説明した駆動周期調整処理の各実施形態においては、余剰電池残量を充電回数や総充電回数に基づいて特定していたが、余剰電池残量は、実際の電池42の電圧値に基づいて特定しても良い。
図12は、第5実施形態に係る電源部を説明するための要部回路図である。同図は、図2に示す電源部の構成とほぼ共通するが、電池42の一方の端子は、ラインL6を介して、マイクロコンピュータ31のA/D変換ポートに接続されており、マイクロコンピュータ31は、ラインL6を介して電池42の電圧値を取得することが出来るようになっている点で相違する。
図13は、電池42からコンデンサ44への充電を、図9に示したようにコンスタントに行った場合の理想的な電池電圧と経過時間との関係を示した図である。同図に示すように、電池電圧は、時間の経過と共に徐々に減少していくが、電池残量が多いときは、その低下する度合いが小さく、電池残量が少なくなるほど、その低下の度合いが大きくなる。そして、保証期間Ymaxが経過した時点で、電池42の電圧によって充電されたコンデンサ44の電圧で自動水栓装置1を駆動するには不十分なレベルにまで低下する可能性があるものとする。本実施形態に係るマイクロコンピュータ31は、この関係を示すデータを内部もしくは外部の記憶媒体に記憶している。
マイクロコンピュータ31は、図12に示すラインL6を介して実際の電池電圧V1を、AD変換ポートを介して取得し、上述した図13の関係に照らして、現時点の電池電圧V2を特定する。
ここで、図13に示す電圧V0は、現時点での電池42の理想的な電池電圧であり、電圧V1は、現時点の実際の電池電圧である。同図に示す例では、現時点での電池電圧V1が理想的な電池電圧V0よりも大きいため、理想よりも電池の消費量が少ないことが分かる。すなわち、実際の経過時間t1と、電池残量がV1に成るべき理想的な経過時間t2との差分Δtに相当する分の余剰電池残量があることが分かる。
この場合、差分Δtに相当する余剰電荷量の分だけ、駆動周期の調整を行えばよいことになる。なお、駆動周期の調整については、上述した各実施形態と同様である。
このように、駆動周期調整処理の第5実施形態によれば、各時間帯の使用頻度に応じて、実際の余剰電池残量により近い範囲内でセンサ12の駆動周期を調整する事により、センサの反応性を向上することができる。
(7)まとめ:
以上説明したように、各実施形態に係る自動水栓装置1は、電池42と、電池42から適宜のタイミングで充電されるコンデンサ44と、コンデンサ44の電力で駆動される電磁弁11と、間欠的に物体検出を行うセンサ12と、電池42が保証年数を達成するために必要な電気量に対する現在の残存電気量の余剰度を判定し、当該判定の結果に基づいてセンサ12における物体検出の頻度を制御する制御部13と、を備えている。これにより、省電力により延長された電池寿命を有効活用して使用者の利便性を向上することが可能となる。
なお、本発明は上述した実施形態や変形例に限られず、上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。また,本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず,特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。