JP5119159B2 - ペプチドチオエステルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ペプチドチオエステルの新規な合成方法に関する。より詳細には、本発明は、N-アルキルシステイン誘導体を利用したペプチドチオエステルの新規な合成方法に関する。
タンパク質の化学合成は、固相法により調製されたペプチドチオエステルを繰り返して縮合することによりなされる。この方法の鍵物質であるペプチドチオエステルは、チオエステル結合の安定性を考慮してBoc法(t-ブトキシカルボニル化アミノ酸を用いる方法)により合成されるのが一般的である。近年、糖鎖など、タンパク質の翻訳後修飾に対する関心が高まっており、これらの修飾の酸性条件下での不安定性を考慮して、強酸性条件を用いないFmoc法によるペプチドチオエステルの調製が望まれている。しかし、Fmoc基の除去に用いるピペリジンによってチオエステル結合が切断されてしまうため、従来のFmoc法はそのままでは適用できない。そこで、これまでにFmoc法によりチオエステルを得る方法として、ピペリジンの代わりにチオエステル基存在下でFmoc基を除去できる脱保護試薬を用いる方法、スルホンアミドリンカー上でFmoc法によりペプチド鎖を伸長した後、リンカーのアルキル化、チオリシスによりチオエステルを得る方法等が開発されている。しかし、どの方法にも一長一短があり、Fmoc 法による一般的なチオエステル合成法の確立には未だ至っていない。
例えば、非特許文献1及び2においては、スルホンアミドリンカー上でFmoc法によりペプチド鎖を伸長した後、N-アルキル化を行うことにより、ペプチド結合を不安定化し、チオリシスによりペプチドチオエステルを得る方法が報告されている。この方法は、イミノ基とのアミド結合がアミノ基とのアミド結合に比較してチオリシスを受けやすいということを利用している。しかし、この方法では、ペプチド鎖伸長後に行うチオエステル化が進行しない場合があるという問題点があり(非特許文献3)、また糖鎖水酸基を遊離のまま糖ペプチド固相合成を行う場合には、N-アルキル化により糖鎖水酸基のアルキル化が起こることも報告されている(非特許文献4)。
非特許文献5から8においては、N-S転位によるチオエステル調製法が報告されている。非特許文献5の方法では、最終段階のN-S転位が定量的ではないという問題点がある。また、非特許文献6の方法では、ピペリジンを使用する従来のFmoc法では、ペプチド鎖伸長途上、若干ペプチド鎖の脱落がみられること、さらにN-S転位を行うための化合物の合成が煩雑であるといった問題点がある。本発明者らによる非特許文献7及び8に記載の方法では、プロリン誘導体をN-S転位を行うための化合物として用いている。この方法は、2級アミンとのアミド結合をチオエステルに変換する方法であるが、プロリン誘導体の合成が煩雑であること、また転位が非常に遅い(約1週間)ためにマイクロ波を照射してアミド結合を不安定化させ、反応速度を高める工夫が必要になることから、実用性に欠けるものである。
また特開平11-217397号公報、非特許文献9には、ピペリジンに代わるFmoc基除去試薬として、1-メチルピロリジン、又はヘキサメチレンイミンを含む塩基性試薬を単独であるいは混合して使用すると、チオエステル結合を切断することなく、ペプチド鎖を伸長させることができると記載されている。しかしながらこの方法によると、本発明者等の研究結果では、C末端にチオエステル結合を形成してからペプチド鎖を伸長させていることから、Fmoc基除去試薬を変更してもなお徐々にチオエステル結合が分解するので目的物の収率が上がらず、その上最初のアミノ酸3残基の導入に際して、ペプチド鎖の脱離を抑制するための特殊な縮合条件が求められ、さらにペプチド自動合成を行うときのプロトコルにプログラム変更が必要になってくる。
Shin, Y.; Winans, K. A.; Backes, B. J.; Kent, S. B. H.; Ellman, J. A.; Bertozzi, C. R. J. Am. Chem. Soc., 121, 11684-11689 (1999). Ingenito, R.; Bianchi, E.; Fattori, D.; Pessi, A. J. Am. Chem. Soc., 121, 11369-11374 (1999). Marcaurelle, L. A., Mizoue, L. S., Wilken, J., Oldham, L. Kent, S. B. H., Handel, T. M. and Bertozzi, C. R. Chem. Eur. J., 7, 1129-1132 (2001). Kajihara, Y.; Yoshihara, A.; Hirano, K.; Yamamato, N. Carbohydrate Res., 341, 1333-1340 (2006). Kawakami, T.; Sumida, M.; Nakamura, K.; Vorherr, T.; Aimoto, S., Tetrahedron Lett., 46, 8805-8807 (2005). Ohta, Y.; Itoh, S; Shigenaga, A,; Shintaku,S.; Fujii, N.; Otaka, A. Org. Lett., 8, 467 (2006). 長池ら, 日本農芸化学会大会講演要旨集p324 (2005). Nagaike, F., Onuma, Y., Kanazawa, C., Hojo, H, Ueki, A., Nakahara, Y., Nakahara, Y., Org. Lett., 8, 4465-4468 (2006). Li, X.; Kawakami, T.; Aimoto, S. Tetrahedron Lett.. 39, 8669-8672 (1998). 特開平11-217397号公報
本発明は上記した従来技術の問題点を解消することを解決すべき課題とした。即ち、本発明は、容易に入手できる化合物を反応試薬に用いて、比較的短時間に、副反応が生じにくい条件下において目的とするペプチドチオエステルを合成することができる、ペプチドチオエステルの新規な製造方法、並びに上記製造方法に用いるためのN-アルキルシステイン誘導体を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、Fmoc法によりN-アルキルシステインをC末端アミノ酸としてペプチド鎖を伸長し、脱保護後に弱酸性条件下でN-アルキルシステインのチオール基へペプチド結合をN-S転移させることによりチオエステル結合を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、(i)Fmoc-NH-樹脂を脱保護して、Fmoc-(アミノ酸残基)n-N(R)-CH(CH2SY)-C(=O)OH(nは0または1)を反応させることによってFmoc-(アミノ酸残基)n-N(R)-CH(CH2SY)-C(=O)NH-樹脂を製造する工程;
(ii)工程(i)で得たFmoc-(アミノ酸残基)n-N(R)-CH(CH2SY)-C(=O)NH-樹脂(nは0または1)のFmoc基を脱保護してから、必要に応じて、Fmoc-アミノ酸を反応させることによって、Fmoc-(アミノ酸残基)n-N(R)-CH(CH2SY)-C(=O)NH-樹脂(nは1または2)を製造し、以下、Fmoc基の脱保護とFmoc-アミノ酸との反応を繰り返すことによって、X-N(R)-CH(CH2SY)-C(=O)-NH-樹脂を製造する工程;
(iii)工程(ii)で得たX-N(R)-CH(CH2SY)-C(=O)-NH-樹脂に脱保護試薬を作用させて樹脂からの脱離とチオール基の脱保護を行う工程、
(iv)工程(iii)で得た化合物に酸性チオールを作用させて、チオエステル化合物を製造する工程:
(式中、Fmocは9-フルオレニルメトキシカルボニル基を示し、Rは炭素数1から12のアルキル基又は炭素数7から12のアラルキル基を示し、Yはチオール基の保護基を示し、Xはペプチド残基を示す。)
を含む、ペプチドチオエステルの製造方法が提供される。
好ましくは、工程(iii)における脱保護試薬は、トリフルオロ酢酸である。
好ましくは、工程(iv)における酸性チオールは、メルカプトカルボン酸、又はメルカプタンとカルボン酸の混合物である。
好ましくは、工程(iv)における酸性チオールは、HSCH2CH2COOH(MPA)、又はHSC6H4CH2COOH(MPAA)であるか、あるいはチオフェノールと酢酸の混合物である。
好ましくは、Rはメチル基、エチル基、イソブチル基又はベンジル基である。
好ましくは、Yはトリチル基である。
本発明の別の側面によれば、Z-N(R)-CH(CH2SY)-C(=O)OH(式中、Zは水素原子又は9-フルオレニルメトキシカルボニル基を示し、Rは炭素数1から12のアルキル基又は炭素数7から12のアラルキル基を示し、Yはチオールの保護基を示す)で表される化合物が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、(i)YSCH2CH(NH2)C(=O)OH(式中、Yはチオール基の保護基である)で表される化合物と、R1CHO(式中、R1は水素原子又は炭素数1から11のアルキル基又は炭素数6から11のアリール基を示す)で表される化合物とを反応させて、YSCH2CH(N=CHR1)C(=O)OH(式中、Y及びR1は上記と同義である)で表される化合物を製造する工程;
(ii)工程(i)で得たYSCH2CH(N=CHR1)C(=O)OH(式中、Y及びR1は上記と同義である)で表される化合物に水素化剤を作用させて、YSCH2CH(NHCH21)C(=O)OH(式中、Y及びR1は上記と同義である)で表される化合物を製造し、所望により9-フルオレニルメトキシカルボニル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステルを作用させて、アミノ基を9-フルオレニルメトキシカルボニル基で保護する工程:
を含む、上記した本発明の化合物の製造方法が提供される。
好ましくは、工程(ii)における水素化剤は、NaBH4、又はNaBH3CN である。
本発明によるペプチドチオエステルの製造方法によれば、ピペリジンによるチオエステル結合の分解という問題がないため、Fmoc法によるペプチドチオエステルの製造方法としての有用性が高い。本発明のペプチドチオエステルの製造方法は、市販品から合成できるシステイン誘導体を用いる点、ペプチド鎖伸長途上のペプチドの安定性が高い点、さらに最終段階のチオエステル化が定量的かつ速やかに進行する点において、実用性の高いペプチドチオエステルの製造方法である。また、従来のチオエステル合成法と比較して、ラセミ化の程度が低く、この点からも、本発明のペプチドチオエステルの製造方法は、実用性の高い方法である。
以下、本発明についてさらに具体的に説明する。本発明の方法においては、Fmoc法によりN-アルキルシステインをC末端アミノ酸としてペプチド鎖を伸長し、脱保護後に、弱酸性条件下でN-アルキルシステインのチオール基へペプチド結合をN-S転移させることによりチオエステル結合を形成させる(図1)。
以下、本明細書に記載の実施例に即して、本発明を説明する。まず、図2に記載の方法により、3種類のN-アルキルシステイン誘導体を合成した。市販のCys(Trt)を出発物質として、アセトアルデヒド、イソブチルアルデヒド又はベンズアルデヒドを反応させ、生成したシッフ塩基を水素化ホウ素ナトリウムで還元した後、Fmoc化を行い、ペプチド合成に用いた。
次に、モデルペプチドとしてGlu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-Lys-Gly(配列番号1)を用い、図3の要領でペプチド合成、およびチオエステル化を試みた。Fmoc-CLEAR AMIDE樹脂を出発物質として、N-アルキルシステイン誘導体をDCC-HOBt法にて、続いてFmoc-GlyをHATU-DIEAを用いて導入した後、ABI社製433Aペプチド合成機を用いてFmocアミノ酸を用いたFastMoc法にてペプチド鎖を伸長した。Reagent K (TFA)による樹脂からのペプチド鎖の脱離、脱保護と同時に、末端N-アルキルシステインのチオール基の脱保護も行った。得られた粗ペプチドを5%3-メルカプトプロピオン酸水溶液中に放置後、HPLCにより反応をモニターしたところ約20時間で反応が完了した。
また、光学活性アミノ酸をC末端としたときのラセミ化の度合いを検討するため、Fmoc-N-Et-Cys(Trt)を導入した後、Leu、Lys、GluをC末端アミノ酸としてペプチド鎖を合成した。5%3-メルカプトプロピオン酸を用いたチオエステル化を行い、別途調製したC末端がDアミノ酸となったものとのHPLCの溶出位置を比較し、ラセミ化の度合いを検討した。その結果、LysをC末端とした場合のラセミ化の度合いは2.5%程度であり、LeuをC末端とした場合のラセミ化の度合いは7%程度であった。
上記の通り、本発明の方法に基づいて、C末端にGlyを持つ10残基のモデルペプチドを合成し、そのチオエステル化を試みたところ、約1日でほとんど副反応なく目的とするペプチドチオエステルが得られることが明らかとなった。また、C末端アミノ酸としてLeu、Lys、Gluを持つペプチドのチオエステル化を行ったところ、C末端アミノ酸のラセミ化の度合いは7%以下であった。これまでのチオエステル合成法に比較して、ラセミ化の程度が低かった。以上の結果から、本発明の方法は、実用的なペプチドチオエステル合成法であることが分かる。
本発明によるペプチドチオエステルの製造方法は、以下に記載の工程(i)から(iv)を含む方法である。以下、工程(i)から(iv)について説明する。
工程(i)は、Fmoc-NH-樹脂を脱保護して、Fmoc-(アミノ酸残基)n-N(R)-CH(CH2SY)-C(=O)OH(nは0または1)を反応させることによってFmoc-(アミノ酸残基)n-N(R)-CH(CH2SY)-C(=O)NH-樹脂を製造する工程である。工程(i)において、Fmoc-N(R)-CH(CH2Y)-C(=O)OHの代わりに、Fmoc-アミノ酸残基-N(R)-CH(CH2SY)-C(=O)OHをNH2-樹脂と反応させることにより、Fmoc-アミノ酸残基-N(R)-CH(CH2SY)-C(=O)NH-樹脂を製造することができる。NH(R)-CH(CH2SY)-C(=O)NH-樹脂へのFmoc-アミノ酸の導入率が悪い場合は、この方法によって導入率を上げることができる。
本発明において、Rは炭素数1から12のアルキル基又は炭素数7から12のアラルキル基を示す。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などを挙げることができ、これらは直鎖、分岐鎖、又は環状のいずれの炭化水素基でもよい。アラルキル基の例としては、ベンジル基などを挙げることができる。Rは好ましくは、メチル基、エチル基、イソブチル基又はベンジル基である。
ここでRが水素の場合、すなわちFmoc基にシステインが結合している場合には、後述する比較例1に示したようにチオエステル交換反応はほとんど進行しないことから、Rはアルキル基又はアラルキル基であることが重要である。
本発明において、Yはチオール基の保護基を示す。チオール基の保護基の例としては、トリチル基、アセタミド基、ベンジル基、メチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、3-ニトロ-2-ピリジンスルフェニル基、エチルメルカプト基、第三ブチルメルカプト基、第三ブチル基などが挙げられる。Yは好ましくは、トリチル基である。
工程(i)は、例えば、Fmoc-CLEAR アミド樹脂をピペリジン/N-メチルピロリドン(NMP)で処理することによってFmoc基を脱保護し、この樹脂に、Fmoc-N(R)-CH(CH2SY)-C(=O)OHを、HOBt/NMP、N-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)/NMPを反応させることによって行うことができる。反応は適温(例えば、40〜60℃)で所定の時間だけ行うことができる。
工程(ii)は、工程(i)で得たFmoc-(アミノ酸残基)n-N(R)-CH(CH2SY)-C(=O)NH-樹脂(nは0または1)のFmoc基を脱保護してから、必要に応じて、Fmoc-アミノ酸を反応させることによって、Fmoc-(アミノ酸残基)n-N(R)-CH(CH2SY)-C(=O)NH-樹脂(nは1または2)を製造し、以下、Fmoc基の脱保護とFmoc-アミノ酸との反応を繰り返すことによって、X-N(R)-CH(CH2SY)-C(=O)-NH-樹脂を製造する工程である。なお、工程(i)において、Fmoc-(アミノ酸残基)n-N(R)-CH(CH2SY)-C(=O)OH(nは1)を反応させることによってFmoc-(アミノ酸残基)n-N(R)-CH(CH2SY)-C(=O)NH-樹脂を製造した場合は、工程(ii)においては、Fmoc-アミノ酸を反応させてもよいし、反応させなくてもよい。
工程(ii)では具体的には、工程(i)の反応生成物をNMPで洗浄後、樹脂をAc2O-DIEA / NMP中で5分間振盪する。NMPによる洗浄、及びピペリジン/NMPによるFmoc基の除去を行った後、Fmoc-Gly、ヘキサフルオロリン酸 O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム(HATU)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)をNMPに溶解した溶液を加えて反応を行う。反応は適温(例えば、40〜60℃)で所定の時間だけ行うことができる。次いで、反応産物をNMPで洗浄後、通常のペプチド合成機を用いて、例えば、FastMoc法により、Fmoc基の脱保護とFmoc-アミノ酸との反応を繰り返すことによって、ペプチド鎖を伸長することができる。
工程(iii)は、工程(ii)で得たX-N(R)-CH(CH2SY)-C(=O)-NH-樹脂に脱保護試薬(例えば、トリフルオロ酢酸など)を作用させて樹脂からの脱離とチオール基の脱保護を行う工程である。具体的には、工程(ii)の生成物(樹脂)に、Reagent Kを加えて室温で反応することができる。ここで、Reagent K とは、TFA: H2O: チオアニソール: エタンジチオール:フェノール=82.5:5:5:2.5:5の試薬である。
工程(iv)は、工程(iii)で得た化合物に酸性チオールを作用させて、チオエステル化合物を製造する工程である。ここで用いる酸性チオールの具体例としては、メルカプトカルボン酸、又はメルカプタンとカルボン酸の混合物を挙げることができる、さらに好ましくは、HSCH2CH2COOH(MPA)、又はHSC6H4CH2COOH(MPAA)、あるいはチオフェノールと酢酸の混合物を用いることができる。
工程(iv)では、工程(iii)の産物から窒素気流によりTFAを除去し、エーテルを加えて沈殿を生じさる。沈殿物をエーテルで洗浄した後、乾燥させる。粗ペプチドをTFAを含むアセトニトリル水溶液で抽出し、3-メルカプトプロピオン酸水溶液あるいは4-メルカプトフェニル酢酸などの酸性チオールのアセトニトリル等の水溶液で希釈し、数時間から数十時間放置することによって、X-S-CH2CH2COOHあるいはX-S-C6H4CH2COOHで表されるペプチドチオエステル化合物を得ることができる。
本発明はさらに、Z-N(R)-CH(CH2SY)-C(=O)OH(式中、Zは水素原子又は9-フルオレニルメトキシカルボニル基を示し、Rは炭素数1から12のアルキル基又は炭素数7から12のアラルキル基を示し、Yはチオールの保護基を示す)で表される化合物に関する。R及びYで表される基の詳細は上記の通りである。以下、上記化合物の製造方法について説明する。
先ず、YSCH2CH(NH2)C(=O)OH(式中、Yはチオール基の保護基である)(即ち、チオール基を保護したシステイン)で表される化合物と、R1CHO(式中、R1は水素原子又は炭素数1から11のアルキル基又は炭素数6から11のアリール基を示す)で表される化合物とを反応させて、YSCH2CH(N=CHR1)C(=O)OH(式中、Y及びR1は上記と同義である)で表される化合物を製造する。ここで、R1が示すアルキル基は、好ましくは炭素数1から9のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1から6のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などを挙げることができ、これらは直鎖、分岐鎖、又は環状のいずれの炭化水素でもよい。R1は特に好ましくはメチル基、イソプロピル基又はフェニル基である。R1CHOで表される化合物との反応は、チオール基を保護したシステインをエタノールと水酸化カリウムを含む水に溶解し、これにR1CHOで表される化合物を添加し、適当な温度(例えば、室温など)で所定の時間だけ攪拌することによって行うことができる。
続いて、YSCH2CH(N=CHR1)C(=O)OH(式中、Y及びR1は上記と同義である)で表される化合物に水素化剤(例えば、NaBH4、又はNaBH3CN)を作用させて、YSCH2CH(NHCH21)C(=O)OH(式中、Y及びR1は上記と同義である)で表される化合物を製造し、所望により9-フルオレニルメトキシカルボニル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(以下、Fmoc-OSu)を作用させて、アミノ基をFmoc基で保護することによって、Z-N(R)-CH(CH2SY)-C(=O)OH(式中、Zは水素原子又は9-フルオレニルメトキシカルボニル基を示し、Rは炭素数1から12のアルキル基又は炭素数7から12のアラルキル基を示し、Yはチオール基の保護基を示す)で表される化合物を製造することができる。水素化剤を作用させる際には、水酸化ナトリウムなどの塩基の存在下で反応を行ってもよい。具体的には、水素化剤(例えば、NaBH4、又はNaBH3CN)をYSCH2CH(N=CHR1)C(=O)OHで表される化合物に添加して、適当な温度で攪拌することによって反応を行うことができる。NaBH4を使用するときには、水酸化ナトリウム水溶液に溶解して用いるのが好ましく、NaBH3CNを使用するときには塩基は特に必要としない。また、Fmoc-OSuを作用させてアミノ基をFmoc基で保護する際には、適当な溶媒(例えば、1,2-ジメトキシエタンなど)中で、炭酸ナトリウムの存在下において、Fmoc-OSuを作用させることによってアミノ基をFmoc基で保護することができる。
以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
実施例1
(1):N-エチル-S-トリチル-L-システイン(1):NaBH4を水素化剤として用いる方法
S-トリチル-L-システイン(1.0 g, 2.8 mmol)をエタノール(7.0 ml) とKOH (150 mg, 2.8 mmol)を含む水(3.0 ml)に溶解し、アセトアルデヒド(0.20 ml, 3.6 mmol)を加えた。溶液を1時間室温で撹拌後、1M NaOH 2滴を含む水(2.0 ml)に溶解したNaBH4 (0.10 g, 2.8 mmol)を加え、室温で15分、60℃で10 分撹拌した。室温に戻した後、1M HClでpHを4に調整して目的物を沈殿させた。4℃で1時間放置後、沈殿を濾過し、少量の蒸留水で洗浄した後、50℃で減圧下一晩乾燥させた。得られた粉末をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=4:1、酢酸1%を含む)で精製し、目的物(0.34 g, 0.87 mmol, 31%)を得た。
(2)N-エチル-S-トリチル-L-システイン(2):NaBH3CNを水素化剤として用いる方法
S-トリチル-L-システイン(1.0 g, 2.8 mmol)とNaBH3CN(0.17 g, 2.8 mmol)をメタノール(28 ml)に懸濁し、アセトアルデヒド(0.19 ml, 3.3 mmol)を加えた。生じた溶液を室温で1時間撹拌した後、溶媒を減圧下留去した。残渣を1-ブタノールに溶解して蒸留水、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムにより乾燥した。溶媒を留去後得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=4:1、酢酸1%を含む)で精製し、目的物(0.52 g, 1.3 mmol, 48%)を得た。
[α]D +30.8o (c 1.1 in CHCl3). Rf 0.27 (9:1 CHCl3-CH3OH containing 1%AcOH). 1H-NMR (CDCl3): δ3.03 (brt, 1H, J=6.1 Hz, αH), 2.81 (m, 1H, βH), 2.71 (m, 1H, βH), 2.56 (m, 2H, -CH 2CH3), 1.04 (brt, 3H, J= 7.3 Hz, CH3-) HRFABMS: Calcd for C24H25NO2S・Na: 414.15037, found: m/z 414.14576.
実施例2:N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-N-エチル-S-トリチル-L-システイン
N-エチル-S-トリチル-L-システイン (220 mg, 0.56 mmol) を10%炭酸ナトリウム水溶液(3 ml) と1,2-ジメトキシエタン (1.5 ml)に溶解し、1,2-ジメトキシエタン (1.5 ml)に溶解したFmoc-OSu (300 mg, 0.89 mmol) を加え、溶液を室温で一夜撹拌した。沈殿を濾過後、ろ液を1 M HClで中和し、目的物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去後、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=2:1、酢酸1%を含む)により精製し、目的物 (280 mg, 0.46 mmol, 82%)を得た。
[α]D -39.6o (c 1.1 in CHCl3). Rf 0.31 (2:1 Toluene-ethyl acetate containing 1% AcOH). 1H-NMR (CDCl3): δ4.51-4.33 (m, 2H, Fmoc -CH2-), 4.19 (brt, J=6.6Hz, 0.6H, Fmoc -CH-), 4.09 (m, 0.4H, Fmoc -CH-), 3.39 (m, 0.4H, -CH 2CH3), 3.28 (m, 0.6H, -CH 2CH3), 3.11 (m, dd, J=5.8, 8.8 Hz, 0.6H, αH), 2.98-2.85 (m, 0.4H; αH, 1.2H; βH x2), 2.74-2.59 (m, 1H; -CH 2CH3, 0.4H; βH), 2.39 (dd, J=9.3, 13.7 Hz, 0.4H, βH), 0.91-0.85 (m, 3H, -CH3). HRFABMS: Calcd for C39H35NO4SNa: 636.21845, found: m/z 636.21236.
実施例3:N-イソブチル-S-トリチル-L-システイン
S-トリチル-L-システイン(1.0 g, 2.8 mmol)をエタノール(7.0 ml) とKOH (150 mg, 2.8 mmol)を含む水(3.0 ml)に溶解し、イソブチルアルデヒド(0.30 ml, 3.3 mmol)を加えた。溶液を1時間室温で撹拌後、1M NaOH 2滴を含む水(2.0 ml)に溶解したNaBH4 (0.13 g, 3.4 mmol)を加え、室温で15分、60℃で10 分撹拌した。室温に戻した後、1M HClでpHを4に調整して目的物を沈殿させた。4℃で1時間放置後、沈殿を濾過し、少量の蒸留水で洗浄した後、50℃で減圧下一晩乾燥させた。得られた粉末をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=7:1、酢酸1%を含む)で精製し、目的物(0.79 g, 1.9 mmol, 67%)を得た。
[α]D +26.1o (c 1.0 in CHCl3-CH3OH 1:1). Rf 0.34 (9:1 CHCl3-CH3OH containing 1% AcOH). 1H-NMR (CDCl3-CD3OD):δ2.96-2.88 (m, 2H, αH, βH), 2.69 (dd, 1H, J=7.8, 12.7 Hz, βH), 2.40-2.32 (m, 2H, CH 2CH(CH3)2), 1.83 (m, 1H, -CH(CH3)2), 0.90 (m,6H, -CH3). HRFABMS: Calcd for C26H29NO2S・Na: 442.18167, found: m/z 442.18614.
実施例4:N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-N-イソブチル-S-トリチル-L-システイン
N-イソブチル-S-トリチル-L-システイン(870 mg, 2.1 mmol)を10%炭酸ナトリウム水溶液(10 ml) と1,2-ジメトキシエタン (5 ml)に溶解し、1,2-ジメトキシエタン (10 ml)に溶解したFmoc-OSu (1.0 g, 3.0 mmol) を加え、溶液を室温で一夜撹拌した。沈殿を濾過後、ろ液を1 M HClで中和し、目的物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去後、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=3:1、酢酸1%を含む)により精製し、目的物 (1.0 g, 1.6 mmol, 75%) を得た。
[α]D -56.1o (c 1.0 in CHCl3). Rf 0.22 (4:1 toluene-ethyl acetate containing 1% AcOH). 1H-NMR (CDCl3): δ4.47 (m, 1.3H, Fmoc -CH2-), 4.36 (m, 0.7H, Fmoc -CH2-), 4.14 (m, 0.7H, Fmoc -CH-), 4.08 (m, 0.3H, Fmoc -CH-), 3.17 (dd, 0.3H, 8.8, 13.7 Hz, -CH 2CH(CH3)2), 3.05 (dd, 0.7H, 4.9, 12.2 Hz, βH), 2.91-2.75 (m, αH, 0.7H,βH, 0.7H, -CH 2CH(CH3)2), 2.70 (m, 0.3H, βH), 2.37-2.32 (m, 0.3H,βH, 0.3H, -CH 2CH(CH3)2), 2.22 (dd, 0.7H, 6.8, 14.1 Hz, -CH 2CH(CH3)2), 1.45 (m, 0.3H, -CH(CH3)2), 1.35 (m, 0.7H, -CH(CH3)2), 0.77 (m, 1.8H, -CH3), 0.65 (d, 2.1H, 6.8 Hz, -CH3), 0.58 (d, 2.1H, 6.3 Hz, -CH3). HRFABMS: Calcd for C41H39NO4S・Na: 664.24975, found: m/z 664.24466.
実施例5:N-ベンジル-S-トリチル-L-システイン
S-トリチル-L-システイン(1.0 g, 2.8 mmol)をエタノール(7.0 ml) とKOH (150 mg, 2.8 mmol)を含む水(3.0 ml)に溶解し、ベンズアルデヒド(0.30 ml, 3.0 mmol)を加えた。溶液を1時間室温で撹拌後、1M NaOH 2滴を含む水(1.0 ml)に溶解したNaBH4 (0.11 g, 2.9 mmol)を加え、室温で15分、60℃で10 分撹拌した。室温に戻した後、1M HClでpHを4に調整して目的物を沈殿させた。4℃で1時間放置後、沈殿を濾過し、少量の蒸留水で洗浄した後、50℃で減圧下一晩乾燥させた。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=13:1、酢酸1%を含む)で精製し、目的物(0.26 g, 0.60 mmol, 22%)を得た。
[α]D 29.8o (c 1.0 in CHCl3). Rf 0.31 (13:1 chloroform-methanol containing 1%AcOH).1H-NMR (CDCl3): δ3.63 (brs, 2H, -CH 2-Ph), 3.02 (brt, 1H, J=5.9 Hz, αH), 2.73 (m, 2H, βH). HRFABMS: Calcd for C29H27NO2S・Na: 476.16602, found: m/z 476.16271.
実施例6:N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-N-ベンジル-S-トリチル-L-システイン
N-ベンジル-S-トリチル-L-システイン(220 mg, 0.49 mmol)を10%炭酸ナトリウム水溶液(3.5 ml)に溶解し、1,2-ジメトキシエタン (1.0 ml)に溶解したFmoc-OSu (0.25 g, 0.74 mmol) を加え、溶液を室温で一夜撹拌した。沈殿を濾過後、ろ液を1 M HClで中和し、目的物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去後、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=5:1、酢酸1%を含む)により精製し、目的物 (180 mg, 0.27 mmol, 54%) を得た。
[α]D -45.4o (c 1.0 in CHCl3). Rf 0.25 (5:1 toluene-ethyl acetate containing 1% AcOH).
1H-NMR (CDCl3): δ4.63 (d, 0.3H, J=15.6Hz, -CH 2-Ph), 4.44 (d, 0.7H, J=16.1 Hz, -CH 2-Ph), 4.12 (m, 1H, Fmoc -CH-), 3.91 (d, 0.3H, J=15.1 Hz, -CH 2-Ph), 3.89 (d, 0.7H, J=16.1 Hz, -CH 2-Ph), 3.40 (m, 1H, αH), 2.95 (dd, 0.7H, J=5.8, 13.7 Hz, βH), 2.85 (d, 0.7H, J=8.3, 13.2 Hz, βH), 2.60 (m, 0.3H, βH), 2.45 (m, 0.3H, βH). HRFABMS: Calcd for C44H37NO4S・Na: 698.23410, found: m/z 698.23063.
実施例7:N-メチル-S-トリチル-L-システイン
S-トリチル-L-システイン(2.0 g, 5.5 mmol)をエタノール(14 ml) とKOH (300 mg, 5.4 mmol)を含む水(6.0 ml)に溶解し、ホルムアルデヒド(36-38%水溶液, 0.54 ml, 6.6 mmol)を加えた.溶液を1時間室温で撹拌後、1M NaOH 4滴を含む水(4.0 ml)に溶解したNaBH4 (0.25 g, 6.6 mmol)を加え、室温で15分、60oCで10 分撹拌した。室温に戻した後、1M HClでpHを4に調製して目的物を沈殿させた。4oCで1時間放置後、沈殿を濾過し、少量の蒸留水で洗浄した後、50oCで減圧下一晩乾燥させた。得られた粉末をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール、4:1、酢酸1%を含む)で精製し、さらにODSカラムを用いて0.1% TFAを含むアセトニトリル水溶液にて精製し、目的物(670 mg, 1.77 mmol, 32%)を得た。
[α]D -9.7o (c 0.5 in CHCl3). Rf 0.27 (6:1 CHCl3-CH3OH containing 1% AcOH).
1H-NMR (CDCl3): δ 2.96 (m, 1H, αH), 2.77 (m, 1H, βH), 2.59 (m, 1H, βH), 2.03 (bs, 3H, -CH3). HRFABMS: Calcd for C23H23NNaO2S: 400.1347, found: m/z 400.1781.
実施例8:N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-N-メチル-S-トリチル-L-システイン
N-メチル-S-トリチル-L-システイン (46 mg, 0.12 mmol) を10% 炭酸ナトリウム水溶液(1.0 ml) と1,2-ジメトキシエタン (0.3 ml)に溶解し、1,2-ジメトキシエタン (0.6 ml)に溶解したFmoc-OSu (82 mg, 0.24 mmol) を加え、溶液を室温で一夜撹拌した。沈殿を濾過後、ろ液を1 M HClで中和し、目的物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去後、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル、1:1、酢酸1%を含む)により精製し、目的物 (54 mg, 90 μmol, 74%)を得た。
[α]D -25.9o (c 1.1 in CHCl3).
Rf 0.22 (2:1 Toluene-ethyl acetate containing 1% AcOH).
1H-NMR (CDCl3): δ4.43-4.33 (m, 2H, Fmoc -CH2-), 4.24 (m, 0.6H, Fmoc ?CH-), 4.17 (m, 0.4H, Fmoc ?CH-), 3.97 (dd, 0.6 H, J=4.9, 10.2 Hz, αH), 3.83 (m, 0.4 H, αH), 2.85 (dd, 0.6 H, J=4.9, 13.1 Hz, βH), 2.71 (s, 1.8 H, -CH3), 2.68 (s, 1.2 H, -CH3), 2.60 (dd, 0.4 H, J= 4.9, 13.1 Hz, βH), 2.41 (dd, 0.4H, J=10.7, 13.1 Hz, βH). HRFABMS: Calcd for C38H33NNaO4S: 622.2028, found: m/z 622.2021.
Figure 0005119159
実施例9:N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-アラニル-N-エチル-S-トリチル-L-システイン
Fmoc-アラニン1水和物(0.23 g, 0.7 mmol)、HATU(0.27 g, 0.7 mmol)をDMF(1 ml)に溶解し、DIEA (0.12 ml, 0.7 mmol)を加え、得られた溶液を室温で2分間撹拌した。この溶液を、 N-Et-Cys(Trt) (0.20 g, 0.53 mmol)、DIEA (0.092 ml, 0.53 mmol)をDMF(0.50 ml)に溶解した溶液に加え室温で1時間反応させた。DMFを減圧流去した後、残渣を酢酸エチルに溶解し、1 M 塩酸、飽和食塩水で洗浄の後、無水硫酸ナトリウムにより乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過した後、溶液を濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール、19:1 1% 酢酸を含む)で精製し、さらにバイオビーズSX-3 (トルエン:酢酸エチル、3:1)により精製し、目的物(0.24 g, 0.35 mmol, 67%)を得た。
[α]D -11.5o (c 1.0 in CHCl3).
Rf 0.29 (19:1 Chloroform-methanol containing 1% AcOH).
1H-NMR (CDCl3): δ4.56 (m, 1H, AlaαH), 4.45-4.14 (m, 3H, Fmoc -CH-, -CH2-), 1.33-1.29 (m, 3H, Ala -CH3), 1.02-0.96 (m, 3H, -CH2-CH 3).
HRFABMS: Calcd for C42H40N2NaO5S, 707.2556, found, m/z 707.2421.
実施例9:N-アルキルシステイン誘導体を用いるC末端残基がグリシンであるペプチドチオエステルの合成例:
(9-1)N-メチルシステインをC末端アミノ酸として用いたGlu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-Lys-Gly-SCH2CH2COOHの合成
Fmoc-CLEAR アミド樹脂(65 mg, 0.03 mmol) を20% ピペリジン/NMP で5 分、15 分処理した。この樹脂にFmoc-N-Me-Cys(Trt) (36 mg, 0.06 mmol)、1 M HOBt/NMP (0.09 ml) 1 M DCC/NMP (0.09 ml)を30 分間反応させた溶液を加え、50℃で1時間反応させた。NMPで洗浄後、樹脂を10% Ac2O-5% DIEA / NMP中で5分間震盪した。NMPによる洗浄、20% ピペリジン/NMPによるFmoc基の除去を行った後、Fmoc-Gly (89 mg, 0.3 mmol)、HATU (108 mg, 0.28 mmol)、DIEA (0.10 ml, 0.60 mmol)をNMPに溶解した溶液を加え、50℃で1時間反応させた。NMPによる洗浄後、ABI 433A ペプチド合成機を用いてFastMoc法によりペプチド鎖を伸長し、Glu(OBut)-Val-Thr(But)-Gly-His(Trt)-Arg(Pbf)-Trp(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Gly-N-Et-Cys(Trt)-NH-樹脂 (129 mg)を得た。樹脂の一部(10 mg)にReagent K (0.4 ml)を加えて室温で2 時間震盪した後、窒素気流によりTFAを除去し、エーテルを加えて沈殿を生じさせた。沈殿物をエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥させた。粗ペプチドを0.1% TFAを含む15% アセトニトリル水溶液(0.2 ml)で抽出し、5% 3-メルカプトプロピオン酸 (MPA) 水溶液(2.0 ml)で希釈し、1夜放置した。粗ペプチドをHPLCにより精製し、Glu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-Lys-Gly-SCH2CH2COOH (0.98 mg, 0.77 μmol, 33%)を得た。
MALDI-TOF MS: found, m/z 1270.3 (M+H)+: calcd. for (M+H)+, 1270.6.
Amino acid analysis: Thr0.84Glu0.93Gly2Val0.90Leu1.10 Lys1.00His0.93Arg0.87.
(9-2)N-エチルシステインをC末端アミノ酸として用いたGlu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-Lys-Gly-SCH2CH2COOHの合成
Fmoc-CLEAR アミド樹脂(220 mg, 0.1 mmol) を20%ピペリジン/NMP で5 分、15 分処理した。この樹脂にFmoc-N-Et-Cys(Trt) (120 mg, 0.2 mmol)、1 M HOBt/NMP (0.3 ml) 1 M DCC/NMP (0.3 ml)を30 分間反応させた溶液を加え、50℃で1時間反応させた。NMPで洗浄後、樹脂を10%Ac2O-5%DIEA/NMP中で5分間振盪した。NMPによる洗浄、20%ピペリジン/NMPによるFmoc基の除去を行った後、Fmoc-Gly (300 mg, 1.0 mmol)、HATU (360 mg, 0.95 mmol)、DIEA (0.35 ml, 2.0mmol)をNMP(1.5 ml)に溶解した溶液を加え、50℃で1時間反応させた。NMPによる洗浄後、ABI 433A ペプチド合成機を用いてFastMoc法によりペプチド鎖を伸長し、Glu(OBut)-Val-Thr(But)-Gly-His(Trt)-Arg(Pbf)-Trp(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Gly-N-Et-Cys(Trt)-NH-樹脂 (430 mg)を得た。樹脂の一部(10 mg)にReagent K (0.4 ml)を加えて室温で2 時間振盪した後、窒素気流によりTFAを除去し、エーテルを加えて沈殿を生じさせた。沈殿物をエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥させた。粗ペプチドを0.1%TFAを含む15%アセトニトリル水溶液(0.2 ml)で抽出し、5%メルカプトプロビオン酸(MPA)水溶液(2.0 ml)で希釈し、1夜放置した。粗ペプチドをHPLCにより精製し、Glu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-Lys-Gly-SCH2CH2COOH (1.0 mg, 0.81 μmol, 34%)を得た。なお、このときのHPLCによる反応経過を図4に示す。
MALDI-TOF MS: found, m/z 1270.8 (M+H)+: calcd. for (M+H)+, 1270.6.
アミノ酸分析: Thr0.95Glu0.87Gly2Val0.94Leu1.03 Lys1.02His0.98Arg0.92.
図4において、0 hのRT=10 minのピークは、Glu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-Lys-Gly-N-ethyl-cysteine-NH2を示し、8 hおよび24 hに現れたRT=10 minのピークはGlu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-Lys-Gly-SCH2CH2COOHを示す。なお、4 minのピークはMPA、12 minのピークはMPA2量体と思われる。
(9-3)N-イソブチルシステインをC末端アミノ酸として用いたGlu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-Lys-Gly-SCH2CH2COOHの合成
Fmoc-CLEAR アミド樹脂(220 mg, 0.1 mmol) を20%ピペリジン/NMP で5 分、15 分処理した。この樹脂にFmoc-N-iBu-Cys(Trt) (130 mg, 0.2 mmol)、1 M HOBt/NMP (0.3 ml) 1 M DCC/NMP (0.3 ml)を30 分間反応させた溶液を加え、50℃で1時間反応させた。NMPで洗浄後、樹脂を10%Ac2O-5%DIEA/NMP中で5分間振盪した。NMPによる洗浄、20%ピペリジン/NMPによるFmoc基の除去を行った後、Fmoc-Gly (300 mg, 1.0 mmol)、HATU (360 mg, 0.95 mmol)、DIEA (0.35 ml、2.0mmol)をNMP(1.5 ml)に溶解した溶液を加え、50℃で1時間反応させた。NMPによる洗浄後、ABI 433A ペプチド合成機を用いてFastMoc法によりペプチド鎖を伸長し、Glu(OBut)-Val-Thr(But)-Gly-His(Trt)-Arg(Pbf)-Trp(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Gly-N-iBu-Cys(Trt)-NH-樹脂 (390 mg)を得た。樹脂の一部(10 mg)にReagent K (0.4 ml)を加えて室温で2 時間振盪した後、窒素気流によりTFAを除去し、エーテルを加えて沈殿を生じさせた。沈殿物をエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥させた。粗ペプチドを0.1%TFAを含む15%アセトニトリル水溶液(0.2 ml)で抽出し、5% メルカプトプロビオン酸(MPA)水溶液(2.0 ml)で希釈し、1夜放置した。粗ペプチドをHPLCにより精製し、Glu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-Lys-Gly-SCH2CH2COOH (0.85 mg、0.67μmol、28%)を得た。
MALDI-TOF MS: found, m/z 1270.9 (M+H)+: calcd. for (M+H)+, 1270.6.
アミノ酸分析: Thr0.96Glu0.94Gly2Val0.93Leu1.02 Lys1.02His0.95 Arg0.94.
(9-4)N-ベンジルシステインをC末端アミノ酸として用いたGlu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-Lys-Gly-SCH2CH2COOHの合成
Fmoc-CLEAR アミド樹脂(110 mg, 0.05 mmol) を20%ピペリジン/NMP で5 分、15 分処理した。この樹脂にFmoc-N-Bn-Cys(Trt) (68 mg, 0.1 mmol)、1 M HOBt/NMP (0.15 ml) 1 M DCC/NMP (0.15 ml)を30 分間反応させた溶液を加え、50℃で1時間反応させた。NMPで洗浄後、樹脂を10%Ac2O-5%DIEA/NMP中で5分間振盪した。NMPによる洗浄、20%ピペリジン/NMPによるFmoc基の除去を行った後、Fmoc-Gly (150 mg, 0.5 mmol)、HATU (180 mg, 0.47 mmol)、DIEA (0.18 ml, 1.0mmol)をNMP(0.8 ml)に溶解した溶液を加え、50℃で1時間反応させた。NMPによる洗浄後、ABI 433A ペプチド合成機を用いてFastMoc法によりペプチド鎖を伸長し、Glu(OBut)-Val-Thr(But)-Gly-His(Trt)-Arg(Pbf)-Trp(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Gly-N-Bn-Cys(Trt)-NH-樹脂 (180 mg)を得た。樹脂の一部(10 mg)にReagent K (0.4 ml)を加えて室温で2 時間振盪した後、窒素気流によりTFAを除去し、エーテルを加えて沈殿を生じさせた。沈殿物をエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥させた。粗ペプチドを0.1%TFAを含む15%アセトニトリル水溶液(0.2 ml)で抽出し、5% メルカプトプロビオン酸(MPA)水溶液(2.0 ml)で希釈し、1夜放置した。粗ペプチドをHPLCにより精製し、Glu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-Lys-Gly-SCH2CH2COOH (0.60 mg, 0.47 μmol, 17%)を得た。
MALDI-TOF MS: found, m/z 1270.6 (M+H)+: calcd. for (M+H)+, 1270.6.
アミノ酸分析: Thr0.78Glu0.97Gly2Val0.79Leu1.01Lys0.91His0.87Arg0.82.
比較例1:システインをC末端アミノ酸として用いたGlu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-Lys-Gly-SCH2CH2COOHの合成
Fmoc-CLEAR アミド樹脂(110 mg, 0.05 mmol) を出発物質としてABI 433A ペプチド合成機を用いてFastMoc法によりペプチド鎖を伸長し、Glu(OBut)-Val-Thr(But)-Gly-His(Trt)-Arg(Pbf)-Trp(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Gly-Cys(Trt)-NH-樹脂 (209 mg)を得た。樹脂の一部(10 mg)にReagent K (0.4 ml)を加えて室温で2 時間振盪した後、窒素気流によりTFAを除去し、エーテルを加えて沈殿を生じさせた。沈殿物をエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥させた。粗ペプチドを0.1%TFAを含む15%アセトニトリル水溶液(0.2 ml)で抽出し、5% メルカプトプロビオン酸(MPA)水溶液(2.0 ml)で希釈し、1夜放置した。粗ペプチドをHPLCにより精製し、Glu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-Lys-Gly-SCH2CH2COOH (24 μg, 0.045 μmol, 1.9%)を得た。
MALDI-TOF MS: found, m/z 1270.8 (M+H)+: calcd. for (M+H)+, 1270.6.
アミノ酸分析: Thr0.84Glu0.89Gly2Val0.85Leu0.98Lys0.78His0.77Arg0.93.
Figure 0005119159
Figure 0005119159
実施例10:N-エチルシステインをC末端アミノ酸として用いたGlu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-Lys-Gly-SC6H5の合成
(9-2)で合成したGlu(OBut)-Val-Thr(But)-Gly-His(Trt)-Arg(Pbf)-Trp(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Gly-N-Et-Cys(Trt)-NH-樹脂 (430 mg)のうち10 mgをとり、Reagent K (0.4 ml)を加えて室温で2 時間振盪した後、窒素気流によりTFAを除去し、エーテルを加えて沈殿を生じさせた。沈殿物をエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥させた。粗ペプチドを0.1%TFAを含む15%アセトニトリル水溶液(0.2 ml)で抽出し、30% アセトニトリル水1.7 mlで希釈した。酢酸(100 μl)とチオフェノール(40 μl)を加え、反応液を室温で24時間震盪した。反応液をHPLCにより精製し、Glu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-Lys-Gly-SC6H5 (1.0 mg, 0.80 μmol,35%)を得た。
MALDI-TOF MS: found, m/z 1274.9 (M+H)+: calcd. for (M+H)+, 1274.7.
アミノ酸分析: Thr0.98Glu0.92Gly2Val0.90Leu0.99Lys0.98His0.93Arg1.02.
実施例11:N-エチルシステイン誘導体を用いるC末端残基がグリシン以外のペプチドチオエステル合成例:
(11-1) Ala-Thr-Glu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-SCH2CH2COOHの合成
Fmoc-N-Et-Cys(Trt)-NH-resin (0.03 mmol) 20%をピペリジン/NMP で5 分、15 分処理した。この樹脂にFmoc-Leu (180 mg, 0.5 mmol)、HATU (180 mg, 0.47 mmol)、DIEA (0.23 ml, 1.3 mmol)、NMP(0.8 ml)に溶解した溶液を加え、50℃で1時間反応させた。樹脂をNMPにより洗浄後、上記のFmoc-Leuとの反応を2回繰り返した。NMPによる洗浄後、ABI 433A ペプチド合成機を用いてFastMoc法によりペプチド鎖を伸長し、Ala-Thr(But)-Glu(OBut)-Val-Thr(But)-Gly-His(Trt)-Arg(Pbf)-Trp(Boc)-Leu-N-Et-Cys(Trt)-NH-resin (184 mg)を得た。樹脂の一部(10 mg)にReagent K (0.4 ml)を加えて室温で2 時間振盪した後、窒素気流によりTFAを除去し、エーテルを加えて沈殿を生じさせた。沈殿物をエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥させた。粗ペプチドを0.1%TFAを含む15%アセトニトリル水溶液(0.2 ml)で抽出し、5% 3-メルカプトプロピオン酸(MPA)水溶液(2.0 ml)で希釈し、2夜放置した。粗ペプチドをHPLCにより精製し、Ala-Thr-Glu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-SCH2CH2COOH (0.15 mg, 0.12μmol, 7.0%)を得た。また、ラセミ化の度合いは6.8%程度であった。
アミノ酸分析: Thr1.81Glu0.93Gly1Ala0.96Val0.94Leu0.93His0.95Arg0.91.
MALDI-TOF MS: found, m/z (M+H)+: 1258.1, calcd. for (M+H)+ 1257.6.
(11-2)Trp-Leu-Lys-Gly-Gly-Val-Val-Leu-Lys-Glu-SCH2CH2COOHの合成
Fmoc-N-Et-Cys(Trt)-NH-resin (0.03 mmol) を20%ピペリジン/NMP で5 分、15 分処理した。この樹脂にFmoc-Glu(OBut) (210 mg, 0.5 mmol)、HATU (180 mg, 0.47 mmol)、DIEA (0.23 ml, 1.3 mmol)、NMP(0.8 ml)に溶解した溶液を加え、50℃で1時間反応させた。樹脂をNMPにより洗浄後、上記のFmoc- Glu(OBut)との反応を2回繰り返した。NMPによる洗浄後、ABI 433A ペプチド合成機を用いてFastMoc法によりペプチド鎖を伸長し、Trp(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Gly-Gly-Val-Val-Leu-Lys(Boc)-Glu(OBut)-N-Et-Cys(Trt)-NH-resin (90 mg) を得た。樹脂の一部(10 mg)にReagent K (0.4 ml)を加えて室温で2 時間振盪した後、窒素気流によりTFAを除去し、エーテルを加えて沈殿を生じさせた。沈殿物をエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥させた。粗ペプチドを0.1%TFAを含む15%アセトニトリル水溶液(0.2 ml)で抽出し、5% 3-メルカプトプロピオン酸(MPA)水溶液(2.0 ml)で希釈し、2夜放置した。粗ペプチドをHPLCにより精製し、Trp-Leu-Lys-Gly-Gly-Val-Val-Leu-Lys-Glu-SCH2CH2COOH (0.21mg, 0.18 mmol,5.3%)を得た。
アミノ酸分析: Glu0.91Gly2Val1.13Leu1.90Lys2.01
MALDI-TOF MS: found, m/z (M+H)+: 1216.7, calcd. for (M+H)+ 1216.7.
(11-3)Thr-Glu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-Lys-SCH2CH2COOH
Fmoc-N-Et-Cys(Trt)-NH-resin (0.03 mmol) を20%ピペリジン/NMP で5 分、15 分処理した。この樹脂にFmoc-Lys(Boc) (0.23 g, 0.5 mmol)、HATU (180 mg, 0.47 mmol)、DIEA (0.23 ml, 1.3 mmol)、NMP(0.8 ml)に溶解した溶液を加え、50oCで1時間反応させた。樹脂をNMPにより洗浄後、上記のFmoc-Lys(Boc)との反応を2回繰り返した。NMPによる洗浄後、ABI 433A ペプチド合成機を用いてFastMoc法によりペプチド鎖を伸長し、Thr(But)-Glu(OBut)-Val-Thr(But)-Gly-His(Trt)-Arg(Pbf)-Trp(Boc)-Leu-Lys(Boc)-N-Et-Cys(Trt)-NH-resin (101 mg)を得た。樹脂の一部(10 mg)にReagent K (0.4 ml)を加えて室温で2 時間振盪した後、窒素気流によりTFAを除去し、エーテルを加えて沈殿を生じさせた。沈殿物をエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥させた。粗ペプチドを0.1%TFAを含む15%アセトニトリル水溶液(0.2 ml)で抽出し、5% 3-メルカプトプロピオン酸(MPA)水溶液(2.0 ml)で希釈し、3夜放置した。粗ペプチドをHPLCにより精製し、Thr-Glu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-Lys-SCH2CH2COOH (0.17 mg, 0.13 μmol, 4.4%)を得た。また、ラセミ化の度合いは2.5%程度であった。
アミノ酸分析: Thr1.81Glu0.82Gly1Val0.93Leu0.93Lys1.02His0.99Arg0.92.
MALDI-TOF MS: found, m/z (M+H)+: 1315.0, calcd. for (M+H)+ 1314.7.
実施例12−1: N-結合型の2糖を有する糖ペプチドチオエステル[エムプリン(34-58):Gly-Ser-Lys-Ile-Leu-Leu-Thr-Cys(Acm)-Ser-Leu-Asn(GlcNAc2)-Asp-Ser-Ala-Thr-Glu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-Lys-Gly-SCH2CH2COOH]の合成(図5)
Fmoc-CLEAR アミド樹脂(220 mg, 0.1 mmol) を20% ピペリジン/NMP で5 分、15 分処理した。この樹脂にFmoc-N-Et-Cys(Trt) (123 mg, 0.2 mmol)、1 M HOBt/NMP (0.25 ml) 1 M DCC/NMP (0.25 ml)を30 分間反応させた溶液を加え、1時間反応させた。NMPで洗浄後、樹脂を10% Ac2O-5% DIEA / NMP中で5分間震盪した。NMPによる洗浄後、20% ピペリジン/NMP で5 分、15 分処理した。Fmoc-Gly (150 mg, 0.5 mmol)、HATU (180 mg, 0.48 mmol), DIEA (0.17 ml, 1 mmol)を加えて50 ℃で1時間反応させた。もう一度同量のFmoc-Gly, HATU, DIEAを加えて50℃で1時間反応させた。得られた樹脂上でペプチド合成機を用いてFastMoc法によりペプチド鎖を伸長し、Asp(OBut)-Ser(But)-Ala-Thr(But)-Glu(OBut)-Val-Thr(But)-Gly-His(Trt)-Arg(Pbf)-Trp(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Gly-N-Et-Cys(Trt)-NH-樹脂を得た。得られた樹脂の半分量(0.05 mmol)に対して Fmoc-Asn (GlcNAc2Bn5) (120 mg, 0.1 mmol)、1 M HOBt/NMP (0.12 ml) 、1 M DCC/NMP (0.12 ml)を室温で30分撹拌した溶液を加え、50 ℃で1時間撹拌した。残りのアミノ酸配列も自動合成機により導入し、Gly-Ser(But)-Lys(Boc)-Ile-Leu-Leu-Thr(But)-Cys(Acm)-Ser(But)-Leu-Asn(GlcNAc2Bn5)-Asp(OBut)-Ser(But)-Ala-Thr(But)-Glu(OBut)-Val-Thr(But)-Gly-His(Trt)-Arg(Pbf)-Trp(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Gly-N-Et-Cys(Trt)-NH-樹脂 (356 mg)を得た。ペプチド鎖の脱保護を図るために、このうち200 mgに Reagent K (3.5 ml)を加えて室温で2 時間震盪した後、窒素気流によりTFAを除去し、エーテルを加えて沈殿を生じさせた.沈殿物をエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥させた。糖鎖部分の脱保護を図るため、粗ペプチドをさらにLow-TfOH [TfOH/TFA/DMS/m-cresol (1:5:3:1, 4.0 ml)]により-15 ℃で2時間処理した。エーテルを加えて沈殿を生じさせた。沈殿物をエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥させた。粗ペプチドを5% メルカプトプロビオン酸(MPA)を含む10%アセトニトリル水溶液 (30 ml)に溶解し、室温で2日間放置した後HPLCにより精製し、エムプリン(34-58)チオエステルGly-Ser-Lys-Ile-Leu-Leu-Thr-Cys(Acm)-Ser-Leu-Asn(GlcNAc2)-Asp-Ser-Ala-Thr-Glu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-Lys-Gly-SCH2CH2COOH 1 (2.3 μmol, 8.2%)を得た。
MALDI-TOF MS: found, m/z 3251.8 (M+H)+: calcd. for (M+H)+, 3251.6.
Amino acid analysis: Asp1.94Thr2.42Ser2.47Glu0.94Gly3 Ala1.11Val1.49Ile0.86Leu3.78Lys1.95His0.98Arg1.03.
なお、特開平11-217397号公報記載の方法に準じ、Fmoc基除去試薬(1-メチルピロリジン 25 ml、ヘキサメチレンイミン 2 ml、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール 2 g、1-メチル-2-ピロリジノン(1-メチル-2-ピロリドン)/ジメチルスホキシド混合溶媒(容量比1/1) 全 100 ml)を用いて同様の反応を行ったところ、収率は1.8%であった。
文献Hojo, H.; Haginoya, E.; Matsumoto, Y.; Nakahara, Y.; Nabeshima, K.; Toole, B. P.; Watanabe, Y. Tetrahedron Lett. 2003, 44, 2961-2964.
実施例12−2:O-結合型の5糖を有する糖ペプチドチオエステル(エムプリン(34-58): Gly-Ser-Lys-Ile-Leu-Leu-Thr-Cys(Acm)-Ser-Leu-Thr[(Gal-GlcNAc)2-GalNAc]-Asp-Ser-Ala-Thr-Glu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-Lys-Gly-SCH2CH2COOH 3の合成
Figure 0005119159
化合物1を合成する際に得られた樹脂Asp(OBut)-Ser(But)-Ala-Thr(But)-Glu(OBut)-Val-Thr(But)-Gly-His(Trt)-Arg(Pbf)-Trp(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Gly-N-Et-Cys(Trt)-NH-樹脂25 μmol分を取り、化合物2 (83 mg, 37 μmol)、1 M HOBt/NMP (0.1 ml) 、1 M DCC/NMP (0.1 ml)を室温で30分撹拌した溶液を加え、50 oCで8時間撹拌した。残りのアミノ酸配列は、Fmoc-アミノ酸 (0.1 mmol)、DCC (0.15 mmol)、HOBt (0.15 mmol)のNMP溶液を用いて手動により伸長した。以上のようにして得られたFmoc-Gly-Ser(But)-Lys(Boc)-Ile-Leu-Leu-Thr(But)-Cys(Acm)-Ser(But)-Leu-Thr*-Asp(OBut)-Ser(But)-Ala-Thr(But)-Glu(OBut)-Val-Thr(But)-Gly-His(Trt)-Arg(Pbf)-Trp(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Gly-N-Et-Cys(Trt)-NH-樹脂(171 mg)のうち85 mgを20% piperidine/NMPで処理した。得られた樹脂にReagent K (1.5 ml)を加えて室温で2 時間震盪した後、窒素気流によりTFAを除去し、エーテルを加えて沈殿を生じさせた。沈殿物をエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥させた。粗ペプチドをさらにLow-TfOH [TfOH/TFA/DMS/m-cresol (1:5:3:1, 0.6 ml)]により-15 ℃で2時間処理した。エーテルを加えて沈殿を生じさせた。沈殿物をエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥させた。粗ペプチドを5% MPAを含む水(10 ml)に溶解し、室温で3日間放置した。その後HPLCにより精製し、エムプリン(34-58)チオエステルGly-Ser-Lys-Ile-Leu-Leu-Thr-Cys(Acm)-Ser-Leu-Thr[(Gal-GlcNAc)2-GalNAc]-Asp-Ser-Ala-Thr-Glu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-Lys-Gly-SCH2CH2COOH 3 (0.7 μmol, 5.5%)を得た。
MALDI-TOF MS: found, m/z 3765.8 (M+H)+: calcd. for (M+H)+, 3764.8. Amino acid analysis: Asp0.97Thr3.33Ser2.43Glu0.94Gly3Ala1.15Val1.39Ile0.89Leu3.80 Lys2.04His1.00Arg1.00.
Figure 0005119159

なお特開平11-217397号公報記載の方法に準じて同じペプチドチオエステル(ただしC末端がチオエステルアミドとなっている)を合成したところ、収率は2.2%であった。
文献:Ueki, A.; Nakahara, Y.; Hojo, H.; Nakahara, Y. Tetrahedron 2007, 63, 2170-2181.
実施例12−3:分子内に2つの糖鎖を持つムチンペプチドAc-Val-Thr(GalGalNAc)-Ser-Ala-Pro-Asp-Thr-Arg-Pro-Ala-Pro-Gly-Ser-Thr(GalGalNAc)-Ala-Pro-Pro-Ala-His-Gly-SCH2CH2COOH 5の合成
Figure 0005119159
CLEAR Amide resin (0.25 mmol, 544 mg) を出発物質とし、Fmoc-N(Et)-Cys(Trt)-OH (307 mg, 0.5 mmol) を1 M DCC (750 μl)、1 M HOBt (750 μl) を用いて50oCで縮合した。ピペリジンによる脱Fmocの後、Fmoc-Gly (372 mg, 1.25 mmol) をHATU (475 mg, 1.25 mmol)、DIEA (327 μl, 1.88 mmol) を用いて50℃で縮合反応し、30分後にDIEA (109μl, 0.63 mmol) を追加し、さらに30分反応させた。Fmoc-Glyは、ダブルカップリングさせた。ABI 433Aペプチド合成機を用いて、得られた樹脂上で糖ユニット手前までペプチド鎖を伸長した。0.1 mmol分の樹脂を取り出し、化合物4 (231 mg, 0.2 mmol) を0.45 M HBTU-HOBt/DMF (422 μl, 0.19 μmol) と、DIEA (69.7 ml, 0.4 mmol) を用いて50℃で1時間反応させた。さらに次の糖ユニットまでをペプチド合成機により伸長させ、Fmoc-Thr(GalGalNAc) (231 mg, 0.2 mmol) を0.45 M HBTU-HOBt/DMF (422μl, 0.19 μmol) と、DIEA (69.7 ml, 0.4 mmol) を用いて50℃で1時間反応させた。最後にFmoc-Val (67.8 mg, 0.2 mmol) を1 M DCC (300 μl)、1 M HOBt (300μl) で縮合させ、N末端がFmoc基の保護ペプチドを得た。その樹脂の半分を、脱Fmoc、およびAc2O/DIEA/NMPによるAc化を行った。得られた樹脂を乾燥させ、全量 (352 mg) をReagent K (5 ml) で1時間反応させた。反応液を窒素ガスにより除去し、そこにジエチルエーテルを加え、ペプチドを沈殿させた。この操作を3回繰り返し、沈殿を真空乾燥させた。得られたペプチドをLow-TfOH [TfOH/TFA/DMS/m-cresol (1:5:3:1, 4.0 ml)]により-15 ℃で2時間処理した。冷やしたジエチルエーテルを加えて、ペプチドを沈殿させた。この操作を3回繰り返し、沈殿を真空乾燥させた。乾燥後、2 mlの蒸留水に溶解し、5%のメルカプトプロピオン酸を加え、2日間反応させた。HPLCにより精製し、目的とする糖ペプチドチオエステル5を得た。得られたペプチドは、18.9 mg (6.9 mmol, 14%) であった。
MALDI-TOF MS: found: m/z 2747.74 (M+H)+, calcd for: 2747.20 (M+H)+.
Amino acid analysis: Asp1.00Thr2.73Ser1.93Pro5.05Gly2.00 Ala3.88Val0.96His1.00Arg0.96.
Figure 0005119159
実施例12−4:無保護の9糖を持つアミノ酸を利用した糖ペプチドチオエステル[CCL27(37-69)]の合成例(図6)
Fmoc-CLEAR アミド樹脂(430 mg, 0.2 mmol) を20% ピペリジン/NMP で5 分、15 分処理した。この樹脂にFmoc-N-Et-Cys(Trt) (245 mg, 0.4 mmol)、1 M HOBt/NMP (0.5 ml) 1 M DCC/NMP (0.5 ml)を30 分間反応させた溶液を加え、1時間反応させた。NMPで洗浄後、樹脂を10% Ac2O-5% DIEA / NMP中で5分間震盪した。NMPによる洗浄後、20% ピペリジン/NMP で5 分、15 分処理した。Fmoc-Gly (300 mg, 1.0 mmol)、HATU (360 mg, 0.95 mmol)、DIEA (0.35 ml, 2.0 mmol)を加えて50 ℃で1時間反応させた。もう一度同量のFmoc-Gly、HATU、DIEAを加えて50 ℃で1時間反応させた。得られた樹脂上でペプチド合成機を用いてFastMoc法によりペプチド鎖を伸長し、Arg(Pbf)-Ser(Bt)-Leu-Ala-Arg(Pbf) -Trp(Boc)-Leu- Glu(OBut)-Arg(Pbf)-Gln(Trt)-Gly-N-Et-Cys(Trt)-NH-樹脂を得た。得られた樹脂 19 μmol分を取り、Fmoc-Asn[(Gal-GlcNAc-Man)2Man-GlcNAc2] (57 mg, 29μmol)、DEPBT(17 mg、57 μmol)、DIEA (20 μl, 104 μmol)をDMSO(0.4 ml)に溶解した溶液を加えた。50 oCで3時間震盪した後、NMPで洗い、Z(Cl)-OSu(57 mg, 0.2 mmol), DIEA (0.07 ml, 0.4 mmol)をNMP(0.4 ml)に溶解した溶液を加えて室温で20分間震盪した。残りのアミノ酸配列は、Fmoc-アミノ酸 (0.1 mmol)、DCC (0.15 mmol)、HOBt (0.15 mmol)のNMP溶液(2.5 ml)を用いて手動により伸長した。このようにして得られたFmoc-Asp(OBut)-Cys(Acm)-His(Trt)-Leu-Gln(Trt)-Ala-Val-Val-Leu-His(Trt)-Leu-Ala-Arg(Pbf)-Arg(Pbf)-Ser-Val-Cys(Acm)-Val-His(Trt)-Pro-Gln(Trt)-Asn[(Gal-GlcNAc-Man)2Man-GlcNAc2]-Arg(Pbf)-Ser(But)-Leu-Ala-Arg(Pbf)-Trp(Boc)-Leu-Glu(OBut)-Arg(Pbf)-Gln(Trt)-Gly-N-Et-Cys(Trt)-NH-樹脂(0.17 g)に Reagent K (3.5 ml)を加えて室温で2 時間震盪した後、窒素気流によりTFAを除去し、エーテルを加えて沈殿を生じさせた。沈殿物をエーテルで3回洗浄した後、減圧下で乾燥させた。粗ペプチドを2% メルカプトフェニル酢酸 (MPAA)を含む10%アセトニトリル水溶液 (30 ml)に溶解し、室温で2日間放置した後HPLCにより精製し、CCL27(37-69)チオエステルFmoc-Asp-Cys(Acm)-His-Leu-Gln-Ala-Val-Val-Leu-His-Leu-Ala-Arg-Arg-Ser-Val-Cys(Acm)-Val-His-Pro-Gln-Asn[(Gal-GlcNAc-Man)2Man-GlcNAc2]-Arg-Ser-Leu-Ala-Arg-Trp-Leu-Glu-Arg-Gln-Gly-SC6H4CH2COOH (3.4 mg, 0.57 μmol, 3.0%)を得た。
MALDI-TOF MS: found: m/z 5989.6 (M+H)+, calcd for: (M+H)+ 5988.6.
Amino acid analysis: Asp0.95Thr1.68Ser2.81Glu4.43Pro3.99Gly1.00 Ala1.07Val0.62Met0.97Ile0.52Leu6.84Tyr0.75His0.90Arg3.66.
本発明によると、タンパク質や糖タンパク質の化学合成に必須のペプチドチオエステルやN-結合型やO-結合型の糖ペプチドチオエステルを高収率で固相合成することができる。この方法によって得られたタンパク質や糖タンパク質は、医薬品の製造に利用することができる。また、本発明で製造した糖タンパク質は、天然由来の糖タンパク質と同様の活性、例えば繊維芽細胞からのマトリックスメタロプロテイナーゼ産生促進効果を示すことが予想される。
図1は、本発明によるペプチドチオエステルの製造方法の概要を示す。 図2は、N-アルキルシステイン誘導体の製造方法を示す。 図3は、モデルペプチドとしてGlu-Val-Thr-Gly-His-Arg-Trp-Leu-Lys-Glyを用いた場合のペプチド合成およびチオエステル化の概要を示す。 図4は、N-エチル-システインを用いた場合の反応経過を示す。*はMPA由来のピークを示す。 図5は、キトビオース(GlcNAc2)を持つエムプリン(34-58)チオエステルの合成ルートを示す. 図6は、9糖を持つCCL27(37-69)チオエステルの合成ルートを示す。

Claims (9)

  1. (i)Fmoc−NH−樹脂を脱保護して、Fmoc−(アミノ酸残基)n-N(R)−CH(CH2SY)−C(=O)OH(nは0または1)を反応させることによってFmoc−(アミノ酸残基)n-N(R)−CH(CH2SY)−C(=O)NH−樹脂を製造する工程;
    (ii)工程(i)で得たFmoc−(アミノ酸残基)n-N(R)−CH(CH2SY)−C(=O)NH−樹脂(nは0または1)のFmoc基を脱保護してから、必要に応じて、Fmoc−アミノ酸を反応させることによって、Fmoc−(アミノ酸残基)n−N(R)−CH(CH2SY)−C(=O)NH−樹脂(nは1または2)を製造し、以下、Fmoc基の脱保護とFmoc−アミノ酸との反応を繰り返すことによって、X−N(R)−CH(CH2SY)−C(=O)−NH−樹脂を製造する工程;
    (iii)工程(ii)で得たX−N(R)−CH(CH2SY)−C(=O)−NH−樹脂に脱保護試薬を作用させて樹脂からの脱離とチオール基の脱保護を行う工程、
    (iv)工程(iii)で得た化合物に酸性チオールを弱酸性条件下で作用させて、チオエステル化合物を製造する工程:
    (式中、Fmocは9−フルオレニルメトキシカルボニル基を示し、Rは炭素数1から12のアルキル基又は炭素数7から12のアラルキル基を示し、Yはチオール基の保護基を示し、Xはペプチド残基を示す。)
    を含む、ペプチドチオエステルの製造方法。
  2. 工程(iii)における脱保護試薬が、トリフルオロ酢酸である、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(iv)における酸性チオールが、メルカプトカルボン酸、又はメルカプタンとカルボン酸の混合物である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程(iv)における酸性チオールが、HSCH2CH2COOH(MPA)、又はHSCCHCOOH(MPAA)であるか、あるいはチオフェノールと酢酸の混合物である、請求項1から3の何れかに記載の方法。
  5. Rがメチル基、エチル基、イソブチル基又はベンジル基である、請求項1から4の何れかに記載の方法。
  6. Yがトリチル基である、請求項1から5の何れかに記載の方法。
  7. Z−N(R)−CH(CH2SY)−C(=O)OH(式中、Zは水素原子又は9−フルオレニルメトキシカルボニル基を示し、Rは炭素数1から12のアルキル基又は炭素数7から12のアラルキル基を示し、Yはトリチル基を示す)で表される化合物。
  8. (i)YSCH2CH(NH2)C(=O)OH(式中、Yはチオール基の保護基である)で表される化合物と、R1CHO(式中、R1は水素原子又は炭素数1から11のアルキル基又は炭素数6から11のアリール基を示す)で表される化合物とを反応させて、YSCH2CH(N=CHR1)C(=O)OH(式中、Y及びR1は上記と同義である)で表される化合物を製造する工程;
    (ii)工程(i)で得たYSCH2CH(N=CHR1)C(=O)OH(式中、Y及びR1は上記と同義である)で表される化合物に水素化剤を作用させて、YSCH2CH(NHCH21)C(=O)OH(式中、Y及びR1は上記と同義である)で表される化合物を製造し、所望により9−フルオレニルメトキシカルボニル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを作用させて、アミノ基を9−フルオレニルメトキシカルボニル基で保護する工程:
    を含む、請求項7に記載の化合物の製造方法。
  9. 工程(ii)における水素化剤が、NaBH4、又はNaBH3CN である、請求項8に記載の方法。
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