JP5328345B2 - ペプチドのチオエステル化合物の製造方法 - Google Patents

ペプチドのチオエステル化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ペプチドのチオエステル化合物の製造方法に関する。
生体内に存在するタンパク質の多くは、糖鎖を有する糖タンパク質である。糖タンパク質中の糖鎖はタンパク質の3次元構造の維持や溶解性の調節、プロテアーゼ耐性の付加などの働きを担っている。最近になり、糖タンパク質中の糖鎖が受精や分化、シグナル伝達、癌化、タンパク質の細胞内輸送や生理活性の調節などの生命現象に関与することが明らかにされつつある。このように、タンパク質に結合した糖鎖は様々な生理機能に重要な役割を果たしている。しかし、これら糖鎖の構造は多様で、その種類は膨大であるため、どの構造の糖鎖が生命現象に関与しているかを特定するのはきわめて困難な状況である。こういった機能の解明のためにも、単一構造の糖鎖を持った糖タンパク質、糖ペプチドの合成が必要不可欠である。現在のところ、生物学的手法ではタンパク質発現を用いて糖タンパク質を発現させることは可能であるが、均一な構造の糖鎖を持った糖タンパク質を得ることは難しい。そのため、近年では単一構造の糖鎖を有する糖ペプチド、糖タンパク質を化学的に精密合成することが検討されている。
本発明者等は、原料となりうる2分岐複合型糖鎖を鶏卵より酵素法と化学法を組み合わせることで大量に調製する方法(特許文献1)、また複合型糖鎖をペプチドの固相合成法を応用することで、シアリル糖鎖ペプチドを合成する方法(特許文献2)を確立した。糖ペプチドを高分子化することができれば、単一構造の糖鎖を持つ大型の糖タンパク質の合成を行うことが可能となる。
ペプチドを高分子化する方法としては、現在のところN末端のアミノ酸がシステイン(Cys)のペプチドフラグメントとC末端にチオエステルを持つペプチドをカップリングさせるNative chemical ligation法(非特許文献1)が最も有効であると考えられている。
ペプチドの合成方法としては、不溶性樹脂担体にN末端が保護されたアミノ酸を固定化し、アミノ酸の保護基を脱保護した後に順次ペプチド鎖を伸長させていく固相合成法が一般的に用いられる。C末端にチオエステルを持つペプチドを製造する方法としては、固相からペプチドを切り出す際にチオエステル化を行う方法、固相からペプチドを切り出した後にペプチドのC末端カルボキシル基をチオエステル化する方法等が挙げられる。
固相からペプチドを切り出す際にチオエステル化する方法としては、例えば固相樹脂にSafety Catch Linkerを用いてペプチドを製造し、チオール化合物を作用させる方法が知られている(非特許文献1、2)。しかしながら、1つ目のアミノ酸を樹脂へ固定化する際の縮合効率が悪い点や、その縮合時にアミノ酸が僅かにラセミ化する点、チオール化合物によるエステル化の反応性が劣るなど多くの問題を有している。また、糖ペプチドの糖鎖水酸基が保護されていない場合には、Safety Catch Linkerの活性化のために行われるアルキル化は、容易に糖水酸基をもアルキル化することになり、脱アルキル化の処理を行わなければならず、条件によっては糖鎖結合等に影響し、得られる糖ペプチドの均一な糖鎖構造を確保することができない。これを解消するために、予め糖鎖水酸基を保護することが提案されているが、保護、脱保護の工程を増加することになり、効率的な方法とは言えない。
固相樹脂からペプチドを切り出す場合、通常、95%トリフルオロ酢酸やフッ化水素等の強酸を使用する。しかし、このような強酸の使用はペプチド側鎖の脱保護や糖ペプチドの糖鎖結合の切断を伴う。そのため弱酸を使用して脱保護しないように固相樹脂からペプチドを切り出す方法として、トリチル樹脂を固相とし、切り出しに酢酸を使用する方法(非特許文献3,4,5)や4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ酪酸で修飾した樹脂(HMPBレジン)を固相とし、切り出しに1%トリフルオロ酢酸(TFA)を使用する方法が報告されている(非特許文献6)。しかしながら、トリチル樹脂を用いた方法では、水酸基を保護していない糖ペプチドを製造することができない。一方、HMPBレジンを固相として使用して、糖ペプチドを作製した場合には1%TFAでは切り出すことができず、10%TFAを使用した場合には、ペプチド側鎖の保護基も一部脱保護される。ペプチドのチオエステル化を行なう場合には、特にN末端システインのチオール基の保護が自己縮合を防止するために必須であるが、切り出し時の脱保護は次反応に致命的な結果を招くことになる。よって、これら方法はC末端にチオエステルを持つペプチドの製造原料となるカルボキシル基を有するペプチドの製造方法として十分な方法とはいえない。
ペプチドのチオエステル体は、側鎖が保護されたペプチドをアルキルチオールと反応させることで製造することができるが、C末端のアミノ酸がラセミ化する問題がある。ラセミ化を避けるため、C末端のアミノ酸をグリシンに置き換える方法(非特許文献7)、ジクロロメタン(DCM)中、縮合剤としてベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)/ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を使用する方法(非特許文献8)、テトラヒドロフラン(THF)中、縮合剤として2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)/DIPEAを使用する方法(非特許文献9)が報告されている。しかし、C末端アミノ酸をグリシンとする方法には、製造するペプチドが自ずと制限される。また、保護基で保護されていない水酸基を有する糖ペプチドをDCMやTHFのような溶媒に溶解させることができずに溶媒の変更を余儀なくされるが、C末端アミノ酸のラセミ化問題が再び生じてしまう。
WO 03/008431号公報 WO 2004/005330号公報 J.Am.Chem.Soc.,121,11369−11374(1999) Angew.Chem.Int.Ed.,44,1650−1654(2005) Tetrahedron Lett.,38,6237−6240(1997) Tetrahedron Lett.,44,3551−3554(2003) J.Am.Chem.Soc.,123,3885−3891(2001) Tetrahedoron,49,9307−9320(1993) Tetrahedron Lett.,38,6237−6240(1997) Tetrahedron Lett.,44,3551−3554(2003) J.Am.Chem.Soc.,123,3885−3891(2001)
本発明の目的は、糖鎖を有さないペプチドは勿論のこと、糖鎖、特に水酸基が保護されていない糖鎖を有する糖ペプチドであっても適用可能な、ペプチド側鎖の保護基が維持されたC末端にカルボキシル基を有するペプチドの製造方法を提供することにある。
本発明の目的は、糖鎖を有さないペプチドは勿論のこと、糖鎖、特に水酸基が保護されていない糖鎖を有する糖ペプチドであっても適用可能な、ラセミ体の生成を抑制したペプチドのチオエステル化合物の効率的な製造方法を提供することにある。
本発明は以下の発明に係る。
(A)式(1)で表されるリンカーで修飾された樹脂を固相として使用し、固相合成法でペプチドを形成させ、
(B)希塩酸、希硫酸、蟻酸、及び酢酸から選ばれる少なくとも1種の酸で固相とペプチドとの結合を切断して、C末端にカルボキシル基を有するペプチドを製造し、
(C)溶媒中、縮合剤の存在下、チオール化合物を−100〜0℃で反応させることを特徴とするペプチドのチオエステル化合物の製造方法。
[式中、RはC1−4アルキル基を示し、Rは水素原子、C1−4アルコキシ基を示す。nは1〜4の整数を示す。]
本発明者等は、特定の固相樹脂を使用し、特定条件で生成したペプチドを該固相樹脂から切り出すことで、糖鎖構造に影響せず、側鎖保護基を維持したC末端にカルボキシル基を有するペプチドを製造できることを見出した。
更に得られたペプチドのC末端カルボキシル基にチオール化合物を特定の縮合剤の存在下、低温で作用させることでペプチドのC末端のラセミ化が抑制されたペプチドのチオエステル化合物を製造できることを見出した。
本発明のペプチドのチオエステル化合物の製造方法は、(A)式(1)で表されるリンカーで修飾された樹脂を固相として使用し、固相合成法でペプチドを形成させ、(B)希塩酸、希硫酸、蟻酸、及び酢酸から選ばれる少なくとも1種の酸で固相とペプチドとの結合を切断して、C末端にカルボキシル基を有するペプチドを製造し、(C)溶媒中縮合剤の存在下チオール化合物を−100〜0℃で反応させる工程からなる。
工程(A):ペプチドの形成
本工程においては、式(1)で表されるリンカーで修飾された樹脂(レジン)を使用する。
[式中、RはC1−4アルキル基を示し、Rは水素原子、C1−4アルコキシ基を示す。nは1〜4の整数を示す。]
1−4アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1から4のアルキル基を示す。
1−4アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1から4のアルコキシ基を示す。
式(1)で表されるリンカーで修飾された樹脂は、市販されているものや従来公知の樹脂であってもよく、例えばHMPB−BHA樹脂(4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ酪酸−ベンズヒドリルアミン)、HMPB−MBHA樹脂(4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ酪酸−メチルベンズヒドリルアミン)等が挙げられるが、糖ペプチドの製造においては、Amino−PEGAレジン(ノババイオケム社製)のアミノ基と式(2)で表されるカルボン酸化合物のカルボキシル基とを、従来公知のアミド化反応に従い、脱水縮合剤の存在下で反応させることによって得られた膨潤性に優れた樹脂を用いることができる。ここでPEGAレジンとはビスアクリルアミドプロプ−1−イルポリエチレングリコールを示す。
[式中、R、R及びnは前記に同じ。]
得られる式(1)で表されるリンカーを有する樹脂の中でも、Rがメチル基、Rが水素原子、C1−4アルキル基である樹脂が好ましく、更にはRがメチル基、Rが水素原子、C1−4アルキル基、nが2〜4である樹脂が好ましく、Rがメチル基、Rが水素原子、C1−4アルキル基、nが3である樹脂が特に好ましい。
具体的には、例えば式(3)で表される樹脂が特に好ましい。
[式中、Rは前記に同じ。]
上記の式(1)で表されるリンカーで修飾された樹脂を固相として用いてペプチドを製造する。
例えば、以下の(a)〜(e)の工程が挙げられる。
(a) 式(1)で表されるリンカーで修飾された樹脂の式(1)で表されるリンカー部の水酸基と、保護基でアミノ基が保護されたアミノ酸のカルボキシル基をエステル化反応させ、
(b) アミノ基の保護基を脱保護して、保護されていないアミノ基を形成させ、
(c) この保護されていないアミノ基と、アミノ基が保護されたアミノ酸のカルボキシル基とをアミド化反応させ、
(d) 上記保護基を脱保護して、保護されていないアミノ基を形成させ、
(e) 上記(c)及び(d)の工程を1回以上繰り返してペプチドを形成する。
アミノ酸としては全てのアミノ酸を用いることができ、例えばセリン(Ser)、アスパラギン(Asn)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、アラニン(Ala)、チロシン(Tyr)、グリシン(Gly)、リジン(Lys)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、グルタミン(Gln)、スレオニン(Thr)、システイン(Cys)、メチオニン(Met)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、プロリン(Pro)を挙げることができる。
保護基としては、例えば9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基やt−ブチルオキシカルボニル(Boc)基、アリルオキシカーボネート(Alloc)基等のカーボネート含有基、アセチル(Ac)基等のアシル基、アリル基、ベンジル基等の保護基等を挙げることができる。保護基を導入するには、例えばFmoc基を導入する場合には9−フルオレニルメチル−N−スクシニミジルカーボネートと炭酸水素ナトリウムを加えて反応を行うことにより導入できる。反応は0〜50℃、好ましくは室温で、約1〜5時間程度行うのが良い。
脂溶性保護基でアミノ基を保護したアミノ酸としては、上記のアミノ酸のアミノ基に上記の方法又は公知の方法で脂溶性保護基を導入することで製造することができ、市販のものも使用することができる。例えば、Fmoc基でアミノ基を保護したアミノ酸としてはFmoc−Ser、Fmoc−Asn、Fmoc−Val、Fmoc−Leu、Fmoc−Ile、Fmoc−AIa、Fmoc−Tyr、Fmoc−Gly、Fmoc−Lys、Fmoc−Arg、Fmoc−His、Fmoc−Asp、Fmoc−Glu、Fmoc−Gln、Fmoc−Thr、Fmoc−Cys、Fmoc−Met、Fmoc−Phe、Fmoc−Trp、Fmoc−Proを挙げることができる。
最後に導入するアミノ酸としてシステイン(Cys)を選択すれば、N末端にシステインを有するペプチドを製造することができ、Native Chemical Ligationにおいてペプチドのチオールエステル化合物とカップリングさせるフラグメントとして使用することができる。
アミノ酸に糖鎖が結合した糖鎖アミノ酸を使用することにより、糖鎖アミノ酸をペプチド鎖の任意の位置に導入した糖ペプチドを製造することができる。
使用する糖鎖アミノ酸としては、任意の数の糖残基を有するものであれば特に制限されず、マンノースを多く含む高マンノース、糖鎖の非還元末端にシアル酸やガラクトース残基を有する複合型糖鎖(Figurel)、高マンノース構造と複合型糖鎖が混ざった混成型糖鎖、アスパラギンの側鎖のアミド基とNグリコシル化されたN結合型糖鎖、セリン、スレオニンの側鎖のアルコールがグリコシル化されたO結合型糖鎖等を挙げることができる。具体的には、WO03/008431号公報に記載の糖鎖アスパラギンを挙げることができる。中でもジシアロ糖鎖アスパラギン又はモノシアロ糖鎖アスパラギンが好ましく、例えば、式(4)で表される該シアル酸のカルボキシル基がベンジル基等の保護基により保護された糖鎖が特に好ましい。このようなジシアロ糖鎖アスパラギンもしくはモノシアロ糖鎖アスパラギンが結合した糖ペプチドは好ましい糖ペプチドである。
樹脂のリンカー部の水酸基と、上記保護されたアミノ基を有するアミノ酸のカルボキシル基とのエステル化反応は、例えば1−メシチレンスルホニル−3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール(MSNT)、DCC、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCDI)等の脱水縮合剤を用いて行うことができ、例えば固相カラムにレジンを入れ、溶媒で洗浄し、その後アミノ酸の溶媒溶液を加えることにより行うのが好ましい。
洗浄用溶媒としては、例えばDMF、2−プロパノール、DCM等を挙げることができる。アミノ酸を溶解する溶媒としては、例えばDMSO、DMF、DCM等を挙げることができる。反応は0〜50℃、好ましくは室温で、約10分〜30時間程度、好ましくは15分〜24時間程度行うのが良い。
この時固相上の未反応の水酸基を無水酢酸等を用いてアセチル化しキャッピングすることも可能である。
アミノ基の保護基の脱保護は、酸又は塩基で処理することにより行うことができ、例えば保護基がFmoc基である場合、ピペリジン、モルホリン等の塩基を使用することができる。その際、溶媒の存在下行うのが好ましく、例えばDMSO、DMF、メタノール等を挙げることができる。
保護されていないアミノ基と、アミノ基が保護された任意のアミノ酸のカルボキシル基とをアミド化する反応は、活性化剤および溶媒の存在下で行うのが好ましい。
活性化剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(WSC/HCl)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ジエチルシアノホスホネート(DEPC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)、ヒドロキシフタルイミド(HOPht)、ペンタフルオロフェノール(Pfp−OH)、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスホネート(HATU)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート(TBTU)、3,4−ジヒドロ−3−ヒドロジ−4−オキサ−1,2,3−ベンゾトリアジン(Dhbt)等を挙げることができる。
溶媒としては例えばジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン(DCM)等を挙げることができる。
活性化剤の使用量は、式(2)で表されるカルボン酸化合物に対して、0.1〜20当量、好ましくは0.5〜10当量、さらに好ましくは、0.8〜5当量とするのが好ましい。反応は溶媒中で行うことができ、0〜50℃、好ましくは室温で、約10〜30時間程度、好ましくは15分〜24時間程度行うのが良い。また、固相合成用カラム中で反応を行うことによって、そのまま後の固相合成に使用することができ、好ましい。
保護基の脱離は、上記と同様に行うことができる。
工程(B):ペプチドの切り出し
樹脂(レジン)からペプチド鎖を切断するには酸で処理するのが好ましい。使用する酸としては、希塩酸、希硫酸等の鉱酸類、蟻酸、酢酸等のカルボン酸類を挙げることができる。希塩酸又は希硫酸としては、0.01〜2規定程度、好ましくは0.05〜1規定程度の塩酸又は硫酸の水溶液が挙げられる。これらの酸の中でも酢酸が好ましい。酸の使用量の使用量としては、ペプチド1当量に対して1当量以上であれば特に制限されず、例えば、1〜10000当量程度、好ましくは10〜1000当量程度とすればよい。
本反応はアルコール存在下で行うのが好ましく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール、トリフルオロエタノール(TFE)、トリクロロエタノール等のハロゲノアルコールが挙げられる。これらのアルコールの中でも、メタノール、トリフルオロエタノールが好ましく、トリフルオロエタノールが特に好ましい。アルコールの使用割合は、酸1容量に対してアルコールを0.1〜2容量、好ましくは0.5〜1.5容量、更に好ましくは0.8〜1.2容量とすればよい。
また、本反応は必要に応じて、DCM、DMF、DMSO等の有機溶媒を使用してもよい。
溶媒の使用量は特に制限されず、酸1容量に対して0.1〜100容量程度とすればよい。
反応は0〜50℃、好ましくは室温で、約1〜30時間程度行うのがよい。
以上のようにして、C末端にカルボキシル基を有するペプチドを得ることができる。
工程(C):ペプチドのチオエステル化合物の製造
得られたペプチド(原料ペプチド)を溶媒中で縮合剤の存在下チオール化合物を作用させることでC末端がチオエステルであるペプチドを製造することができる。チオール化合物としては、フェニル環上任意の位置に、任意の数のフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、メチル基、エチル基等の炭素数1〜4の低級アルキル基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基等の置換基を有していてもよいベンジルメルカプタン類、メタンチオール、エタンチオール等の低級アルカンチオール類等を挙げることができる。これらのチオール化合物の中でもベンジルメルカプタンが特に好ましい。
チオール化合物の使用量としては、原料ペプチド1当量に対して1〜100当量、好ましくは10〜80当量、更に好ましくは20〜50当量とすればよい。特に、ペプチドのC末端のラセミ化を抑制するためには、大過剰の量を使用するのが好ましく、30当量程度以上とするのが好ましい。
使用する溶媒としては、例えばTHF、DCM、DMSO、DMF等が挙げられるが、これらの中でもDMFが好ましい。
縮合剤としては、HOBt/DIPCI又はPyBOP/DIPEA等を挙げることができ、PyBOP/DIPEAが好ましい。
HOBt/DIPCIの使用割合はHOBt1当量に対してDIPCIを0.1〜10当量、好ましくは0.5〜5当量、更に好ましくは0.8〜1.2当量とすればよい。
PyBOP/DIPEAの使用割合はPyBOP1当量に対してDIPEAを0.1〜10当量、好ましくは0.5〜5当量、更に好ましくは0.8〜1.2当量とすればよい。
HOBtの使用割合は、原料ペプチド1当量に対して、1〜20当量、好ましくは3〜15当量、更に好ましくは8〜12当量とすればよい。
PyBOPの使用割合は、原料ペプチド1当量に対して、1〜10当量、好ましくは2〜8当量、更に好ましくは3〜6当量とすればよい。
本反応においては、モレキュラーシーブ等の脱水剤を使用するのが好ましい。ペプチドのラセミ化は原料ペプチドのC末端カルボン酸が活性化された時点で生じる。そのため、反応は、原料ペプチドとチオール化合物とを混合した後、縮合剤を加えて行うことが好ましい。反応温度は−100〜0℃、好ましくは−80〜−10℃とすればよく、30分〜2時間程度行えばよい。
本発明においては得られるペプチドのラセミ体の割合が抑制され、通常ラセミ体の割合は6%以下、好ましくは4%以下、更に好ましくは2%以下、特に好ましくは0〜1%である。
以下に実施例を挙げて説明するが、本発明は何らこれら実施例に限定されるものではない。
使用するFmoc化されたアミノ酸は、公知のものであり、市販品かアミノ酸にFmoc基を導入することで容易に調製できる。
また、Fmoc−Ala、Fmoc−Asn、Fmoc−Gly、Fmoc−Leu、Fmoc−Met、Fmoc−Phe、Fmoc−Pro、Fmoc−Valは各アミノ酸のアミノ基がFmoc基で保護されていることを意味する。Boc−Cys(Acm)はシステインのアミノ基がBoc基で、及びチオールがアセトアミドメチル基で保護されていることを意味する。Fmoc−Arg(Pbf)は、アルギニンのα位アミノ基がFmoc基で保護されたN−(2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル)アルギニンを意味する。Fmoc−Asp(OtBu)及びFmoc−Glu(OtBu)は各アミノ酸のアミノ基がFmoc基で保護され、アスパラギン酸β位及びグルタミン酸γ位のカルボキシル基がtert−ブチル基で保護されていることを意味する。Fmoc−Cys(trt)は、システインのアミノ基がFmoc基で、及びチオールがトリチル基で保護されていることを意味する。Fmoc−Lys(Boc)は、リジンのα位アミノ基がFmoc基で、及びε位アミノ基がBoc基で保護されていることを意味する。Fmoc−Ser(tBu)、Fmoc−Tyr(tBu)及びFmoc−Thr(tBu)は、各アミノ酸のアミノ基がFmoc基で、及び水酸基がトリチル基で保護されていることを意味する。Boc−Leu及び(Boc)Leuは、ロイシンのアミノ基がBoc基で保護されていることを意味する。(Boc)Lys(Boc)は、リジンのα位及びε位アミノ基がBoc基で保護されていることを意味し、Lys(Boc)はリジンのε位アミノ基がBoc基で保護されていることを意味する。Boc−Cys(Thz)はN−t−Boc−1,3−チアゾリジン−4−カルボン酸を意味する。Thr(tBu)、Tyr(tBu)及びSer(tBu)は各アミノ酸の水酸基がtert−ブチル基で保護されていることを意味する。His(trt)はイミダゾール窒素が、Cys(trt)はシステインのチオール基が、及びGln(trt)はグルタミンのアミド窒素がトリチル基で保護されていることを意味する。Asp(OtBu)及びGlu(OtBu)は、アスパラギン酸β位及びグルタミン酸γ位のカルボキシル基がtert−ブチル基で保護されていることを意味する。Cys(Thz)は1,3−チアゾリジン−4−カルボニルを意味する。Arg(Pbf)は、N−(2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル)アルギニンを意味する。
これらの保護基の導入は従来公知の方法か、保護基が導入された市販品を使用することができる。また、Phはフェニル基を示し、Bnはベンジル基を示す。
H−NMRはBrukerのAVANCE 400(400MHzと表記)で測定した。
ESI mass測定器はBruker Daltonics社製のEsquire3000 plusを、MALDI mass測定器はBruker Daltonics社製のAutoflexをマトリックスにはdihydroxybenzoic acidを用いた。
固相合成用カラムにAmino−PEGA resin(1g,50μmol)を入れ、DCM、DMFで十分に洗浄した後、DMFで十分に膨潤させた。4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ酪酸(HMPB)(30.1mg,0.13mmol)、TBTU(40.1mg,0.13mmol)、N−エチルモルホリン(15.8μl,0.13mmol)をDMF(1ml)に溶解させてカラムに入れ、室温で2時間攪拌した。樹脂をDMF及びDCMで十分に洗浄し、HMPB−PEGA resinを得、固相合成の固相として用いた。
Fmoc−Phe(96.8mg,0.25mmol)とMSNT(74mg,0.25mmol)、N−メチルイミダゾール(15μl,0.19mmol)をDCM(1ml)に溶解させて、固相合成用カラムに入れ、室温で2時間攪拌した。攪拌後、樹脂をDCM、DMFを用いて洗浄した。Fmoc基を20分20%ピペリジン/DMF溶液(1ml)を用いて脱保護した。DMFで洗浄後、その後のペプチド鎖の伸長は以下に示す方法を用いて、順次アミノ酸を縮合させた。
Fmoc基でアミノ基を保護したアミノ酸とHOBt(33.8mg,0.25mmol)、DIPCI(38μl,0.25mmol)をDMF(1ml)に溶解させ15分間活性化させた後、固相合成用カラムに入れた。室温で1時間半攪拌した後、Fmoc基を20分20%ピペリジン/DMF溶液(1ml)を用いて脱保護した。この操作を繰り返し、アミノ酸を順次縮合させた。
Fmoc基でアミノ基を保護したアミノ酸には、Fmoc−Tyr(tBu)(114.9mg,0.25mmol)、Fmoc−Asn(88.6mg,0.25mmol)、Fmoc−Ala(77.8mg,0.25mmol)、Fmoc−His(trt)(154.9mg,0.25mmol)、Fmoc−Ser(tBu)(95.9mg,0.25mmol)、Fmoc−Asp(OtBu)(102.9mg,0.25mmol)、Fmoc−Leu(88.4mg,0.25mmol)、Fmoc−Val(84.9mg,0.25mmol)を用い、固相樹脂にPhe−Tyr(tBu)−Tyr(tBu)−Asn−Ala−His(trt)−Ser(tBu)−His(trt)−Asp(OtBu)−Leu−Asn−Tyr(tBu)−Leu−Phe−Phe−Ser(tBu)−Val−Ser(tBu)−Asn(配列番号1)の19残基ペプチドを形成させた。
DCM及びDMFを用いて洗浄した後、19残基のペプチド2μmol相当の樹脂をエッペンチューブに移した。
下記式(5)で表される糖鎖アスパラギンのジベンジル体(10mg,3.6μmol)とDEPBT(2mg,6μmol)をDMF(0.12ml)に溶解させ、エッペンチューブに入れた。

DIPEA(0.68μl,4μmol)を加えて室温で18時間攪拌した。DMFで洗浄した後に、20%ピペリジンを用いてFmoc基を脱保護して、固相樹脂にPhe−Tyr(tBu)−Tyr(tBu)−Asn−Ala−His(trt)−Ser(tBu)−His(trt)−Asp(OtBu)−Leu−Asn−Tyr(tBu)−Leu−Phe−Phe−Ser(tBu)−Val−Ser(tBu)−Asn−Asn(Oligosaccharide chain)(配列番号2)の20残基ペプチド(6)を形成させた。
実施例1で得られた20残基ペプチドを形成した樹脂を一部固相合成用カラムにとり、酢酸:DCM:メタノール(=5:4:1)を樹脂が十分に浸る程度に加え、3時間室温で撹拌した。樹脂をろ過して除き、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をHPLC(Cadenza column C18 75×4.6mm 展開溶媒A:0.1%TFA水溶液 B:0.1%TFA アセトニトリル:水=90:10 グラジエントA:B=60:40→0:100 15分 流速0.1ml/min)で精製し、20残基のペプチド(7)(配列番号2)を得た。
得られたペプチドはC末端にカルボキシル基を有し、側鎖保護基が維持されたものであった。
ESI−MS:Calcd for C2793823494
[M+3H]3+ 1906.3,found.1905.8
実施例2で使用した酢酸:DCM:メタノール及び反応時間を酢酸:TFE:DCM(=2:2:6)で2時間、又は酢酸:TFE(=1:1)で27時間に変更して反応させた。
どちらも20残基のペプチド(7)を得ることができた。
ただし、酢酸:TFE:DCMでの条件は、酢酸:DCM:メタノールの条件に比較して約5倍、更に酢酸:TFEでの条件は酢酸:DCM:メタノールの条件に比較して約8倍の収率を与えた。
実施例1と同様にしてHMPB−PEGA resin(25μmol)を得、固相合成の固相として用いて、アミノ酸を縮合させてペプチドを形成した。アミノ酸の縮合は実施例1と同様に行なった。第1のアミノ酸としてFmoc−Ala(38.9mg,0.13mmol)を用い、MSNT(37mg,0.13mmol)、N−methylimidazole(7.5μl,94μmol)、DCM(0.5ml)によって縮合させた。
その後のアミノ基を保護したアミノ酸をHOBt(16.9mg,0.13mmol)、DIPCI(19.2μl,0.13mmol)、DMF(0.5ml)によって順次縮合させた。アミノ基を保護したアミノ酸としてFmoc−Gln(46.1mg,0.13mmol)、Fmoc−Thr(tBu)(49.7mg,0.13mmol)、Fmoc−Ile(44.2mg,0.13mmol)、Fmoc−Val(42.4mg,0.13mmol)、Fmoc−Ser(tBu)(47.9mg,0.13mmol)を用いて順次縮合させた。
ペプチド伸長後、樹脂2μmolに対して式(5)で表される糖鎖アスパラギンのジベンジル体(10mg,3.6μmol)とDEPBT(2mg,6μmol)、DIPEA(0.68μl,4μmol)、DMF(0.12ml)とを用いた。その後、Boc−Cys(Acm)(2.9mg,10μmol)をHOBt(1.36mg,10μmol)、DIPCI(1.54μl,10μmol)、DMF(0.25ml)によって縮合した。
樹脂にAcOH:TFE=1:1(1ml)を加え、室温で14時間反応させた。樹脂をろ過して除き、反応溶液を濃縮した。HPLC(Cadenza column C18 75×4.6mm 展開溶媒A:0.1%TFA水溶液 B:0.1%TFA/アセトニトリル:水=90:10 グラジエントA:B=60:40→0:100 15分 流速0.1ml/min)で精製することで側鎖の保護された9残基ペプチド(8)(配列番号3)を得た。
ESI−MS:Calcd for C1552491879S:[M+2H]+2 1830.3,found.1831.0.
実施例4で製造した9残基ペプチド(8)(2mg,0.55μmol)とモレキュラーシーブ(MS)4A(10mg)、ベンジルメルカプタン(2μl,16.4μmol)をDMF溶媒中(85μl)アルゴン気流下−20℃で1時間攪拌した後、PyBOP(1.4mg,2.7μmol)、DIPEA(0.46μl,2.7μmol)を加え4時間攪拌した。その後、反応溶液にジエチルエーテル(5ml)を加え化合物を沈殿させ、ろ過した後に沈殿物をアセトニトリル50%水溶液で回収した。これを凍結乾燥し、得られた凍結乾燥品に95%TFA水溶液を加えて室温で2時間攪拌した。樹脂をろ過して除き、反応溶液を濃縮した後に、50%アセトニトリル水溶液に溶かして凍結乾燥した。凍結乾燥品をHPLC(Cadenza column C18 75×4.6mm 展開溶媒A:0.1%TFA水溶液 B:0.1%TFA アセトニトリル:水=90:10 グラジエントA:B=95:5→25:75 15分 流速0.1ml/min)で精製して、式(9)で表されるC末端がベンジルチオエステルであるペプチド(NH−Cys(Acm)−Asn(disialooligo)−Thr−Ser−Val−Ile−Thr−Gln−Ala−COSBn)(配列番号4)を製造した。

H−NMR(400MHz,295K in DO,HOD=δ4.81)7.53−7.33(m,15H,Ph×3),5.37(d,2H,J=11.7Hz,PhCH),5.29(d,2H,J=11.6Hz,PhCH),5.11(s,1H,Man4−H−1),5.02(d,1H,GlcNAc1−H−1),4.92(s,1H,Man4′−H−1),4.65−4.52(m,3H,GlcNAc2,5,5′−H−1),2.91−2.78(m,4H,Asn−βCH,Cys−・βCH),2.67(dd,2H,NeuAc7,7′−H3eq),2.39−2.31(m,2H,Gln−γCH),1.83(dd,2H,J=13.1,13.1Hz,NeuAc7,7′−H−3ax),1.38(d,3H,Ala−βCH),1.20(d,3H,J=6.51Hz,Thr−γCH),1.17(d,3H,J=6.40Hz,Thr−γCH),0.95−0.80(m,12H,Val−γCH,Ile−・γCH,・CH
ESI−MS:Calcd for C1452231876S:[M+2H]2+ 1749.8,found.1749.2
C末端にカルボキシル基を有するペプチドAcNH−His−Ala−Ala−Phe−COOH(配列番号5)を従来公知の方法で製造し、原料として使用した。当該ペプチド(0.5mg,1μmol)とMS4A(10mg)、ベンジルメルカプタン(3.7mg,30μmol)をDMF溶媒中(0.14ml)アルゴン気流下−20℃で1時間攪拌した後、PyBOP(2.6mg,5μmol)とDIPEA(0.85μl,5μmol)を加え17時間攪拌した。その後、反応溶液にジエチルエーテル(5ml)を加え化合物を沈殿させ、ろ過した後に沈殿物をアセトニトリル50%水溶液で回収した。これをHPLC(Cadenza column C18 75×4.6mm 展開溶媒A:0.1%TFA水溶液 B:0.1%TFA アセトニトリル:水=90:10 グラジエントA:B=70:30→40:60 15分 流速0.1ml/min)で精製することによりC末端がベンジルチオエステルであるAcNH−His−Ala−Ala−Phe−COSBn(配列番号6)を得た。
ラセミ体の生成は2%以下であった。
ESI−MS:Calcd for C3036S:[M+H] 592.3,found.592.2
反応温度を0℃とする以外は実施例6と同様に操作してベンジルチオエステル体AcNH−His−Ala−Ala−Phe−COSBn(配列番号6)を得た。得られた化合物のマススペクトルは実施例6のものと同一であった。ラセミ体の生成は6%であった。
ペプチドAcNH−His−Ala−Ala−Phe−COOH(0.5mg,1μmol)(配列番号5)とMS4A(10mg)、HOBt(0.7mg,5μmolもしくは1.4mg,10μmol)をDMF溶媒中(0.14ml)アルゴン気流下0℃で1時間攪拌した後、DIPCI(0.8μl,5μmolもしくは1.6μl,10μmol)とベンジルメルカプタン(3.7mg,30μmol)を加えた。以下、実施例6と同様に処理してベンジルチオエステル体AcNH−His−Ala−Ala−Phe−COSBn(配列番号6)を得た。HOBtを5当量使用した場合の収率は75%で、10当量での収率は98%であった。得られた化合物のマススペクトルは実施例6のものと同一であった。ラセミ体の生成はそれぞれ5%であった。
C末端にカルボキシル基を有するペプチドAcNH−Cys−Cys−Glu−His−COOH(配列番号7)を従来公知の方法で製造し、原料として使用した。当該ペプチド(0.5mg,1μmol)とMS4A(10mg)、HOBt(1.4mg,10μmol)をDMF溶媒中(0.14ml)アルゴン気流下−20℃で1時間攪拌した後、DIPCI(1.6μl,10μmol)とベンジルメルカプタン(3.7mg,30μmol)を加え反応させた。以下、実施例6と同様に処理してベンジルチオエステル体AcNH−Cys−Cys−Glu−His−COSBn(配列番号8)を得た。
ラセミ体の生成は2%以下であった。
Trityl Chloride resin(150μmol)を固相合成の固相として用いて、順次アミノ酸を縮合させてペプチドを形成した。アミノ酸の縮合は実施例1と同様に行なった。
第1のアミノ酸としてFmoc−Leu(159.0mg,0.45mmol)を用い、DCM(0.9ml)及びDIEA(204.1μl,1.2mmol)によって縮合させた。
その後のアミノ基が保護されたアミノ酸をHOBt(101.3mg,0.75mmol)、DIPCI(115.4μl,0.75mmol)、DMF(3ml)によって縮合させた。
アミノ基が保護されたアミノ酸としてFmoc−Pro(253.1mg,0.75mmol)、Fmoc−Arg(Pbf)(486.6mg,0.75mmol)、Fmoc−Tyr(tBu)(334.7mg,0.75mmol)、Fmoc−Glu(OtBu)(319.2mg,0.75mmol)、Fmoc−Met(278.6mg,0.75mmol)、Fmoc−Thr(tBu)(298.1mg,0.75mmol)、Fmoc−Cys(trt)(439.3mg,0.75mmol)、Fmoc−Ala(233.5mg,0.75mmol)、Fmoc−Pro(253.1mg,0.75mmol)、Fmoc−Lys(Boc)(351.4mg,0.75mmol)、Fmoc−Pro(253.1mg,0.75mmol)、Fmoc−Tyr(tBu)(334.7mg,0.75mmol)、Fmoc−Glu(OtBu)(319.2mg,0.75mmol)、Fmoc−Ser(tBu)(287.6mg,0.75mmol)、Fmoc−Cys(trt)(439.3mg,0.75mmol)、Fmoc−Asp(OtBu)(308.6mg,0.75mmol)、Fmoc−Val(254.6mg,0.75mmol)、Fmoc−Ser(tBu)(287.6mg,0.75mmol)、Fmoc−Val(254.6mg,0.75mmol)、Fmoc−Ala(233.5mg,0.75mmol)、Fmoc−Ala(233.5mg,0.75mmol)、Boc−Leu(187mg,0.75mmol)を用いて順次縮合させた。
樹脂にAcOH:DCM:MeOH=5:4:1(1ml)を加え、室温で3時間反応させた。反応溶液にヘキサンを加えた。その後ろ過して樹脂を除いた。樹脂をMeOHで洗浄し、その溶液を濃縮した。濃縮残渣にベンゼンを加えて更に濃縮して、側鎖の保護された23残基ペプチド((Boc)Leu−Ala−Ala−Val−Ser(tBu)−Val−Asp(OtBu)−Cys(trt)−Ser(tBu)−Glu(OtBu)−Tyr(tBu)−Pro−Lys(Boc)−Pro−Ala−Cys(trt)−Thr(tBu)−Met−Glu(OtBu)−Tyr(tBu)−Arg(Pbf)−Pro−Leu−COOH)(10)(配列番号9)を得た。
得られた23残基ペプチド(10)(39mg,10μmol)とMS4A、ベンジルメルカプタン(35.5μl,300μmol)をDMF溶媒中(1350μl)アルゴン気流下−20℃で1時間攪拌した後、PyBOP(26mg,50μmol)、DIPEA(8.5μl,50μmol)を加えて2時間攪拌した。その後、反応溶液にジエチルエーテルを加えて化合物を沈殿させ、ろ過した後に沈殿物をDMFで回収した。これを濃縮し、残渣に95%TFA水溶液を加えて室温で2時間攪拌し、その後凍結乾燥した。
凍結乾燥品をHPLC(Cadenza column C18 75×4.6mm 展開溶媒A:0.1%TFA水溶液 B:0.1%TFA アセトニトリル:水=90:10 グラジエントA:B=80:20→40:60 15分 流速1.0ml/min)で精製して、式(11)で表されるC末端がベンジルチオエステルであるペプチド(Leu−Ala−Ala−Val−Ser−Val−Asp−Cys−Ser−Glu−Tyr−Pro−Lys−Pro−Ala−Cys−Thr−Met−Glu−Tyr−Arg−Pro−Leu−COSBn)を製造した(配列番号10)
収量:20mg
ラセミ体の生成率:2%以下
ESI−MS:Calcd for C1181812734:[M+2H]+2 1325.1,found.1325.3.
固相がTrityl resin(40μmol)である26残基ペプチド(Glu(OtBu)−Tyr(tBu)−Ala−Ser(tBu)−Pro−Gly−Lys(Boc)−Ala−Thr(tBu)−Glu(OtBu)−Val−Arg(Pbf)−Val−Thr(tBu)−Val−Leu−Arg(Pbf)−Gln(trt)−Ala−Asp(OtBu)−Ser(tBu)−Gln(trt)−Val−Thr(tBu)−Glu(OtBu)−Gly−CO−(Trityl resin))(配列番号11)(300mg,ノババイオケム社製造品)に、Cys(Thz)(46.7mg,0.2mmol)を、HOBt(27.0mg,0.2mmol)、DIPCI(30.8μl,0.2mmol)、DMF(1ml)によって縮合させた。
樹脂に1%TFA/DCM溶液(1.0ml)を加え、室温で2分間反応させ、樹脂をろ過して除き、反応溶液をピリジンで中和した。この反応を5回繰り返し、反応溶液を濃縮後、水を加えて側鎖の保護されたペプチドを沈殿させた。沈殿物をDMF溶液で回収し、濃縮して、側鎖の保護された27残基ペプチド(Cys(Thz)−Glu(OtBu)−Tyr(tBu)−Ala−Ser(tBu)−Pro−Gly−Lys(Boc)−Ala−Thr(tBu)−Glu(OtBu)−Val−Arg(Pbf)−Val−Thr(tBu)−Val−Leu−Arg(Pbf)−Gln(trt)−Ala−Asp(OtBu)−Ser(tBu)−Gln(trt)−Val−Thr(tBu)−Glu(OtBu)−Gly−COOH)(12)(配列番号12)を得た。
得られた27残基ペプチド(12)(10μmol)とMS4A(20mg)、チオフェノール(30.6μl,300μmol)をDMF溶媒中(1.36μl)アルゴン気流下−20℃で1時間攪拌した後、PyBOP(8.6mg,50μmol)、DIPEA(26.0μl,50μmol)を加え4時間攪拌した。その後、反応溶液にジエチルエーテルを加えて化合物を沈殿させ、ろ過した後に沈殿物をDMFで回収した。これを濃縮し、得られた濃縮品に95%TFA水溶液を加えて室温で2時間攪拌した。樹脂をろ過して除き、反応溶液を濃縮した後に、50%アセトニトリル水溶液に溶かして凍結乾燥した。凍結乾燥品をHPLC(Cadenza column C18 75×4.6mm 展開溶媒A:0.1%TFA水溶液 B:0.1%TFA アセトニトリル:水=90:10 グラジエントA:B=95:5→25:75 15分 流速0.1ml/min)で精製して、式(13)で表されるC末端がフェニルチオエステルであるペプチド(Cys(Thz)−Glu−Tyr−Ala−Ser−Pro−Gly−Lys−Ala−Thr−Glu−Val−Arg−Val−Thr−Val−Leu−Arg−Gln−Ala−Asp−Ser−Gln−Val−Thr−Glu−Gly−COSPh)(配列番号13)を製造した。
収量:5mg
ラセミ体の生成率:1%以下
ESI−MS:Calcd for C1282043643:[M+2H]+2 1499.7,found.1499.8.
固相がTrityl resin(40μmol)である17残基ペプチド(Ala−Ala−Thr(tBu)−Tyr(tBu)−Met−Met−Gly−Asn−Glu(OtBu)−Leu−Thr(tBu)−Phe−Leu−Asp(OtBu)−Asp(OtBu)−Ser(tBu)−Gly−CO−(Trityl resin))(配列番号14)(500mg,ノババイオケム社製造品)に、Cys(Thz)(46.7mg,0.2mmol)を、HOBt(27.0mg,0.2mmol)、DIPCI(30.8μl,0.2mmol)、DMF(1ml)によって縮合させた。
樹脂に1%TFA/DCM溶液を加え、室温で2分間反応させ、樹脂をろ過して除き、反応溶液をピリジンで中和した。この反応を5回繰り返し、反応溶液を濃縮後、水を加え側鎖の保護されたペプチドを沈殿させた。沈殿物をDMF溶掖で回収し、濃縮して、側鎖の保護された18残基ペプチド(Cys(Thz)−Ala−Ala−Thr(tBu)−Tyr(tBu)−Met−Met−Gly−Asn−Glu(OtBu)−Leu−Thr(tBu)−Phe−Leu−Asp(OtBu)−Asp(OtBu)−Ser(tBu)−Gly−COOH)(14)(配列番号15)を得た。
得られた18残基ペプチド(14)(10μmol)とMS4A(20mg)、ベンジルメルカプタン(36.0μl,300μmol)をDMF溶媒中(1.36μl)アルゴン気流下−20℃で1時間攪拌した後、PyBOP(8.6mg,50μmol)、DIPEA(26.0μl,50μmol)を加えて4時間攪拌した。その後、反応溶液にジエチルエーテルを加えて化合物を沈殿させ、ろ過した後に沈殿物をDMFで回収した。これを濃縮し、得られた濃縮品に95%TFA(エタンジチオール(EDT)を含む)水溶液を加えて室温で2時間攪拌した。樹脂をろ過して除き、反応溶液を濃縮した後に、50%アセトニトリル水溶液に溶かして凍結乾燥した。凍結乾燥品をHPLC(Cadenza column C18 75×4.6mm 展開溶媒A:0.1%TFA水溶液 B:0.1%TFA/アセトニトリル:水=90:10 グラジエントA:B=95:5→25:75 15分 流速0.1ml/min)で精製して、式(15)で表されるC末端がベンジルチオエステルであるペプチド(Cys(Thz)−Ala−Ala−Thr−Tyr−Met−Met−Gly−Asn−Glu−Leu−Thr−Phe−Leu−Asp−Asp−Ser−Gly−COSBn)(配列番号16)を製造した。
収量:4mg
ラセミ体の生成率:1%以下
ESI−MS:Calcd for C891291929:[M+2H]+2 2056.8,found.2057.2.
固相がTrityl resin(20μmol)である22残基ペプチド((Boc)Lys(Boc)−Ala−Met−His(trt)−Val−Ala−Gln(trt)−Pro−Ala−Val−Val−Leu−Ala−Ser(tBu)−Ser(tBu)−Arg(Pbf)−Gly−Ile−Ala−Ser(tBu)−Phe−Gly−CO−(Trityl resin))(配列番号17)(250mg,ノババイオケム社製造品)に1%TFA/DCM溶液を加え、室温で2分間反応させ、樹脂をろ過して除き、反応溶液をピリジンで中和した。この反応を5回繰り返し、反応溶液を濃縮後、水を加え側鎖の保護されたペプチドを沈殿させた。沈殿物をDMF溶液で回収し、濃縮して、側鎖の保護された22残基ペプチド((Boc)Lys(Boc)−Ala−Met−His(trt)−Val−Ala−Gln(trt)−Pro−Ala−Val−Val−Leu−Ala−Ser(tBu)−Ser(tBu)−Arg(Pbf)−Gly−Ile−Ala−Ser(tBu)−Phe−Gly−COOH)(16)(配列番号17)を得た。
ESI−MS:Calcd for C1702452934:[M+2H]+2 1652.0,found.1651.6
得られた22残基ペプチド(16)(7.5mg,2.2μmol)とMS4A(20.0mg)、チオフェノール(6.7μl,11.0μmol)をDMF溶媒中(300μl)アルゴン気流下−20℃で1時間攪拌した後、PyBOP(5.7mg,66.0μmol)、DIPEA(1.7μl,11.0μmol)を加え4時間攪拌した。その後、反応溶液にジエチルエーテルを加えて化合物を沈殿させ、ろ過した後に沈殿物をDMFで回収した。これを濃縮し、得られた濃縮品に95%TFA水溶液を加えて室温で2時間攪拌した。樹脂をろ過して除き、反応溶液を濃縮した後に、50%アセトニトリル水溶液に溶かして凍結乾燥した。凍結乾燥品をHPLC(Cadenza column C18 75×4.6mm 展開溶媒A:0.1%TFA水溶液 B:0.1%TFA/アセトニトリル:水=90:10 グラジエントA:B=95:5→25:75 15分 流速0.1ml/min)で精製して、式(17)で表されるC末端がフェニルチオエステルであるペプチド(Lys−Ala−Met−His−Val−Ala−Gln−Pro−Ala−Val−Val−Leu−Ala−Ser−Ser−Arg−Gly−Ile−Ala−Ser−Phe−Gly−COSPh)(配列番号18)を製造した。
収量:2mg
ラセミ体の生成率:1%以下
ESI−MS:Calcd for C1031652926:[M+2H]+2 1145.9,found.1145.7.
実施例1と同様にしてHMPB−PEGA resin(50μmol)を得、固相合成の固相として用いて、アミノ酸を縮合させてペプチドを形成した。アミノ酸の縮合は実施例1と同様に行なった。
第1のアミノ酸としてFmoc−Phe(96.9mg,0.25mmol)を用い、MSNT(74.0mg,0.25mmol)、N−methylimidazole(14.9μl,187.5μmol)、DCM(1ml)によって縮合させた。
その後のアミノ基が保護されたアミノ酸は、HOBt(33.7mg,0.25mmol)、DIPCI(38.5μl,0.25mmol)、DMF(1ml)によって縮合させた。
アミノ基が保護されたアミノ酸として、Fmoc−Asn(88.6mg,0.25mmol)、Fmoc−Cys(trt)(146.4mg,0.25mmol)、Fmoc−Lys(Boc)(117.1mg,0.25mmol)、Fmoc−Asn(88.6mg,0.25mmol)、Fmoc−Gly(74.3mg,0.25mmol)、Fmoc−Tyr(tBu)(114.9mg,0.25mmol)、Fmoc−Thr(tBu)(99.4mg,0.25mmol)、Fmoc−Lys(Boc)(117.1mg,0.25mmol)を用い、固相樹脂にPhe−Asn−Cys(trt)−Lys(Boc)−Asn−Gly−Tyr(tBu)−Thr(tBu)−Lys(Boc)(配列番号19)の9残基ペプチドを形成させた。
DCM及びDMFを用いて洗浄した後、9残基のペプチド3μmol相当の樹脂をエッペンチューブに移した。
下記式(18)で表される糖鎖アスパラギン(12mg,6μmol)とDEPBT(3mg,9μmol)をDMF:DMSO=4:1(201μl)に溶解させ、エッペンチューブに入れた。

DIPEA(1.02μl,6μmol)を加えて室温で20時間攪拌した。DMFで洗浄した後に、20%ピペリジンを用いてFmoc基を脱保護して、固相樹脂にPhe−Asn−Cys(trt)−Lys(Boc)−Asn−Gly−Tyr(tBu)−Thr(tBu)−Lys(Boc)−Asn(Oligosaccharide chain)(配列番号20)の10残基ペプチドを形成させた。この10残基ペプチドに、前記と同様にHOBt、DIPCI、DMFでアミノ酸を更に縮合させた。
アミノ酸として、Fmoc−Asp(1.7mg,0.015mmol)、Fmoc−Ser(tBu)(1.9mg,0.015mmol)、Fmoc−Gly(1.5mg,0.015mmol)、Boc−Cys(Thz)(1.7mg,0.015mmol)を用いて順次縮合させた。
樹脂にAcOH:TFE=1:1(1ml)を加え、室温で20時間反応させた。樹脂をろ過して除き、反応溶液を濃縮して、側鎖の保護された14残基ペプチド(Cys(Thz)−Gly−Ser(tBu)−Asp−Asn(Oligosaccharide chain)−Lys(Boc)−Thr(tBu)−Tyr(tBu)−Gly−Asn−Lys(Boc)−Cys(trt)−Asn−Phe−COOH)(19)(配列番号21)を得た。
得られた14残基ペプチド(19)(11.7mg,3μmol)とMS4A、ベンジルメルカプタン(10.6μl,90μmol)をDMF溶媒中(405μl)アルゴン気流下−20℃で1時間攪拌した後、PyBOP(7.8mg,15μmol)、DIPEA(2.6μl,15μmol)を加え2時間攪拌した。その後、反応溶液にジエチルエーテルを加え目的物を沈殿物として析出させた。この沈殿物を濾過により溶液と分離し、濾紙に残った沈殿物をアセトニトリル50%水溶液に溶かし回収した。回収した溶液を濃縮し、95%TFA水溶液を加えて室温で2時間攪拌した。その後凍結乾燥した。凍結乾燥品をHPLC(Cadenza column C18 75×4.6mm 展開溶媒A:0.01%TFA水溶液 B:0.01%TFA/アセトニトリル:水=90:10グラジエントA:B=80:20→40:60 15分 流速1ml/min)で精製して、式(20)で表されるC末端がベンジルチオエステルであるペプチド(Cys(Thz)−Gly−Ser−Asp−Asn(Oligosaccharide chain)−Lys−Thr−Tyr−Gly−Asn−Lys−Cys−Asn−Phe−COSBn)(配列番号22)を製造した。
収量 3mg
ラセミ体の生成は2%以下であった。
ESI−MS:Calcd for C1332032367:[M+2H]+2 1646.1,found.1646.4.

比較例1
PyBOPをDEPBT(1.5mg,5μmol)又はHBTU(1.9mg,5μmol)に替えた以外は、実施例7と同様に操作し、ベンジルチオエステル体AcNH−His−Ala−Ala−Phe−COSBn(配列番号6)を得た。DEPBTを使用した場合の収率は10%、HBTUのそれは10%未満であった。
比較例2
反応温度を30℃とした以外は、実施例9と同様にしてベンジルチオエステル体AcNH−Cys−Cys−Glu−His−COSBn(配列番号8)を得た。
ラセミ体の生成は40%であった。
本発明の方法によれば、糖鎖を有さないペプチドは勿論のこと、糖鎖、特に水酸基が保護されていない糖鎖を有する糖ペプチドであっても、その糖鎖構造に影響を与えることなく、更にペプチド側鎖の保護基を維持したC末端にカルボキシル基を有するペプチドを製造することが可能であり、更にペプチドC末端のラセミ化が殆ど生じていないチオエステル化合物を製造することができる。
得られたペプチドのチオエステル化合物を、N末端のアミノ酸がCysであるペプチドフラグメントと作用させることで高分子化することができ、単一構造の糖鎖を持つ大型の糖タンパク質の製造も可能となる。

Claims (10)

  1. (A)式(1)で表されるリンカーで修飾された樹脂を固相として使用し、固相合成法で水酸基が保護されていない糖鎖を有する糖ペプチドを形成させ、
    (B)希塩酸、希硫酸、蟻酸、及び酢酸から選ばれる少なくとも1種の酸で、アルコールの存在下、固相と糖ペプチドとの結合を切断して、C末端にカルボキシル基を有する糖ペプチドを製造し、
    (C)溶媒中、縮合剤の存在下、チオール化合物を−100〜0℃で反応させることを特徴とする水酸基が保護されていない糖鎖を有する糖ペプチドのチオエステル化合物の製造方法。


    [式中、RはC1−4アルキル基を示し、Rは水素原子、C1−4アルコキシ基を示す。nは1〜4の整数を示す。]
  2. (A) 式(1)で表されるリンカーで修飾された樹脂を固相として使用し、固相合成法で水酸基が保護されていない糖鎖を有する糖ペプチドを形成させ、
    (B) 希塩酸、希硫酸、蟻酸、及び酢酸から選ばれる少なくとも1種の酸で、アルコールの存在下、固相と糖ペプチドとの結合を切断することを特徴とするC末端にカルボキシル基を有する水酸基が保護されていない糖鎖を有する糖ペプチドの製造方法。
  3. C末端にカルボキシル基を有するペプチドに溶媒中、縮合剤の存在下チオール化合物を−100〜0℃で反応させることを特徴とするペプチドのチオエステル化合物の製造方法。
  4. ペプチドのN末端アミノ酸がシステインである請求1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. システインのチオール基が脂溶性保護基で保護されたペプチドである請求4に記載の製造方法。
  6. 式(1)で表されるリンカーで修飾された樹脂が、アミノPEGA樹脂のアミノ基に式(1)で表されるリンカーが結合した樹脂である請求1又は2記載の製造方法。
  7. アルコールがハロゲノアルコールである請求6に記載の製造方法。
  8. 溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンから選ばれる少なくとも1種である請求1又は3に記載の製造方法。
  9. 縮合剤が、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール/ジイソプロピルカルボジイミド又はベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート/ジイソプロピルエチルアミンである請求1又は3に記載の製造方法。
  10. ペプチドが糖ペプチドである請求3、4、5、8、又は9のいずれか1項に記載の製造方法。
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