本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る非接触式超音波眼圧計の外観構成図である。非接触式超音波眼圧計100は、いわゆる据え置き型の非接触式超音波眼圧計であって、基台1と、基台1に取り付けられた顔支持ユニット2と、基台1上に移動可能に設けられた移動台3と、移動台3に移動可能に設けられ、後述する測定系及び光学系を収納する測定部(測定ユニット)4と、を備える。測定部4は、移動台3に設けられたXYZ駆動部6により、被検眼Eに対して左右方向(X方向)、上下方向(Y方向)及び前後方向(Z方向)に移動される。移動台3は、ジョイスティック5の操作により、基台1上をX方向及びZ方向に移動される。また、検者が回転ノブ5aを回転操作することにより、測定部4はXYZ駆動部6のY駆動によりY方向に移動される。ジョイスティック5の頂部には、測定開始スイッチ5bが設けられている。移動台3には、表示モニタ72が設けられている。
図2は本実施形態に係る非接触式超音波眼圧計の測定系及び光学系について説明する図であって、観察光路中に探触子が配置された場合の具体例である。図3は本実施形態に係る非接触式超音波眼圧計の制御系について説明する図である。
被検眼Eの眼前に配置される探触子(トランスジューサ)10は、被検眼に対して超音波を入射させるための振動子11と、被検眼からの反射波を検出する振動検出センサ13と、を有し、被検眼の眼圧を非接触にて測定するために用いられる。なお、探触子10は、例えば、圧電素子を2つ積み重ねた構造となっており、一方が振動子11、他方が振動検出センサ13として用いられる。なお、本実施形態では、被検眼に入射させる超音波として、パルス波が用いられ、振動子11は超音波パルスを被検眼に対して入射させるための超音波入射部、振動検出センサ13は被検眼に入射された超音波パルスによる反射波を受信する超音波受信部として用いられる。
また、探触子10の被検眼側には、振動子11から発せられる超音波を収束させるための音響レンズ16が設けられており、被検眼と探触子10とのアライメントが適正になったときに、被検眼に対するフォーカスが合うようになっている。
ここで、探触子10は、増幅器81、周波数成分分析部82、周波数位相差特定部83、制御部70、と順次接続されている(図3参照)。そして、入射波、反射波に対応する電気信号は、増幅器81によって適切な信号レベルに増幅され、周波数成分分析部82によって、入射波、反射波の周波数成分分析が行われ、入射波、反射波それぞれにつき周波数に対する位相差のスペクトル分布が求められる。
次に、周波数位相差特定部83によって、入射波のスペクトル分布と反射波のスペクトル分布が比較され、それぞれの周波数fxにおける、その入射波の位相と反射波の位相の差である位相差θxが求められ特定される。ここで、周波数fxにおける位相差θxは被検眼の眼圧(厳密には、眼内圧の変化による角膜の硬さの変化)に応じて変化するため、制御部80は、周波数位相差特定部83の出力信号に基づいて位相差θxを検出し、その検出結果に基づいて被検眼の眼圧値を得る。なお、前述した超音波パルス法による硬さ検出手法については、特開2002−272743号公報を参考にされたい。
図2の説明に戻る。探触子10及び音響レンズ16の中心部には、固視光源32(後述する)から発せられた固視標投影用の光束、及びアライメント光源42から発せられたアライメント指標投影用の光束を通過させるための開口部18(例えば、直径1mm程度の円孔)が形成されている。
また、対物レンズ22の中心部に配置される振動子11及び振動検出センサ13と、観察光学系20の光路から外れた位置に配置される回路系(増幅回路81、周波数成分分析部82、周波数位相差特定部83、制御部70、等)は、配線用ケーブル95によって電気的に接続されている。この場合、配線用ケーブル95は、観察光学系20の観察光路中に配置されるため、配線用ケーブル95の表面で前眼部反射光が乱反射して後述する二次元撮像素子26上でノイズ光として検出されてしまう可能性がある。そこで、前眼部反射光(例えば、赤外光)を吸収する特性のコーティングが施されたカバー96(前眼部反射光吸収部材)で配線用ケーブル95を覆うことにより、ノイズ光が軽減された前眼部観察光を観察可能となる。
次に、光学系の構成について説明する。本光学系においては、被検眼の前眼部を観察するための観察光学系20と、被検眼を固視させるための固視標投影光学系30と、XYアライメント用の指標を被検眼角膜に投影する第1指標投影光学系40と、作動距離方向におけるアライメント検出用の指標を被検眼角膜に投影する指標投影光学系50と、被検眼角膜に投影された作動距離方向におけるアライメント検出用の指標を検出する距離指標検出光学系55が設けられている。
観察光学系20は、その観察光路中に探触子10が配置され、探触子10の周辺領域を介して前眼部像を結像させる。より具体的には、観察光学系20は、対物レンズ22、結像レンズ24、フィルタ25、二次元撮像素子26、とを有し、観察光軸L1上に探触子10が配置されている。このため、被検眼の所定部位(例えば、角膜中心、瞳孔中心)に対して観察光軸L1がアライメントされると、被検眼の正面に探触子10が配置される。さらに、図2に示す構成では、探触子10の中心軸(中心軸の延長線)と観察光軸L1が同軸になるように配置されているので、被検眼の所定部位に対して観察光軸L1がアライメントされると、探触子10の中心軸(中心軸の延長線)と被検眼の所定部位が一致した状態となるので、超音波による被検眼からの反射波を効率よく取得できる。
被検眼の斜め前方には、被検眼を赤外光により照明する前眼部照明光源38が配置されている。フィルタ25は、光源38及び後述する光源42の光を透過し、後述する作動距離検出用の光源51の光に対して不透過の特性を持つ。
ここで、前眼部照明光源38による前眼部反射光は、対物レンズ22に向かう。この場合、探触子10の周辺領域に到達した前眼部反射光は、対物レンズ22を通過し、ビームスプリッタ36及びビームスプリッタ46を介して、結像レンズ24によって二次元撮像素子26上に結像される。
上記構成において、二次元撮像素子26は前眼部観察用の撮像素子として用いられる。そして、二次元撮像素子26から出力される撮像信号は、制御部70へ入力され、表示モニタ72の画面上に表示される。また、対物レンズ22及び結像レンズ24からなる結像光学系は、被検眼前眼部像を二次元撮像素子26に導光する導光部材として用いられる。なお、本実施形態では、複数のレンズからなるレンズ系によって被検眼前眼部像を二次元撮像素子26上に導光させる構成としたが、一つの対物レンズによって被検眼前眼部像を二次元撮像素子26上に導光させるような構成であってもよい。
また、対物レンズ22と探触子10との観察光軸L1方向(Z方向)における位置関係について、探触子10より後方(撮像素子26側)もしくは同一位置に対物レンズ22を配置することにより、被検眼と装置筐体との間のスペースを広く確保することが可能となる(図2及び図5参照)。この場合、前眼部反射光が探触子10及び音響レンズ16によって遮られる可能性があるので、明るい前眼部像を観察するには、対物レンズ22と探触子10は、観察光軸L1方向における近接した位置、より好ましくは観察光軸L1方向における略同一位置に配置することが好ましい。
なお、探触子10に対して対物レンズ22が同一位置に配置される具体的構成としては、図2に示すような構成が考えられる。対物レンズ22には、探触子10が挿入される挿入孔22aが形成されており、挿入孔22aを介して対物レンズ22に探触子10が取り付けられる。
また、探触子10より後方に対物レンズ22が配置された具体的構成としては、図5に示すような構成が考えられる。この場合、対物レンズ22には、探触子10及び音響レンズ16を支持する支持部材19が挿入される挿入孔22aが形成されており、挿入孔22aに支持部材19が挿入されることによって探触子10及び音響レンズ16が所定位置に支持される。
また、上記構成に限るものではなく、探触子より前方に対物レンズが配置されるようにしてもよい。この場合、振動子から出射される超音波が対物レンズによって反射・減衰されるのを防止するべく、対物レンズには、探触子による超音波伝搬経路に対応する部分に開口部が形成されていることが好ましい。これにより、振動子から出射された超音波は、開口部を介して被検眼に入射され、被検眼からの反射波は開口部を介して振動検出センサによって検出される。
図2の説明に戻る。固視標投影光学系30は、少なくとも固視標投影用の固視光源を有し,被検眼を固視させるための固視標を被検眼に向けて投影する。より具体的には、固視標投影光学系30は、可視光を発する固視用の光源32、固視標33、開口絞り34、投影レンズ35、ビームスプリッタ46、ビームスプリッタ36、とを有し、探触子10及び音響レンズ16に形成された開口部18を介して被検眼に固視標を投影する。固視標投影光学系30の投影光軸L2は、観察光学系20の光路中に配置されたビームスプリッタ46にて観察光軸L1と同軸とされる。
ここで、光源32から出射された固視標投影用の光束によって照明された固視標33からの光は、開口絞り34によって光束径が絞られた後、投影レンズ35を通過し、ビームスプリッタ46によって反射された後、ビームスプリッタ36、開口部18を介して、被検眼に向かい、被検眼眼底に投影される。これにより、被検眼の固視がなされる。
第1指標投影光学系40は、少なくともアライメント指標投影用のアライメント光源を有し,被検眼前眼部に向けてアライメント指標を正面方向から投影する。より具体的には、第1指標投影光学系40は、赤外光を発するアライメント用の光源42、投影レンズ44、ビームスプリッタ36、とを有し、探触子10に形成された開口部18を介して被検眼角膜上にXYアライメント指標を投影する。また、アライメント指標投影光学系40の投影光軸L3は、観察光学系20の光路中に配置されたビームスプリッタ36にて観察光軸L1と同軸とされる。
ここで、光源42から出射されたアライメント用光束は、投影レンズ44を通過した後、ビームスプリッタ36によって反射された後、開口部18を介して被検眼角膜に照射される。そして、角膜Ecで鏡面反射したアライメント光束によって、光源42の虚像である指標i1(アライメント指標像)が形成される。
そして、指標i1からの光束は対物レンズ22へと向かう。この場合、探触子10の周辺領域に到達したアライメント用の反射光は、対物レンズ22を通過し、ビームスプリッタ36及びビームスプリッタ46を介して、結像レンズ24によって二次元撮像素子26上に結像される。すなわち、アライメント光源42による角膜反射像i1と前眼部照明光源38による被検眼前眼部像は、探触子10の周辺領域を介して二次元撮像素子26上に結像される。これにより、二次元撮像素子26上には、前眼部像と角膜輝点像(アライメント指標像)が受光される。なお、二次元撮像素子26に受光されたアライメント指標像は、被検眼E(角膜Ec)がXY方向に移動すると、二次元撮像素子26上を指標i1が移動するため、二次元撮像素子26からの検出信号に基づき被検眼Eに対する探触子10のXY方向におけるアライメント状態を検出できる。
なお、上記のように探触子10及び音響レンズ16に形成された開口部18を介してアライメント光束を照射し、探触子10の周辺領域を介して指標i1からの反射光束を二次元撮像素子26にて受光する場合、音響レンズ16によって反射光束がけられてしまう可能性が高い。そこで、第1指標投影光学系40としては、図2に示すように、被検眼に照射されるアライメント光束が被検眼に到達する前に一旦集光され、被検眼角膜に発散光束として照射されるような光学系であることが好ましい。このようにすれば、指標i1からの光束は、探触子10の周辺領域を効率よく迂回可能な光束となり、アライメント光束として利用可能となる。これに対し、被検眼角膜に対して収束光束又は平行光束を照射する場合、周辺方向への反射角度が小さく、指標i1からの反射光束が音響レンズ16によってけられやすい。
作動距離指標投影光学系50は、Z方向(前後方向)のアライメント検出用の赤外光源51、投影レンズ52、を有し、作動距離(Z)方向におけるアライメント検出用の指標を被検眼角膜上に投影する。なお、投影光学系50の投影光軸L4は、観察光軸L1と所定の角度で交わる。ここで、光源51による光は、投影レンズ52により略平行光束とされた後、投影光軸L4に沿って被検眼角膜に斜め方向から投影され、角膜Ecで鏡面反射した光束は光源51の虚像である指標i2を形成する。
作動距離指標検出光学系55は、受光レンズ56、フィルタ57、位置検出素子58(例えば、ラインCCD)、を有し、距離指標投影光学系50によって形成されたアライメント指標像を検出する。フィルタ57は、光源51の光を透過し、光源38及び光源42の光に対して不透過の特性を持つ。なお、作動距離指標検出光学系55の投影光軸L5と作動距離指標投影光学系50の投影光軸L4は観察光軸L1に対して対称な軸を持ち、光軸L5は光軸L4と光軸L1上で交差する。ここで、指標i2からの光束は、受光レンズ56によってフィルタ57を介して位置検出素子58上に結像される。被検眼E(角膜Ec)がZ方向に移動すると、位置検出素子58上を指標i2が移動するため、位置検出素子58からの検出信号に基づき被検眼Eに対する探触子10のZ方向におけるアライメント状態を検出できる。
次に、図3を用いて、制御系の構成について説明する。制御部70は、周波数位相差特定部83、光源32、光源42、光源51、二次元撮像素子26、位置検出素子58、光源38、表示モニタ72、記憶部としてのメモリ75、回転ノブ5a、測定開始スイッチ5b、各種スイッチが配置されたコントロール部74、XYZ駆動部6、等と接続され、装置全体の制御、測定値の演算処理等を行う。
なお、メモリ75には、周波数fxにおける位相差θxと被検眼の眼圧値との相関関係を示すテーブルが記憶されており、制御部70は、周波数位相差特定部83から出力される位相差θxに対応する被検眼の眼圧値をメモリ75により取得し、得られた眼圧値を表示モニタ72に表示する。
なお、位相差θxと被検眼の眼圧値との相関関係は、例えば、ゴールドマン眼圧計によって得られる被検眼の眼圧値と、本装置によって取得される位相差θxとの相関関係を予め実験により求めておくことにより設定可能である。また、メモリ75には、探触子10を用いて被検眼の眼圧を測定するためのプログラムの他、装置全体の制御を行うための制御プログラムなどが記憶されている。
制御部70は、二次元撮像素子26からの検出信号に基づいてXY方向のアライメント検出、位置検出素子58からの検出信号に基づいてZ方向のアライメント検出を行う。また、コントロール部74には、被検眼に対する測定部4のアライメントを自動的に行う自動アライメントモードと被検眼に対する測定部4のアライメントを検者の手動にて行う手動アライメントモードを選択する選択スイッチ74a、アライメント完了時に測定開始のトリガを自動的に発するオートショットモードと測定開始スイッチ5bからの操作信号に基づいて測定開始のトリガを発するマニュアルショットモードとを選択する選択スイッチ74b、等が配置されている。なお、オートショットモードに設定された場合、制御部70は、制御部70は、2次元撮像素子26及び位置検出素子58からの検出結果に基づいてアライメント状態の適否を判定し、その判定結果に基づいて測定開始のトリガ信号を発し、そのトリガ信号に発生に基づいて探触子10により超音波を被検眼に向けて出射する。
また、制御部70は、検者によって選択されたモードを検者に対して報知する。例えば、選択されたモードを示す表示をモニタ72上で行ったり、選択されたモードについて音声により報知する。
以上のような構成を備える装置の動作について説明する。まず、検者は、被験者の顔を顔支持ユニット2に固定させた後、表示モニタ72を見ながら、ジョイスティック5を用いて被検眼に対するアライメントを行う。このとき、制御部70は、図4に示すように、二次元撮像素子26によって取得される前眼部画像と、被検眼に対するアライメントを行うために利用されるレチクルLT及びインジケータGをモニタ72上に合成して表示する。
ここで、指標i1 像が表示モニタ72上に形成された状態になると、2次元撮像素子26は指標i1を検出できるので、上下左右方向で自動アライメントが可能な状態となる。また、指標i2 の光束が位置検出素子58上に入射する状態になると、Z方向で自動アライメントが可能な状態となる。この場合、制御部70は、位置検出素子58からの検出信号から得られるZ方向のアライメント情報に基づいて、インジケータGを表示制御する。
ここで、自動アライメントモード及びオートショットモードが選択された場合について説明する。制御部70は、被検眼Eが適正位置にあるときのアライメント位置に対する上下左右方向及び前後方向のそれぞれのアライメント偏位量を得て、これらの偏位情報に基づき、各偏位量が所定の許容範囲内に入るようにXYZ駆動部6を駆動制御する。そして、アライメント偏位量が許容範囲内に入ると、制御部70は、XYZ駆動部6の駆動を停止させ、測定開始のトリガ信号を自動的に発し、探触子10を用いて眼圧測定を開始する。なお、上記構成においては、XYZ方向に関して自動アライメント制御を行うものとしたが、XYZ方向の少なくともいずれかの方向に関して自動アライメント制御を行うような構成であってもよい。
また、手動アライメントモード及びマニュアルショットモードが選択された場合について説明する。この場合、検者は、モニタ72に表示される指標i1像がレチクルLT内に入ると共に、インジケータGがアライメント完了を示す(図4(b)参照)ように、ジョイスティック5を操作する。このようにして各方向のアライメントが完了し、検者によって測定開始スイッチ5bが押されると、制御部70は、測定開始のトリガ信号を発し、探触子10を用いて眼圧測定を開始する。
上記のようにして測定開始のトリガ信号が発せられる(入力される)と、制御部70は、そのトリガ信号に基づいて、振動子11を用いて超音波パルスを被検眼に向けて出射させると共に、振動検出センサ14を用いて被検眼に入射された超音波パルスによる反射波を検出する。そして、制御部70は、前述のように、周波数位相差特定部83からの出力信号に基づいて被検眼の眼圧値を算出し、測定結果をモニタ82に表示する。
以上のような構成とすれば、探触子10と被検眼との位置合わせを容易に行うことが可能となる。
なお、以上の説明においては、探触子10の中心部に形成された開口部18を介して被検眼に固視標投影用の光束を被検眼眼底に投影させるものとしたが、これに限るものではなく、対物レンズ22における探触子10の周辺領域を介して被検眼眼底に固視光束を投影するようにしてもよい。この場合、例えば、光軸L2上にスポット開口が形成される開口絞り34に代えて、光軸L2にリング中心を持つリング開口を用いるような構成が考えられる。
なお、以上の説明においては、探触子10の中心部に形成された開口部18を介して被検眼にアライメント用の光束を被検眼眼底に投影させるものとしたが、これに限るものではなく、対物レンズ22における探触子10の周辺領域を介して被検眼角膜にアライメント光束を照射し、そのアライメント光束による反射光束を対物レンズ22における探触子10の周辺領域を介して二次元撮像素子26に受光させるような構成により、探触子10を迂回してアライメント光束の投影・受光を行うようにしてもよい。この場合、例えば、光源42にリング状の光源に用いるようなことが考えられる。
図6は固視標投影光学系及び第1アライメント指標投影光学系の変容例を示す図である。この場合、固視光源32(例えば、可視LED)が探触子10の中心部に設けられている。この場合、固視光源32から発せられる可視光束が被検眼眼底に投影されることによって被検眼の固視がなされる。
観察光学系20の観察光軸L1に対して所定の角度でアライメント指標を投影する指標投影光学系140が対物レンズ22より外側に配置され、指標投影光学系140による角膜反射像が探触子10の周辺領域を通過される。この場合、音響レンズ16による角膜反射光束のケラレが少なくなるように、観察光軸L1に対する指標投影光学系140の投影光軸の角度を設定すればよい。なお、図6のように、探触子10の中心部に固視光源32が配置されるような構成の場合、可視光及び近赤外光を発する光源を固視光源32として用い、その固視光源32から発せられた近赤外光による角膜反射像を前眼部観察用の撮像素子26に受光させることにより、固視光源32をアライメント光源として兼用するようにしてもよい。
なお、以上の説明において、観察光軸L1上に探触子10が配置される構成としたが、これに限るものではなく、図7に示すように、XY方向に関して観察光軸L1から探触子10が外れているような構成であってもよい。この場合、被検眼(例えば、角膜中心、瞳孔中心)に対して探触子10の中心軸をアライメントさせたときの二次元撮像素子26上における角膜輝点i1の検出位置をアライメント基準位置として設定し、レチクルLTの表示位置、アライメント検出におけるアライメント完了位置、等を設定するようにすればよい。
図8は本実施形態に係る非接触式超音波眼圧計の測定系及び光学系について説明する図であって、観察光学系20の観察光路外に探触子10が配置された場合の具体例を示す図である。図8において、図2と同様の番号を付したものについては、特段の説明がない限り、同様の機能を果たすものとする。
超音波反射部材(音響ミラー)90は、振動子11から出射される入射波を被検眼に向けて反射すると共に、入射波による被検眼からの反射波を振動検出センサ13に向けて反射する。また、観察光学系20は、その観察光路外に探触子10が配置され、かつ、超音波反射部材90と被検眼との間の超音波伝搬経路上に観察光軸L1が形成されるように設けられている。また、対物レンズ22には、探触子10による超音波を通過させるための開口22bが形成されている。
ここで、振動子11から発せられた超音波は、超音波反射部材90によって反射され、対物レンズ22に形成された開口22bを介して被検眼に入射される。そして、被検眼からの反射波は、対物レンズ22に形成された開口22bを通過後、超音波反射部材90によって反射され、振動検出センサ13によって検出される。
なお、図8のように超音波反射部材90と被検眼との間に対物レンズ22が配置されるような場合、対物レンズ22は、探触子10による超音波伝搬経路に対応する部分に開口部22bが形成されているため、対物レンズ22を超音波が通過するときに生じる減衰を回避できる。この場合、光源38による前眼部反射光が開口22bを介して二次元撮像素子26に受光されてノイズ光となるのを防止するべく、観察光束をカットする特性を有するコーティングを施した超音波反射部材90を用いるようにしてもよい。
また、超音波反射部材90において、超音波を反射すると共に、光を透過する特性を持つ部材(例えば、例えば、無色透明の硬質なプラスチック板)を超音波反射部材90として用いるようにしてもよい。これにより、固視標投影光学系30の光路中、アライメント投影光学系40の光路中に超音波反射部材90が配置されていても、固視光束及びアライメント光束のケラレを回避できる。なお、光透過性を持つ超音波反射部材90を用いる場合、超音波反射部材を光が通過することによる光路長の変化を鑑み、ビームスプリッタ36・ビームスプリッタ46等の光路分割部材と同程度の面積を持つ部材を用いるようにしてもよい(例えば、図9参照)。
また、上記構成に限るものではなく、超音波反射部材90の一部に開口部を設けることで、固視光束及びアライメント光束が開口部を通過して被検眼に入射されるようにしてもよい。なお、上記構成においては、固視標投影光学系30及びアライメント投影光学系40の共通光路中に超音波反射部材90が配置される場合を示したが、固視標投影光学系30、アライメント投影光学系40の少なくともいずれかの光路中に超音波反射部材90が配置される場合においても、上記構成の適用は可能である。
また、観察光学系20の観察光路外に探触子10が配置された構成としては、図8の構成に限るものではなく、観察光学系20の対物レンズ22と被検眼との間に超音波反射部材90を設けたものであってもよい。この場合、振動子11から出射される超音波は超音波反射部材90を介して被検眼に入射され、その反射波は超音波反射部材90を介して振動検出センサ13によって検出される。
なお、上記構成において、被検眼の眼圧とは異なる眼特性を測定する測定光学系を設け、被検眼眼圧に加えて他の眼特性を測定できるようにしてもよい。
図9は、非接触式超音波眼圧計に眼屈折力測定光学系を設けた場合の具体例を示す概略光学図である。
図9において、測定光学系として眼屈折力測定光学系310が設けられ、測定光学系310は、測定光路外に探触子10が配置され、かつ、超音波反射部材90と被検眼との間の超音波伝搬経路上に測定光軸L6が形成されるように設けられている。
より具体的には、超音波反射部材90は被検眼の眼前に配置され、振動子11から出射される超音波は超音波反射部材90を介して被検眼に入射され、その反射波は超音波反射部材90を介して振動検出センサ13によって検出される。これにより、被検眼の眼圧測定がなされる。
また、超音波反射部材90の後方に配置されたダイクロイックミラー301の透過光路O1上には、眼屈折力測定光学系310が配置されている。測定光学系310は、眼底に測定光束を投光し、被検眼眼底からの反射光束を受光素子に受光させる光学系であり、受光素子の出力に基づいて眼屈折力が測定される。この測定光学系310及びその測定原理は周知のものが使用できるので、ここではその説明を省略する。
ダイクロイックミラー301の反射方向には、眼Eを観察するための対物レンズ3111、ダイクロイックミラー312、全反射ミラー313が配置されている。ミラー313の反射方向の光路O2上には、眼Eに固視標を固視させるための図示なき固視標投影光学系が配置されている。
ダイクロイックミラー312の反射方向の光路O3上には、結像レンズ320、眼Eの前眼部付近と略共役な位置に配置されたエリアCCD等の二次元撮像素子321を含み眼Eを撮影し被検眼像を得る観察光学系322が配置されている。なお、二次元撮像素子321は、前眼部照明光源325によって照明された前眼部反射光と、図示無きアライメント投影光学系によって角膜上に投影されたアライメント指標像を受光する。
なお、測定光学系310の測定光軸L6と観察光学系311の観察光軸は、ダイクロイックミラー301にて同軸とされる。また、ダイクロイックミラー301は測定光学系310が持つ測定光源から発せられる波長の光を透過し、前眼部照明光源325及び図示無きアライメント投影光学系から発せられた波長の光及び可視光を反射する特性を有する。また、ダイクロイックミラー312は可視光を透過し、赤外光を反射する特性を有している。また、超音波反射部材90としては、超音波を反射するとともに光を透過する特性を持つ部材(例えば、無色透明の硬質なプラスチック板)を用いており、測定光学系310による測定光束、光源325による前眼部反射光、図示なき固視標投影光学系による固視光束、図示無きアライメント投影光学系から発せられた光、等が透過される。
なお、図9の構成においては、測定光学系310、観察光学系322、固視標投影光学系の共通光路中に超音波反射部材90が配置されるものとしたが、探触子10から出射された超音波が超音波反射部材90を介して被検眼に対して正面から出射されるものであれば、これに限るものではない。例えば、ダイクロイックミラー301と対物レンズ311との間に超音波反射部材90を設けるような構成が考えられる。
以上のような構成とすれは、被検眼の眼圧測定に加えて、被検眼の眼屈折力を測定可能となる。これにより、被検眼眼圧及び被検眼の眼圧とは異なる眼特性を測定可能な眼科装置の構成をコンパクトにできる。
なお、上記説明においては、眼屈折力測定を例にとって説明したが、被検眼に照射された測定光による反射光を受光することにより被検眼の眼圧とは異なる眼特性を測定する測定光学系であれば、これに限るものではない。この場合、眼屈折力測定光学系310に代えて、非接触式眼軸長測定光学系(例えば、特開2007−37284号公報)、角膜厚測定光学系(例えば、特開昭63−197433)、等を設けるようなことが考えられる。
なお、上記説明において、測定開始のトリガ信号に基づく被検眼の眼圧測定について、連続測定モードと通常の測定モードとを任意に選択できるようにしてもよい。この場合、例えば、1回のトリガ信号に基づいて1回の眼圧測定を行う通常の測定モードと,1回のトリガ信号に基づいて複数の眼圧測定を連続的に行う連続測定モードと,を選択するための選択スイッチを設けることが考えられる。
以下に、連続測定モードが選択された場合について説明する。制御部70は、測定開始のトリガ信号が発せられると、被検眼の脈動による被検眼眼圧の変動情報が得られるように探触子10により超音波パルスを連続的に被検眼に向けて出射し、連続的に出射される各超音波パルスに対応する演算処理を行う。
より具体的には、被検眼の脈動周期の範囲内(例えば、1.5秒以内)で、所定の時間間隔(例えば、0.1秒間隔)にて超音波パルスを連続的に被検眼に向けて出射し、各張音波パルスに対応する眼圧値を算出する。このようにすれば、被検眼の脈動周期の範囲内で多数の眼圧値が取得できるため、被検眼の脈動周期における被検眼の眼圧値の変化をとらえることができる。この場合、被検眼の脈動周期の範囲内で得られた各測定値に基づいて、代表値(例えば、各測定値の平均値、各測定値における中心値)を算出したり、脈動のピーク、ボトム、及び中間位置での測定値を算出し、これをモニタ72等に出力することにより被検眼の脈動による眼圧値の変動を考慮した眼圧測定が可能となる。
なお、以上の説明においては、所定の時間間隔(例えば、0.1秒間隔)にて超音波パルスを出射するものとしたが、これに限るものではなく、被検眼の脈動周期の範囲内で予め設定された所定回数超音波パルスを出射するようにしてもよい。
また、上記構成において、被検眼に向けて超音波パルスを連続的に出射するときの時間間隔もしくは出射回数を任意に変更可能とし、その時間間隔もしくは出射回数を予め設定するための設定スイッチをコントロール部74に設けるようにしてもよい。
なお、以上の説明においては、Z方向におけるアライメント検出を光学的に検出する構成としたが、眼圧測定に用いられる探触子10によりZ方向のアライメント検出を行うようにしてもよい。この場合、探触子10の制御と眼圧測定用の制御と距離測定用の制御とで切り換える必要がある。ここで、探触子10により被検眼に対する距離検出を行う場合、具体的には、制御部70は、振動子11より被検眼に対して超音波を発してから、被検眼によって超音波が反射されて振動検出センサ13によって検出されるまでの計測時間Tを計測することにより、被検眼に対する探触子10の作動距離を検出できる。この場合、超音波が振動子11から出射されて振動検出13センサによって検出されるまでの計測時間Tが長ければ、被検眼に対する作動距離が大きく、計測時間Tが短ければ、被検眼に対する作動距離が短くなる。この場合、制御部70は、被検眼に対する作動距離が適正であるときの計測時間Tkを予め求めておき、探触子10によって計測される計測時間TがTkとなったときにZ方向のアライメント完了とみなす。なお、探触子10によって検出される距離情報は、図4に示すようなインジケータ表示としてモニタ72上に表示される。
なお、上記のような構成の場合、制御部80は、例えば、アライメントの完了前においては、被検眼に対する距離センサとして探触子10を制御し、探触子10によって検出されるZ方向におけるアライメントが適正と判定された時点で、被検眼に対する眼圧測定センサとして探触子10を制御させ、眼圧測定を行う。
このようにすれば、被検眼に対する作動距離方向のアライメント検出を行うための構成が眼圧測定用の探触子10によって行われるため、構成を簡略化できる。
なお、上記説明において、探触子10を用いて被検眼に超音波を入射させる場合、被検眼に入射される超音波をパルス波としたが、これに限るものではなく、連続波を用いるようにしてもよい。
また、上記説明においては、振動子11への入力位相と出力位相との位相差による音響インピーダンスの違いにより眼圧を求めるものとしたが、振動子11から発せられる入射波と振動検出センサ13によって検出される反射波とを比較し演算処理により被検眼の眼圧を測定するものであれば、これに限るものではない。例えば、振動子11から発せられる入射波の周波数と振動検出センサ13によって検出される反射波の周波数を比較して演算処理により被検眼の眼圧を求めるようにしてもよい。より具体的には、振動子11への入力波形と振動検出センサ13からの出力波形との間に位相差が生じたときに振動子11が発する超音波の周波数を変化させることで位相差をゼロにシフトさせる位相シフト回路を設け、位相差をゼロにシフトさせたときの周波数変化量を検出することにより被検眼の眼圧を求めるようにしてもよい。