以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は本発明に係る自動販売機の実施の形態である自動販売機の外扉と内扉とを開放した状態を示す正面図、図2は図1に示した自動販売機のII−II断面図、図3は図1に示した自動販売機のIII−III断面図である。
本発明の実施の形態である自動販売機は、缶入り飲料、ペットボトル入り飲料、あるいはビン入り飲料等の商品を冷やした状態で販売したり、温めた状態で販売したりする自動販売機に好適なものである。
図1〜図3に示すように、本実施の形態である自動販売機は、本体キャビネット1を備えている。本体キャビネット1は、複数の鋼材を適宜組み合わせることにより構成したもので、前面が開口した箱状を呈している。
本体キャビネット1の左側縁部には内扉(図示せず)と外扉2とが支承してある。この外扉2の前面には、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品の見本を展示する商品展示室(図示せず)、商品を選択するための選択ボタン(図示せず)、貨幣を投入するための貨幣投入口(図示せず)、払い出された商品を取り出すための商品取出口(図示せず)等、商品の販売に必要となる構成が配置してある。内扉は、断熱材によって構成したもので、本体キャビネット1の前面開口を開閉すべく外扉2と本体キャビネット1との間に配設してある。
本体キャビネット1の内部は、仕切板3(床板)によって商品収容室4と機械室5とに画成されている。商品収容室4は本体キャビネット1の内部上方に画成され、機械室5は本体キャビネット1の内部下方に画成されている。
図1に示すように、商品収容室4は、さらに二つの断熱仕切板40によって三つの商品収納庫4a,4b,4cに画成されている。これら三つの商品収納庫4a,4b,4cは、本体キャビネット1の幅方向に並設されている。以下の説明において、正面向かって左側となる商品収納庫4aを「左庫4a」、中央となる商品収納庫4bを「中庫4b」、右側となる商品収納庫4cを「右庫4c」と称する。
本実施の形態である自動販売機の左庫4aと中庫4bは、商品を冷やすこともできれば、商品を温めることもできる冷却加温兼用庫であって、右庫4cは商品を冷やすことしかできない冷却専用庫となっている。
また、本実施の形態である自動販売機では、図1に示すように、右庫4cの幅(容積)が最も大きく、左庫4aの幅(容積)が右庫4cにつづき、中庫4bの幅(容積)が最も小さくなるように画成してある。このため、左庫4aと右庫4cとには、本体キャビネット1の幅方向に二列の商品収納ラック6が収容され、中庫4bには、本体キャビネット1の幅方向に一列の商品収納ラック6が収納されている。なお、右庫4cに収容した商品収納ラック6と左庫4aに収容した商品収納ラック6とでは、商品収納ラック6の幅が異なるが、これは右庫4cに収容した商品収納ラック6に通常の容量よりも大容量となるペットボトル入り飲料等の商品の収納を可能とするためである。
また、図2及び図3に示すように、左庫4a、中庫4b、右庫4cには、奥行き方向に五列の商品収納通路を画成するように商品収納ラック6が収納されている。したがって、左庫4aと右庫4cとにはそれぞれ10種類ずつ商品を収納することができ、中庫4bには5種類の商品を収納することができる。すなわち、本実施の形態である自動販売機は、25種類の商品が収納でき、これらを要求に応じて販売することができる。
商品収納ラック6は、蛇行した商品収納通路が内部に画成されたいわゆるサーペンタインラックと称されるものであって、商品収納ラック6の下方部には商品収納ラック6から一つずつ商品を搬出するベンドメックと称される商品搬出装置(図示せず)を備えている。
図2及び図3に示すように、各商品収納庫4a,4b,4cの内部であって、商品収納ラックの奥方となる部位には、それぞれ背面ダクト41が取り付けてある。背面ダクト41は、商品収納ラック6に収納された商品の間を通過した空気を吸い込んで循環させるためのもので、商品収納庫4a,4b,4cの中程となる位置に吸込口(図示せず)が形成してあり、商品収納庫4a,4b,4cの下部となる位置に吐出口(図示せず)が形成してある。
また、図4及び図5に示すように、各商品収納庫4a,4b,4cの下部奥方には、庫内風胴42a,42b,42cが取り付けてある。庫内風胴42a,42b,42cは、奥面と底面とが開口した箱形形状を呈しており、庫内風胴42a,42b,42cの奥面が背面ダクト41の吐出口と接続され、庫内風胴42a,42b,42cの底面が仕切板3(床板)に接続されている。したがって、背面ダクト41の吸込口(図示せず)から吸い込まれた空気は背面ダクト41の吐出口(図示せず)を経由して庫内風胴42a,42b,42cに導かれるようになっている。
図4及び図5に示すように、商品収納庫4a,4b,4cのうち、左庫4a及び中庫4bの仕切板3(床板)には、奥方から前方に向けて順番に冷気吸込口43a,43b、暖気吸込口44a,44b、暖気吐出口45a,45b、冷気吐出口46a,46bが開口している。冷気吸込口43a,43b及び暖気吸込口44a,44bは庫内風胴42a,42bの底面となる部位に開口しており、背面ダクト41の吸込口(図示せず)から吸い込まれた空気は、背面ダクト41の吐出口(図示せず)、庫内風胴42a,42bを経由して冷気吸込口43a,43bあるいは暖気吸込口44a,44bから吸い込まれるようになっている。一方、暖気吐出口45a,45b、冷気吐出口46a,46bは、庫内風胴42a,42bの底面となる部位よりも前方となる部位に開口しており、暖気吐出口45a,45bあるいは冷気吐出口46a,46bから吐出した空気は庫内風胴42a,42bに直接流入することなく左庫4aあるいは中庫4bの庫内に供給されるようになっている。
冷気吸込口43a,43b、暖気吸込口44a,44b、暖気吐出口45a,45b、冷気吐出口46a,46bをそれぞれ閉塞する冷気吸込シャッタ43a1,43b1、暖気吸込シャッタ44a1,44b1、暖気吐出シャッタ45a1,45b1、冷気吐出シャッタ46a1,46b1が左庫4a及び中庫4bに設けてある。これらシャッタは断熱材により構成してあり、開口を閉塞するのに十分な面積を有する板状体で構成してある。
冷気吸込シャッタ43a1,43b1、暖気吸込シャッタ44a1,44b1、暖気吐出シャッタ45a1,45b1、冷気吐出シャッタ46a1,46b1は、図6に示すシャッタ開閉装置30によって連係して開閉するようになっている。
シャッタ開閉装置30は、図6に示すように、シャッタベース31に沿ってスライダ32が前後方向に移動することにより、冷気吸込シャッタ43a1,43b1と冷気吐出シャッタ46a1,46b1とを閉塞操作するとともに暖気吸込シャッタ44a1,44b1と暖気吐出シャッタ45a1,45b1とを開放操作する一方、暖気吸込シャッタ44a1,44b1と暖気吐出シャッタ45a1,45b1とを閉塞操作するとともに冷気吸込シャッタ43a1,43b1と冷気吐出シャッタ46a1,46b1とを開放操作するようになっている。
このため、シャッタベース31にスライダ32を案内する一対のガイド軸33を立設してある。そしてスライダ32はガイド軸33に案内されて前後方向に移動するようになっている。スライダ32にはスライダレバー34が取り付けてあり、スライダ32とスライダレバー34とは一体となって前後方向に移動するようになっている。また、スライダレバー34の前端とガイド軸33との間には引っ張りバネ35が掛け渡してあり、スライダレバー34とスライダ32とが前方に移動するように付勢してある。一方、スライダレバー34の後端にはソレノイド36が取り付けてあり、ソレノイド36を励磁すると、スライダレバー34とともにスライダ32が後方に移動するようになっている。
そして、スライダ32が前方に移動した場合には、冷気吸込シャッタ43a1,43b1と冷気吐出シャッタ46a1,46b1とが支点軸51,52を揺動中心として揺動することにより傾いて開放状態となり、暖気吸込シャッタ44a1,44b1と暖気吐出シャッタ45a1,45b1とが支点軸53,54を揺動中心として揺動することにより閉塞状態となる。
一方、ソレノイド36が励磁され、引っ張りバネ35の付勢力に抗してスライダ32が後方に移動した場合には、暖気吸込シャッタ44a1,44b1と暖気吐出シャッタ45a1,45b1とが支点軸53,54を揺動中心として揺動することにより傾いて開放状態となり、冷気吸込シャッタ43a1,43b1と冷気吐出シャッタ46a1,46b1とが支点軸51,52を揺動中心として揺動することにより閉塞状態となる。そして、この状態をソレノイド37が維持することになる。
シャッタ開閉装置30を操作することにより、左庫4aを冷却庫とする場合には、暖気吸込口44aを閉塞するとともに暖気吐出口45aを閉塞する一方、冷気吸込口43aを開放するとともに冷気吐出口46aを開放することになる。また、シャッタ開閉装置30を操作することにより、左庫4aを加温庫とする場合には、冷気吸込口43aを閉塞するとともに冷気吐出口46aを閉塞する一方、暖気吸込口44aを開放するとともに暖気吐出口45aを開放することになる。
同様に、シャッタ開閉装置30を操作することにより、中庫4bを冷却庫とする場合には、暖気吸込口44bを閉塞するとともに暖気吐出口45bを閉塞する一方、冷気吸込口43bを開放するとともに冷気吐出口46bを開放することになる。また、シャッタ開閉装置30を操作することにより、中庫4bを加温庫とする場合には、冷気吸込口43bを閉塞するとともに冷気吐出口46bを閉塞する一方、暖気吸込口44bを開放するとともに暖気吐出口45bを開放することになる。
商品収納庫4a,4b,4cのうち、右庫4cの仕切板3(床板)には、奥方に冷気吸込口43cが開口する一方、前方に冷気吐出口46cが開口している。冷気吸込口43cは、左庫4a及び中庫4bと同様に、庫内風胴42cの底面となる部位に開口しており、背面ダクト41の吸込口(図示せず)から吸い込まれた空気は、背面ダクト41の吐出口(図示せず)、庫内風胴42cを経由して冷気吸込口43cから吸い込まれるようになっている。一方、冷気吐出口46cは、庫内風胴42cの底面となる部位よりも前方となる部位に開口しており、冷気吐出口46cから吐出した空気は庫内風胴42cに直接流入することなく右庫4cの庫内に供給されるようになっている。
なお、右庫4cは冷却専用庫であるので、冷気吸込口43c、冷気吐出口46cを閉塞する必要がなく、冷気吸込口43c、冷気吐出口46cを常時開放しておくので、冷気吸込口43cを閉塞する冷気吸込シャッタ、冷気吐出口46cを閉塞する冷気吐出シャッタを右庫4cに設ける必要はない。
各商品収納庫4a,4b,4cの内部であって、商品収納ラック6の下方となる部位には、商品搬出シュータ47がそれぞれ取り付けてある。商品搬出シュータ47は、商品収納ラック6から搬出された商品を商品収納庫4a,4b,4cの奥方から前方に搬送するためのもので、奥方から前方に向けて漸次低くなるように傾斜する態様で取り付けてある。
商品搬出シュータ47の下面には、それぞれ庫内ファン48が取り付けてある。庫内ファン48は冷気吐出口46a,46b,46cあるいは暖気吐出口45a,45bから空気を吐出させ、商品収納ラック6に収納された商品に空気(冷気あるいは暖気)を供給するためのものである。各商品収納庫4a,4b,4cに取り付けた庫内ファン48は、商品収納庫4a,4b,4cの庫内に配設した温度センサ(図示せず)に基づいて、オン・オフ制御することによって商品収納庫4a,4b,4cの温度制御を行うようになっている。
図4及び図5に示すように、機械室5の上部、すなわち仕切板3の下面には断熱材によって四つの連絡通路5a,5b,5c,5d(ダクト)が画成してある。連絡通路(ダクト)は商品収納庫4a,4b,4cの並設方向に延在し、機械室5の奥方から前方に向けて順番に冷気吸込ダクト5a、暖気吸込ダクト5b、暖気吐出ダクト5c、冷気吐出ダクト5dを構成する。
冷気吸込ダクト5aは、一方が商品収納庫4a,4b,4cに開口するとともに他方が後述する冷却熱交換器96を収容した冷却室91に開口するものである。具体的には、冷気吸込ダクト5aの一方(吸込側)が各商品収納庫(左庫4a、中庫4b、右庫4c)の冷気吸込口43a,43b,43cに開口する一方、冷気吸込ダクト5aの他方(吐出側)が冷却熱交換器96を収容した冷却室91に開口するようになっている。
暖気吸込ダクト5bは、一方が商品収納庫4a,4bに開口するとともに他方が後述する加熱熱交換器(ガスクーラ84)を収容した加熱室81に開口するものである。具体的には、暖気吸込ダクト5bの一方(吸込側)が各商品収納庫(左庫4a、中庫4b)の暖気吸込口44a,44bに開口する一方、暖気吸込ダクト5bの他方(吐出側)が加熱熱交換器(ガスクーラ84)を収容した加熱室81に開口するようになっている。
暖気吐出ダクト5cは、一方が加熱室81に開口するととともに他方が商品収納庫4a,4bに開口するものである。具体的には、暖気吐出ダクト5cの一方(吸込側)が加熱室81に開口する一方、暖気吐出ダクト5cの他方(吐出側)が各商品収納庫(左庫4a、中庫4b)の暖気吐出口45a,45bに開口するようになっている。
冷気吐出ダクト5dは、一方が冷却室91に開口するとともに他方が商品収納庫4a,4b,4cに開口するものである。具体的には、冷気吐出ダクト5dの一方(吸込側)が冷却室91に開口する一方、冷気吐出ダクト5dの他方(吐出側)が各商品収納庫(左庫4a、中庫4b、右庫4c)の冷気吐出口46a,46b,46cに開口するようになっている。
機械室5には熱交換ユニット7が着脱可能に取り付けてある。熱交換ユニット7は、図7に示すように、加熱部8と冷却部9とを有している。加熱部8は、熱交換ユニット7の正面向かって左側に位置し、断熱材によって画成された箱状の加熱室81を有している。
図8に示すように、加熱室81は、上面が開口しており、暖気吸込ダクト5bの吐出側と暖気吐出ダクト5cの吸込側とが開口している。したがって、暖気吸込口44a,44bが開放されている商品収納庫から加熱室81に空気が供給され、その後、加熱室81から暖気吐出口45a,45bが開放されている商品収納庫に空気が供給されることになる。
また、加熱室81を構成する前面壁81aには空気吸込口81a1が形成してあり、加熱室81を構成する後面壁81bには空気排出口81b1が形成してある。空気吸込口81a1は、自動販売機の外部から加熱室に空気を吸い込むためのもので、吸い込んだ空気は空気排出口81b1から自動販売機の外部に排出するようになっている。空気吸込口81a1は空気吸込シャッタ81a2により開閉可能となっており、空気排出口81b1は空気排出シャッタ81b2により開閉可能となっている。
図10に示すように、加熱室81には、圧縮機82、中間熱交換器83、ガスクーラ84、内部熱交換器85が収容してある。圧縮機82は、冷媒を圧縮して高温高圧の状態にするものであって、例えば、二回に分けて圧縮作用を行う二段式圧縮機が採用されている。二段式圧縮機は、第一圧縮機82aと第二圧縮機82bとから構成され、第一圧縮機82aと第二圧縮機82bとの間に中間熱交換器83(第一凝縮器)が介在するようになっている。
中間熱交換器83は、ガスクーラ84とともに加熱熱交換器を構成するものであって、冷媒を凝縮させることにより、中間熱交換器83の周囲から凝縮熱を放熱し、中間熱交換器83の周囲の空気を加熱するように構成されている。中間熱交換器83は、例えば、アルミ製の板状体であるアルミフィンを銅製のチューブが貫通したいわゆるフィンアンドチューブタイプの凝縮器で構成される。
圧縮機82(第二圧縮機82b)には、ガスクーラ84(第二凝縮器)が接続されている。ガスクーラ84は、中間熱交換器83とともに加熱熱交換器を構成するものであって、冷媒を凝縮させることにより、ガスクーラ84の周囲に凝縮熱を放熱し、ガスクーラ84の周囲の空気を加熱するように構成されている。なお、本実施の形態のように冷媒に二酸化炭素(CO2冷媒)を用いた場合には、液化することなく超臨界状態となることもある。ガスクーラ84は、例えば、アルミ製の板状体であるアルミフィンを銅製のチューブが貫通したいわゆるフィンアンドチューブタイプの凝縮器で構成される。
内部熱交換器85は、ガスクーラ84から後述する電子膨張弁94に流れる高圧の冷媒と後述する冷却熱交換器96から圧縮機82に流れる低圧の冷媒との間で熱交換を行うものである。したがって、内部熱交換器85の内部において、ガスクーラ84から電子膨張弁94に冷媒が流れる冷媒管路85aと、冷却熱交換器96から圧縮機82に冷媒が流れる冷媒管路85bとが互いに熱交換可能な距離で非接触向流する態様で配設されている。
なお、ガスクーラ84及び中間熱交換器83により構成される加熱熱交換器のほかに、圧縮機82、内部熱交換器85を加熱室81に収容するのは、ガスクーラ84及び中間熱交換器83において放熱される熱のほかに、圧縮機82、内部熱交換器85において発生する熱を回収するためである。
加熱室81には、さらに、加熱ファン86が収容してある。加熱ファン86は、圧縮機82とガスクーラ84との間に配設してある。加熱ファン86は、通常状態で正転させることにより、圧縮機82からガスクーラ84に向けて空気を流す一方、加熱室81から排熱する場合に逆転させることにより、ガスクーラ84から圧縮機82に向けて空気を流すようになっている。
冷却部9は、熱交換ユニット7の正面向かって右側に位置し、上面が開口した箱状の冷却室91と、冷却室91の下方に配設された蒸発皿92とを有している。
図9に示すように、冷却室91は、断熱材により画成されており、冷気吸込ダクト5aの吐出側と冷気吐出ダクト5dの吸込側とが開口している。したがって、冷気吸込口43a,43b,43cが開放されている商品収納庫から冷却室91に空気が供給され、その後、冷却室91から冷気吐出口46a,46b,46cが開放されている商品収納庫に空気が供給されることになる。
また、冷却室91の下面を構成する底壁の前方となる部分には空気吸込口91aが形成してあり、底壁の後方となる部分には空気排出口91bが形成してある。空気吸込口91aは、自動販売機の外部から冷却室91に空気を吸い込むためのもので、吸い込んだ空気は空気排出口91bから自動販売機の外部に排出するようになっている。空気吸込口91aは空気吸込シャッタ91a1により開閉可能となっており、空気排出口91bは空気排出シャッタ91b1により開閉可能となっている。
さらに、底壁の中央部分には前方及び後方から中央に向けて漸次低くなる態様で水受皿93が形成してある。水受皿93の最も低くなる部分には、ドレーン93aが設けてあり、水受皿93に溜まったドレーン水は、ドレーン93aを介して蒸発皿92に滴下するようになっている。
図10に示すように、冷却室91には、電子膨張弁94、電磁弁95、冷却熱交換器96が収容してある。これら電子膨張弁94、電磁弁95、冷却熱交換器96は、加熱室81に収容した圧縮機82、中間熱交換器83、ガスクーラ84、内部熱交換器85とともに冷凍サイクルを構成する。本実施の形態では、このように構成した冷凍サイクルを循環する冷媒として、不燃性、安全性、耐腐食性を有し、さらに、オゾン層への影響が少ない二酸化炭素(CO2冷媒)を用いている。
電子膨張弁94は、冷媒管路を介して加熱室81に収容した内部熱交換器85に接続され、ガスクーラ84において凝縮された冷媒を断熱膨張させるものであって、断熱膨張された冷媒は減圧され低温低圧となる。
電磁弁95は、冷媒管路を介して電子膨張弁94に接続され、開成状態において冷媒を冷却熱交換器96に吐出させる一方、閉成状態において冷媒を遮断させるようになっている。
冷却熱交換器96は、冷媒管路を介して電磁弁95に接続され、低温低圧の状態に断熱膨張された冷媒を蒸発させることにより、冷却熱交換器96の周囲から蒸発熱を吸熱し、冷却熱交換器96の周囲の空気を冷却するものである。冷却熱交換器96は、例えば、アルミ製の板状体であるアルミフィンを銅製のチューブが貫通したいわゆるフィンアンドチューブタイプの蒸発器で構成してある。
蒸発皿92は、滴下したドレーン水を溜めるとともにドレーン水の蒸発を促進させるためのもので、蒸発皿92には不織布を折り畳んだ蒸発シート97が配設してある。また、蒸発皿92の後方となる部位には冷熱排熱ファン98が設けてある。冷熱排熱ファン98は、毛細管現象によって蒸発シート97に吸い上げられたドレーン水の蒸発を促進するとともに、空気吸込口91aと空気排出口91bとを開放した状態で稼働させることにより、冷却熱交換器96の周囲において冷却された空気を外部に排出することができるようになっている。
上述した熱交換ユニットによれば、圧縮機82と中間熱交換器83とにおいて冷媒が圧縮されて高温高圧の状態となる。具体的には、第一圧縮機82aにおける一回目(最初)の圧縮作用により圧縮された冷媒は、中間熱交換器83において冷却された後に、第二圧縮機82bに供給される。したがって、第一圧縮機82aから第二圧縮機82bの間、すなわち、中間熱交換器83において冷媒が冷却されるので、低消費電力で冷媒は所望の高温高圧の状態に圧縮される。
圧縮機82と中間熱交換器83とにおいて圧縮されて高温高圧の状態となった冷媒は、ガスクーラ84に吐出され、ガスクーラ84において凝縮されて液化する。このとき、ガスクーラ84の周囲に凝縮熱を放熱し、ガスクーラ84の周囲の空気を加熱する。
ガスクーラ84で液化された冷媒は、内部熱交換器85を経由して電子膨張弁94に吐出される。内部熱交換器85ではガスクーラ84から電子膨張弁94に吐出する高圧の冷媒と冷却熱交換器96から圧縮機82に吐出する低圧の冷媒との間で熱交換が行われる。
電子膨張弁94に吐出された冷媒は、減圧されて断熱膨張し、低温低圧の状態となる。低温低圧の状態の冷媒は、開成状態にある電磁弁95を経由して冷却熱交換器96に吐出することになる。
電子膨張弁94において低温低圧の状態となった冷媒は、冷却熱交換器96において蒸発されて気化する。このとき、冷却熱交換器96の周囲から吸熱し、冷却熱交換器96の周囲の空気を冷却する。
この状態で加熱室81の空気吸込シャッタ81a2と空気排出シャッタ81b2とを閉めるともに加熱ファン86を稼働(正転)すると、空気吸込口81a1と空気排出口81b1とが閉塞され、加熱室81の空気は加熱されることになる。一方、加熱室81の空気吸込シャッタ81a2と空気排出シャッタ81b2とを開くとともに加熱ファン86を稼働(逆回転)すると、空気吸込口81a1と空気排出口81b1とが開放され、自動販売機の外部から空気吸込口81a1を経由して加熱室81の内部に空気が吸い込まれ、その後、空気排出口81b1から自動販売機の外部に空気が排出されることになる。すなわち、加熱された空気が自動販売機の外部に排出されることになる。
また、この状態で冷却室91の空気吸込シャッタ91a1と空気排出シャッタ91b1とを閉めるとともに冷熱排熱ファン98を稼働すると、空気吸込口91aと空気排出口91bとが閉塞され、冷却室91の空気は冷却されることになり、蒸発皿92に溜まったドレーン水は自動販売機の外部に排出されることになる。一方、冷却室91の空気吸込シャッタ91a1と空気排出シャッタ91b1とを開くともに冷熱排熱ファン98を稼働すると、空気吸込口91aと空気排出口91bとが開放され、自動販売機の外部から空気吸込口を経由して冷却熱交換器96の周囲に空気が吸い込まれ、その後、空気排出口91bから自動販売機の外部に空気が排出されることになる。すなわち、冷却された空気が自動販売機の外部に排出されることになる。
このように構成された熱交換ユニット7には、図7に示すように、左右一対となるポップアップハンドル71が設けてある。ポップアップハンドル71は、機械室5に収容した熱交換ユニット7をポップアップ(上昇)させるためのもので、ポップアップハンドル71を互いに反対方向(左側のポップアップハンドルは反時計回り、右側のポップアップハンドルが時計回り)となるように回動させた場合に、熱交換ユニット7がポップアップ(上昇)するようになっている。
このように構成された熱交換ユニット7は、機械室5に収容された後、ポップアップハンドル71が互いに反対方向(左側のポップアップハンドル71は反時計回り、右側のポップアップハンドル71が時計回り)となるように回動させることにより、熱交換ユニット7をポップアップ(上昇)させると、暖気吸込ダクト5bの他方(吐出側)と暖気吐出ダクト5cの一方(吸込側)が加熱室81に開口するとともに、冷気吸込ダクト5aの他方(吐出側)と冷気吐出ダクト5dの一方(吸込側)が冷却室91に開口する。なお、暖気吸込ダクト5b及び暖気吐出ダクト5cと加熱室81の上面開口との間、冷気吸込ダクト5a及び冷気吐出ダクト5dと冷却室91の開口とは密着し、熱交換ユニット7と冷気吸込ダクト5a、暖気吸込ダクト5b、暖気吐出ダクト5c、冷気吐出ダクト5dとの間で空気が漏れることはない。
図11に示すように、上述した本発明の実施の形態である自動販売機において、全ての商品収納庫4a,4b,4cにおいて商品を冷やす場合、すなわち、左庫4a、中庫4b、右庫4cにおいて商品を冷やす場合には(このように自動販売機を設定した状態を「CCCモード」という)、左庫4a及び中庫4bの暖気吸込口44a,44bと暖気吐出口45a,45bを閉塞するとともに、左庫4a及び中庫4bの冷気吸込口43a,43bと冷気吐出口46a,46bを開放する。
このとき、加熱室81において余剰に凝縮熱を放熱することになるので、この凝縮熱を自動販売機の外部に排出するべく、加熱室81の空気吸込口81a1及び空気排出口81b1を開放するとともに、空気吸込口81a1から空気排出口81b1に空気が流れるように加熱ファン86を逆転させる。
そして、商品収納庫の各庫(左庫4a、中庫4b、右庫4c)に配設した温度センサ(図示せず)が設定温度(例えば、5°C)となるまで、庫内ファン48をオンにする。すると、庫内ファン48がオンとなった商品収納庫に冷却室91で冷やされた空気が循環することになり、左庫4a、中庫4b、右庫4cの全てにおいて商品が冷やされることになる。そして、時間の経過とともに庫内温度が下降し、庫内ファン48をオフすると時間の経過とともに庫内温度が上昇する。これを繰り返すことにより、庫内の温度が設定温度に保たれる。なお、最初に中庫4bの庫内温度が設定温度に到達し、次いで、左庫4aと右庫4cの庫内温度が設定温度に到達する。このため、中庫4bの庫内ファン48がオフになった後に、左庫4aの庫内ファン48と右庫4cの庫内ファン48とがオフになる。
一方、左庫4aにおいて商品を温め、中庫4b及び右庫4cにおいて商品を冷やす場合には(このように自動販売機を設定した状態を「HCCモード」という)、左庫4aの冷気吸込口43aと冷気吐出口46aとを閉塞する一方、左庫4aの暖気吸込口44aと暖気吐出口45bを開放するとともに、中庫4bの暖気吸込口44bと暖気吐出口45bとを閉塞する一方、中庫4bの冷気吸込口43bと冷気吐出口46bを開放する。
そして、商品収納庫の各庫(左庫4a、中庫4b、右庫4c)に配設した温度センサ(図示せず)が設定温度(例えば、左庫が55°C、中庫及び右庫が5°C)となるまで、庫内ファン48をオンにする。すると、庫内ファン48がオンとなった左庫4aに加熱室81で温められた空気が循環することになり、左庫4aにおいて商品が温められることになる。一方、庫内ファン48がオンとなった中庫4b及び右庫4cに冷却室91で冷やされた空気が循環することになり、中庫4b及び右庫4cにおいて商品が冷やされることになる。そして、時間の経過とともに左庫4aは庫内温度が上昇し、中庫4b及び右庫4cは庫内温度が下降する。庫内ファン48をオフにすると左庫4aの庫内温度は下降し、中庫4b及び右庫4cの庫内温度は上昇する。これを繰り返すことにより、庫内の温度が設定温度に保たれる。なお、最初に右庫4cの庫内温度が設定温度に到達し、左庫4a、中庫4bの順に庫内温度が設定温度に到達する。このため、右庫4cの庫内ファン48、左庫4aの庫内ファン48の順にオフになった後、中庫4bの庫内ファン48がオフになる。
なお、自動販売機をHCCモードで稼働する場合には、加熱室81における加熱と冷却室91における冷却を同時に開始し、その後、加熱室81における加熱を中断する一方、冷却室91におけると冷却を継続するように制御する。このとき、加熱室81において余剰に凝縮熱を放熱することになるので、この凝縮熱を自動販売機の外部に排出するべく、加熱室81の空気吸込口81a1及び空気排出口81b1を開放するとともに、空気吸込口81a1から空気排出口81b1に空気が流れるように加熱ファン86を逆転させる。
他方、左庫4a及び中庫4bにおいて商品を温め、右庫4cにおいて商品を冷やす場合には(このように自動販売機を設定した状態を「HHCモード」という)、左庫4a及び中庫4bの冷気吸込口43a,43bと冷気吐出口46a,46bとを閉塞する一方、左庫4a及び中庫4bの暖気吸込口44a,44bと暖気吐出口45a,45bを開放する。
そして、商品収納庫(左庫4a、中庫4b、右庫4c)に配設した温度センサ(図示せず)が設定温度(例えば、左庫及び中庫が55°C、右庫が5°C)となるまで庫内ファン48をオンにする。すると、庫内ファン48がオンとなった左庫4a及び中庫4bに加熱室81で温められた空気が循環することになり、左庫4a及び中庫4bにおいて商品が温められることになる。一方、庫内ファン48がオンとなった右庫4cに冷却室91で冷やされた空気が循環することになり、右庫4cにおいて商品が冷やされることになる。そして、時間の経過とともに左庫4a及び中庫4bは庫内温度が上昇し、右庫4cは庫内温度が下降する。庫内ファン48をオフにすると左庫4a及び中庫4bの庫内温度は下降し、右庫4cの庫内温度は上昇する。これを繰り返すことにより、庫内の温度が設定温度に保たれる。なお、最初に中庫4bと右庫4cの庫内温度が設定温度に到達し、次いで、左庫4aの庫内温度が設定温度に到達する。このため、中庫4bの庫内ファン48と右庫4cの庫内ファン48とがオフになった後に、中庫4bの庫内ファン48がオフになる。
なお、自動販売機をHHCモードで稼働する場合には、加熱室81における加熱と冷却室91における冷却を同時に開始し、その後、冷却室91における冷却を中断する一方、加熱室81における加熱を継続するように制御する。このとき、冷却室91において余剰に蒸発熱を吸熱することになるので、冷却室91の空気吸込口91a及び空気排出口91bを開放し、冷やされた空気を自動販売機の外部に排出する。
また、中庫4bにおいて商品を温め、左庫4a及び右庫4cにおいて商品を冷やす場合には(このように自動販売機を設定した状態を「CHCモード」という)、左庫4aの暖気吸込口44aと暖気吐出口45aとを閉塞する一方、左庫4aの冷気吸込口43aと冷気吐出口46aを開放するとともに、中庫4bの冷気吸込口43bと冷気吐出口46bとを閉塞する一方、中庫4bの暖気吸込口44bと暖気吐出口45bを開放する。
そして、商品収納庫(左庫4a、中庫4b、右庫4c)に配設した温度センサ(図示せず)が設定温度(例えば、中庫が55°C、左庫及び右庫が5°C)となるまで庫内ファン48をオンにする。すると、庫内ファン48がオンとなった中庫4bに加熱室81で温められた空気が循環することになり、中庫4bにおいて商品が温められることになる。一方、庫内ファン48がオンとなった左庫4a及び右庫4cに冷却室91で冷やされた空気が循環することになり、左庫4a及び右庫4cにおいて商品が冷やされることになる。そして、時間の経過とともに中庫4bは庫内温度が上昇し、左庫4a及び右庫4cは庫内温度が下降する。庫内ファン48をオフにすると中庫4bの庫内温度は下降し、左庫4a及び右庫4cの庫内温度は上昇する。これを繰り返すことにより、庫内の温度が設定温度に保たれる。なお、最初に左庫4aと右庫4cの庫内温度が設定温度に到達し、次いで、中庫4bの庫内温度が設定温度に到達する。このため、左庫4aの庫内ファン48と右庫4cの庫内ファン48とがオフになった後に、中庫4bの庫内ファン48がオフになる。
なお、自動販売機をCHCモードで稼働する場合には、加熱室81における加熱と冷却室91における冷却を同時に開始し、その後、冷却室91における冷却を中断する一方、加熱室81における加熱を継続するように制御する。このとき、冷却室91において余剰に蒸発熱を吸熱することになるので、冷却室91の空気吸込口91a及び空気排出口91bを開放し、冷やされた空気を自動販売機の外部に排出する。
上述した本実施の形態である自動販売機は、冷気吸込シャッタ43a1,43b1が冷気吸込口43a,43bを閉塞するとともに冷気吐出シャッタ46a1,46b1が冷気吐出口46a,46bを閉塞した場合に暖気吸込シャッタ44a1,44b1が暖気吸込口44a,44bを開放するとともに暖気吐出シャッタ45a1,45b1が暖気吐出口45a,45bを開放する一方、暖気吸込シャッタ44a1,44b1が暖気吸込口44a,44bを閉塞するとともに暖気吐出シャッタ45a1,45b1が暖気吐出口45a,45bを閉塞した場合に冷気吸込シャッタ43a1,43b1が冷気吸込口43a,43bを開放するとともに冷気吐出シャッタ46a1,46b1が冷気吐出口46a,46bを開放するように作用するシャッタ開閉装置30を備えたので、商品収納庫4a,4bにおいて冷気循環経路が開放している場合には商品収納庫4a,4bにおいて暖気循環経路が閉塞され、商品収納庫4a,4bにおいて暖気循環経路が開放している場合には商品収納庫4a,4bにおいて冷気循環経路が閉塞される。
また、開放した冷気吸込シャッタ43a1,43b1が商品収納庫4a,4bから冷気吸入口43a,43bに吸い込まれる空気をガイドする一方、開放した冷気吐出シャッタ46a1,46b1が冷気吐出口46a,46bから商品収納庫4a,4bに吐出した空気をガイドするので、冷気吸込口43a,43b及び冷気吐出口46a,46bにおいてスムーズに空気が流れることになる。
また、開放した暖気吸込シャッタ44a1,44b1が商品収納庫4a,4bから暖気吸入口44a,44bに吸い込まれる空気をガイドする一方、開放した暖気吐出シャッタ45a1,45b1が暖気吐出口45a,45bから商品収納庫4a,4bに吐出した空気をガイドするので、暖気吸込口44a,44b及び暖気吐出口45a,45bにおいてスムーズに空気が流れることになる。